「これからの才能があちこちで産声をあげている」門間雄介が“日本映画の新世代”を探る連載開始

【リアルサウンドより】  1月8日、アップリンクの東京上映最終日に観た『孤高の遠吠』は、噂にたがわず、とんでもなくでたらめで、とんでもなく面白い映画だった。「ははは、マジかよ」。エンドロールで意外にも福山雅治「HELLO」のカバー・バージョンが流れだした時、終始ぶつぶつ呟いていた隣席の客が、聞こえるか聞こえないかくらいの声音で言った。まさにそうだ。『孤高の遠吠』は一作まるごと「ははは、マジかよ」な作品だった。  カナザワ映画祭2015で上映され、静岡県富士宮市のガチな不良たちを起用して話題となったこの問題作は、現在25歳の小林勇貴監督(①)によるバイオレンス群像劇だ。撮影中に出演者が失踪したり、逮捕されたり、あるいはゲリラ撮影のバイク走行シーンがおそらくイリーガルだったり、そういった話題性の点だけでも十分に観る価値のある作品だが、感心したのはストーリーが何より魅力的だったことだ。合計前科数数十犯の凶悪な猛者が次々とあらわれ、不良たちによる抗争は激化し、となりの富士市まで拡大していく。ヤンキー漫画10巻分を一篇に凝縮したような内容を、セリフが録れていないなどの技術的な不備はお構いなしに、この映画は一気に語り倒す。  思い出したのは『定本 映画術』のなかでアルフレッド・ヒッチコックがフランソワ・トリュフォーに説いたストーリーテリングの基本だ。“子どもたちにお話を聞かせていると、こう尋ねてくるだろう、「ねえ、次はどうなるの?」って”。ヒッチコックは主にサスペンスの手法として、ストーリーはそのような対話を通して語られるべきだと主張している。でもそれはジャンルを問わず、娯楽作において観る人を惹きつけるために、作り手が心の片隅にとどめておくべきことだ。きっと『孤高の遠吠』を観る人も同じようなことを感じるだろう。ねえ、次はどうなるの? ははは、マジかよ。  わずか5万円強という超低予算でこの作品を作りあげた小林勇貴をはじめ、目を配れば、これからの才能があちこちで産声をあげている。大学の卒業制作作品ながら堂々とした完成度を誇った竹内里紗監督(②)の『みちていく』や二宮健監督(③)の『SLUM-POLIS』は、昨年観た映画のなかでもこれはと思うものだった。こういった才能のほとばしりを観て、数億円かけてこんな出来かというような映画を作ってしまう監督たちは何を思うんだろう? あの人とか、あの人とか。  映画の出来不出来を監督の力量だけに起因させる作家論は、いまや一種のファンタジーかもしれない。映画の制作には多くの人の思索と思惑が絡みあい、とりわけ予算規模が大きくなるほど、その方向性は関係者のコミュニケーションによって決定づけられるからだ。でも監督でなければできないことが紛れもなくあって、それは映画の出来不出来を大きく左右する。例えば役者を撮影現場でどう演出するか。その魅力をどのように引きだすか。そういったことは監督の匙加減ひとつでいかようにでもなる。  今泉力哉監督(④)はインディペンデントな監督のなかでも役者を活かすことに長けたひとりだが、『知らない、ふたり』を観ると、彼が演出において何を大事にしているかわかる気がする。片想いも両想いも二股も、等価な恋心として扱うこの恋愛群像劇が焦点を当てるのは、誰かを好きになる瞬間に心が跳ねたり弾けたりする、その揺れ動きだ。じゃあNU'ESTのメンバーを主人公に起用し、韓国語と日本語が交錯する芝居を通して、その心の揺れ動きをどう表現するのか。演出が強調しているのは――少なくとも僕にはそう思えるのは――鮮度だろう。  役者の新鮮な芝居を、鮮度もそのままにすくいとること。それは心のなかで何らかの感情が芽生える瞬間を、漏らさずカメラでとらえることと相通じている。人づてに聞けば、彼の現場はテイクを多く重ねることなく、撮影に長時間を費やすことがないらしい。きっとインディペンデント作品ならではの制作環境も影響しているはずだが、これまでの作品でも鮮度管理を決して怠らなかった彼の演出は、この作品はもちろんのこと、ひょっとしたらいずれ規模が大きくなる将来の作品でも、役者を活かすことにつながるだろう。  「あの子どもたちの演出に嫉妬する」。かつて『ジャーマン+雨』を観た山下敦弘監督がそう話したのは、『俳優 亀岡拓次』の横浜聡子監督(⑤)だ。たとえ子どもたちであっても嘘っぽい芝居を排し、その生き生きとした部分を絶妙に引きだす彼女の演出は、7年ぶりの長編監督作となった今回の作品でも錆びついていない。主演の安田顕が扮するのは、さまざまな映画の現場で奇跡を起こす脇役俳優、亀岡拓次。でも奇跡を起こす俳優役だからと言って、目が飛び出るとか、何度も吐しゃするとか、そう書かれた脚本通りに誰もが芝居できるわけではない。当たり前だ。なかには脚本を読んだだけではイメージしにくい、光と影と音によって構成されると書かれた、外国人監督とのオーディションシーンもある。  でもそうやってもうけられたいくつもの難関難所が、結果として、すでに芸達者で知られる安田顕のポテンシャルをさらに引きだすことに成功した。原作はあるものの、そのような趣向を凝らした脚本は当然、横浜聡子自身の手によって書かれている。つまりそれも演出に組み込まれた一部なのだ。  役者にチャレンジさせることで、その能力を遺憾なく発揮させる。そんな手法を近年得意としているのがカナダ出身のジャン=マルク・ヴァレ監督だ。以前、彼が海外サイトのインタビューでこんなふうに語っているのを目にしたことがある。“(ハリウッドの)役者は金も名誉も手に入れている。彼らが欲しがっているのはチャレンジだ”。『ダラス・バイヤーズクラブ』のマシュー・マコノヒー、『わたしに会うまでの1600キロ』のリース・ウィザースプーンといった具合に、彼の作品から続けてオスカー候補が生まれたのは偶然ではない。『俳優 亀岡拓次』における横浜聡子の演出も、僕からすると同じような観点で評価できる。  ※人物名の後ろに丸囲みの数字が振られているのは、この人たちがこれからの日本映画を面白くしてくれるはずだという、期待と希望を込めたナンバリングです。今後も監督に限らず他のスタッフや俳優を含めて、この数字が10とか20とか50とかになるまで、たくさんの才能を紹介していく予定です。自薦、他薦などあれば編集部へ。 ■門間雄介 編集者/ライター。「BRUTUS」「CREA」「DIME」「ELLE」「Harper's BAZAAR」「POPEYE」などに執筆。 編集・構成を行った「伊坂幸太郎×山下敦弘 実験4号」「星野源 雑談集1」「二階堂ふみ アダルト 上」が発売中。Twitter ■公開情報 『俳優 亀岡拓次』 公開中 監督:横浜聡子 出演:安田顕、麻生久美子、宇野祥平、新井浩文、染谷将太 原作:戌井昭人「俳優・亀岡拓次」(フォイル刊)  製作:『俳優 亀岡拓次』製作委員会 配給:日活 (c)2016『俳優 亀岡拓次』製作委員会 公式サイト:http://kametaku.com/

