「ブレーク芸人」大量輩出中のTBSラジオ『ラフターナイト』──その“選球眼”の秘密を聞いた!

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 ひところ、「テレビのネタ番組が減った」とよく言われた。それに伴い、若手芸人がテレビに出る機会が減少した、とも。だが、2015年の『M-1グランプリ』復活あたりから潮目が変わり、深夜にネタ番組が増加。『内村てらす』(日本テレビ系)、『こそこそチャップリン』(テレビ東京系/今年4月より『にちようチャップリン』にリニューアル)、『有田チルドレン』『有田ジェネレーション』(TBS系)、『お願い!ランキング』(テレビ朝日系)内「お願い!マンピンコン」、『新しい波24』(フジテレビ系)など、各局が活きのいい若手を次々と出演させている。  そんな中にあって、お笑い好きの間で注目度の高いネタ番組が、テレビではなくラジオにある。毎週金曜24時からTBSラジオで放送されている『マイナビLaughter Night』(ラフターナイト)だ。 『ラフターナイト』は15年4月に開始した。毎月40組の芸人がオンエアを争うネタバトルに参加し、観覧客の投票によって20組がオンエアを獲得する。放送後、ホームページで受け付けているリスナー投票と、TBSラジオ・JUNK総合プロデューサーの宮嵜守史氏、『水曜日のダウンタウン』プロデューサー・藤井健太郎氏、『おぎやはぎのメガネびいき』等を担当する放送作家・鈴木工務店氏による番組審査員の審査に基づいて、「月間チャンピオン」が決定する。  当初は毎週土曜日24時から30分間の番組だったが、今年4月から金曜24~25時の1時間枠に拡大。前半30分が5組のネタをオンエア、後半30分が結成6年目のコンビ・空気階段による「空気階段の踊り場」という構成になった『ラフターナイト』がお笑い好きから注目されている理由は、その“選球眼”にある。  歴代月間チャンピオンには、カミナリ、メイプル超合金、相席スタートなどが並ぶ。いずれも『M-1グランプリ』出場前で、ライブに足を運ぶようなお笑いファンにはその実力が知られていたものの、世間的にはまったくの無名だった時期だ。彼ら以外にも、その『M-1グランプリ』をはじめ『キングオブコント』や『R-1ぐらんぷり』ファイナリスト候補と目される若手芸人たちが、月間チャンピオンに輝いている。  コアなお笑いファンを納得させるラインナップは、どのようにして実現しているのか? 同番組を担当する越崎恭平ディレクターに聞いた。
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TBSラジオ『マイナビLaughter Night』の越崎恭平ディレクター
――毎週楽しみに聴いています。毎回出演している芸人さんのラインナップが“的確”すぎて感心するのですが、出場者はどうやって集めているんですか? 越崎恭平氏(以下、越崎) オンエア争奪ライブ自体がオーディションなので、かなり間口を広く受け入れています。ホームページからのエントリー制で、各事務所のマネージャーさんが応募してきますし、フリーランスの芸人さんは自分で送ってきますね。それに加えて、自分がお笑いライブに通って、そこで面白かった人に出場を打診するケースもあります。初めてのメディア出演が『ラフターナイト』という芸人さんも結構いますよ。放送は20組ですが、争奪ライブには40組出られるので、厳選して絞り込んで……ということはしないで済むのが強みですね。 ――ディレクター自らライブに足を運んでいるんですね。確かに、ロビンソンズやエル・カブキ、ヤーレンズなど、ライブシーンで定評のある人が多く出ているな、と思っていました。
越崎 常連になっている芸人さんもいますね。でも、3~4回連続でオンエアを逃していても、出てもらっている人もいます。カミナリも、(所属の)グレープカンパニーの事務所ライブで観て声をかけたんですけど、最初の3~4回くらいは全然オンエアにならなかったんですよ。でもある時、急にドカンとウケて、月間チャンピオンになって。何がそんなに変わったのか、本人たちもあんまりピンと来てなかったみたいですけど(笑)。  テレビのネタ番組だと、やっぱり「ウチの番組から発掘した」と言いたいから、他番組に出ている人にはあまり声をかけなかったりするケースもあるみたいですが、『ラフターナイト』はそのこだわりが全然ないので、テレビで初めて観て面白かった人にも、すぐに連絡してます。もちろん、ウチの番組も最終的にはチャンピオンを決めるので、発掘感は大事なんですが、今のTBSラジオは正直『オールナイトニッポンR』(ニッポン放送)のような若手芸人のお試し枠があるわけではないので、出てもらった人をいっぱい使うという約束はできない。なので、「こういう芸人がいますよ」とお客さんや業界の人に見せる、ショーケースのような役割を果たせればと。 ――それにしても、オンエアを獲得したネタも、テレビだったら放送できないようなギリギリのものが多いように感じます。観覧のお客さんから悲鳴が上がりそうなネタが普通にオンエアされていますし、それで月間チャンピオンになる人もいますよね。それをお客さんが投票で選んでいるというのはすごいと思います。 越崎 ラジオリスナーの方が公開収録に来ているので、ほかのライブ会場と空気が違うというのはあると思います。これは僕たちが操作しているわけでは当然なくて、『ラフターナイト』のお客さんの特性だと思うんですが、コアなネタでもすごく笑っていただけるんですよ。それこそ空気階段も、初めてヨシモト∞ホールで観たときは、客席がシーンとしてたんです。でも面白かったので争奪ライブに呼んでみたら、1回目から大爆笑でした。芸人さんにも、「初めてこのネタでウケました」とよく言われます。本当に毎回温かいお客さんが来てくれるので、ありがたいですね。 ――以前に一度観覧に行ったときは、かなり年齢層が幅広くて、普段若手芸人のライブで見かける客層とはちょっと違うな、と驚きました。 越崎 10代の学生もいるし、年配の方もいますね。アンケートを読むと、「初めて生でお笑いを観た」という人も結構多いです。慣れていない人からすれば、ライブハウスは行きづらいのかもしれません。ラジオの観覧という形であれば来やすいですよね。 ――確かに、高校生がいきなり新宿バティオス(歌舞伎町のライブハウス。よく若手芸人のライブが行われている)に行くのはハードルが高いですもんね。「さすがにこのネタはNG」という線引きは設けているんですか? 越崎 テレビに比べたら相当ユルいと思いますよ。『ラフターナイト』でやったネタを、テレビのオーディションに持っていったらすごく変えられた、という話も芸人さんからよく聞きます。ただ、「ラジオで聴いてわかるように工夫してほしい」というのは事前に伝えていますね。どれだけ面白くても、何が起こっているのかわからないネタは、聴いている人にとってすごくストレスなので。 ――芸人さん側にとっても、自由度が高いのでやりやすそうですね。 越崎 今いちばんスッと出やすい番組だと思ってると思いますよ。テレビだと、ディレクターや作家さんの前でネタ見せをして、後日連絡来なくて落ちて……みたいなのを繰り返しますけど、オンエアになるかは別として『ラフターナイト』は収録にはすぐ出られますから。お笑いライブの関係者の人から「芸人さんたち、楽屋でラフターナイトの話をよくしてますよ」と言われたことがあります。結構力を入れてくれてるんだなぁ、と思えてうれしいですね。それと、TBS局内で収録しているので、普段お客さんが10人くらいのライブハウスに出ている人からすると、すごい気合いが入るそうです。「やっと地上に出てきた感じがします」と。 ――ネタ以外の部分で、番組を作る上でこだわっているところはありますか? 越崎 オンエアには乗らない部分ですが、収録では5組ずつにブロックを分けてネタを披露してもらっていて、その後に5組そろっての告知のコーナーがあるんです。そこを楽しみに来てくれるお客さんも多いし、実際かなりこだわって5組の組み合わせを考えてますね。もちろんコント・漫才・ピン芸とネタの種類のバランスもあるんですが、芸人さんがどういう人なのかわかるように出てもらいたくて。台本もないし事前の打ち合わせもないので、出たとこ勝負ではあるんですが、「このコンビは今は別の事務所だけどNSC(吉本の養成所)通ってたのか。じゃあこの人と同期同士で一緒にしてみよう」とか「この人たち、見た目が似てるな」とか「ツイッターフォローしあってるから実は仲良いのかな」とか、なるべく盛り上がるように設定しています。小森園ひろしさんと、ピーマンズスタンダードの南川さんが高校の同級生だったって情報見つけて組み合わせてみたり、鬼越トマホークの坂井さんとルシファー吉岡さんのスキンヘッド2人で出してみる、とかそれぐらいなんですけど(笑)。 ――「◯◯と△△が実は昔から知り合い」とか、養成所時代の同期・先輩・後輩関係をチェックするのもお笑いファンは好きですよね。 越崎 初めての人にも楽しんでもらいたいのはもちろんですが、お笑いファンにも刺さるように作りたいですからね。「この組み合わせが観られるんだ!」って思ってほしい。 ――今年の4月からは放送枠が拡大になり、後半30分は空気階段の冠番組『空気階段の踊り場』になっていますよね。同じ平日24時台は、火曜がアルコ&ピース、水曜がうしろシティ、木曜がハライチで、圧倒的に知名度のない空気階段がここに並んでいるのはすごい抜擢だと思うのですが。
越崎 2016年のチャンピオン大会で優勝して、その特典として2時間の冠特番『空気階段のRADIO ESCALATOR』を昨年12月に放送したんです。それが好評で、編成部長にも「特番が面白かった」と言ってもらって。『ラフターナイト』の枠拡大に伴って後半30分を誰に任せるか、という話になった時に、「じゃあ空気階段でいこう」と。 ――『RADIO ESCALATOR』は確かに面白かったですが、レギュラーにするのはかなりの冒険だったのでは? と勝手に心配していました。 越崎「やっていいの!?」と正直思いました。相当な思い切りですよね。全然華もないし(笑)。 ――2016年チャンピオン大会にはカミナリも出ていますし、第1回チャンピオン大会(2015年)はニューヨーク、メイプル超合金やANZEN漫才、相席スタートと、その後ブレークした方も多いですよね。ファンとしては、空気階段も同じような勢いで駆け上がってほしいんですが……。 越崎 うーん、どうですかね。もうちょっと時間がかかるんじゃないでしょうか……華もないし、清潔感がないですからね(笑)。 (取材・文=斎藤岬) ●『マイナビLaughter Night』(ラフターナイト) 放送/TBSラジオにて、毎週金曜24~25時 https://www.tbsradio.jp/warai954/index.html 「第3回チャンピオンLIVE」 日時:2017年10月14日 16時開演 場所:ニッショーホール MC:山里亮太、伊東楓(TBSアナウンサー) ゲスト:アルコ&ピース チケット:前売3,500円 イープラス・チケットぴあ・ローソンチケットにて発売中 ●越崎恭平(こしざき・きょうへい) 1987年生まれ。TBSプロネックス所属。現在の担当番組は『爆笑問題カーボーイ』『爆笑問題の日曜サンデー』ほか。

