感傷ベクトルが予感させる、「音楽と物語の融合」の新たなフェーズ  さやわかが2枚組ベストを読み解く

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【リアルサウンドより】  感傷ベクトルが、7月1日に同人&ワークベストアルバム『one+works』をリリースした。感傷ベクトルは、別冊少年マガジンで連載中の漫画『フジキュー!!! 〜Fuji Cue’s Music』を連載するなどプロの漫画家でもある田口囁一と小説家・春川三咲を中心としたロックバンド。同作は、田口囁一が立ち上げた同人サークルで発表した作品のベストアルバムと、提供楽曲・歌唱参加楽曲を収めた作品である。ロックバンドであり、漫画家・小説家である彼らの作品は「物語と音楽の融合」とも評されるが、評論家のさやわか氏は、感傷ベクトルがそうした方法論をさらに先に進めていると分析する。(編集部)  感傷ベクトルは、田口囁一と春川三咲から成る2人組のユニット。バンドとしては、田口がボーカル、ギターその他の楽器そして作詞を担当しており、春川はベースということになる。しかし彼らはもともと同人誌でバンド漫画を描き、その作中に登場する音楽を音源化するような活動をしていた。また近年にも、やはりバンドをテーマにした漫画作品「シアロア」をウェブ連載し、更新のたびに1曲ずつ同作と連動した楽曲を公開していた。この漫画連載は後に単行本としてまとめられたし、楽曲もCDアルバム化されている。そしてそもそも田口は感傷ベクトルの活動とは切り離された場所においてすら漫画家として作品を送り出し続けており、また春川もしばしば脚本家としてクレジットされている。  こうした活動はたとえばメディアミックス的だと言われたり、あるいはニコニコ動画やボーカロイドなどを楽しむ若手に見られがちな「物語と音楽の融合」の一種であると言われたりもする。それは間違いではないだろう。しかし、そういうキーワードだけでまとめてしまうと、そもそも彼らがなぜこんなことをやっているかということは見過ごされがちになる。どうかすると、要するにこうした作品を作る者たちはメディアをまたがって商売の幅を広げたいのだと揶揄するように語られたりもする。

感傷ベクトル - 「one」クロスフェードムービー

感傷ベクトル - 「works」クロスフェードムービー

 彼らがやっていることを、メディア同士の分断された姿でしか把握できなければ、結局そうした言葉が出てきてしまう。しかし、もちろんそうではない。考え方を変えるべきだろう。彼らがやっていることとは、むしろ単に物語そのものなのではないか。90年代に多くのバンドが求められてきたのは、アーティストの内面を描くことだった。それはそれである物語の型に沿ったものではあったが、2000年以降になってBUMP OF CHICKENなどが台頭して、いま彼らがやったこととして振り返ることができるのは、アーティスト自身の考えが投影されているとしても、それとは別個の世界観や登場人物から成る物語に基づく歌だった。2000年代後半に登場した「物語と音楽の融合」あるいはメディア越境的に振る舞うミュージシャンたちは、この路線をさらに深めた者たちなのだろう。  だから感傷ベクトルにとって、音楽を作ることと漫画を描くこと、あるいは物語を書くこととは、彼らが描きたい感情や思想がまず情景として表れるもので、さらに言えばそれは映像的にイメージできるようなシーンや台詞から成り立っている。それがアウトプットされる先がどのメディアになるかという違いはあれど、彼らの表現がまずは物語そのものなのだというのはそういう意味だ。  しかし感傷ベクトルは製作ユニットというだけでなく、あくまでもバンドとして、場合によってはライブを行うことも考慮に入れたグループとして存在している。これも若手のクリエイターにとってはどちらかといえば自然なことで、彼らは物語として作られたものを積極的に身体を通して演じようとする。彼らの少し前の世代なら、物語性を重視する音楽ユニットはパッケージとして、あるいはプッシュ型のメディアに乗せて作品を送り出すことにこだわり、作り手の身体を現さないことも多かったのだが、いまその垣根は次第に破られつつある。それはルーズな出来事ではなく、物語を中心としてメディアが横断されていった結果、ついには身体を使った表現もそのバリエーションに加えられていくということなのではないかと僕は思う。  感傷ベクトルは7月1日に同人時代のトラックとコラボ楽曲を集めた2枚組のアルバム『one+works』をリリースしたが、まあこれは実質的にベスト盤的なものだと言っていいだろう。これはつまりそれぞれの楽曲が本来なら持たされていた物語から引き離されて、ひとまとめにされたということになる。そういうやり方もまた、物語を頑なにひとつのスタイルで送り出すことからの解放のように思える。つまり「物語と音楽の融合」は、単純にメディアミックスという言葉で片付けられるような段階を終え、新たなフェーズに入っている。それは音楽というものの、あるいは物語というものの位置づけの時代的な変化を感じさせるもので、感傷ベクトルの活動には端的にそれが顕れている。 (文=さやわか)
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感傷ベクトル『one+works』(ビクターエンタテインメント)

■リリース情報 『one+works』 発売:2015年7月1日(水) 価格:¥3,300(税抜) CD2枚組・全31曲 ※初回生産分のみ、2015年8月7日ワンマンライブ特別先行予約(締め切り7月12日) <DISC1> Dojin Best Album『one』 01 forgive my blue 02 Hide & Seek 03 表現と生活 04 孤独な守人 05 冬の魔女の消息 06 人魚姫 07 退屈の群像 08 深海と空の駅 09 blue 10 Tag in myself 11 ノエマ 12 none <DISC2> Works Best Album『works』 01 Kaleidoscope 02 残り香 03 夏の幽霊 04 レッドノーズ・レッドテイル 05 お宝発掘ジャンクガーデン 06 あやとり 07 フラワードロップ feat. IA 08 死神の子供達 09 フォノトグラフの森 10 ib-インスタントバレット- (full ver.) 11 ルナマウンテンを超えて 12 かつて小さかった手のひら 13 Call Me 14 I.C 15 地獄の深道 16 ルナクライシス 17 ラストシーン 18 sayona ra note 19 チルドレンレコード ■ライブ情報 「感傷ベクトル リリース記念ワンマンライブ "one+works"」 8月7日(金) 渋谷WWW http://www.sen-vec.com/

漢 a.k.a. GAMIが語る、ラップと日本文化の接点「ヒップホップはタテとヨコが混ざったナナメ社会」

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漢 a.k.a. GAMI

【リアルサウンドより】  鎖グループ代表、ヒップホップグループ・MSCのリーダーであり、日本語ラップを牽引するラッパー・漢 a.k.a. GAMIが6月末に初となる自伝本『ヒップホップ・ドリーム』をリリースした。手書きのリリックと共に綴られたのは、売春婦と警察と不良がうごめく新宿ストリートで育った漢 a.k.a. GAMIの「ヒップホップ哲学」である。浄化されていく東京、ラッパー達との出会い、ビーフ、ストリート・ビジネス、そこで語られたのは、リアルな証言からなるヒップホップシーンのドキュメントでもあった。漢 a.k.a. GAMI独自の視点で見る、インテリと問題児、地方と東京、日本とアメリカカルチャーの交わり、さらに宣戦布告のように暗部を暴いたかつての所属レーベル・Libra Recordsとの関係について迫った。(姫乃たま)

「俺の友達には、笑えねえ育ちの奴も多い」

――本書には、ホームレスや売春婦がひしめく街の様子や、問題を抱えた同級生など、漢さんが育った当時の新宿周辺の様子が収録されていますが、中でも、小学5年生の時に警察に連行された際、一緒に取り調べを受けた同級生が、自分の名前の漢字を知らなかったエピソードが衝撃的でした。漢さんが「これはゲトーだ」と確信するに至った出来事でもありますよね。 漢 a.k.a. GAMI(以下、漢):あの話が一番衝撃だし、俺の周りの環境を分かってもらいやすいと思った。俺の友達には、本人は笑うしかないから笑って話すけど、周りからしたら到底、笑えねえなって育ちの奴も多い。貧しい地域だと普通なのかもしれないけど、都会で話すと浮いてしまうかもしれないから自粛してるだけの人もいっぱいいると思うね。 ――半年ほどかけて数十時間に渡るインタビューをされたそうですが、未収録の話で思い入れのあるものはありますか。 漢:こぼれ話って言ったら……書けない話だけだね。いまはまだ載せられないって感じかな。 ――しかし、載せられなさそうな話まで、実名などの固有名詞を包み隠さず書かれているのが印象的でした。登場する方に許可は取っていないのでしょうか? 漢:うん。そう言われて、どんどん焦ってるところ。自伝ってそういうもんだと思ってたから。んふふふ。フルネームの固有名詞を上か下だけにしてみたけど、オタク系の人とか、インターネット得意な人は、すぐわかっちゃうんでしょ。みんな友達だから大丈夫だろうけど、小学校の同級生が大丈夫かなってくらい。でもまあ、(本人たちは)嬉しいだろうなーって。

「キングギドラなんか超ナナメってて、ラッパーなら誰でもため口でいいよって」

――挑発のつもりで渡したMSCのデモ音源に合わせて、首を振りながら「イエーー」と声をかけてきたZEEBRAさんとの初対面の思い出も素敵なエピソードでした。お二人ともチーマー文化を経ている世代ですが、ZEEBRAさんが体験していた90年代初頭のチーマー文化は、漢さんの世代(90年代後半)と異なって、経済的に豊かな若者に支えられていたそうですね。 漢:元々のチーマーは、青山とか私立学校の子達だった。お小遣い100万とか200万とかもらって、女をナンパして。インテリから始まった集団だけど、武闘派にも通じる不良が中にはいて、俺らの世代の原型になるものはあったね。俺らの頃は逆に、貧しい子とか、片親の子とか、問題児が権力を手に入れていった。俺はセンター街に繰り出してまでチーマーやりたくなかったけど。 ――ヤンキー文化も平行していたんですか。 漢:あれは日本文化だから、なくなりはしないっていうか。東京にいなくても、地方にはずっといるだろうし。ただ、渋谷は特殊で、ロン毛の奴が三段シートに乗ったりしてた。組織の中のルールはあるだろうけど、スタイルにルールはなかったみたい。 ――地方と言えば、東京で活動していた漢さんが、ラップによって地方のBボーイと不良たちに認められていく過程も興味深かったです。やはり地方と東京では文化が異なるのでしょうか。 漢:俺は地方に行かないで東京にずっといたら、この街がどんなもんか狭い経験から決めつけちゃってたと思う。東京はなんでもありだけど、地方では言葉(の重み)が活きてくる。地方から東京に出てきた奴は、仲間になったように話していた奴が実はそうじゃなかったり、日常会話が悪口に聞こえたりすることもあるだろう。それでよく分かんなくなったり、病んでしまったりするんだろうけど、東京ではそういう言葉の使い方が意外と当たり前だったりする。だから言葉の重み一つとっても違うよね。けど、根本の部分では同じだとも思う。地元で出来ないことは東京でやんないほうがいいし、東京のやつも東京で出来ないことは地方でやんないほうがいい。 ――地方を知ることで東京を知ったように、自分の領域を理解するために他文化を知ることが、漢さんのヒップホップ哲学に繋がっていると思います。同じく、アメリカのヒップホップカルチャーを「ナナメ社会論」として、日本文化に翻訳しているのは的確だと思いました。 漢:「ナナメ社会論」は、俺だけじゃなくてZEEBRAも考えてた。日本文化はタテ社会で、小学校の時は○○ちゃんのお兄ちゃーんって感じで呼んでた人が、中学に入ると急に「おい、先輩って呼べよ」とか言ってくる。えーって思いつつ、高校に入ってから先輩って呼ぶと、「おい、“さん”だろうが」って言われる。分かりやすい話だよね。でもヒップホップは職人の世界と一緒で、入った瞬間に今までのキャリアがなくなって、上下関係に年が関係なくなる。年下の先輩もいれば、君付けで呼ぶ年上もいる、タテとヨコが混ざったナナメ社会。キングギドラなんか超ナナメってて、ラッパーなら誰でもため口でいいよって。俺はDABO(注:漢より3つ年上)とはビーフから関係が始まってるからため口だしね。 ――インテリと問題児、地方と東京、日本とアメリカ、いろんな交わりがありますが、どこにいっても通用する、ラッパーとして守るべきルールはありますか? 漢:基本的に常識的なことを守ってれば大丈夫だと思うけど、ヒップホップなのになんで普通の奴と同じ振る舞いしないといけねえんだよって態度はアリだと思う。ただ、そのせいで痛い目に遭う可能性もかなりある。

「Libra Recordsを牽制する意図はない」

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漢 a.k.a. GAMI『9sari』(鎖GROUP)

――かつて所属していたLibra Recordsとのビーフは現在進行中だと思いますが、インディーズレーベルが増えているいま、事務所となあなあな関係になってトラブルに発展するアーティストは今後も増えていくかと思います。今後の裁判の展開によっては、ヒップホップだけでなく音楽業界全体にも影響を与える事例になりそうですが、本書に1000万という額面が出てくるように、普通の感覚とは桁が違いますね……。 漢:そうだね。裁判を起こすことになって調べてみたら、俺だけでなく、アーティストも従業員にも契約書はなかった。従業員に関しては、給料明細もないし、労働条件通知書もない。 ――本書は、ラップでビーフしてきた漢さんが、社長に対する宣戦布告として出版されたものかと思ったのですが、牽制する意図などはありますか。 漢:ないですね。裁判より書籍(を作り始める)のほうが先だったし。本も自分の証言だけだから、証拠としては弱すぎる。デタラメ言えちゃうから。世間に対して公にしたぞ、というくらい。 ――Libra Recordsからのアプローチは? 漢:ないですね。弁護士通してやりとりしてるんで。俺はああいう会社があること自体はいいと思う。ブラックで、なあなあで。それが経営者として間違いとは言い切れないし、そこに納得してる人(アーティスト)ならいいと思う。ただ、友達とか身内だったら、違うんじゃないのって思うだけで。

ヒップホップで食えるっていうのを社会に証明していく

――ビーフの展開も気になるところですが、漢さん自身は出版後どういった展開をお考えですか。 漢:今年に関しては予定がもう決まっているし、何年か先までのヴィジョンは出来てる。この本はいろんなことのきっかけになってくれるかなとは思ってるけど、とにかく欲を言えば理解されなくても良いから、いろんな人に読んでほしいね。せっかく出したから。とりあえずは会社で稼いで、みんなに飯食わせることを考えてる。 ――鎖グループを結成してからの手応えは? 漢:結成して1年が経った時に、みんなが早いなって言ってたんで、充実してたのかなと。この後は、ヒップホップで食えるっていうのを社会に証明していく感じかな。そうじゃないとやってる意味がないから。 ――漢さんにとって成功とは、どんなものですか。 漢:100%本気出せることですかね。いま20%くらいなので……夏までに10分の5くらいまでいければ……。 ――改めて、漢さんにとってのヒップホップを教えてください。 漢:自分で作った自分の中のルール。ラップ、ダンス、DJ、グラフィティっていうのは誰でもできることだから、趣味がなくてつまんない奴とかに触れてほしい。 (取材・文=姫乃たま)
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漢 a.k.a. GAMI『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社)