SMAP稲垣吾郎はなぜ文系女子を虜にする? 姫乃たまが主演映画から魅力を考察

【リアルサウンドより】  最近、SMAPが気になっています。いや、いま国民のほとんどが気になっている(あるいは気になり過ぎて心が疲れて、半ばうんざりしている状態)と思うのですが、もっと初歩的な話で、稲垣吾郎の魅力に気が付いてしまって……もうなんだかとにかく、文系女の心に刺さるわけです!  文系女子が彼に夢中になるのって、もしかして常識なんでしょうか。私はこれまで男女共にアイドルにはほとんど興味がなかったので、想像だにしませんでした。むしろ母親の友人から、「ジャニーズは急にハマるわよ」なんて、じっとり微笑まれて、その気迫に怯えていたほどです。しかし、ラジオから流れてきた『$10』がSMAPの楽曲であることを知って驚き、自ら『KANSHAして』を聴いて、うっかり興味を持ってしまったのです。90年代SMAP楽曲の格好良さたるや! しかし、しかしですよ。この二曲とも作曲が林田健司であることに気づき、そうだ私はメンバーではなくて彼が好きなんだ、ということで納得しました。  しかし(しかし、しかし、と話は二転三転しますが、ときめきに揺れているので仕方なし)、テレビからSMAPのライブ映像が流れてきて、「あ、SMAPだ」と、つい喜んだ私の目は、完全に稲垣吾郎に釘付けになっていました。このダンス……! ほかのメンバーが踊っているのを見て、「あ、初めて見たなあ。僕もやってみよう」と言わんばかりにマイペースな、優雅な王子様のような雰囲気と動き。私は文系女として、完全に心打たれました。  稲垣吾郎とは、どういう人なんだろう……。主にジャニーズの楽曲を流している知人のDJに聞いたところ、「音楽好きで、無人島に持って行きたい愛聴盤にThe Velvet Undergroundを入れてたよ」との回答が。運動よりも音楽が好きなのかしら……。単純な文系女なので、心打たれます。  そして私は稲垣吾郎見たさに、彼が主演している映画『桜、ふたたびの加奈子』(2013年)を再生しました。広末涼子の美しい横顔と、微笑んでいる稲垣吾郎、桜を基調にした爽やかなパッケージデザインと、「あの子はきっと生まれ変わって帰ってくる」という心温まるコピー。ところが、この映画がすごかったのです。  広末涼子と稲垣吾郎演じる夫婦が、小学校入学を目前に控えた娘・加奈子を不慮の事故で亡くしてしまうところから話は始まります。娘の晴れ姿を映像に収めようと、デジカメを探して、目を離した隙に事故に遭わせてしまった容子(広末涼子)は、正体をなくすほど自身を責め、信樹(稲垣吾郎)が死亡届を出しに行っている間にも、リビングでデジカメを地面に叩きつけて破壊していました。「会いたい……会いたい……」という呻きとともに、容子は縄に首を通します。途端にパッケージの「あの子はきっと生まれ変わって帰ってくる」というコピーから、重たい情念を感じます。その後も、知人の子どもを娘の生まれ変わりだと言って養子にしようとしたり、さらったり、容子の情念に駆られた行動は続くのですが、何がすごいって、終始映像を包み込む佐村河内守の組曲がもう、ものっすごいどろどろしていて、ほぼホラー映画状態なのです。  ただ、私は映画を見ていて、どうして稲垣吾郎に心打たれるのかわかった気がします。  食卓に“エアー加奈子”を見立てて、誰も座っていない子ども椅子に話し掛ける容子を見る時の、戸惑った視線。「僕らも新しい子どもを作ろうよ」と優しく提案しては、「あの子は帰ってくるから」と拒否されて、鈍い色に光る瞳。知人の子どもをさらった容子に置き去りにされたまま、知人達にひとりで糾弾されている時の冷めた表情。温厚とも言えるし、無意識に抑圧されているようにも見える、飄々とした魅力に、文系の女性は惹かれるのかもしれません。  彼と同世代で、同じく板橋区で学生時代を過ごしたという男性が、「稲垣吾郎にはシンパシーを感じる」と話していました。少し上の世代がとても荒れていたため、学校の規則が厳しくなった中での学生生活だったそうです。すっかり暴力がなくなった環境下で、女生徒は伸びやかになっていきましたが、男子生徒への指導は依然として厳しく、男子生徒は大人しく飄々とした性格の子が増えていったといいます。あくまで個人的な思い出で、どこまでその通りだったのかは不明ですが、本当だったら納得してしまうような話だなあと思いました。  はつらつと踊る男性アイドルの中で、はつらつと踊ろうとしながら、独特の柔和な魅力を振りまいている彼を、ひっそり見ていたい気持ちでいっぱいです。 ■姫乃たま(ひめの たま) 地下アイドル/ライター。1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。アイドルファンよりも、生きるのが苦手な人へ向けて活動している、地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへ精力的に出演するかたわら、ライター業ではアイドルとアダルトを中心に幅広い分野を手掛ける。そのほか司会、DJ、モデルなど活動内容は多岐にわたる。著書に『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。 ウェブサイト:http://himeeeno.wix.com/tama Twitter:https://twitter.com/Himeeeno ■作品情報 『桜、ふたたびの加奈子 [Blu-ray]』 価格:¥ 6,920 出演:広末涼子、稲垣吾郎、福田麻由子ほか 監督:栗村実 販売元:ポニーキャニオン 時間:106 分

松重豊、吉田鋼太郎、遠藤憲一……実力派アラフィフ俳優が脚光を浴びる理由とは?

