海上自衛隊広報室、トンデモ対応の一部始終 問題室員は懲戒処分検討へ

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海幕広報室員・A氏によるFacebook投稿
 2012年7月18日、海上自衛隊の護衛艦「みねゆき」艦内で発生した窃盗事案に関する取材を行ったときのことだ。当サイト記者が取材申し込みの電子メールを発信すると、海上幕僚監部広報室(以下、海幕広報室)から、即、「そのような事実は把握しておりません」という、ごく短い一文が返ってきた。  だが、これでは事実関係が詳らかにならず、メディア側として「国民の知る権利」に応えられない。そのため電話にて、再度、取材申し込みを行った。その際の海幕広報室とのやりとりは、次のようなものだ。なお、この海幕広報室で応対に当たったのは、当サイト記事『海上自衛隊、取材者ブラックリスト作成で一部取材対応拒否か…違法の可能性も』で触れた海幕広報室員・A氏である。 --頂いたメールから、そちらでは、まだ把握されていないことはわかりました。なので、本件について、海幕広報室として事実関係を調べていただきたいと申し出ている次第です。 A氏 ですから、本件については把握していないということです。 --いえ、ですから、調査をお願いしている次第です。ご担当者様が把握していないことをどうこう申しているわけではございません。いつ調査し、把握されるおつもりですか? 当方の取材に応えて調査はしていただけない? A氏 いつ? そんなこと書いてませんよ。ですからね、うちでは把握していないと言っとるんですよ。 --現役自衛官を名乗る方から情報提供を頂いた。それが事実かどうなのかを、そちらにお尋ねしている次第でございます。本件についての詳細について、どうかお調べいただけませんか? A氏 なんで、そんなことうちがわからないと言って、それ以上、調べなければいけないんですか? え? その根拠は? ああ? --こちらで独自に調べて記事化、報道しても構いませんが……。しかし、そちらが「調べるつもりはない」と拒否した事実が事件として浮かび上がった場合、この対応も含めて、僭越ながら海上自衛隊、組織として大恥かくことになりますよ。それでよろしければ。 A氏 ああ。それはありがとうございます。 --どうしても、この件について、そちらで事実関係について海上自衛隊として調査していただけない? A氏 あのね、なんで、うちが調査するとか、しないとか、そういうこと言わなければいけねえんだ? ああ!  このやり取りの最中A氏は、始終大声かつ居丈高な口調を崩さず、時折取材者を小馬鹿にする口調もみられた。また、この応対についてA氏は、「直情径行的、大人気ない対応を行った」と、本件に関する聞き取り調査を行った海幕高官相手に認めている。  さて、その後のやりとりで記者が詰め寄ったせいか、その後すぐ海幕広報室から電子メールにて、調査する旨、回答が寄せられた。結果、護衛艦「みねゆき」艦内で窃盗事案があり、現在、調査中との回答が得られた。加えて、担当のA氏から「極めて軽微な事案」とのコメントも引き出した。しかしこの窃盗事案、隊員が艦内にて30数万円相当を他の隊員から盗んだ容疑で懲戒免職処分となっている。懲戒免職となる事案が、はたして「軽微」といえるのだろうか。 ●取材者の質問を「いちゃもん」扱い?  こうした海幕広報室のずさんな対応は、これだけにとどまらない。  例えば2012年9月には、経済ジャーナリスト・秋山謙一郎が「(仮)海上自衛隊の広報戦略」というテーマで取材を申し入れたが「総合的な観点から貴殿からの取材はお受けできません」との理由で取材拒否を受けた。安全保障上の秘密を含んだ話ではないにも関わらず、実に不思議な話しである。この取材依頼については、複数の海上自衛隊関係者の話を総合すると、A氏を出元として「みねゆきの記事を書いた秋山が海幕広報室にいちゃもんをつけている」とあちこちで発言していたという。 ●あまりの非常識ぶりでついに懲戒手続き請求へ  A氏の非常識対応は、ほかにも、2013年3月、「潜水艦ずいりゅう」の引渡し式に広報支援として神戸への出張時、自身が個人で利用しているFacebook上に、明確に職務時間中と思われる時間、潜水艦「ずいりゅう」の写真をアップし投稿。他のFacebookユーザーからの質問に応えるかたちで、「横須賀配備です」と海上自衛隊が公式には発表しない潜水艦の所属部隊を個人の判断でアップするにまで至る。 「過去、護衛艦『みねゆき』艦長は、同様の行為が原因で厳重注意処分を受けた。なぜ、広報室にいて、こうしたことがわかっていないのか。護衛艦『みねゆき』艦長SNS事案は、隊内では皆、その報道を重く受け止めていたが、生徒出身者に限っては『俺たちの仲間が攻撃された』という認識。A氏も生徒出身だが、その意識で動いているのだろう。