「陸上界に新しい可能性を示してやる」市民ランナー・川内優輝の使命感とマラソン愛

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『走れ、優輝』(中央公論新社)
 埼玉県庁の市民ランナー・川内優輝が大きくメディアに取り上げられるようになったのは、2011年の東京マラソンがきっかけだった。この大会で、2時間08分のタイムを叩き出し、日本人としては最高位となる3位に入賞した川内。まさか、実業団にも所属しない「市民ランナー」がここまで脚光を浴びるとは、誰も考えていなかった。  以降、国内大会のみならず、シドニーマラソン、エジプト国際マラソン、オーストラリア・ゴールドコーストマラソンなど、海外の舞台でも優勝を収めてきた川内。ロンドン五輪こそ出場できなかったが、2011年の世界陸上テグ大会、2013年の世界陸上モスクワ大会にも出場を果たしている。  公務員としてフルタイムの仕事をこなしながら、市民ランナーとしてトレーニングを積む川内。いったいどうして、川内だけがこのような好成績を残すことができたのだろうか? 彼の母親が執筆した『走れ、優輝』(中央公論新社)を元に、その秘密をのぞき見てみよう。  春日部東高校で陸上部に所属し駅伝を走っていた高校3年生の川内は、学習院大学への進学を決意する。これは、駅伝をする高校生にとって異例の決断だった。学習院の陸上部は、箱根駅伝に出場したことがない、いわば弱小校。けれども、川内は強豪大学に進学して厳しい環境に身を置くことよりも、「楽しく走る」ことを優先した。  だが、学習院大学陸上部に入部した川内の胸には、「本当にこんな練習でいいのだろうか?」という戸惑いが広がる。  高校時代は、春日部東高校で毎日厳しい練習に取り組んできた川内。しかし、大学では朝練もなく、週に2回も休みがある。高校では週に3~4回行われていたハードな「ポイント練習」も、大学では週に2回。監督は「無理をするな」「競り勝たなくていい」とアドバイスを送る……。  だが、意外にも、川内はこの環境でグングンと成績を伸ばしていったのだ。高校時代は厳しい練習によってケガに苛まれていた川内。大学の少ない練習時間は、入念な準備運動や体のケア、少ない時間で効率よく練習することを彼に教えた。高校時代は県大会レベルだった記録は、関東大会で戦えるほどに向上。川内は箱根駅伝の関東学連選抜として、学習院大学初の箱根駅伝出場選手に選出される。  在学中には、2回の箱根駅伝出場で、それぞれ区間6位、区間3位という成績を収めた川内。普通のランナーであれば、実業団に入り、次なるステージに進むのが常識だが、川内が選択したのは「国家公務員試験」だった。実業団からも誘いがあったが、陸上だけでずっと食べ続けられる実力はないと考えた川内は、公務員として勤務しながらマラソンを続けていくことを選択した。  だが、川内は自信がないわけでも、楽な道を選んでいるわけでもない。彼ほどマラソンを愛している人間もいないだろう。当初から、川内の目標は「継続して楽しみながらやっていくこと」と「生涯現役を貫く」こと。彼にとって、マラソンは若い間のスポーツではなく、一生をかけて取り組むものなのだ。試験をパスするも、国家公務員になると陸上の練習時間を確保することは難しいと考えた川内は、内定を辞退して地方公務員に就職する。彼は、マラソンのために埼玉県庁を選んだのだ。  社会人となった川内は、埼玉県立春日部高等学校定時制に埼玉県職員として勤務しながら、毎日2時間ほどを練習に充てている。もちろん、ほかの選手に比較して練習は少なく、実業団選手が月に1000km走るところ、川内は600kmほど。また、実業団では1日に2回、3回と練習を重ねるが、川内の練習は1日に1回のみ。1回きりの練習に集中して取り組むことで、長時間の練習にも勝る成果を上げている。常に限界を超えながら走るのではなく、抜くべき時にしっかりと抜き、メリハリをつけることこそが、川内にとって最も大事な練習メニューなのだ。 「フルタイムで仕事をしているからこそ、常に“走りたい”と思える。一日中練習をしていると、なかなかそうはなりづらいかもしれない」  猛烈な練習に明け暮れた高校時代に思ったような成績を出せなかったものの、大学時代に練習時間が短縮されると川内の記録はとたんに向上した。ほかの選手はいざ知らず、川内にとっては短時間の集中したトレーニングこそが最大の効果を発揮できるようだ。川内は、監督もコーチもなく、市民ランナー仲間とのトレーニングを行っている。自分自身で練習メニューを考え、その結果にも責任を持つ、さながらパンクバンドのようなDIY精神を持つランナーだからこそ、彼は独自の練習を続けることが可能なのだ。  現在、川内は、ある「使命感」に燃えている。 「陸上界に(市民ランナーの)自分が新しい可能性を示してやるぞとか、日本の男子マラソン界を変えるんだ、くらいのつもりになってテンションが高まっています」  実業団に入らずともマラソンを続けられること、そして結果を残せることを、自身の活躍によって証明してきた川内。それは、「プロでなければ戦えない」と無自覚に考えてきた日本陸上界や日本スポーツ界にとって、常識破りの出来事だった。 「整備された登山道以外は困難な道だと思っていても、それが自分にとって困難な道とは限りません。(略)そして、そうした道を選んだほうが、人生も面白いのではないでしょうか」  10月3日に行われる「仁川アジア大会」のマラソンに出場する川内は、金メダルのみを目標に据え、「取れなければ来年の世界選手権の選考レースには出ません」と明言している。もちろん、「生涯現役」を掲げる川内にとってはこのアジア大会や世界選手権はあくまでも通過点に過ぎないだろう。しかし、だからこそ「市民ランナー」が、アジアの頂点に君臨できることを証明してほしい。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