【リアルサウンドより】  ここ数年、50代以上の俳優が主役を張るドラマがヒットする傾向にある。『三匹のおっさん』や『孤独のグルメ』は、あまりの人気で即シリーズ化され、昨年1番のヒットである『下町ロケット』は、大手企業に対抗する町工場の中年社員たちの葛藤を描いたドラマだ。今シーズンも『お義父さんと呼ばせて』や『東京センチメンタル』など、アラフィフ男性を主役としたドラマが軒並み好調である。  その背景には、『ハケンの品格』や『昼顔』、『オトナ女子』といった30〜40代の女性を主役にした女性向けドラマが多かったことへの反動や、視聴者の年齢層が上がっていることなどももちろんあるだろう。だが、なによりも特筆すべきは、アラフィフ俳優たちの充実ぶりだ。『下町ロケット』で言えば、阿部寛が51歳で吉川晃司が50歳。同時期に放送された『エンジェル・ハート』の上川隆也も50歳である。他にも唐沢寿明が52歳、豊川悦司が53歳、高橋克典が51歳、仲村トオルが50歳と、かつて恋愛ドラマで主役級の活躍をしていた俳優たちが揃っている。彼らの円熟した演技が、昨今の作品に深みを与えているのは間違いない。  しかし、活躍が目立つのはかつての主役級俳優ばかりではない。むしろ最近は、それまでは名脇役として知る人ぞ知る存在だったアラフィフ俳優が、より個性を発揮しているように思う。『孤独のグルメ』に抜擢された松重豊は、その代表格だろう。ただ料理を食べるだけという実験的なドラマは、予算よりアイデアで勝負するテレビ東京ならではの良作で、毎回ゲストで登場する俳優たちの演技も味わい深く、作品に独特の親密さを与えていた。  年始にBS JAPANで放送された『猫とコワモテ』も外せない。コワモテの田中要次(52歳)が、ひたすら猫と戯れるというシンプルな内容で、50代の男がまるで“ゆるキャラ”のような存在として描かれていた。ドラマの筋書きを追うのではなく、ただその行動を観察するという視聴体験は、『孤独のグルメ』にも通じるところである。  今シーズンのテレ東深夜ドラマ『東京センチメンタル』もまた、個性豊かなアラフィフ俳優を主役として起用した作品だ。吉田鋼太郎が55歳バツ3役で連ドラ初主演となったことで話題を集めたが、『半沢直樹』でも唯一まともな上司役として渋い演技を見せて、視聴者の好感を得ていただけに、かなりツボを突いたキャスティングといえよう。  こうした流れに、フジテレビが満を持して参戦してきたのが、遠藤憲一(54歳)と渡部篤郎(47歳)のW主演ドラマ『お義父さんと呼ばせて』だ。渡部篤郎と言えば『ケイゾク』や『愛なんていらねえよ、夏』など数々のドラマで主役を張り、最近は悪役も多く演じる実力派俳優。一方、遠藤憲一は『太陽にほえろ!』の時代から悪役をやっている筋金入りの強面俳優だ。実は遠藤がドラマ初主演を飾った『湯けむりスナイパー』は、テレ東の深夜ドラマで、名脇役を主演に抜擢する深夜ドラマのパイオニア的作品だった。そんなドラマ界の陰と陽を歩んで来た2人が、本作では51歳で同い年となる義理の父と息子を演じる。結婚をテーマにしたコメディで、昨今のアラフィフ俳優ドラマのすべての要素ーー円熟した演技と名脇役の起用、そしてゆるキャラを観察するような親しみやすさなどーーが盛り込まれていることから、フジテレビの本気度が伺える。  今なお活躍するアラフィフ俳優は、劇団員出身などで高い演技力を持ち、制作者側の細かなリクエストに応えられるタイプが多い。そして昨今注目を集める『孤独のグルメ』などの変わり種ドラマは、主役級の俳優よりも、より市井の人々に近い印象の俳優の方が適しているうえ、演技にも絶妙なさじ加減が必要である。だからこそ、着実にキャリアを積んできたベテランたちが起用されるのだろう。なにより、数十年のキャリアを持つ彼らが今、ピークを迎えつつあるということ自体が、大きな共感を得ているのではないだろうか。 (文=本 手)

松重豊、吉田鋼太郎、遠藤憲一……実力派アラフィフ俳優が脚光を浴びる理由とは?

【リアルサウンドより】  ここ数年、50代以上の俳優が主役を張るドラマがヒットする傾向にある。『三匹のおっさん』や『孤独のグルメ』は、あまりの人気で即シリーズ化され、昨年1番のヒットである『下町ロケット』は、大手企業に対抗する町工場の中年社員たちの葛藤を描いたドラマだ。今シーズンも『お義父さんと呼ばせて』や『東京センチメンタル』など、アラフィフ男性を主役としたドラマが軒並み好調である。  その背景には、『ハケンの品格』や『昼顔』、『オトナ女子』といった30〜40代の女性を主役にした女性向けドラマが多かったことへの反動や、視聴者の年齢層が上がっていることなどももちろんあるだろう。だが、なによりも特筆すべきは、アラフィフ俳優たちの充実ぶりだ。『下町ロケット』で言えば、阿部寛が51歳で吉川晃司が50歳。同時期に放送された『エンジェル・ハート』の上川隆也も50歳である。他にも唐沢寿明が52歳、豊川悦司が53歳、高橋克典が51歳、仲村トオルが50歳と、かつて恋愛ドラマで主役級の活躍をしていた俳優たちが揃っている。彼らの円熟した演技が、昨今の作品に深みを与えているのは間違いない。  しかし、活躍が目立つのはかつての主役級俳優ばかりではない。むしろ最近は、それまでは名脇役として知る人ぞ知る存在だったアラフィフ俳優が、より個性を発揮しているように思う。『孤独のグルメ』に抜擢された松重豊は、その代表格だろう。ただ料理を食べるだけという実験的なドラマは、予算よりアイデアで勝負するテレビ東京ならではの良作で、毎回ゲストで登場する俳優たちの演技も味わい深く、作品に独特の親密さを与えていた。  年始にBS JAPANで放送された『猫とコワモテ』も外せない。コワモテの田中要次(52歳)が、ひたすら猫と戯れるというシンプルな内容で、50代の男がまるで“ゆるキャラ”のような存在として描かれていた。ドラマの筋書きを追うのではなく、ただその行動を観察するという視聴体験は、『孤独のグルメ』にも通じるところである。  今シーズンのテレ東深夜ドラマ『東京センチメンタル』もまた、個性豊かなアラフィフ俳優を主役として起用した作品だ。吉田鋼太郎が55歳バツ3役で連ドラ初主演となったことで話題を集めたが、『半沢直樹』でも唯一まともな上司役として渋い演技を見せて、視聴者の好感を得ていただけに、かなりツボを突いたキャスティングといえよう。  こうした流れに、フジテレビが満を持して参戦してきたのが、遠藤憲一(54歳)と渡部篤郎(47歳)のW主演ドラマ『お義父さんと呼ばせて』だ。渡部篤郎と言えば『ケイゾク』や『愛なんていらねえよ、夏』など数々のドラマで主役を張り、最近は悪役も多く演じる実力派俳優。一方、遠藤憲一は『太陽にほえろ!』の時代から悪役をやっている筋金入りの強面俳優だ。実は遠藤がドラマ初主演を飾った『湯けむりスナイパー』は、テレ東の深夜ドラマで、名脇役を主演に抜擢する深夜ドラマのパイオニア的作品だった。そんなドラマ界の陰と陽を歩んで来た2人が、本作では51歳で同い年となる義理の父と息子を演じる。結婚をテーマにしたコメディで、昨今のアラフィフ俳優ドラマのすべての要素ーー円熟した演技と名脇役の起用、そしてゆるキャラを観察するような親しみやすさなどーーが盛り込まれていることから、フジテレビの本気度が伺える。  今なお活躍するアラフィフ俳優は、劇団員出身などで高い演技力を持ち、制作者側の細かなリクエストに応えられるタイプが多い。そして昨今注目を集める『孤独のグルメ』などの変わり種ドラマは、主役級の俳優よりも、より市井の人々に近い印象の俳優の方が適しているうえ、演技にも絶妙なさじ加減が必要である。だからこそ、着実にキャリアを積んできたベテランたちが起用されるのだろう。なにより、数十年のキャリアを持つ彼らが今、ピークを迎えつつあるということ自体が、大きな共感を得ているのではないだろうか。 (文=本 手)

