Cyntiaが語る、ターニングポイントと新たな挑戦「全員引きずり倒して、大爆発を起こそうかな」

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【リアルサウンド】  高度なテクニックとファッション性を兼ね備えた、本格派ガールズ・ロックバンドとして脚光を浴びたCyntiaが、今まさに大きなターニングポイントを迎えている。ロックバンドとしての一体感はもちろん、ポップスとしての親しみやすさ、ダンス音楽としての楽しさをたっぷりと詰め込んだ最新のサウンドを、もはやジャンルで縛ることは難しい。ニューアルバム『WOMAN』、そして同時リリースのシングル『暁の華』(TVアニメ「暁のヨナ」OPテーマ)は、自分たちのやりたい音への飽くなき挑戦、限界のその先へと突っ走る姿をそのまま詰め込んだ自信作。「今年はみんなを引きずり回す」。SAKIが語った決意の言葉と共に、2015年、Cyntiaの勝負の年が始まった。

「一から作り上げたものを、人に見てもらえることって、なんて尊いことなんだろう」(SAKI)

――Cyntiaって、それぞれのプロフィールがほんとに面白くて。この5人がバンドをやってることがちょっとした奇跡だと思うんですけど、もともとメンバーの中でバンド歴が一番長いのは、YUIさんでしたっけ? YUI:そうですね。いろいろサポートをやらせていただきつつ、バンドをずっとやっていた感じです。 AZU:私の場合はガールズバンドをずっとやってます。前もガールズだったんで。 KANOKO:私は固定のバンドというよりも、サポートが多かったです。あとはソロ活動が多かったです。 AYANO:私はこれが鍵盤で初めて入ったバンドです。高校の時にお遊び程度のガールズバンドを、ギターでやってましたけど。 ――そしてSAKIさんは、初めてのバンドがCyntiaということで。 SAKI:はい、まったく初めてのバンドです。 ――どうですか、バンドって。 SAKI:バンドですか? 自分、もともとやってたのがアイドルだったんで。めんどくさいっすね、バンドって。 全員:(笑)。 SAKI:愛があるから言えるんですけどね。愛がないとできないです。だって呼ぶ側からしたら、アイドルだったら身ひとつで、CDとマイクがあれば成立するじゃないですか。でもバンドって、機材重いし、機材多いし、うち、めっちゃ機材多いし。 AYANO:3回言った(笑)。 SAKI:ライトバンみたいなので、みんなで移動しなきゃいけないし。一個の楽曲を作るのも全部メンバーで、もちろん手作業だし。ワンマンだったらセッティングするのに何時間もかかるのに、本公演は1時間30分ちょいで、いろんな人の手を借りながら撤収して。こんなこと、愛がなきゃできねぇなって思ってます。 ――あははは。YUIさん、何か言ってやってください(笑)。 YUI:でも私は逆に、アイドルをやってて、身ひとつなのはすごいと思います。私はギターを持ってないと、歌ったり踊ったりしゃべったり、“あーどうしよう!”って感じになるので。 AZU:手持ちぶたさになるよね。 SAKI:ぶさた。 AZU:ぶさた(笑)。に、なりますよね。 ――でもバンドだからこそ、楽しいことがある。 SAKI:そうですね。
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SAKI(Vo)

――そこを語りましょうよ。このままだと“バンドは機材が重い”で終わるんで(笑)。 SAKI:やっぱり自分たちで一から作り上げたものを、人に見てもらえることって、なんて尊いことなんだろうってすごく感じてます。曲も自分たちで作って、演奏するのも自分たちで、ライブ演出を考えるのも自分たちで、そういうふうにゼロから作っていくことは、今までやったことがなかったので。単純に“なんて恵まれてるんだろう”と思います。そういう時間を賭しても、重い荷物を賭しても、“やってよかったな”と思うことなんだなと思いますね。 ――すごくいい話。AYANOさんは、このバンドだから楽しいことというと? AYANO:私をわかってくれる人って、一体世の中にどれぐらいいるんだろう?と思うんですよ。たとえばOLをやって生きていたとして、誰かと運命共同体として生きていく経験がどれぐらいできたかな?と思うと、5人が出してる音だけで何かを表現していくのはすごい素晴らしいことだと思いますし。そんな絆を持った人生ってすごい素敵だなと思っているので、やっててよかったなって思います。 KANOKO:バランスがいいと思うんですよ。ビジュアルもそうだし、役割的なことも、キャラが全然バラバラなので、だからこそ面白いのかなと思います。

「自分たちの元々の路線とは違うところに、自分たちは今来ている」(SAKI)

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YUI(Gt & Cho)、KANOKO(Dr, Per & Cho)

――Cyntiaは、デビュー当初はヘヴィメタルやハードロックの色を強く打ち出してましたけど、だんだん変化してきてますよね。そういう、音楽性の変化については? SAKI:元々はハードロック路線から始まってますけど、いろんなことに挑戦してきて、5人のメンバーが5通りの影響を受けながらバンドが進んできているので。それがどういうジャンルなのか?って、私は当てはめようとは思わないです。Cyntiaはノージャンルのことをやってると思っているので、私たちがいつか何かのジャンルになれればいいなと思ってます。 ――まさに今回の『WOMAN』は、そういうアルバムになったんじゃないですか。 SAKI:そうですね。前作の『Limit Break』を作り終えた時に、テクニカルな面を見せるという意味では、一回落ち着いてもいいのかな?と思ったんですよ。メンバー共通認識で、やりきった感があったので。それからみんなでデモを作っていく中で、「WOMAN」という曲が、メンバー全員すごく引っかかった曲で。AYANOの曲なんですけど、これを基軸にしてアルバムを作っていけば、新しい世界が見えそうだよねという話から、コンセプトを決めていった感じだと思います。 AYANO: デモを作っていく中で、“お客さんのノリを重要視したい”というテーマが出てきたんですね。四つ打ちとか、自然とノれるようなものを入れたらどうだろう?って。たぶん今までの思考で止まっていたら、四つ打ちをやろうなんて思わなかったと思うんですけど、『Limit Break』を作ったことによって、みんなの中に自由な曲が生まれてきたんです。 ――では、それぞれの感じているアルバムの手応えと、お気に入り曲を、ひとりずつ聞いていきますね。まずKANOKOさんから。 KANOKO:お客さんが勝手に盛り上がっているバンドって、いいなと思うんですよ。なんでみんなライブに来るのかな?というと、暴れたいとか、発散したいとか、楽しみたくて来るんだろうなと思うから、勝手に暴れられるような曲を発信していきたいなと思って、作っていきました。このアルバムの感じをやっているバンドは、ほかにいないんじゃないか?とすごく思っているので、まずはいろんな人に一回は聴いてほしいなとすごく思います。お気に入り曲は、やっぱり「WOMAN」ですかね。ダンスビートの中のロックの割合が、うまくマッチしてるんじゃないかと思います。 ――YUIさんは? YUI:私、ハードロックが好きでしょ?って見られることが多くて、自分でもわかってるんですけど(笑)。実は逆で、いろんなことをやりたい人なんですよ。『WOMAN』は自分のやりたいことができたし、等身大の自分だと思います。前はがむしゃらに、“ぜってー負けねーし!”みたいな感じだったんですけど、今回はそうじゃなくて、ギターをがちゃがちゃ重ねたりとか、“私のピロピロ見て!”みたいなものではなくて。 AYANO:私のピロピロ(笑)。やばーい。 YUI:さっき言った“踊る”という部分だと、一番最後の「リックリリック」のずーっと同じカッティングのループ感とか、すっごい気持ちいいです。気に入ってます。 ――そんなSAKIさんは。 SAKI:そうですね、自己評価じゃなくて、対外的な評価として、大炎上するのかなと思ってます。 ――あははは。なんですかいきなり(笑)。 SAKI:いや、もうすでにいろいろ言われてるんですけど(笑)。自分たちの元々の路線とは違うところに、自分たちは今来ているので。それを裏切りと感じるお客さんもいるだろうし、逆に“俺たちの想像を超えてきたな”という評価をしてくれる人もいると思うし、たぶん賛否両論になると思うんですよ。でも私はそれを怖いとは思っていなくて、批判されてナンボだと思ってるんで。 ――はい。なるほど。 SAKI:受け入れてもらえば、もちろんそれがベストですけど。そうやって論じてもらえる幸せというものもすごく感じていて、対外的にはそういうアルバムになってると思います。自分たち的には“やりたいことをやらせてもらいました”という、今の名刺になっているので、とても満足しています。
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「自分たちが憧れてきたアーティストに、また一歩近づけたような気がしています」(AYANO)

