ワタミにユニクロまで!! 不況下で伸びている企業はキケン!?“黒い会社”を生み出す日本型雇用の限界

――月刊サイゾーがウェブで読める「サイゾーpremium」から、今ホットな話題に関する記事をご紹介!  08年に女性社員が労働自殺を図り、以降ブラック企業のイメージが拭えないワタミ。その前会長である渡邉美樹氏が、7月21日に投開票が行われる参議院議員選挙に自民党公認で立候補するも、党内外で公認取り消しを求める気運が高まっており注目を集めています。「365日24時間死ぬまで働け」の名文句(?)を生み出しながらも、「ワタミはブラック企業じゃない!」とも宣う渡邉氏ですがはてさて。サイゾーでは過去に「ブラック企業」についても徹底研究しています。ワタミだけじゃない、日本企業に蔓延するブラック体質を生み出すその原因とは? ■今回のピックアップ記事 『ワタミにユニクロまで!! 不況下で伸びている企業はキケン!? “黒い会社”を生み出す日本型雇用の限界』(2012年5月号「崩壊する超優良企業」特集内より) ──過酷な労働や違法性の高い事業などを行う、いわゆる「ブラック企業」は、これまでも幾度となくネットや週刊誌などで注目を集めてきたが、こうした企業がなくなる気配はない。なぜ、現在の日本において「ブラック企業」は生まれ続けるのか? 識者の言や経営者たちの名言から、その背景を読み解いていこう。
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(絵/河合寛)
【ブラック企業の特徴1】 ■社長の権力が絶大 独裁者的な社長に権力が集中し、過酷な労働環境を従業員に強いているブラック企業も多い。社長のカリスマ性が社員をリードしているうちはいいが、スキルアップや将来の生活を保障せず、ただ使い捨てるためだけに強権を振るう経営者もいるため、十分に見極める必要がある。特にベンチャー企業の経営者には、このタイプが多いかも。 【ブラック企業の特徴2】 ■不況下でも成長を続ける 長引く不況で、高度成長期のように日本社会全体が右肩上がりで成長することは難しくなってきた。もちろん、そんな中でも業績を伸ばし続ける企業もあるが、その裏で従業員にしわ寄せがいっていることも多い。低賃金で長時間の労働を社員に押し付けて、不況下で利益を保っている企業もあるのだ。 【ブラック企業の特徴3】 ■夢ややりがいを売りに ブラック企業は、過酷な労働に耐え得る人材を育成するため、過剰に「夢」や「やりがい」を社員に押し付ける傾向がある。社員の人格を否定するような新人研修がテレビ番組で放送され問題になった「餃子の王将」など、どう考えてもブラックだと判断せざるを得ない社員教育を行っている企業も多い。若者の「夢」を食い物にする悪徳企業には要注意! 【ブラック企業の特徴4】 ■よくわからない横文字職業 求人広告でよく見かける、耳に聞こえのいい横文字職業。しかし、ブラック企業アナリストの新田龍氏によると、実態はだいぶ異なる。「オフィスIT化のコンサルティング営業」はコピー機の販売、「アミューズメントスタッフ」はパチンコの店員、「ハウスメンテナンスアドバイザー」はシロアリ駆除の訪問営業などなど。イメージに騙されてはいけない。 ──もはや一般的となった「ブラック企業」という言葉が、昨今再び世間を賑わせつつある。今年2月、ワタミフードサービスに勤務していた女性新入社員の自殺は、月100時間を超す残業が大きな要因だったとして、労災認定された。これに対して、同社の創業者・渡邉美樹氏が「労災認定の件、大変残念です。(中略)労務管理できていなかったとの認識は、ありません」とツイッターで発言し、波紋が広がったことも記憶に新しい。  現在の就職市場においては「やっとの思いで入社した企業が、過酷な長時労働を強いるブラック企業だった」といったことも頻繁に起こっている。厚生労働省の調査によると、今年2月1日現在の大卒内定率は80・5%で前年度比3・1%の増。しかし、調査を開始した96年以来、3番目に低い水準で、企業に有利な超買い手市場であることには変わりない。そんな中、「内定をもらえるなら、どんな企業にだって入社したい」と考える学生も多いのだろう。しかし、こうした切実な思いを逆手に取って、手ぐすねを引いて待っているブラック企業があまた存在するのだ。  本誌でも追求したが、08年頃には、セブン-イレブン・ジャパンや日本マクドナルドにおいても、実際には、役職にふさわしい権限などを与えていないのにもかかわらず、「管理職」に任命することによって、残業代などを削減する、いわゆる「名ばかり管理職」が横行していたことが問題となった。このように、人気就職先に名前が挙がるような有名企業でも、”黒い”体質を持っているケースがあると、ブラック企業アナリストの新田龍氏は言う。 