巨匠ジャック・リヴェットが遺したものーーいまも受け継がれるヌーヴェルヴァーグの精神

【リアルサウンドより】  2016年1月29日。フランスを代表する映画監督ジャック・リヴェットがパリで死去した。享年87才。『カイエ・デュ・シネマ』誌の三代目編集長を務め、カンヌ映画祭でグランプリを獲得した『美しき諍い女』(91)の監督としてようやく日本でもその名が知られるようになった。1950年代末の仏映画界に革新的なムーヴメントを巻き起こしたヌーヴェルヴァーグの中心メンバーの一人として知られたリヴェットだったが、日本では比較的知名度が低い監督だった。238分という長尺の作品中、ほぼ全編にわたって全裸に近い姿で出演したエマニュエル・ベアールの美しさが話題を呼び、日本でも一大センセーションを巻き起こした『美しき諍い女』の大ヒットによって、回顧上映なども組まれることとなり、ようやくそのリヴェット作品の全貌が明らかになった。  フランスが生んだリュミエール兄弟によって革新的な発展を遂げた映画産業に、新たな革命を巻き起こしたのがヌーヴェルヴァーグという『カイエ・デュ・シネマ』誌に集った若き批評家たちによる「作家主義」の“波”だった。ジャン・コクトーやルノワールが完成させてきたドラマ性を重視せず、ロケ撮影、同時録音、演出による“実験映画”的な趣を重視した作風がその特色で、ジャック・リヴェット、ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメール、クロード・シャブロルといった、それまで映画の撮影現場にあまり直接係ってこなかった映画評論家たちが、ペンをカメラに持ち替えて作り始めた作品群、それがヌーヴェルヴァーグである。  そのヌーヴェルヴァーグの第1回作品と言われている35mm短編映画『王手飛車取り』(56)を監督したのが、リヴェットだった。カイエ派のシャブロルやトリュフォー、ゴタールそしてロメールまでもが協力して完成させた記念すべき作品をきっかけに、メンバーは次々に短編作品を発表。そしてシャブロルが監督した初の長編作品『美しきセルジュ』(58)の成功をきっかけに、ヌーヴェルヴァーグの代表作が次々に発表されていく。中でも革新的な編集技法を駆使し、いまだに根強く愛されているヌーヴェルヴァーグ作品として知られるゴタールの『勝手にしやがれ』(59)を発表した1958年はヌーヴェルヴァーグ元年と呼ばれている。  日本でも松竹ヌーヴェルヴァーグとして大島渚が『青春残酷物語』(60)を発表し、フランス国内だけに留まらず全世界の若きフィルムメイカー達を先導した。1962年にカンヌ映画祭で起きてしまったゴダールとトリュフォーの決裂をもって、ヌーヴェルヴァーグは終焉を迎えたが、その精神は途絶えることなく、ゴダールが現役でいまだに作品を発表し続けていることは周知の事実である。  そんなヌーヴェルヴァーグ史を語るうえで重要人物の一人だったジャック・リヴェットの作品が、『美しき諍い女』以外あまり日本で一般公開されてこなかったのは、ヌーヴェルヴァーグ全盛期に製作された作品が短編が多かった事があげられる。そしてそれ以降の作品のほとんどが長尺というのも、一般公開への道を閉ざした原因の一つだ。ヌーヴェルヴァーグ作品に対する耐性の無い観客にとっては、一種の苦行といっても過言ではない。1960年に発表した処女長編『パリはわれらのもの』(61)に続くアンナ・カリーナ主演作『修道女』(66)は、一時期反宗教的という理由で上映禁止措置をとられ、1969年に発表した『狂気の愛』(69)では上映時間が4時間12分、1971年に発表した『アクト・ワン』(71)は、12時間40分という映画史に類をみない長尺の作品に仕上げ、長らく日本では劇場未公開であったが2008年の回顧上映でついにスクリーンで上映された。『美しき諍い女』のヒットを受け、80年代のリヴェット作品が劇場で公開されるようになったのは、90年代に日本の映画界に巻き起こった空前のミニシアター・ブームの恩恵である。  90年代にはサンドニール・ボネールを起用した全2部作の完全版『ジャンヌ・ダルク/Ⅰ戦闘Ⅱ牢獄』(94)では堂々5時間38分という超大作を発表。その飽くなきヌーヴェルヴァーグ精神は衰えることなく、『恋ごころ』(01)がカンヌ映画祭、『ランジェ公爵夫人』(07)がベルリン国際映画祭、そして遺作となった『ジェーン・バーキンのサーカス・ストーリー』(09)がベネツィア国際映画祭に出品されている。15年ぶりに父に呼び戻されて帰ってきたサーカス団の娘ケイト(ジェーン・バーキン)と、旅の途中で出会ったヴィットリオ(セルジオ・カステリット)。彼女にひかれたヴィットリオはサーカス団を訪れ、彼らの生活になじんでゆく。やがて彼女が何故サーカス団を去った理由を知ることになる……リヴェット最後の作品は、84分という上映時間の小さなラブストーリーだった。  80才を超えても積極的に映画製作を行っていたリヴェットの死によって、ヌーヴェルヴァーグに関わった映画作家は今も作品を発表し続けているゴダール、そしてアニエス・ヴァルダ、アレクサンドル・アストリュック、等一握りの作家だけになってしまったが、その精神はゴダール信者のタランティーノや、トリュフォー信者のキャメロン・クロウなどハリウッドの第一線で活躍するフィルムメイカー達の心に深く根付いている。 ■鶴巻忠弘 映画ライター 1969年生まれ。ノストラダムスの大予言を信じて1999年からフリーのライターとして活動開始。予言が外れた今も活動中。『2001年宇宙の旅』をテアトル東京のシネラマで観た事と、『ワイルドバンチ』70mm版をLAのシネラマドームで観た事を心の糧にしている残念な中年(苦笑)。