■書籍情報 『ヒップホップ・ドリーム』 著者:漢 a.k.a. GAMI 企画・構成:二木信 版元:河出書房新社 発売日:2015年6月24日発売予定 定価:予価1500円(税別) 判型:46判並製 ページ数:208ページ 【目次】 INTRO 第1章 新宿ストリート育ち ごくごく普通の家庭/叔父の会社の倒産/田舎の思い出/新宿の街に救われた/小五で初めて警察の世話になる/ゲトーとストリート 第2章 ピリつくキャンパスライフ 新宿区立西戸山中学に入学/不良の世界でイキがるつもりはなかった/堀越学園に入学/一触即発/親父との同居生活/俺はド不良ではない 第3章 MC漢の誕生 MC漢の誕生/ラップは俺に向いてる「いいアイテム」/MSCのメンバーとの出会い/ルールのないマイク・バトル/人生で唯一ハマったのがアメフトとラップ 第4章 二十歳で迎えた人生の分岐点 MS CRU結成/親友のTABOO1を病院送りに/B-BOY PARK初出場/佐藤将との出会い/LIBRAの社長との出会い 第5章 どん底から這い上がれ 襲撃事件/アジト生活で形成したオリジナルMS思想/プロ・デビュー/心の闇というリアル/B-BOY PARK優勝とストリート・トラブル 第6章 日本語ラップの新地平 自信が揺らいだ『MATADOR』/オリジナル日本語ラップの誕生/DABOとのビーフ 第7章 マイクロフォン・コントロール 「UMB」始動/日本語ラップの深化/ギャングスタ・ラップ論 第8章 アンダーグラウンド・コネクション BOSS THE MCとの出会い/ANARCHYとの出会い/ナナメ社会論/新宿STREET LIFE 第9章 これはビーフだ、ガッツリ食うぜ LIBRAの暗部/「UMB」の舞台裏/これはビーフだ、ガッツリ食うぜ 第10章 黒い噂が渦巻く〈氷河期〉 黒い噂/ドーナツ化現象とLIBRAとの決別/氷河期突入/鎖グループの立ち上げ 終章 ヒップホップ・ドリーム
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鎖グループ・ロゴ

■関連情報 ・鎖グループ公式ホームページ http://9sari-group.net/ ・現在『UMB』開催中。 http://www.umbjapan.com/ ・GOKU GREENアルバム制作中。 https://www.youtube.com/watch?v=EqY7bTWFMjI

Charisma.comが語る、新作『OLest』と会社勤めの危機「OLコンセプトは今回が“最高で最後”かも」

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【リアルサウンドより】  エレクトロラップユニット・Charisma.comが7月8日、メジャーデビューミニアルバム『OLest』をリリースした。MCいつかの巧みなラップとDJゴンチの操るエレクトロサウンドを武器に支持を広げる彼女たちだが、普段はMCいつかが雑貨メーカーの事務、DJゴンチが精密機器メーカーの事務で働く「OL」でもある。今作『OLest』は、そのOLとしてのキャラクターをあえて前面に押し出したアルバムだ。今回行ったインタビューでは、二人の音楽的原点から、毒とユーモアが絶妙に配分されたリリックの形成過程、さらにメジャーデビュー後も会社勤めを続けるその活動スタンスまで、幅広く語ってもらった。

「『歌っていうよりラップだね』って言われて自覚した」(いつか)

――まずはCharisma.comが結成されるまでの経緯から聞かせてください。いつかさんはそもそもどのようにしてラップと出会ったのでしょうか? MCいつか(以下、いつか):大学の時にバンドを組んだのが私の音楽活動の始まりで、私はボーカルをしていたんです。その時、自分では歌を歌っていたつもりだったんですけど、メンバーのドラムの子に「いっちゃん(MCいつか)のは、歌っていうよりラップだね」って言われて。そこで自覚しました。「あ、これラップか」って。 ――では、それまでは自覚的にラップをやっていた意識はなく。 いつか:全然ないです。すごい歌ってる気でいました。その時は自分で曲を書いてはいなかったんですけど、与えられた曲もラップではなく歌だったんで。歌い上げてる、くらいのつもりでしたね(笑)。でも、……様子が違ったようです。そこから日本語ラップを聴くようになって。もう解散してしまったんですけど、Astroという4MC、2DJ、1トラックメイカーという編成のグループに心を奪われて。それこそサウンド的には今のCharisma.comがやりたいような方向のグループだったんです。その人たちから日本語ラップを掘っていくようになりました。 ――ゴンチさんと二人でやることになったいきさつは? いつか:最初は、シンガーの女の子と私の二人組で活動していたんです。ここに女の子のDJとか入ったら絵的に面白そうだねってなって。その時に、ゴンチは全然DJではなかったんですけど、……時間がすごくありそうだったから(笑)。かつ、ゴンチのお兄ちゃんがDJだったんですよ。だから機材が家にある、これはいいと思って声をかけました。 ――もともとDJではなかったゴンチさんは、誘われた時にどんな反応を? DJゴンチ(以下、ゴンチ):「楽しそう!」みたいな(笑)。もともと中学・高校と部活が一緒で。その部活のノリみたいなので、「やるやる!OK!」みたいな感じで返事しました。 いつか:その三人のグループが解散した後、別のシンガーの女の子を入れたんです。だから本当は、Charisma.comは三人組だったんですよ。でも、そのシンガーの子が留学でイギリスに行っちゃって二人になったんで、じゃあまあこれで行こうか、と。それで現在に至る感じです。 ――Charisma.comは1MC+1DJというスタイルですが、ヒップホップ畑に寄っていくという感じでもないように見えます。ご自身の中で、Charisma.comがどのジャンルだという位置づけはされていますか? いつか:全然、意識してないです。「ポップス」だとは思ってます。でも、あんまりジャンルにこだわりがなくて。これまでも、格好いいと思うものだけを聴いてきたという感じで。しかも聴いてきた幅が、すごい狭いんですよ。「この曲が好きだ」ってなったら、もう一週間毎日、その曲をずっと20回くらい再生するみたいな。 ――聴いてきた音楽はお二人とも全然違いましたか? いつか:中学・高校の頃は一緒でした。聴いてたのは、「ヒットチャート」ですね。 ゴンチ:カラオケで歌う曲、みたいな。 いつか:カラオケでは小柳ゆきさんとか、MISIAさんとか。ディーヴァ系の曲を、自分では歌えてると思って歌い続けてました。 ――その頃はもう、ヒットチャートにラップを取り入れた曲も入ってきている時期ですよね。カラオケでラップの曲を歌ったりはしていたのでしょうか。 いつか:それは全然ありました。友達とカラオケに行った時に、ラップパートだけ早送りされちゃうのがもったいないなと思ってて。そのラップパートを重点的に歌ったりしてましたね。BENNIE KさんとかSOULHEADさんとか、途中でラップが入る曲のラップパートを力強く歌ってました(笑)。 ゴンチ:もう、マイクはいっちゃん(MCいつか)に渡す感じでした。ラップの部分は誰も歌わないんですよね、やっぱ。歌う人っていったら、いっちゃんって感じで。なので、ラップを始めたと聞いても、別にびっくりしなかったのは覚えてます。
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「Charisma.comでの私は『格好つけてるね』って言われた」(いつか)

――Charisma.comの作品について伺います。Charisma.comのリリックは毒のある詞と紹介されることも多いですが、単なる毒舌ではなく「お手柄マフィア」「生意気ハンティング」(「お局ロック」より)など、語句の組み合わせ方に独特の個性があります。そのスタイルはどのように生まれたのでしょう。 いつか:そういう言葉を作る部分は、バンドをやっていた時に影響を受けたんだと思います。ギターの子が全部作詞作曲をしてたんですけど、歌詞がまったく意味わからなくて。「これ、意味解からなくて全然覚えられないんですけど」って言ったら、「いや、意味があるんだよ」って喧嘩になったり。「横浜ソース」とかそういうタイトルの難解な詞で。でも、読んでみて歌ってみたら、(そういえばわかるかも……)となっていって衝撃を受けたんですね。そういうのが今の自分の歌詞につながっている気がします。 ――誰かに毒を浴びせるような詞のテーマも、書き始めた頃からあったものですか? いつか:最初の頃は違いました。Charisma.comの前のグループでは、愛だの恋だの言ってましたね。私はCharisma.comを始めるちょっと前くらいから、メリヤス♀という名前でソロ活動をしていて、メリヤス♀の時に日本語ラップやヒップホップの方々と曲を作る機会を与えてもらったんです。「この野郎」って思うことに対して歌詞を書くというのは、その時に受けた影響があると思います。 ――メリヤス♀名義で出されている楽曲も詞のモチーフは今につながっていますが、Charisma.comの方がより具体的にテーマが絞られている印象です。メリヤス♀とCharisma.comとで、作風を使い分けるという意識はありますか? いつか:最初の頃は全然なかったんです。それこそサウンド面の話だけで、ヒップホップ的なトラックに乗せるのがメリヤス♀、四つ打ちのバキバキしたサウンドに乗せるのがCharisma.comと考えてやっていました。ただ、Charisma.comを知っていただくにあたって、「わかりやすい方がいいよね」という意見をいただくことも多かったですし、自然にそういう立ち位置になっていった感じがあります。Charisma.comではより明確に、という意識はありますね。 ――毒のある詞に対してCharisma.comのトラックはポップなものが多いと思いますが、そのコントラストは意識的につけているのでしょうか。 いつか:そうですね。ちょっといなたい感じのゆっくりしたトラック、黒いズブズブしてるようなトラックは、Charisma.comでは選ばないようにしています。 ――もともとメリヤス♀の方は、どのような意識で活動をされていたんでしょう? いつか:メリヤス♀では、とりあえずスキルを磨きたかったんです。その世界に憧れがあったから。あと、単純に嬉しかったんですよね、そういうかっこいい人たちと音楽が作れるっていうのが。特に意識してなかったですけど、メリヤス♀では私の素の部分が一番出てる気がします。Charisma.comだとちょっと誇張したり、本当にわかりやすいように毒を吐くみたいなのを意識してる感じです。 ――今のCharisma.comをヒップホップシーンの人たちに、こんなふうに聴いてもらえたらということは考えますか? いつか:そんなに考えてないですね。格好いいなとか、良いねって言っていただけたらすごい嬉しいですけど。……きっと好きじゃないと思う。でも、Charisma.comでの私は「格好つけてるね」って言われたことがあります(笑)。「普段のいつかちゃんじゃないよね。メリヤス♀の方が普段だよね」って。確かにそうだよなって。格好つけてると思います。格好つけようと思ってやってるし。 ――原点にはいわゆるヒットチャートを聴いてきたという経験があるわけですが、Charisma.comの音楽を届けたい場というのはどこでしょう? いつか:今はヒットチャートと言っても、性質が違うじゃないですか。私たちがチャートをみて「この曲いいね」って言ってた時代と違うから、そこを目指してるというとちょっと違う気がするんですけど。でも、お父さんとかお母さん、おじいちゃんとかおばあちゃんの世代にも認知されると嬉しいなと思います。 ――お二人のご家族は、Charisma.comの曲は聴かれるんですか? いつか:うちはお父さんがすごい熱心で。「今回の作品は、最初あんまりだと思ったんだよな」とか言われますね(笑)。「やっちゃったなーと思ったんだよ、俺。でも何回も聴くといいな」とか言われますね。失礼だよ!って。 ゴンチ:うちも、お父さんもお母さんも聴いてくれてます。こないだ親の車を借りた時に、エンジンをかけたらCharisma.comのCDが入ってて、いきなり爆音で流れたのがちょっと恥ずかしかった(笑)。「こんがらガール」が好きだってお父さんは言ってました。 いつか:曲を作ると一番最初に、それこそゴンチよりも先にうちの妹に聴かせるんです。妹はEXILEさんとか、全然違うジャンルが好きで。そういう人がCharisma.comを聴いた時にどういう反応なのかなっていう指針になるんです、妹が。 ――それこそポップスとして広いフィールドに向けた時の反応を見る。 いつか:そうです。「これはあんまりじゃない?」とか、普通に言われます。「全然良くない!」「……まあまあ、だね」とか。メリヤス♀のことはすごい嫌いですよ、妹は(笑)。「こういうの好きじゃないんだよ!」とかいって、全然聴いてくれないです。
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「『働いてます』よりも『OLです』って言ったほうがインパクトが強い」(ゴンチ)

――今回リリースされた『OLest』は、トータルイメージとして「OL」をこれまで以上に強く打ち出していますね。 いつか:OLであることが売りになるとは思ってなかったんです、最初は。それこそ、他で働きながら音楽をされてる方はいっぱいいますし。 ――メリヤス♀でも「OL」モチーフのリリックは書かれてますよね。 いつか:むしろメリヤス♀の方が先でした、働いてましたし。ただ、Charisma.comでは「二人ともOL」っていうところが世間的にキャッチーっぽいというのを、去年までですごく感じたんです。音楽よりも「OLである」ということについて、インタビューやラジオなどでも聞いていただくことが多くて。それってつまり、そこが注目されているんだなと。そこをフィーチャーしてもらったので、今回はその流れに乗らせていただこうということで、全部OLを連想させる曲を作りました。 ゴンチ:たぶん、普通に「働いてます」って言うより「OLです」って言ったほうが、インパクトが強いのかなって。音楽やりつつ働いてる人はたくさんいるじゃないですか。でも「OLです」って言う人たちがあんまりいないのかな。私たちが「OL」っていうのが、耳に響きやすかったのかなと思います。 ――その方向を強く打ち出すことに違和感はなかったですか? いつか:うーん、これといってOLであることにこだわりがあるわけでもなく、ないわけでもないので。そういう流れを組んでいただいたのなら、乗ってみるのもありかなっていう。それでCharisma.comが広がるんだったら、全然押し出していきますという感じです。 ――『OLest』のリード曲「お局ロック」や「こんがらガール」などはオフィスをモチーフにした攻撃型の楽曲ですが、そればかりでなく「アラサードリーミン」のように優しく寄り添うタイプの楽曲もあります。このバランスもはじめから考えていたことですか? いつか:あまり意識はしてないんですけど、やっぱり全部聞いて最終的に「わかる!イライラする!まだイライラする!」って、イライラが残る作品は嫌だなと。イライラはするけど、客観的に見たら全部ギャグだよねみたいな。結果、それも充実してるじゃん、面白いよねって思えるようなアルバムだといいなと思ってたので。あと、まあ7曲に1曲くらいは優しい気持ちになります(笑)。「やりすぎた!」みたいな。 ――攻撃的なリリックの中にも、「軽くコマネチで紛らわす」(「こんがらガール」より)のようなユニークな描写がありますね。まさに今言っていた「ギャグだよね」という、攻撃性が嫌味にならない絶妙な空気が生まれているように思います。 いつか:まあ、怒るっていうのはすごい疲れるじゃないですか。だから、ちょっとふざけたいみたいな気持ちはあります。 ――また、目上の人に対して刺すようなリリックもあれば、一方でそういう目上の人に対して「大変だよね、わかるよ」みたいな目線のものもあります。 いつか:歳とったなって思いました、自分で。目上の人に対して、「何だこの野郎」って思えなくなってきてる。この人にはこういう考えがあって、だからこういうことを言ったりするんだよねー……(笑)、っていうのが見えてきて。じゃあ今度、自分より下の子にはどうやって伝えてあげたらいいんだろうな。同じやり方で自分がやられたようにやると反発される。私も反発をしていたから。でも言わなきゃいけないことはちゃんと伝えなきゃいけないし、みたいな。なんとも言えない状況ですね、今。 ――では歳を重ねて、Charisma.comが多くの人に聴かれることで、考え方が変わったり書くものが変わったりということはありますか? いつか:それはないですね。内容が変わることは今のところない。ただ、やっぱりいろんな方にサポートしていただいていて、半端な気持ちじゃやれないっていうのがあるので、結果をちゃんと出さなきゃなと思っているので。内容は同じであったにせよ、多くの人に聞いてもらえるような、わかりやすいものであった方がいいなと今は思っています。 ――トラックは四つ打ちのポップなものが印象的ですが、トラックが変わっていくという可能性は? いつか:それはあります、大いに。全然もう、四つ打ちも飽きてきてますね、なんと(笑)。これからはニュージャックスウィング的なのとかやってみたいですよね。ディスコ!みたいなのとかもやりたいし。いろいろ挑戦してみたいですね。 ――ライブやMVでは、ダンスを含めてパフォーマンスで絵面を華やかにするということを意識されているように見えます。 いつか:意識してますね。サウンドがすごいバキバキしてたりテンポが速かったりしてるのに、棒立ちで突っ立って歌ってるのを見て誰が楽しいんだと思ってるので。動いたりというのは、できる限りするようにしてます。 ――「HATE」のMVでは黒いシルエットのダンサー、「イイナヅケブルー」MVでは合唱団、今回の『OLest』収録の「お局ロック」ではスーツのビジネスマンというように、趣向を変えつつダンサーとのパフォーマンスが続いています。これはお二人のアイデアとして常にあるものですか? いつか:ダンサーさんとやりたいとは常に思ってます。できればライブでもやりたいですね。今年、『TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2015』に出させていただいた時に、12人のダンサーに一緒にステージに立ってもらってパフォーマンスすることができました。「イイナヅケブルー」の時の合唱団は、監督の発案ですね。「HATE」と「お局ロック」はちょいちょいこちらからイメージを伝えさせてもらいながら作りました。三作品とも振付は違うんですけど、ダンスの監修は黄帝心仙人さんにお願いしています。 ――ビジュアル面でいえば、今回は衣装もOLコンセプトが強いですね。 いつか:そうです。『ショムニ』を意識しております。 ――そのコンセプトは『OLest』以降も続きそうですか? いつか:いや、もう、すぐやめちゃいます(笑)。すぐ気分変わっちゃうんで。OLコンセプトは今回が「最高で最後」くらいの意識で全面的に出しました。この先は「こないだと全然違うじゃん」みたいなものを、いろいろやっていきたいんですよね。それが通るかはわからないですけど。
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「最近はちょっと仕事に支障が……」(ゴンチ)