「学生に人気が高いJTBはとにかく売り上げのノルマが厳しいことで有名。窓口での売り上げだけではなく、自社の商品券の販売ノルマもあって、さばき切れなかった場合は自分で購入することもざらです。これは、『自爆営業』と呼ばれ、金券ショップにこれらの商品券がたくさん置いてあるのは、社員が購入した分を売り払っているからだという噂もあります」(新田氏)  さらに、ある専門家からは、こんな意見も聞かれた。「ユニクロはグローバル企業をうたい、一般的な企業イメージは良いのですが、実際には過酷な長時間労働などで知られ、『ブラック企業』だとする声も多いです。しかし、こうした報道に対して、同社は出版差し止め要求や名誉毀損での数億円単位の民事訴訟を起こすといった前例があるため、マスコミもあまり実情を報じないのが現状なのです」。事実だとすれば、恐ろしい話である。  このように大企業といえども、ブラック企業といえるような企業も多数存在している。では、そもそもブラック企業とは、どのような企業なのだろうか? 今号特集内「経済小説家座談会」において、評論家の佐高信氏は「企業なんてそれそのもの、全部がブラック」だと掲げていたが、一般的なイメージとしては、「サービス残業などの労働基準法違反や、パワハラ、セクハラが横行している違法な会社」【「ブラック企業と法のキケンな関係」参照】といったものだろう。そのほか、ネットワークビジネス【「”原則違法”なマルチ商法の落とし穴」参照】やねずみ講、高額商品を無理やり契約させるキャッチ商法など、違法性の高い事業を行っている業者もブラック企業といわれている。そういった企業は、インターネット上で「ブラック企業ランキング」としてまとめられ、就職活動生の多くが目を通しているが、それでも入社してしまう学生が跡を絶たないのは、前記の通りである。  しかし、一口にブラックと言っても、人によって受け取り方はさまざま。とらえ方によっては些細な問題でも、「ブラック」と判断できてしまうことも確かだ。社会人経験のない新卒採用の社会人が安易にブラック企業のレッテルを貼ってしまうことへの批判も当然あり、いたずらに、「ブラック企業への不安」を煽るだけでは、現状を打開することはできない。そこで、ブラック企業の定義を改めて問い直し、なぜ現在の日本でにわかに問題となっているのかを、識者の話から検証していこう。 ■違法なだけではなく社員を捨て駒扱い  まずは、ブラック企業とはどのように定義されるのか? 前出の新田氏は「経営者に労働基準法を筆頭とした法律を守ろうとする意識がなく、自分たちの私利私欲のために、社員、取引先、顧客をないがしろにしている会社」をブラック企業とする。 「特に、社員に過剰な自己成長を煽る経営者には要注意です。社員の成長の基準は経営者自身が勝手に決めることができるため、ハードワークを行うことが『成長』の条件だと、都合のいいように定義されてしまうことにつながるからです。また、社員の自主性をうたう経営者にも気をつけたほうがいいでしょう。社員自身に高いノルマを設定するように誘導し、それを『自主的』だと胸を張っている勘違いな経営者もいます」(新田氏)  さらに、若者の労働問題などに取り組むNPO法人「POSSE」代表の今野晴貴氏は、ブラック企業をこう定義する。 「サービス残業や過労死といったものは、『ブラック企業』という言葉が出てくる以前から、日本社会で問題になっていました。しかし、その代わりに生涯を通じて生活の面倒を見るという企業が多かったことも事実です。一方、現在のブラック企業には、まったくそんな心づもりはなく、使えなくなったら容赦なく社員を切り捨てようとする。つまり、労働者が『働き続けられる環境があるかどうか』で判断したほうが、現在のブラック企業の定義を考える上で有効です」  すなわち、「労働基準法違反」や「違法な行為を行なっている」という観点だけでは、ブラック企業を見分けることができないという。今野氏はこう続ける。 「90年頃のバブル崩壊までは、過酷な労働をしなければいけないのは若い時期だけで、年齢を重ねるごとに過酷さはだんだんと緩和され、給料も上がっていくという認識が労使間で共有されていました。いわゆる日本型雇用といわれる終身雇用や年功序列といった制度がその典型です。その代わり、社員は企業の命令を絶対的に遵守するという、ある種の『契約』があったわけです。つまり、賃金が支払われないサービス残業など、違法なことを我慢する代わりに、得るものも大きかったといえます。しかし、そうした日本型雇用を維持できたのは、70年代以降も続いた日本の右肩上がりの経済成長があったからこそ。バブル崩壊以降は低成長時代に突入し、企業が社員の生活を守る力がなくなっているのにもかかわらず、企業の強い命令権だけが残ってしまっている状態です。