巨匠ジャック・リヴェットが遺したものーーいまも受け継がれるヌーヴェルヴァーグの精神

【リアルサウンドより】  2016年1月29日。フランスを代表する映画監督ジャック・リヴェットがパリで死去した。享年87才。『カイエ・デュ・シネマ』誌の三代目編集長を務め、カンヌ映画祭でグランプリを獲得した『美しき諍い女』(91)の監督としてようやく日本でもその名が知られるようになった。1950年代末の仏映画界に革新的なムーヴメントを巻き起こしたヌーヴェルヴァーグの中心メンバーの一人として知られたリヴェットだったが、日本では比較的知名度が低い監督だった。238分という長尺の作品中、ほぼ全編にわたって全裸に近い姿で出演したエマニュエル・ベアールの美しさが話題を呼び、日本でも一大センセーションを巻き起こした『美しき諍い女』の大ヒットによって、回顧上映なども組まれることとなり、ようやくそのリヴェット作品の全貌が明らかになった。  フランスが生んだリュミエール兄弟によって革新的な発展を遂げた映画産業に、新たな革命を巻き起こしたのがヌーヴェルヴァーグという『カイエ・デュ・シネマ』誌に集った若き批評家たちによる「作家主義」の“波”だった。ジャン・コクトーやルノワールが完成させてきたドラマ性を重視せず、ロケ撮影、同時録音、演出による“実験映画”的な趣を重視した作風がその特色で、ジャック・リヴェット、ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメール、クロード・シャブロルといった、それまで映画の撮影現場にあまり直接係ってこなかった映画評論家たちが、ペンをカメラに持ち替えて作り始めた作品群、それがヌーヴェルヴァーグである。  そのヌーヴェルヴァーグの第1回作品と言われている35mm短編映画『王手飛車取り』(56)を監督したのが、リヴェットだった。カイエ派のシャブロルやトリュフォー、ゴタールそしてロメールまでもが協力して完成させた記念すべき作品をきっかけに、メンバーは次々に短編作品を発表。そしてシャブロルが監督した初の長編作品『美しきセルジュ』(58)の成功をきっかけに、ヌーヴェルヴァーグの代表作が次々に発表されていく。中でも革新的な編集技法を駆使し、いまだに根強く愛されているヌーヴェルヴァーグ作品として知られるゴタールの『勝手にしやがれ』(59)を発表した1958年はヌーヴェルヴァーグ元年と呼ばれている。  日本でも松竹ヌーヴェルヴァーグとして大島渚が『青春残酷物語』(60)を発表し、フランス国内だけに留まらず全世界の若きフィルムメイカー達を先導した。1962年にカンヌ映画祭で起きてしまったゴダールとトリュフォーの決裂をもって、ヌーヴェルヴァーグは終焉を迎えたが、その精神は途絶えることなく、ゴダールが現役でいまだに作品を発表し続けていることは周知の事実である。  そんなヌーヴェルヴァーグ史を語るうえで重要人物の一人だったジャック・リヴェットの作品が、『美しき諍い女』以外あまり日本で一般公開されてこなかったのは、ヌーヴェルヴァーグ全盛期に製作された作品が短編が多かった事があげられる。そしてそれ以降の作品のほとんどが長尺というのも、一般公開への道を閉ざした原因の一つだ。ヌーヴェルヴァーグ作品に対する耐性の無い観客にとっては、一種の苦行といっても過言ではない。1960年に発表した処女長編『パリはわれらのもの』(61)に続くアンナ・カリーナ主演作『修道女』(66)は、一時期反宗教的という理由で上映禁止措置をとられ、1969年に発表した『狂気の愛』(69)では上映時間が4時間12分、1971年に発表した『アクト・ワン』(71)は、12時間40分という映画史に類をみない長尺の作品に仕上げ、長らく日本では劇場未公開であったが2008年の回顧上映でついにスクリーンで上映された。『美しき諍い女』のヒットを受け、80年代のリヴェット作品が劇場で公開されるようになったのは、90年代に日本の映画界に巻き起こった空前のミニシアター・ブームの恩恵である。  90年代にはサンドニール・ボネールを起用した全2部作の完全版『ジャンヌ・ダルク/Ⅰ戦闘Ⅱ牢獄』(94)では堂々5時間38分という超大作を発表。その飽くなきヌーヴェルヴァーグ精神は衰えることなく、『恋ごころ』(01)がカンヌ映画祭、『ランジェ公爵夫人』(07)がベルリン国際映画祭、そして遺作となった『ジェーン・バーキンのサーカス・ストーリー』(09)がベネツィア国際映画祭に出品されている。15年ぶりに父に呼び戻されて帰ってきたサーカス団の娘ケイト(ジェーン・バーキン)と、旅の途中で出会ったヴィットリオ(セルジオ・カステリット)。彼女にひかれたヴィットリオはサーカス団を訪れ、彼らの生活になじんでゆく。やがて彼女が何故サーカス団を去った理由を知ることになる……リヴェット最後の作品は、84分という上映時間の小さなラブストーリーだった。  80才を超えても積極的に映画製作を行っていたリヴェットの死によって、ヌーヴェルヴァーグに関わった映画作家は今も作品を発表し続けているゴダール、そしてアニエス・ヴァルダ、アレクサンドル・アストリュック、等一握りの作家だけになってしまったが、その精神はゴダール信者のタランティーノや、トリュフォー信者のキャメロン・クロウなどハリウッドの第一線で活躍するフィルムメイカー達の心に深く根付いている。 ■鶴巻忠弘 映画ライター 1969年生まれ。ノストラダムスの大予言を信じて1999年からフリーのライターとして活動開始。予言が外れた今も活動中。『2001年宇宙の旅』をテアトル東京のシネラマで観た事と、『ワイルドバンチ』70mm版をLAのシネラマドームで観た事を心の糧にしている残念な中年(苦笑)。

TOKIO長瀬智也はなぜ“異形の主役”ばかりを演じる? 特殊な役回りを考察

【リアルサウンドより】  フジテレビで毎週水曜日22時〜OA中の医療ドラマ『フラジャイル』。同名コミックを原作にした本作の主演は、フジテレビでの主演ドラマは『ムコ殿2003』から実に約13年ぶりとなる長瀬智也だ。第3話が終了した現時点で平均視聴率は9・86%と、まずまずといえる。
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(C)タナカケンイチ

