さて、今回もやってきました。深夜の飯テロ番組『孤独のグルメ Season6』(テレビ東京系)。今回の食材は回転寿司。 回転寿司といえば、やはり思い出すのは原作の神回。まあ、この作品に関しては原作はすべてが神回なのですが。今回は回転寿司がどのように扱われるのか……。期待と共にチャンネルを回しましょう。 ゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)が営業にやってきたのは、世田谷区太子堂。これまた、なんか用がなければ東京都民でも近寄ることがなさそうな街。個人事業主のゴローちゃん。どんな小商いでも颯爽として訪れるフットワークの軽さが成功の秘訣です、多分。 さて、いざお店に入れば、中にいるのは山下リオ……が、泣いているという演出。ここで、いったいどんなシナリオなんだ? と、視聴者をドキドキさせようという狙いでしょうか。 しっかし、山下リオはかわいい。そして、泣いているリオはもっとかわいい……。制作陣はいろいろとわかっている人たちですね、相変わらず。 でも、仕事に来て相手先で人が泣いてたら、フツーにドン引きの反応ですよね。 「失礼しました……えーっなになに……」 OPを挟んで、物語は再開。こちらはステンドグラス店。どうも、ゴローちゃんが何かの発注に来た様子。そして、リオが泣いていたのは、映画を見て感動のあまりということ。 なるほど、お店は暇なのでしょう。 そんなお店で、昼日中からリオが見て泣いていた映画は『仁義なき戦い 広島死闘編』。共感を求めてくるようなリオの語りに、ゴローちゃんも苦笑いするしかありません。 そして、ようやく明らかになる今回の訪問の目的。うん、なんか冒頭からちょっと溜めが長い。溜めが長いということは、爆発力もいつも以上の予感。 今回ゴローちゃんが求めるのはフロアスタンド。大阪の分譲住宅のモデルハウスで扱うものだということです。 そこに店の奥からリオの祖父・若林豪が「あんた、釣り好き?」と現れます。この顔を見ると何か事件が起こりそうな気がしますが、なぜか、執拗にゴローちゃんを釣りに誘う若林。一方、リオはステンドグラス教室に誘うしで、ゴローちゃんも「なんなんだ、この人たち」と、苦虫をかみつぶすしかありません。 そんな時間を過ごせば、やってくるのは空腹。 「何を狙う、俺が釣り上げるべき食い物はなんだ」 ちゃんと、小芝居が伏線にはなっている絶妙なセンス。太子堂界隈のわんさかとある食い物屋を、ケモノのような目で物色したゴローちゃんは、ついに到達します。 「そうか、釣りとくればこれじゃないか」 首都圏の人にはおなじみの回転寿司チェーン「すし台所家」。 「座っているだけで回遊してくる魚を釣り放題だ」 さあ、原作でも「最後の2枚が……」と、ラストの満足感ある煙草で一服するコマが印象的だった回転寿司回。『事件屋稼業』をも彷彿とさせるハードボイルドな物語は、ドラマでどのように描かれるのか。 まず、湯飲みに描かれた寿司の絵を見て「随分かわいいな」などと、初めてでもない回転寿司に物珍しさを感じるゴローちゃん。いきなり、粉茶を入れすぎる大失敗。それに懲りたのか、ガリは「こんなもんかと」控え目に。 「よーし、今日はなんで口火を切るかな。順当にマグロからいくか……」 「赤身で小手調べだッ」 食べ物屋さんで「小手調べ」なんて言葉を使えるのも、ゴローちゃんくらいのものでしょう。 「うーん、回転らしいマグロ色だ。うん、美味い大丈夫」 「ふっ、うーん、これで120円は安い……」 「この店、アタリかも……」 いや、台所家は回転寿司の中でも、安くてうまさが際立つ部類のチェーンなんですよね、実際。アタリとかいっている場合じゃなくて常識ですよ、はい。 ポジション取りのミスに気づきつつも「遠慮なく注文してくださいね」の職人さんの声にホッとして、イカを注文するゴローちゃん。 「いつも行く寿司店とは大違いだが、酒も呑まない俺には、こっちのほうが気軽で居心地がいい」 ひそかに回らない寿司が標準となっている自分を自慢するゴローちゃん、いったい、誰に自慢を? 