――メジャーデビュー後も、会社勤めは継続されるということですが、その活動スタンスはお二人の中で自然なものなのでしょうか? いつか:いや、正直今もギリギリです。会社も仕事でやっている限りは責任が取れなくなったらもう居られないっていう意識があるので。なんとも言えないですね。できる限りっていう。 ――そのことについてお二人の間で相談したりしますか? いつか:全然しないです。それぞれ別の会社なので。どっちかっていうと会社の社長に相談しますね。次は7月にアルバムが出る予定です、とか。最近は向こうから聞かれますね。「じゃあ、いつ忙しくなるんだね」とか。好きなことをやっている方がなんか面白いじゃんっていう感じの社長なんですよね。ハワイの会社なんですけど、私以外の人はみんなフラダンスをやっていて、趣味だけれども本気レベルが高い感じで。それを会社が理解している、みたいなところなので。 ――ゴンチさんの方も理解してもらっている感じですか? ゴンチ:そうですね。幸い私は9時~17時であんまり残業とかない職種だったので。夕方以降は活動できる時間はあったので、その範囲でやってれば全然何も言わない感じだったんですけど。まあ最近はちょっと支障が……。迷惑かかっちゃってるなと、ちょっと申し訳ない気持ちでいっぱいなんですけど。 いつか:クビって言われちゃうかもしれないし。「ちょっとちょっと」って呼ばれたらもう終わりです。 ――OLであることは、音楽活動を続ける上ではアイデンティティとしてすごく大きなものではない? いつか:まあ今、大きいものではないって言ったら嘘ですけど、すごいこだわっているわけではないです。そもそも、別物だと思って始めているので。 ――Charisma.comとして、この先の長期的なビジョンは考えたりしますか? いつか:ビジョンはないんですよね、あんまり。今までもそうやって、ビジョンが見えずに来ちゃってるんで。ただ、とりあえず全力でやりたいなって常に思ってますけど。先を変に読んだりすると、「ダサくなった」とか言われる世の中じゃないですか。結果、何も考えてない時が一番格好よかったとか言われると、それはそれで腹立ちますし。なので、……ちゃんと考えながら、でもふざけていたいですね。 (取材・文=香月孝史/写真=下屋敷和文)
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Charisma.com『OLest』

■リリース情報 『OLest』 発売:7月8日(水) 価格:¥2,000+税 <CD収録内容> 1.やれよ。 2.お局ロック 3.マメマメBOYがさつGIRL 4.アラサードリーミン 5.ダリぃだらりん 6.こんがらガール 7.超絶に胸が痛んでいるあなたの上司 8.黄昏各位 iTunes Storeでは『OLest』の予約注文もスタート iTunes アルバム購入者限定のボーナストラックとして「イイナヅケブルー」の MIX音源「イイナヅケブルー LUUxOOR HARDest MIX」も収録決定 iTunes ■ライブ情報 『MOSHI MOSHI NIPPON FESTIVAL 2015 in PARIS』 日程:2015年10月3日(土)、4日(日) 場所:フランス/パリ Le TRIANON チケット情報:後日発表予定 出演者:CAPSULE、中田ヤスタカ(CAPSULE)、BOOM BOOM SATELLITES Charisma.com、TEMPURA KIDZ and more (全出演者出演日未定) 『OLest リリースワンマンツアー2015「No more ZANGYO!!」』 日程:10月9日(金) 場所:心斎橋Music Club JANUS  OPEN 19:00/START 19:30 INFO:清水音泉 06-6357-3666( 平日 12:00~17:00) 日程:10月12日(月・祝) 場所:名古屋ell.FITS ALL OPEN:17:30/START 18:00 INFO:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100( 全日 10:00~18:00) 日程:10月18日(日) 場所:福岡Queblick OPEN:17:00/START 17:30 INFO:キョードー西日本 092-714-0159( 平日 10:00~19:00, 土 10:00~17:00) 日程:10月23日(金) 場所:恵比寿LIQUIDROOM OPEN 18:30/START 19:30 INFO:DISK GARAGE:050-5533-0888( 平日 12:00~19:00) チケット先行先着申し込み中 「OLest」発売記念ミニライブ&サイン会 日程:7月11日(土) 場所:タワーレコード新宿 日程:7月12日(日) 場所:タワーレコード梅田NU茶屋町店 日程:7月18日(土) 場所:名古屋パルコ 日程:7月19日(日) 場所:キャナルシティ博多 Charisma.com インストアイベント詳細 ■関連リンク Charisma.com オフィシャルサイト Charisma.com公式LINE @charismacoms

EXILE松本利夫・USA・MAKIDAIがグループに残したもの 彼らのパフォーマンスはどう継承される?

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EXILE公式HP

 EXILEの松本利夫、USA、MAKIDAIの3名が、2015年内をもってパフォーマーを卒業する。  所属事務所LDHは、オフィシャルサイトなどを通じて「この度、EXILEのパフォーマーとして活動している松本利夫、USA、MAKIDAIの3名が 今年限りでEXILEのパフォーマーを卒業する旨を発表致しましたのでご報告申し上げます」と発表。EXILEのパフォーマーとしてEXILEのステージに立つのは今年で最後となりますが、 今後もEXILEのメンバーということに変わりはありません」とし、今後については「松本利夫は舞台を中心に演者としての活動の場を広げるべく、劇団EXILEで『松組』を立ち上げ、USAはライフワークでもある『DANCE EARTH』でダンスが持つ可能性や素晴らしさを世の中に伝え、MAKIDAIは新たな『PKCZ』という場で『DJ MAKIDAI』として、よりクリエイティブな活動も考えています」と表明している。  今回の発表は、グループをより発展させ、3人のキャリアを積み上げるにあたり、前向きなものである。しかし、ファンの反応の大きさから、この人がいかにグループにとって大きな存在だったかも同時に伺うことができる。では松本利夫、USA、MAKIDAIがEXILEやEXILE TRIBEに残したものは何なのだろうか。EXILEをはじめ、LDH周辺を長く追ってきた音楽ライター・中西英雄氏はこう語る。 「USA、MAKIDAI、MATSU(松本利夫)の3人の安定したパフォーマンスは、EXILEの功績を語る上で避けては通れないかと思います。USAの芸達者な踊りはEXILE本体のダンスの標準スキルを向上させ、MAKIDAIはDJ業や俳優活動、MATSUは『MATSUぼっち』などの舞台で新たなファンを取り入れた。特に初期メンバーである彼らは、根っからの“現場(クラブ)あがりの叩き上げダンサー”という共通項があり、EXILEがここまでビッグになったこと、三代目やGENERATIONSといった弟分グループが確実に成長していること……そう考えると、HIROさんがEXILEを引退した時点で、3人のメンバーも一つの区切りを感じ、近い将来の引退を決めていたのかもしれません」  また、そのなかでも、MAKIDAIのDJ活動はEXILEリスナーへの影響力も大きいという。 「特にMAKIDAIの〈DJ MAKIDAI〉名義での活動は、EXILEファンのライトユーザーに、『僕らはこういった音楽で育ってきた』という教科書的な役割を果たしてきたのではないでしょうか。毎週末のようにクラブへ出向くコアなヒップホップ/R&Bリスナー向けではありませんが、そうした音楽への“入口”を作るのはとても大事。そういった意味でも、MAKIDAIのDJ活動は、ファンをダンスミュージックの深みへと誘う役割を担ったのではないでしょうか」  最後に、同氏は3人のパフォーマンスが後輩たちに継承されていると述べた。 「EXILE本体はもちろんですが、ライブなどに足を運ぶと三代目のすさまじい人気に驚きます。ボーカルの登坂広臣、パフォーマーの岩田剛典はグループのみならず、LDH全体を牽引していくでしょうね。また、ELLYの飛び道具的な活躍にも期待しています。また、個人的にはGENERATIONSの(関口)メンディーを応援しているので、彼にはLDHの縦社会を無視してでも、自由に羽ばたいてほしいと願っています」  第四期もスタートし、変革の時を迎えるEXILE。後輩たちも順調に育つなか、3人の今後の展開にも注目したい。 (文=宮澤紀)

ビクター・デジタル部門の新レーベル「AndRec」は何を目指すのか? レーベル長・今井一成氏に聞く

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AndRecレーベル長・今井一成氏

【リアルサウンドより】  ビクターエンタテインメントが設立した新レーベル「AndRec」から、注目の第1弾アーティストが本格デビューを飾る。すでに史上初の“ハイレゾ配信デビュー”を飾って話題になっていた、シンガーソングライター・丸本莉子。デビュー作の『ココロ予報』の通常配信が、7月8日にスタートする。  AndRecは、ビクターエンタテインメントのデジタル配信部門が独自に新設したレーベル。同部門は自社音源や映像のスマートフォンやPC向け配信業務の中枢を担い、SNSを中心とするデジタルプロモーション等で、アーティストをサポートしてきた。ビクターエンタテインメントは自社でハイレゾ・高音質音源配信サイト『VICTOR STUDIO HD-Music』の運営にも力を入れており、高い歌唱力を持つ丸本莉子が、レーベル第1弾アーティストに選ばれている。  レコード会社の一部門から新設されたAndRecは、どのようなレーベルを目指し、音楽業界に何をもたらすのか。また丸本莉子を第1弾アーティストに選んだ背景とはなにか。AndRecレーベル長である今井一成氏にインタビューを行った。サザンオールスターズの「TAISHITAレーベル」や、斉藤和義、くるり等が所属する「スピードスターレコーズ」を中心に、同社で長いキャリアを持つ氏は、レーベル設立の経緯をこう振り返る。 「音楽レーベルにおいては、事業の中心をパッケージからデジタルマーケットに移行する時期ではないかと考えています。レーベルにはやりたい気持ちを持つ人はたくさんいますが、その多くがどう進んでいいかわからない。それだったら、最初から“デジタル側”の人たちがトライしたらどうなるだろう、というところからスタートしています。私は制作の宣伝部門とパッケージの営業、デジタルの現場を経験して、パッケージとデジタルの両方の良さをわかっている中で、新しくレーベルをやったらどうなるんだろう、という興味が一番大きかったですね。もちろんパッケージを軽視しているつもりはなく、丸本莉子も9月にはCDでミニアルバムをリリースしますし、音楽を楽しむツールならなんでも対応しようと思っています」  AWAやLINE MUSIC、Apple Musicなど次々に音楽の新しいデジタル配信サービスがスタートしているなか、音楽を生み出す側のレーベルにおいてもデジタルマーケットへの移行が加速する可能性もありそうだ。もっとも、同氏は日本におけるデジタル音楽市場を分析しつつ、「完全な形でスライドをするには、すごく時間と手間がかかる」と話す。 「デジタル系の評論家には『ヨーロッパだとこう、アメリカだとこう成功している。日本はなぜやらない?』という方もいますが、そもそも日本にはパッケージビジネスを大切にしてきた文化があります。例えばアメリカで見かけなくなったタワーレコードも、渋谷や新宿には大型のタワーレコードがあり、時々写真を撮る外国人を見かけます。ある国では消滅していっても、ある国の文化の中では重用されるべきものもあるんです。日本は独自のスタイルで音楽マーケットを作っているわけで、海外で成功したものが必ずしもウケるわけではない。ユーザーの進化に合わせてデジタルにスライドしていかなければならないと考えますが、パッケージに愛着を持つ人、パッケージビジネスを崩したくないと考えている人がいるのも事実。『こういうやり方ができるんですよ』ということを少しずつわかってもらうのが大事だと考えています」  技術や視聴環境の変化よりも「ユーザーの変化」に着目する今井氏。特に10代の若い世代について、「これから2~3年で生活スタイルが激変する世代で、彼らがどんな風に音楽を聴くのか、ということを考え、音楽のセールスのあり方を進化させなければ」と語る。 「10代の子供達の2~3年は、われわれのような大人の2~3年とは大きく違います。これからスマホやPCを持つという子も多いだろうし、売り方はもちろん、そのマーケットに、一緒に考えながらアプローチできるアーティストを発掘することも重要なんです」
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 一聴しただけで強い印象を残す歌声と、共感を呼ぶ歌詞。最新のトレンドであるハイレゾ配信にも映える丸本莉子は、まさにそんなアーティストだったという。 「とにかく、彼女の歌詞の世界と歌声を聴いてもらいたい。そこにピントを合わせたくて、現在公開しているショートバージョンのミュージックビデオには、ライブ映像の横に歌詞を入れています。ハイレゾ配信に関しては、彼女の特徴的な声を引き立たせる狙いがありました。もっとも、本人はハイレゾについてほとんど知らなくて、急遽ハイレゾ勉強会を開きましたが(笑)。でも、アーティストは曲を作り続けてくれれば、それでいい。音楽の売り方が変わっても、創作の本質は変わらないですから」

