参院選“注目”当選者、渡邉美樹と山本太郎に公選法違反の疑惑浮上…投票勧誘めぐり

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。
DVD『社長 渡邉美樹』(ポニーキャニオン)
 大方の予想通り、自民党の大勝に終わった7月21日投開票の参議院議員選挙。ねじれ国会の解消、決められる政治、その反面の強引な国会運営や“右傾化”への懸念など、この1カ月で定着した論点で選挙結果が振り返られているなかで、インターネットを中心にふたりの新人議員が注目を集めている。ワタミグループの創業者で自民党公認の渡邉美樹氏(比例区)と、脱原発を旗印にした元俳優・山本太郎氏(東京選挙区)だ。  渡邉氏については、出馬表明時から「自民党はブラック企業の社長を公認するのか」と批判が集中。6月28日には自民党本部前で公認撤回のデモ活動が実施された。2008年にワタミで起こった社員過労死事件の被害者・森美菜さんの両親が、自民党議員に要望書を手渡そうとするも門前払いを受けそうになるなど、自民党の対応にも注目が集まっていた。  6月22日付の日刊ゲンダイ記事にコメントを寄せた政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、ワタミが従業員に配布する理念集に書かれた「365日24時間死ぬまで働け」のフレーズを受けつつ、次のように“厳しい現実”を指摘している。 「民間人である選挙中は、世間のブラック企業批判にも“立て板に水”でいられましたが、これからは国会の場に引きずり出されます。渡邉氏が議員バッジをつけている限り、本人も自民党も野党の攻撃と質問にさらされるでしょう。街中で目撃されようものなら、『もう帰るんですか?』なんて言われかねません。針のムシロになるのではないか」 つづきを読む

渡邊ワタミ元会長、参院選投票日直前に全社員へ選挙協力要請?自民党内からも異論噴出

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) セブン、独り勝ちの秘密と懸念材料とは?カギはPB、銀行、カフェ… 日本国債暴落で大儲け狙う世界の投資家たち…アベノミクスで高まる、財政破綻懸念の声 減速する中国経済が抱える3つの爆弾 当局は報道規制、アベノミクスの懸念材料に… ■特にオススメ記事はこちら! 渡邊ワタミ元会長、参院選投票日直前に全社員へ選挙協力要請?自民党内からも異論噴出 - Business Journal(7月24日)
DVD『社長 渡邉美樹』(ポニーキャニオン)
 7月24日発売の「週刊文春」(文藝春秋/8月1日号)と「週刊新潮」(新潮社/同)がそろって、7月21日に投開票された参議院議員選挙で苦戦を強いられたワタミ前会長の渡邉美樹氏の選挙戦について報じている。  今回の参院選は、昨年12月の衆院選での圧勝劇や、株価上昇なども招いたアベノミクスの勢いそのままに自民党が現行制度で過去最多の65議席を獲得した。しかし、総務省によると投票率は選挙区選、比例選ともに52.61%と、過去3番目の低さだったという。そんな中、当落をめぐって注目されていたのが、一部で“ミスターブラック”との異名をとる渡邉氏である。  これまで渡邊氏が会長を務めていたワタミをめぐっては、文春が批判キャンペーンを組むなど、そのブラック度について世間を賑わせていた。文春の6月13日号では、ワタミ全社員に渡される「理念集」の中で「365日24時間働け」などと書かれていることや、かつて渡邊氏が勤務中の休憩時間について「12時間のうち、飯を食える店長は2流だと思っている」などと発言したことなどを報じている。また、6月20日号ではワタミのグループ会社「ワタミの介護」が運営する施設で事件や事故が続出していること、さらに6月27日号では渡邊氏が理事長を務める郁文館夢学園の「ブラックすぎる学校経営」と、3週連続でワタミ批判を展開した。  こうした逆風が吹き荒れる中、渡邊氏は今年5月31日自民党本部で会見を開き、参院選に自民党公認で出馬することを表明。さらに同日、自身のホームページ上で「『ブラック企業』と呼ばれることについて」(http://www.watanabemiki.net/journal/post-475.html)と題し、ワタミの離職率、年収、時間外労働、メンタルヘルス不調のために欠勤・休業している社員の割合を厚労省が発表している宿泊・飲食サービス業の数値と比較し、「一部の情報だけを持って、一方的にワタミグループをブラック企業と呼ぶことは、到底、受け入れられません」と反論した。  これに対し、ワタミの社員だった娘が過労のため自殺し、労災認定された両親が、渡邊氏の立候補取り消しを求め自民党本部を訪れたり、同党の平沢勝栄衆議院議員が6月28日深夜に放送された『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)で、渡邊氏の公認をめぐって「(公認)をやめたほうがいいということですね」という質問に「ということですね」「私個人の考えですけど、ぜひそういう形に持ってきたいな、と」と発言するなどの一幕もあった。  こうした自民党内でのゴタゴタについて、本日発売の新潮では自民党のベテラン代議士が「渡邊さんの擁立は、自民党の参院に相談なしで決められた。そのため、参院の幹部は、カンカンに怒っていますよ」と語ったという。また安倍総理を支え評価の高い菅義偉官房長官が渡邊氏を選挙に引っ張り出したことで、菅氏の失点になるかもしれないともいう。  