 長瀬が本作で演じるキャラクターは、同僚の医師に対し、「君が医者であるかぎり、僕の言葉は絶対だ」と言い放つ、天才病理医にして変人と評判の岸 京一郎。しかし、天才&変人というキャッチコピーを期待して見ると、どこか違和感が残る。そう、岸を演じる長瀬がそれほどには目立っていないのだ。なぜなら、彼を慕って病理診断科に異動してくる新米医師・宮崎を演じる武井咲の成長ストーリーにフォーカスが当てられているからだ。  ここ数年の長瀬主演の連続ドラマを振り返ってみても、彼が演じるキャラクターは常人ではないのに、なぜか悪目立ちをしていない。第一話から異質な存在感を放ってはいるが、あくまでも作品の中心軸となり周囲のレギュラーキャラクターの変化や成長、ゲスト俳優の個性を際立たせていく。言うなれば、主役でありながら裏回し。以下、最近の連ドラから過去作へと遡ってみても、共通の構造が見えてくる。 ・2013年10月クール『クロコーチ』(TBS)悪徳刑事黒河内役。新人エリート刑事(剛力彩芽)の成長を促す存在。 ・2013年1月クール『泣くな、はらちゃん』(日本テレビ)はらちゃん役。彼を漫画のキャラクターとして生み出した、地方に暮らすヒロイン(麻生久美子)の成長を促す存在。 ・2010年7月クール『うぬぼれ刑事』(TBS)女性容疑者からいちいち惚れられていると勘違いする刑事、うぬぼれ役。女性ゲストと、うぬぼれ屋の飲み仲間“うぬぼれ5”を輝かせる。 ・2009年7月クール『華麗なるスパイ』(日本テレビ)天才詐欺師・鎧井京介役。女性詐欺師ドロシー(深田恭子)を振り回し成長を促す。 (以下略)  彼が演じる役は、そもそもが異能・異質・奇人・変人であるから、感情がぐらつきはするものの、その能力や生き方は劇的には変化しない。というか、悲しいかな、変わることができない。たとえば、英国BBC制作のドラマ『SHERLOCK/シャーロック』で主人公の天才探偵シャーロック・ホームズを演じたベネディクト・カンバーバッチが、ワトソン役を演じたマーティン・フリーマンのキュートな困り顔や嗜虐的な魅力を引き出したパターンに通じる。もしくは、『マッドマックス 怒りのデスロード』で主人公のマッドマックスを演じたトム・ハーディが終始仏頂面をキープすることで、青臭い一兵士のニュークスを輝かせたパターンも思い出させる。  シャーロックよりもワトソン、マッドマックスよりもニュークスのほうが、市井の人々に近い分、共感を得やすくおいしい役といえる。はやりの言葉で言えばコスパが高い。つまり、その才能や異質さをフルに発揮するキャラクターというのは、見方を変えると実は貧乏くじなのである。  並大抵の俳優だったら、ここぞとばかりに力を入れまくった肩をバキバキ鳴らしながら演じ、空回りし、肩を壊し、視聴率3%で終わってもおかしくない。しかし長瀬は、いたずらに前に出ない演技プランを選択し、主人公でありながら共演者にとっての引き立て役をまっとうする。これは座長として、作品のことを考えてのことだろう。ここ10年以上、長瀬智也はそういったポジションを担い続けている。  最初は未熟な状態からスタートし、徐々に成長し、ラストでハッピーやラブを手にする人間味あふれる役と、長瀬は無縁だ。恋も実らなければ、出世階段を登ることもなく、絶望すら味わえない孤独なヒーロー。市井の観客が共感しにくいという損な役回りを、役柄を着替えながら、背負い続けられる俳優はそうそういない。  異形の主役としてドシンと立ちつつ、周りを立てる黒子ポジ。その集大成ともいえる役が『TOO YOUNG TO DIE』で演じたキラーKだった。当代切ってのスター俳優である長瀬智也のなんと9年ぶりの主演映画で、登場シーンのほぼ9割が黒子ならぬ赤鬼メイクとは、できすぎというか皮肉というかシュールというか……。それが世間からはわりとすんなり受け入れられているあたりが、長瀬智也というスターが特殊なポジションにいる証明だろう。(編注:『TOO YOUNG TO DIE』は公開延期に。)  この作品で彼が引き立てるキャラクターは、神木隆之介が演じる大助だ。事故で亡くなってしまった童貞高校生が地獄でキラーKに出会い、好きな女の子とキスをするために輪廻転生を繰り返すという、いい話。キラーKもホロリとさせるバックグラウンドを抱えてはいるものの、基本的には常に鬼の形相でポーズを決めて吠えてのけぞり大助を煽り続ける。  でもそろそろ、普通に成長したり、ドツボに堕ちたり、絶対的な主人公に振り回される役を演じる長瀬を見てみたい。大河ドラマで主人公に志半ばに殺される無念の敵役とか勝手に推奨。超人とはいえ、枠に収まるのはもったいない! ■須永貴子 インタビュアー、ライター。映画やドラマを中心に俳優や監督、お笑い芸人、アイドル、企業家から市井の人までインタビュー仕事多数。『NYLON JAPAN』『Men’s EX』『Quick Japan』『Domani』『シネマトゥディ』などに執筆。 ■ドラマ情報 『フラジャイル』 出演者:長瀬智也、武井咲、野村周平、小雪、北大路欣也ほか 原作:草水敏(「フラジャイル」)、恵三朗(講談社「アフタヌーン」連載) 脚本:橋部敦子 制作:フジテレビ 制作著作:共同テレビ 公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/FG/index.html

武田玲奈からは大ブレイクの予感しか漂ってこないーー広がる活躍分野と演技への期待

【リアルサウンドより】  NEWSの加藤シゲアキ原作のドラマ『傘を持たない蟻たちは』が佳境を迎えている。もともと6編の短編集であった原作から3つのエピソードを抜き出し、それをオムニバス形式にはせずに、連続ドラマとして脚色した点が実に興味深いドラマだ。第1話では『インターセプト』を、第2話では『恋愛小説(仮)』をそれぞれ劇中で執筆する小説の中の世界として描き出しており、第3話からは『にべもなく、よるべもなく』を過去の回想録として描いている。  今週放送される第4話で最終回を迎えるのだが、ここでもベースとなるのは『にべもなく、よるべもなく』であろう。中学時代に親友から同性愛者であることを告げられた主人公の悩みを、いかに現代パートと結び付けるかに注目したい。同時に、最終回で主人公の中学時代の交際相手である舞が登場するのだが、それを演じているのが武田玲奈だと聞いては、ますます期待が高まるのである。  彼女が演じる舞は、停学中だった主人公に想いを寄せ、やがて交際に発展する相手である。いわば、このドラマでようやく登場する、実在のヒロインであり、現代パートで同じ役を演じる、『赤い糸』でブレイクした南沢奈央と共に、ドラマ全体に大きな影響を及ぼす重要な役どころである。25分しかない枠の中で、決して出番は多くないとは思うが、彼女の存在が主人公・純と、その親友の啓介との関係性を占う位置にあるのでは、と見受けられる。  このフジテレビ土曜深夜の「土ドラ」枠が再編成されてから今回が4クール目。1クールの間に短い連ドラを2本送り出している同枠では、これまでも『She』の松岡茉優をはじめ、『妄想彼女』の広瀬アリス、『テディ・ゴー!』の森川葵と、その後ブレイクを果たした若手女優がヒロインを務めている。武田玲奈もまた、彼女たちと同様に注目を集め、出演作が増えて行くと思われる。  昨年の暮れに掲載した「2016年にブレイクしそうな若手女優5選」でも紹介した彼女。今年に入りまだ1ヶ月と経っていないが、すでにヤングジャンプや少年マガジンで表紙を務めるなど、雑誌グラビアに引っ張りだことなっている。また、今月から新しく放映が始まった江崎グリコのポッキーのCMでは三代目J Soul Brothersと共演。彼らの特徴的なダンスが話題となっているCMで、バスケ部の男子にポッキーを渡そうとする女子高生を演じており、今後バレンタイン商戦に向けた大事なCMの中で、商品名を読み上げる大役まで担っているのだ。  また女優業の方でも、3月25日からは昨年女優デビューを果たした『暗殺教室』の続編、『暗殺教室 卒業編』が公開。まだ正式なキャスト発表はないものの、生徒役の多くが続投すると噂されているだけに、彼女も続投することであろう。さらに5月からは昨年大ヒットを記録した『ストロボ・エッジ』につづいて廣木隆一監督が少女漫画原作を手がけた映画『オオカミ少女と黒王子』が公開され、そちらへの出演も先日発表されたばかり。どちらもメインロールではないものの、ヒットが予想される話題作であり、彼女の知名度は間違いなく上っていくだろう。  ヤングジャンプで「史上最大の逸材」と評された彼女は、そのキャッチコピーに劣らぬほど、近い将来大ブレイクする予感しか漂ってこない。ルックスもスタイルも、その存在感も、同年代の若手女優の中では群を抜いているだけに、まだまだ未知数な部分が多い演技のフィールドにおいて、もっと彼女を見てみたいという気持ちがより一層高まるのである。モデル、グラビア、女優と幅広い分野で活躍を見せる彼女は、順調にブレイクへの階段を上っているのだ。 ■久保田和馬 映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter ■ドラマ情報 『傘を持たない蟻たちは』 毎週土曜23時40分から放送中(全4回) 原作:加藤シゲアキ 出演者:桐山漣、加藤シゲアキ、阪田マサノブ、足立梨花、渡辺舞、武田玲奈、南沢奈央、竜雷太 他 脚本:小川真 編成企画:羽鳥健一 プロデュース:江森浩子 演出:河野圭太 制作:フジテレビ、共同テレビ 公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/kasaari/index.html