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 ひところ、「テレビのネタ番組が減った」とよく言われた。それに伴い、若手芸人がテレビに出る機会が減少した、とも。だが、2015年の『M-1グランプリ』復活あたりから潮目が変わり、深夜にネタ番組が増加。『内村てらす』(日本テレビ系)、『こそこそチャップリン』(テレビ東京系/今年4月より『にちようチャップリン』にリニューアル)、『有田チルドレン』『有田ジェネレーション』(TBS系)、『お願い!ランキング』(テレビ朝日系)内「お願い!マンピンコン」、『新しい波24』(フジテレビ系)など、各局が活きのいい若手を次々と出演させている。  そんな中にあって、お笑い好きの間で注目度の高いネタ番組が、テレビではなくラジオにある。毎週金曜24時からTBSラジオで放送されている『マイナビLaughter Night』(ラフターナイト)だ。 『ラフターナイト』は15年4月に開始した。毎月40組の芸人がオンエアを争うネタバトルに参加し、観覧客の投票によって20組がオンエアを獲得する。放送後、ホームページで受け付けているリスナー投票と、TBSラジオ・JUNK総合プロデューサーの宮嵜守史氏、『水曜日のダウンタウン』プロデューサー・藤井健太郎氏、『おぎやはぎのメガネびいき』等を担当する放送作家・鈴木工務店氏による番組審査員の審査に基づいて、「月間チャンピオン」が決定する。  当初は毎週土曜日24時から30分間の番組だったが、今年4月から金曜24~25時の1時間枠に拡大。前半30分が5組のネタをオンエア、後半30分が結成6年目のコンビ・空気階段による「空気階段の踊り場」という構成になった『ラフターナイト』がお笑い好きから注目されている理由は、その“選球眼”にある。  歴代月間チャンピオンには、カミナリ、メイプル超合金、相席スタートなどが並ぶ。いずれも『M-1グランプリ』出場前で、ライブに足を運ぶようなお笑いファンにはその実力が知られていたものの、世間的にはまったくの無名だった時期だ。彼ら以外にも、その『M-1グランプリ』をはじめ『キングオブコント』や『R-1ぐらんぷり』ファイナリスト候補と目される若手芸人たちが、月間チャンピオンに輝いている。  コアなお笑いファンを納得させるラインナップは、どのようにして実現しているのか? 同番組を担当する越崎恭平ディレクターに聞いた。
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TBSラジオ『マイナビLaughter Night』の越崎恭平ディレクター
――毎週楽しみに聴いています。毎回出演している芸人さんのラインナップが“的確”すぎて感心するのですが、出場者はどうやって集めているんですか? 越崎恭平氏(以下、越崎) オンエア争奪ライブ自体がオーディションなので、かなり間口を広く受け入れています。ホームページからのエントリー制で、各事務所のマネージャーさんが応募してきますし、フリーランスの芸人さんは自分で送ってきますね。それに加えて、自分がお笑いライブに通って、そこで面白かった人に出場を打診するケースもあります。初めてのメディア出演が『ラフターナイト』という芸人さんも結構いますよ。放送は20組ですが、争奪ライブには40組出られるので、厳選して絞り込んで……ということはしないで済むのが強みですね。 ――ディレクター自らライブに足を運んでいるんですね。確かに、ロビンソンズやエル・カブキ、ヤーレンズなど、ライブシーンで定評のある人が多く出ているな、と思っていました。
越崎 常連になっている芸人さんもいますね。でも、3~4回連続でオンエアを逃していても、出てもらっている人もいます。カミナリも、(所属の)グレープカンパニーの事務所ライブで観て声をかけたんですけど、最初の3~4回くらいは全然オンエアにならなかったんですよ。でもある時、急にドカンとウケて、月間チャンピオンになって。何がそんなに変わったのか、本人たちもあんまりピンと来てなかったみたいですけど(笑)。  テレビのネタ番組だと、やっぱり「ウチの番組から発掘した」と言いたいから、他番組に出ている人にはあまり声をかけなかったりするケースもあるみたいですが、『ラフターナイト』はそのこだわりが全然ないので、テレビで初めて観て面白かった人にも、すぐに連絡してます。もちろん、ウチの番組も最終的にはチャンピオンを決めるので、発掘感は大事なんですが、今のTBSラジオは正直『オールナイトニッポンR』(ニッポン放送)のような若手芸人のお試し枠があるわけではないので、出てもらった人をいっぱい使うという約束はできない。なので、「こういう芸人がいますよ」とお客さんや業界の人に見せる、ショーケースのような役割を果たせればと。 ――それにしても、オンエアを獲得したネタも、テレビだったら放送できないようなギリギリのものが多いように感じます。観覧のお客さんから悲鳴が上がりそうなネタが普通にオンエアされていますし、それで月間チャンピオンになる人もいますよね。それをお客さんが投票で選んでいるというのはすごいと思います。 越崎 ラジオリスナーの方が公開収録に来ているので、ほかのライブ会場と空気が違うというのはあると思います。これは僕たちが操作しているわけでは当然なくて、『ラフターナイト』のお客さんの特性だと思うんですが、コアなネタでもすごく笑っていただけるんですよ。それこそ空気階段も、初めてヨシモト∞ホールで観たときは、客席がシーンとしてたんです。でも面白かったので争奪ライブに呼んでみたら、1回目から大爆笑でした。芸人さんにも、「初めてこのネタでウケました」とよく言われます。本当に毎回温かいお客さんが来てくれるので、ありがたいですね。 ――以前に一度観覧に行ったときは、かなり年齢層が幅広くて、普段若手芸人のライブで見かける客層とはちょっと違うな、と驚きました。 越崎 10代の学生もいるし、年配の方もいますね。アンケートを読むと、「初めて生でお笑いを観た」という人も結構多いです。慣れていない人からすれば、ライブハウスは行きづらいのかもしれません。ラジオの観覧という形であれば来やすいですよね。 ――確かに、高校生がいきなり新宿バティオス(歌舞伎町のライブハウス。よく若手芸人のライブが行われている)に行くのはハードルが高いですもんね。「さすがにこのネタはNG」という線引きは設けているんですか? 越崎 テレビに比べたら相当ユルいと思いますよ。『ラフターナイト』でやったネタを、テレビのオーディションに持っていったらすごく変えられた、という話も芸人さんからよく聞きます。ただ、「ラジオで聴いてわかるように工夫してほしい」というのは事前に伝えていますね。どれだけ面白くても、何が起こっているのかわからないネタは、聴いている人にとってすごくストレスなので。 ――芸人さん側にとっても、自由度が高いのでやりやすそうですね。 越崎 今いちばんスッと出やすい番組だと思ってると思いますよ。テレビだと、ディレクターや作家さんの前でネタ見せをして、後日連絡来なくて落ちて……みたいなのを繰り返しますけど、オンエアになるかは別として『ラフターナイト』は収録にはすぐ出られますから。お笑いライブの関係者の人から「芸人さんたち、楽屋でラフターナイトの話をよくしてますよ」と言われたことがあります。結構力を入れてくれてるんだなぁ、と思えてうれしいですね。それと、TBS局内で収録しているので、普段お客さんが10人くらいのライブハウスに出ている人からすると、すごい気合いが入るそうです。「やっと地上に出てきた感じがします」と。 ――ネタ以外の部分で、番組を作る上でこだわっているところはありますか? 越崎 オンエアには乗らない部分ですが、収録では5組ずつにブロックを分けてネタを披露してもらっていて、その後に5組そろっての告知のコーナーがあるんです。そこを楽しみに来てくれるお客さんも多いし、実際かなりこだわって5組の組み合わせを考えてますね。もちろんコント・漫才・ピン芸とネタの種類のバランスもあるんですが、芸人さんがどういう人なのかわかるように出てもらいたくて。台本もないし事前の打ち合わせもないので、出たとこ勝負ではあるんですが、「このコンビは今は別の事務所だけどNSC(吉本の養成所)通ってたのか。じゃあこの人と同期同士で一緒にしてみよう」とか「この人たち、見た目が似てるな」とか「ツイッターフォローしあってるから実は仲良いのかな」とか、なるべく盛り上がるように設定しています。小森園ひろしさんと、ピーマンズスタンダードの南川さんが高校の同級生だったって情報見つけて組み合わせてみたり、鬼越トマホークの坂井さんとルシファー吉岡さんのスキンヘッド2人で出してみる、とかそれぐらいなんですけど(笑)。 ――「◯◯と△△が実は昔から知り合い」とか、養成所時代の同期・先輩・後輩関係をチェックするのもお笑いファンは好きですよね。 越崎 初めての人にも楽しんでもらいたいのはもちろんですが、お笑いファンにも刺さるように作りたいですからね。「この組み合わせが観られるんだ!」って思ってほしい。 ――今年の4月からは放送枠が拡大になり、後半30分は空気階段の冠番組『空気階段の踊り場』になっていますよね。同じ平日24時台は、火曜がアルコ&ピース、水曜がうしろシティ、木曜がハライチで、圧倒的に知名度のない空気階段がここに並んでいるのはすごい抜擢だと思うのですが。
越崎 2016年のチャンピオン大会で優勝して、その特典として2時間の冠特番『空気階段のRADIO ESCALATOR』を昨年12月に放送したんです。それが好評で、編成部長にも「特番が面白かった」と言ってもらって。『ラフターナイト』の枠拡大に伴って後半30分を誰に任せるか、という話になった時に、「じゃあ空気階段でいこう」と。 ――『RADIO ESCALATOR』は確かに面白かったですが、レギュラーにするのはかなりの冒険だったのでは? と勝手に心配していました。 越崎越崎「やっていいの!?」と正直思いました。相当な思い切りですよね。全然華もないし(笑)。 ――2016年チャンピオン大会にはカミナリも出ていますし、第1回チャンピオン大会(2015年)はニューヨーク、メイプル超合金やANZEN漫才、相席スタートと、その後ブレークした方も多いですよね。ファンとしては、空気階段も同じような勢いで駆け上がってほしいんですが……。 越崎 うーん、どうですかね。もうちょっと時間がかかるんじゃないでしょうか……華もないし、清潔感がないですからね(笑)。 (取材・文=斉藤岬) ●『マイナビLaughter Night』(ラフターナイト) 放送/TBSラジオにて、毎週金曜24~25時 https://www.tbsradio.jp/warai954/index.html 「第3回チャンピオンLIVE」 日時:2017年10月14日 16時開演 場所:ニッショーホール MC:山里亮太、伊東楓(TBSアナウンサー) ゲスト:アルコ&ピース チケット:前売3,500円 イープラス・チケットぴあ・ローソンチケットにて発売中 ●越崎恭平(こしざき・きょうへい) 1987年生まれ。TBSプロネックス所属。現在の担当番組は『爆笑問題カーボーイ』『爆笑問題の日曜サンデー』ほか。