丸本莉子 - ココロ予報(Music Video)

 ハイレゾ配信はあくまで、丸本莉子の魅力を最大限に活かすための取り組みであり、今後AndRecからデビューするアーティストにおいては、それぞれの特性にあったアプローチを考えているそうだ。今井氏は、「すべてのアーティストをデジタル側の視点から見て、こうあるべきだ、と結論づけるつもりはない」という。その上で「ただひとつだけ」と、最後に語ってくれた。 「必ずしもSNSに限った話ではありませんが、どのアーティストも情報発信を積極的にやってほしいという思いはあります。AndRecでも、当然アーティスト育成から力を入れていきますが、本人が話したり、書いたりというアプローチを積極的にしていくことで、いろいろなデジタルツールを使ってもっと面白いことができると思うんです。“レコード会社が売るのは音楽だけ”なんて定義は、どこにもない。さまざまなアイデアを実現して、これからのレーベルのあり方を示しながら、これぞAndRec、というイメージを構築していきたいですね」  新時代のシンガーソングライターとして、高いポテンシャルを秘めた丸本莉子と、デジタル&アナログの両面から最適なプロデュースを考え抜き、今後も驚きを与えようとするAndRecというレーベル。両者が音楽シーンにどんな影響を与えていくか、今後の作品とその動きに注目したい。 (文=編集部/撮影= 石川真魚)
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■リリース情報 1st配信シングル「ココロ予報」(ハイレゾ配信) 発売日:2015年6月10日(水) 価格:デビュー記念・期間限定価格 ¥250(税抜) 1st配信シングル「ココロ予報」(通常配信) 発売日:2015年7月8日(水) 価格:¥250(税抜) 【iTunes URL】 https://itunes.apple.com/jp/album/-/id1011717765 【レコチョク URL】 http://recochoku.jp/song/S1001850961/ 【mora URL】 http://mora.jp/package/43000005/VE3WA-17465/ ■GYAO! MUSIC LIVEにて丸本莉子のスタジオライブが生配信決定 丸本莉子 LIVE at Victor Studio 『一本勝負!!』 日時:2015年7月16日(木)20:00~ 視聴はこちら(GYAO! MUSIC LIVE TOPページ) http://gyao.yahoo.co.jp/music-live/

日本人は「演歌のリズム感」から脱却したか? コンサートの手拍子について考えた

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【リアルサウンドより】  日本の音楽リスナーのリズム感って、すさまじく変化したんだなあ。  と、実感した出来事があった。昨年の暮れ、2014年12月16日&17日に横浜アリーナで行われた星野 源のライブ、その2日目=17日の方でのことだ。  本編全22曲中の21曲目に「夢の外へ」をやったのだが、その時、超満員のオーディエンスほぼ全員のハンドクラップが、ちゃんとスネアの位置に入っていたのだ。  いわゆる「裏」ということになるのか。「夢の外へ」は、「♪スッタンスッタン」というドラムの、とてもテンポが速い曲だ。うちのBPMカウンター付きCDJで再生してみたところ、平均BPMは113前後(中盤の3拍子になるところを除く)。これ、半分で計測しているから、2倍にすると226くらい、ということになる。  そんな速い曲なのに、その「♪スッタンスッタン」のうちの「スッ」じゃなくて「タン」の方で手拍子を打っているのだ、横浜アリーナをびっしり埋めた1万数千人が。全体にすっごくいいライブで終始ステージに釘付けになっていたのだが、この時ばかりは星野 源よりもお客さんの方に感心してしまった。  日本人は、表でリズムをとりたがる民族である。そしてそこが、日本人がロックに向かないことを表す、もっとも重大なウィークポイントである。  というのが、僕が中高生の頃の、高尚っぽい音楽雑誌や音楽評論家の決まり文句だった。あ、「高尚っぽい」というのは、のちに僕が勤めることになるロッキング・オンではありません。ロッキング・オンはそのあたりのことは一切言わない雑誌でした。もっと音楽論とか技術論とかの方面に強い雑誌や評論家の方です。  曰く、洋楽アーティストが来日公演を行った時に、まず最初に愕然とするのがそこである、と。表と裏でいうと表、キックとスネアでいうとキックの位置でハンドクラップを打たれる、その事実に英米から来たバンドは驚き、日本人との間にとてつもない溝を感じる、と。そもそも表でリズムをとるのは演歌や民謡のセオリーであって、日本人の身体にはそのリズム感がもう拭い難く染みついていると。だから日本人はロックなんか無理なんだ……。  思い出しつつ書いてるうちに「おまえ何人なんだよ」と言いたくなってきたが、まあロックに限らず、映画でも小説でもなんでも「海外ではこうなのに日本では違う、だから日本はダメなんだ」みたいなもの言いが多かった気がする、1980年代あたりまでは。  戦後すぐの生まれで、アメリカにカルチャーショックを受けながら育った世代がそういうことをよく言ったり書いたりしていた。作家でいうと景山民夫とか。で、その著作をすべて買っていた僕のような田舎のガキが、読んでいちいち怯えたり、気を落としたりしていたのだった。「そうか、日本人はダメなんだ」と。不健康な時代だったんだなあと思う。逆に「日本はこんなにおもしろい」みたいなテレビ番組だらけな現在も、それはそれで不健康な気がするが。というか、現在の方がさらに不健康か。  話がそれたので戻します。  その「リズムを表で取る」クセは、当然、曲のテンポが速ければ速いほど顕著になる。で、当時、そういう「高尚っぽい」雑誌を読んでいるロックファンはごく一部だった。そしておそらく「そんなの読まなくても裏でリズムをとることが身についている」という人なんて、もっとごく一部だっただろう。 そうすると、どういうことになるのか。音楽に普通な興味しかない人はまだしも、バンドをやっている高校生や大学生でさえ、平気で表でリズムをとったりしちゃう、という事態になるのだ。ドラムスクールとか行ってる子は別だが(ヤマハの先生とかって必ず「裏を感じろ」って言うし)、普通にバンドスコアとか買ってきてコピーしてるような子は特に。  ちょっと速い曲のイントロが始まる。ヴォーカルの子、客席をあおる意味で両手を挙げてハンドクラップを打ち始める。それが思いっきり頭の方に入っていて、彼の後ろのドラムの小僧、「ああっ、恥ずかしい! これは恥ずかしい!」と叩きながら顔から火が出るような思い(実体験です)──というようなことが、アマチュアレベルでは、おそらく日本中で起こっていたのだと思う。プロのバンドは、さすがにそんなことはなかっただろうが。 それがいつから変わり始めたのか、いかなる過程を経て進化したのか、明確なところはわからないが、こうしてふり返っていくと、現在の「ロック・バンド四つ打ちだらけ現象」が、なぜ起きているのかわかる気がしないだろうか。  そうだ。四つ打ちには表も裏もないからだ。いや、ほんとはあるんだけど、とりあえずキックとスネアの両方で、ハンドクラップを打つなりリズムをとるなりすればいいのが、あそこまで受け入れられ、爆発的に広まった理由ではないか。  最初にやったのはくるり、それを広く一般に広めたのはASIAN KUNG-FU GENERATION、そしてそれを聴いて育った世代が今その最前線にいるバンドたちだと僕は思っている(※あくまで僕の私感です)。 それだと単に「表と裏を意識しないですむ」ってだけじゃん。それじゃ進化しないじゃん。とあなたは思うかもしれない。しかし、たとえばくるりの“ワンダーフォーゲル”にしろ、アジカンの“君という花”にしろ、ダンス・ミュージックの王道パターンにのっとって、ハイハットはちゃんと裏に入っているわけで(いわゆる「♪ドンチー、ドンチー」のリズムです)、それが「裏がある」ことをリスナーの耳に意識させ、やがてそれが肉体化していき──というふうに進化していった、と考えられはしないか。  もちろんくるりやアジカンだけではなく、それ以前からテクノやハウス等のダンス・ミュージックが広く聴かれるようになったことなどの影響も大きいし、というか彼らもそこから影響を受けてバンドに取り入れたわけだし、そんな大ざっぱに断言していい話じゃねえよ、という気もする。  するが、たとえば、90年代中期にブレイクしたAIR JAM一派の活躍が、ここまで書いたようなリズム云々のことをリスナーに意識させ……みたいなことは、考えにくいだろう。ハイスタの“Stay Gold”とか、「ちゃんとスネアのとこで手拍子入れなさい」と言われたら僕も不可能だし、速すぎて。  とりあえず、「みんな頭でリズムをとる」80年代から、「『夢の外へ』くらい速い曲でもきっちりスネアに手拍子を入れる」2014年へと日本人のリズム認識を進化させたのは、ダンス・ミュージックと、それを取り入れたロック・バンドと、さらにそれに影響を受けた若い世代のバンドたち、ということでいかがでしょうか。なんだ「いかがでしょうか」って。 もちろん、音楽ファンがみんな星野 源のお客さんレベルになっているわけではない。ライブハウスは別にしても、横浜アリーナや東京ドームクラスのアーティストになると、「ハンドクラップが表にきちゃう」の、現在でもわりと見受けられる。が、たとえば今最前線にいる四つ打ちロックバンドや、それこそ電気グルーヴやBOOM BOOM SATELLTESのようなダンス・ミュージックに寄ったバンドだけではなく、星野 源のような音楽性のアーティストのファンも、ちゃんとそのリズム感を身につけているのはおもしろいなあ、と、強く印象に残ったのでした。 今、書いてから思った。電気やブンブンのお客さん、ハンドクラップとかしねえよ。 というのとは関係ないが、この間、ちょっとおもしろい体験をした。 フラワーカンパニーズに「真冬の盆踊り」という曲がある。ステージの上も下も一緒になって「♪ヨッサホイ ヨッサホイ ヨッサホイのホイ」と、まさに盆踊り状態で踊りまくり歌いまくる、ソウル・フラワー・ユニオンから先鋭性をさっぴいて土着性を倍にしたような、「己のダサさにビビらないバンド」フラカンならではの強力な1曲で、10年以上の長きにわたり、アンコールの定番となっている。最近では、忘れらんねえよがライヴで拝借していることでも、おなじみだったりする。 6月28日、フラカンの『Stayin’Alive』ツアーのファイナル@沖縄・桜坂セントラルを観た。で、アンコールでこの曲をやって、オーディエンス大喜びで踊りまくり歌いまくる──といういつもの光景が展開されたのだが、ひとつ、「いつもの」じゃないところがあった。 踊るお客さんたちの手。みんな、カチャーシーの形なのだ。 さすが沖縄、と、唸りました。終演後、ギターの竹安も、「あれすごい光景だったねえ! びっくりしたわ」とうれしそうだった。星野 源の例もそうだし、このフラカンの例もそうだけど、何か、我々の認識よりも、オーディエンスの肉体や直感の方が先を行っている気がします、現在って。 ■兵庫慎司 1968年生まれ。1991年株式会社ロッキング・オンに入社、音楽雑誌の編集やライティング、書籍の編集などを仕事とする。2015年4月にロッキング・オンを退社、フリーライターになる。現在の寄稿メディアはリアルサウンド、ロッキング・オン・ジャパン、RO69、週刊SPA!、CREA、kaminogeなど。 ブログ http://shinjihyogo.hateblo.jp/ Twitter https://twitter.com/shinjihyogo

モーモールルギャバンが明かす活動休止の真実、そして迷いからの脱却「音楽がスポーツになってしまっていた」

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【リアルサウンドより】  モーモールルギャバンが、6月24日にアルバム『シャンゼリゼ』をリリースした。同作は、2014年5月にライブ活動無期限休止を宣言し、2015年3月に再始動した同バンドの記念すべき復活アルバムだ。従来通りのサイケデリックなアプローチは健在だが、これまでのどの作品よりもアレンジは必要最小限に、ゲイリービッチェ(ボーカル・ドラム)の歌を強調したものに仕上がっている。今回、リアルサウンドではメンバー3人にインタビューを行い、活動休止期間に起こった変化やアルバムのコンセプト、バンドシーンへの問題提起などを大いに語ってもらった。

「自分の思考回路を徹底的に断捨離しました」(ユコ)

――今回の作品を語るにあたり、外せないのは「活動休止からの復活」というトピックです。改めてライブ活動休止に至った経緯と、復活までに経験したことを教えてください。 ゲイリー・ビッチェ(以下:ゲイリー):単純に制作に専念する余裕がなくて。10年ぐらい突っ走ってきたので、このタイミングにしっかり向き合おうと思いました。 ユコ=カティ(以下:ユコ):別に深刻なミーティングがあったわけでもなく(笑)。休止前最後のツアーが終わった後は、しばらくそれぞれ自分のことをやっていました。連絡も一切取り合わない期間が4〜5カ月ほどありました。 T-マルガリータ(以下:マルガリータ):僕は「一回ライブ休止に入ったからにはスパッと離れてみようかな」と思い、ベースを触らない期間がしばらくありました。 ――アルバムのコンセプト・構想はどこから? ゲイリー:活動休止してからというもの、週8ペースで飲み歩いては「俺は何をやっているんだろう」という思い、沸々と湧いてくるメロディを紡ぎ続けていて。その時期を「制作」って呼んでしまうと世の真面目なミュージシャンから怒られてしまうと思うんですが、結果的にそうなりました。だからCDのサンプル盤が出来上がった時は、真っ先に飲み屋に送りました。 ――飲み歩いたり、奔放な生活をすることであえて自分を追い込んでいた側面もありますか? ゲイリー:僕という人間は、「楽しむ」ということに対してちょっと罪悪感を持ってしまう気質でして。ミュージシャンというのは『ドラゴンクエスト』でいえば「遊び人」で、それがいくら「勇者」や「戦士」になろうとしてもなれない。遊び人はどこまでいっても遊び人だから、そんな自分の書く詞を説得力のあるものに転換するしかないんですよ。だから欲求に忠実に生き続けつつ、世の中には何かしらの貢献をしたいと思っていて、その感情が『シャンゼリゼ』というアルバムに現れています。 ――アルバム自体はキャリアの中でも一番シンプルで、変化球を入れながらも歌が前に出ており、スッと入ってくるような印象でした。これまでの作品で言うと『BeVeci Calopueno』に近いものを感じていて。制作手法は以前と変わらずゲイリーさんの弾き語りですか。 ゲイリー:最近のデモ作りではドラムも入れるようにしています。歌と歌詞に関しては、自分の書きたいものがちゃんとそのまま形にできましたが、ドラムとコード進行は、ユコさんが全部アレンジで変えたので原型が残っていません(笑)。普通はぶっ壊されるとストレスが溜まるものですが、彼女はストレスにならない形で、清々しくぶっ壊してくれました。 ユコ:そんなことないよ、守るものは守ったよ(笑)。 ゲイリー:土足で踏みにじられることが許されるのって、長くやっているバンドメンバーだけだと思います。何が相手にとっての地雷なのかを把握して「じゃあここは従おう」と判断したり、「そこのメロディは頼むから変えないで」と譲れない部分は伝えていました。これまでみたいに不毛な喧嘩がなかったぶん、作業自体はすごくスムーズで建設的に進んだ気がします。単純に年を食って大人になったし、週8で飲みながら作ったデモだからこそ、アーティスト気質を持たずに「もしよろしければ、料理していただけますか…」と謙虚に向き合えたのかなと。 ――これまで通りのメッセージ性は込めつつ、結果的にちょうどいい力の良い抜け方になったと。 ゲイリー:そうですね。プロになってから、頭がガチガチに凝り固まって「あれもやんなきゃ…これもやんなきゃ…」と、積み上げることしか頭になかったので、快楽主義的な生き方は良い影響を与えたと思います。
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ユコ=カティ

