相次ぐ“元Jリーガー”逮捕に見る、大卒“低年俸”選手「3年以内に放出」の現実

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FC町田ゼルビア オフィシャルサイトより
 「J2下位クラブの地力強化」と「(下部リーグの)裾野の拡大」を狙い、2014年から新たに発足したJ3リーグ。U-22選抜チームを含め、現在13チームがしのぎを削っている。当時チェアマンだった大東和美は「J1のブランド力を落とさずに、底辺を広げる」と明るい未来を語っていたが、多くのサッカー指導者たちは、サッカー界の未来に不安を抱いていた。 「今まではプロになれる枠は限られていたので、10代でまだ才能が開花していない選手は、大学4年間での結果が求められてきた。在学中にはドロップアウトしたり、それこそ犯罪に手を染めてしまう人間もいたが、大学生の犯罪ならば、そこまで大きく報じられることはない。でも、Jリーガーとなれば、そうはいかない。現在のJリーグは、名ばかりのチームが4分の3だが、プロはプロ。そこに、“そういう選手”が入る。当然、よろしくないことが起きる可能性が高まる。あまりにも簡単にJリーガーになれてしまう危険性を、Jリーグ事務局は考えているのだろうか」  その心配が、現実のものとなってしまった。町田ゼルビアの選手だった神村奨(26)が、強姦致傷の疑いで逮捕されたのだ。神村は一昨年、プロ選手からの引退を表明しているが、それでもJリーガーだった事実に変わりはない。事実、多くのメディアに「元Jリーガーの逮捕」と取り上げられてしまっている。  事件を起こした神村のキャリアとは、どのようなものなのだろうか?  神村は、高校時代を三菱養和SCユースで過ごした後、専修大学サッカー部に進む。その後、観客動員数がJリーグワーストだった水戸ホーリーホックに入団するも、1年でアルビレックス新潟シンガポールへ放出されている。さらに1年後には、インドのクラブに。翌年には日本に戻り、J3に降格した町田ゼルビアに加入するも、その年に引退を発表した。失礼な表現をすれば、ほとんどが弱小クラブ。にもかかわらず、1年で解雇。そのような才能が、なぜプロになれるのだろうか? 「多くはありませんが、大学から、Jリーグチームに『こんな選手いるけど、どうだ?』という“逆売り込み”があります。大学側は、『Jリーグに○人入れた』とうたうことができ、入学率アップにもつながる。一方、Jリーグ側は、選手を言い値で獲得できる。年俸150万円前後なので、ばくちみたいなものです。そんなこともあり、大卒の低年俸選手のほとんどが、3年もしないうちに放出されているのが現状です」(サッカー関係者)  報道によると、神村は、実家がある小田急線相模大野駅周辺で、Jリーグ在籍中の2009年頃から類似の事件を起こしていた可能性があるという。もしこれが事実ならば、Jリーグのコンプライアンスを見直す必要がありそうだ。 (文=TV Journal編集部)

武田修宏「Jリーグ批判」に見る、物言えぬチェアマンと“無責任”幹部の暴走ぶり

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Jリーグ公式サイトより
 Jリーグの監督を務められるS級ライセンス取得後、「まるでセルジオ越後のように辛口だ」と評されるほど、辛辣な提言を行っている武田修宏。その武田が、「東スポWEB」にて、Jリーグのシステムを批判している。 「Jリーグはプレースピードが遅く、その原因は、J1リーグのチーム数の多さにある。レベルの低いチームがJ1にいるため、レベルの高い試合展開よりも勝ち点が重視され、結果、プレースピードが遅くなる」と、Jリーグの悪循環を指摘したのだ。  Jリーグのプレースピードの遅さは、村井満チェアマンも指摘している。世界の平均アクチュアルプレーイングタイム(実際のプレー時間)が62分前後なのに対し、Jリーグは55分。村井チェアマンも武田同様に、Jリーグの問題を把握し、チームに「アクチュアルプレーイングタイムを長くしよう」と呼びかけ、改革しようとしている。  しかし、ファンの間での村井チェアマンの評判は、決してよくない。  その理由の一つが、なんといってもJリーグ事務局への不信感だろう。村井チェアマンが就任して今年で2年目。“村井イズム”を発揮するには時期尚早で、現在のJリーグは、派閥の力でのし上がった幹部たちが運営を行っているのが現状だ。とあるライターは、「『地上波放送が減った』と幹部たちはこぼしますが、そもそもスカパー!に放映権を売ったのは彼ら。その失策を、試合数を増やすという過酷な案で選手に尻拭いさせている。まずは、幹部たちが責任をとるべき」という。  だが、チェアマンというポストに、大ナタを振るうだけの権限はない。そんなことをすれば、幹部たちの抵抗に遭ってしまう。 「だからこそ、ファンは村井チェアマンをサポートすべき」と、サッカー関係者はいう。 「Jリーグ初代チェアマンを務めた川淵三郎さんは、周囲に持ち上げられ始めてからおかしくなりましたが、それとJリーグ時代の功績は別。Jリーグが成功したのは、川淵さんの強引さが大きいです。そして、川淵さんが強引に推し進められたのは、元日本サッカー協会会長の長沼健さんや岡野俊一郎さんの支持があったから。支持されないトップは、なんの改革もできません」(同)  武田は、J1リーグを魅力的なものにするために、チーム数を現在の18から10に絞り、J1より上のリーグを組織。レベルの高い試合を展開することで、リーグ全体を活性化させるプレミアリーグ化を訴えているが、それを実現するためには、支持されるトップが必要になる。つまり、Jリーグを改革するためには、川淵時代のようにチェアマンが大きな権限を持てる環境が必要になる。もちろん、村井チェアマンに、その資質があるかは未知数だが、さまざまな現場でサッカー関係者たちに意見を聞く姿は目撃されている。  村井チェアマンを支持しなくとも、現在の幹部たちは生き残る。それは川淵時代からの史実が物語っている。この流れを打破するためには、まずはチェアマンを支持することのほうが得策ではないだろうか。 (文=TV Journal編集部)

