
左から南田マネジャー、久野さん、JR企画・手老さん。
久野さんの「両手に花」ならぬ、「両手に鉄道賢人」。
久野さんと南田さんは「鉄道手帳」を愛用している。
身の回りにいそうでいない、ちょっと変わったことをしている人や、面白そうな場所に、文筆家のやきそばかおるが直撃取材!
大の電車好きで、鉄道の車両の色をモチーフにした「鉄道ネイル(レールネイル)」を提唱する女子鉄(鉄道ファン)がいる。彼女の名は久野知美さん。鉄道というと男性がハマる趣味というイメージがあるが、なぜ久野さんが鉄道にハマり、鉄道ネイルを提唱することになったのかを、ご本人に会って話が聞きたい! ということで、目黒のホリプロに行ってきました。
まずは略歴から。久野さんは大阪府寝屋川市出身(高校・大学時代は、おけいはん)。立命館大学卒業。2003年度準ミス立命館大学。現在は(株)ホリプロ アナウンス室所属。11年7月には、鉄道チャンネルの局アナウンサーに就任するほどの女子鉄だ。
ということで、早速、鉄道ネイルを見せていただいた。
【上毛電鉄デハ101号の場合】

モチーフにした、上毛電鉄デハ101号

「クラシカルなチョコレートブラウンベースです。ゴールドのラメを散らして、スタイリッシュにしていただきました。屋根やヘッドライトの輝きのイメージで、シルバーレースをまとってエレガントさを追求してもらったんです」(久野)
【三陸鉄道36形の場合】

モチーフにした、三陸鉄道36形

「ホワイトベース型の逆フレンチには“明日への希望”をイメージし、光沢のあるパールを混ぜていただくようリクエストを。赤と青の三陸カラーはストーンで表現しています。シルバーのラインは、果てしなく延びるレールの姿を重ねてもらいました」(久野)
【今日の鉄道ネイル】

「京急のスカイトレインカラーです。2編成しかなくて、出会うと幸せな気持ちになるというブルーです」(久野)。
ちなみに、鉄道ネイルは40ストックもあるという。
■鉄道ネイルが生まれたきっかけ
やきそば(以下、や) 「そもそも、なぜ鉄道ネイルを提唱しようと?」
久野さん(以下、久) 「女性が鉄道に興味を持ってくれる、きっかけづくりになったらと思いまして。ネイルを見た人が『いいねー』って言ってくれたら、すかさず『京急の2000形をモチーフにしてるんだよ~』って教えてあげて、相手が少しでも鉄道に興味を持ってくれたらうれしいな~と」
や 「確かに『2000形』って言われて『わかる~』って言うような女性は、なかなかいないでしょうからね……」
久 「そこで、事務所の先輩の貞包みゆきさんのご紹介で、貞包さん行きつけのサロンのネイリストさんに相談させていただけることになったんです。いつもファッショナブルなネイルを手がけていらしてたんですけど、私が車両の写真を持ってサロンに行って『この車両のネイルにしてください』ってお願いしまして」
や 「ヘアーサロンでいうところの『綾瀬はるかさんみたいな髪型にしてください』的な話ですね(笑)」
久 「まさに(笑)。最初は若干、引いてましたけど」
や 「まさか、持ってきたのが車両の写真だなんて!」
久 「『鉄道の車両はかわいいものが多いんです!』とプレゼンしまして、デザインは合作・施術担当はネイリストさんという、鉄道ネイルが生まれたんです。今では『この車両カワイイ!』『この顔いいね』など、ゆる女子鉄トークができるほどの関係になっています」
や 「いい意味で、久野さんワールドに引きずり込まれてますね(笑)」
■おしゃ鉄―SLにはチェックが似合う
久野さんは「鉄道ネイル」以外にも「鉄道ファッション」を提唱している。
久 「女子鉄は車両に恋をするんです。好きな車両に会いに行きたくて、わくわくして、やっと出会えた時に、車両と似合う格好をしていたほうが楽しいと思うんです。そこで、鉄道に似合うファッションを考えました」
【真岡鐵道 C12形66号機 蒸気機関車】

「SLにはチェックが似合うんですよ~。特別にスタイリストさんにも相談しまして、ISBITのデコラティブなチェックのコートで、お嬢様風に。ピアスもゴールドの文字盤に合わせてみました。こちらは自分のオリジナルですが、前出の上毛電鉄デハ101号に乗車した際のコーディネートは、特別にスタイリストさんにお願いしました!」(久野)