『くりぃむしちゅーのANN』復活、『ゆうゆうワイド』終了……2016年“神回”総決算! ラジオ業界激動の1年を振り返る

cream1220
ニッポン放送『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』番組サイトより
 今年、ラジオ業界は激動の1年でした。お昼の帯番組『大沢悠里のゆうゆうワイド』(TBSラジオ)が30年の節目で終了し、後番組として『伊集院光とらじおと』(同)がスタートしました。また、radikoではタイムフリー放送が始まり、放送後1週間以内のラジオ番組であればいつでも放送を聞けるようになり、よりラジオが身近なものになりました。  毎回、ラジオ業界に燦然と輝く“神回”を紹介してきたこのコラムでは、そんな2016年に放送されたラジオ番組から厳選の“ベスト・オブ・神回”を3つ紹介させていただきます。   ■『ニューヨークのオールナイトニッポン0 WHY 悲しき女たちSP』(ニッポン放送、16年10月20日深夜)  偏見ネタや毒のあるネタで、屈指の実力を持つ若手芸人のニューヨークのおふたりが今年4月から放送している番組『ニューヨークのオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)。芸風と同じように偏見ネタを募集するコーナーが多い中、セフレあるあるを募集するコーナー「加藤ミリヤか!」が思いがけない展開を見せます。  “セフレ=尻軽”という方程式をぬぐえない童貞丸出しの常連ハガキ職人たちが苦戦する中、「本当に誰かのセフレなんじゃないか!?」と思うくらい生々しい投稿が複数の女性リスナーから届き、屋敷さんが放送中に泣きそうになるほど盛り上がりをみせます。僕も聞きながら、体験したことのない「悲し笑い」というものがあるんだと知りました。  そして、現在セフレをしている女性をゲストに招き、恋のから騒ぎ方式で話を聞くことに。「私を好きじゃないところ以外全部好き」「駆け引きしたくて、次に電話が来たら一回無視してみようと思うけど、もう2度とかかってこないと思うと出ちゃう」など、その男性への愛ゆえの悲しいエピソードの数々は、深夜ラジオでは感じたことのないタイプの面白さ。  最後までセフレの本質を理解できない童貞リスナーを??りつける、ニューヨークさんのよさも存分に出ている神回でした。 ■『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン 第160回』(ニッポン放送、16年6月17日深夜)  05年から08年末まで全159回が放送され、深夜ラジオ界では伝説との呼び声高い『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』が7年ぶりの復活です。  僕としても、この番組を聞いて芸人を志したので思い入れが深いのですが、芸人仲間にもヘビーリスナーが多く、今やニッポン放送に就職する学生の半数はくりぃむリスナーだそうで、その影響力は計り知れません。また、年の瀬の有楽町に200人を超える番組リスナーが集まった最終回は今でも語り草です。  そんな『くりぃむANN』復活回。有田さんが、あえて第160回としたように、タイムスリップしたかのような懐かしいノリやエピソードが次々と盛り込まれ、番組は進行していきます。当時のリスナーにしかわからないくだりがありつつも、初めて聞いた人も思わず笑ってしまうような放送で、上田さんのキレキレのツッコミも当時のまま。文句なしの神回でした。
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ニッポン放送『アルコ&ピースのオールナイトニッポン0』番組サイトより
■『アルコ&ピースのオールナイトニッポン0(二期)最終回』(ニッポン放送、16年3月24日深夜)  13年の番組開始以降、リスナーを巻き込んだミニコントや、着地点の見えない企画を軸に置く番組構成でリスナーの心をつかみ、知名度はそこまで高くないにもかかわらず、今でも根強いファンを抱える同番組。  ニッポン放送社内にもファンがいるなど、関係者人気までも獲得。結果、終了の危機をオールナイト史上初のオールナイトニッポン0枠(ANN0枠)への降格という形で切り抜けました。しかし、そのANN0枠でも番組終了のときがやってきます。  最終回で放送された企画は、番組のキラーコンテンツ「アーティストの乱」。もはや何でもありの、リスナーが身内ノリで大暴れできる企画を選んだのです。初めて番組を聞くリスナーに対する酒井さんの「去れ!」の一言がアクセルになり、この番組らしいぶっ飛んだ最終回を聞かせてくれました。  そして、放送中ニッポン放送の前には300人もの番組リスナーが集結。『おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)からレポーターが派遣されるほどの大盛り上がりは、先に触れたように同じくANNで番組を持っていたくりぃむしちゅーさん以来でした。最後は、リスナーによる「アルピー!」コールが有楽町の空に響き、幕を閉じました。  ちなみに、個人的な今年ナンバーワンの神メールは、『アルピーANN0』最終回に60歳男性「平林さん」の「体調がよくなく入院中に、たまたまこの番組の第1回の放送を聞き、笑い過ぎて苦しくなって緊急治療室に入ってしまい、3週放送が聞けませんでした。それからは毎週聞くようになりファンになり、そして番組終了が発表された翌日に退院できました」という投稿でした。不謹慎ながら爆笑してしまいました。心も温まる文句なしのナンバーワンメールです。  現在、ニューヨークさんは毎週木曜深夜27時から、『ニューヨークのオールナイトニッポン0』を引き続き担当中。アルコ&ピースさんは毎週火曜深夜24時から『アルコ&ピースのD.C.GARAGE』(TBSラジオ)で、深夜ラジオ界に返り咲きました。くりぃむしちゅーさんは、テレビを中心に多忙を極める中、熊本大地震で傷ついた地元熊本の復興支援の活動までしています。  では、2017年も神回が聞けると確信しつつ、何卒! 僕からは以上! 暖かくして寝ろよ! (文=菅谷直弘[カカロニ])