また、同じく本日発売の文春の記事によると、世間のブラック企業批判で当選が危ういと思ったのか、「17日の朝、渡邊氏からワタミの全従業員に『元会長の緊急メッセージ』というビデオレターが、社内メールで配信」されたという。ビデオレターでは、渡邊氏が「携帯電話全部にね、ちょっと『ねーねー頼むよ』という形で話をしてくれたら嬉しいなと思います」と、社員に選挙協力を要請したとも受け取れる内容だったという。  こうしたワタミ社員の協力があったかどうかはわからないが、結局、渡邊氏は自民党が獲得した比例18議席の16位で当選した。  なんとか当選した渡邊氏が「私は1年生。『1年生は何でもやります』というのが私の会社でも正しい回答だ」と語ると、ネット上では「じゃあ、24時間365日働け」「これは過労死するまで働くってことだよな」「とりあえずブラック企業根絶をやってもらおうか」など厳しい言葉が飛んだと、7月23日配信の日刊ゲンダイ記事(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130723-00000011-nkgendai-ent)が報じている。  参議院議員になった渡邊氏が、ワタミで行ったような徹底した人件費削減で国会議員の定数も減らしてくれるのか。はたまた、理事長を務める郁文館夢学園で教師の携帯電話番号を生徒に教え「365日24時間電話していい」という斬新な方式を国会議員と有権者にも適用し、国会議員全員の携帯電話番号を有権者に教えるのか。さらに、国会の場でブラック企業批判に今後どう答えるのか。さまざまな意味でその言動と手腕に注目が集まる。 (文=本多カツヒロ) ■おすすめ記事 セブン、独り勝ちの秘密と懸念材料とは?カギはPB、銀行、カフェ… 日本国債暴落で大儲け狙う世界の投資家たち…アベノミクスで高まる、財政破綻懸念の声 減速する中国経済が抱える3つの爆弾 当局は報道規制、アベノミクスの懸念材料に… 防衛大卒、なぜ大手企業採用担当者たちから大人気? 自衛官任官拒否への賛否両論 AKB篠田激白、卒業直前の心境と「潰すつもり」スピーチの真相、卒業に福岡選んだ理由

どこか宗教じみたワタミの渡邉美樹氏背後に女性占い師!?

――ただ今無料キャンペーン中「サイゾーpremium」から、本日公開の最新号をいち早くお届け!! ■月刊サイゾー8月号トップニュース 『どこか宗教じみたワタミの渡邉美樹氏背後に女性占い師!?』(2013年8月号「NEWS SOURCE」より)
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(写真/江森 康之)
■ワタミ女性社員過労死問題 2008年に、居酒屋「和民」の女性従業員が入社2カ月後に自殺。この従業員は、7日間連続の深夜勤務を含む長時間労働など過酷な労働環境に置かれていたことが明らかに。これを踏まえ、裁判所は12年2月に女性の死亡に労災適用を認定した。同社元会長の渡邉氏は、SNSで謝罪の言葉を述べたが、遺族との話し合いには応じていない。  ブラック系企業とそしりを受けながらも7月21日に投開票が行われる参議院選挙に、自民党から公認を受けて出馬を表明したワタミの元会長・渡邉美樹氏。  出馬表明をした同氏は、ブラック企業報道に対して「間違ったこと」と否定し、「『正義は勝つ』と思っています。心は揺れていません」と選挙に向けて強気の姿勢をアピールしている。  だが28日には、同社に勤めていた娘が過労死した遺族が公認撤回を要請するため、自民党本部に乗り込み、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)では、同党の平沢勝栄衆議院議員が渡邉氏公認の是非について「やめたほうがいいと思う」と発言するなど、党内でも揉めに揉めていたことがわかる。
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ワタミ経営の老人ホーム「ワタミの介護」にも随所に“祈り”が。
「実際、アベノミクスでインフレを目指す自民党が、デフレの中で成長してきたワタミと組んでは、政策的に矛盾しているといった印象を支持者に与えてしまうこともあり、党内でも反対意見はあった。ただし、今回公認を取り付けるに当たっては渡邉氏側からなんらかの見返りがあったという話もあり、これが本当なら党執行部としては公認を取り消すワケにはいかないだろう」(自民党関係者)  そして、参院選公示日の7月4日、晴れて渡邉氏は自民党公認候補として出馬が認められた。  本稿執筆時は投票前ゆえ結果は定かではないが、そんな彼が、信奉するという女性占い師の存在が漏れ伝わってきた。 「その人物は、もともと平沼赳夫衆議院議員が信奉していた占い師。渡邉氏は、平沼氏とともに『たちあがれ日本』の代表を務めていた与謝野馨氏から紹介を受けたという。その人物が、彼の政界とのパイプを担っており、自身も相当ご執心なようです」(同)  この占い師の影響は強く、渡邉氏は彼女の広報役としても動いているようだ。  確かに、そのブラックな実態と反して、あまりにキレイ事な「地球上で一番たくさんの ありがとう を集める」などのワタミの社是にも、どこか宗教めいたものが感じられる。果たして、占い師はどんな選挙結果を予言しているのだろうか? (編集部) 【ただ今絶賛無料キャンペーン中「サイゾーpremium」では他にも最新号の記事を続々配信中!】【山本譲二】が語るタブーな演歌!『“パンティー頬ずりしてる”吉幾三が貫いた東北訛り』【石橋杏奈】「ひいき球団とのゲーム差は要チェックです」清純女優はガチ野球ファン!【岸明日香】昭和の歌が好きなんです。