回転寿司でも丼もののメニューが増えていることを不思議に思いながら、まずは周囲を観察しつつ食べ進めるゴローちゃん。 「けっこう入ってるな、人気店なんだ」 次は鯖か鰺かと、一瞬悩むゴローちゃんですが、光りもの三種を見つけてさっそくオーダー。 「呑兵衛には昼呑み天国か……」 などと、今回はまた観察の時間が長め。まだまだ、音楽は通常モードで溜めの時間が続きます。 続くオーダーは真鯛の潮汁。その間にも隣の客が頼んだ鉄火丼がちょっと気になったりと、落ち着かないのがゴローちゃんです。 「胃が染みる、癒やされる……」 などと、周囲を観察していれば、そこには、あぶり大トロをオーダーする女性が。 「あの人、高い皿ばっかり……」 「値段に惑わされるな、己の直感を信じて……」 直感の注文の炙り穴子は正解。 そこに、隣の席の客が立つのですが、2人で1万6,800円。「そんなに食ったのか」と驚きながらも、なぜか決意を固めるゴローちゃん。 大赤えびはネタの大きさに四苦八苦しつつも満足。「これで300円で大丈夫か」となぜか、お店を心配する優しいゴローちゃんです。 そして、そろそろかかってくるエンジン。そのスタートは、まぐろ三種。 「回転寿司店の贅沢食い まぐろ三貫で580円」 と満足したつもりが、鉄火丼をおかわりする隣の客に驚きを。 で、ここで突然のインターミッション。かにサラダ軍艦を入れて、ここまで9枚。まだいけるということで、箸休めにもう一品は茶碗蒸し。 「茶碗蒸しは、いつだって優しい。お、銀杏もちゃんと入ってる」 そして、隣に新たな客・岡本麗が入ってきたのを合図にするかのように特上ウニを注文。しょうゆを垂らせば、特上ウニは極上ウニへ。 ならばと、次の注文をしようとしたところに「限定のトロハマチ入ります!」の声が。 なぜか、客がここぞとばかりにトロハマチを注文。 しかし、タイミングを逃してしまうゴローちゃん。ぜんぜん、トロハマチが来ません。そこで本領を発揮するのが、岡本麗。 「すみません、さっきから注文してるんですけど!」 なるほど『はぐれ刑事純情派』(テレビ朝日系)でおなじみの、押せ押せなオバサン役がここでも生かされているというわけか。この人、昔は日活ロマンポルノで縛られたり凌辱されまくってたんですけど、演技の幅広いな……。 そんな岡本、ちゃんとゴローちゃんの注文が通ってないのを職人に。 「困ったときはお互い様ですから」 この『はぐれ刑事純情派』的な親切もいいんですけど、今回はマダム風なキャラなので、妙にインパクトのあるマダム風な食べ方をしているのが、気になります。 ならば、次は胃袋の破裂までなにを、と思いきや、ゴローちゃん締めに入ってきました。 「回転寿司もいいもんだ」 「思いも寄らないネタが飛び出してくるし、楽しいメシも食えた」 ま、まさか、これで終わり? 「ふっ、楽しみすぎだろ」 と、周囲の客に対しての、なんかよくわからない優越感。 そして、会計しようとしたところに、入ってきたのはやたらにぎやかな濱田岳。というか、いきなり20時台のドラマ『釣りバカ日誌 Season2 ~新米社員 浜崎伝助~』とタイアップ。 「何がオススメですか?」 と聞く濱田に対して、岡本は口に物を含んだまま「トロハマチ」。 そして、濱田は真鯛の皿を何枚も取りながら…… 「真鯛か、釣りたかったな、釣りたかったな」 それぞれの役者が、これでもかと演技を繰り出すのですが、口に物を含んだまま「トロハマチ」という、泥臭さ全開の演技をできる岡本は圧倒的ではありませんか。 回転寿司店を舞台に、どんな展開になるのかと思いきや、ゴローちゃんがゲストの引き立て役という印象の強かった今回。インパクトのあるゲストとの絡みを上手に魅せることができるのも、松重ゴローならではの魅力でしょうか。 しっかし、あらためて「台所家はうまい」と感じることのできる回転寿司回でありました。 (文=昼間たかし)テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより
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顔面の大小を自在にコントロール! 『ひよっこ』主演の有村架純が見せる“プロ意識”の結晶
