鳥取発! 企画力と行動力で運命を切り開く、自発型アイドル「Chelip」

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Chelipオフィシャルブログより
昨年に引き続き、さまざまなアイドルが台頭していく中で、地方を拠点に活動するローカルアイドルが一般層にも認知されつつある。アイドル取材を数多く行っている音楽ライター・南波一海が、要注目の5組を紹介!  第2回目は、鳥取県米子市で活動するChelip。  Chelipは、高校を卒業したばかりの井次麻友と新高校2年生の藤井美音の2人組。ユニットの成り立ちそのものが彼女たちの魅力を説明することになるので、このデュオが生まれた道のりを記そうと思う。  2人はサンミュージックアカデミー米子校の1期生。アイドルになるつもりはなく、女優を目指して入校したという。その1期生の中から、山陰放送のマスコット・ラッテちゃんをPRするために結成された男女混成グループがラッテフレンズ。2人は仕事に取り組む姿勢やトークのうまさなどを買われて、グループのダブルセンターとして活躍するものの、パフォーマンスとしては「ラッテちゃんダンス」なる、ゆるいダンスを披露するのみ。しかも、放送局絡みのイベントは数が多いわけでもないので、活動は限られていた。また、2010年にご当地アイドルの全国大会「U.M.U AWARD」に参加したものの、日の目を見ることがなかった。  そんな中、2人は個人としても活動しており、その快活なキャラクターが買われ、地元で開催された「まんが王国とっとり」の「とっとりまんがドリームワールド」(2012年8月4日~14日)の鳥取会場で、平日の早い時間帯の司会に抜擢される。そこで2人は、“どうせやるならMCだけじゃなくて、人に見せられるものを作りたい”と、自分たちで出し物の構成を考え、ボカロダンスなどを披露した。「とっとりまんがドリームワールド」は県の東部、中部と西部とサーカスのように順々に回っていくイベントで、彼女たちは東部だけの出演予定だったのだが、観客はもとより県の人間にもパフォーマンスが高く評価され、その後の続投が決定。平日だけではなく、休日にも出演することになる。そこでいよいよサンミュージックアカデミー米子校の主任も動きだし、ラッテフレンズとは切り離したデュオ、Chelipが誕生。合わせて「まんが王国とっとり」のオフィシャルサポーターに任命される。Chelipは、あらかじめ枠が用意されたものではなく、メンバー2人が積極的に動いたことで勝ち取ったユニットなのである。  Chelipはメンバー自身に企画力と行動力があるだけでなく、運にも恵まれていた。8月末に急遽用意されたオリジナル曲「Che Che Chelip~魔法のコトバ~」は、関ジャニ∞や遊助の作曲を手掛ける浜田ピエール裕介によるもので、心躍るアッパーなハウス・チューン。要は、とてもしっかりした、いい曲だったのだ。10月にはシングル・リリースの運びとなり、カップリングの「アシンメトリー」もまた優れたディスコ・ナンバーに仕上がった。  しかし、CDを作ってみたものの、販路がないので広く売るすべがわからない。そこでメンバーの身内が、インディーズに強い専門店・ディスクユニオンの委託販売に直接問い合わせ(!)、店舗で販売することに。その流れで、今年の1月に東京でインストアライヴを行った。    楽曲のクオリティは高い。ヴォーカルは、歌を出発点としていないがゆえ、無理にキンキンした声を張らせるのではなく低めのキーで設定されており、それがこの2人ならではの持ち味となっている。また、ボカロのダンスカヴァーで培ったダンスは切れ味が鋭い(本人たちがフリの多くの部分を考案している)。そして、MCがとにかく面白くてかわいらしい! 持ち曲が少ないため、ライヴはあっという間に終わってしまったが、Chelipの特徴や光るものがはっきりとわかる素晴らしいステージだった。    現在は米子市内のタレント育成カフェ「ドリームステージパス」で定期公演を行うほか、県外に出る機会も多くなってきている。東京にはこの春2回来たが、その名は確実に広まりつつある。CDも、近く買い求めやすくなるだろう。もっともっと多くの人に知られてほしいと思う。 ●Chelip <http://ameblo.jp/chelip/> ●なんば・かずみ 音楽ライター。音楽の幅広い知識を生かして、さまざまな音楽専門誌で執筆中。女性アイドルのほか、ジャニーズ、K-POPなどにも造詣が深い。選曲監修で関わったローカルアイドルのコンピレーションアルバムが、4月にT-Palette Recordsからリリース予定。