プロ野球・中日 首位を走るも、打線愛称「3D」に関係者から「イケてない」の声

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Figma ドアラ ホームVer.
 阪神との開幕カードで3連敗するも、その後連勝を重ねて、セ・リーグの“番狂わせ”の筆頭格になっているプロ野球・中日ドラゴンズ。その快進撃を支える打線の「愛称」がじわじわ浸透し始めているというが、関係者の間では「イケてない」と嘆く声があがっている。  リーグ最速の10勝をマークした中日。本拠地・ナゴヤドームでは10勝2敗(4月16日現在)と驚異的な勝ち方をしており、そのうち5度がサヨナラ勝ちというおまけつき。15日の試合でも、プロ野球タイ記録となる3試合連続のサヨナラ勝ち。谷繁選手兼任監督は「先発も粘っているし、リリーフも追い越されないように粘っている」と投手陣を称えた。  しかし、その原動力は、好調の打線にある。昨年から所属するルナ、エルナンデスに加えて、今季から加入したナニータの4~6番の外国人助っ人トリオ。3人ともドミニカ共和国出身だ。 「引っ張ってきたのは、ドミニカに独自ルートを持つ森繁和ヘッドコーチの手腕。それがハマった」(スポーツ紙プロ野球デスク) そんな彼らにつけられた愛称が「3D」。 「ドミニカ出身の3選手と、ドラゴンズの頭文字であるDを重ねたそうで、言い出したのは地元放送局・CBCテレビの野球中継だといわれている。チームが好調なこともあり、他のマスコミも徐々にこの愛称を使い始めている」(同)  だが、ひと昔前ならいざ知らず、テレビ業界では4Kテレビや8Kテレビが盛んにアピールされているなかで「3D」というのが「イケてない」と感じる関係者も多い。 「また、時代から後退している感覚がしてならない。ただでさえ、ナゴヤドームでの試合は首位でもお客が入っていないのに、愛称までダサいと、もうお手上げといった感じ。なかなか、うまくいきませんね……」(チーム関係者)  新たな愛称は浮上するのか。

“最下位まっしぐら”の阪神に関係者が不敵な笑み?「和田監督に辞意を申し出てほしい……」

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『猛虎復活』宝島社
 開幕前の「上位予想」から一転、プロ野球・阪神の低迷が続いている。15日の中日戦(ナゴヤドーム)では、2夜連続のサヨナラ負け。とうとう、リーグ最速の10敗目に到達してしまった。  公式戦が始まり、すでに6連敗を経験している阪神。 「昨季、公式戦では2位に入り、クライマックスシリーズでは巨人を撃破して日本シリーズにも出場したため、やたら期待感を持って見るOB評論家が多い一方で、選手の顔ぶれは去年とまったく変わらず。要するに、タイトルを獲りまくった外国人選手4人(ゴメス、マートン、メッセンジャー、オ・スンファン)が誰かひとりでも不調だと、一気に崩れる可能性があったんです」(スポーツ紙プロ野球デスク)  その予想が的中し、投手陣の2人はそこそこだが、打撃陣の2人が絶不調。「もう少ししたら、暖かくなるから打つよ」と楽観視する関係者もいるが、このまま行けば最下位まっしぐらは避けられない。 「すでに、マスコミの中では責任問題をいつ、どういうかたちで追及するのか検討し始めた媒体もあります」(同)  注目度が高いがゆえに、勝っても負けても騒がれるのは、人気球団の宿命ともいうべきところだが、実はこの状況に不敵な笑みを浮かべる関係者が多いのだという。 「去年、優勝や日本一になれなかった責任を取って、和田監督も辞任すればよかったのに、色気を出して1年契約で延長したら、この状況になった。選手には悪いけど、発言もつまらないし地味な指揮官に周囲は辟易している。低迷して、休養→辞意を申し出てほしい、というのが本音ですよ」  かつて「暗黒時代」を経験したダメ虎時代に引き戻されそうな雰囲気を感じているのは、ファンも同じだ。

顔面踏みつけキム・ミンヒョクと関係も!? Jリーグ“デススタジアム”の恐怖

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そのスタジアムとは……
 ある選手がシーズン初ゴールを挙げると、その相手がJ2に降格する──Jリーグでまことしやかにささやかれているジンクスが、“デスゴール”だ。前田遼一(FC東京)は、ジュビロ磐田時代の2007年のヴァンフォーレ甲府から、12年に優勝候補だったガンバ大阪まで、6年連続でJ2に追いやった。また、大久保嘉人(川崎フロンターレ)も、同じくヴィッセル神戸時代の11年、ヴァンフォーレ甲府から昨年の大宮アルディージャまで4年連続で降格させ、いまだ継続中である。  また、一風変わったデスジンクスでは“デスYMCAショー”もある。川崎フロンターレが市制記念試合のハーフタイムに行っている恒例の行事、西城秀樹のYMCAショーの日に試合したクラブは降格するというものだ。これも、09年の大分トリニータから13年の湘南ベルマーレと、去年潰えたものの5年間続いた。そして今年注目されている新たなデスジンクスが、“デススタジアム”だという。 「横浜Fマリノスが、ホームである日産スタジアムで初勝利を挙げたチームが降格する、それが“デススタジアム”です。10年の湘南ベルマーレ、11年アビスパ福岡、12年ヴィッセル神戸、13年は再び湘南ベルマーレ、そして昨年、14年の大宮アルディージャ。5年連続で相手チームをJ2に蹴落とし、新たなデスジンクスが誕生したんです」(スポーツライター)  科学的には、なんの根拠もないと思われるかもしれないが、トップレベルのアスリートほどジンクスやゲン担ぎが気になってしまうもの。世間で騒がれれば騒がれるほど気になってしまい、チームの雰囲気も左右され、パフォーマンスに影響があってもおかしくない。そして今年、デススタジアムの標的となったチームが話題となっている。 「今年の標的は、第3節3月22日に行われた試合で敗れた、サガン鳥栖です。昨シーズンは前評判を覆し5位と健闘したチームで、今年も5節を終えて3勝2敗の5位につけており、調子は上々と見られているものの、第4節に行われた鹿島戦でキム・ミンヒョクが金崎夢生の顔面を踏みつけ、“J史上最悪のファウル”と物議を醸しています。ファンの中には『これはデススタジアムの前兆では?』『何か恐ろしい力が働いている気がする』と、不安視している人も多いですね」(スポーツライター)  シーズンはまだ始まったばかり、サガン鳥栖の選手やサポーターは早く忘れてしまいたいだろう。しかし、そういう時こそ頭から離れないのがこういったジンクスの特徴でもある。シーズン終了後に「やはり、デススタジアムの呪いか……?』という結果にならないことを祈るばかりだ。