テレビ離れが進む現代において、平均視聴率20%前後を叩き出すのが、NHK朝の連続テレビ小説だ。 2015年9月~16年4月の『あさが来た』は全話平均で23.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。昨年4月~10月の『とと姉ちゃん』も、全話平均は関東地区で22.8%の高視聴率をマークした。 そんな中、現在放送中の『ひよっこ』が苦戦を続けている。ヒロインは、13年の朝ドラ『あまちゃん』を機に大ブレークした若手女優の有村架純。同ドラマは東京五輪が開催された1964年から始まり、行方不明になった父を捜すために集団就職で上京した、有村演じる谷田部みね子の姿を描く。 4月3日の初回視聴率は19.5%で、その後、緩やかな下降線を描き、今月2日放送では自己ワーストの17.6%を記録した。民放ならば、もろ手を挙げて大喜びする数字だが、NHKの朝ドラでは落第点。これで叩かれる有村には、同情を禁じ得ないが……。 業界では、有村の“プロ意識”を評価する人は多い。芸能プロ関係者が明かす。 「彼女のウリは、ズバリ顔。かわいいとかではなく、作品によって顔の大きさを変えられるんです」 国民的アイドルグループの某メンバーのように、見るたびに顔が違う者はいるが、顔の大きさを自由自在に変えられるのは有村だけ。別の関係者が補足する。 「当初、彼女は顔の大きさをコンプレックスにしていましたが、あるときからそれを強みに変えている。普段は小顔クリニックに通い、美を追求していますが、今回の『ひよっこ』では田舎の高校生を演じるにあたり、イモっぽさを出すために丸々と健康的な顔に仕上げた。単にクリニック通いを控えただけ、という声もありますが、それを実践できるのは彼女しかいませんよ」 ハリウッドでは役柄によって体重を増やしたり、減らすのは当たり前。有村のプロ意識は、すでに“ハリウッド級”だ。
顔面の大小を自在にコントロール! 『ひよっこ』主演の有村架純が見せる“プロ意識”の結晶
テレビ離れが進む現代において、平均視聴率20%前後を叩き出すのが、NHK朝の連続テレビ小説だ。 2015年9月~16年4月の『あさが来た』は全話平均で23.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。昨年4月~10月の『とと姉ちゃん』も、全話平均は関東地区で22.8%の高視聴率をマークした。 そんな中、現在放送中の『ひよっこ』が苦戦を続けている。ヒロインは、13年の朝ドラ『あまちゃん』を機に大ブレークした若手女優の有村架純。同ドラマは東京五輪が開催された1964年から始まり、行方不明になった父を捜すために集団就職で上京した、有村演じる谷田部みね子の姿を描く。 4月3日の初回視聴率は19.5%で、その後、緩やかな下降線を描き、今月2日放送では自己ワーストの17.6%を記録した。民放ならば、もろ手を挙げて大喜びする数字だが、NHKの朝ドラでは落第点。これで叩かれる有村には、同情を禁じ得ないが……。 業界では、有村の“プロ意識”を評価する人は多い。芸能プロ関係者が明かす。 「彼女のウリは、ズバリ顔。かわいいとかではなく、作品によって顔の大きさを変えられるんです」 国民的アイドルグループの某メンバーのように、見るたびに顔が違う者はいるが、顔の大きさを自由自在に変えられるのは有村だけ。別の関係者が補足する。 「当初、彼女は顔の大きさをコンプレックスにしていましたが、あるときからそれを強みに変えている。普段は小顔クリニックに通い、美を追求していますが、今回の『ひよっこ』では田舎の高校生を演じるにあたり、イモっぽさを出すために丸々と健康的な顔に仕上げた。単にクリニック通いを控えただけ、という声もありますが、それを実践できるのは彼女しかいませんよ」 ハリウッドでは役柄によって体重を増やしたり、減らすのは当たり前。有村のプロ意識は、すでに“ハリウッド級”だ。
沢尻エリカの母性不足は狙い通り!? 日テレ『母になる』で島田紳助もびっくりの母探し方法!