『くりぃむしちゅーのANN』復活、『ゆうゆうワイド』終了……2016年“神回”総決算! ラジオ業界激動の1年を振り返る

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ニッポン放送『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』番組サイトより
 今年、ラジオ業界は激動の1年でした。お昼の帯番組『大沢悠里のゆうゆうワイド』(TBSラジオ)が30年の節目で終了し、後番組として『伊集院光とらじおと』(同)がスタートしました。また、radikoではタイムフリー放送が始まり、放送後1週間以内のラジオ番組であればいつでも放送を聞けるようになり、よりラジオが身近なものになりました。  毎回、ラジオ業界に燦然と輝く“神回”を紹介してきたこのコラムでは、そんな2016年に放送されたラジオ番組から厳選の“ベスト・オブ・神回”を3つ紹介させていただきます。   ■『ニューヨークのオールナイトニッポン0 WHY 悲しき女たちSP』(ニッポン放送、16年10月20日深夜)  偏見ネタや毒のあるネタで、屈指の実力を持つ若手芸人のニューヨークのおふたりが今年4月から放送している番組『ニューヨークのオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)。芸風と同じように偏見ネタを募集するコーナーが多い中、セフレあるあるを募集するコーナー「加藤ミリヤか!」が思いがけない展開を見せます。  “セフレ=尻軽”という方程式をぬぐえない童貞丸出しの常連ハガキ職人たちが苦戦する中、「本当に誰かのセフレなんじゃないか!?」と思うくらい生々しい投稿が複数の女性リスナーから届き、屋敷さんが放送中に泣きそうになるほど盛り上がりをみせます。僕も聞きながら、体験したことのない「悲し笑い」というものがあるんだと知りました。  そして、現在セフレをしている女性をゲストに招き、恋のから騒ぎ方式で話を聞くことに。「私を好きじゃないところ以外全部好き」「駆け引きしたくて、次に電話が来たら一回無視してみようと思うけど、もう2度とかかってこないと思うと出ちゃう」など、その男性への愛ゆえの悲しいエピソードの数々は、深夜ラジオでは感じたことのないタイプの面白さ。  最後までセフレの本質を理解できない童貞リスナーを??りつける、ニューヨークさんのよさも存分に出ている神回でした。 ■『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン 第160回』(ニッポン放送、16年6月17日深夜)  05年から08年末まで全159回が放送され、深夜ラジオ界では伝説との呼び声高い『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』が7年ぶりの復活です。  僕としても、この番組を聞いて芸人を志したので思い入れが深いのですが、芸人仲間にもヘビーリスナーが多く、今やニッポン放送に就職する学生の半数はくりぃむリスナーだそうで、その影響力は計り知れません。また、年の瀬の有楽町に200人を超える番組リスナーが集まった最終回は今でも語り草です。  そんな『くりぃむANN』復活回。有田さんが、あえて第160回としたように、タイムスリップしたかのような懐かしいノリやエピソードが次々と盛り込まれ、番組は進行していきます。当時のリスナーにしかわからないくだりがありつつも、初めて聞いた人も思わず笑ってしまうような放送で、上田さんのキレキレのツッコミも当時のまま。文句なしの神回でした。
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ニッポン放送『アルコ&ピースのオールナイトニッポン0』番組サイトより
■『アルコ&ピースのオールナイトニッポン0(二期)最終回』(ニッポン放送、16年3月24日深夜)  13年の番組開始以降、リスナーを巻き込んだミニコントや、着地点の見えない企画を軸に置く番組構成でリスナーの心をつかみ、知名度はそこまで高くないにもかかわらず、今でも根強いファンを抱える同番組。  ニッポン放送社内にもファンがいるなど、関係者人気までも獲得。結果、終了の危機をオールナイト史上初のオールナイトニッポン0枠(ANN0枠)への降格という形で切り抜けました。しかし、そのANN0枠でも番組終了のときがやってきます。  最終回で放送された企画は、番組のキラーコンテンツ「アーティストの乱」。もはや何でもありの、リスナーが身内ノリで大暴れできる企画を選んだのです。初めて番組を聞くリスナーに対する酒井さんの「去れ!」の一言がアクセルになり、この番組らしいぶっ飛んだ最終回を聞かせてくれました。  そして、放送中ニッポン放送の前には300人もの番組リスナーが集結。『おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)からレポーターが派遣されるほどの大盛り上がりは、先に触れたように同じくANNで番組を持っていたくりぃむしちゅーさん以来でした。最後は、リスナーによる「アルピー!」コールが有楽町の空に響き、幕を閉じました。  ちなみに、個人的な今年ナンバーワンの神メールは、『アルピーANN0』最終回に60歳男性「平林さん」の「体調がよくなく入院中に、たまたまこの番組の第1回の放送を聞き、笑い過ぎて苦しくなって緊急治療室に入ってしまい、3週放送が聞けませんでした。それからは毎週聞くようになりファンになり、そして番組終了が発表された翌日に退院できました」という投稿でした。不謹慎ながら爆笑してしまいました。心も温まる文句なしのナンバーワンメールです。  現在、ニューヨークさんは毎週木曜深夜27時から、『ニューヨークのオールナイトニッポン0』を引き続き担当中。アルコ&ピースさんは毎週火曜深夜24時から『アルコ&ピースのD.C.GARAGE』(TBSラジオ)で、深夜ラジオ界に返り咲きました。くりぃむしちゅーさんは、テレビを中心に多忙を極める中、熊本大地震で傷ついた地元熊本の復興支援の活動までしています。  では、2017年も神回が聞けると確信しつつ、何卒! 僕からは以上! 暖かくして寝ろよ! (文=菅谷直弘[カカロニ])