――歌詞も、相当攻めてる歌詞が多いんじゃないですか。がんばれ女の子! 強くあれ女性!という歌詞が多いから、勇気付けられる人も多いと思います。ちなみに、一番よく書けたという思う歌詞は? SAKI:それは、お気に入りの歌詞と、よく書けた歌詞は、変わってくるんですけど。 ――じゃあ両方行きましょう。 SAKI:好きな曲は「WOMAN」で、よく書けたのは「シニシズム」。アーティストさんの作詞には大きく分けて2パターンあって、自分の体験談を書く人と、空想やファンタジーを書く人がいると思っていて。私はファンタジー派だったんですけど、今回は両方入っていて、「シニシズム」はもろに自分の汚い部分や、見下して生きている感を出してます(笑)。せっかく表現者として、音楽を生業とさせてもらっているので、汚いところ、底意地の悪いところ、ヘドが出るほど嫌いな自分の面とかを、思い切り出してみました。 AYANO:ツイッターでプチ炎上したんだよね。 SAKI:そうそう(笑)。まだアルバムを作ってることは言えなかった時期に、“こういう曲を書きました”と言って、歌詞の内容を紹介したら、“それはファンのことが嫌いということですか?”って。“僕たちが何かしましたか?”みたいな、優しい方もいて、すごい心配させてしまって。 ――ああー。 SAKI:それは違うんだお!って、弁解したりして。言いたいことを言って生きるのは難しいんだなって、そこでも感じました。 ――それに対して「WOMAN」は…。 SAKI:「WOMAN」は、同世代の女性が抱えている悩みとか…たとえば仕事に生きると決めたけど、周りはどんどん結婚していって、フェイスブックを見ると結婚式の写真ばかり載ってる昨今、みたいな。ちょうどメンバーもそういう世代で、自分たちは音楽でメシ食ってくぞという、ちょっと変わった集団なんですけど(笑)。女性で、バンドで食べていく? はぁ?みたいな、周りからけっこう言われるんですよ。逆に“うらやましいよ”と言ってもらうこともあって、反応は様々なんですけど、自分たちは好きなことをやって前を向いて歩いていこうと思っているので。同じように、何かをやっていこうとする女性の背中を押せる曲を書きたいなと思って、「WOMAN」を書きました、この曲がアルバムの基軸になっているので、とても思い入れはありますね。
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AZU(Ba & Cho)

――AZUさん。どんなアルバムですか? AZU:等身大の自分たちを表現するということを、今回は一番大事にしました。そういう意味では歌詞も生々しいし、サウンドも聴きやすいし、普段の生活になじむような音楽が作れたんじゃないかな?と思ってます。たとえば家事をしながら流しても、心地よく乗りながら聴けると思うし、いい感じで力が抜けたようなアルバムだなと思います。お薦めの曲は「リックリリック」ですね。イントロに入ってるプニョっていう音、ベースのワウで作っていて、シンセ音じゃないんです。ベースは支える役割ですけど、「リックリリック」では飛び道具になっているのが気に入ってます。 ――お待たせしました。AYANOさん。 AYANO:私は今すごく感動していることがあって。音楽をやっている人って、その人の生き方、考え、思想とか、哲学的なものが表れているのに共感して、人間自体がヒーロー、ヒロインになれるということがあって、生き様をエンタテインメントにできる人間ってすごいなと思うんですけど。このアルバムを作ることによって、自分たちが憧れてきたそういうアーティストに、また一歩近づけたような気がしています。お気に入りは、一番化学変化を起こして面白い曲になったと思うのは「リックリリック」ですね。で、一番衝撃を受けて、泣きそうになったのは「WOMAN」の歌詞です。“そうだよね。あるある”みたいな。
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AYANO(Key, Pf & Cho)

――今年はまだ始まったばかりで、3月にはツアーもありますが。2015年はどんな気持ちで活動していきますか。 AZU:名刺代わりのアルバムができたので、これを持って1年間突っ走りたいと思います。ライブも作りこんで、“こういうアクションしたら面白いよね”とか、いつも話してるので。そういうことも含めて、ストイックというか、常に貪欲でありたいなと思います。 SAKI:最近、個人的な心境の変化がとてもあったんです。私たちのデビューシングルは「Run to the Future」という曲で、未来に向かって走るんだという曲でデビューしまして。節目のライブのたびに、お客さんに、私たちのうしろについてくるんじゃなくて“一緒に走ってください”というふうに言ってきて。それはたぶん、自分が先頭を切って走る自信のなさとか、一緒に歩みを進めて行くことの尊さとか、いろんな意味を含めて“隣を走ってほしい”とずっと言ってきたんですけど。今年の初めにすごく心境の変化があって、私は、全員を引きずり回そうと思います。 ――おおー。 SAKI:先頭を切って走るだけじゃ足りなくて、誰よりも加速したい。走り続けるのはたぶん当たり前で、止まったらバンドは終わっちゃうので。AZUが言ったみたいに、常に新しいことに挑戦していって、すべてをカオスの状態にして、全員引きずり倒して、大爆発を起こしてやろうかなぐらいの気持ちで、2015年は、斬り込んでいこうかなと思います。 AYANO:Cyntia専用のドMを作るということ? SAKI:…はい? AYANO:私たち何されてもいいよもう! ちょうだい!みたいな。 ――何か、AYANOさんに突然火がつきましたけど。大丈夫ですか(笑)。 SAKI:こういう子なんです(笑)。彼女が一番最初に言った“自分のことを理解してくれる人が少ない”というところに着目すると、こういうところなんです。いきなり大爆発を起こして、ひとりで炎上し始めるんで。 AYANO:それを、みなさんの大爆発につなげていけるようにしていきたいです。 ――うまくまとめた(笑)。じゃあ今年は、それぞれが大爆発する年にしましょう。 SAKI:はい! (取材・文=宮本英夫/写真=石川真魚)
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Cyntia『WOMAN(通常盤)』(ビクターエンタテインメント)

■リリース情報 『WOMAN』 発売:2月18日 初回限定盤A:[CD+DVD] ¥3,400(税抜) CD: M1. 暁の華 M2. Woman M3. シニシズム M4. chapter/1 M5. 君がいない世界 M6. KISS KISS KISS M7. GIRL to WOMAN -prologue- M8. lucky☆star M9. 勝利の花束を-gonna gonna be hot!- M10. letter M11. リックリリックDVD: 1. Made in Jakarta – Cyntia Live & Press Tour Footage – ドキュメンタリー 初回限定盤B:[CD+Blu-ray] ¥4,000(税抜) CD: M1. 暁の華 M2. Woman M3. シニシズム M4. chapter/1 M5. 君がいない世界 M6. KISS KISS KISS M7. GIRL to WOMAN -prologue- M8. lucky☆star M9. 勝利の花束を-gonna gonna be hot!- M10. letter M11. リックリリックDVD: 1. Made in Jakarta – Cyntia Live & Press Tour Footage – ドキュメンタリー 2. 勝利の花束を-gonna gonna be hot !- ミュージック・ビデオ 3. KISS KISS KISS ミュージック・ビデオ 通常盤:[CD] ¥2,800(税抜) CD: M1. 暁の華 M2. Woman M3. シニシズム M4. chapter/1 M5. 君がいない世界 M6. KISS KISS KISS M7. GIRL to WOMAN -prologue- M8. lucky☆star M9. 勝利の花束を-gonna gonna be hot!- M10. letter M11. リックリリック 『暁の華』 発売:2月18日 ¥1,000(税抜) M1. 暁の華 M2. lucky☆star ※「暁の華」TVアニメ『暁のヨナ』新オープニングテーマ(1月20日~TV放送開始) ■ライブ情報 Cyntia LIVE TOUR 2015「PRETTY WOMAN」 3月8日(日) 渋谷TSUTAYA O-EAST 3月13日(金) 福岡DRUM Be-1 3月21日(土) 名古屋CLUB QUATTRO 3月22日(日) 梅田CLUB QUATTRO ■オフィシャルサイト http://cyntia.jp/

SKE48とNMB48、なぜシングル同日リリース? 次世代への流れを”保留”した戦略を読む

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SKE48『12月のカンガルー (CD+DVD) (Type-A) (初回盤)』(avex trax)