武田玲奈からは大ブレイクの予感しか漂ってこないーー広がる活躍分野と演技への期待

【リアルサウンドより】  NEWSの加藤シゲアキ原作のドラマ『傘を持たない蟻たちは』が佳境を迎えている。もともと6編の短編集であった原作から3つのエピソードを抜き出し、それをオムニバス形式にはせずに、連続ドラマとして脚色した点が実に興味深いドラマだ。第1話では『インターセプト』を、第2話では『恋愛小説(仮)』をそれぞれ劇中で執筆する小説の中の世界として描き出しており、第3話からは『にべもなく、よるべもなく』を過去の回想録として描いている。  今週放送される第4話で最終回を迎えるのだが、ここでもベースとなるのは『にべもなく、よるべもなく』であろう。中学時代に親友から同性愛者であることを告げられた主人公の悩みを、いかに現代パートと結び付けるかに注目したい。同時に、最終回で主人公の中学時代の交際相手である舞が登場するのだが、それを演じているのが武田玲奈だと聞いては、ますます期待が高まるのである。  彼女が演じる舞は、停学中だった主人公に想いを寄せ、やがて交際に発展する相手である。いわば、このドラマでようやく登場する、実在のヒロインであり、現代パートで同じ役を演じる、『赤い糸』でブレイクした南沢奈央と共に、ドラマ全体に大きな影響を及ぼす重要な役どころである。25分しかない枠の中で、決して出番は多くないとは思うが、彼女の存在が主人公・純と、その親友の啓介との関係性を占う位置にあるのでは、と見受けられる。  このフジテレビ土曜深夜の「土ドラ」枠が再編成されてから今回が4クール目。1クールの間に短い連ドラを2本送り出している同枠では、これまでも『She』の松岡茉優をはじめ、『妄想彼女』の広瀬アリス、『テディ・ゴー!』の森川葵と、その後ブレイクを果たした若手女優がヒロインを務めている。武田玲奈もまた、彼女たちと同様に注目を集め、出演作が増えて行くと思われる。  昨年の暮れに掲載した「2016年にブレイクしそうな若手女優5選」でも紹介した彼女。今年に入りまだ1ヶ月と経っていないが、すでにヤングジャンプや少年マガジンで表紙を務めるなど、雑誌グラビアに引っ張りだことなっている。また、今月から新しく放映が始まった江崎グリコのポッキーのCMでは三代目J Soul Brothersと共演。彼らの特徴的なダンスが話題となっているCMで、バスケ部の男子にポッキーを渡そうとする女子高生を演じており、今後バレンタイン商戦に向けた大事なCMの中で、商品名を読み上げる大役まで担っているのだ。  また女優業の方でも、3月25日からは昨年女優デビューを果たした『暗殺教室』の続編、『暗殺教室 卒業編』が公開。まだ正式なキャスト発表はないものの、生徒役の多くが続投すると噂されているだけに、彼女も続投することであろう。さらに5月からは昨年大ヒットを記録した『ストロボ・エッジ』につづいて廣木隆一監督が少女漫画原作を手がけた映画『オオカミ少女と黒王子』が公開され、そちらへの出演も先日発表されたばかり。どちらもメインロールではないものの、ヒットが予想される話題作であり、彼女の知名度は間違いなく上っていくだろう。  ヤングジャンプで「史上最大の逸材」と評された彼女は、そのキャッチコピーに劣らぬほど、近い将来大ブレイクする予感しか漂ってこない。ルックスもスタイルも、その存在感も、同年代の若手女優の中では群を抜いているだけに、まだまだ未知数な部分が多い演技のフィールドにおいて、もっと彼女を見てみたいという気持ちがより一層高まるのである。モデル、グラビア、女優と幅広い分野で活躍を見せる彼女は、順調にブレイクへの階段を上っているのだ。 ■久保田和馬 映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter ■ドラマ情報 『傘を持たない蟻たちは』 毎週土曜23時40分から放送中(全4回) 原作:加藤シゲアキ 出演者:桐山漣、加藤シゲアキ、阪田マサノブ、足立梨花、渡辺舞、武田玲奈、南沢奈央、竜雷太 他 脚本:小川真 編成企画:羽鳥健一 プロデュース:江森浩子 演出:河野圭太 制作:フジテレビ、共同テレビ 公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/kasaari/index.html

『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』監督が語る、 世界の富を独占する“1%の悪魔たち”と戦う方法

【リアルサウンドより】 「2008年に起こったリーマン・ショックの引き金を引いたのは、アメリカの低所得層をターゲットにした住宅のサブプライム・ローンだった」。言葉の情報としては、多くの人が知っている事実ではあるが、では実際にその震源地となったアメリカの住宅事情の真実とはどんなものなのか? それを徹底的なリサーチに基づいてフィクションとして描いたのが、フロリダの住宅地を舞台にした『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』だ。  この作品の特徴は、その徹底したリアリズムにある。悪徳不動産ブローカーを演じたマイケル・シャノンは、実際に現地の不動産ブローカーと数週間生活を共にし、その身振り手振りだけでなく台詞まで“本物の会話”にこだわったという。また、住宅から強制退去させられる人々を演じた人の多くは、実際に撮影現場の近くに住んでいる住人たちである。アンドリュー・ガーフィールドのファンならば、『スパイダーマン』の高校生ピーター・パーカーではなく、久々に実年齢(32歳)に合った役(住宅を奪われる父親の役)を好演しているところも見逃せない。イラン系アメリカ人監督、ラミン・バーラニに話を訊いた。(宇野維正)

「これはアメリカだけでなく、どこの国でも起こり得ることを描いた作品だ」

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『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』 (c)2014 99 Homes Productions LLC All Rights Reserved