“顔面踏みつけ”だけじゃない! 闘莉王、森勇介……「Jリーグ史上最悪のラフプレー」報道のなぜ

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サガン鳥栖 公式サイトより
 先日行われたJ1リーグ第4節の鹿島アントラーズ対サガン鳥栖戦で、「Jリーグ史上最悪のラフプレー」と言われるファウルが起きた。  それは、鹿島アントラーズのMF金崎夢生の突破を、サガン鳥栖のDFキム・ミンヒョクがファウルで止めた後に起こった。なんと、倒れている金崎の顔を、キムが足で踏みつけたのだ。映像を見る限り、金崎の顔を狙ったとは断言できないが、あの場所に足を置けば、金崎を踏みつけることになるのはサッカー選手ならば想像できるはず。“未必の故意”と言われても仕方のない、足の運び方だった。  この“極めて悪質な行為”に対し、Jリーグはキムに公式戦4試合の出場停止処分を科した。だが、「この出場停止処分では何も変わらない」と、あるサッカー関係者はいう。 「今までも、こういった乱暴な行為をする選手はJリーグにいました。そして、出場停止にもなっている。たとえば、田中マルクス闘莉王(名古屋グランパス)や森勇介(SC相模原)が相手に肘打ちするシーンは、結構あります」(同)  確かに、闘莉王の肘打ちはYouTubeの映像で確認できる。森に至っては、Wikipediaにラフプレーの数々が記されているくらいだ。彼らが幾度となく問題行動を起こしている事実からも、出場停止が抑止力になっていないのは明らかである。さらにいえば、彼らの行動が、今回のように批判されてきたわけではない。 「サッカー専門媒体が、選手個人を批判するのは難しいでしょう。たとえば、闘莉王や森は人望がない選手ではないので、彼らのことを悪く書くと、ほかの選手からコメントを取りづらくなる恐れがあるからです。今後の関係のことを考えても、オピニオンは抜いて、事実関係だけを書く媒体がほとんどだと思います」(同)  確かに今回の件を道義的に報じたのも、サッカー専門媒体ではなく、「AOLニュース」だった。その後、「J-CASTニュース」がJリーグ広報部やサガン鳥栖に取材を行っている。ネットニュースが乱立している現在でなければ、問題行為として大きく報じられることはなかったかもしれない。  また、キムが韓国籍の選手というのも、炎上に拍車をかけたようにも思われる。サガン鳥栖のGK林彰洋もそれを感じたようで、「彼が韓国人の選手だからといって、『韓国が悪い』や、彼の根本を否定する発言まで見受けられるように思います」「それは本当に必要なことなのでしょうか?」と、自身のブログで加熱するネット住民に疑問を呈している。  もちろん、今回のキムの行為が批判されるのは当然だし、出場停止が4試合なのも甘いように感じる。その半面、過去のラフプレーに対する報道と比べると、キムだけが過剰に批判されているようにも思う。チームの大きさや国籍、人気にかかわらず、ラフプレーを根絶するための報道が徹底されるのか。今後のサッカーメディアに注目である。 (文=TV Journal編集部)

センバツ優勝の敦賀気比高に“プロアマ規定”抵触騒動「東出が直接指導」も高野連が黙殺か

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「週刊ベースボール 別冊第87回選抜高校野球 総決算号」ベースボールマガジン社
 第87回選抜高校野球大会で、2年ぶり6回目出場の敦賀気比(福井)が東海大四(北海道)に3-1で競り勝ち、春夏通じて初優勝を果たした。背番号「17」の松本哲幣外野手が準決勝で史上初の2打席連続満塁弾、決勝では勝ち越し2ラン。一躍シンデレラボーイになった。  北陸勢としても春夏通じて初優勝。その偉業は、実は表沙汰にはならなかった“プロアマ規定抵触騒動”を乗り越えてつかんだという。 「2~3年ほど前に、敦賀気比OBで現プロ野球・広島の東出輝裕が母校野球部グラウンドを訪れたそうです。その際、内野手2~3人に、守備の技術指導をしたそう。ゴロに対する1歩目のスタートを切る心構え、グラブの差し出し方など、熱心に教えたみたい。指導を受けたナインも『わかりやすかった!』などと喜んでいたよう。でもこれは、プロアマ規定に完全に抵触します」(高校球界関係者)  プロアマ規定では、プロ野球選手が高校野球部員などのアマチュア選手に直接指導することを禁じている。ただ、この規則自体、野球ファンから大ブーイングを浴び続けている。米・レンジャーズのダルビッシュ有投手は、2012年7月14日の自身のツイッターで「これには色々問題があり簡単ではないだろうけど、プロアマ双方が本当に日本の野球を考えるなら撤廃すべきでしょう。プロが中高生にどこでも教える事ができたらアマの技術が凄く伸びる」とコメント。野球ファンの胸中を代弁した。  現在は、かつて断絶していたプロ・アマ双方が歩み寄り、雪解けの気配を見せている。ただ、件の東出の技術指導がルール違反であることに変わりない。  同校野球部関係者も「それは……そうですが……」と歯切れ悪く、プロアマ規定の抵触を認めている。 「福井県高野連もこの事実を把握し、一時は実態調査に動くか検討していたそうですが、結局は地元の期待を背負う学校だけに黙殺というかたちで落ち着いたみたいです。この事実をつかんでいたスポーツ記者もいましたが、告発すると今後、広島カープへの取材もしにくくなるということで、闇に葬ったようです」(前出の高校球界関係者)  広島の名手・東出を招いたのは、他ならぬ、敦賀気比の東哲平監督だったという。  この2人は同校野球日の同期。俊足巧打の1番・東出が出塁して、強打の4番・東が返す強力打線で、1998年のセンバツはベスト16入りしていた。  東監督は母校の指揮官に2011年秋に就任。13年センバツと昨夏の甲子園でベスト4進出に導き、目覚しい復活を遂げていた。 「“野球弱小エリアの北陸で見返したい”“もう一度母校を強くしたい”との思いで必死だったそうです。その一環で、同期の東出を呼んだみたい。東出もその時、故障していたそうで“満足に練習できないなら後輩に教えたい”と思ったのでしょう」(地元福井のテレビ関係者)  せっかく甲子園の舞台で勝てるようになっても、いつかこの疑惑で世間を騒がせてしまう。何より部員に迷惑をかける――東監督はそう思っていたのではないか。 「東監督はその後はOBは呼ばず、愚直にトレーニングに励んだそうです。東出に直接指導を受けた部員たちはもう卒業しているようですから」(同)  しかし、北陸勢に初めて優勝旗をもたらした若き指揮官の“すねの傷”は、今後も消えることはないだろう。

業界震撼の暴露本『騎手の一分』で“競馬界の裏番長”藤田伸二騎手が低迷中!?