【リアルサウンドより】  先週2月13日放送の「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)にNMB48が出演し、11thシングル曲「Don't look back!」を披露した。同曲は3月31日発売予定、卒業直前の山田菜々がセンターを務めることで、彼女のグループ在籍期間のラストを飾る楽曲となっている。  そもそも、先月の「AKB48リクエストアワー セットリストベスト1035 2015」で3月にシングルがリリースされる旨の報が出た際、このシングルに置かれた力点は山田へのはなむけとはやや異なる場所にあった。当初発表されていたのは、3月31日にNMB48と同時にSKE48もシングルを発売するということ、すなわち、姉妹グループ同士の「対決」を促すような意味がこのリリースには込められていた。  しかし、NMB48がまず披露した新曲「Don't look back!」が、あくまで山田の卒業に合わせて彼女をセンターに据えるものであり、歌詞にも山田の背中を押すような前向きな言葉が織り込まれたことで、同曲の意義を姉妹グループ同士の「対決」に回収するには違和感も強くなったように思う。その印象を跡づけるようにAKB48グループ総合プロデューサーの秋元康は、「ミュージックステーション」放送翌日の14日朝に、トークアプリ「755」で両グループの同日発売について、「それぞれのレコード会社の調整がつかなかったから」とやむない事情であることを説明し、48グループの「対決」を目的としたものではないことを強調した。レコード会社等の諸事情によるものというこの説明は、同日発売となることが発表された1月23日に、すでにSKE48劇場支配人今村悦朗がGoogle+に投稿していた内容の繰り返しではあるが、48グループのトップに立つ秋元がこのタイミングで言明したことで、運営の立場があらためて示されたかたちになる。  もとより、今回のSKE48、NMB48両者のシングルを、同じ水準で「対決」の俎上にのせるのは少し難しい。繰り返すように、NMB48にとっては昨年から表明されていた山田卒業へのカウントダウンの時期である。山田センターで発表する同シングルの焦点はなにより、初期からの功労者をいかに盛りたてるかにあるはずだ。他方、SKE48は同日発売予定の17thシングルの劇場盤を、CDとミュージックカードのセットで発売することを発表している。先に発表されていたようにオリコン・リサーチ株式会社は、今年4月6日付のデイリーランキング以降、ミュージックカードを合算集計しないことを決めている。つまり、現行の集計方針下の最後に、売り上げランキングのルールを目一杯活用した販売方法を試みようとしているのだ。この試みは、「対決」ともまた異なる事情からくるものといえるだろう。「755」内で秋元が述べているように、48グループの「対決」を主眼とするならば、両者の販売にあたってのルールや兼任メンバーの調整等、正当に「祭り」にするべくリリースに向けた環境づくりを整備した方が、メンバーや運営にとっても、ファンにとっても納得度は高いはずだ。その意味で、3月の同日発売は見かけほど、「対決」という言葉に似つかわしいものではないことがわかる。  すでに楽曲を発表しているNMB48に関してさらに言えば、今回のシングルに山田卒業以外の意味を過剰に付与してしまうことは、彼女の在籍期間のフィナーレをぼかしてしまうことにもなりかねない。山田の卒業発表以降、NMB48は寂しさを感じる隙間を与えないかのような動きを見せてきた。山田のTwitterアカウント開設と同時に多くのメンバーのアカウントも開設してすぐさま活発なやりとりをしてみせたり、「ポスト山田菜々」のオーディションを開催し、選出された植村梓をはやくもお披露目させたりといったトピックはまだ記憶に新しい。それらは盛り上げるための話題を絶やさない機能を果たしてはきたが、初期からの貢献度に比べて充分な位置が与えられてこなかった山田の功績をシンプルに称えるうえではノイズにもなってしまう。一方で、CDとミュージックカードのセットという販売方法が先行して話題になっているSKE48だが、当然のことながら作品やメンバーのパフォーマンスをもって、次回シングルの意味付けはなされるべきである。SKE48は今週20日の「ミュージックステーション」出演が決まっており、そこで新曲の披露が見込まれる。楽曲として、またパフォーマンスとしてどのようなものを見せてくるのかによって、NMB48「Don't look back!」との対照は鮮明になるはずだ。
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『らしくない (通常盤Type-C)』(laugh out loud records)

 今回の同日発売シングルに関してSKE48、NMB48両者の共通点を挙げるならば、昨年、直近のシングルで見せたような次世代への継承の流れを、一旦保留していることだ。NMB48は『らしくない』で白間美瑠と矢倉楓子を、SKE48は『12月のカンガルー』で北川綾巴と宮前杏実をWセンターに起用して、現在の主軸メンバーの次を担う世代を中心に置いた。3月31日発売のシングルではSKE48は磯原杏華、江籠裕奈、神門沙樹といった新鮮なメンバーを選出しつつも松井珠理奈、松井玲奈のセンターを戻して盤石を期し、NMB48は山田をセンターに両サイドを山本彩、渡辺美優紀が支えるシフトになっている。双方のグループの文脈の中で、定番のメンバーを中央に置いているが、それぞれにその意味合いは異なり、姉妹グループの両者が同じベクトルを向いたものとは言いにくい。  昨年は48グループ全体を通じて、次世代への継承の意思がうかがえた年だった。大きな流れとしては現在もその途上にあるといえる。白間、矢倉は現在放送中のドラマ『マジすか学園4』(日本テレビ系)でもスポットの当たる役どころを用意され、引き続き山本、渡辺らに次ぐポジションをグループ内で得つつある。他方、NMB48に比べると若手メンバーの目立つポイントがまだ少なく、一旦W松井の絶対的な体制に戻ったかに見えるSKE48は、次世代をどう位置づけていくのか。両グループの世代継承を巡る動きは、3月31日のシングルではなく、来年度前半の展開でこそより明確になるだろう。 ■香月孝史(Twitter) ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。

吉澤嘉代子、大森靖子、水曜日のカンパネラ……個性豊かな「妄想系女子」に脚光

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【リアルサウンドより】  「妄想系個性派」と呼ばれるシンガーソングライターの吉澤嘉代子が、初のフルアルバム『箒星図鑑』を3月4日に発表する。2013年にインディーズで発表したデビュー作のタイトルは『魔女図鑑』だったが、小・中と学校に行けなかった彼女は、「魔女になりたい」と本気で思い、家で一人箒にまたがって、魔女修行をしていたのだという。かつてはその「魔女時代」を許せなかったが、徐々にそれを受け入れ、今なら「あの頃があったからこそ、今の自分が存在する」と思える。本作のタイトルには、そんな想いが込められている。  おそらく誰にでもひとつやふたつ、記憶から消し去りたい黒歴史があることだろう。当時の自分にとって、それはとてもシリアスな問題なのだが、時間を経て振り返ってみると、そういうときの人間はとても滑稽で、笑えたりするもの。『箒星図鑑』に収められた13の楽曲の主人公たちも、やはりそれぞれの問題を抱えているが、吉澤はそれをシュールな世界観の歌詞や、キュートな歌唱によって、普遍的なポップスへと昇華して見せる。  不良に憧れる真面目な女の子が背伸びして悪ぶってみる「ブルーベリーシガレット」、一人ぼっちになりたくないから、仲良しグループの悪口話に参加する「なかよしグルーヴ」、三島由紀夫の『黒蜥蜴』に魅了され、ストリッパーを主人公に書いたという「シーラカンス通り」など、シチュエーションは実にさまざまだが、真剣であればあるほど、主人公たちの姿はやはりどこか滑稽。また、女の子ならだれでも共感できるのであろう“脱毛”をテーマにした「ケケケ」は、吉澤のダンスや変顔が印象的なミュージックビデオも含め、妄想全開の一曲で実に楽しい。この日常からの跳躍力こそが、彼女の最大の武器だ。そして、大人になりきれない少女を描写した〈ストッキングの網目で あやとりするのも飽きたよ〉というラインが秀逸なオープニングの「ストッキング」と、“自分自身について書いた”というラストの「23歳」があることで、アルバムに吉澤嘉代子印の判が押され、作品としてギュッとまとまった印象を受ける。

吉澤嘉代子「ストッキング」

 音楽的にも、ホーンセクションを配した華やかなファンクをはじめ、多彩なアプローチで聴かせるagehaspringsの横山裕章と、フィル・スペクターが手掛けたガールズ・グループのような雰囲気が懐かしくも新しいcafelonの石崎光という2人のプロデューサーが脇を固め、吉澤の多面的な魅力を見事に引き出している。東京カランコロンのいちろーや、オワリカラのタカハシヒョウリなど、バンドシーンからも彼女の才能を称賛する声は多く聞かれ、本作をきっかけによりその知名度を増すことは間違いないだろう。  ただ曲を作って歌うだけのシンガーソングライターではなく、かといってアイドルでもなく、しかし、その両方の要素を併せ持ち、吉澤同様にたくましい想像力を武器にして、個性的な活動をする女性アーティストの数は、近年増えているように思う。おそらく、その先陣を切ったと言えるのが、大森靖子だろう。椎名林檎の系譜に位置するシンガーソングライターであると同時に、アイドルのファンも公言し、DIYで活動を続けてきた彼女が、2013年に渋谷クアトロでのワンマンを成功させ、昨年メジャーデビューを果たしたということは、「妄想系女子」たちにとって、ひとつの契機になったと言えそうだ。昨年末リリースされた最新作『洗脳』でも、誰もが脳内に抱えているはずの感情や思考を、ビビッドな表現で言語化し、J-POPのど真ん中へと邁進している。  新人の注目株は、何と言っても水曜日のカンパネラのコムアイだろう。デビュー当初は高校生のときからNGOやNPOに関わっていたという経歴や、ステージでの鹿の解体ショーといった奇抜な行動が多く取り上げられたが、徐々に元hydeout ProductionsのKenmochi Hidefumiによるサウンドプロデュースや、コムアイのラップ、コンテンポラリー・ダンスを取り入れたステージングが話題となり、今やフェスにイベントに引っ張りだことなっている。最新作は昨年11月にリリースの『私を鬼ヶ島に連れてって』で、収録曲は“桃太郎”や“ドラキュラ”など、タイトルからして妄想全開。コムアイ自身が作詞に携わる割合は少ないが、「意味は特になくとも、楽しいのがいい」というのが今の気分か。  20代前半のコムアイよりもさらに若い、現在17歳の女子高生ラッパーdaokoにも要注目。2012年12月、まだ15歳のときに『HYPERGIRL-向こう側の女の子-』でデビューした1997年生まれの少女は、m-floとのコラボレーションなどで注目度が急上昇。椎名林檎や大森靖子のファンでもありながら、ニコ動世代なので音楽活動の入口はラップというのが新しい。2月4日に発表されたばかりのサード『Dimension』をもって、これまで所属していたネット発のレーベルLOW HIGH WHO? PRODUCTIONでの活動を終了し、メジャーデビューが決定。その若さゆえか、リリックはどこか儚く、ヒリヒリとした心象を感じさせるが、曲自体は徐々にポップになってきているので、ここで挙げた他のアーティスト同様に、その表現が「陽」へと変化していくのか、今後の動向が注目される。  吉澤嘉代子、大森靖子、水曜日のカンパネラ、daoko。表現のスタイルこそ違えども、この4者に共通するのは、同調圧力に反発し、「私は自分の好きな道を選ぶ」という強い自信を感じさせる一方で、今にも崩れそうなフラジャイルな部分も持ち合わせていること。そのギリギリのバランスから生まれる、妄想力豊かで個性的な世界観は、むしろ非常に人間臭く、だからこそ、今の音楽シーンの中でもひときわ光って見えるのかもしれない。 (文=金子厚武)
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吉澤嘉代子『箒星図鑑』(日本クラウン)