――ユコさんは、アレンジでどのようなことを意識しましたか? ユコ:これまでの作品でもずっとアレンジを手掛けてきましたが、休止前くらいの時期から、自分が好む音やフレーズがすごく見えづらくなっていました。自分の中に摩擦がずっとある感じで、それがすごくフラストレーションになって。私も休止中はあまり楽器に触らなかったのですが、その代わり自分の思考回路を徹底的に断捨離しました。『シャンゼリゼ』の制作に入った頃には、デモを聴いて様々なアレンジが浮かんでくるぐらいポジティブな思考回路になりましたし、アレンジはゲイリーから「ここはこうだけど、あとは好きにして」という形で託してもらったので、楽しく料理していました。私はレコーディングに入ると、現場で色んな人の意見を聞きすぎてブレてくるという悪い癖があるのですが、今回は「ブレない、ブレない」と呪文みたいに言い聞かせながらやっていました。 ゲイリー:結構ブレてたよ(笑)。ホントこの人、急かすとすぐ怒るんですよ。全然地に足はついていなかったし、いつもどおりバタバタだったよね。強いて言うなら、前作より5パーセントぐらい地に足は着いてたけど、安定のユコ=カティでしたよ。 ユコ:うそ!? まぁ…終わってしばらくしたら「そうでもなかったな」と思ったけど…。 ゲイリー:でも、先ほど「『BeVeci Calopueno』と通ずるものを感じる」と初めて言われてビックリしたのですが、この作品って実は『BeVeci Calopueno』を作った時とまったく同じ作り方に戻したものなんです。 ユコ:私もびっくりした! ゲイリー:あの作品はメジャー1stフルアルバムだったこともあり、気合も入っていましたが、やりたいことを詰め込みすぎて、お互いの持ち味を殺してしまったという反省もあった。出来ないことをやろうとしすぎて、スベってる感覚もありつつ、我々らしい作品として愛せるアルバムになったのが『BeVeci Calopueno』だったんです。そこからプロとしてやっていくなかで、自分の詩に全然自信が持てなくなって、人の意見を取り入れたらもっと分からなくなって、曲の作り方もメロディの書き方も見失う時期があって…。でも、「好きっていう気持ちを、プロとしての消費に耐えるレベルに上げないとダメだ」ということに気づいて、必死で向き合ってきたんです。休止を通してちょっと肩の力が抜けたタイミングで『BeVeci Calopueno』と同じ作り方をしたら、自然と各々が今の自分をしっかり把握して、無理のない形で融合させることができたので、今までで一番、完成した時の達成感はありました。 ユコ:『BeVeci Calopueno』では、私の指示が2人に伝わりにくかった部分もあると思うんです。アレンジにおいてどういう意図を込めてやっているかが伝わってなかった。 ゲイリー:ユコ=カティ語が理解できるようになったのは、ここ最近の話ですよ。スタジオでも「もっとブワッとした…エッジがあって強くて…大きいやつだよ!」なんて指示されて何回も戸惑いましたし。 ユコ:関西のおばちゃんみたいだよね。「あそこをピッって入ってグーって行ったら着くから」って道案内する感じ。でも、色んなチャレンジを経たことで、言葉にせずとも個人個人の好みや刺激してはいけないポイント、向き不向きが分かるようになった。だからこそ『BeVeci Calopueno』に愛着を持ちつつも、どこかにあった「もうちょっと突き詰めたかった」という部分が形にできたように思います。 ――各々が自分のできることと、要求されるレベルのバランスが取れるようになったんでしょうね。 ユコ:今までは少し背伸びしていたよね。 ゲイリー:バランスは取れるようになったけど、130点の作品を完成させる気持ちじゃないと80点のものはできないから、背伸びするのは仕方ないよ。でもそれがストレスになって、「音楽を作るってハッピーな作業なのに、なんでこんなに煮え切らない顔をしているんだろう」と考えたこともあるけど。 ユコ:そんなこともありつつ、コミュニケーションの賜物なのか、今回はいつもより平和的というか、笑いが多い現場にはなりました。音にものびのび演奏していた感じが出ていると思います。

「ちゃんと歌うことが音楽だと改めて実感しました」(ゲイリー)

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ゲイリー・ビッチェ

――今回の作品制作にあたり、3人は上京してきたわけですが、そのことが作品に影響している部分はありますか。 ゲイリー:デモがひと通り完成したタイミングで上京して、アレンジ作業とレコーディングは東京で行いました。影響は……個人的にはあまりないかもしれません。 ユコ:私はあるかも。関西にいた時は実家だったので、環境の変化も大きかったし、なによりそれがリフレッシュのひとつになった。「次の作品で自分の持ち味を出せなかったとか言ったら許さないぞ」というくらい自分を律していたので。 ゲイリー:ぶっちゃけると、休止前はユコ=カティとT-マルガリータにとって音楽はお仕事に、僕にとって音楽はスポーツになってしまっていましたから。今回のアルバムを通じて、音楽が音楽であることを取り戻しました。 ユコ:私もロジカルに考え過ぎて、音楽のどの辺が好きだったのかよくわからなくなって。活動休止してもライブには全然行けなくて、唯一行ったのが『SUMMER SONIC 2014』のQUEEN。その時は涙が止まりませんでしたし、「音楽が好きなんだ」という感覚をパンっと取り戻しました。 ゲイリー:僕も同じくQUEENのライブが大きかった。そもそも休止後はずっと音楽を聴けていなかったんですが、街の雑踏でイヤフォンをしてQUEENを聴き始めたら、涙が止まらなくなりました。「ヤバい恥ずかしい、帰ろう」と思って、すぐ家へ引き返すくらい泣いたんですけど、結果としてサマソニまで足を運んで、ライブもちゃんと観ました。人のライブを観てあんなに嗚咽混じりで泣いたのは、後にも先にもあれっきりでしたね。その後は気軽にcinema staffとか、友達のライブを観に行けるようになりました。 ――それぞれが「音楽と向き合った」結果として、先日の復活ライブなどにはどのような影響がありましたか? ゲイリー:さっきの「音楽がスポーツになってしまった」というのは、僕にとってはライブの盛り上がりがまさにそうで。ドラムも原曲よりアッパーで、煽るぐらいの方がライブでは盛り上がるし、お客さんもどんどんテンション上がっていくので、それに頼った方法論で進んできましたが、そこに対して「違うだろ」と思う自分もいました。「ドン、ダン、ドン、ドン」としっかり踏み込んで、体に響くドラムを叩きながらも、ちゃんと歌うことが音楽だと改めて実感しました。ライブで焦ってBPMが上がったりすると「落ち着け落ち着け、違うだろ、音楽ってそういうものじゃないだろ」と別の自分が話しかけてくれるようになって、いわば新しい視点が生まれた感じです。 ――「音楽のスポーツ化」という問題は、ゲイリーさん個人ではなくシーン全体の抱える課題でもあるような気がします。 ゲイリー:やはり「盛り上がることに特化している」のかなという。それが音楽的な盛り上がりであればいいのですが、音楽がお客さんを煽って乗せて、コールさせるためのツールに成り下がっていることに関しては、自分たちにその責任の一端があると思うくらいに反省はしています。我々が出てきたことで「モーモールルギャバンがそれをやるなら、オレたち若手はそれの上を行かないと……」と思わせてしまった部分もあるでしょうし。ちゃんと音楽を大事にしないと、あの世に行ってしまった世界のレジェンドに申し訳が立たない、という気持ちで最近は演奏しています。 ユコ:「ここに音楽がないと意味はない」という思いはずっとあったのですが、それを上手いこと消化できないままステージにいて。だからライブが終わった後、変な疲れ方をしていました。それが次第にデフォルトになって、自分の中で敏感だった部分が鈍感になっていったりする感覚がありました。レコーディングの時から聴こえ方は全然違ったんですけど、復活ライブは初めて3人で演奏したときの感覚に近かったです。その感覚は自分の中では健全だなと思えるもので、いいモチベーションになっていて、ライブに対する姿勢は大きく変わりました。

「個人的に、演奏が伴奏になるのが嫌」(ユコ)

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T-マルガリータ

――もともとファンが持っていた“モーモールルギャバン像”と、今の自分たちのモードをどうすり合わせていくのでしょうか。 ゲイリー:単純にテンションを落とさずに、もっと音楽的でいれば誰からも不満は出ないと思います。しんどい作業ですけど、やりがいはあるので。 ユコ:勢いで持っていっていた部分を、どんどん音楽の力で展開できるようにしていきます。 ゲイリー:今までは自分のテンションと客席の盛り上がりぐらいしか判断基準がなかったけど、そこにもう一つの視点が加わったことに気付いてくれたのか、「モーモールルギャバンがパワーアップしている」と言ってくれる方が多いので、「こういうのはちゃんと伝わるんだな」と噛みしめています。 ユコ:ちょっと安心もしましたね。私たちの変化を「元気がなくなった」と捉えられるのは寂しいなと思っていたので。 ゲイリー:ほかにも、ごちゃごちゃ考えながらライブをやっていても「モーモールルギャバンは相変わらず最高だった」って言ってくれる人もいて。変化は伝わってないけど、悪くなったと思われてなかったら、まぁいいかと(笑)。 ――その点においては、昔のプレイと比較されることも少ないであろう『シャンゼリゼ』からの楽曲についてはどう捉えていますか。 ゲイリー:今回は自分の歌いたい歌をアルバムで歌えた反面、「これをどうやってライブで再現するんだろう」という悩みが生まれています。 ユコ:良くも悪くも、テンションで押しきれない曲ばかりなんですよ(笑)。自分たちでハードルを上げているところがあって。スタジオで合わせながら「誰だこれを作ったのは……ああ、私だ」という風に、自分で自分の首を絞めています。 ――ゲイリーさんが歌に力を入れている部分も大きく作用しているんですね。アレンジ面でも歌を前に出すように心掛けたのでしょうか。 ユコ:私は個人的に、演奏が伴奏になるのが嫌なんですよね。3ピースの面白さって、掛け合いでせめぎ合っている部分だと思うので。だから、演奏と歌のバランスはそこまで意識的に変えていません。 ゲイリー:そう、歌はアレンジではどうにもならない。歌自体に強さがないと。だから、歌っている本人がちょっと頑張りました。でも、「クレイジーベイビー」と「紅のベッド」はあなた(ユコ)が大変だよ。 ユコ:言わないで(笑)。何も考えずに練習するから。 ――復活ライブ以降も次々と日程が決まっていますが、反応はどうでしょうか? ゲイリー:新曲は「さらば人類」しか披露していないですが、イベントライブで銀杏BOYZのTシャツを来た人が沢山握手を求めてくれたので、良かったのかなと思っています。 ユコ:私はとくに握手を求められなかったんですけど(笑)。演奏していて楽しんでくれている人や、もともと私たちのことを知らないだろう人がたくさんいて、彼らを楽しませることができたなら良かったと思います。アウェイは別に嫌いではなくて、そこでは会場を巻き込むことにエネルギーを注ぐというよりは、自分の出している音に意識を集中させていきたいです。 マルガリータ:お客さんのことより、自分たちの演奏自体を意識するようになったんですが、それでも楽しそうにしてくれているのが印象的でした。ツアーを楽しむためにもしっかり準備をして、最高の時間を過ごしたいなと思っています。 (取材・文=中村拓海) ■リリース情報 『シャンゼリゼ』 発売:6月24日(水) 価格:¥2,593+税 <CD収録内容> 1.さらば人類 2.クレイジーベイビー 3.ナイトメアダンス 4.紅のベッド 5.000 6.あなたに 7.ザ・ラストトレインスター 8.ハイパーライター 9.N 10.バイララ ■ツアー情報 モーモールルギャバン Tour 2015 "Would you be my friend?" 〜 Champs-Elysées de ツーマン 〜 9月11日(金)<奈良>NEVER LAND  open 18:30 / start 19:00 9月13日(日)<京都>磔磔  open 17:30 / start 18:00 9月18日(金)<高崎>club FLEEZ  open 18:30 / start 19:00 9月19日(土)<宇都宮>HEAVEN’S ROCK VJ-2  open 17:30 / start 18:00 9月21日(月・祝)<水戸>LIGHT HOUSE  open 17:30 / start 18:00 9月23日(水・祝)<札幌>PENNY LANE24  open 17:30 / start 18:00 9月25日(金)<仙台>MACANA  open 18:30/ start 19:00 9月27日(日)<盛岡>the five morioka  open 17:30 / start 18:00 10月2日(金)<名古屋>CLUB QUATTRO  open 18:00 / start 19:00 10月4日(日)<静岡>サナッシュ  open 17:30 / start 18:00 10月9日(金)<埼玉>HEAVEN'S ROCK Shintoshin VJ-3  open 18:30 / start 19:00 10月11日(日)<福岡>DRUM Be-1  open 17:30 / start 18:00 10月12日(月・祝)<高松>DIME  open 17:30 / start 18:00 10月17日(土)<熊本>Be.9 V2  open 17:30 / start 18:00 10月18日(日)<鹿児島>SR HALL  open 17:30 / start 18:00 10月22日(木)<浜松>窓枠  open 18:30 / start 19:00 10月24日(土)<松山>サロンキティ  open 17:30 / start 18:00 10月25日(日)<岡山>CRAZYMAMA KINGDOM  open 17:30 / start 18:00 11月2日(月)<広島>セカンド・クラッチ(旧ナミキジャンクション)  open 18:30 / start 19:00 11月3日(火・祝)<松江>AZTiC canova  open 17:30 / start 18:00 11月6日(金)<新潟>CLUB RIVERST  open 18:30 / start 19:00 11月7日(土)<金沢>vanvan V4  open 17:30 / start 18:00 〜 ワンマン à Tokyo et Osaka 〜 11月15日(日)<大阪>BIGCAT  open 17:00 / start 18:00 12月12日(土)<東京>Zepp DiverCity(Tokyo)  open 17:00 / start 18:00 全会場スタンディング・ドリンク代別 前売り:¥3,500(税込み) 当日:¥4,000 【一般発売日】ツーマン公演:8月8日(土) ワンマン公演:9月12日(土) 【Total Info】Livemasters Inc. 03-6379-4744(平日12:00〜17:00) その他イベント出演情報などオフィシャルHPにて http://mowmowlulugyaban.com

「うたちゃん」に始まり「うたちゃん」に終わる――2015年上半期ハロプロ重大ニュースを振り返る

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2014年12月31日〜2015年1月1日のカウントダウンライブの模様を収録した『Hello! Project COUNTDOWN PARTY 2014 〜GOOD BYE & HELLO!〜』[Blu-ray](zetima)