ハライチ、うしろシティ、アルコ&ピースが登場! 若手芸人起用のTBS新番組枠に見る“深夜ラジオの現在地”

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TBSラジオ『うしろシティ 星のギガボディ』番組サイトより
 先月からラジオアプリradikoでタイムフリー放送(直近1週間分の放送をいつでも聴けるという画期的なもの)が始まりました。ラジオはTV録画と違い録音しづらいこともあり、昨今のラジオ離れの一因になっていますが、このサービスのおかげでラジオがより身近なものになりそうですね。今後、ラジオファン層が広がっていくと思うと楽しみです。  広がるといえば、深夜ラジオで最も人気のある放送枠「JUNK」(TBSラジオ、深夜1時から3時の平日帯)の前時間、24時から1時に新たな放送枠が誕生しました。若手芸人を起用し、火曜日に『アルコ&ピースのD.C.GARAGE』、水曜日に『うしろシティ 星のギガボディ』、木曜日に『ハライチのターン』がそれぞれ10月から放送しています。  実はこの時間帯、2008年9月29日から10年4月2日まで「JUNK ZERO」という若手芸人が1時間の番組を担当する放送枠だったのです。今回の改編は、この放送枠の復活といえるのではないでしょうか?  同放送枠では、のちに金曜JUNKを務めることになる『バナナマンのバナナムーン』、現在は木曜JUNKとして放送中の『おぎやはぎのメガネびいき』、現・JUNKサタデー『エレ片のコント太郎』、圧倒的な支持を得ていた『ケンドーコバヤシのテメオコ』、そしてこの枠で唯一、芸人ではないパーソナリティだった、TOKIOの城島茂さんによる『城島茂のどっち派?!』と豪華すぎる顔ぶれでした。  なかでも、『エレ片のコント太郎』は放送開始時から投稿コーナーに特に力を入れ、本人たちもリスナーに大きく依存する番組と公言していました。事実、はがき職人のレベルはとても高かったのですが、それはエレ片の3人のキャラクターの影響が大きかったと思います。  このエレ片や、のちにJUNKに昇格する、おぎやはぎさんやバナナマンさん含め、それぞれが、自分たちの色を出しリスナーとの関係性を作り上げていったJUNK若手枠。さて、先月から放送を開始した3組は、どんな番組を展開していくのでしょうか?
haraiti1031
TBSラジオ『ハライチのターン!』番組サイトより
 JUNK統括プロデューサー宮嵜守史さんの下、土曜深夜に2組で枠を分け合い放送していた番組『デブッタンテ』からの事実上の昇格を果たした、うしろシティさんとハライチさん。  うしろシティさんは阿諏訪さんが番組冒頭にポエムを読み、この阿諏訪さんの“ド痛具合”がリスナーの“ド痛な部分”を引き出したのか、リスナーからもポエムが大量に送られるなど、早くも番組独自の空気感が出始めています。  そして、幼なじみ染コンビのハライチさん。お互いを熟知しているが故のディープな関係性が魅力です。さらにラジオでは、おぎやはぎのお二人に「かっこいい。ロックスターのようなオーラがある」と言わしめた岩井さんの魅力全開です。あまりテレビではお目にかかれない、岩井さんのキレキレトークは必聴です。
aruko1031
TBSラジオ『アルコ&ピース D.C.GARAGE』番組サイトより
 今年4月で終了したオールナイトニッポン(ニッポン放送)枠での番組が伝説的人気を誇った、アルコ&ピースさん。このたび、TBSラジオで深夜ラジオ界に復活を遂げました。平子さんは「あくまでも新番組、続きのつもりでやるなよ」と言いますが、旧知のスタッフで臨む番組には、やはりオールナイトニッポンの匂いがほのかに漂っています。  ラジオを聴いたことのない皆さんもぜひ一度、radikoのタイムフリーでラジオデビューを、そしてリスナーの方は推し番組を増やしてみてはいかがでしょうか? (文=菅谷直弘[カカロニ])

ハライチ、うしろシティ、アルコ&ピースが登場! 若手芸人起用のTBS新番組枠に見る“深夜ラジオの現在地”