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ワタミにユニクロまで!! 不況下で伸びている企業はキケン!?“黒い会社”を生み出す日本型雇用の限界

――月刊サイゾーがウェブで読める「サイゾーpremium」から、今ホットな話題に関する記事をご紹介!  08年に女性社員が労働自殺を図り、以降ブラック企業のイメージが拭えないワタミ。その前会長である渡邉美樹氏が、7月21日に投開票が行われる参議院議員選挙に自民党公認で立候補するも、党内外で公認取り消しを求める気運が高まっており注目を集めています。「365日24時間死ぬまで働け」の名文句(?)を生み出しながらも、「ワタミはブラック企業じゃない!」とも宣う渡邉氏ですがはてさて。サイゾーでは過去に「ブラック企業」についても徹底研究しています。ワタミだけじゃない、日本企業に蔓延するブラック体質を生み出すその原因とは? ■今回のピックアップ記事 『ワタミにユニクロまで!! 不況下で伸びている企業はキケン!? “黒い会社”を生み出す日本型雇用の限界』(2012年5月号「崩壊する超優良企業」特集内より) ──過酷な労働や違法性の高い事業などを行う、いわゆる「ブラック企業」は、これまでも幾度となくネットや週刊誌などで注目を集めてきたが、こうした企業がなくなる気配はない。なぜ、現在の日本において「ブラック企業」は生まれ続けるのか? 識者の言や経営者たちの名言から、その背景を読み解いていこう。
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(絵/河合寛)
【ブラック企業の特徴1】 ■社長の権力が絶大 独裁者的な社長に権力が集中し、過酷な労働環境を従業員に強いているブラック企業も多い。社長のカリスマ性が社員をリードしているうちはいいが、スキルアップや将来の生活を保障せず、ただ使い捨てるためだけに強権を振るう経営者もいるため、十分に見極める必要がある。特にベンチャー企業の経営者には、このタイプが多いかも。 【ブラック企業の特徴2】 ■不況下でも成長を続ける 長引く不況で、高度成長期のように日本社会全体が右肩上がりで成長することは難しくなってきた。もちろん、そんな中でも業績を伸ばし続ける企業もあるが、その裏で従業員にしわ寄せがいっていることも多い。低賃金で長時間の労働を社員に押し付けて、不況下で利益を保っている企業もあるのだ。 【ブラック企業の特徴3】 ■夢ややりがいを売りに ブラック企業は、過酷な労働に耐え得る人材を育成するため、過剰に「夢」や「やりがい」を社員に押し付ける傾向がある。社員の人格を否定するような新人研修がテレビ番組で放送され問題になった「餃子の王将」など、どう考えてもブラックだと判断せざるを得ない社員教育を行っている企業も多い。若者の「夢」を食い物にする悪徳企業には要注意! 【ブラック企業の特徴4】 ■よくわからない横文字職業 求人広告でよく見かける、耳に聞こえのいい横文字職業。しかし、ブラック企業アナリストの新田龍氏によると、実態はだいぶ異なる。「オフィスIT化のコンサルティング営業」はコピー機の販売、「アミューズメントスタッフ」はパチンコの店員、「ハウスメンテナンスアドバイザー」はシロアリ駆除の訪問営業などなど。イメージに騙されてはいけない。 ──もはや一般的となった「ブラック企業」という言葉が、昨今再び世間を賑わせつつある。今年2月、ワタミフードサービスに勤務していた女性新入社員の自殺は、月100時間を超す残業が大きな要因だったとして、労災認定された。これに対して、同社の創業者・渡邉美樹氏が「労災認定の件、大変残念です。(中略)労務管理できていなかったとの認識は、ありません」とツイッターで発言し、波紋が広がったことも記憶に新しい。  現在の就職市場においては「やっとの思いで入社した企業が、過酷な長時労働を強いるブラック企業だった」といったことも頻繁に起こっている。厚生労働省の調査によると、今年2月1日現在の大卒内定率は80・5%で前年度比3・1%の増。しかし、調査を開始した96年以来、3番目に低い水準で、企業に有利な超買い手市場であることには変わりない。そんな中、「内定をもらえるなら、どんな企業にだって入社したい」と考える学生も多いのだろう。しかし、こうした切実な思いを逆手に取って、手ぐすねを引いて待っているブラック企業があまた存在するのだ。  本誌でも追求したが、08年頃には、セブン-イレブン・ジャパンや日本マクドナルドにおいても、実際には、役職にふさわしい権限などを与えていないのにもかかわらず、「管理職」に任命することによって、残業代などを削減する、いわゆる「名ばかり管理職」が横行していたことが問題となった。このように、人気就職先に名前が挙がるような有名企業でも、”黒い”体質を持っているケースがあると、ブラック企業アナリストの新田龍氏は言う。 「学生に人気が高いJTBはとにかく売り上げのノルマが厳しいことで有名。窓口での売り上げだけではなく、自社の商品券の販売ノルマもあって、さばき切れなかった場合は自分で購入することもざらです。これは、『自爆営業』と呼ばれ、金券ショップにこれらの商品券がたくさん置いてあるのは、社員が購入した分を売り払っているからだという噂もあります」(新田氏)  さらに、ある専門家からは、こんな意見も聞かれた。