沢尻エリカと小池栄子の演技対決も注目されている『母になる』(日本テレビ系)の第5話。平均視聴率は前回から0.4ポイントアップの8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でした。 私生活ではどちらも子どものいない沢尻と小池ですが、劇中で母っぽさをビンビンに出してくる小池に比べると、沢尻の母ぶりは上辺だけの印象も。ただ、沢尻演じる主人公は、9年も子どもと離れていた役どころですから、むしろ母っぽさを抑えているのか……も……? さて、今週もあらすじを振り返りましょう。びっくり!?
お母さん、見つかりましたよ
前回、結衣(沢尻)に「あなたのこと、お母さんとは思えません」と言い放ち、家を出て行ってしまった広(関西ジャニーズJr.・道枝駿佑)。児童擁護施設に戻ったかと思いきや、その姿は“ナウ先輩”こと今偉(望月歩)と共にネットカフェに。 ナウ先輩の母親は、施設に預けたまま面会にほとんど来ない上、住まいを点々としているため、現住所が不明なんだとか。そんな母親について、知人から「お前の母ちゃん、『Google ストリートビュー』(劇中では「グルグルマップ」と呼ばれていたけど)の木更津に映ってたぞ」とふかわりょうみたいな報告が。そのため、ナウ先輩は木更津のストリートビューに映りこんだ人物を片っ端からチェックしているんだそうです。これは、『バラ珍』MCの島田紳助もびっくりのお母さんの探し方! で、ナウ先輩がなんでこんな必死なのかというと、9年ぶりに迎えにきた母親の存在に戸惑っている広に、母親がかけがえのない存在であることをわからせるためなんだとか。なんていい子。 これまであまり目立たなかったナウ先輩ですが、筆者はこれまで、広にクスリとか教えこんだり、結衣から金目のものを引っ張ってくるように指示するような不良なのかと思っていました。ごめんなさい。 でも言い訳すると、この望月くんは、映画『ソロモンの偽証』で屋上から落ちて死んじゃった生徒を演じた、あの独特すぎるしゃべり方の子なんです。すなわち、ナウ先輩が初回から不必要に独特な空気をバンバンに出していたため、「こいつヤベー奴なんじゃないの?」と勘ぐらずにはいられなかったんです。だから私は悪くない! この、寺田心くんの10年後みたいなしゃべり方してる望月くんが悪い! いや、悪くはない!ICONIQ女優再始動の1発目がこれ
ストリートビューで、見事、母親を発見(すごい!)したナウ先輩と広は、母親の好きなモンブランと花束を買ってルンルンで木更津へ。すると、前方から「ドン・キホーテ」ライクなショッキングピンクのジャージに身を包んだナウ先輩の母親(ICONIQ改め伊藤ゆみ)が男連れで登場。「う~、きもちわりぃ~、あ~、だりぃ~」と歩いてくるなり、至近距離にいるナウ先輩に気付かず、「朝からエロすぎなんだよう」と言いながら道端で男とイチャイチャし始めました。 そんな母親にケーキを渡そうとするも、瞬時に叩き落されるナウ先輩。「勝手に母親像押し付けないでくれる!?」とガンギレし、瞬く間に男と車でどっかに行ってしまいました。 この出来事に号泣するナウ先輩を見た広は、「母親は1人しかいないんだ!」的なことを感じたようで、笑顔で結衣の元へ帰っていきました。めでたし、めでたし……と思いきや、広と「もう会わない」と約束した麻子(小池栄子)が、結衣の前に再び登場。義母(風吹ジュン)が営む整備工場が、経理スタッフとして雇ったと知った結衣が激怒し、5話は終了です。 突然のICONIQ改め伊藤ゆみの登場にゥオッとなった今回ですが、沢尻が業務提携しているエイベックスのバーター的なやつですかね? 昨年8月に伊藤ゆみに芸名を戻し、女優として再始動することをヌード写真と共に大発表していた伊藤ですが(関連記事)、どうやら再始動後の女優仕事はこれがお初の様子。これは……、今後も期待できますね!! 来週からは、いよいよドラマのメインイベントである結衣と麻子の対決が始まる予感。さらに、莉沙子(板谷由夏)がママ友からハブられだし、一気にドロドロしてきました。これは、最終回まで見るっきゃない! (文=どらまっ子TAMOちゃん)視聴率下落! 『あなたのことはそれほど』朝ドラ女優・波瑠の“ゲス不倫妻”がハマり役!?