“市民ランナー”川内優輝にTBS『感謝祭』マラソン→タレント転身のウワサ

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日本陸上競技連盟公式サイトより
 市民ランナーからタレントへ転身――? 7月7日、オーストラリアで開催された「ゴールドコーストマラソン」に出場、2時間10分1秒の大会タイ記録で優勝した川内優輝が、早ければ年内にもタレントに転身するのではないかとのウワサが浮上している。  マイペースな調整を続けている川内は、8月にモスクワで開催される世界選手権のマラソン日本代表に決定しているが、その1カ月前に“賞金レース”である「ゴールド~」に参加。結果は新記録更新まで1秒足らず、5000豪ドル(約47万円)を獲得できず唇を噛んだが、川内の市民マラソン大会を最重視する試合選びに、関係者の表情は固い。 「8月の世界選手権の日本代表である自覚を持ってもらいたい。海外レースに参加し、体調を壊したり、トレイルラン(山岳競争)やウルトラマラソン(全長50キロを超えるマラソン)に出場し、無理に上位入賞にこだわった結果、故障でもしたらどうするのか。趣味で走るのは大いに結構だが、世陸(世界選手権)が終わってからでも十分走れるだろう。この時期は練習面よりも、体調面を重視すべきなのだが……」  その川内をめぐって今、周囲が騒がしい。8月の世界選手権終了後に、川内は「プロの市民ランナー」になるとウワサされているからだ。 「今、全国で開催されているマラソン大会は、年間1000~2000といわれている。毎週末全国で30~40の大会が開催されています。現在でも川内はゲストランナーのオファーは毎月10件程度あるそうですが、彼は公務員ということで副業が制限される立場にある。彼が参加したいと思っている大会については、埼玉県も寛容な姿勢を見せていますが、8月以降はオファーの数が倍増必至、県が把握しきれない状態になる」(マラソン雑誌編集者)  公務員ランナーである川内にとって、ネックは公務員法にある「副業の禁止」。2011年の「東京マラソン」で日本人トップとなった川内は副賞のBMWを獲得したものの、くだんの公務員法に抵触することから無償寄付。「現金での収入については県が特別に認めているので、最近では『賞金レース』に積極参加している」(スポーツ紙記者)のだという。 「最近、ウワサされるのが、ランナータレントへの転身。そうすれば、ゲストランナーフィーが高騰し、それだけ生活できる。ボクシングの亀田三兄弟のように、兄弟で売り出す話も出ているとか」(同)  川内には鮮輝、鴻輝という弟がおり、全員陸上長距離選手。次男・鮮輝は今でこそ都内の印刷会社勤務のサラリーマンだが、この春まで國學院大の長距離選手だった。三男・鴻輝は高崎経済大の学生で、こちらも市民大会でマラソンには数多く出場している。 「TBSのランニング指導員であるN氏が仕込んでいるらしい。彼は季節特番『オールスター感謝祭』の人気コーナー・赤坂五丁目ミニマラソンのプロデューサー。出場者・ハンデはN氏が決めている。『感謝祭』の目玉として、川内を押し込んでくる可能性は高い」(プロダクション関係者)  まずは、8月の世界選手権の結果を見守りたい。

公務員ランナー・川内優輝のソックリ芸人に批判殺到! 市原隼人をマネした花香よしあきとの違いは?

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日本陸上競技連盟公式サイトより
 公務員ランナーの川内優輝(埼玉県庁)が4日、春日部市主催のハーフマラソンにゲストランナーとして参加した。タイム非公表ながら、最後尾からスタートして5,755人を抜き、10人目でゴールした。  だが、話題をかっさらったのは川内本人ではなく、川内のモノマネ芸人・M高史だった。「埼王県庁」と書いたユニホームを着て10キロの部に出場。多数の観客が本物と勘違いしてサインをねだるなど、現場は大混乱となった。  M高史は駒大陸上部の元マネジャーで、1年半前に芸人に転身。売り出し中の「キンタロー。」らと都内の演芸場で芸を磨き、今年から川内のモノマネを始めた。  「最近は、月に3本はゲストランナーの依頼が来ます。お辞儀が似ていると言われます」とホクホク顔だったが、川内本人は困惑気味。  「公認? 僕は公務員なので商業活動に公認は与えられません」と拒否した上で、川内のドキュメンタリー番組が制作された場合、M高史が再現VTRで出演を狙っているという話を耳にし「芸人さんは生きていくために必死ですね」と不快感をあらわにした。  完全なる売名行為に、大会主催者や一般市民も激怒。「れっきとした大会を売名の場にするな!」や「一生懸命やっている本人に失礼だ!」などとバッシングが相次ぎ、慌てたM高史は翌日「川内選手と間違えた方がけっこういらしてお騒がせし、大会関係者の皆様にご迷惑をおかけしてしまったこと、深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした」と謝罪した。  似たような騒動といえば、モノマネ芸人の花香よしあきが俳優・市原隼人を茶化したモノマネをバラエティ番組で披露し、本人が激怒。後日、2人は和解したもののネット上のバッシングは茶化した花香ではなく、市原に集中した。川内の一件との違いはなんなのか?  「M高史の場合は、完全なる売名。しかも、相手は一般人の川内さん。彼(川内さん)は本当に利益度外視で、マラソンのアピールにひと役買っている。一方、市原さんの場合は、過去に花香さんと共演し、モノマネを“公認”していたことが発覚。ネット上では『逆に失礼だろ』『この程度のモノマネで怒るとは。器が小さい』ということになった。世間の反応は『どちらが失礼か?』という点に尽きる」(お笑い関係者)  M高史は今後も川内のモノマネを続けていくようだが、ミソをつけてしまったことで、予期せぬ窮地に立たされてしまったようだ。