「ユニクロはグローバル企業をうたい、一般的な企業イメージは良いのですが、実際には過酷な長時間労働などで知られ、『ブラック企業』だとする声も多いです。しかし、こうした報道に対して、同社は出版差し止め要求や名誉毀損での数億円単位の民事訴訟を起こすといった前例があるため、マスコミもあまり実情を報じないのが現状なのです」。事実だとすれば、恐ろしい話である。  このように大企業といえども、ブラック企業といえるような企業も多数存在している。では、そもそもブラック企業とは、どのような企業なのだろうか? 今号特集内「経済小説家座談会」において、評論家の佐高信氏は「企業なんてそれそのもの、全部がブラック」だと掲げていたが、一般的なイメージとしては、「サービス残業などの労働基準法違反や、パワハラ、セクハラが横行している違法な会社」【「ブラック企業と法のキケンな関係」参照】といったものだろう。そのほか、ネットワークビジネス【「”原則違法”なマルチ商法の落とし穴」参照】やねずみ講、高額商品を無理やり契約させるキャッチ商法など、違法性の高い事業を行っている業者もブラック企業といわれている。そういった企業は、インターネット上で「ブラック企業ランキング」としてまとめられ、就職活動生の多くが目を通しているが、それでも入社してしまう学生が跡を絶たないのは、前記の通りである。  しかし、一口にブラックと言っても、人によって受け取り方はさまざま。とらえ方によっては些細な問題でも、「ブラック」と判断できてしまうことも確かだ。社会人経験のない新卒採用の社会人が安易にブラック企業のレッテルを貼ってしまうことへの批判も当然あり、いたずらに、「ブラック企業への不安」を煽るだけでは、現状を打開することはできない。そこで、ブラック企業の定義を改めて問い直し、なぜ現在の日本でにわかに問題となっているのかを、識者の話から検証していこう。 ■違法なだけではなく社員を捨て駒扱い  まずは、ブラック企業とはどのように定義されるのか? 前出の新田氏は「経営者に労働基準法を筆頭とした法律を守ろうとする意識がなく、自分たちの私利私欲のために、社員、取引先、顧客をないがしろにしている会社」をブラック企業とする。 「特に、社員に過剰な自己成長を煽る経営者には要注意です。社員の成長の基準は経営者自身が勝手に決めることができるため、ハードワークを行うことが『成長』の条件だと、都合のいいように定義されてしまうことにつながるからです。また、社員の自主性をうたう経営者にも気をつけたほうがいいでしょう。社員自身に高いノルマを設定するように誘導し、それを『自主的』だと胸を張っている勘違いな経営者もいます」(新田氏)  さらに、若者の労働問題などに取り組むNPO法人「POSSE」代表の今野晴貴氏は、ブラック企業をこう定義する。 「サービス残業や過労死といったものは、『ブラック企業』という言葉が出てくる以前から、日本社会で問題になっていました。しかし、その代わりに生涯を通じて生活の面倒を見るという企業が多かったことも事実です。一方、現在のブラック企業には、まったくそんな心づもりはなく、使えなくなったら容赦なく社員を切り捨てようとする。つまり、労働者が『働き続けられる環境があるかどうか』で判断したほうが、現在のブラック企業の定義を考える上で有効です」  すなわち、「労働基準法違反」や「違法な行為を行なっている」という観点だけでは、ブラック企業を見分けることができないという。今野氏はこう続ける。 「90年頃のバブル崩壊までは、過酷な労働をしなければいけないのは若い時期だけで、年齢を重ねるごとに過酷さはだんだんと緩和され、給料も上がっていくという認識が労使間で共有されていました。いわゆる日本型雇用といわれる終身雇用や年功序列といった制度がその典型です。その代わり、社員は企業の命令を絶対的に遵守するという、ある種の『契約』があったわけです。つまり、賃金が支払われないサービス残業など、違法なことを我慢する代わりに、得るものも大きかったといえます。しかし、そうした日本型雇用を維持できたのは、70年代以降も続いた日本の右肩上がりの経済成長があったからこそ。バブル崩壊以降は低成長時代に突入し、企業が社員の生活を守る力がなくなっているのにもかかわらず、企業の強い命令権だけが残ってしまっている状態です。そのため、ブラック企業が現在、社会的な問題になってきているのです」  社員を育て、生活を守っていくつもりのない企業にとって、社員はまさに捨て駒。人件費の安い若い時期に猛烈に働かせ、ある程度の年齢になったら切り捨てるという手法も横行しているという。それに加え、ブラック企業は社員のスキルを伸ばそうとせず、OJT(企業内教育)が皆無に等しいことも特徴として挙げられる。結果、「転職しても、ほかの会社でやっていけるのか」と社員が不安を募らせ、退職を妨げることになってしまう、と今野氏は語る。 ■ブラック企業を生み出す日本社会の構造的欠陥  このように労働者が圧倒的弱者となってしまう背景には、日本の社会制度の不備が指摘される。 「もともと日本では、手厚い企業福祉を前提として社会設計がなされていた側面があります。住宅手当や家族手当など、本来では国家が税金を通じた再配分で保障する部分を、企業福祉が代替していました。しかし、長引く不況で企業は手厚い福利厚生を維持できなくなってしまったことから、労働者には相当きつい社会になっていると言えます」(同)  今野氏いわく、現状を打開するためには「高福祉、低命令、低処遇」の社会を目指すしかないという。