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『騎手の一分――競馬界の真実』講談社
 かつてはフサイチコンコルドで日本ダービーを制し、シルクジャスティスやローレルゲレイロ、トランセンドなどの名馬の主戦を務め、数々のG1レースで勝利に導いてきた藤田伸二騎手の低迷が著しい。今年に入ってからの勝利数はわずか8勝。勝率、連対率とも0.067で全国リーディング43位(3月29日時点)と思わしくない。  藤田騎手といえば、数多くのG1を手中に収めるとともに馬を真っ直ぐキレイに走らせる技術にも長けて、歴代最多のフェアプレー賞を獲得し、2004年と10年には特別模範騎手賞も受賞している。その一方で、周囲に迷惑をかける危ない騎乗をする後輩騎手を厳しく“指導”したり、一部信頼をおいている記者以外の多くのマスコミ関係者に対して、レース前やレース後のコメントを拒否したりするなどコワモテの一面も。 「男気あふれる一本気な性格を高く評価する関係者も一部にはいますが、ここだけの話、みんなから怖がられています。藤田さんを若手時代から知っているベテラン騎手や調教師、かわいがられているわずかな後輩騎手を除いて、年下の騎手や調教助手などスタッフは腫れものに触る感じで、滅多に自分から声をかけたりはしません」(某トラックマン)  さらにはこんな話も。 「キレると後輩はもちろん、先輩にさえも容赦ない。以前には関東所属のベテラン先輩ジョッキーの髪をつかんで引きずり回したこともありました。その時は相手にも非があり、大事にはなりませんでしたけど……」(同)  それでも、これまでは数々の勝ち星を挙げて実力で周囲の雑音をシャットアウトし、我が道をいっていた藤田騎手だが、最近は成績も低迷し、G1などの大レースが開催される日には裏開催のローカル競馬場に参戦するケースも目立つ。その背景にはある1冊の本が関係しているという。 「藤田さんは一昨年に著書『騎手の一分』(講談社)という本を上梓しましたが、書中ではJRAや騎手のエージェント制度、一部人気騎手の騎乗方法などを批判し、大きな話題を呼びました。以前から歯に衣着せぬ言動が目立つタイプではあり、的を射ている部分もありますが、さすがに過激すぎる内容に競馬サークル内では以前にも増して距離をとる動きもあります。有力馬への騎乗機会が減っている背景には、こうした影響もあるでしょう」(同)  それと重なって騎手たちの世代交代も逆風となっているという。 「現在、リーディング争いをしている福永さんや岩田さんは、いわゆる藤田さんの“次世代”で“ポスト武豊”を目指している。彼らにしてみれば、藤田さんも超えなくてはいけない“古い世代”の人間のひとりで、正直折り合いはよろしくない。さらに下の世代は現役バリバリの頃の藤田さんを知らず、ただの厄介な先輩という認識しかない。以前の藤田さんなら単騎逃げができた場面でも、最近はせりかけられることも多く、かつての“神通力”が通用しなくなっています」(同)  こうした中、一部では引退説もささやかれ始めている藤田騎手だが、「なんと言っても注目は夏の北海道シリーズでしょうね。藤田さんといえば、例年地元の北海道では抜群の成績を残し、“北の帝王”の名をほしいままにしてきましたから。万が一、今年の函館、札幌開催でも結果を残せないようなことがあれば……」(同)。  “競馬界の番長”の夏に要注目だ。