そもそも広報の資質そのものがなかったかもしれない」(一般大学卒の幹部自衛官)  またA氏は、自身が利用するFacebook上で、海上自衛隊を特集したあるテレビ番組を取り上げ「こんな番組に広報する必要があるんですかね」という投稿も掲載。  これにとどまらず、A氏には特定の一般人への便宜供与疑惑を思わせる投稿もあった。例えば、ある一般人の「こちらこそ非売品グッズを有難うございました(以下、略)」という投稿に対し、A氏は「どういたしまして。今後ともよろしくお願いいたします」と返答するなど、他省庁はもとより民間企業ではとても考えられない非常識な応対が目立つ。  さすがに、これらの一連の行為から、現在、A氏に対する懲戒手続き請求が海幕補任課服務室に出され、同服務室はこれを受理。懲戒処分に付するかどうかの調査がなされている。  なお、本件についても、海幕広報室に問い合わせを行い、対応に出た女性職員からは「担当者に伝えておきます」とのことであった。しかし、指定した日時まで待ったが、担当者から連絡が来ることはついになかった。 (文=編集部) ■おすすめ記事 フジテレビ、亀山新体制でも視聴率回復は遠い?過去の遺産頼み、社内から疑問の声も… 東進ハイスクールに聞く、林修ら講師のメディア露出増は宣伝/生徒獲得のための戦略? スクープのカラクリ 特ダネは企業からのリーク? テレビニュースはステマまがい? 黒田金融緩和が市場を破壊?年金給付削減、住宅ローン金利上昇、国債信認低下懸念も ホンダF1復帰の思惑とは?マクラーレン・ホンダ復活の影に新興国市場と環境技術革新

海上自衛隊、取材者ブラックリスト作成で一部取材対応拒否か…違法の可能性も

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海上自衛隊の艦船
「Wikipedia」より/DP Kilfeather)
 今、自衛隊の広報が注目を集めている。航空自衛隊では、自衛隊の側から作家へ売り込み、『空飛ぶ広報室』(幻冬舎/有川浩)を執筆させ大ヒット。ドラマ化もされ、航空自衛隊の広報に大きく貢献しているという。また、陸上自衛隊も、隊員の横顔紹介や災害派遣などの任務の実情を前面に打ち出すオーソドックスな広報が支持されている。  他方、海上自衛隊は、かつて「戦隊ヒーロー」を模したテレビCMを放映、テレビメディアから「不謹慎」との理由で批判されるなど、3自衛隊の中で「旧軍の伝統を受け継いでいる」割には、斬新な広報を打ち出し、その賛否・好悪が分かれているところだ。  とりわけ海上自衛隊公式Twitterで、毎週末に登場する【おとん】【おかん】【まり鯛】といったゆるキャラを模したフリーダムツイートなどはその典型だろう。ネット世論においても「面白い」「よくやった」との声がある一方で、「広報の意味を取り違えている」との批判の声が隊内でも上がっている。そんな海上自衛隊の広報をつかさどっているのが、海上幕僚監部広報室(以下、海幕広報室)だ。 ●海幕広報室取材者リスト  2011年12月、この海幕広報室では「海上自衛隊に好意的、協力的なマスコミ、マスコミ人、ブロガー」と「海上自衛隊に批判的、攻撃的なマスコミ、マスコミ人、ブロガー」についてリスト化されているという話が、現役海上自衛官並びに海自OBからある報道関係者に寄せられた。もしこれが事実であれば、01年に発覚した防衛庁海幕3佐情報リスト事件を髣髴させる大問題だ。  この事件は、海幕情報公開室に勤務する3佐(当時)が、情報公開請求に来た一般人を勝手にリスト化、内部資料としていたもの。リスト化という行為が「行政機関電算処理個人情報保護法」などに違反するものとして、当該3佐は1カ月の20%減給の懲戒処分を受けている。 ●文書化していない口頭での申し送りのリストが存在?  リスト化の件について、ある報道関係者が行政機関への申立というかたちで防衛監察本部と海上自衛隊に調査を依頼。結果、海上自衛隊当局から「リストについては明確になかった」という回答を得た。だが、ある現役自衛官は、これに異を唱える。 「確かに書面化したり、フラッシュメモリーなどの電子媒体で、明確にわかるようなリスト化はしていないだろう。しかし、口頭で『こいつは好意的』『こいつは批判的』と申し継ぐ、いわば暗黙の『リストとはいえないリスト』は明確にあるはずだ。幹部はもちろん、当の海幕広報室だって、リストがありますかと聞かれれば、ないと回答するのは当然。それに防衛省情報本部や海幕広報室は、2ちゃんねる掲示板のほか、自衛隊に関して書かれているブログやウェブサイトは日常的にチェックしている。恐らくデータ化、すなわちリスト化もしているだろう」  関係者の話を総合すると、この現役自衛官が言うリストのうち、メディアでは産経新聞、マスコミ人では、元防衛相の森本敏氏をはじめ、軍事アナリストの小川和久氏、評論家の潮匡人氏、最近では、防衛ジャーナリストの桜林美佐氏などが「海上自衛隊側から見て好意的なメディア/人たち」に挙げられているという。彼らの取材は、海幕広報室も「気持ちよく受け入れる」(現役海上自衛隊幹部)ようだ。  