■リリース情報 『箒星図鑑』 発売:3月4日 CRCP-40399 ¥2,778(税抜) 1. ストッキング 2. 逃飛行少女 3. 未成年の主張 4. ブルーベリーシガレット 5. なかよしグルーヴ 6. キルキルキルミ 7. 美少女 8. チョベリグ 9. ケケケ 10. シーラカンス通り 11. 泣き虫ジュゴン  12. 雪 13. 23歳 ■ライブ情報 「吉澤嘉代子 箒星ツアー '15」 5月9日(土) 岡山MO:GLA(開場17:30/開演18:00) 問)夢番地岡山086-231-3531 5月10日(日) 福岡Gate’s7(開場17:30/開演18:00) 問)つくす092-771-9009 5月12日(火) 名古屋CLUB QUATTRO(開場18:00/開演19:00) 問)ジェイルハウス052-936-6041 5月15日(金) 大阪 UMEDA CLUB QUATTRO(開場18:00/開演19:00) 問)夢番地大阪06-6341-3525 5月16日(土) 東京 赤坂BLITZ(開場17:00/開演18:00) 問)ネクストロード03-5712-5232 【料金】各会場同一 ¥3,800(全自由/Drink代別/整理番号順) 【一般発売日】2015年3月21日(土) ※「箒星図鑑」CD購入者チケット先行受付 期間:2015年3月4日(水)正午~2015年3月12日(木)18時迄 ※FCスマフォサイト「ほうきの会」チケット優先受付 ただ今、無料会員登録受付中。 会員登録は https://fc.yoshizawakayoko.com 「箒星図鑑」予約会イベント 2月21日(土)開始 13:00 タワーレコード池袋店 6Fイベントスペース 「箒星図鑑」発売記念イベント 3月4日(水) 開始 19:30 タワーレコード渋谷店 1F店内イベントスペース 3月7日(土) 開始 14:00 タワーレコード秋葉原店 7F店内イベントスペース 3月15日(日) 開始 13:00 タワーレコード名古屋近鉄パッセ店 9Fイベントスペース 3月15日(日) 開始 17:00 HMV栄 イベントスペース 4月5日(日) 開始 17:00 dues新宿 4月5日(日) 開始 21:00 ヴィレッジヴァンガード下北沢店 ※各イベントの詳細はこちらから:http://www.crownrecord.co.jp/artist/yoshizawa/whats.html ■オフィシャルHP http://yoshizawakayoko.com/

アンジュルム、心機一転のシングルに高い評価 スマイレージから改名して新ステージへ

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アンジュルム『大器晩成/乙女の逆襲(初回生産限定盤A)(DVD付)』

【リアルサウンドより】 参考:2015年2月2日~2015年2月8日のCDアルバム週間ランキング(2015年2月16日付)(ORICON STYLE)  今週のオリコン週間シングルランキングは、ジャニーズWESTの『ズンドコパラダイス』が9.7万枚で1位。2位にはアンジュルムの『大器晩成 / 乙女の逆襲』が、3位にはEXILE ATSUSHIの『桜の季節』がランクインした。  4位から7位には人気アニメ『アイドルマスターシンデレラガールズ』のキャラクターソングシリーズが並び、10位にはブレイク中のお笑い芸人・クマムシのCDデビュー作『あったかいんだからぁ♪』がランクイン。テレビ番組の企画以外でお笑いタレントの曲がTOP10入りするのは波田陽区『ギター侍のうた』以来10年ぶりのことで、かなりユニークなチャート状況となっている。1位となった『ズンドコパラダイス』もジャニーズWEST得意のコミカルな曲調で、MVも昭和テイストな架空のバラエティ番組を舞台にしたもの。珍しく「お笑い」要素の強いチャートの並びと言えるだろう。  さて、今回の記事で注目したいのは、そんな中、2位にランクインしたアンジュルム『大器晩成 / 乙女の逆襲』だ。ハロー!プロジェクト所属の9人組アイドルグループで、昨年12月にスマイレージからグループ名を改名。メンバーも3名増員し、心機一転のタイミングとなるシングルで過去最高の売上枚数を記録した。特にフジテレビ系『めちゃ×2イケてるッ!』エンディングテーマにも決定し注目を浴びている「大器晩成」は、その楽曲のクオリティも各方面から高い評価を集めている。  Base Ball Bear小出祐介は「アンジュルム「大器晩成」最高かよ。ダンスのソウル・トレイン感もめっちゃいい」とツイート。OKAMOTO’Sハマ・オカモトも、「マークロンソン「Uptow Funk」は間違いなくリックジェームスリバイバルの狼煙。ゲットラッキー以降、その辺り意識の音楽が面白い!アンジュルムの大器晩成もDAエッセンス」とツイートし、「DAじゃないDP!(笑)Daft Punk!」と続けている。  また、大谷ノブ彦はパーソナリティーをつとめるニッポン放送のラジオ番組『大谷ノブ彦キキマス!』内で「2015年、現段階で一番いい曲なんじゃないかと思ってます」と熱弁。ミュージシャンや音楽に詳しいタレントが楽曲を絶賛し、そのことが大きな追い風に繋がっているのだ。いわばAKB48「恋するフォーチュンクッキー」のリリース時に近い状況を巻き起こしていると言ってもいい。  この「大器晩成」の作詞作曲を手掛けたのは中島卓偉。アップフロント所属のシンガーソングライターで、西川貴教やつんく♂からも認められる実力の持ち主だ。曲調はノリのいい高速ディスコ・ファンク。70年代ディスコをベースにBPMをグッと速め、パーカッション、スラップ・ベース、カッティング・ギターなどを配した、かなりこだわりの強いサウンドになっている。特筆すべきはサビ後のコーラス部分で聴くことのできる独特のボイス・エフェクト。使われているのはゴム製のチューブを口にくわえて楽器を鳴らす「トークボックス」という特異なエフェクターで、ZAPPのロジャー・トラウトマンなどファンクのキーパーソンが愛用してきたことでも知られている。  YouTubeではこの曲のレコーディングの模様も公開されている。レコーディングに参加したプレイヤーもドラマーの佐野康夫をはじめ一線級の面々。打ち込みでサウンドを仕上げることが当たり前になった昨今、あくまで生音にこだわったアレンジが楽曲のクオリティに結実しているのだ。  一方、両A面のもう一曲「乙女の逆襲」は作曲をTOKYO NO.1 SOUL SETの川辺ヒロシと上田禎、編曲をCMJKが担当。ミステリアスな雰囲気のメロディーをEDMで料理しミュージカル調に仕上げたという、かなり一筋縄ではいかないトリッキーな楽曲に仕上がっている。  5月26日には日本武道館公演が決定。スマイレージ時代から紆余曲折あったグループだが、このシングルは間違いなく飛躍のきっかけになるはず。アンジュルムにとって、2015年は“逆襲”の一年になりそうだ。 ■柴 那典 1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