“シブヤコール”がマレーシアを揺らした!! 世界メジャーが「格闘家・渋谷莉孔」を発見した夜

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(c)2015 ONE Championship
 異国の地で「シブヤコール」が巻き起こった――。3月13日、マレーシアの首都クアラルンプールで開催されたアジア最大の総合格闘技イベント『ONE Championship(旧称ONE FC)』に日本の地下格闘技出身の渋谷莉孔(29)が初参戦し、フライ級王者アドリアーノ・モラエス(26=ブラジル)とタイトルマッチを行った。「渋谷に勝ち目なし」と予想された試合だが、蓋を開けてみれば、フルラウンド(5分5ラウンド)までもつれる接戦に。結果は判定で敗れたが、アグレッシブかつトリッキーな戦いで王者を追い詰めた渋谷には、マレーシアの観衆も大興奮。試合後には早くも「出待ち・追っかけ」をする現地ファンが現れるなど、渋谷は一夜にしてONEのスターダムにのし上がった。  当日の模様をレポートする前に、渋谷莉孔の経歴を簡潔に振り返っておきたい。  街のチンピラとしてケンカに明け暮れていた渋谷は2008年、不良の格闘技イベント「THE OUTSIDER(アウトサイダー)」で格闘家デビュー。対戦相手を罵倒しながら血祭りに上げる猟奇的ファイトで話題を呼ぶ。その後、問題を起こしアウトサイダーを追放されてから、地下格闘技の世界で連戦連勝を重ねてきた渋谷が、地下から地上へ顔を覗かせたのは、昨年9月のことだった。「TTF CHALLENGE02」でメジャープロ団体・パンクラスのトップランカーを撃破。その衝撃冷めやらぬうちに、アジア最大の格闘技イベント『ONE Championship』からスカウトされ、このほど初参戦で世界タイトルマッチに挑むことになったのである。  まさに飛び級と呼ぶにふさわしい大出世だが、見ている側からすれば期待と不安が入り交じる。今回の対戦相手であるアドリアーノ・モラエスは、修斗南米王者からONEの世界フライ級王者となった格闘エリートで、MMA(総合格闘技)12勝1敗という戦績を誇る強豪中の強豪である。  渋谷贔屓であるはずの日本の格闘ファンからも「今回ばかりは相手が強過ぎる」「渋谷に勝ち目はない」との声が多く聞かれ、渋谷自身も戦前のインタビュー(記事参照)で、「俺は噛ませ犬」と自嘲するほどキャリアの差は歴然。ワンサイドゲームになる危険性を大いにはらんだマッチメイクだったのだ。    渋谷にオファーがあったのは今年の1月。それからわずか2カ月という急ピッチの準備期間を経て、決戦の3月13日を迎えた。
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 開場時刻の午後6時を過ぎると、クアラルンプールにある1万6,000人収容の「スタジアム・プトラ」には、マレー系、中華系、インド系のマレーシア人や、白人の観客らが続々と吸い込まれて行く。「マレーシアではMMAの人気が急上昇中。飲食店のテレビなどでも普通に放映されており、家族や友人と共に観戦する人も多い」(マレーシア人の観客の一人)とのことだ。  会場入りする人々を眺めていたら、今回渋谷を抜擢した張本人であるONE Championshipのビクター・クイ代表が通りがかったので、インタビューしてみた。
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ビクター・クイ代表
――あなたはなぜ今回、渋谷莉孔を抜擢したのか? クイ代表 今回は世界タイトルマッチということで、われわれはアジア中を回って、ファンが最も喜んでくれそうな挑戦者を探したところ、渋谷が一番ふさわしいという結論に至ったんだ。渋谷は本当にダイナミックでエキサイティングなファイター。ここマレーシアの観客を熱狂させることができるエンターテイナーであると私は確信したんだ。 ――今日のタイトルマッチは、どんな戦いになると予想するか? クイ代表 私は今夜の試合が、渋谷の人生にとって最も大きな戦いになると思っている。タイトルマッチだし、彼にとっては海外での初戦だ。これまで渋谷は四角いリングで、短いラウンドの戦いが中心だったと思うが、今回は円形のケージ(金網)リングだし、5分5ラウンドという長丁場。そういった形態やルールの違いがある上、彼には準備期間がわずかしかなかった点も大変だとは思う。だが、彼には失うものがないし、もし勝てばすべてを手に入れることができる。渋谷にとって今日の試合は人生最大のチャンスになるだろう。  クイ代表の期待の大きさを物語るように、会場内のロビーにはご覧のような巨大な看板が飾られるなど、初参戦なのに渋谷は破格の扱い。
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渋谷とモラエスが向き合う大看板
 そのロビーの一角に人垣ができていたので何事かと覗き込むと、「ミットめがけて10秒間に何回キックをできるか」というチャレンジコーナーが設けられていた。通りがかった人たちが入れ替わり立ち替わりこれに挑み、ギャラリーから拍手や歓声が上がる。マレーシアの人々はおしなべて、シラフでも陽気でフランクだ。果たして彼らは、遠い日本から来た渋谷のことを歓迎してくれるのだろうか……?  まずは大会開始直後の、全選手紹介の場面でその様子を探ってみる。ド派出なライトアップや打ち上げ花火などの演出の中、ステージの両脇から出場選手が続々と登場。「リクー、シブヤッ!」というアナウンスに合わせて渋谷も颯爽と現れるが、客席はまったくの無反応。「誰だコイツ?」といった感じだろうか。  その後、客席が八分方埋まった中、前座の試合が次から次へと消化されていく。地元マレーシアの選手が勝つたびに大歓声が上がり、客席が徐々に温まってきた。  そんな中、場内の大型ビジョンに本日のメインイベンターである王者モラエスの紹介VTRが流れると、大きな拍手と声援が。マレーシアの観衆にも大いに知られた存在なのだろう。  続いて、その対戦相手である渋谷の紹介VTRが流れる。「ジャパニーズ・バッドボーイ」というキャッチフレーズの後、渋谷が日本語でインタビューに応じている様子が字幕付きで流れ、ユニークなトレーニングに取り組む光景なども大画面に映し出されるが、客席はまたしても無反応。「初めて見るので好きも嫌いもなく、応援もブーイングもしようがない」といったところだろうが、それにしても寂し過ぎる反応だ。  その後もテンポよく試合が消化され、いよいよ本日のメインイベント、渋谷の出番となった。入場曲とともに、けたたましい英語の煽り文句が会場にこだまする。日本にいるときは、入場時に花道で雄叫びを上げたり、入場曲が流れてもなかなか入場しなかったりという“ツカミ”を得意とした渋谷だが、今回は、叫ぶでも焦らすでもなく、仏頂面で淡々と花道を進むのみ。
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 入場時も客席の反応は薄かったが、ケージに入った後、名前がコールされ、渋谷がテレビカメラに向かってグローブを突き出すと、ここでようやくブーイングが起きた。一方のモラエスには大歓声。この会場が渋谷にとって、完全にアウェイであることを改めて思い知らされる。
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(c)2015 ONE Championship
 そうした客席の反応以上に心配になったのが、渋谷の表情である。大型ビジョンで見る限り、先月見たときとは、まるで別人だったのだ。2カ月で約20キロの減量をしたため、精悍になったというより、やつれた印象で、目元も眠そう。その顔でけだるそうにケージ内をウロつきながら、口角をヒクヒク痙攣させて、マウスピースを露出する仕草を連発。飢えた野良犬のような不気味さこそ漂うが、「急激な減量の反動でナーバスになっている」との前日情報もあったため、コンディションが心配になってくる。  しかし、それはまったくの杞憂に終わった。

【1ラウンド】


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(c)2015 ONE Championship
 ゴングが鳴ると、渋谷は背筋を伸ばした独特のサウスポースタイルでジリジリと間合いを詰め、まずは思い切りのいい左フックを打ち込む。その後も渋谷が前進を続けて、打撃の応酬に。モラエスの連打を何発か食らうが、渋谷は両ガードを下げたまま前進。モラエスはバックステップで距離を置く。  しばらくお見合い状態が続くが、渋谷は左腕をクルクル回す仕草を見せ、体を左右に揺さぶってから、モラエスのヒザに左ロー。負けじとモラエス、右ハイを渋谷の顔面に蹴り込み、続けざまに下半身に組み付いてテイクダウン。渋谷はモラエスの首を抱え必死にディフェンスするも、すぐさまバックを取られ、首にモラエスの腕が絡み付く。「あぁ、これで終わりか」というニュアンスの歓声と溜め息が交錯するが、渋谷はケージ際で踏ん張り、ブレイクが入る。
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 再開後モラエスがフライングニー。効いていないとばかりに両腕を回しながら渋谷が再び距離を詰めると、客席から笑いが起きる。その後、渋谷がモラエスめがけて特攻するも、逆にバックを取られ、反転して逃れようとしたところマウントポジションを取られかけるが、これもブリッジで抜け出し、スタンドポジションに。客席から拍手が起きる。  残り1分。渋谷がワンツー、ミドルを繰り出すも空振り。逆にモラエスのミドルを食らう。それでもノーガードでズイズイ前進する渋谷に対し、客席から「なんだコイツは」といった感じの笑いとどよめきが起きる。  どうやら渋谷、コンディションはよさそうである。