要点をまとめると、「国が社会福祉を充実させ、企業の命令権を法規制で弱める。その代わり、労働者は給料などの処遇を低い水準で我慢するという方策を取る」という主張だ。 「社会福祉をしっかりやれば、中小企業は関連の仕事が増え、国内産業を育てることができます。そして、子どもを育てられるような状態ができ、少子化にも歯止めがかかって内需の拡大が期待できます。つまり、高所得で海外旅行に行きまくるなどといった生活は我慢しましょうということです」(同)  経済成長に関する考えの是非はこの場では置いておくが、現在の社会構造がブラック企業を生んでいる以上、日本社会を法制度などから改革していく必要があるということは間違いないだろう。もちろん、個々の企業が法律を遵守し、社員のワークライフバランスを考えることを前提としての話ではある。その上で、これまで見てきたように、ブラック企業が生まれる背景として、個々の企業の問題だけにとどまらず、日本社会全体の問題が存在することを忘れてはならない。  また、こうした社会構造に欠陥がある中で成長している企業は、売り上げを伸ばすために「無理」をしている可能性があると、前出の新田氏は指摘する。その「無理」が、社員にとっては「ブラック」になっているとも考えられる。 「オフィスから椅子を全廃したキヤノン電子など、現在、『革新的経営』ともてはやされている企業などは、裏で従業員にしわ寄せがいっていることも多い。カリスマ的経営者がメディアで発言し、称賛を得ているケースをよく見かけますが、とどのつまりそういった企業は、経営者にとっての『優良企業』であることが大半です」(新田氏)  すべての企業とまでは言わないが、このご時世で企業を成長させていくためには、低賃金で長時間働く従業員がいるにこしたことはない、というのが経営者としての本音ではないだろうか。もしそのような考えを経営者が持っているのなら、世間や従業員に対し、さまざまな詭弁を弄して、自身や企業に都合がいい「革新的経営」の正当性を保ち続ける必要がある。そこで、次ページからは、企業経営者たちの著書やインタビューを参考に、彼らが発した名言に潜む、企業の「ブラックさ」を検証していきたい。 (文/宮崎智之) 「サイゾーpremium」では他にもブラック企業をぶった斬る記事が満載です!】企業乗っ取りも当たり前!? ブラック企業アナリスト・新田龍氏が選ぶ“社会的”ブラックな有名企業「死ぬまで働け!」「勝てば官軍」「弱い兵士は守らない」 経営者の名言で見るブラック企業キャリアコンサルタントが匿名で語る 転職のプロが選ぶ「”働きたくない”会社はココだ!」
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ワタミ会長、ブラック&“斬新な”学校経営で教員大量退職…「不満なら辞めろ」

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) ジローラモのモッコリ満載! SMをお薦めするLEONの下着特集がすごい ネットでカード決済はやっぱり危険?情報漏洩事故で露呈…対処法と便利なサービス iPad、望まざる大幅値上げのワケと、再度の値下げはないと見るインフレ経済学的根拠 ■特にオススメ記事はこちら! ワタミ会長、ブラック&“斬新な”学校経営で教員大量退職…「不満なら辞めろ」 - Business Journal(6月20日)
DVD『社長 渡邉美樹』(ポニーキャニオン)
 6月20日発売の「週刊文春」(文藝春秋/6月27日号)が、かねてよりブラック企業との呼び声が高いワタミについて、みたび追及している。  ワタミといえば、作家や弁護士、大学教授が主催する「ブラック企業大賞2012」であの東京電力を抑え見事1位を獲得するなど、そのブラックな噂は周知のとおり。  文春では、先週、先々週号とワタミの特集を組んでいる。6月13日号では「自民党参院候補 ワタミ渡邉美樹会長は“Mr.ブラック企業”これだけの根拠」と題し、ワタミのブラック度を追及。記事によれば、ワタミグループでは全社員に『理念集』という冊子が渡され、その中には「365日24時間働け」「出来ないと言わない」などの言葉が掲載され、勤務時間について「『成し遂げる』ことが『仕事の終わり』であり『所定時間働く』ことが『仕事の終わり』ではない」と勤務時間に捉われることなく仕事をしろと書かれているという。  さらに勤務中の休憩時間について「12時間のうち、飯を食える店長は2流だと思っている」と渡邉氏が発言したともいう。それを裏付けるかのように記事では元社員が「勤務時間は夕方から明け方まで12時間以上なのに休憩はとれても30分」と告白している。  この文春の記事に対し、渡辺氏は6月6日のツイッターで「本日の一部週刊誌記事は、明確に事実と異なる点があり、弁護士を通じて対応いたします。尚、今後も事実に基づかない記事掲載等には、毅然とした対応をして参る所存です」と提訴も辞さない姿勢を示した。  また、記事が出る約1週間前の今年5月31日の渡邉氏の公式サイトには「ブラック企業と呼ばれることについて」と題した記事を掲載。ワタミの外食事業の離職率、年収、時間外労働時間、メンタルヘルスの不調について各種統計を見ても同業他社を下回っていると主張している。  ちなみに、ワタミには外食店舗のアルバイト採用に関する問い合わせセンターがある。36歳の筆者でもアルバイトできるか聞いたところ「受付の段階では年齢制限は設けていません。アルバイトには学生が多いですが、36歳でも極端な差はないのではないでしょうか」とまずは年齢はOKだった。