【リアルサウンドより】  2015年も6ヵ月を過ぎ、一年の折り返し地点に来た。このタイミングで、ハロプロの1月〜6月の上半期における重大トピックスを選考し、この半年間に何があったのかを振り返ってみようと思う。  まずは重要と思われるトピックスを時系列順に10個挙げていく。なお、関連する項目はひとつにまとめた。また、厳密にはハロプロではないアップフロント系グループなども、ハロプロ関連と捉えて選考の対象に含める。

【01】2014.12.31-2015.01.01、2015.01.02[ハロプロ]カウントダウンライブで「愛おしくってごめんね」、ハロコンで「大器晩成」初披露

 重大ニュース1個目は、昨年12月31日〜今年1月1日にかけて行われた「Hello! Project COUNTDOWN PARTY 2014 〜GOOD BYE & HELLO!〜」の話題から。厳密には2014年に入る出来事だが、今年上半期のハロプロを振り返るには、まずここから話を始めなくてはならない。  ハロプロおよびアップフロント系アイドル総出演の年末カウントダウンライブ、二度目となるこの年は大阪と神戸で同時開催、さらに全国ライブビューイングで生中継という趣向だった。そして大きな目玉だったのが、2014年11月に結成されたばかりのカントリー・ガールズの初ライブパフォーマンス。「愛おしくってごめんね」と「恋泥棒」の2曲を、当時まだBerryz工房で活動中だった嗣永桃子を除くメンバー5人で初披露した。どちらも可愛らしさを強調した楽曲で、特に「愛おしくってごめんね」で最初のセリフを担当する「うたちゃん」こと島村嬉唄の初々しい可愛らしさは、ファンに多大なるインパクトを与えた。  一日おいて1月2日は、中野サンプラザにて毎年恒例のハロプロ全員集合コンサート、通称「正月ハロコン」。この日はアンジュルムがグループ改名後初のシングル曲「大器晩成」、翌3日15:00からの同ライブでは「乙女の逆襲」を初披露した。それまでにないゴシックな曲調の「乙女の逆襲」も驚きだったが、ハロプロ王道のファンクサウンドである「大器晩成」の完成度の高さには快哉を叫んだファンも多かったことだろう。  2015年初頭、つんく♂以外の作家が手がけた楽曲4曲の披露により、ハロプロの今後の展望が象徴される格好となった。

カントリー・ガールズ「愛おしくってごめんね」(12:04〜)※映像は中野サンプラザ

アンジュルム「大器晩成」(25:28〜)※映像は中野サンプラザ

【02】2015.01.02[こぶしファクトリー]結成

 1月2日の正月ハロコンでは他にも重要な出来事があった。こぶしファクトリーの結成発表である。ハロプロ研修生から選ばれた8人による新グループ、この時点ではまだグループ名が決まってなく、2月25日18:00にニュースサイト等で先行発表され、21:00からのウェブ番組「ハロ!ステ」でメンバーへサプライズ発表される様子がオンエアされた。グループ名にはBerryz工房の精神を継承するという意味合いも込められているが、その語感にはビックリさせられたなあ……。  2月28日に有明コロシアムで行われた「Berryz工房祭り」ではオリジナル曲「念には念」を初披露、そして6月14日のZepp Tokyoでの「ハロプロ研修生 発表会2015 〜6月の生タマゴShow!〜」にて2015年秋のメジャーデビュー、およびメジャーデビューシングル3曲の内容が発表された。Juice=Juiceに続くハロプロ若手グループとして今後の動向が注目される。

こぶしファクトリー「念には念」(0:00〜)

【03】2015.03.03[Berryz工房]武道館公演を最後に無期限活動停止

 2014年8月2日に「2015年春で無期限活動停止」を発表したBerryz工房。X-DAYはCDデビュー日と同じく3月3日に決まり、そこまでの半年間、ファンとメンバーは走り続けた。  2月28日・3月1日の有明コロシアムでの「Berryz工房祭り」2DAYS、3月2日の東京プリンスホテルでの「Berryz工房スッペシャル・イベント」を経て、いよいよ迎えた日本武道館公演「Berryz工房ラストコンサート2015 Berryz工房行くべぇ〜!」は、11年のキャリアを凝縮した素晴らしい内容となった。当日のライブの名場面は数多いが、特に3つのシーンを挙げると、まずシンデレラ城のような舞台セットで披露した「21時までのシンデレラ」は、早着替えからの舞踏会ダンスシーン含め、アイドルとしての可愛さ・美しさの極点を記録。その一方で「行け 行け モンキーダンス」では猿の着ぐるみを装着し、全力でふざけるベリーズらしさも忘れない。そしてアンコールラスト曲「Love together!」でピアノ演奏をバックにした、菅谷梨沙子の力尽きたにもかかわらず観客の心に直接響いてくるような歌声。

Berryz工房「Love together!」(48:03〜)

 無期限活動停止後の各メンバーの動向は、清水佐紀と徳永千奈美は「ハロー!プロジェクト・アドバイザー」に就任。嗣永桃子はカントリー・ガールズの「プレイングマネージャー」として活動。須藤茉麻はアップフロントプロモーションの演劇女子部の「プレイングマネージャー」として主に演劇畑で活動中。夏焼雅は新たな音楽グループの結成を発表、新メンバーオーディションの公募が7月1日より始まった。熊井友理奈はモデル業を目指し活動中。菅谷梨沙子のみ特にアナウンスが聞こえてこない。

【04】2015.04.01[モーニング娘。'15]「青春小僧が泣いている」MVが話題に

 4月15日発売のモーニング娘。'15のトリプルA面シングルのうちの一曲「青春小僧が泣いている」。まず2月22日の譜久村聖、鈴木香音、およびJuice=Juice宮本佳林のブログにて、同曲(および「夕暮れは雨上がり」の2曲)のMV撮影に鈴木が足の怪我で参加できず、代役として宮本が参加する旨が発表された。これはJuice=Juiceの「イジワルしないで 抱きしめてよ」MVで、当時足を怪我していた宮本の替わりにモーニング娘。の石田亜佑美が撮影参加した時の状況が反転したような形となった。  そして4月1日にMV映像が動画サイト「GYAO!」および「ハロ!ステ」で公開されたのだが、代役にしては宮本のカット数がいささか多いのではないか、という点が一部で賛否両論を巻き起こした。個人的には、娘。新メンバーオーディションに過去参加して落選経験のある宮本が、もし合格して娘。に入っていたらこういう感じだったのか、というifの映像を見ることができてなかなか楽しめたのだが……。

モーニング娘。'15「青春小僧が泣いている」

 また、この「青春小僧が泣いている」には別バージョンのMVが存在する。フジテレビの「THE ビッグチャンス」という番組の企画で「モーニング娘。'14ミュージックビデオ監督オーディション」が開催され、そこで選ばれた渋江修平が制作したのが「青春小僧が泣いている (Another Ver.)」。4月7日にハロー!プロジェクトオフィシャルショップ東京秋葉原店にて行われたトークイベントで先行上映され、同日の21:10頃にネット上でも公開された。  渋江監督によるアーティスティックな映像は、主にダンスシーンとリップシーンの組み合わせで構成された従来のハロプロMVの定形から大きく外れたもので、その個性がファンの高い評判を呼んだ。アイドルのミュージックビデオ映像の最適解がどのような形なのかは意見の分かれるところだろうが、このような異質の仕上がりのものはもっとたくさん出てきてもいいように思う。

モーニング娘。'15「青春小僧が泣いている (Another Ver.)」

【05】2015.04.04[つんく♂]声帯摘出を公表

 昨年2014年に喉頭がんを患ったことを告白、いったん「完全寛解」したと発表するも、がんが再発見され手術を受けていたことを10月17日に公表、とここまでがつんく♂の病状に関する一連の動きだった。  そして今年4月4日、母校である近畿大学の入学式に出席。その場で昨年10月の手術の際に声帯を摘出し、声を失っていたことが公表された。ファンにとって、この発表は非常にショッキングなものだった。  ただ、これで音楽活動の一切が閉ざされたというわけではなく、ハロプロではないが、自身がプロデュースするニンテンドー3DS専用ゲーム『リズム天国 ザ・ベスト+』が発売されたり、アイドルグループChu-zのシングル「Tell me why 生まれて来た意味を知りたい」の作詞・作曲を手がけたり(編曲は平田祥一郎)と、活動は継続している。

Chu-z「Tell me why 生まれて来た意味を知りたい」

【06】2015.04.14[Juice=Juice]シングルがオリコン週間1位獲得

 4月8日発売のシングル「Wonderful World / Ça va ? Ça va ? (サヴァサヴァ)」が、オリコンウィークリーチャートでグループ初の1位を獲得した。他の週に比べると売上枚数的なライバルが少ない、いわゆる谷間週だったとはいえ1位という事実には変わりない。  1月24日付のブログで宮本佳林が髪型をベリーショートにしたのを発表し、ファンの賛否両論を招いたりもしていたのだが、このオリコン週間1位の報以降、Juice=Juiceの風向きは良い方向へ転換したのを感じる。昨年6月14日からスタートしたツアー「ファーストライブツアー2014〜2015 News=News 〜各地よりお届けします!〜」が、4月25日の札幌公演で最終日を迎え、実に10ヵ月という長期間のライブハウスツアーを終える。5月2・3・23日の3日間には東京・大阪で初のホールコンサート「ファーストライブツアー2015 特別編!! 〜Special Juice〜」を開催し、初日の中野サンプラザでは「1stアルバム発売」「ライブツアー220公演の開催」「来年2016年秋頃の日本武道館でのコンサート開催を目標とする」ことを宣言した。

Juice=Juice「Wonderful World」(12:02〜)

 新たなツアー「LIVE MISSION 220 〜Code1→Begin to Run〜」は6月21日の横浜からすでにスタートしている。このライブ中で歌われたり、ラジオのオンエア等で徐々にその片鱗を見せつつあるのが7月15日発売予定の1stアルバム『First Squeeze!』からの楽曲なのだが、これらを聴く限り、アルバムがとんでもない名盤になるのは間違いない。ライブ220本に伴う体調管理という不安材料を除けば、現在のJuice=Juiceは非常に良い状態にあるといえる。

【07】2015.04.29[つばきファクトリー]結成

 こぶしファクトリーに続く、ハロプロ研修生6人により構成されたハロプロ新グループ、その名もつばきファクトリーの結成が突如発表されたのは4月29日のことだった。18:00にニュースサイト等で記事が掲載され、21:00からの「ハロ!ステ」でメンバーへのサプライズ発表の様子がオンエアされた。  ライブお披露目は5月4日に中野サンプラザで行われた「ハロプロ研修生 発表会2015 〜春の公開実力診断テスト〜」。もはやアイドル楽曲のスタンダード・ナンバーである「17才」(オリジナル:南沙織)をEDM調アレンジでカバーした。こぶしファクトリーは一足先にメジャーデビューを決めたが、つばきもそれに続くのか、今後の動向が気になる。

つばきファクトリー「17才」(33:19〜)

【08】2015.05.20[アンジュルム]福田花音が卒業発表

 アンジュルムのオリジナル1期メンバーである福田花音が、今秋にグループおよびハロプロからの卒業を発表。5月20日アップの「ハロ!ステ」内で本人の口から語られた。

福田花音からのお知らせ(7:55〜)

 ウェブ番組での卒業発表というのは非常に稀なケースだが、その6日後の5月26日にはアンジュルム日本武道館コンサートを控えていたので、ステージ上で発表する前にネットで先に発表した方が心置きなくライブに専念できる……という考えもあったのかもしれない。  アンジュルムの前身のスマイレージが2期メンバーを募集した時点で、モーニング娘。と同じく卒業・加入を繰り返し進化していくグループという路線を取ったのだから、年長メンバーがいつか卒業してしまうのは避けられないことだった。なお、6月24日にはアンジュルム新メンバー(4期)オーディションの開催が発表された。  福田が興味深いのは、卒業後に作詞家への道を志すと宣言しているところ。そう遠くない将来、福田の作詞によるハロプロ楽曲というのも実現するかもしれない。Berryz工房メンバーが裏方スタッフ的な役職に就いているのと同じ流れになっている。そんな福田の卒業コンサートは11月29日の日本武道館でのアンジュルム単独公演だ。

【09】2015.06.11[℃-ute]結成10周年記念日に横浜アリーナ公演

 2005年6月11日のグループ結成日からちょうど10年後の記念すべき日に、初の横浜アリーナでのワンマン公演を実現させたのが℃-ute。当日のライブは、冒頭から初期曲をリリース順に5曲連続で披露したり、ソロ・ユニットの名曲をメドレーで次々と歌ったり、LoVendoЯの魚住有希・宮澤茉凜というギタリスト二人をゲストに招いてパフォーマンスしたりと、趣向盛りだくさんの祝祭感あふれる内容となった。  同胞だったBerryz工房が11年目で活動停止したこともあり、℃-uteもここで一区切り付けるのでは……という悪い予測は避けられなかったが、メンバーMCではそれをきっぱりと否定し、今後も活動を続けていくと明言。ラスト曲「我武者LIFE」では「もう誰一人も欠けないで」という歌詞を岡井千聖が叫ぶように歌う、感動的な一夜だった。

℃-ute「我武者LIFE」(28:31〜)

 また、横アリライブ翌日の6月12日に、テレビ朝日「ミュージックステーション」に久方ぶりに出演し「Crazy 完全な大人」を披露したのも喜ばしいトピック。8月には野外フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」への初出場も決まっており、新規ファンをどんどん取り込む方向へ向かっているのが今の℃-uteだろう。