ushiro1031
TBSラジオ『うしろシティ 星のギガボディ』番組サイトより
 先月からラジオアプリradikoでタイムフリー放送(直近1週間分の放送をいつでも聴けるという画期的なもの)が始まりました。ラジオはTV録画と違い録音しづらいこともあり、昨今のラジオ離れの一因になっていますが、このサービスのおかげでラジオがより身近なものになりそうですね。今後、ラジオファン層が広がっていくと思うと楽しみです。  広がるといえば、深夜ラジオで最も人気のある放送枠「JUNK」(TBSラジオ、深夜1時から3時の平日帯)の前時間、24時から1時に新たな放送枠が誕生しました。若手芸人を起用し、火曜日に『アルコ&ピースのD.C.GARAGE』、水曜日に『うしろシティ 星のギガボディ』、木曜日に『ハライチのターン』がそれぞれ10月から放送しています。  実はこの時間帯、2008年9月29日から10年4月2日まで「JUNK ZERO」という若手芸人が1時間の番組を担当する放送枠だったのです。今回の改編は、この放送枠の復活といえるのではないでしょうか?  同放送枠では、のちに金曜JUNKを務めることになる『バナナマンのバナナムーン』、現在は木曜JUNKとして放送中の『おぎやはぎのメガネびいき』、現・JUNKサタデー『エレ片のコント太郎』、圧倒的な支持を得ていた『ケンドーコバヤシのテメオコ』、そしてこの枠で唯一、芸人ではないパーソナリティだった、TOKIOの城島茂さんによる『城島茂のどっち派?!』と豪華すぎる顔ぶれでした。  なかでも、『エレ片のコント太郎』は放送開始時から投稿コーナーに特に力を入れ、本人たちもリスナーに大きく依存する番組と公言していました。事実、はがき職人のレベルはとても高かったのですが、それはエレ片の3人のキャラクターの影響が大きかったと思います。  このエレ片や、のちにJUNKに昇格する、おぎやはぎさんやバナナマンさん含め、それぞれが、自分たちの色を出しリスナーとの関係性を作り上げていったJUNK若手枠。さて、先月から放送を開始した3組は、どんな番組を展開していくのでしょうか?
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TBSラジオ『ハライチのターン!』番組サイトより
 JUNK統括プロデューサー宮嵜守史さんの下、土曜深夜に2組で枠を分け合い放送していた番組『デブッタンテ』からの事実上の昇格を果たした、うしろシティさんとハライチさん。  うしろシティさんは阿諏訪さんが番組冒頭にポエムを読み、この阿諏訪さんの“ド痛具合”がリスナーの“ド痛な部分”を引き出したのか、リスナーからもポエムが大量に送られるなど、早くも番組独自の空気感が出始めています。  そして、幼なじみコンビのハライチさん。お互いを熟知しているが故のディープな関係性が魅力です。さらにラジオでは、おぎやはぎのお二人に「かっこいい。ロックスターのようなオーラがある」と言わしめた岩井さんの魅力全開です。あまりテレビではお目にかかれない、岩井さんのキレキレトークは必聴です。
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TBSラジオ『アルコ&ピース D.C.GARAGE』番組サイトより
 今年4月で終了したオールナイトニッポン(ニッポン放送)枠での番組が伝説的人気を誇った、アルコ&ピースさん。このたび、TBSラジオで深夜ラジオ界に復活を遂げました。平子さんは「あくまでも新番組、続きのつもりでやるなよ」と言いますが、旧知のスタッフで臨む番組には、やはりオールナイトニッポンの匂いがほのかに漂っています。  ラジオを聴いたことのない皆さんもぜひ一度、radikoのタイムフリーでラジオデビューを、そしてリスナーの方は推し番組を増やしてみてはいかがでしょうか? (文=菅谷直弘[カカロニ])

「ヤレる総選挙」ってなんだ!? 『木曜JUNK おぎやはぎのメガネびいき』10年続く番組の“伝統芸”

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TBSラジオ『木曜JUNK おぎやはぎのメガネびいき』番組サイトより
 ラジオには奇跡的な面白さを見せる神回というのが多数あるのですが、開催すれば必ず神回を生み出す、“神コンテンツ”というものが存在します。第1回でも紹介した『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)の「アーティストの乱」や、『金曜JUNK バナナムーンGOLD』(TBSラジオ)の「ヒムペキグランド大賞」などがあります。  今回紹介するのは、そんな神企画中の神企画、先日4年連続4度目の神回を生み出した『木曜JUNK おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)の「アイドル妄想総選挙」です。  僕は、偶然にもお笑いコンビ・おぎやはぎの矢作兼さんと同じ豊島区立千川中学校で3年間を過ごしました。そんな千川中で、音楽の時間に「オペラは総合芸術だ」と習いました。音楽、演劇、美術、舞踊とさまざまな芸術がかみ合ったものだと。僕はこの「アイドル妄想総選挙」も、いろいろな要素がかみ合った総合芸術なのではないだろうかと考えています。  ただし、この「アイドル妄想総選挙」には高貴な芸術など出てきません。その2時間で総合芸術を織りなすのは、下世話なパーソナリティ、下世話なスタッフ、下世話なゲスト、下世話な週刊誌、リスナーのクソメンクソガール、そしてヤレそうなアイドルです。下世話とクソと尻軽が芸術を生み出すのです。  2013年6月のスペシャルウィークに、某国民的アイドルの総選挙の裏でひっそりと始まった「アイドル妄想総選挙」は、世に数多いる女性タレントの“神タイミング”(年に数回あるといわれるとにかくヤリたい日)に偶然遭遇したら、俺たちクソメンでもヤレるんじゃないかと思えるタレント1位、さらには本家の神7にあたる“ヤリ7”を選出する総選挙で、少しずつその知名度は増し、そのうち「ヤレる総選挙」というストレートかつ最低なネーミングに自然に変化していきました。  この企画ではパーソナリティのおぎやはぎさんが総合司会を務め、ゲストのケンドーコバヤシさんとともにリスナーからの「この人はこういう理由でヤレそう」というメールを聞いたり、誰とならヤレそうかを雑談しながら、番組終盤の開票を待つという流れになっています。  この開票を待つ時間に大きな役割を果たすのが、下世話なゴシップ誌です。本来ラジオパーソナリティと犬猿の関係であることが多いのですが、『メガネびいき』とは相性が良く、過去にも小木さんがあるタレントの性癖を勝手に予想してしゃべってたのですが、それと全く同じ情報が週刊誌に載った際、小木さんは自分の発言が記事になったのだとも気づかずに「やっぱり俺の予想は当たってたんだ!」と自分発信の記事で大喜びするほどウィンウィンの関係です。「週刊実話」(日本ジャーナル出版)を信頼しきった3人が「アイドル淫相学SEX診断」や「夏はスプラッシュ潮吹き診断」などの下世話な記事を読んでは「マジかよー!!」と大騒ぎ。  この企画で一番盛り上がるのは、やはり前述のリスナーが考える“ヤレそうな理由”です。それでは、ときに秀逸で、ときに童貞くさいその一部を紹介させていただきます。  「指原莉乃はヤラせてくれたけどなぁ」って言ったら負けん気の強さで、菊地亜美は抱けるはず。ホラン千秋は、SEXのことを“ステップアップ”と言えばヤレるはず。手島優は、牛角おごればヤレるはず。矢口真里は、家にクローゼットさえあればヤレるはず。ロンドンハーツ(テレビ朝日系)に出てる女性タレントは、「頭の回転速いよね」と褒めとけば1人くらいは絶対抱けるなど……。  さらには、ケンコバさんが「安藤優子さんは、分け目が逆の日はヤレるらしい」など下世話かつ根拠全くなしのゴシップ。もはや、放課後の部室です。楽しすぎる!!  そして、結果発表時には番組側が1位になると予想した方をゲストで呼ぶのですが、これがまた見事に1位を取らない。今年は、矢口真里さんという大本命を番組に呼んだにもかかわらず、センターどころかヤリ7にも入れない15位という結果に。矢口さんも「ここに入れなかったら、私はどの“神7”にも入れない」と落胆していました。  過去4回の傾向を分析すると、上位に進出するのは“ヤレそうでかつ、ヤレたら自慢できるクソメンの夢を背負ったアイドル”。対して、ゲストは“ただただヤレそうな人”であると推測できます。  この企画の面白いところは、ほとんどの女性タレントが上位進出を目指しているという点。総選挙後のポッドキャスト配信では、1位を取れなかった女性タレントがおぎやはぎさんとケンコバさんの口車に乗せられて自らの性生活を暴露したり、おのののかさんに至っては、かわいすぎる喘ぎ声を披露したりと大ハッスル。多くのタレントが公式に上位を狙うと発言をしていて、16年のスキャンダルのほとんどは、この総選挙での上位進出を意識してのことだと、僕は理解しています。  ちなみに開票結果は、ファンと関係を持ったことで、クソメンの心をつかんで離さないHKT48の指原莉乃さんが現在4連覇中。果たして快進撃を阻む“ヤレそうな”アイドルは現れるのでしょうか? 来年6月の総選挙に備えて、我々クソメンは、妄想ばかりの忙しい日々が続きそうです。 (文=菅谷直弘[カカロニ])