しかし、文春で報じられているように休憩時間が取れないということはないか不安だと話すと、「6時間勤務で45分、8時間勤務で1時間しっかり取れます。私は正社員ですが、きちんと休憩時間を取っています」とのことだった。 ●介護も教育も「ワタミ式」で問題続出 !?  続く6月20日号の文春では、ワタミのグループ会社「ワタミの介護」が運営する施設で事件や事故が続出していると報じている。記事によれば、昨年2月板橋区のレストヴィラ赤塚に入居していた当時74歳の女性が入浴中に溺死したが、当初ワタミ側は遺族に病死の可能性が高いと報告していた。しかし、警察の捜査や司法解剖の結果、溺死と判明したという。また神奈川県川崎市のレストヴィラ元住吉に入居していた当時87歳の男性は床ずれが悪化し、敗血症になるまで放置され、その後入院したが5日後に死亡したという。  入院直後、男性の家族がワタミ本社を訪れ、渡邉氏や清水邦晃・ワタミの介護社長と面会した際に、渡邉氏が「1億欲しいのか」と言い放ったという。他の施設でも事故が起こっており、入居者の家族は「スタッフの人数が少ない」と口を揃えているという。  そして追及第三弾となる今週の文春では、「“ブラックすぎる”学校経営」という特集を組んでいる。2003年に渡辺氏は郁文館(現・郁文館夢学園)の理事長に就任。元教員は「渡辺さんが来てからの5年間で私の給料は3分の2に減りました」と告白。また、03年度には教職員のボーナスを6カ月から4カ月にカットしたという。渡邉氏は「教員の給与はワタミの社員と比べ高い。不満ならどうぞ辞めてください」と言い放ったという。  結果、ベテラン教員が辞め、月給の安い講師を採用せざるを得ないとのこと。これについて「人件費を抑えて採算をとるというのが、渡邉流なのですが、これを教育分野にも導入したのです」と経済ジャーナリストが指摘している。  さらに第1弾で登場した『理念集』に記されているという「365日24時間働け」と同じく、著書で渡辺氏は教員に対し「プライベートな時間はなく、子どものために24時間365日、全身全霊捧げます」と求め、郁文館では教師の携帯電話番号を生徒に教え「365日24時間電話していい」と伝えているという。こうした熱血指導の甲斐あってか、渡辺氏が理事長に就任した03年3月から2年で教員が30人辞め、今年3月に中学を卒業した学年では、3年間で14名の生徒が転退学したという。06年、第1次安倍内閣の教育再生会議の有識者会議メンバーに起用されただけのことがあって、やることが斬新すぎるきらいがあるようだ。  7月4日公示で、21日投開票される見通しの参議院選挙。今回の選挙よりインターネットを使った選挙運動が解禁されるが、こうしたブラックな噂はネットでの広がりが速そうだ。自民党公認候補として参院選に出馬する渡邉氏の今後の対応に注目が集まる。 (文=本多カツヒロ) ■おすすめ記事 ジローラモのモッコリ満載! SMをお薦めするLEONの下着特集がすごい ネットでカード決済はやっぱり危険?情報漏洩事故で露呈…対処法と便利なサービス iPad、望まざる大幅値上げのワケと、再度の値下げはないと見るインフレ経済学的根拠 料理やワインで外交の質が決まるわけではない、は田舎者の発想である〜外交の危機 川崎重工臨時取締役会の舞台裏 日経スクープから解任劇へ発展 リークしたのは誰だ?

「1億円欲しいのか」報道のワタミ会長、著作でブラック企業肯定論を展開?

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きみはなぜ働くか。―渡邉美樹が贈る88の言葉』(日経新聞社)
  ワタミ株式会社(以下、ワタミ)をめぐる6月13日発売の「週刊文春」(文藝春秋/6月20日号)の記事が話題となっている(http://shukan.bunshun.jp/articles/-/2807)。文春の報道によれば、ワタミが運営する老人ホーム「レストヴィラ元住吉」に入居し、不適切な介護によって死亡した男性の遺族に対して、同社の渡邉美樹会長は「1億欲しいのか」と言い放ったとのこと。  このような告発が後を絶たないワタミだが、同社が”ブラック企業"としての地位を不動にした、2008年の過労死事件から5年。この事件がいまだ遺族との和解に至っていないにも関わらず、渡邉会長が東京都知事選に続き、今夏の参院選に出馬の意向を表明していることから、反発の声が相次いでいる。  この渡邊会長が06年に出版した著書『きみはなぜ働くか 渡邉美樹が贈る88の言葉』(日本経済新聞社)を、今あらためて紐解いてみると、白いカバーには不釣合いの黒光りした言葉のオンパレードとなっている。佐川急便のトラックドライバーから出発し、一代で売上高1577億円(平成25年3月期)の優良企業を築き上げた渡邊氏。しかし、売り上げの黒字化の裏で、12年には「ブラック企業大賞2012」にノミネートされるという偉業を成し遂げてみせた。  ここでは彼の語る哲学をじっくりと見聞してみよう。  毎月ワタミ全店舗に送られるビデオレターをもとにして構成された本書。「夢を追う人は人生を後悔しない」「どんなときも『敬天愛人』の心をもって」といった人生訓から「想像力があれば、シゴトはすべてうまくいく」「プロのシゴトに『裏ワザ』はない」といった仕事論まで、渡邊氏が培ってきた考えが余すことなく詰め込まれている。  まず、渡邊氏の座右の銘となっている「夢」について。「きみたちに今夢がないのは、親の責任である。