【10】2015.06.12[カントリー・ガールズ]島村嬉唄が脱退

 人気メンバーだった島村嬉唄がカントリー・ガールズから突如脱退したのが6月12日(22:00に公式サイトにて発表)。この少し前から、ブログ更新が途絶えていたり、ハロプロの他グループのライブのメンバー観覧席に一人だけ不在だったりと予兆はあったのだが、悪い予感が現実のものとなった。  発表の文面によると、島村の家族と事務所間での話し合いが上手く行かず、契約が途中解約になったとある。これはJuice=Juiceのメジャーデビュー直前に、メンバー大塚愛菜が「契約条件で合意に達するに至らず」脱退したケースを思い出させるものがある。島村嬉唄の高い人気、そして突然の別離により、結果的に彼女は今年上半期のハロプロを象徴する人物になってしまった。  メンバーが一人欠けたカントリー・ガールズは、2ndシングルのリリースが8月5日に予定されている。そのうちの一曲「わかっているのにごめんね」は、先日6月24日放送のテレビ番組「テレ東音楽祭(2)」にて初披露。アイドルポップスの王道を往く瑞々しいサウンドは1stシングルの流れを汲んでおり、それに加えももちこと嗣永桃子の歌衣装がおばあちゃんコスプレという飛び道具まで用意されていた。音楽面では特に心配なさそうだが、下半期のカンガルがどうなっていくのか、引き続き注視していきたい。  以上、2015年上半期のハロプロ重要トピックスを10個選出した。再度見出しのみを並べると以下のようになる。 【01】2014.12.31-2015.01.01、2015.01.02[ハロプロ]カウントダウンライブで「愛おしくってごめんね」、ハロコンで「大器晩成」初披露 【02】2015.01.02[こぶしファクトリー]結成 【03】2015.03.03[Berryz工房]武道館公演を最後に無期限活動停止 【04】2015.04.01[モーニング娘。'15]「青春小僧が泣いている」MVが話題に 【05】2015.04.04[つんく♂]声帯摘出を公表 【06】2015.04.14[Juice=Juice]シングルがオリコン週間1位獲得 【07】2015.04.29[つばきファクトリー]結成 【08】2015.05.20[アンジュルム]福田花音が卒業発表 【09】2015.06.11[℃-ute]結成10周年記念日に横浜アリーナ公演 【10】2015.06.12[カントリー・ガールズ]島村嬉唄が脱退  その他、次点の項目をグループ別に列挙して本稿を終える。 ・2015.01.01[℃-ute]鈴木愛理、鈴乃屋振袖CM出演 ・2015.04.20[℃-ute]鈴木愛理、雑誌「Ray」専属モデル就任 ・2015.06.16[℃-ute]鈴木愛理、NHK歌謡コンサート出演 ・2015.06.20[℃-ute]岡井千聖ソロバスツアー開催 ・2015.01.09[モーニング娘。'15]フジテレビ「ザ・ドキドキどっきり」で12期メンバー心霊どっきり ・2015.04.07[モーニング娘。'15]牧野真莉愛が始球式登板 ・2015.06.18[モーニング娘。'15]演劇「トライアングル」全公演ソールドアウト ・2015.03.25[アンジュルム]和田彩花がテレビ東京「チャージ730!」でお天気お姉さんに ・2015.06.17[アンジュルム]佐々木莉佳子、1stソロ写真集発売決定 ・2015.02.14[Juice=Juice]菅井先生による植村あかりボイトレ(日本テレビ「未来シアター」) ・2015.04.03[Juice=Juice]金澤朋子、ラジオ日本「爆夜〜BAKUNAI」2代目アシスタントに ・2015.06.18[Juice=Juice]菅井先生による植村あかりボイトレ(ウェブ番組「GREEN ROOM」) ・2015.04.03[こぶしファクトリー]井上玲音、おはガール就任 ・2015.02.25[ハロプロ研修生]高瀬くるみ加入、三瓶海南が研修活動終了 ・2015.04.27[ハロプロ研修生]8名の新メンバーが加入 ・2015.05.04[ハロプロ研修生]公開実力診断テストで加賀楓が優勝 ・2015.04.24[光井愛佳]海外留学から帰国 ・2015.01.02[ハロプロ]ウェブ番組「MUSIC+」で楽曲メイキング放送開始 ・2015.04.30[ハロプロ]新ウェブ番組「GREEN ROOM」放送開始 ・2015.05.15[ハロプロ]北海道限定オーディション開催 ・2015.06.03[ハロプロ]「ハロ!ステ」にメンバーアイキャッチ導入 ・2015.03.22[ハロプロOG]脱毛娘。結成 ・2015.06.07[ハロプロOG]後藤真希、第1子妊娠を発表 ・2015.03.05[LoVendoЯ]メジャーデビュー決定 ・2015.06.11[THE ポッシボー]グループ名を「チャオ ベッラ チンクエッティ」に改名すると発表 ・2015.05.06[吉川友]新曲「花」が17分25秒の長尺で話題に ・2015.06.16[つんく♂]実娘が「リズム天国」楽曲に歌唱参加 ・2015.04.24[ファン]朝井リョウの小説「武道館」出版 ・2015.05.14[ファン]マツコ・デラックス、テレビ朝日「夜の巷を徘徊する」でハロプロショップ訪問 ■ピロスエ 編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。Twitter

LAMP IN TERRENが見出した、曲を作って唄う意味 「聴いてくれる人たちに未来を照らすような作用を与えたい」

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【左から】川口大喜(Drums)、松本 大(Vocal & Guitar)、中原健仁(Bass)

【リアルサウンドより】  LAMP IN TERRENのニュー・アルバム『LIFE PROBE』は、このバンドの粋が集約されたかのような力作となって姿を現した。自己の内面の葛藤や苦悩、それらを少しでも未来へつなげていこうとする松本 大の歌に宿った文学性。そしてその歌をしっかりと支え、豊かな表現を見せるリズム隊。今年期待のバンドの筆頭格に名前が挙がる彼らだが、それに見合う以上の作品を作り上げてくれた。  4年前の上京後に現編成になり、そこから活動が本格化したわけだが、翻ればそれ以前、長崎での中高時代に原点を見ることができるこのバンド。ここまでかなりの思考錯誤をくり返してきたぶんメンバー同士の絆は強く、インタビューの場で松本が話をどんな抽象的な方向に振っても、中原と川口は当たり前のように話についてくる。そしてお互いの思考や感覚に齟齬もない。その一体感は、彼らのライブとちょっと似ていると思った。  3人はこれから多くのドラマを見せてくれることだろう。その最初の段階の、2015年の夏に見せてくれた赤裸々な思い。LAMP IN TERREN。今、ぜひともあなたの心の中に刻みつけてほしいバンドである。

「今、自分ができる最高のもの、全部出しきれたなと思う」(中原)

――アルバム、すごくいいですね。 松本 大(以下、松本):ああ、ありがとうございます。手応えはめっちゃあるんですけど……。「最高傑作ができた!」って思いましたけど、完成して1カ月ぐらい経ったら、そろそろ自分に足りないところが見えてきましたね(笑)。「ああできたな、こうできたな」と。 ――そうですか。ふたりはどうですか? 中原健仁(以下、中原):はい、今、自分ができる最高のものができたなって。全部出しきれたなって思います。 川口大喜(以下、川口):同意見ですね。今できることが全部できた、という感じです。 ――わかりました。アルバム全体としてはどういうものにしようと思ってました? 松本:いろんな景色が見られるような曲を集めたいな、というのがありましたね。前回のアルバム(『silver lining』)は “昔から今に至るまでの僕ら”という感じだったんですけど、ここからは“今の自分たち”という名目で作りました。根本に歌があるのは3人とも変わらないので、それでどんなふうに表現できるのか……いろいろ考えながら曲を作りましたね。たとえば頭の中に見える映像をそのまま曲に落とし込んでみるとか、この世のよくわからない現象のことを歌にしてみるとか。僕だから唄えること、僕らだからできることをちょっとずつ探しながらやってたかなというのはあります。 中原:松本なりの切り口がいろいろあって、自分の小学生時代のことからインスピレーションを受けたり、自分の見た夢の話から歌詞を書いたり。そういう作品が多いですね。 ――音作りではどんなことを意識しました? 「こういう歌だから、こういう方向性で行こう」というのをメンバーで共有しながら? 松本:言わなくても、なんとなくわかってたよね?(笑)。出してきた音で「それだよ!」「問題ない、そのままやれ!」みたいな。 川口:うん。音作りでは、そんなに悩んどらんね。 中原:「こういう歌詞のこういう曲だ」という話はたまにするんですけど、それ以外はあんまりなくて。でも(松本は)ダメなものはダメって言ってくるんで。自分も「これでいい」と確信してるものがあるし、それを認めてくれる感じがあったので、迷わなかったですね。 ――その話があった曲というのはどれですか? 中原:4曲目の「reverie」が夢の話だというのは、ずっと聞いてたし。この曲は雰囲気を出せて、歌も前に押し出すことができたなと思います。10曲目の「ワンダーランド」は最初スタジオに入ってジャカジャカ音を鳴らして作ってったんですけど、その鳴らしてる時点ですごく楽しくて。「めちゃくちゃなことをやっていい曲なんだ」「この曲はバカになろう」って感じで作っていきました。 川口:7曲目の「into the dark」は暗い雰囲気で、でもその闇の中に渦巻くエネルギーみたいな表現をタイコでできてるかな、と思います。 松本:たぶん一番大変だったのは「イツカの日記」だよね。 川口:そう、だって「イツカの日記」は20代が叩くテンポじゃないよ(笑)。でも一番時間がかかるかなと思ったら、すぐ終わったんですね。寝起きでやったんですよ。朝一発目でやったら、うまくいった(笑)。 中原:あとは6曲目の「王様のひとり芝居」は、基本的にずっとワンフレーズのくり返しなんですけど、ああいうノリの歌ありきでできるな、と思いました。俺、けっこうエレクトロとか好きで、ワンフレーズがループしていく音楽が好きなんですけど、それがこの曲でできましたね。新しいことができました。 川口:でも(曲については)あんまり話してないよね。具体的に「この曲はどういった内容で、どういう感じで」とか聞く前に、普通に聴いて、直感でやったやつが最終的にOKテイクになるっていう。それでこれまでやってきたから、ね? 松本:「緑閃光」もそうだったからな。

「面倒くさい人間関係、そういうのを初めて乗り越えてこれたバンド」(川口)

――なるほどね。つまりそれだけの関係性がすでにあるバンドだと思うんですけど、ただ、始めたばかりの頃は、やっぱり今みたいな感じではなかったですよね? 松本:そうですね、うん。ほんとに始めた頃だと「音楽をやりたい」という思いのほうが大きすぎて、それ以外の感情はどうでも良かったと思います。「楽しいよね? やってるのが。以上!」みたいな感じ。だけど、やればやるほど慣れというものが出てきて、余裕ができるから、よけいなものが見えてくる。だからイヤなところも見える……。そこで今度は「ここの部分を俺たちは一生懸命やりたいんだよね」っていう話をして……メンバーのイヤなところまで見えてきたけど、そこで付き合い方も見えてきて、次にまた、ほかの余裕ができてくるっていうサイクルがある。 中原:その連続で、どんどん自分の陣地が拡がってくというか。お互い、足を踏み入れられる場所が増えてきましたね。 ――川口くんは途中からの加入なんですけど、バンドに入った頃は、やっぱりその楽しさが大きかったですか? 川口:うーん、俺、中3の終わりからずっと何かしらバンドをやってて、途切れたことがないんですよ。だけどこのバンドに入って、一番……いい意味で苦労した感じですね(笑)。長くやってくと、面倒くさい人間関係が出てくるじゃないですか? そういうのを初めて乗り越えてきたバンドなんです。ここまで濃い人間関係はしてこなかったっていう。 松本:こいつはほんとに他人と距離とるのが上手なんですよ。絶対に近づいてこない。近づこうとすると、「いやいや……」って。 川口:(笑)なるんですよ。「いやいや」って。 松本:で、中原は中原で、どこかしらで壁を作ってるんです。このふたりは、ほんとに距離の取り方が難しくって……俺もか? 川口:(笑)当時のお前もだよ! 中原:でも一番ガンガン踏み込んでくる人ですね、大は。「うまいことやっていこう」みたいなものじゃなくて、単純に「自分がそうしたいからそうする!」みたいな。 松本:そう。「自分のためにある!」。 中原:「彼は考えて踏み込んでくる人じゃないな」みたいな。だから僕らが3人ともつながれたのかな、という気もするんですけどね。 川口:ほんとに、もうガツガツ踏み込んでくるんですよ。入ってくるんです。で、こっちは距離とってるんですけど……「こいつ、人間関係、ヘタくそか!」と思って(笑)。 松本:いや、考えてないわけじゃないんですよね! ただ、誰かのために何かやるってのが、あんま得意じゃなくて……「結局は自分が良く思われたいからでしょ、それ?」みたいな考え方になっちゃうんです。だから「私は自分のためにいろいろやっております!」みたいなことを最初から頭に置いてズカズカ行っちゃうのかな(笑)。そう、だから「俺がこうすることでお互いに気持ち良くなれるんだったら、それはみんな、いい関係だよね!?」みたいな感じになっちゃうんですよ、いつも。 川口:(笑)昔っから「自分!」なんですよね。それが強すぎるから中学校、高校の頃とかは、うまくいかないことがあったみたいなんですけど。でも結果的にそっちのほうが(松本とは)ちゃんとした、ムリのない関係を作れるんですよね。絶対に。それがバンドの中でもできてるっていうのは、いいなと思いますね。 松本:でも「この人、この関係性じゃダメなんだ?」と思ったら変えますけどね、ちゃんと。ただ、自分の心の中で「この距離感にいる人は、この人じゃないとダメだ!」みたいに、自分の周りをどんどん決めてっちゃうんですよ。だからたとえば「付き合った人とは結婚しないとダメだ!」みたいな考え方にもなるんです。で、「俺のバンドでドラム叩いてるのはこいつじゃないとダメだ!」とか思っちゃうんですよ。 ――なんとなくわかる。だって曲を聴いてて思うけど、他人に対する気持ちがものすごく強いですよね? 松本:ああ、そうかもしれないですね。はい。

「自分という存在を認識してくれる誰かがいるから、自分として存在できる」(松本)

