2012年末に行われたコミックマーケットで、自身のサイン入り生理用品を女性ファンに配りネットで話題となる一方、コメ農家として日光東照宮に献穀米を納め、地元栃木の消防団に所属するという元ホストのエロマンガ家・ピクピクン。その端正な顔立ちと奇矯な経歴から注目を集めている彼が、いかにして現在のスタイルに行きついたのか? これまで彼が歩んできた、けもの道の軌跡をたどってみよう。 幼い頃からマンガ家を志していた彼は、美術専門学校を卒業後、『静かなるドン』(実業之日本社)の新田たつお、『GO DA GUN』(集英社)の片倉・M・政憲といった有名マンガ家の下でアシスタントをして、まっとうなマンガ道を歩んでいたという。しかし、ここから彼の迷走が始まる。 「片倉先生もそのアシスタントも、リア充ばっかりだったんです。その雰囲気に耐えられなくて、ついカッとなり『歌舞伎町でホストになって男を試します!』って啖呵を切って飛び出しました。童貞をこじらせてたんでしょうね」 無謀と思われたホストへの転身。しかし、彼はその店で新人賞を獲得するほどの活躍を見せる。 「女性との接し方なんてわかんないんで、『「花の魔法使いマリーベル」【編注:90年代前半に放送された魔法少女アニメ】の話をしますぅ』なんて調子でやってたら、みんな面白がってくれて」 まさかの大躍進。マンガ道から売れっ子ホストの道を進むかと思いきや、こじらせグセが再発する。 「僕、本当はマンガ家になって妖精と結婚したいはずなのに……。この世界にいたら絶対にできない! そう思って辞めました」 水商売の世界で、自分の純粋さが失われてゆくことへの焦りから、ホストを辞めることを決心。彼は次の仕事として、おっぱいパブの店員を選ぶのだった。妖精と結婚したいとか言ってたのに……! 「いいじゃないですか! おっぱいを見たかったんですよ! それに、その経験が今ではエロマンガを描くのに役立ってますから!」 確かに、彼の作品に登場する女の子は皆、推定C~Dカップの”ちょうどよい”おっぱい。巨乳至上主義が幅を利かせている昨今のエロマンガに食傷気味のファン(筆者)からの支持も厚い。おっパブで磨かれた観察眼は、肉感のあるリアルな画風で描かれるおっぱいだけでなく、彼の作品に盛り込まれる格闘アクションにも資している(はず)。さらに、この経験が、作画だけでなく、意外な形でマンガ道復帰への布石となる。彼はおっパブを辞した後、当時『花とみつばち』(講談社)などの連載を抱え、人気の絶頂にあったマンガ家・安野モヨコの初の男性アシスタントとして採用されたのだ。 「『フロム・エー』に載っていた”安野先生のアシスタント”に応募したら、面接に呼ばれて。多分、先生は『元ホストのおっぱいパブ従業員』への興味だけで呼んだんだと思います。でも、僕はちゃんとアシスタント経験があったわけで。絵のサンプルを見せたら『なんだコイツ!?』って面白がってもらって、めでたく採用されました」 ようやくマンガ道へ舞い戻った彼は、その後、ウェブ上で作品を発表し始める。その作品やブログでの奇怪な言動を、とある芸能プロ社長に見いだされ、なぜか田代まさしと共作で同人CDをリリース、コミケへの進出を果たすなど、今のマルチ(まがい)なマンガ家としてのスタイルを確立していくのであった。念のため確認しますけど、本業はマンガ家ですよね? 「もちろん! マンガが本体で僕自身の活動はおまけ。例えばテレビに出たって、失うものがないから、なんでもできる。NHKの生放送で、ちんこ出して射精することだってできますよ!」 元ホストのマンガ家がテレビに出ていたら、画面から目を離さずにいるべきだ。テレビ史上に残る”性器の瞬間”が見られるかもしれないのだから──なんつって。 (文/高橋ダイスケ) ピクピクン 栃木県生まれ。マンガ家。消防団所属の準公務員。東京の美術系専門学校を卒業後、マンガ家アシスタントを経て、ホストに転職。その後、人気マンガ家・安野モヨコ氏のアシスタントなどを務めた後、現職。著書に『処女連続中出し120分』(松文館)など。 公式HP〈http://www2.plala.or.jp/piku2n/index.html〉 ツイッター〈https://twitter.com/PIKU2N〉 【「サイゾーpremium」では他にもレアなマンガ家インタビュー記事が満載です!】 ・【岡本健太郎】収入なし、ボランティアでの害獣駆除、ナイーブな倫理……現代を生きる猟師の実像 ・教祖じゃありません! 巨匠・美内すずえ『ガラスの仮面』に込めた宇宙メッセージを語る ・『DEATH NOTE』と『聖☆おにいさん』は宗教タブー!? さとうふみやが初めて語る幸福の科学と『金田一少年』【前編】(写真/K-D)
■「サイゾーpremium」とは?
雑誌「サイゾー」のほぼ全記事が、
月額525円で読み放題! (バックナンバー含む)