親に夢がないから、子どもにも夢がないのだ」と独自の理論を展開し、「夢なくして何が人生か!」と啖呵を切る。彼の人生において、「夢を追い求めなければならない」という思考は一貫している。  では、ほかの面ではどうだろうか? あいさつをすること、敬語を使うこと、約束を守ることなどを例に挙げ「今、人間が人間として生きる上での常識が、少し欠如しているような気がする」と昨今の世相を嘆く渡邊氏。しかし、彼の「常識」の中には「長時間労働は法律違反」という文字が欠落しているように感じるのは気のせいか。  また、仕事論では、朝顔が花を咲かせるために夜の冷気と闇を必要とすることになぞらえ「勉強がつらい、シゴトがつらいと思っている人がいるかもしれない。しかし、きみにとってそれは必要な冷たい空気であり、必要な闇ではないだろうか」と説く渡邊氏。解釈次第では、まるでワタミ=闇=ブラックであることを肯定しているかのような印象を読者に与える。その闇を抜け出せぬまま精神を傷つけた元社員たちの存在を、彼はどのように考えているのだろうか?   さらに、週刊文春でも報じられた「365日、24時間、死ぬまで働け!」というメッセージも本書には採録されている。「言葉のとおりそうしろというのではない。そんな気持ちで、働いてほしいということだ」と慌ててフォローを入れるが、実際に社員が過労死を遂げた現在となっては、悪い冗談にもならない。過労死事件が発生して以降も、この言葉が取り消されずに、ワタミ社内文書に掲載され続けているというから怒りを通り越して呆れるばかりだ。  「この本を手にとったみなさんが、それぞれの夢に向かい、キラキラと輝くような一生を送られることを願っています」というあとがきで締めくくられる本書。奴隷のように長時間働かされ、満足に寝ることもできない環境で、ワタミ社員たちは、どうやったら「キラキラと輝く一生を送」ることができるのだろうか。そもそも、本書のタイトルである「きみはなぜ働くか」という問いに対して、渡邊氏は「ワタミのためです!」と回答することを望んでいるのかもしれないが……。  参院選の出馬会見において、渡邊氏は「若い方々が元気よく夢を語れる社会にならなければならない」と語った。ブラック企業の経営者が国政に進出し、日本を"ブラック国家"に……そんな黒歴史になることだけは、絶対に勘弁してほしい。 (文=萩原雄太/かもめマシーン) ■おすすめ記事 本田圭佑、レーシック手術失敗に代わる新たな病気の疑惑浮上…W杯出場への影響は? AKB指原、テレビで初のセンターに立つも、笑顔になれず…自ら「画(え)が地味」 AKB卒業の篠田、秋元Pへ1年前から相談…「自分のやりたいものと変わってきた」 介護大手ニチイ学館に訴訟、一方的なケアプラン変更&解約で要介護者を見放しか 山岸舞彩騒動は氷山の一角?テレビ各局セクハラ事情…人気アナ、フリー転身の一因か

参院選出馬の陰で……飛び降り自殺から5年「金なら払う」終わらないワタミ過労死事件の今

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わたなべ美樹(ワタミグループ創業者)公式サイトより
 ワタミ株式会社取締役会長・渡邉美樹氏が、自らのブログで「『ブラック企業』と呼ばれることについて」というタイトルの記事を投稿したのは先月31日。離職率、給与、時間外労働時間、メンタルヘルス率などの数値をもとに「ブラック企業」の謗りに対して反論を行っている。折しもその2日前には、今夏に予定される参議院議員選挙への出馬を表明した渡邉氏。この記事を投稿した裏には、選挙を前に、なんとしても自身のイメージ改善を図りたいという意図が見え隠れする。  明確な定義は存在しないものの、「ファーストリテイリング」「ウェザーニューズ」「ゼンショー」など、ブラック企業と目される企業は多い。にもかかわらず、ワタミがその代表格とされるのは、5年前に起こった従業員の過労死自殺事件の記憶が尾を引いている。  2008年6月、横須賀市内のマンションから、26歳の女性が飛び降り自殺をした。飛び降りたのは、ワタミ京急久里浜店の社員であった森美菜さん。同年4月にワタミに入社し、わずか2カ月あまりで飛び降り自殺を図るまでに追い込まれた。遺書は残されていなかったものの、手帳には「体が痛いです。体が辛いです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい」という悲痛な文字が綴られていた。  1カ月の残業時間は140時間。彼女は国が認定する80時間の過労死ラインを大幅に超えて働かなければならなかった。さらに、家に帰れば課題である渡邉美樹氏の執筆した著書の読書感想文を書かねばならず、休日には介護施設などでの“強制的”なボランティアを強いられる。満足に睡眠を取ることもできないまま、ワタミでの2カ月間は過ぎていった。6月頭には母親と電話のやり取りで、しきりに「眠たい」「疲れた」と口にしていたという。そして6月12日、自宅近くのマンションから飛び降りた。肩掛けのバッグに入っていた財布からは、亡くなる数時間前に購入したシャンプーやリンス、そして「会社に行くため」に必要な目覚まし時計のレシートが見つかった。  日用品を買っていたということは、おそらく、彼女は「自殺をする」という強い意志を持っていたわけではないだろう。もしかしたら、飛び降りながらも、彼女は「自殺」という意識を持っていなかったかもしれない。睡眠不足の朦朧とした意識の中、正常な判断力を奪われた彼女は、マンションの手すりを越えた。