【2ラウンド】

 開始早々ガード下げ気味で、ゼンマイ仕掛けのオモチャのようにジリジリと間合いを詰める渋谷に対し、笑いが起きる。常時後退しながら距離を取るモラエスが、タイミングを見計らって右ストレート。これがクリーンヒットするも、渋谷はなおもガードを下げたまま前進し、客席が大きくザワつく。  渋谷、モラエスのタックルを食らい、倒された上、バックを取られる。モラエスの腕が首に絡み付くも、踏ん張って立ち上がる渋谷。立ったまま打撃の応酬。手数は多い渋谷だが、なかなかクリーンヒットしない。
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(c)2015 ONE Championship
 大振りは駄目と悟ったか、渋谷はショートストレートを狙い澄ましたように放つも、モラエスはこれもスリッピングで避ける。モラエスが右ハイキックを放った瞬間、その背中に渋谷のミドルがヒットし、モラエス転倒。渋谷、モラエスの首を押さえて寝技に入りかけるが、モラエスはすぐに起き上がる。  立ったまま打撃の応酬。パンチが相打ち。モラエスは一瞬グラつくも、ワンツーをヒットさせながら前進。ケージ際に渋谷を追い込むが、渋谷はヒザ蹴りでこれを追い払い、スタンドで向き合う。  3分経過。モラエスの右ミドルがヒットするも、渋谷は髪をかき上げながらノーガードでまたしても距離を詰め、客席ザワザワ。渋谷のパンチが2発ほどクリーンヒットし、モラエスはたまらず渋谷の下半身に潜り込む。立ち上がりざまに渋谷の右ハイがモラエスにヒット。後退するモラエスに、追い打ちをかけるようにワンツースリー。  両者絡み付き、渋谷が再びケージを背負ったところで残り1分。渋谷、立ったままモラエスの左腕を取りキメにかかるがブレイク。その後、客席の反応を楽しむかのように、ガードを上げ下げしながらモラエスを挑発。モラエスの右ハイをかわしたのを機に、渋谷は一気に距離を詰める。焦ったモラエスが苦し紛れに放ったパンチ3発をすべて見切った渋谷、ノーガードのままニヤリと笑ってモラエスにじり寄ったところで、ゴング。客席がドッと沸く。

【3ラウンド】

 渋谷が距離を詰め、モラエスが後退する毎度の展開。小康状態が続き、レフェリーから「アクション」の声。モラエスが下がって両足が揃った隙に、渋谷はボディーに蹴りを打ち込むが、腰を押さえられ投げを食らい、バックを取られる。が、渋谷はクルリとすぐさま起き上がり、モラエスの左腕をキメにかかる。  下半身に絡み付いたモラエスが、渋谷を倒し、サイドポジションを取りかけたところで、渋谷がローブローをアピールし試合中断。  再開後、ブリッジで寝技から脱出した渋谷。通勤中のサラリーマンのような無防備な歩き方でモラエスとの距離を詰めると、客席から大声援が起きる。勢いづく渋谷がワンツースリー。続けざまに左ストレートをクリーンヒットさせるが、渋谷も右ストレートを食らう。  モラエス、渋谷のパンチをかわしながら下半身に抱きつき、倒すも、渋谷はもがいて立ち上がる。なおもしつこく後ろから絡み付くモラエス。ウザがる渋谷の表情が大画面に映ると、客席から笑いが起きる。  モラエス、バックポジションに入りかけるが、渋谷はまたしても反転。その応酬を何度か繰り返した末、チョークスリーパーを取られかけた渋谷がクルリと反転して上になると、この日一番の大歓声。
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 渋谷はこれまでの鬱憤晴らしをするかのように、小刻みなパンチを20発あまり、モラエスの側頭部に打ち込み、客席が大きく沸く。そして左手でモラエスの頭を横向きに固定すると、右手でハンマーパンチの雨アラレ。体勢を整えてから、大振りのパンチも振り下ろす。  さらに寝技からの立ち上がりざまに、左ハイをモラエスの頭部に蹴り込む。その後、打撃の応酬が始まりかけたところでゴング。

【4ラウンド】

 伸びやかな打撃を繰り出しながら渋谷が前進。反撃しつつもバックステップで距離を取ろうとするモラエス。それを渋谷がノーガードで追いかける。モラエスのグローブがズレたため、試合中断。レフェリーに促されて自陣に戻る渋谷が、両手を上げて客席を煽ると、大声援が起きる。  試合再開後、ついに「シブヤコール」が起きるが、渋谷はモラエスに背後を取られ、ケージに押し込まれる。どうやら渋谷、会場の大型ビジョンを見て背後の様子を確かめているらしく、その表情がビジョンに映り、場内から笑いが起きる。「彼は楽しませてくれるねぇ」と英語実況。  膠着を逃れるべく、渋谷がヒザ蹴り。これを嫌ってモラエスが距離を置こうとすると、渋谷は笑みを浮かべながら追いかける。「シブヤコール」が再び起き、セコンドからも「打撃をまとめろ」の指示。  渋谷は重そうなパンチを一発ヒットさせるが、後が続かない。  逆にモラエス、飛び蹴りを渋谷の顔面にクリーンヒットさせる。そしてタックルして渋谷を持ち上げ、背中から思い切りマットに叩き付けるが、渋谷もフロントヘッドロックを外さなかったため、プロレス技のDDTのようになって会場騒然。
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 モラエス、ヘッドロックから逃れてバックを取る。渋谷、モラエスの腕を押さえ込んで必死のブロック。そして反転して渋谷が上になったところで、ドクターチェック。渋谷の左目の上からおびただしい出血が。  ドクターチェックを受ける間、渋谷は両手を振って「大丈夫」とアピール。セイムポジションで再開するなり、渋谷は左右のパンチを大量連打しゴング。自陣へ戻る際、渋谷は駆け回りながら何度もガッツポーズ。まだ試合が終わったわけでもないのに、勝ちを確信したかのように喜び、観衆も大いに盛り上がる。  最初は完全アウェイだった空気を、渋谷はわずか20分ほどのパフォーマンスで、ホーム同然に変えてしまった。

