
4月から放送予定の新番組をはじめ、最新アニメを扱ったブースが並ぶ「アニメコンテンツエキスポ(ACE)」が3月30日、31日の2日間にわたって千葉県の幕張メッセで開催された。
ACEは、2010年に「東京都青少年健全育成条例」改正問題をめぐって、マンガの表現規制につながると反発した出版社が「東京国際アニメフェア(TAF)」をボイコットしたことを契機に始まった。11年3月に予定された第1回は震災の影響で中止となったが、翌12年には2日間で約4万人を集めた。ビジネス色が強まるTAFに対して、ACEは、いわゆるオタク層に向けた作品紹介と物販、声優のコンサートなどを主体とした祭典の色彩の濃いものだ。今回は、昨年の人気を受けて会場規模も拡大、両日共に閉会時間まで大勢の人で賑わった。
さて、祭りといえば食べ物が欠かせない。昨年、ACEではアニメ作品やキャラクターとコラボした会場限定の食品は大行列となった。中でも『アイドルマスター』のヒロインの一人を使った「高槻やよい家のもやしパーティー」は「やよいの家は貧乏」という設定に合わせて、肉も何も入っていない単なるもやし炒め、それが会場では300円で販売されたのである。もやしの原価を考えると、けっこうな“よいお値段”。だが、ネットではネタ的に話題になることはあっても、「ボッタクリではないか」と批判するような意見はほとんど見られなかった。夏や秋の神社の祭りで香具師の売るたこ焼きやわたあめの価格に文句をつける人なんていない。つまり、来場者の多くは「お祭りなんだから」と、価格すら楽しみの材料にしていたというわけだ。
というわけで、今年はいったいどんなコラボ食品が並ぶのか? もやし炒めを超える、価格と材料の釣り合いの取れなさで笑わせてくれるものがあるかと、期待してフードコーナーに乗り込んだ。


結論から言うと、コラボ食品はいたって真面目なものばかりだった。今年の食品は、劇中に登場するものを再現した「AURA特製 竜天そば」(700円)、無理やり感が漂う「“俺の妹”ならぬ“俺の芋”ポテトフライ」、こじつけの挙げ句に、なんでこんな組み合わせになったのかわからない「ホットケーキとキリストースト」(600円/『聖おにいさん』のコラボ商品)とネタ度はアップしつつも、昨年のもやし炒めほどの衝撃は感じられなかった。

唯一、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の主人公が愛飲しているということで持ち込まれた「マックスコーヒー」が300円なのは、単なる缶コーヒーなのに富士山の山小屋か? みたいな気もしないでもないが、ヒロイン・雪ノ下雪乃のコースターがオマケでついてくるので、ファンにとっては、高くはない様子(筆者も!)。
なお、最も値段が高かったのは『ジョジョの奇妙な冒険』のコラボ食品である「イカスミスパゲッティ」と、『ソードアート・オンライン』のコラボ食品「アスナの愛情たっぷりサンドイッチ」の800円。特に前者は、作り置きでパッケージされているし、温め直す電子レンジもないけれど、よく売れている様子だった。みんな、ジョジョと共感を得たかったのか……?
■ネタ度ではTAFを完全に凌駕
多くのコラボ食品が並んだACEに対して、TAF会場でも各種のコラボ食品の出店は並んだが、ACEに比べてネタ要素は少なめ。TAF会場で販売されていたコラボ食品は『タイムボカン』シリーズとコラボした「おだて豚まん」(400円)、『クリィミーマミ』とコラボした「クリィミークレープ」(480円)など、なんとなく名前をこじつけたスタイルのものが中心であった。会場内のフードコーナーは、コラボ食品よりも、カレー(600円)、フランクフルト(300円)のようにフツーの食品が主体であった。
唯一、異色だったのは1,000円で売られていた「横川駅の釜飯」だ。この釜飯は全国のデパートなどで開催される駅弁大会にもよく出店される、全国的にメジャーな駅弁。そんなにメジャーなのに、意表を突かれたのか買い求める客は多かった(筆者も!)。
しかし、「横川駅の釜飯」をもってしても、ACEのネタ重視なコラボ食品には満足度の点でかなわない。コラボ食品は、祭りという非日常の空間で食すこと自体に意味がある。それに、ウマかろうがマズかろうが「ACEに行って、こんなもの食べちゃったよ……」と、しばらくはネタとして使える。
こうして見ると、ツッコミを入れたくなるような無理やりなこじつけも目立つACEのコラボ食品は、かなり高度に計算しているのではなかろうか。行列に疲れた来場者が小腹を満たす食べ物までをも祭典のギミックに取り込んだACEの企画力は、賞賛に値する。
(取材・文=昼間たかし)