彼女の死から4年を経た2012年、労災認定が下され、彼女の死は正式に「過労死」として認定された。  140時間の残業をはじめ、彼女がワタミから強いられた苦痛は“ブラック企業認定”を受けるのに十分だ。だが、ワタミのブラック企業としての行動はこれに終わらない。彼女の死後も、その遺族に対して呆れんばかり対応を見せているのだ。ワタミ過労自殺遺族を支援している全国一般東京東部労組書記長の須田光照氏は「彼らは金さえ支払えば解決すると思っているんです」と苦々しい顔を浮かべる。  交渉の過程で、損害賠償を支払う意向を示しているワタミ。もちろん、損害賠償の金額も重要だが、遺族側が求めていることは「娘がなぜ死ななければならなかったのか」という真相の究明と再発防止、ワタミ側の「誠実な」対応だ。 「渡邉美樹氏をはじめ、社内で責任ある立場の人が出てきて、遺族と会ってほしいという要望を提出しています。しかし、その要望はいまだ実現していません」(須田氏)  さらに、遺族の怒りを買う事件が昨年11月に起こった。  ワタミ側と面会を求める遺族側に対して、ワタミが提出した回答は「会長(渡邉氏)との“1回だけ”の面会」「面会時の録音不可」「労働組合の立ち会い不可」という条件のもとでの面会だった。「加害者側であるワタミは、条件を付けることができる立場ではないはず」。須田氏の顔は、怒りを通り越して呆れ顔だ。そして、膠着状態に業を煮やしたのか、ワタミは名古屋地裁に異例ともいえる加害者側からの民事調停を申し立てた。 「過労死問題において、被害者遺族が法的措置を取ることは一般的ですが、加害企業が法的手続きを進めるということは、これまで聞いたことがありません。申し立て趣旨は、ワタミ側が遺族側に対して支払うべき損害賠償の金額を決定するということです」(須田氏)  謝罪でも、真相究明でもなく「慰謝料の金額」にしか興味がないワタミ。その行動の背景には一刻も早く事件を過去のものとし、企業イメージの回復を図りたいという意図が見え隠れする。しかし、事件の真相が闇の中に葬られては、再発防止策など提出できるはずもなく、第二、第三の被害者が発生する可能性は残されたまま。何よりも、ワタミ側からの正式な謝罪がなければ、被害者遺族の気持ちも収まらないままだ。  会社としてだけではなく、経営者・渡邉氏の発表するコメントも世間の不興を買っている一因だ。被害者女性の死が過労死であると認定されたその日に投稿されたツイートは、お世辞にも「誠意がある」とは言えないものだった。
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「労災認定の件、大変残念です。四年前のこと 昨日のことのように覚えています。彼女の精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労務管理できていなかったとの認識は、ありません。ただ、彼女の死に対しては、限りなく残念に思っています。会社の存在目的の第一は、社員の幸せだからです」 「バングラデシュ朝、五時半に、イスラムの祈りが、響き渡っています。たくさんのご指摘に、感謝します。どこまでも、誠実に、大切な社員が亡くなった事実と向き合っていきます。バングラデシュで学校をつくります。そのことは、亡くなった彼女も期待してくれていると信じています」(原文ママ)  あまりに“身勝手すぎる”と受け取られたこれらの投稿が炎上し、「彼女に、心からお詫びをしなくてはならないと考えるに至りました」というコメントを余儀なくされた渡邉氏。しかし、被害者遺族に対する「心からのお詫び」は、この投稿がなされて1年以上を経ても果たされていない。  そもそも、渡邉氏の哲学には、疑問の声を呈する向きが多い。 「たとえ無理なことだろうと、鼻血を出そうがブッ倒れようが、無理矢理にでも一週間やらせれば、それは無理じゃなくなる」 「自分を犠牲にしてでも働くべき」 「営業12時間の内メシを食える店長は二流」  先日も、「週刊文春」(文藝春秋)が「365日24時間死ぬまで働け」と記された社内文書の存在を明らかにし、改めて渡邉氏の“哲学”に注目が集まったばかり(http://shukan.bunshun.jp/articles/-/2761)。厳しい経営哲学や格言も、過労死事件を引き起こした今となっては、犯罪者の持つ凶器と変わらないだろう。にもかかわらず、渡邉氏はいまだ「激励」の言葉を社会に対して投げかけ続けている。今夏に行われる参議院議員選挙の出馬記者会見では「若い方々が元気よく夢を語れる社会にならなければならない」という理想が語られた。5年前、彼が座右の銘として掲げる「夢」に押しつぶされ、マンションから飛び降りた女性がいたにもかかわらず、だ。  森さんと同期に入社したある社員は、入社説明会の席上「労働組合は存在するのか?」と聞いた。人事の回答は、「労働組合は存在しないし、存在する必要もない」というもの。なぜならば「ワタミ社員は家族であり“労使一体”であるから」という説明だった。その言葉の通り、本当に「家族」であるならば森さんの死について、家長である渡邉美樹氏はどのように思っているのだろうか。今、渡邉氏が語らなければならないのは、日本の指針などという大きな言葉ではなく、被害者遺族に対する謝罪なのではないだろうか。  先日、渡邉氏は7月の参院選への出馬を表明した。森さんの死から5年。ワタミが誠意を見せない限り、この事件は解決を迎えない。 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])