そのため、ブラック企業が現在、社会的な問題になってきているのです」  社員を育て、生活を守っていくつもりのない企業にとって、社員はまさに捨て駒。人件費の安い若い時期に猛烈に働かせ、ある程度の年齢になったら切り捨てるという手法も横行しているという。それに加え、ブラック企業は社員のスキルを伸ばそうとせず、OJT(企業内教育)が皆無に等しいことも特徴として挙げられる。結果、「転職しても、ほかの会社でやっていけるのか」と社員が不安を募らせ、退職を妨げることになってしまう、と今野氏は語る。 ■ブラック企業を生み出す日本社会の構造的欠陥  このように労働者が圧倒的弱者となってしまう背景には、日本の社会制度の不備が指摘される。 「もともと日本では、手厚い企業福祉を前提として社会設計がなされていた側面があります。住宅手当や家族手当など、本来では国家が税金を通じた再配分で保障する部分を、企業福祉が代替していました。しかし、長引く不況で企業は手厚い福利厚生を維持できなくなってしまったことから、労働者には相当きつい社会になっていると言えます」(同)  今野氏いわく、現状を打開するためには「高福祉、低命令、低処遇」の社会を目指すしかないという。要点をまとめると、「国が社会福祉を充実させ、企業の命令権を法規制で弱める。その代わり、労働者は給料などの処遇を低い水準で我慢するという方策を取る」という主張だ。 「社会福祉をしっかりやれば、中小企業は関連の仕事が増え、国内産業を育てることができます。そして、子どもを育てられるような状態ができ、少子化にも歯止めがかかって内需の拡大が期待できます。つまり、高所得で海外旅行に行きまくるなどといった生活は我慢しましょうということです」(同)  経済成長に関する考えの是非はこの場では置いておくが、現在の社会構造がブラック企業を生んでいる以上、日本社会を法制度などから改革していく必要があるということは間違いないだろう。もちろん、個々の企業が法律を遵守し、社員のワークライフバランスを考えることを前提としての話ではある。その上で、これまで見てきたように、ブラック企業が生まれる背景として、個々の企業の問題だけにとどまらず、日本社会全体の問題が存在することを忘れてはならない。  また、こうした社会構造に欠陥がある中で成長している企業は、売り上げを伸ばすために「無理」をしている可能性があると、前出の新田氏は指摘する。その「無理」が、社員にとっては「ブラック」になっているとも考えられる。 「オフィスから椅子を全廃したキヤノン電子など、現在、『革新的経営』ともてはやされている企業などは、裏で従業員にしわ寄せがいっていることも多い。カリスマ的経営者がメディアで発言し、称賛を得ているケースをよく見かけますが、とどのつまりそういった企業は、経営者にとっての『優良企業』であることが大半です」(新田氏)  すべての企業とまでは言わないが、このご時世で企業を成長させていくためには、低賃金で長時間働く従業員がいるにこしたことはない、というのが経営者としての本音ではないだろうか。もしそのような考えを経営者が持っているのなら、世間や従業員に対し、さまざまな詭弁を弄して、自身や企業に都合がいい「革新的経営」の正当性を保ち続ける必要がある。そこで、次ページからは、企業経営者たちの著書やインタビューを参考に、彼らが発した名言に潜む、企業の「ブラックさ」を検証していきたい。 (文/宮崎智之) 「サイゾーpremium」では他にもブラック企業をぶった斬る記事が満載です!】企業乗っ取りも当たり前!? ブラック企業アナリスト・新田龍氏が選ぶ“社会的”ブラックな有名企業「死ぬまで働け!」「勝てば官軍」「弱い兵士は守らない」 経営者の名言で見るブラック企業キャリアコンサルタントが匿名で語る 転職のプロが選ぶ「”働きたくない”会社はココだ!」
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セブン-イレブンが業者と契約解除でノウハウを横取り!? 原告は「セブンは強奪者」とまで…

 サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。 ■「Business Journal」人気記事(一部抜粋) キンタロー。最近男性との自宅デートで告白したが「big face」とフラれる コンピュータの発達でなくなる仕事、残る仕事 アベノミクスはやっぱり負の面ばかり!? 物価上昇で給料は増えず貧困層が急増 ■特にオススメ記事はこちら! セブン-イレブンが業者と契約解除でノウハウを横取り!? 原告は「セブンは強奪者」とまで… - Business Journal(3月18日)
セブン-イレブンに設置されている
クリーニング機器。
 ニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場にたった取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判のか中にある人々の声を世間に届ける!  セブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン)の都内23区の店舗と、クリーニング・サービスの提携をしていたCK社(仮名)が、一方的に契約を打ち切られた。契約打ち切り後、セブンは、ほかの会社と提携しており、それまで6年間にわたって築いたノウハウを横取りされたCK社が、セブンを相手取り、東京地裁に損害賠償請求等を求める訴訟を起こした。そして今年1月の一審判決で、セブンの一部敗訴判決が下った。マスコミが報じないこの事件の真相を、裁判資料に基づき詳報する。  原告の戸賀直樹氏(仮名)は、大学卒業後の1960年代後半に西友に入社。80年代後半に、ファミリーマートに転籍し、営業部長、営業企画部長を経て、00年代には、その後の人生を賭けた取り組みとなる「コンビニでのクリーニングサービス」を企画立案し、ファミリーマート社内で試行した。しかし、この事業の拡大には別会社の必要性を感じ、会社に2度提案したが、採用されなかった。そこで戸賀氏は、それを実現するため、長年勤めたファミリーマートを退職したのである(起業はセブンとの契約の後)。  コンビニでのクリーニング・サービスは、どの会社もことごとく失敗してきた。戸賀氏の10年7月時点での陳述書によると、ローソンは過去20年で何度も失敗。セブンも過去2度失敗。サークルKサンクスでは、クリーニング機器の設置面積が10平方メートル以上とスペースを広く取り過ぎで拡大できていないのだという。  それに比べて、戸賀氏が考案した機器の面積は、たったの0.9平方メートル。それが売りだった。  この事業の成功を信じていた戸賀氏は、03年4月に自身の企画をセブン本部の商品雑貨部ECサービス担当であるKというチーフマーチャンダイザーに持ちかけたところ、「コンビニのクリーニングサービスはお客様のニーズが高く、利便性を提供できる。収益性が上がるビジネスモデルにしたい」とK氏は快諾したという。この時期、戸賀氏は、「クリーニング取次仕様提案書」をセブンに提出。担当K氏から「良くできた提案書。ビジネスモデル特許出願は早くした方がいい。『特許出願中』と言えば、社内稟議が通りやすい」と、アドバイスを受け、戸賀氏は特許の取得もしている。  03年11月14日、K氏は「方針稟議が決済された」と言い、鈴木会長から「全国展開の際、工場のネットワークが組織できるのか?」「日販の目標はどのくらいか?」「失敗を恐れず、積極的にチャレンジすること」と話があったという。  04年2月16日、株式会社 CKクリーニング(仮名、以下、CK社)を設立。戸賀氏は社長に就任。同年5月4日、セブンと「約定書」を締結。これはCK社がセブンのベンダーとなる契約書だった。  そしてついに、04年6月21日から、1カ月間に、24店舗でクリーニング取次サービスを開業した。  戸賀氏の考案したクリーニング取次サービスは評判がよく、開業から3カ月で、目標とする平均日販4000円を超えた。すると翌05年1月6日、セブン本部雑貨部統括マネージャーM氏から「鈴木会長から、300店を都内で展開することの内諾を得たので、今後スピードを上げて実行する。重点商品として育てたい」と言われたという。  こうして本格展開したクリーニング・サービスだったが、その後は、思い通りにことが運ばなかった。「城東、城北地区はブルーカラーの居住者が多く、クリーニングの利用者が少なく、販売額が低い店舗が発生した」と戸賀氏は振り返っている。  それは数字にも如実に表れている。取扱店舗数の推移(各年12月時点)は、04年27店、05年81店、06年245店、07年212店、08年212店、09年209店、2010年(4月)204店と、06年をピークに下り坂をたどっている。全国展開はおろか、300店すら達成していない。  09年12月25日、CK社は、セブン本部から、こう告げられた。 「中央ベンダーには、一部上場会社の伊藤忠食品(株)が51%出資している(株)カジタケで行く。経営財務基盤が盤石で、ノウハウもある。CK社には資金と人がなく、投資、運営は無理」  また、「CK社は専用ベンダーではないため、いつでも取引停止できる」とも告げたのだという。  それに対し、戸賀氏は「わかりましたと即刻回答はできない」「ゼロから開発してきたノウハウや7年の実績を評価してもらえないのか?」と反論し、翌年の10年2月4日、「契約終了に伴う、営業補償とライセンス料について協議したい」と申し入れた。  するとセブン本部からは、「営業補償やライセンス料は存在しないと考えている」と回答を受けた。