NHK朝ドラ女優・波瑠が“ゲス不倫”へまっしぐらに突き進む、TBS系『あなたのことはそれほど』。9日放送4話の視聴率は、9.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、2ケタに届かず。 GW期間中の2日に放送された3話では、波瑠演じる渡辺美都の母、三好悦子(麻生祐未)が、骨折したことをきっかけに、夫の渡辺涼太(東出昌大)との愛の巣に同居し、2人の微妙な空気を感じ取り、「涼太さん、怖い人かもしれないよ」と予言めいたことを言います。骨折が完治したことと、経営するスナックの営業のため悦子が帰ったところから、4話はスタート。 引き続き、有島光軌(鈴木伸之)との密会を続ける美都。1話で有島と関係を持ったときの後ろめたさは、どこへやら。スマホでの連絡の頻度は高くなり、お決まりのバーで定期的に会う美都の顔に悪びれた様子はありません。 そんな“ゲス不倫”を地で行く美都の一方で、夫・涼太の美都への不信感は募るばかり。美都のスマホにある有島とのやり取りから、自分が「柴犬」と呼ばれていることを確認すると、何気ない夫婦の会話で「正直者の柴犬だから」と言ってみたり、有島との温泉旅行のアリバイに使われた、美都の親友・香子(大政絢)に、行っていない温泉旅行について直接尋ねたりと、あの手この手で嘘を洗い出していきます。 やり取りの履歴を消したり、密会する場所や時間に細心の注意を払っていた有島と美都ですが、夢中になるあまり、油断するようになっていきます。有島は、後輩社員に美都と2人で歩く姿を目撃され、さらにマンションの隣人・横山皆美(中川翔子)に電話で美都とやり取りする姿を見られた上に、妻の有島麗華(仲里依紗)にその様子を密告されてしまいました。 美都の方とはというと、職場の同僚・森瑠美(黒川智花)の勧めで通い始めた陶芸教室で、麗華とたまたま出会ってしまいます。愛する有島の妻と、その子どもを目の前にして嫉妬心をメラメラと燃え上がらせるのでした。 同じく、美都に対して違った意味の嫉妬心を燃え上がらせる涼太。ドラマの終盤で、有島の番号を携帯に登録したことを告白。ここで、涼太が有島に電話をすれば、ドラマは終わってしまうのですが、涼太は電話をしないと言います。 「電話をしてしまったら、自分がどうなってしまうのかわからない」と言うように、美都のゲス不倫の事実を把握していながら、またその不倫が目の前で繰り広げられていようとも、愛情を貫こうとするのが、この涼太という男のようです。一途を通り越して、もはや異常としか言いようがありません。 対する有島の妻・麗華も不倫を薄々と感じながらも、何も言わず、こちらもこちらで異常なのかも。1話のレビューでも言いましたが、有島と美都が惹かれあうのは、互いの伴侶が持っていないものを持っているから、という構図がここでも作用しています。 美都は、穏やかな涼太との生活よりも、笑ったり不機嫌になったりする有島との時間の方こそ夫婦的だと思っているんでしょう。涼太に「夫婦なんだから、ブラックな部分を見せたい」と語りますが、涼太は「ケンカは、ないほうがいい」と一蹴。一方で執念深くゲス不倫の裏を取るのですから、美都が言うように、涼太は「普通じゃない」ですし、不倫という世間的にも好まれない題材を扱った同ドラマの中でも、特に際立って異質な人物だと言えるでしょう。 さて、次回は美都が麗華に近づいたり、涼太が変装して有島の周辺を嗅ぎ回るなど、さらなるドロドロが待っている予感。しばらくはざわざわする夜が続きそうです。 (文=どらまっ子HAYAちゃん)TBS系『あなたのことはそれほど』番組サイトより
“切り札”『貴族探偵』低迷、亀山社長の退任で、いよいよフジ“月9”ドラマ「消滅」の危機