――で、このアルバムの歌詞には「ひとり」という表現が多いですよね。そのニュアンスは、自分ひとりという意味だったり、孤独感という意味だったりはするけど、いずれにしても、あなたが自分の内面に向かって作ってきたんだなという気がするんです。 松本:うん……というか、「ひとり」という表現が自分として認められるものだな、って思えたんですね。アルバム作ってる途中で。たとえば、この世界に誰もいなくって、もしも僕がひとりだけでこの世界の上に立っていたら、そのひとりという概念すらどうでもよくなっちゃう。色もないし、誰と話すこともない、誰と関係をとることもないけど、これだけ世界に人がいる……自分という存在を認識してくれる誰かがいるから、俺は自分として存在できる。だから、ひとりというものが、ものすごく肯定的に思えたんですよ。だから僕の中では、だいぶポジティブです。 ――あ、そういうことなんですか? 松本:はい。だから……「ひとりになりたいな」じゃなくて、最初っからひとりであることには変わりなくって。その……こうやって人と話した時点で、僕という存在は絶対に存在してるし。自分の証明をするということは、それを認識してくれる相手がいることを証明することにもなるから、「ひとり同士」という表現の仕方が一番しっくりくるなと思ってて。だからライブをしていれば、歌を聴いてくれる人がいるという時点で俺の存在証明にもなるし、みんなの存在証明にもなるし……それが「幸せだな」と最近は思いながらやってます。大きくなりたいですね(笑)。 ――なるほどね。でもその中で、さっきも言ったけど、あなたは他人に求めるものが大きそうじゃないですか。裏を返すと、人間関係の中でそれだけ裏切りだったり悲しみだったりを感じてきたのかな、という気がするけど。 松本:うん……そうですね。とくにここ1、2年はすごく多かったです。大会で優勝したとか、メジャー・デビュー決まったとかあったんですけど、身近にいた人がありもしない噂を流しまくってたり、友達だと思ってた人が裏でものすごい言いようだったりとか、ありましたね。まあツラかったですけど、「そうなるべくしてそうなったのかもしんないな」と思うと、自分のせいでもあったなと思うんですけどね。 ――ああ、そう思います? 松本:「なあなあで仲良くしてきたからそういうふうになった」とか、「ちゃんと見てやれなかったから、そういうふうになった」とか。あとは「自分の言動が良くなかったのかなあ」とか……だから裏切られるとか嫌われるとかがあった時に、僕はその人のせいだけだとは思えなくって。いつも。自分が何かしら影響してるから、そういうふうに言っちゃうんだろうなって……だから、自分のことを見つめ直す、いい機会になりましたね。うん……。だから「相手のために何かしよう」って思う時も、いちいち、ちょっとずつ考えるようになりましたね。「ほんとにこれでいいのかな?」とか、「これがもたらすものは何だ?」とか、その先を考えながら人づきあいをやるようになったかな、最近は。 ――うーん、そうですか。そこで相手に対するいらつきにはならないんですか? 「あんな奴だとは思わなかった」とか「こっちはこんなに思ってるのに、そんなだったのか?」とか。 松本:いや、言いたくなりますけど、でもその瞬間に虚しくなるんですよね。そういうふうに考えちゃう自分すらも。「あいつ、そんな奴だと思わなかったよ!」という考えがパッと出てきた瞬間に「誰のせいでそうなったんだろうね?」っていう考えに変わっちゃうんですよ。そこから自分でどんどん掘り下げてっちゃって、「結局あの時の自分の言動がいけなかったのかな」とかになっちゃうんですよね。「だったらあらためなきゃいけないな」とか「それは申し訳ないことをしたな」と思う時もあるし。でもこれも経験しないと、こういうふうには思えなかったんで……。こいつらとケンカした時もあったんですよ。で、その場ではめっちゃ言い合いもしましたけど、結局ものすごい反省しましたからね(笑)。「ああ、あれは良くなかったな」「あの言葉は良くなかったな」とか。 ――そうなんですね……何でそこまで自分で反省しちゃうの? 松本:何でだろう(笑)……いや、でも……イヤなんでしょうね、基本的に。嫌われたりするのが。誰かと生きていたいというのが、すごくあって。誰かがいないと自分にすらならないというのがあって……。 ――ああ、それはさっきの話と同じですね。 松本:うん、つながってくるんですけど。でも……できれば笑ってたいんですよね。みんなで。それが、相手の笑顔を見てるだけでも、自分のためになるんです。だから自分のためにも笑わせる、ということにもなるんですけど、「できれば自分が見る世界は笑顔の人が多いほうがいいな」っていう。悲しい顔をしてる人をあまり見たくないんですよね。だから……できれば笑ってたい。俺は。よけいなお世話かもしれないですけどね、これは。 中原:俺もそうなんだけど……その人と一対一の間で、すごいモヤモヤして、「何だよ?」って思い続けてたって、しょうがないじゃないですか。もし、また別の人と同じことになった時に、そこで「何だよ?」って思ってるだけだったら、何も得られてないし。環境を良くしたいんだったら、自分が変わっていくしかないんですよね。自分の人生の上では。だから自分が変わろうと思うんじゃないですかね。 松本:……だいたいそんな感じ!(笑)

「聴いてくれる人たちの未来を照らすような作用を与えたい」(松本)

――なるほど、わかりました。あと、アルバムを聴いててもうひとつ心に残った言葉が「未来」という表現なんです。これからの未来について、どんなことを感じてますか? 松本:うん……それについて今言われて、これはバンド的なテーマに基づくものだと思ったんですけど……LAMP IN TERRENは「この世のかすかな光」という意味のバンド名なんですね。バンド名をつけた時に、僕はたぶんふたりに「命のともしびのことだ」という話をしたかなと思うんですけど。 中原:うん、言ったね。 松本:ここにあるのが、ひとりの命のともしびだけだったら、遠くから見れば小さなものだけど、それが集まれば大きな光になれる。その光は誰もが持ってると思うんです。命のともしびですからね。全然先のほうは見えないけど、そのともしびを頼りに前に進むのが自分としてはいいなって思うんです。だから「この音楽を聴いてくれる人の足元を少しでも照らせたらいいよね」とか、「未来がちょっとでも怖くなくなればいいよね」と、ずっと思ってたところがあって。それを渡そうと思ったというか……。 ――ああ、今度のアルバムでは? 松本:はい。今までは自分から自分に唄ってたものがものすごく多かったんですけど、今回のアルバムは自分の歌の先にちゃんと自分以外の誰かがいるんですよね。届けたい相手がいるんですよ。その聴いてくれる人たちに、未来……まったく見えない未来を照らすような作用を与えたい。聴いてくれる人がそう思ってくれたらいいなあ、というのがあったんです。そしてアルバムを作ってみて、そういう、相手の証明になるような、大きなものになりましたね。だからそこは『LIFE PROBE』というタイトルにもつながってくるんです。インディーズの一番最初の『PORTAL HEART』というアルバム・タイトルは<心の星>とか<心の街>という意味なんですけど、今回はそこまで飛びたいと思って、そのロケットを作ったみたいな感じなんです。だから相手の心の星まで飛んでいきたい、その先の未来まで飛んでいきたい……っていう気持ちがものすごく詰まってるアルバムになってると思います。 ――そうですね。このアルバムの曲たちって、いろいろ思い悩んだり苦しんだりしてるけども、それでも先を見ようとしてるもんね。今のこのバンドのいいところが詰まった作品だと思います。 松本:照れますね。恐縮です。 ――そしてこのインタビューでも赤裸々に話してくれて、感動しています。 中原:どうもありがとうございます! 松本:ああ、ありがとうございます! でも今は何でも話せますね、ほんとに。自信があるし! (取材・文=青木優)

LAMP IN TERREN「メイ」

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LAMP IN TERREN『LIFE PROBE』(A-Sketch)

■リリース情報 アルバム『LIFE PROBE』 発売日:2015年7月1日(水) 価格:¥2,500(tax out) 仕様:初回限定仕様クリアケース付きジャケット <収録曲> 01.メイ 02.林檎の理 03.Grieveman 04.reverie 05.ボイド(映画「夫婦フーフー日記」主題歌/テレビ東京系「JAPAN COUNTDOWN」6月オープニングテーマ) 06.王様のひとり芝居 07.into the dark 08.イツカの日記 09.multiverse 10.ワンダーランド 【チェーン特典】 TOWER RECORDS:「LIFE PROBE」オリジナル缶バッヂ TSUTAYA:「LIFE PROBE」オリジナル缶バッヂ ヴィレッジバンガード:「LAMP IN TERREN」オリジナル缶バッジ ■ワンマンツアー情報 『LAMP IN TERREN THE FIRST ONE MAN TOUR “BLUESYARD ~landing probe tour 2015~”』 10月30日(金)梅田Shangri-La OPEN 18:00/START 19:00 10月31日(土)名古屋ell.FITS ALL OPEN 17:00/START 18:00 11月5日(木)渋谷CLUB QUATTRO OPEN 18:00/START 19:00 チケット:オールスタンディング 前売 ¥3,000 (税込・ドリンク代別途) / 当日券未定 CD封入超最速先行受付:~7月13日(月)23:59 ※要シリアルナンバー チケット一般発売:9月19日(土) ■イベントライブ情報 7月07日(火)高松DIME/HighApps TOURS 2015 7月08日(水)広島ナミキジャンクション/HighApps TOURS 2015 7月09日(木)福岡Queblick/HighApps TOURS 2015 7月19日(日)北海道 いわみざわ公園/JOIN ALIVE 2015 7月21日(火)仙台enn 2nd/HighApps TOURS 2015 7月22日(水)新潟CLUB RIVERST/HighApps TOURS 2015 7月24日(金)札幌COLONY/HighApps TOURS 2015 7月29日(水)梅田CLUB QUATTRO / HighApps TOURS 2015 7月30日(木)名古屋CLUB QUATTRO / HighApps TOURS 2015 8月8日(土)国営ひたち海浜公園 / ROCK IN JAPAN 2015 8月15日(日)名古屋ell 3会場同時開催 / TREASURE05X ~summer triangle~ 8月20日(木)新代田FEVER / MASH FIGHT! 夏のセミファイナル2015 8月25日(火)名古屋CLUB UPSET / Halo at 四畳半『APOGEE』Release TOUR 8月26日(水)大阪 福島 LIVE SQUARE 2nd LINE / Halo at 四畳半『APOGEE』Release TOUR 8月27日(木)HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2 / RADIO BERRY ベリテンライブ 2015 〜HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2 8月29日(土)山中湖交流プラザきらら / SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2015 -20th ANNIVERSARY- 8月30日(日)泉大津フェニックス / RUSH BALL 2015 feat.GREENS 25th Anniv. ■関連リンク LAMP IN TERREN Official Site LAMP IN TERREN Twitter LAMP IN TERREN Facebook LAMP IN TERREN『LIFE PROBE』特設サイト

乃木坂46が舞台公演『じょしらく』で見せた、“アイドル演劇”の可能性とは?

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【リアルサウンドより】  先週末に全日程を終えた乃木坂46の舞台公演『じょしらく』(6月18~28日、渋谷・AiiA 2.5 Theater Tokyo)は、乃木坂46が自ら手がけるものとしては、初めての“素直な”演劇公演だった。  時折語られることだが、乃木坂46は「芝居ができるアイドルを確立する」という目標を掲げている。シングルCDリリースの際に収録される個人PVなども、そうした経験値を積む一環になっているが、演技という観点で見る時、特にこのグループが意識的に取り組もうとしているのは舞台演劇である。デビューの2012年から毎年の恒例イベントとなっている舞台公演『16人のプリンシパル』はその基盤になるものだ。たとえば『16人のプリンシパル』で安定的な演技力を見せてきた若月佑美は、昨年から今年にかけて前田司郎の代表作『生きてるものはいないのか』のキャストや、2.5次元舞台『ヴァンパイア騎士』の主演に抜擢され、グループに在籍しながら広い振り幅の外部舞台経験を積んでいる。  ただし、この乃木坂46の看板イベントである『16人のプリンシパル』は、舞台演劇を志すことだけを考えるならば必ずしも最適な企画ではない。『16人のプリンシパル』では、あらかじめ配役が決まっていないままメンバーはすべての登場人物の台詞と段取りを覚え、その日の公演ごとにオーディションを行なって観客投票で各公演のキャストを決め、演劇を上演するというスタイルをとっている。このシステムは、AKB48的な“民意”を介したエンターテインメント性と、乃木坂46自身の演劇への志向を融合させたものである。その構造特有の面白さが呼び物ではあるものの、一つの役に専心できないまま稽古期間、公演期間が過ぎてしまうため、まだ俳優としてビギナーの位置にいるメンバーたちが基礎を覚えるための場として考えるのは難しい。48的なエンターテインメント構造か、演劇志向か。過去三回の公演を通して、乃木坂46はその両者の間で揺れてきた。それとは対照的に、今回上演された『じょしらく』は、乃木坂46がごく自然に演技のキャリアを積むための企画として、『16人のプリンシパル』の構造では実現できない機能を果たすものになった。一人のメンバーが一つのキャストに専念して役を掘り下げることができ、固定した座組で公演を行なう演劇は、乃木坂46が手がけるものとしては初めてのことになる。冒頭で、初めての“素直な”演劇公演と書いたのはそのためだ。  もっとも、この『じょしらく』という題材そのものは、オーソドックスな進行の戯曲にはなりにくい。原作の漫画作品自体が、明確な一本道のストーリーを持つものではなく、女性落語家たちの楽屋での「差し障りのない」会話で構成される。今回の乃木坂46版舞台も、比較的原作を忠実に参照したパートは多く、日常をつづるようなシーンの連続で進行する。その意味では、この舞台作品もまた一風変わった独特のテイストを持つものではある。ただし、各メンバーがそれぞれ一つの役のみに専念できること自体の効果は、やはり大きかった。今回の舞台化では、事前オーディションで選抜された15名のキャストを3チームに分けたトリプルキャストの方式をとったため、一人一人が出演できる回数は、全15公演のうち3分の1ずつに限られる。『16人のプリンシパル』に比べれば、公演期間中に舞台に立つ回数そのものはずっと少ない。それでも、役者としての安定感は『じょしらく』の方が数段上だったといっていい。上述したように『じょしらく』は強いストーリーで推進できるタイプの作品ではないだけに、出演メンバー同士で間やテンポを密に合わせた芝居をしなければ、途端に間延びしてしまいかねない。過去の『16人のプリンシパル』や『じょしらく』公開オーディション時から目を引く演技を見せていた伊藤万理華や衛藤美彩、井上小百合といった個人のレベルではなく、チームとしてその点をクリアできていたのは『じょしらく』の大きな収穫だったはずだ。それは脚本・演出を務めた川尻恵太との稽古期間に、充実した蓄積があったことをうかがわせるものだった。  さて、日常の一コマをつづるようなシーンを積み重ねて進む舞台版『じょしらく』だが、この芝居は上演時間が進行するにつれて、落語家としての彼女たちの日常の裏に、彼女たちが「アイドル」として日常を過ごすパラレルワールドが潜んでいるような、二つの側面がないまぜになった構造をみせていく。落語家の日常とパラレルに、この世界に存在するアイドルの日常、ある時その二つが接点を持ち、そこからこの舞台は一気に加速していく。  もっとも、ここで描かれる「落語家の日常」も「アイドルの日常」も、そもそも乃木坂46という「アイドル」によって「演じ」られている。そのことによって、「演じる」という言葉の意味は、現実世界に跳ね返ってくるような広がりをもつことになる。作品最終盤で投げかけられる「みんなは演じていないのか?」というシリアスな問いは、そのまま現実世界でアイドルという職能を背負っている乃木坂46メンバーたち自身が、アイドルとしての日常を「演じ」ながら過ごしているのではないのかという問いに重ね合わされるのだ。  しかし、この問いを「嘘の姿/真実の姿」といった、単純なネガティブ/ポジティブの対比でとらえるべきではない。この作品で示唆される「演じる」こととは、欺瞞であるよりも、ある世界を「上演」することの誇りのようなものだ。今日のアイドルは周到に編集されたメディア上で完結するものではなく、現場にせよSNSにせよ、便宜上の「舞台」を降りた「日常」までもが「上演」の場にならざるをえない。日常と舞台上とが互いに浸透しあうような環境のなかでは、演じる/演じないを場によって区別することはますます難しくなっているはずだ。舞台版『じょしらく』はアイドルをとりまくそんな状況の苛酷さ理不尽さに水面下で目を配りつつも、アイドルが「上演」されること、アイドルという職能を通じて「上演」できる世界を肯定し、前向きな意義を主張しているようにみえた。  アイドル演劇というジャンル自体、アイドルである演者の人格と、そのアイドルが演じる物語上の登場人物の人格とが重ね合わされて受容されることで成立するジャンルである。より一般的にいえばそれは「スターシステム」ということにもなるが、ことアイドル演劇の場合、特に演者のパーソナリティに強く視線が注がれる。その性質を綺麗に織り込みつつ、彼女たちが舞台経験を正当に積む場としても成立したのが、今回の乃木坂46版『じょしらく』だった。『16人のプリンシパル』とは違った演劇企画を持つことで、「演劇の乃木坂46」としての武器は確実に増えた。『16人のプリンシパル』と今回の『じょしらく』とは、互いに性格の異なるエンターテインメント性を宿している。この公演のフィードバックを受けて今年以降の『16人のプリンシパル』はどのように舵を取るのか、また次なる演劇企画はどう設定されるのか。『じょしらく』は今年下半期、そして来年以降の乃木坂46の可能性に幅を持たせる歩みだった。 ■香月孝史(Twitter) ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。