【5ラウンド】

 開始前、左目の出血を気にする素振りを見せる渋谷。いよいよファイナルラウンドのゴングが鳴るが、ほぼお見合い状態で1分経過。モラエスに押し込まれた渋谷、ケージを背負った状態で4~5発ヒザ蹴りを見舞うと、モラエスが悲鳴を上げて「ローブロー」をアピール。しばしブレイク。  再開後、互いに手数は減りつつも打撃の応酬。
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 残り2分40秒。渋谷はタックルを食らい、座った状態でバックを取られ、背後からモラエスの腕が首に伸びるピンチ。
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 ここで客席から大きな「シブヤコール」が巻き起こり、声援に後押しされた渋谷は巧みに体勢を入れ替えて上になると、モラエスの側頭部に小刻みなパンチを20発ほど打ち込む。そして寝たままモラエスの顔にヒジをグリグリ押しつけ、逃れようとするモラエスの頭部に、ヒザ蹴りやエルボースマッシュを荒々しく連打。  モラエス、右目の上を切ったようだ。  その後、両者立ち上がるも様子見が続く。残り30秒を切っても、互いにカウンター狙いなのか慎重な構え。ラスト10秒の声。モラエスがカポエイラキックを繰り出すもジャストミートせず、試合終了。  渋谷はセコンドの肩車で走り回りながら、何度もガッツポースして優勢をアピール。そして腕立て伏せをして余力もアピール。モラエスも負けじとバク宙を披露し、場内が沸く。
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【判定】

 レフェリーの両脇に立つ両選手。渋谷は勝ちを確信しているのか、ガッツポーズのスタンバイをしながら、笑顔で判定を待つ。一方のモラエスはソワソワと落ち着きがない様子。  しかし、3-0でモラエスの判定勝ち。渋谷は顔しかめて肩を落とした。
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 モラエスの勝利者インタビューに続き、リング上でインタビューに応じた渋 谷は、「勝ったと思った」と悔しさをにじませながらも、「世界最強のアドリアーノをこんだけ追い詰めたのは世界で俺一人」と胸を張った。さらに「どんな大会でもどんな場所でも俺はケンカできる。もっと出してくれ。アイ・カムバック!」と叫び、大歓声を浴びながらリングを下りた。
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試合後のロビーでは、渋谷の看板の前で撮影をする人が続出
 試合翌朝――。選手が宿泊するホテルのレストランで、渋谷にインタビューを行った。左目の上を昨晩、2針縫ったという。インタビューには渋谷のセコンドを務めた大沢ケンジ(和術慧舟會HEARTS)代表にも同席してもらった。
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――おつかれさまでした。大健闘の試合内容についてはのちほどじっくりお聞きするとして、まずは入場シーンから振り返ります。渋谷選手にしてはおとなしい入場に思えましたが、その心は? 渋谷 完全に入っていました。まわりも「渋谷莉孔、完全に入った」「ここまで鳥肌の立つ入場は初めてだ」と言っていましたね。 ――なるほど、あれは集中状態に「入った」表情だったわけですね。緊張はしましたか? 渋谷 まったく。なんでかというと、心が強くなったからでしょう。 ――試合中、客席の反応は聞こえましたか? 渋谷 最初は笑われていましたよね。「なんだコイツ」って感じで。あぁ、笑われているな、と思っていたけど、3、4ラウンドでどんどんひっくり返って、「コイツ本物じゃん」みたいな感じの声援に変わっていった。俺が手を下げたり、ニヤッと笑ったりするたび、客席がワーッと沸いてすごかったですね。 ――左目はいつケガしたのでしょう? 渋谷 4ラウンドのハイキックです。俺、「相手は寝技が強い」と言っていたじゃないですか。ところが寝技はまったく強くなくて、力も全然ないし、パンチもたいしたことなかったけど、蹴りだけが予想外というか、「足の甲一個分」長かった。だから、完全に避け切ったはずなのにレバーに刺さったり、完全にスウェーしたはずなのに親指の爪が当たったり。ダメージはないけど届くのかよ、と。敗因はそれだけですね。 ――「モラエスの寝技は強くない」というのは意外です。 渋谷 俺には関節技は効かないんですよ(笑)。相当、軟体なんで。ヒジもそうだし、首もそう。ついでに言うと、俺には打撃も効きません。練習でも一度も効いたことがない。体が柔らかくてショックが分散されるから、脳が揺れないんですよね。 ――試合中、相手に怖さは感じましたか? 渋谷 まったく怖くなかったです。逆に相手が俺のことをめっちゃ怖がって、試合中ずっと下がっていましたよね。試合後にも病院で会ったんですけど、相手は俺のヒジ攻撃で目の上をケガしていたし、俺に蹴られたところが痛かったらしく、ずっと足を引きずっていて、俺のことを「デストロイヤー」と呼んでいましたよ(笑)。そんなわけで、全然「怖さ」は感じなかったですけど、「上手さ」は感じましたね。 ――具体的に何が上手かったですか? 渋谷 パンチを打つとき、顔を斜めにズラしながら打って来るんですよ。それに気付いたのは3ラウンド目でした。なんか(自分のパンチが)当たりづらいな、と思ったんですけど、相手は俺のパンチに合わせて、斜め下に頭をちょっとズラしながら打っていた。それをちゃんと試合中にもできているのは、さすがチャンピオンレベルって感じです。 ――戦っている当事者の率直な実感として、試合中、主導権はどちらが握っていましたか? 渋谷 2ラウンド目あたりからずっと、こっちが上回っているな、という感触がありました。相手の寝技も打撃も俺には効かなかったけど、相手が受けたダメージは、ハンパなかったと思う。ボディーなんか、完全に効いていましたから。5ラウンドでも、金的だって逃げていましたけど、あれ、ボディーに入っていましたから。俺がボディーにヒザ蹴りするたびに「ウッ」「ウッ」っていう苦しそうな声がすんごい漏れていた。だから俺はずっと、相手の腹を見て笑っていたら、相手はどんどん下がっていった。よっぽど痛かったんでしょうね(笑)。 ――渋谷選手が相手を終始飲み込んでいた、と。 渋谷 間違いないです。あと、先月のインタビューでも予告した通り「一本拳」で攻め続けて、相手が倒れかかった場面もありました。ガンガン行き過ぎて、ここが切れちゃいましたけど(笑)。
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「一本拳」のやり過ぎで、人差し指に裂傷が!
――しかし、最終ラウンドに限って言えば、余力はありそうなのに手数が少なかったのが、もったいなく思えました。 渋谷 相手の蹴りの長さに惑わされました。考え過ぎ。これはホント、大失敗。最後、もっと手数が多ければ、勝っていたかもしれませんね。 ――セコンドの大沢さんにお聞きします。モラエスの寝技は効かないかも、と気付いたのはいつですか? 大沢 僕らのほうが渋谷よりも先に、そう思ったんじゃないかな。戦前は、やられるとしたら寝技だろうな、と思っていたけど、1ラウンドも2ラウンドもバックポジョンを取られても逃げ切ったので、「これ、いけるじゃん!」と。ただ、寝技から逃げられると思ったことが、実は敗因でもあるんです。本当はタックルを切って打撃で勝負してほしかったけど、切るよりはバックを取らせて逃げちゃえばいいや、という感じになって、グラウンドの展開が長引いちゃって、判定に影響した部分もありますからね。 ――それにしても、渋谷選手はなぜあんなにも寝技をひっくり返すのが上手いのでしょうか? ブリッジの強さを指摘する声もありますが、大沢さんはどう思いますか? 技術的な解説をお願いします。
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大沢代表と渋谷
大沢 それがわかったら、みんながやれるわけで。それは本人に聞いてもらったほうがいいかも。まあ、ブリッジが強いのは確かだけど……。 渋谷 僕は前世が人間じゃなく、「橋」なのかもしれません。 大沢 うん、橋かもな(笑)。
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格闘界の智将マット・ヒュームも渋谷を激励。渋谷のファイトスタイルを気に入った様子だ
――言動のユニークさもまた渋谷選手の魅力ですが、試合中、ガードを下げながら進んで行くあのスタイルは、我流ですか? 渋谷 他では見たことがないですね。打って来てほしいんで、「来いよ」って感じで下げてみただけ。それで相手がやりづらいのかも。俺ってホント、“初見殺し”なんですよ。いつも一緒に練習している人はそうでもないだろうけど、初めての人にとっては、変化球過ぎてやりづらいみたいですね。 ――あの“ノーガード戦法”は、マレーシアの観客の心を確実につかんでいましたよ。 渋谷 日本と全然違いますね。日本だと、あそこまでのコールは起こらない。俺、外国向けの選手なのかな、って思いましたね。日本人はみんながいいって言わないと乗らないようなところがあるけど、外国人はいいものはいいって感じで、まっすぐに盛り上がってくれる。昨晩も、出待ちとか、すごかったですよ。大会終わって深夜2時ぐらいなのに、病院にまで車で追いかけて来ている人たちも大勢いて、病院出るときの声援がハンパじゃなかった。俺はアイドルか? と思いましたよ(笑)。 大沢 試合中も、誰も渋谷のことを知らない敵地の会場で、数千人が「シブヤコール」ですからね。これは本当にすごいことです。ただし、悔しさのほうが大きい。いい試合をしても負けちゃうと、すぐに忘れられちゃうんですよ。会場に来た人の印象には残るかもしれないけど、そうじゃない人たちは戦績しか見てくれないから、「結局負けたんでしょ?」で片付けられちゃうのが悔しい。 渋谷 いやでもまだこれ、序章なんで。ドラマでいうとまだ1、2話なのに、ゴールしちゃったらつまんないでしょう? 一度は落ちないと。1、2話で打ち切られる奴もいるけど、俺の場合、昨日のファイトで主催者にも観客にも気に入られたはずだから、打ち切りはない。いっぺん負けて落ちてからの展開があったほうがいいでしょう。本当に面白くなるのはこれからなので、まあ、見ていてくださいよ。  チンピラ上がりの格闘家、腕と度胸のタイマン行脚。そのサクセスストーリーはまだまだ続く――。 (取材・文=岡林敬太)