■久野さんは、おけいはん&テレビカーで通学
さて、そんな久野さんは、どういう人なのかというと、ある意味、鉄道エリートだ。高校・大学時代は、京阪電車で通学していたという「おけいはん」。毎日、「今日はテレビカーに乗ろうか、ダブルデッカーの車両に乗ろうか」と、鉄道ファンにとっては贅沢な悩みを抱えながら過ごしていたという。
や 「当時から、鉄道にドップリとハマってたんですか?」
久 「今思えば学生時代から、青春18きっぷの旅に出たり、『ムーンライトながら』で就活したりしてました。関西の私鉄の雄・京阪電車の沿線に住んでいたので、テレビカーやダブルデッカー通学が当たり前すぎて、それが普通だと思ってたんです」
つまり、自分では女子鉄だと思っていなかったということだ。大学卒業後は大阪でリポーターとして活躍した後、08年に上京。ホリプロのアナウンス室に所属する。
ホリプロと鉄道……。そう、その後、“あの人”と出会う運命となる。
久 「2年目に、南田(裕介)さんがマネジャーになったんです。まさか、鉄道マニアの南田さんがアナウンス部の担当になるとは予想してなくて、正直にいうと“大丈夫かな?”という不安がありまして……」
南田さんの熱烈なマニアぶりを知っていたため、「ひょっとすると、私のことよりも、鉄道のことばかり考えてるんじゃないだろうか?」と心配していたという。
久 「でも、すっごくいい方で……」
と、そこへ!
南田さん(以下、南) 「遅れてすみません、南田です」
や 「ひょえ~~~!」
ウワサをすれば影……。しかも、前の打ち合わせで一緒だったという『車両基地DVD』の監修でおなじみの、手老善さん(株式会社ジェイアール東日本企画)も登場!
手老さん(以下、手) 「すみません、私もついてきちゃいました」
“鉄道賢人”そろい踏みである! 南田さんと手老さんには、取材の様子を見守っていただくことに。
や 「担当が南田さんになってから、何か変化は?」
久 「南田さんとお仕事をしたり、話していくうちに、私は自分自身が鉄道ファン(女子鉄)だということに気付いたんです」
や 「ある意味、南田さんと同類だったわけですね!」
南 (笑)
久 「私、普通の女性に比べると、鉄道に対してかなり前のめりになっていたらしくて……。それまでは、“普通の女子”だと思っていたんですけど」
久野さんが自分自身を「女子鉄」だと意識する、きっかけとなった出来事があるという。南田さんも出演していた『拝啓!!鉄道人』(CSテレ朝チャンネル)にMCとして久野さんが出演した際のこと。「大回り乗車」の話が出た時に、思わず久野さんの「大回り乗車トーク」が炸裂したというのだ。
「久野さんは、鉄道ファンだったの!?」
これには南田さんもビックリ。その後、鉄道がらみのお仕事が増えたそうだ。
や 「ちなみに、久野さんのおすすめの遠回り乗車は?」
久 「以前、村井美樹さんと宇都宮方面に行く計画があって、秋葉原待ち合わせ→山手線で上野→常磐線で水戸(水戸グルメ探索休憩)→鹿島臨海鉄道大洗鹿島線で鹿島神宮→鹿島線で香取→成田線(総武本線乗り入れ)で千葉~東京方面へという、経路に落ち着きました」
や 「南田さんから見て、そのルートはいかがですか?」
南 「……変わった乗り方になりますね(笑)」
手 「宇都宮に行くことを考えると、かなりユニークです」
や (キョトン……)
久 「私、いろんな路線に乗るのが好きなんです」
や 「南田さんが宇都宮方面に行くとしたら、どうします?」
南 「私なら、東武鉄道に乗って、新栃木からおもちゃのまちを通って行きますね。それか、湘南新宿ラインの宇都宮行きに乗って、1本で行けるありがたみをかみしめます。東武は5050系……」
手 「あ、6050系、2ドアのクロスシートです」
南 「そうでした! 5050系だったら、大変なことになる。6050系は西武鉄道でいうところの4000系です」
久 「そうです。4000系になりますね」
や (キョトン……)
(ヘンだな。会話が日本語で行われているのに、2分間ほど、理解できない言葉が飛び交っている……)
話はかなり飛んだが、とにかく、久野さんは女子鉄なのである。
■アロマよりも消毒液
や 「今後の夢はありますか?」
久 「昨年末に開催された『鉄道紅白歌合戦』で、ダーリンハニーの吉川正洋さんも巻き込んで、全身真っ赤の『京急ファッション』をコーディネートしたんです。今後はもっと、女性の皆さんにも鉄道とおしゃれのコラボレーションを楽しんでもらえたらと思っています。鉄道初心者でも楽しめるような、女子だけの鉄道ツアーとか、鉄道サミットも開催してみたいですね。あと、もっと連載を増やして、本を発売したいです。アナウンサーなので、駅や車内の自動音声のアナウンスにも憧れています!」
さすが、夢について話し始めたら、ブレーキがきかなくなってきた。
久 「あと、『アベノミクス』ならぬ『テツノミクス』が実現したらなぁ~って思ってます」
や 「テツノミクス?」
久 「鉄道ファンの女性が増えたら、出生率が上がると思うんです。鉄道ファンの男性はいい人が多いので、鉄道ファンの女性とはきっといい関係になると思います。だから、女性のファンを増やしたいな~と思っているんです」
や 「なるほど!」
と、ここまでは南田さんも手老さんもうなずきながら静かに聞いていたが、久野さんが次の話をした瞬間、一斉に2人の口が開いた。
久 「あとは、車内でアロマをたいたり……」
手 「(急に真面目な顔になり)車内で火気系を使うのはダメですからね……」
南 「私は、どちらかというと、消毒液のにおいのほうがいいですね」
急に現実的な話になってしまったではないか。

久野さんの写真撮影中も、鉄道話に花を咲かせる、賢人2人。
そんな南田さん、手老さんを横目に、女子鉄を増やすための久野さんの活動は続く……。
●久野知美さんのオフィシャルブログ「アナウンサーダイアリー」<
http://ameblo.jp/tomomi-kuno/>
Twitter
@tomomi_kuno
●日本旅行主催 鉄道ツアー
三陸鉄道南リアス線&岩手開発鉄道の旅
6月29日(土)~30日(日)
行先:岩手・三陸鉄道南リアス線
参加:田中いちえ、久野知美、南田マネジャー
南リアス線“キット、ずっと2号”に乗車!
詳細は「日本旅行」のサイトで。
<
http://www.nta.co.jp/jr/train/kitto2/>
【Special Thanks】
鉄道ネイル:Shizuyo Miyamoto(施術、撮影)
上毛電鉄 デハ101スタイリング:miya
●やきそば・かおる
山口県出身、東京都在住。ライター、構成作家、写真家。趣味は、変わった人に会って、変わった話を聞くこと。「相づちだけはうまいと言われます」(本人談)
Twitter
@yakisoba_kaoru