Acid Black Cherryはなぜ“全国のファンに会う”ことを重視するのか? その意志と戦略を読む

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【リアルサウンドより】  2015年は、Janne Da ArcのyasuがAcid Black Cherryの活動をスタートして9年目となった。昨年末にリリースしたAcid Black Cherryの19thシングル『INCUBUS』は、自己最高初動売り上げを記録して話題だ。2月25日にリリースする、3年振りとなるコンセプチュアルなアルバム作品『L-エル-』への期待も高まるばかりだ。そこで、波乱の人生を送った一人の女性エルを描いた壮大なストーリーと絡み合うコンセプト・アルバムを語る前に、2013年からスタートしたAcid Black Cherry のProject『Shangri-la』を振り返ってみたいと思う。全国を巡るこのプロジェクトに込められた戦略が素晴らしいと思ったのだ。  Project『Shangri-la』とは、Acid Black Cherryがファンに「笑顔になってもらいたい」というテーマで企画したプロジェクトであり、全国都道府県をツアーとイベントで巡り、各地のファンと触れ合える機会を設けた大規模でありながらも地道な施策だ。  J-POP世間一般的には、ネット配信時代、楽曲単位での注目作が増え、アルバム作品への注目が減っている。しかし、Acid Black Cherryはアルバム作品を軸としたプロジェクトを立案し、実行することでファンを巻き込み、大きなうねりを生み出すことに成功している希有なアーティストだ。実は20万枚のセールスを超え大ヒットした前作アルバムから物語は続いていたのかもしれない……。  ……マヤ暦が終わることから“世界が終わる”と言われた2012年。Acid Black Cherryは、yasuの想いを詰め込み、3rdアルバム「『2012』」を発売した。このアルバムは、たとえ世界が終わろうとも、生きることを諦めない人達の唄と物語がリンクしたコンセプト・アルバムだった。2013年、もちろん世界は終わっていないが、アルバムの物語の中で登場したおばあさんはこう語っていた。「世界が終わらなかったことがハッピーエンドではないのよ。美しい世界を取り戻すにはとても時間がかかるの」。  この状況は、今の日本に少し似ているような気がする。2011年に我々を襲った“悲しみ”は、今もなお続いている。あの日、多くの日本人がそうしたように、yasuもまた、自分の人生や生きる意味を考えたのだ。「音楽しかやってこなかったし、音楽しか出来ない。もしも自分の作った音楽で誰かが笑顔になるなら、音楽を一生懸命やろう」と。  Acid Black Cherryのようなアーティストとなると、ファンはアリーナクラスなど、大きな会場でなければライブチケットの入手が困難になってしまう。それが故に、全国津々浦々のホール会場を巡ろうとすると、膨大な時間と労力を必要として楽曲制作が遅れてしまう。そんな“成功のジレンマ”に悩んでいたという。しかし、Project『Shangri-la』では、その両面を平行することをチャレンジしたのだ。  Project『Shangri-la』として新作シングルのリリースをしながら、日本全国を5ブロック(北海道・東北、北陸・甲信・東海、関西・中国、関東、四国、・九州・沖縄)・5期間に分け、2013年8月から2014年6月までの約10ヶ月、全国都道府県をライブで駆け巡り、追加アリーナ公演を含み18万人を動員した。コンサート前後には『Shangri-la Meeting』として、各県のラジオ局やテレビ局の番組公開収録、yasuとのハイタッチ会などファンと触れ合えるイベントも実施している。  ツアー後、昨年10月には『密会』と題して、Twitterやオフィシャル・ブログなどで突如URLが告知され、1時間限定でYouTubeにて告知動画を公開することで、新作アルバム『L-エル-』の発表を行った。時間限定公開でありつつも、ハッシュタグが設定されていたことで、Twitter上でのコメントの盛り上がりはトレンド化し、熱量はどんどん高まり伝染していった。  そしてこの冬は『Shangri-la Museum』として、Project 『Shangri-la』の思い出を蘇らせる、もう一つのツアーが全国を巡回した。各地のイオンモールを無料イベントの会場として、実際に全国ツアーで着用した衣装を展示したのだ。ライブステージで組んだセットの一部を再現したミニステージで、記念撮影が可能となっていたことも見逃せない。  ここには重要な“プロモーション要素”が込められているのではないかと個人的には思う。世間一般的には、J-POPシーンにおけるCDセールスの減少、予算削減など、音楽アーティストが全国をくまなく巡るツアーは減っていると言われている。と、同時にプロモーション施策なども、ネットの進化もあり配信やヴァーチャルな企画など代替え案に変えられてきた現状は否めない。しかし、Acid Black Cherryは信念で全国都道府県ツアーをシングル作品のリリースとともに工夫を重ねてやり遂げたのだ。“自ら全国のファンに会いにいくこと”。こういった意義ある地道な試みは、必ずや今後の結果としてあらわれてくるだろう。2月25日にリリースするこだわりの新作アルバム『L-エル-』への期待が高まるばかりだ。Acid Black Cherryが評価されていることには意味があるのだ。 (文=ふくりゅう(音楽コンシェルジュ/Twitter)) ■リリース情報 『L-エル-』 発売:2月25日(水) 01. Round & Round 02. liar or LIAR ? 03. エストエム 04. 君がいない、あの日から… 05. L-エル- 06. Greed Greed Greed 07. 7 colors 08. ~Le Chat Noir~ 09. 黒猫 ~Adult Black Cat~ 10. versus G 11. 眠れぬ夜 12. INCUBUS 13. Loves 14. & you 4th ALBUM「L-エル-」Special Site ■関連リンク facebook オフィシャルサイト twitter youtube オフィシャルブログ

ONE OK ROCKが新作で越えた“2つの壁” 世界水準のサウンドはシーンに何をもたらすか?

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【リアルサウンドより】  ONE OK ROCKの新アルバム『35xxxv』が2月11日にリリースされ、10日付のオリコンデイリーチャートで78,971枚のセールスを記録して1位を獲得。前作『人生×僕=』のセールス45,814枚を大きく上回り、同バンドへの支持が拡大していることを裏付けた。 (参考:http://www.oricon.co.jp/rank/ja/d/2015-02-10/)  同作は、ONE OK ROCKが海外志向のサウンドを実現するために、アメリカ・ロサンゼルスを拠点として、全編に渡って現地のスタジオでレコーディングが行われたアルバム。前作に引き続きTHE USEDやPANIC! AT THE DISCOを手掛けているジョン・フェルドマンをはじめ、複数の著名プロデューサーを迎える一方、ミキシングエンジニアにはGreen Day、U2、Pink、My Chemical Romanceを担当してきたクリス・ロード・アルジなどを迎えて制作。世界進出を見据えた骨太なロック作品に仕上がっている。  2014年にはワールドツアー『ONE OK ROCK 2013 “Who are you ??Who are you ??”TOUR』を行うなど、海外展開も積極的に行ってきた同バンドが、支持を拡大してきた理由とはなにか。音楽ジャーナリストの宇野維正氏に、彼らの音楽性と、その活躍について話を聞いた。 「近年、アメリカにおいてロックはメインストリームの音楽ではなくなってきていて、ロックバンドがストレートにロックを鳴らしても、それが大きな支持を得るような時代ではありません。また、日本においてロックは独自の進化を遂げていて、必ずしも本物志向の作品が売れるとはいえない状況です。そうした中でこの作品は、“2つの壁”を同時に越えたと言えるでしょう。まずひとつは、日本のポップミュージックシーンの壁。彼らが日本の音楽シーンからワールドスタンダードなロックを鳴らすようになったことは驚くべきことで、しかも単に古いロックを踏襲したものではなく、現代のアメリカに適応したサウンドを鳴らしています。それが顕著に表れているのがSleeping with SirensのKellin Quinnをゲストボーカルに迎えた『Paper Planes』で、曲単体で一聴しただけでは、誰も彼らの音だと判別がつかないくらいのポップ・ロックに仕上がっています。手探りではありつつも、躊躇なく古いものと新しいものを同時に取り入れている姿勢に感心しました。  もうひとつは、アメリカのポップミュージックシーンの壁。アメリカではすでにメインストリームではなくなったロックを、多くの人に届けるためにはどうしたらいいかというところまで考えて、ONE OK ROCKは今作を制作したのでしょう。実際、彼らのサウンドは海外でも支持を拡げています。前作『人生×僕=』でもサウンド面では世界水準に近づいていましたが、今作を聴いて、そのアティチュードの本気さに改めて気づかされた人も多いのではないでしょうか」  そんなONE OK ROCKの音楽は、日本のリスナーに洋楽ロックの魅力を伝えるきっかけにもなるのではないかと、同氏は続ける。 「日本ではメインストリームのJ-ROCKシーンにいながら、異質な存在だったのがONE OK ROCKです。そして今作では、日本のリスナーに洋楽の魅力を伝えるバンドに成長したのではないか。彼ら自身はそこまで意識はしていないでしょうが、音に説得力があるうえ、この作品を聴いて感動した人は、他の日本のロックバンドよりも洋楽のアーティストに興味を持つでしょう。そういう意味で、今作はリスナーの意識を海外に向けさせる重要なアルバムです」  また、ONE OK ROCKの今後について、同氏は次のように期待を寄せる。 「ONE OK ROCKは2014年にワールドツアーを行ったほか、2015年は4月から北米ツアーが決定しているなど、ライブ活動においては上昇気流の真っ只中にあります。そんな中で今回の作品を出すことにより、世界中でさらに多くのファンを獲得すると思いますし、北米を回ることでバンドとしてもさらに次のステージへ踏み出すと思います。LOUDNESSやBABYMETALのように、メタルという特別なフィールドで活躍した、または現在進行形で活躍しているアーティストはいますが、メインストリームの音楽として、20代の日本人ロックバンドがここまで活躍するとは誰も予想していなかった。だからこそ、今後も想像を超える活躍を期待してしまいますね」  今年は国内でアリーナツアーを行うONE OK ROCK。海外でアリーナ公演を行う日も、そう遠くないのかもしれない。 (文=編集部)
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ONE OK ROCK『35xxxv(初回限定盤)』(A-Sketch)