プロ野球・阪神“使えないサード”西岡剛の3番固定で「チームの士気は下がっ ている」!?

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『全力疾走』(宝島社)
 27日に開幕するプロ野球。昨年、日本シリーズで敗れた阪神は、京セラドームの中日戦から2015年の公式戦をスタートさせる。だが、現場では、和田豊監督の「こだわり」がアダとなり、早期に「“終戦”を迎えるのでは?」という話が上がっている。  2月のキャンプでもさほど話題に上らず「人気球団にもかかわらず、スポーツニュースでも割かれた時間は少なかった」(スポーツ紙プロ野球デスク)という阪神。 「話題にならなかった最大の要因は、ことごとくFAでの補強に失敗したこと。米メジャーリーグ移籍も取り沙汰された鳥谷敬には5年で20億円という大金をはたいて残留させたが、それがなかったら、今ごろ大変なことになっていた」(同)  キャンプでは新人野手の江越大賀、投手では石崎剛が芽を出し、開幕一軍に名を連ねる。若虎とベテランの戦力がうまく融合すれば、10年ぶりのリーグVも見えてこようものだが、ここへきて暗雲が立ち込めてきている。 「和田監督は開幕に西岡剛をスタメン起用すると明言している。ですが、西岡は昨秋、肘を手術したばかり。しかも、本職のセカンドではなくサードにコンバートした上での起用。一部では『3番で起用するから、サードで頼む』と指揮官がお願いした、とまでいわれています」(同)  となれば、調子が良かろうが悪かろうが、西岡を動かすのは至難の業。ここに弱点がある。 「使えない西岡をクリーンアップに据えた時点で、ほかの選手の士気は下がっていますよ。チームとしても、チャンスで西岡が凡退して、開幕ダッシュに失敗する可能性もある。和田監督は1年契約で、優勝以外はクビか退任が基本路線。夏を迎える前に、話題は新監督人選に移っているかもしれませんね」(同)  「西岡と心中」といえばそれまでだが、チームの雰囲気が一気に悪くなっているのは事実のようだ。