さらに3月15日、戸賀氏はセブン社長の井坂隆一氏から「契約期間満了のご通知」という書類を受領した。  こうして契約解除後、セブンは、戸賀氏が企画・立案して意匠登録したバッグや、規約、伝票、マニュアル類、フリーダイヤルシステムなどのサービスをそのまま継続利用していた。  それについて戸賀氏は「セブンの行いは、開発者であり著作者である弊社及び私を排除し、そのビジネスモデルをコピーして利用する強奪者であり、社会的な企業として許されるべき行為ではありません。(略)弊社を切り捨て、弊社のこれまでの努力とその成果を略奪するに等しい暴挙と言わざるを得ず、断じて許すことができません」とつづっている。  こうして2010年7月14日、戸賀氏はセブンを相手取り提訴した。訴えの内容は次の通り。  1 平成22年3月15日付「契約満了のご通知」が無効であることを確認する。  2 原告が平成17年6月27日締結の契約書に基づく契約上の地位にあることを確認する。  その後、原告側は、「本件契約は終了しておらず存続する」として、「385,737,675円を支払え」との一文を請求に追加した。  コレに対し、セブン側は、原告の訴えを否定した。  こうして審議を重ね、2013年1月21日、ついに一審判決があり、東京地裁民事33部の小林久起裁判長は、「被告は原告に対し、2592万1572円を支払え」「原告のその余の請求をいずれも棄却する」との判決を下した。  判決文では、原告が当初提案した収入計画に比べ、実際の店舗数は伸び悩んでいた点に言及。契約終了までの6年間の累計も6995万円の赤字で、構造的な不採算事業になっていたとも指摘し、セブン本部は、自由な判断により、契約を終わらせることができる、と結論付けた。  しかし、同時に、契約書には、「クリーニング取次サービス」について、原告と被告が共同開発したものである、と契約書にうたっていることに言及し、こう述べている。 「本契約が終了した場合、被告は、契約期間中におけるその仕組みの確立、発展の成果を基に、更に発展させてその果実を享受することができる。これに対して、コンビニ店舗を自らの支配下におけない原告は、一から出直しとなることが避けられない。共同開発の仕組みでありながら、その仕組みを生かす不可欠の前提であるコンビニ店舗に対する支配的な地位において、契約当事者間に格差があるために、契約終了後における過去の成果の配分に著しい不平等が生じるときは民法248条が(略)物の所有権を失ったことによって損失を受けた者が、これにより所有権を取得した者に対して、(略)不当利得返還請求の規定に従い償金を請求することができる(略)あるいは、(略)相手方に不利な時期に委任の解任をしたときは、その当事者の一方は相手方の損害を賠償しなければならないと定めている趣旨などに照らして(略)被告は共同開発してきた仕組みを使い続けることによって受ける利益の範囲内において、契約が更新されずに終了することによる原告の損失を補償する義務があると解するのが相当である」  こうして、契約終了に伴う原告の損失の補償として2592万1572円の償金を支払うよう命じた。この判決に対し、原告、被告とも、主張の通らなかった点を控訴している。  この判決について、原告側はノーコメント。一方、セブンに対して以下のように質問した。  「クリーニングサービス事業は、直近の数字で、どのエリアに何店舗で行っているのでしょうか?」  「一審判決に対する、御社の見解をお聞かせ願います」  すると、セブンからこういう回答がきた。  「クリーニング取次サービスについて→現在、東京都23区内の約200店舗で実施しています。」  「弊社の見解について→一審判決は、当社からの契約の終了を正当なものと認めました。しかしながら、本件クリーニング取次サービスのノウハウについては、もとより当社が有していたノウハウであるにもかかわらず、当社に原告に対する損失補償金の支払いを命じたため、当社はこれを不服として控訴をしました。現在、本件については控訴審で係争中です」  回答は以上だった。  控訴審の行方にも注目したいが、一審で下された判例は、とくに独自の企画、アイデアで大企業と取引をしている中小零細企業や個人事業主、セブンのクリーニング・サービスのユーザー、そして、セブンのほかの商品の消費者も心に留めておいた方がよさそうだ。 (文=佐々木奎一/ジャーナリスト) ■おすすめ記事 キンタロー。最近男性との自宅デートで告白したが「big face」とフラれる コンピュータの発達でなくなる仕事、残る仕事 アベノミクスはやっぱり負の面ばかり!? 物価上昇で給料は増えず貧困層が急増 未使用テレカで電話料金を支払える! 使用済みは使えない不思議をNTTに直撃! がん保険は本当に必要か?“カラクリ”をライフネット生命岩瀬大輔が解説