「お察しください」極楽とんぼ・山本圭壱の熱愛報道に“あの人”が物申した!『極楽とんぼの吠え魂』

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 今回、振り返る神回は2006年2月17日深夜放送の『極楽とんぼの吠え魂』(TBSラジオ)の第280回です。現在もラジオファンから圧倒的な支持を持つTBSラジオの深夜枠、JUNKで放送されていた同番組。のべ100人を超える芸人らが所属していた極楽とんぼ・山本圭壱さん率いる“軍団山本”のナンバー2、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが放送中のスタジオに乱入します。  ちょうど同じ日に発売された「フライデー」(講談社)に、ある女性とのツーショット写真を撮られてしまった山本さん。番組冒頭から熱愛発覚の記事について、加藤浩次さんに探りを入れられるも、「お察しください」の一点張り。  しかし、その口ぶりは暗に記事を肯定しているようなニュアンスが感じ取れました。  女性は、後に劇団ひとりさんと結婚した大沢あかねさんなんですが、この濁すことで真実味を出そうとしている山本さんがもう面白い。当時聞いていた僕は違和感を持ちつつも、報道は本当なのではないか? と思ってしまいました。  どうやら、加藤さんも違和感を持っているようです。なぜなら、山本さんは過去に鈴木亜美との仲が報じられたときも2人で会うことすらできなかったのに、ラジオであることないことを言っていた前科があるからです。しかし、最終的には「では、わたくしもリスナーもお察ししてよろしいですか」と、しぶしぶ納得した様子の加藤さん。  山本さんは、自信に満ち溢れた様子でしたが、その堂々とした態度でしゃべれるのもここまで。時間にして8分強でした。  続けて、加藤さんが話し始めます。 「いや、僕も記事を見て山本さんに直接電話するのもあれだなと思って、ある方に電話したんですよ。で、吠え魂に来てくれない? って聞いたらスケジュールがたまたま空いてて、今日来ていただいてるんですよ」 「なに勝手にプロデュースしてんのよ!?」と、わかりやすくうろたえる山本さん。TBSラジオが掲げる“聞けば、見えてくる”というキャッチフレーズを図らずとも体現しています。  完全に上手だった加藤さんが、ゲストをブースに呼び込みます。甲高い笑い声がスタジオに響き、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが入ってきました。 「この写真見たらわかるでしょ! 熱愛スクープって書いてあるでしょ!」と語る山本さんに対して、淳さんは「2人は、ラブな関係にはいってない状態で撮られてますから」とのっけから否定。今回も、まさかの鈴木亜美パターンでした。  その後、山本さんの恥ずかしい話の数々を暴露する淳さん。山本さんは、これ以上しゃべらせまいと必死でわめき散らします。記事では山本さん1人で迎えに行ったことになっていますが、実際には後輩芸人を引き連れて行かないと大沢さんが会ってくれないことや、そもそもふたりきりではないことが露見します。それでも、山本さんは「熱愛! 熱愛だよ!」とことを大きくしようと必死です。  しかし、加藤さんは「被告人は黙っててください」と一喝。  実際にあったことは、山本さんがよそったサラダを警戒して手を付けなかった大沢さんが、最近やっと食べてくれるようになったということだけでした。  そんな山本さんに、加藤さんは「大沢あかねちゃんがこんだけ顔を隠しているってことは、山本さんと一緒にいるっていうのを見られるのを嫌がってることでしょ」とばっさり。それにしても「お察しください」と濁して、リアルな感じにしようとしていた数分前の山本さんのカッコ悪いこと。  フライデーに撮られたことに対して誇らしげな山本さん。「フライデーにやられたぜ。ウインク」という、謎のウインクの顔文字付きメールを淳さんに送ったり、スタジオ内に置かれた記事のコピーを見るなり、「ここのスタッフもさあ、いじわるだよねえ。何部も刷っちゃってるんだもん。はりきっちゃってさ」という浮かれ具合です。  その後、加藤さんの“狂犬ぶり”が爆発し、軍団山本での振る舞いについて山本さんが怒られ倒して、この神回は終了しました。  この放送があった年の7月、山本さんは不祥事を起こし、所属事務所だった吉本興業が専属マネジメント契約を解除。芸能の世界から姿を消してしまいました。  相方の加藤さんは、コンビ復活を諦めず、コンビ名「極楽とんぼ」を使用して活動を続け、長い活動休止期間を経て、今年7月放送の『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)の出演をきっかけに活動を再開。さらに、今秋に全国ツアーを行うことを発表。お笑いコンビ・極楽とんぼが舞台に立つのは、およそ14年ぶりのことです。  2人揃えば無敵、そんな言葉がよく似合う極楽とんぼの、あの“狂犬ぶり”の復活をちょっとだけ期待してしまいます。 (文=菅谷直弘[カカロニ])

悪ノリがすぎる! アルコ&ピースのオールナイトニッポン、伝説の「アーティストの乱」ってナンだ!?