■リリース情報 『35xxxv』 発売:2月11日(水)  DVD付き初回限定盤:¥3,150(税抜) ※「Studio Jam Session Vol.2」収録 (「Mighty Long Fall」、「Decision」) 通常盤: AZCS-1041 ¥2,700(税抜) 【特典】 DVD付き初回限定盤スペシャルパッケージ ・Studio Jam Session Vol.2:「Mighty Long Fall」「Decision」のStudio Jam Sessionの映像を2曲収録 ・シークレットトラック収録 CD購入特典(初回、通常盤共通で期間限定)2015年開催のアリーナツアー先行予約抽選カード封入 収録内容: 01 : 3xxxv5 02 : Take me to the top 03 : Cry out 04 : Suddenly 05 : Mighty Long Fall <映画「るろうに剣心 京都大火編」主題歌> 06 : Heartache <映画「るろうに剣心 伝説の最期編」主題歌> 07 : Memories 08 : Decision <映画「FOOL COOL ROCK! ONE OK ROCK DOCUMENTARY FILM」メインテーマ> 09 : Paper Planes(featuring Kellin from Sleeping with Sirens) 10 : Good Goodbye 11 : One by One 12 : Stuck in the middle 13 : Fight the night ■ツアー情報 『ONE OK ROCK 2015 “35xxxv" JAPAN TOUR』 5月9日(土)、10日(土) 静岡:静岡エコパアリーナ 5月13日(水) 新潟:朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター 5月16日(土)、17日(日)  宮城:宮城セキスイハイムスーパーアリーナ 5月23日(土)、24日(日) 神奈川:横浜アリーナ 5月30日(土)、31日(日) 広島:広島 グリーンアリーナ 6月4日(木)、6日(土)、7日(日) 大阪:大阪城ホール 6月16日(火)、17日(水) 名古屋:日本ガイシホール 6月20日(土)、21日(日) 愛媛:愛媛県武道館 6月27日(土)、28日(日) 福岡:マリンメッセ福岡 7月4日(土)、5日(日) 北海道:真駒内セキスイハイムアイスアリーナ 7月11日(土)、12日(日) 埼玉:さいたまスーパーアリーナ チケット一般発売:5月9日~5月31日までの公演=4/18(土) 6月4日~7月12日までの公演=4/25(土) チケット料金:¥6,000(税別)

セカオワ、三代目JSBがカラオケチャートも席巻 ドラゲナイ現象&カラオケEDM旋風を読む

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SEKAI NO OWARI『Tree』(トイズファクトリー)

【リアルサウンドより】 参考:2015年2月2日~2015年2月8日のCDアルバム週間ランキング(2015年2月16日付)(ORICON STYLE)  今年の頭に書いた【2015年、セカオワ現象はどこまで広がるか? 2年半ぶりのアルバム『Tree』の射程距離】で手前味噌ながら完璧な予測をした通り、2010年代以降の若手バンドにとって大快挙となる50万枚突破に向けて順調にセールスを積み上げている(現在のところ40万枚突破)SEKAI NO OWARIが今週3位。もっとも、バンドにとっては大快挙であるその50万枚という数字に初週でいとも簡単に到達してしまったのが、今週1位の三代目J Soul Brothersの5枚目のオリジナルアルバム『PLANET SEVEN』ということになります。実はSEKAI NO OWARIと三代目J Soul Brothersは2010年デビューの“同期”。同じ“大快挙”でもバンド系とJ POP系の瞬発力の違いを見せつけられた感もあります。  今回注目したいのは同じオリコンチャートでも、アルバムチャートではなくカラオケチャート。というのも、2月9日付けの最新チャートで約10ヶ月ぶり(!)に大きな動きがあったのです。先週まで39週連続1位(!)を記録していた松たか子の「レット・イット・ゴー~ありのままで~(日本語歌)」を抜いて1位となったのは、なんとあの「ドラゲナイ」ことSEKAI NO OWARI「Dragon Night」。このオリコンのカラオケチャート、各カラオケ配信業者のチャートを集計して算出するため2週間ほど時差があるらしいですが、つまり2015年1月半ばにこの国では正式に「アナ雪現象」が終わって、「ドラゲナイ現象」が始まったというわけです。  これ、別に大げさに言ってるわけじゃないですよ。カラオケチャートというのはある意味でシングルチャートやアルバムチャートよりも正確に時代と大衆の需要を反映しているもの。ちなみに、昔はわりと頻繁に1位が入れ替わっていましたが、近年ではAKB48「ヘビーローテーション」が43週連続1位(!)、ゴールデンボンバー「女々しくて」が48週連続1位(!)、AKB48「恋するフォーチュンクッキー」が34週連続1位(!)と、いい加減「!」をつけるのも飽きてきましたが、同じ曲がほぼ1年近く1位を独占するのが常態となっているのです。このことが示しているのはたった一つの由々しき事実。「一般の人がCDを買ったり、新しい音楽トレンドを追ったりすることがなくなった」(=なので新曲を歌うという習慣がなくなった)ということに尽きるわけですが、なんとSEKAI NO OWARIはその土俵にまで上がってきたというわけです。  年頭に今年の「セカオワ現象」を華麗に予測した自分も、さすがにこの「ドラゲナイ現象」までは予測できませんでした。できるわけないって。そもそもこの曲、リリースされた昨年10月の時点では、レコーディングのためにアメリカに渡って、アヴィーチーなどの作品にも関わっている超売れっ子プロデューサー、ニッキー・ロメロにサウンド・プロデュースを手がけてもらった、その本格的EDMサウンドが話題となっていた曲。ちなみに今週のアルバムチャート1位の三代目J Soul Brothersの昨年のシングル「R.Y.U.S.E.I.」もEDM系のサウンドですが、こちらもカラオケチャートでは「Dragon Night」「レット・イット・ゴー~ありのままで~(日本語歌)」に続いて3位につけていて、虎視眈々と1位を狙っています。昔はカラオケといえば歌い上げる系のバラードが人気を集めていましたが、今やカラオケの場で求められるのはノリ。でもって、そこにずっぽりとハマったのが「Dragon Night」や「R.Y.U.S.E.I.」のEDMサウンドということなのでしょう。フェスで踊り、カラオケボックスで踊り、いつの間にか日本はクラブに行かない人々による“踊ってばかりの国”になったのです。 ■宇野維正 音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

indigo la Endは新しいルートで山を登るーーアルバム『幸せが溢れたら』の画期性とは?

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【リアルサウンドより】

バンドアンサンブルが紡ぐ組曲『幸せが溢れたら』

 indigo la Endの最新アルバム『幸せが溢れたら』は、バンドとしてネクストステップに進んだことが明確に感じられる作品である。その魅力を自分なりにまとめると、「メロディアスなギターに頼らないバンド感の強化」と「アルバム全体としてのストーリーの提示」の2点となる。  1点目のバンド感の強化については、アルバムの幕開けを飾る「ワンダーテンダー」に顕著だろう。イントロはギターのコードストローク1小節だけ。続くAメロで川谷絵音の歌声を支えるのは激しく動くベースラインと16分音符を刻むドラムのみで、アルバムの幕開けとしては珍しくリズム隊のグルーヴを前面に押し出したアレンジが施されている(これまでリリースされたすべてのアルバムとミニアルバムにおいて、1曲目のイントロには印象的なギターのフレーズが導入されていた)。また、8曲目の「花をひとつかみ」ではクリアなアルペジオによるBメロや音符を詰め込んだ歌唱がキャッチーなサビに対してAメロでは豪快なスラップベースがフィーチャーされているなど、作品全体を通じてベースの後鳥亮介が正式メンバーとして加入したことによる好影響が見て取れる。  2点目であるアルバムのストーリーという部分に関しては、4曲目「心ふたつ」から5曲目のポエトリーリーディング「まなざしの予感」を挟んで6曲目「実験前」に流れていく展開を作品のハイライトとしてあげたい。エモーショナルなボーカルとストリングスの組み合わせが壮大な「心ふたつ」は、若手のギターバンドの曲というよりは「J-POPの最前線で長年戦ってきた人たちの作品」と言われた方がしっくりくる仕上がり。この曲で表現される未練まみれのぐちゃぐちゃな感情は、続く「まなざしの予感」における男女の切迫したつぶやきにつながる。そして、そんな緊張感のある空気を切り裂いて始まる「実験前」のカオティックな演奏と普段よりも上の音域をいくボーカルからは、これまでのインディゴではあまりお目にかからなかったような不気味さも感じられる。もっとも、歌詞を見ると気持ちがざわついている男の意外なポジティブさが描かれていて少し安心するのだが。  様々な情景が展開されて辿りつく最後の曲「幸せが溢れたら」は3連符のアルペジオとコーラスが荘厳さを醸し出す1曲だが、この曲を聴いているときに「死ぬ前の走馬灯ってこういう感じなんだろうか」なんて思ってしまった。「エロスとタナトス」という考え方もあるが、恋愛に関する表現を突き詰めていくことで生死に関する問題に肉薄してしまう凄みが『幸せが溢れたら』というアルバムには秘められている。

「リア充」まで射程に捉えた失恋の物語

 川谷本人が語っているとおり、今回のアルバムが提示するストーリーを貫くテーマは「ラブソング」「失恋」である。今作の登場人物は、昔の恋人が缶コーヒーを飲んだ時に見せた苦そうな顔に思いを馳せたり(「さよならベル」)、「あなたを忘れない自信がある」なんていうちょっと怖い気持ちを垣間見せたり(「夜汽車は走る」)、さらには相手のことを思い出して泣きながら自転車に乗ったりする(「花をひとつかみ」)。  ロックバンドにとって、「失恋」というモチーフは必ずしも目新しいものではない。たとえば「好きなあの子に話しかけられない、話しかけられない間にいけてる奴にとられてしまった、あんなチャラい奴のどこがいいんだろう、悔しい」という類の「何も始まらないことを嘆いて悶々とする」タイプの失恋を歌うバンドはたくさんあるし、学校の風景が思い浮かぶような思春期の淡いすれ違いを描くバンドもいる。  『幸せが溢れたら』で描かれる生々しい失恋の痛みは、もちろん先に述べたような表現に接してきたリスナーにとっても想像できるものとして受け入れられるはずである。ただ、今作で注目すべきは、ここで描かれる失恋の世界に「恋愛にまっすぐ没頭していたカップル」の姿が見えることではないだろうか(「リア充」的な恋愛の光景と言ってもよい)。ヘビーな別離や未練の描写も、2人で向き合った時間があったからこそ生まれる。思いっきり恋をした瞬間と、思いっきり凹む瞬間。そこに変な自意識が入り込む余地はない。そんなピュアな感情の吐露がウェットなメロディに乗ることで完成する神々しい美しさは、「恋愛したいけど恋愛恋愛言いたくない、でも振り向いてほしい」というような屈折した視点からは決して生まれ得ないものである。

