さまざまな新作、新事業の発表が並んだ東京国際アニメフェア。その中でも特に注目を集めたのは、ビジネスデーの初日、3月21日に行われたネットカードダス『探検ドリランド』(仮)&テレビアニメ『探検ドリランド-1000年の真宝(まほう)-』の制作発表記者会見だ。この発表会に並んだのはグリー、テレビ東京、東映アニメーション、バンダイの4社。 『探検ドリランド』は、グリーで配信されているソーシャルゲーム。2012年7月にはテレビアニメ化され、テレビ東京系列で放送された。今回の記者会見でまず重要だったのは、4月から放送される新たなテレビアニメ『探検ドリランド-1000年の真宝(まほう)-』の放送時間だ。昨年7月から放送された『探検ドリランド』の放送時間は毎週土曜日23時30分からだったが、『探検ドリランド-1000年の真宝(まほう)-』は、毎週土曜日10時30分となった。つまり、テレビアニメ前作と今作とは、想定される視聴者が大きく変わったのである。新シリーズがターゲットとするのは、従来とは違う低年齢層なのだ。 想定するターゲットをさらに明白にするのは、同時に発表されたネットカードダス『探検ドリランド』だ。ネットカードダスは、バンダイが提供しているオンライントレーディングカードゲーム。基本プレイは無料で、コンビニエンスストアや玩具店などで購入したトレーディングカードをパソコンや携帯電話を通じてネットに登録して遊ぶシステムである。これまで主なユーザーは中学生だったが、今回のプロジェクトでは、さらに小学校高学年までをユーザーとして取り込むことがもくろまれている。登壇したバンダイの垰義孝氏は、サービスの開始を今夏と表明すると共に「小学生をターゲットにした子ども向けオンラインカードはチャレンジだと思う」と明言。アニメを制作する東映アニメーションの清水慎治氏も「小学校の高学年から中学生がターゲット」であると語った。 つまり、今回のプロジェクトでグリー、テレビ東京、東映アニメーション、バンダイの4社が目指すのは、ネットを利用したカードバトルを、従来よりも低い年齢層に浸透させていくこと。昨年7月の『探検ドリランド』のテレビアニメ放送時間からも明らかなように、従来のゲームのユーザー層の年齢は高かった。ソーシャルゲームに関するデータはさまざまあるが、『2012CESAゲーム白書』によれば、ソーシャルゲームの利用率が最も高いのは10代後半(15~19歳)女性(34.2%)、次いで10代後半の男性(29%)となっており、さらに20代前半(20~24歳)の男女(共に27.9%)、30代後半(35~39歳)の男性(27.7%)と続く。ソーシャルゲームは、10代後半~30代が主なユーザーとなっているわけだ。また、この白書によれば、調査対象者中のソーシャルゲームへの参加者の割合は13.5%となっている。つまり、ソーシャルゲームの普及は、まだまだ端緒についたばかりで、今後も開拓する余地が多く残されていると見ることができる。 その中で、今回の発表から見えてくるのは、将来を見越してユーザーを育てようとする意図が感じられること。年齢ごとに内容を変えながら、ずっとユーザーでいてもらうことに最も成功しているのはマンガ業界だ。「週刊少年ジャンプ」を卒業したら「ヤングジャンプ」に、その後は……といった具合に各年齢層に沿ったコンテンツが揃っている。いまや、日本では老境に入っても当たり前のようにマンガを読む人がいるわけだが、そうなり得た理由は、子どもの時にマンガを読む習慣を植え付けたからにほかならない。ゲームの場合でも、大人までもが当たり前のようにゲームを楽しんでいる理由は、子どもの頃にファミコンなどで遊び、ゲームの楽しさを覚え、習慣となったゆえである。 昨年は、コンプガチャ問題などに揺れたソーシャルゲームだが、徐々に問題は解決されていき、誰もが気軽に楽しめる新たなゲームのスタイルとして普及する過程に入っている。そうした中で、ソーシャルゲームを一時のブームで終わらせないために、さまざまな企業の努力が始まっているのである。 (取材・文=昼間たかし)