他方、海上自衛隊側から見て批判的・攻撃的なメディアの筆頭は朝日新聞と毎日新聞、Business Journal、マスコミ人では、朝日新聞で「自衛官のつぶやき 取材直後すべて消えた」(朝日新聞デジタル版/本年1月5日)を執筆した佐々木康之記者、本サイトで護衛艦「みねゆき」艦長のSNS不正利用を記事化、艦長を厳重注意処分に追い込んだ、経済ジャーナリストの秋山謙一郎氏(本サイト執筆陣)がその筆頭だという。現役海上自衛隊幹部は、「海幕広報室は、彼らからの取材は今後受けないと幕内(海上幕僚監部)で聞いた。もし取材を受けても、はぐらかして答えるのではないか」と話す。  事実、本件について海幕広報室への問い合わせを行ったが、対応に出た女性職員が「担当に伝えておきます」と話したものの、指定した日時までに返答が寄せられることはなかった。 ●個人情報保護法違反の可能性も  もしこれら指摘した内容がすべて事実ならば、わが国憲法で定められている「表現の自由」「検閲の禁止」のみならず、憲法15条の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」という規定を海上自衛隊としてないがしろにしていることになる。また、「国民の知る権利」への妨害であり、「行政機関電算処理個人情報保護法」や「個人情報保護法」に違反する行為にほかならない。  個人情報保護法では、取得した個人情報についてその利用目的が制限されている。その職務と関係のない理由で、問い合わせ・取材を行った人物に関する個人情報について、外部はもちろん海上自衛隊内でも海幕広報室外で用いたのであれば、これは官の立場を利用した「個人情報の持ち出し」であり、法律違反だ。 ●都合の悪い記事は潰す?  ある現役海上自衛官は言う。 「昨年の4月頃、護衛艦『みねゆき』艦長のSNS利用事案が記事化されるずっと前、これが記事になるという話は、海上自衛隊内部、特に海上自衛隊生徒出身(以下、生徒出身と略)の隊員の間では話題になっていました。『みねゆき』艦長(当時)が生徒出身ということもあるのでしょう。同じく生徒出身の護衛艦隊通信班長(海曹長)なども、海幕広報室とは所掌外にも関わらず、かなり気にしており、記事を書くという経済ジャーナリスト・秋山謙一郎氏についての人物像と思想、経歴や交友関係を聞くべく、あちこちに電話で問い合わせていました。  もちろん、なんとか記事を差し止められないかという含みがあってのことです。複数人からそういう話を聞いたが、どうも元をたどれば海幕広報室員のA氏(仮名)らしい。このA氏も生徒出身です。A氏が中心となって、護衛艦「みねゆき」艦長SNS事案の記事差し止めを目的とした工作が行われていたことは間違いありません」  こうした動きについて、海自の内部調査で、海幕勤務の生徒出身の1等海佐は「海上自衛隊生徒OB会の席上、『護衛艦みねゆき艦長SNS利用事案が記事になるかもしれない』との話は聞いた」という事実について認め、ここでは記者の人物像や経歴、交友関係について話題になったという。だが、記事差し止め工作については「そんなこと言いませんよ」と内部調査に当たった海幕高官に対し言下に強く否定したようだ。  さて、「記事差し止め工作」疑惑はさておき、前述の内部調査で海幕勤務の1等海佐(生徒出身)が語った内容、及び複数の関係者の話を総合すると、海幕広報室員のA氏が、取材者の個人情報と取材内容を、自らが所属する海幕広報室外のみならず、民間人も含まれる海上自衛隊生徒OBらという海上自衛隊の「外」に「個人の判断で」持ち出した事実はくっきりと浮かび上がる。この行為は、個人情報保護法違反の疑いが極めて高い。  こうした行為がまかり通るのならば、もし、役所に問い合わせや取材を行えば、その役所の担当部署に属する人物が、問い合わせ者や取材者の個人情報や取材内容を外部に持ち出すこととなり、今の時代、個人情報保護法の兼ね合いから、決して許されない。海上自衛隊以外の省庁では、まず行われることではない。  にもかかわらず、なぜこうした事態が起こってしまうのか。ある現役自衛官は言う。 「海幕広報室員のA氏にとってみれば、「みねゆき艦長SNS不正利用」報道を潰せば海幕広報室内では自分の手柄となる。また海上自衛隊生徒OBの間では“ええかっこ”できるからではないか」  なお、みずからの職権で得た、取材者の個人情報を外部に漏洩し、「人の権利を侵害する」行為は、海上自衛隊「懲戒処分等の基準に関する達」によれば、免職も有り得る重罪である。 (文=編集部) ■おすすめ記事 共同通信部長が就活生セクハラ!?横領、脱税、セクハラ事件を量産するマスコミ 連続放火にオリジン買収など流通界の異端児、ドン・キホーテ 創業者が8年ぶりに社長復帰 アベノミクスのせいでAKB48が終了へ!? 経済学者が語るその理由とは パナソニック、2期連続巨額赤字の元凶と津賀改革の行方 中村路線との決別なるか? なぜか胡散臭い、楽天・三木谷氏のインターネット国有化論 結局、自社に利益を誘導か?