ゲスの極み乙女。とは異なるルートで山を登る

 西野カナや加藤ミリヤといった「失恋ソングの女王」から彼女たちをトレースしたような数多の歌手に至るまで、失恋をテーマにしたポップソングというのは一つの大きなマーケットを築いている。恋愛にまつわる情念がディープに(そして妙なこじらせ方をせずストレートに)表現されている『幸せが溢れたら』は、そういった音楽を聴いている層にもアプローチできてしまう可能性を持ち合わせている。今までロックバンドに興味のなかった人たちがこのアルバムに出会って「泣ける!」なんて言い出したら非常に痛快だ。  川谷のもう一つのプロジェクトであるゲスの極み乙女。は、「バンドシーン/フェスシーンで何をすると受容されるか」という問いを設定しながら自らのアウトプットを組み上げ、本人たちの想定を上回るような成果を得た。そのアナロジーで考えると、今回indigo la Endは『幸せが溢れたら』で「普遍的なポップミュージックのフィールドではどういう表現が望まれるか」という問いに対して回答を出したと言えるのではないか。ロックバンドという形式を維持しながらより広い世界を見据えたこの作品が、どんな形で浸透していくのか注視していきたいと思う。 ■レジー 1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題に。2013年春にQUICK JAPANへパスピエ『フィーバー』のディスクレビューを寄稿、以降は外部媒体での発信も行っている。 Twitter レジーのブログ レジーのポータル
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indigo la End『幸せが溢れたら』(ワーナーミュージック・ジャパン)

■リリース情報 『幸せが溢れたら』 発売:2月4日(水) 【初回限定盤】 WPCL-12033 ¥2,130(税抜) 【通常盤】 WPCL-12034 ¥2,800(税抜) ≪初回限定特典≫ 幸せが溢れるプライス2,130(税抜) W購入特典プレゼントキャンペーン応募専用シリアルコード②封入 [収録曲] 01.ワンダーテンダー 02.瞳に映らない 03.夜汽車は走る 04.心ふたつ 05.まなざしの予感 06.実験前 07.ハートの大きさ 08.花をひとつかみ 09.つぎの夜へ 10.さよならベル 11.幸せが溢れたら ※CDショップオリジナル特典は下記オフィシャルHPを参照 ■ライブ情報 ワンマンツアー「幸せが溢れたら」 2月20日(金)新潟 GOLDENPIGS RED STAGE 2月22日(日)札幌 BESSI HALL 2月27日(金)仙台MACANA 3月01日(日)金沢AZ 3月06日(金)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM 3月08日(日)福岡DRUM LOGOS 3月11日(水)長崎DRUN Be-7 3月13日(金)名古屋ボトムライン 3月15日(日)大阪 BIG CAT 3月17日(火)中野サンプラザ 3月20日(金・祝)赤坂BLITZ ※追加公演 ■official website http://indigolaend.com

サム・スミス、グラミー主要3冠受賞の背景 テイラー・スウィフト抑えて評価されたポイントとは?

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『2015 Grammy Nominees』(RCA)

【リアルサウンドより】  米音楽界最高の権威である『第57回グラミー賞』の授賞式がアメリカ・ロサンゼルスのステイプルズ・センターで現地時間8日夜(日本時間9日)に行われ、イギリスのシンガー、サム・スミスが主要4部門中、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀新人賞の3部門で受賞した。また、アメリカのロック・ミュージシャン、ベックが最優秀アルバム賞に輝いた。  テイラー・スウィフトやファレル・ウィリアムス、ビヨンセといった名だたるミュージシャンがノミネートされた今回のグラミー賞で、サム・スミスが3冠を獲得した背景について、音楽ジャーナリストの柴那典氏は次のようにコメントを寄せる。 「サム・スミスは今回のグラミー賞における大本命で、主要3部門での受賞は納得のいく結果でしょう。グラミー賞はアメリカで行われているものですが、最近では『第54回グラミー賞』でイギリス女性シンガーのアデルが主要3部門を、『第55回グラミー賞』でイギリスのフォークロックバンドのマムフォード&サンズが最優秀アルバム賞を受賞するなど、イギリスのミュージシャンによる活躍が目立っていました。また、ソウルフルな歌声でありながらポップセンスもあり、長らく大人に愛されるような洗練された音楽性は、グラミー賞で高く評価される傾向があります。サム・スミスの音楽は、それらの要素をすべてかね揃えていました。一方で、グラミー賞ではティーン向けと思われるような音楽性はあまり評価されません。テイラー・スウィフトは2014年でもっとも活躍したミュージシャンのひとりですが、今回、3部門にノミネートされたものの惜しくも受賞を逃したのは、近作でその音楽性をティーン向けのポップに振り切ったからかもしれません」  また、ベックが最優秀アルバム賞を受賞したことは、アメリカの音楽シーンに変化を生み出す可能性もあると、同氏は続ける。 「ベックのようにキャリアのあるロック・ミュージシャンが、主要4部門で受賞するのは久しぶりのことです。また、ほかの主要4部門のノミネートを見ると、ファレル・ウィリアムスやビヨンセのような、R&Bを基調にしたブラック・ミュージック系のミュージシャンが多く、その中ではベックは異色な存在と言っていいと思います。彼の6年振りの作品となる『モーニング・フェイズ』は、比較的大人しい仕上がりだったので、ここまで評価されるのは意外でしたが、それでも高いクオリティで作られた素晴らしいアルバムと言えるもの。今回のベックの受賞が、90年代オルタナティブ・ロックの再評価につながる可能性もありそうです」  そのほか、最優秀ダンス・エレクトロニカ・アルバム賞をエイフェックス・ツインが、最優秀オルタナティブ・アルバム賞をセイント・ヴィンセントが受賞するなど、さまざまなミュージシャンが名を連ねた今回のグラミー賞。恒例のコンピレーション『2015 Grammy Nominees』も発売されているため、日本でも受賞曲を耳にする機会が増えそうだ。 (文=編集部)

街中がパンクスで溢れかえるーー現役パンクロッカーのアメリカフェス出演体験記

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「FUN FUN FUN NITES」での筆者のバンド・FORWARDのライブの様子

【リアルサウンドより】  ハードコア・パンクバンド、FORWARDのボーカリストを務めるISHIYA氏が、自身の海外ツアー体験をもとに、その音楽シーンの違いや海外ならではの風習をレポートする本連載。第1回【一般家庭のリビングでライブも……現役パンクロッカーが米国ツアー最新事情を報告】では、アメリカと日本のパンクシーンの基本的な違いを、第2回【東海岸には禁欲的な“ストレートエッジ”のパンクスも 現役パンクロッカーが米国各地のシーンを紹介】では、アメリカのパンクシーンの音楽性を、第3回【菜食主義、シェアハウス、パーティ……現役パンクロッカーが見た、アメリカ・パンクスの生活】では、アメリカのパンクスのリアルな生活を紹介してきた。(編集部)  アメリカ体験談最終回となる今回は、アメリカのロックフェスティバルについて紹介していこうと思う。日本のロックフェスティバルと言うと、有名なのはフジロックやサマーソニック、エアジャム、ラウドパークなどがあるが、アメリカで筆者のバンドが出演したり体験したフェスは、日本のものとは違いがある。どのような違いなのか解説していきたい。  筆者は日本のフジロックやサマーソニックには行ったことがないのだが、エアジャムやヘヴィメタル系のフェス、幕張メッセやさいたまスーパーアリーナなどで単発に行われるようなフェスや、90年代の日比谷野音などのフェスには行ったことがある。筆者が行った近年の日本のロックフェスは、概ね大きな会場にいくつかのステージがあり、物販コーナーや食事が出来る場所などがあり、その他にも催しがあったりして、その場所で何時間も過ごせるようになっていた。フジロックになると、キャンプサイトがあったり、カジノやバー、クラブなどもあると聞く。  筆者が出演し体験したアメリカのフェスは、フジロックほど大規模なものではないが、今回出演したテキサス州オースティンで行われた「FUN FUN FUN FEST」は、今まで体験したアメリカのフェスの中でも一番大きなものだったので紹介したいと思う。

「FUN FUN FUN FEST」

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「FUN FUN FUN FEST」メイン会場では、ステージにこれぐらいの観客が集まる

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会場内にこのようなスケボーランプがあり、スケボーやBMXのプロがデモンストレーションを行ったりする。