——『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』、大変興味深く観させてもらいました。本作ではアメリカのサブプライム・ローンにまつわる住宅差し押さえ、強制退去の生々しい現実がフィクションとして描かれているわけですが、このテーマで作品を撮ろうと思ったのには、何か個人的な理由があったのですか? 例えば、ご自身、あるいは身近な人が深刻な住宅問題を抱えていたとか? ラミン・バーラニ(以下、バーラニ):いや、個人的に何か被害を被っていたわけではないんだ。ただ、現在のアメリカで起こっている住宅問題は明らかに異常で、どこかで誰かが裏で操作をしているんじゃないか、とんでもない罠を仕掛けているんじゃないかって思わずにはいられなかった。そういう意味では、個人的な“怒り”がこの作品のベースにある。今作の舞台となるフロリダにリサーチに行って、そこで途方に暮れている人々と出会うまでは、どんな脚本になるか自分でもわからなかった。劇中に出てくる人々は、住宅を奪われる側も、奪う側も、すべて自分が実際にフロリダで出会った人々なんだ。 ——サブプライム・ローンから発したリーマン・ショックと、それ以降の金融情勢はもちろん世界的な問題ですが、この作品ではあくまでもそのきっかけとなったアメリカ国内の住宅問題を描いています。我々日本人も含め、海外の観客にこの作品で訴えたかったことはどんなことなのでしょう? バーラニ:正直、予想していた以上に海外の観客から強いリアクションがあって驚いているんだ。最初に上映されたヴェネツィア映画祭でも大きく取り上げられたし、何よりもすごかったのはギリシャでの上映だね。
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『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』 (c)2014 99 Homes Productions LLC All Rights Reserved

——あぁ(苦笑)。 バーラニ:「これは現在のギリシャの状況を描いた作品だ!」ってみんなが口々に言っていた。だから、これはアメリカの国内問題を描いている作品だけど、それと同時に今の世界のどこにでも起こり得る出来事を描いた作品でもあるんだ。人口1%の人々が、残り99%の人々を上回る富を独占している。すべての発端はそこにあって、僕は日本のことはあまり知らないんだけど、きっとそれは日本でも変わらないんじゃないかな。あるいは、日本の社会はもうちょっとまともなシステムで動いているのかもしれないけれど、だとしたら僕らは日本を見習わないとね。 ——いや、見習うべきようなところはないんじゃないかな(笑)。日本ではより狡猾にシステムが出来上がっていて、その「99%問題」が人々にとって見えにくくなっているだけだと思います。 バーラニ:それは残念だ(笑)。
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『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』 (c)2014 99 Homes Productions LLC All Rights Reserved

——本作でその1%を象徴しているのは、マイケル・シャノン演じる悪徳不動産ブローカーということになるのでしょうか? 本作を観ていて自分が思ったのは、彼もまた加害者であると同時に社会の被害者であり、本当に憎むべき1%、倒すべき1%というのは、あくまでも顔の見えない存在として経済を支配しているんじゃないかってことなんですが。 バーラニ:そう。真の悪魔はシステムの中に潜んでいる。マイケル・シャノン演じるキャラクターは、そのシステムが生んだモンスターに過ぎないんだ。作品を観ながら気づいたと思うけれど、この作品にでてくるキャラクターは、最初は白黒はっきりしているかもしれないけれど、途中から善悪の境目がわからないようにあえて描いているんだ。その構造が、自分でも気に入っているところだし、きっとこの作品が高く評価されたところだと思う。アンドリュー・ガーフィールド演じる主人公は不動産ブローカーという悪魔と取引をするわけだけど、その悪魔もまた、どこかで悪魔と取引した普通の人間に過ぎないんだ。幼稚園児や小学生で「将来、不動産ブローカーになりたい!」なんて言う子供はいないだろう? でも、彼らは他に選択肢がないからその仕事について、そしてその仕事につくと今度は他に選択肢がないから悪魔の役割を担うことになる。そうやって、社会というものはできていると思う。

「トランプにも観てほしいけど、彼はきっと新しい詐欺の方法を思いつくだけだろう」

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ラミン・バーラニ監督 (c)2014 99 Homes Productions LLC All Rights Reserved

——その社会を変えていくためには、何が一番必要だと思いますか? バーラニ:ふーっ(深いため息)。そこが難しいところなんだよね。僕にできるのは映画を作ることだけで、映画で今の世界において何が起こっているかを人々に観てもらうことしかできない。僕自身、このテーマで今回作品を撮ろうと思って現地にリサーチにいいったわけけど、実際にリサーチするまではここまでひどいことが起きているなんて知らなかった。特に自分がショックを受けたのは、作中でも描いているけれど、この住宅問題を扱う際の法廷の風景だった。ほとんどの判決は自動的に60秒以内に下されていく。なにしろ、この問題で投獄された人間は一人もいないんだ……。でも、こうやって今ここで君とこの作品について会話をしているように、映画を作ることで、そこに会話が生まれる。会話、会話、会話。とにかく僕にできることは問題についての会話を生み出すことで、その会話が世の中を少しでもいい方向に変えるきっかけになることを願うだけだよ。 ——本作が描かれた世界から、現実では5〜6年の時間が経っています。状況は改善しているのでしょうか? バーラニ:改善しているとは言い難いね。相変わらず司法は不動産ブローカーを野放しにしたままだ。それに、ふーっ(深いため息)、今のアメリカではドナルド・トランプのような人間が台頭してきている。僕は、彼にこの作品を観てほしいと思っている。でも、きっと彼のような人間は、この作品を観ても心を痛めるどころか、新しい詐欺の方法を思いつくだけだろうね(苦笑)。
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『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』 (c)2014 99 Homes Productions LLC All Rights Reserved

——(苦笑)。アンドリュー・ガーフィールドは言うまでもなく『スパイダーマン』のピーター・パーカーであり、マイケル・シャノンは『マン・オブ・スティール』のゾッド将軍です。彼らのようなトップ・アクターが、このような社会性の強い作品に出ることはとても意味があることだと思いますが、あなたはエンターテインメント作品と社会派作品の境目をどのようにとらえていますか? バーラニ:僕にとってその作品がエンターテインメント作品であるか社会派作品であるかというのはまったくどうでもいいことで、関心があるのはグッとくるストーリーがあるかどうか。それだけなんだ。そして、一番興味があるのは、これまで映画が描いたことのない世界を描きたいということ。今回の作品は、まさにそういう作品になったと思う。……それと正直に言うと、僕はアンドリューが演じた『スパイダーマン』シリーズを一本も観てないんだ。
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『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』 (c)2014 99 Homes Productions LLC All Rights Reserved

——本当に!? それでキャスティングしたんですか!? バーラニ:主人公がマントをつけて高層ビルの間を飛び回っているようなバカバカしい映画には興味がないんだ。 ——(「スパイダーマンはマントをつけてないのに」と思いながら)はい(苦笑)。 バーラニ:アンドリューをキャスティングしたのは、彼が主演していたブロードウェイの舞台『セールスマンの死』に深く感銘を受けたからなんだ。そして、彼は『スパイダーマン』よりももっと“意味のある”作品に出ることを強く望んでいた。それに、『スパイダーマン』を観なくても、アンドリューがとても優れた役者であることはわかるよ。いや、観ないほうが、よりわかるかもしれない(笑)。 (取材・文=宇野維正)

『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』予告編

■公開情報 『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』 2016年1月30日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開 監督:ラミン・バーラニ 脚本:ラミン・バーラニ、アミール・ナデリ 出演:アンドリュー・ガーフィールド、マイケル・シャノン、ローラ・ダーン 提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム  (c)2014 99 Homes Productions LLC All Rights Reserved 公式サイト:http://dreamhome99-movie.com/