arupi0726
ニッポン放送『アルコ&ピースのオールナイトニッポンZERO』番組サイトより
 お初にお目にかかります。ラジオっ子の菅谷直弘といいます。普段は、カカロニというお笑いコンビで活動している世に大勢いる若手芸人の1人です。  このたび、日刊サイゾーにてラジオ番組で特に面白かった回、いわゆる神回について書かせていただくことになりました。  パーソナリティーを務める憧れの先輩に無礼にならないよう、また愛のない単なる書き起こしだなんて思われないよう尊敬とラジオ愛を総動員して書かせていただきます。  第1回は、僕がここ数年で最もドはまりしたラジオ番組『アルコ&ピースのオールナイトニッポンZERO』、13年7月25日放送の企画「夏歌アーティストの乱」について書きたいと思います。 『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』は、お笑いコンビ・アルコ&ピース(酒井健太、平子祐希)がパーソナリティーを担当するラジオ番組で3度の特番放送ののち、2部の位置付けといえるZERO枠を経て、14年4月4日からオールナイトニッポン1部の枠に昇格。現在でもファンの多いカルト的人気を誇った伝説の番組です。  この番組の特徴は、放送開始からエンディングまでの時間すべて使って、リスナーを巻き込んだミニコントを展開していくことです。この説明だけではうまく伝わらないですかね?  本来こういった“番組独自のノリ”は、毎週放送しているうちに徐々に形成されていくもので、その流れが生まれた回を紹介すれば説明も簡単なのですが、特番時代からすでに「俺たちは中東から狙われている」とか言っていて、もう説明のしようがありません。聞いたことのない方は、基本度の過ぎた悪ノリが軸のラジオだと思ってください。  そんな番組に、この日、番組史上に残るキラーコンテンツが生まれました。それが「アーティストの乱」です。「春歌アーティストの乱」「夏歌アーティストの乱」など、年4回季節が変わるごとに、アーティスト同士による戦いが幕を開け、結果的に最終回でも放送された番組きっての悪ノリ企画です。  今回扱う「夏歌アーティストの乱」は、夏を彩る流行歌を歌うアーティストで誰がケンカ最強なのかを神奈川全域で戦をして決めている最中だから、リスナーから合戦の様子や途中経過を番組に送ってもらうという内容でした。  企画の説明をした平子さんに、酒井さんは「よくわかんないんですけど」と疑問を投げかけ、平子さんも「俺もよくわかんない」と言っていました。当時、熱心に放送を聞き続けていたきた僕ですら「全然、意味わからねぇ」と思ったほど。  酒井さんの言うところの「信長の野望みたいなこと?」っていうのが、一番わかりやすいんですかね? 誰もよくわかってないまま放送はスタートします。  こんな意味不明なテーマにもかかわらず、番組にはたくさんのメールが送られてきました。  ORENGE RANGEの屍の山に、湘南乃風・RED RICEが立っているという目撃情報をはじめ、HYがZeebraを倒したとか、湘南乃風・HAN-KUNがRIP SLYMEにやられた、はたまた、海老名からツイッターを駆使した情報操作で手を汚さず戦ういきものがかり、など。  番組が中盤に差し掛かると、湘南乃風がさらに大暴れ。Zeebraが倒されたことでエミネムがアメリカから来日するが、いきものがかりのサイバー攻撃で入国できないとか、いきものがかりがガラケーだったばかりに、携帯の料金が24億円請求されるなど、もはやカオスです。  このあたりで、アルコ&ピースの2人は我に返り「今日初めて聞いた人どう思うんだろ?」と憂えるのですが、そもそもこの番組が初めてのリスナーに優しかったことなど一切ないので、例外なくこの後も番組は暴走し続けます。  終盤になっても、血で血を洗う戦いは全く終わりに向かう兆しがなく、風呂敷だけが広がり続けていきます。  これちゃんとオチつくのか、と誰もが思った番組終了直前、法螺貝の音が鳴り響き、平子さんから「夏歌アーティスト最強が決定しました」との宣言がありました。  あるリスナーから送られてきたメール「今、森山直太朗が現れて、“夏の終わり”を宣言しました!」が紹介され、森山直太朗の「夏の終わり」が流れるという、鮮やかな着地を遂げるのです。  悪ノリし、筋を無視したメールをリスナーが送りまくった末、わけわからないところに着地をすることが多いこの番組において、指折りに気持ちのいい結末でした。  その後、オールナイトニッポンの枠の放送は15年3月に終了。15年4月からは、古巣のオールナイトニッポンZERO枠に戻り、今年3月に終了しました。最終回の放送内容は、もちろん「春歌アーティストの乱」。僕たち売れない芸人の間でも語り草になるほど、番組終了を惜しむ声がやみません。  さて、アルコ&ピースの2人は現在、テレビを中心に活躍しています。平子さんは、意識高い系のキャラでプチブレーク。ラジオで披露していた酒井さんのヤバさをテレビで見られるように願いつつ、そして、あの2人とまたいつか“悪ノリ”できることを信じて、何卒! (文=菅谷直弘[カカロニ])

悪ノリがすぎる! アルコ&ピースのオールナイトニッポン、伝説の「アーティストの乱」ってナンだ!?

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ニッポン放送『アルコ&ピースのオールナイトニッポンZERO』番組サイトより
 お初にお目にかかります。ラジオっ子の菅谷直弘といいます。普段は、カカロニというお笑いコンビで活動している世に大勢いる若手芸人の1人です。  このたび、日刊サイゾーにてラジオ番組で特に面白かった回、いわゆる神回について書かせていただくことになりました。  パーソナリティーを務める憧れの先輩に無礼にならないよう、また愛のない単なる書き起こしだなんて思われないよう尊敬とラジオ愛を総動員して書かせていただきます。  第1回は、僕がここ数年で最もドはまりしたラジオ番組『アルコ&ピースのオールナイトニッポンZERO』、13年7月25日放送の企画「夏歌アーティストの乱」について書きたいと思います。 『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』は、お笑いコンビ・アルコ&ピース(酒井健太、平子祐希)がパーソナリティーを担当するラジオ番組で3度の特番放送ののち、2部の位置付けといえるZERO枠を経て、14年4月4日からオールナイトニッポン1部の枠に昇格。現在でもファンの多いカルト的人気を誇った伝説の番組です。  この番組の特徴は、放送開始からエンディングまでの時間すべて使って、リスナーを巻き込んだミニコントを展開していくことです。この説明だけではうまく伝わらないですかね?  本来こういった“番組独自のノリ”は、毎週放送しているうちに徐々に形成されていくもので、その流れが生まれた回を紹介すれば説明も簡単なのですが、特番時代からすでに「俺たちは中東から狙われている」とか言っていて、もう説明のしようがありません。聞いたことのない方は、基本度の過ぎた悪ノリが軸のラジオだと思ってください。  そんな番組に、この日、番組史上に残るキラーコンテンツが生まれました。それが「アーティストの乱」です。「春歌アーティストの乱」「夏歌アーティストの乱」など、年4回季節が変わるごとに、アーティスト同士による戦いが幕を開け、結果的に最終回でも放送された番組きっての悪ノリ企画です。  今回扱う「夏歌アーティストの乱」は、夏を彩る流行歌を歌うアーティストで誰がケンカ最強なのかを神奈川全域で戦をして決めている最中だから、リスナーから合戦の様子や途中経過を番組に送ってもらうという内容でした。  企画の説明をした平子さんに、酒井さんは「よくわかんないんですけど」と疑問を投げかけ、平子さんも「俺もよくわかんない」と言っていました。当時、熱心に放送を聞き続けていたきた僕ですら「全然、意味わからねぇ」と思ったほど。  酒井さんの言うところの「信長の野望みたいなこと?」っていうのが、一番わかりやすいんですかね? 誰もよくわかってないまま放送はスタートします。  こんな意味不明なテーマにもかかわらず、番組にはたくさんのメールが送られてきました。  ORENGE RANGEの屍の山に、湘南乃風・RED RICEが立っているという目撃情報をはじめ、HYがZeebraを倒したとか、湘南乃風・HAN-KUNがRIP SLYMEにやられた、はたまた、海老名からツイッターを駆使した情報操作で手を汚さず戦ういきものがかり、など。  番組が中盤に差し掛かると、湘南乃風がさらに大暴れ。Zeebraが倒されたことでエミネムがアメリカから来日するが、いきものがかりのサイバー攻撃で入国できないとか、いきものがかりがガラケーだったばかりに、携帯の料金が24億円請求されるなど、もはやカオスです。  このあたりで、アルコ&ピースの2人は我に返り「今日初めて聞いた人どう思うんだろ?」と憂えるのですが、そもそもこの番組が初めてのリスナーに優しかったことなど一切ないので、例外なくこの後も番組は暴走し続けます。  終盤になっても、血で血を洗う戦いは全く終わりに向かう兆しがなく、風呂敷だけが広がり続けていきます。  これちゃんとオチつくのか、と誰もが思った番組終了直前、法螺貝の音が鳴り響き、平子さんから「夏歌アーティスト最強が決定しました」との宣言がありました。  あるリスナーから送られてきたメール「今、森山直太朗が現れて、“夏の終わり”を宣言しました!」が紹介され、森山直太朗の「夏の終わり」が流れるという、鮮やかな着地を遂げるのです。  悪ノリし、筋を無視したメールをリスナーが送りまくった末、わけわからないところに着地をすることが多いこの番組において、指折りに気持ちのいい結末でした。  その後、オールナイトニッポンの枠の放送は15年3月に終了。15年4月からは、古巣のオールナイトニッポンZERO枠に戻り、今年3月に終了しました。最終回の放送内容は、もちろん「春歌アーティストの乱」。僕たち売れない芸人の間でも語り草になるほど、番組終了を惜しむ声がやみません。  さて、アルコ&ピースの2人は現在、テレビを中心に活躍しています。平子さんは、意識高い系のキャラでプチブレーク。ラジオで披露していた酒井さんのヤバさをテレビで見られるように願いつつ、そして、あの2人とまたいつか“悪ノリ”できることを信じて、何卒! (文=菅谷直弘[カカロニ])