 今回初めて体験した「FUN FUN FUN FEST」のメイン会場は、大きな公園のようなところで、Judas Priest、King Diamond、Jello Biafra(ex.DEAD KENNEDYS)、Dinosaur Jr.、Sick Of It All、Rocket From The Cryptのほかにも、3日間に渡り100バンド以上が出演していたフェスだ。4つのステージとフードコーナーや物販ブースがあり、昼間明るい間にはスケートボードのランプでスケボーやBMXが行われ、会場内の他にはプロレスのリングもあり、そこでは本物のプロレスが行われていた。  昼から始まるフェスはたくさんの観客で埋め尽くされ、各ステージで盛り上がるといった様子は、日本のフェスとそう大差はない。日本のフェスとの決定的な違いは、街全体がフェスになっているところだ。メイン会場は夜の10時頃に終了するが、その後「FUN FUN FUN NITES」というナイトショーが、前日からの4日間に渡ってオースティンの中心街13カ所のライブハウスで行われた。
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会場内にプロレスリングがあり、試合が行われる

 アメリカで体験したどのフェスでもだいたいそうなのだが、料金を払うとリストバンドが渡され、それをつけて各会場をまわるという方式だ。「FUN FUN FUN FEST」では布製のリストバンドで、一度装着すると切らないと取れないようになっている。それをつけているとメイン会場からナイトショーまで、「FUN FUN FUN FEST」のどのイベントにも行けて楽しめる。  メイン会場ではない「NITES」のイベントの会場でも、Sick Of It All、Rocket From The Cryptなどのメイン会場でやったバンドもライブをやり、「NITES」のみ出演するバンドでも、7 Seconds、Gorilla Biscuits、Negative Approach、PowerTrip、World Burns to Deathなどの錚々たるバンドが名を連ね、ほかにも約150バンドが4日間に渡り各ライブハウスでライブを行った。
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筆者のバンドFORWARDがやった「FUN FUN FUN NITES」の会場外の観客達。喫煙スペースがごった返している。

 筆者のバンドが出演したのも「NITES」で、400〜500人ぐらいは入る会場だった。ほかの「NITES」の会場も、100人規模のところから2つステージがあるところ、観客席が野外で三階まである会場など様々なライブハウスで行われる。  そんな中で、お気に入りのライブハウスや飲みやすいバー、美味いものがある店などが見つかったりすることもあるだろう。地元の人間と一緒に行けば、地元の人間しか知らないような店にも連れて行ってもらえたりするので、そういったこともアメリカのフェスでの楽しみのひとつだ。  こういった感じで4日間に渡り街中がフェス一色となる。街中のピザ屋やバー、地元の新聞などのいたるところでフェスの告知がされていて、フェスの期間中はそういった店や街角の屋台のような店も、フェスの客がたくさんいる。そんな店で友人やフェスの客と会ったりするのは日常茶飯事だ。そういった集客効果で街が潤うのかどうかわからないが、街全体でフェスを盛り上げていることが容易にわかる。基本的にアメリカのフェスはこういった感じが多いので、ほかに体験したフェスも紹介しよう。

「CHAOS IN TEJAS」

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CHAOS IN TEJAS最後のフライヤー。日本のハードコアパンクバンドFRAMTIDがメイン級の扱いのフェスだった

 2005年〜2013年まで同じくテキサス州オースティンで開催されていた「CHAOS IN TEJAS」というパンクのビッグフェスがあり、筆者のバンドもそのイベントに2回出演し、一度友人のバンドについて行っている。  このイベントもオースティンの街中に3〜4日間パンクスが溢れるというとんでもないフェスで、「FUN FUN FUN NITES」と同じような感じだが、出演バンドはほぼ全てパンクバンドであるところが特筆すべきフェスだ。日本からも筆者のバンドのほかにBASTARD、JUDGEMENT、WARHEAD、CRUDE、FRAMTID、SLANG、CROW、Origin of M、惡意、THE SLOWMOTIONS、SKIZOPHRENIA、REALITY CRISISなどの他にも多数のバンドが出演している。
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FUN FUN FUN NITESで一番大きい会場MOHAWKは観客席が野外で三階まである。「CHAOS IN TEJAS」ではメイン会場となっていたりする。MOHAWK観客席三階から見たステージ

 世界中から有名パンク・バンドが集まるフェスはイギリスで行われていた「HOLIDAY IN THE SUN」があったが、日本から出演したバンドは鉄アレイぐらいしかなく、その点を見ても「CHAOS IN TEJAS」は日本のバンドを必ず出演させ、中国からもBRAIN FAILUREが出演したことのある、真の意味でのワールドワイドなパンクフェスだった。  イギリスからもThe Damned、Cock Sparrer、BUSINESS、Cockney Rejects、Hard Skinといったパンクロックやスキンヘッズのバンドも出演し、Amebix、Subhumans、DOOM、Antisect、The Mob、FUKなどのハードコアバンドや、アメリカからPoison Idea、TRAGEDY、Los Crudosなどのほかにも多数のバンドが出演し、カナダ・ヨ−ロッパ・オーストラリアからも有名パンクバンドが毎年多数出演していた。  オースティン中心街にあるバーやレストラン、ピザ屋からホテルにいたるまで全てがパンクスで溢れかえり、一つのモーテルがほとんどフェスの観客のパンクスで埋め尽くされ、ホテルの各部屋でもパーティーが毎夜行われているような狂気のフェスであったが、惜しくも2013年で終わってしまった。
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CHAOS IN TEJASのアフターショーで行われた橋の上でのライブの様子

 「CHAOS IN TEJAS」では、メイン会場やほかの会場共に夜のショーのため、終わってからアフターショーと呼ばれるライブが夜中2時あたりから色々なところで行われる。橋の上だったり、ライブハウスであったりハウスショーであったりするが、終わるのは朝方4時〜5時と遅くなるため泥酔者も多数になり、メチャクチャな様相だった。その上朝9時ごろから湖のボートでライブが行なわれたりもするので、「CHAOS IN TEJAS」では休める暇がほとんど無かった。  筆者は実際「CHAOS IN TEJAS」に出演した2012年に、夜のメインステージ〜夜中のアフターショー〜朝のボートショーと17時間ほどの間で3回のライブを行ったこともある。
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「CHAOS IN TEJAS」ボートショーの様子

 ボートショーでは朝から50〜60人程が集まって来て、湖で二階建ての大きなボートに全員乗り込み、飲んだり泳いだりしているところで、水着姿の観客の前でパンクバンドのライブをやる。ステージが終わった後にそのまま飛び込む人間などもいて、非常に面白いライブだった。
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「CHAOS IN TEJAS2012」に筆者のバンドFORWARDが出演した時の様子

 他にもブレックファーストショーという、朝からやるライブなどもあり、フェスの間中オースティンはパンクのライブだらけになる。こういった色々なイベントがあり、3〜4日間パンクのお祭りとなる「CHAOS IN TEJAS」を毎年楽しみにしている人間は世界中にいたので、終わってしまったのが寂しい限りだ。

カナダ・トロント「NOT DEAD YET FES」

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カナダ・トロントの「NOT DEAD YET FES」のフライヤー。筆者のバンドFORWARDがメインアクトをつとめた

 今回初めて訪れたカナダで出演した「NOT DEAD YET FES」では、トロントの300人規模ぐらいのライブハウスをメイン会場として4日間で約70バンドが出演し、筆者のバンドがメインアクトをつとめさせてもらった。規模としてはそれほど大きなものではなく、アフターショーも街中全体でやるほどのものではなかった。しかし、メイン会場、アフターショーともにたくさんの観客が来ていて、初めてのカナダのパンクシーンを堪能した。  11月下旬のトロントは、夜になると気温-8℃を下回るぐらいになるためか、街中にフェスの客が溢れる程ではないが、街中を歩いているとカナダのバンドの友人にバッタリ出会ったりするぐらいではあった。  アメリカでもカナダでもそうだが、フェスや大きなライブが行われた後には必ずと言っていいほどアフターショーが行われる。メインで盛り上がった観客達が、帰るのが惜しくなるためにほかの会場でライブが行われるのだが、このライブがかなり盛り上がったりするので、もしアメリカのフェスに行く機会があれば、アフターショーは是非経験してもらいたい。  アメリカと日本のフェスにはこうした違いはあるが、日本の自治体や地域住民の音楽に対する理解をより深めて行けば、街ぐるみのフェスも可能になるかもしれない。音楽フェスティバルがより進化すれば、色々なバンドを知る良いきっかけにもなる。素晴らしいライブや音楽をやっていても無名なバンドなどは、こういったフェスがあればチャンスもひろがる。将来、日本でも街全体がフェスになるようなことを願っているが、この記事がそのために少しぐらいは貢献出来れば良いなと思う。  日本とアメリカの違いを、合計4回に渡りパンクシーンを中心に書いて来た本連載だが、世界はまだまだ広く、驚くことや素晴らしいことがたくさんある。今後はアメリカだけでなく、ヨーロッパやアジアにも行き、色々なものを吸収し、また紹介できたら幸いだ。乱筆・乱文を最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。 ■ISHIYA アンダーグラウンドシーンやカウンターカルチャーに精通し、バンド活動歴30年の経験を活かした執筆を寄稿。1987年よりBANDのツアーで日本国内を廻り続け、2004年以降はツアーの拠点を海外に移行し、アメリカ、オーストラリアツアーを行っている。今後は東南アジア、ヨーロッパでもツアー予定。音楽の他に映画、不動産も手がけるフリーライター。 FORWARD VOCALIST ex.DEATH SIDE VOCALIST