今春で30周年を迎えたフジテレビの看板ドラマ枠“月9”の意欲作『貴族探偵』が、予想以上の苦戦をしいられている。 初回は11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、低迷する月9としては3期ぶりの2ケタスタートとなった。しかし、第2話で8.3%と急降下。第3話は9.1%と微増するも、続く第4話は8.9%と再びダウン。3週連続1ケタ台で、早くも先行きに暗雲が漂っている。 主演の嵐・相葉雅紀、ヒロインの武井咲をはじめ、生瀬勝久、井川遥、滝藤賢一、中山美穂、松重豊、仲間由紀恵ら豪華キャストが集結。これにより、出演料は高騰し、制作費は1話あたり約1億円ともいわれている。にもかかわらず、のっけからの不振で、局内では“月9不要論”がさらに強くなっているという。 看板ドラマ枠であるのに、昨年1月期『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』から、今年1月期『突然ですが、明日結婚します』まで、視聴率は5期連続1ケタ台。『明日結婚します』に至っては、平均6.7%しか取れなかった。“切り札”となるべく『貴族探偵』も低迷しているとあって、いよいよ消滅の危機を迎えたといってもよさそうだ。 「『貴族探偵』も1ケタで終わってしまうようなら、局内の意見は月9廃止に大きく傾くでしょうね。視聴率が悪いことで、CMスポンサーが次々に離れていく可能性も高そうで、広告代理店の営業マンからは悲鳴が上がっているそうです。この状況が続くようなら、『制作費がかかるドラマより、バラエティに変換したほうがコストパフォーマンスがいい』との声が大勢を占めることになるでしょう」(テレビ制作関係者) 月9の命運については、その大きなカギを握っていた亀山千広社長の退任が9日に発表されたことで、さらに廃止への動きが加速しそうだ。 「亀山社長はもともとドラマ、アニメ、映画を手掛けてきた敏腕プロデューサーで、『ロングバケーション』『踊る大捜査線』などのヒット作に関ってきました。それだけに、ドラマ、特に月9に対しての思い入れが強く、不振が続いても月9を庇護してきたのです。その亀山社長が退任したことで、月9は一気に消滅へと向かう可能性が高そうです。ただし、『貴族探偵』がなんとか2ケタ台に乗せられれば、延命するのではないでしょうか?」(同) すでに、7月期の月9は山下智久主演『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-3rd SEASON』のオンエアが決まっている。その先の10月期は、『HERO』シリーズなど、同枠で実績がある木村拓哉の主演ドラマを制作するプランが進行中だともいわれている。木村の主演ドラマとなると、これまた膨大な制作費がかかるのは必至で、局内では賛否両論が渦巻くことになりそう。ただ、その企画も、月9自体が廃止になれば、露と消える。果たして月9は存続するのか、消滅してしまうのか――? (文=田中七男)フジテレビ系『貴族探偵』番組サイトより
各方面から大絶賛される窪田正孝主演のNHKドラマ『4号警備』映画化の可能性は?
「放送は中盤に差し掛かりましたが、内容の評価は局内だけでなく業界内でも相当高いですね。打ち上げはすでに行われたのですが、相当盛り上がりましたよ」(NHKスタッフ) 窪田正孝が主演するNHKの連続ドラマ『4号警備』。相方に北村一輝を迎え、2人のアクションだけでなく多彩なゲスト出演もあって、話題作となっている。 「撮影は1月末から4月の半ばまで行われました。ボディガードものということで、窪田さんはアクションだけのリハーサル日を設けるなど、入念な打ち合わせをしていましたね。見てもらえばわかるのですが、彼の運動神経は半端ないですよ」(番組スタッフ) 昨年放送されたドラマ『THE LAST COP/ラストコップ』(日本テレビ系)で共演した唐沢寿明も、窪田の運動神経には目を丸くしていたという。 「唐沢さんは若手の中でも窪田クンの運動神経は抜群だと、ベタ褒めしてましたね。『俺がアクションものの監督をやるなら、窪田を使う』とまで言ってましたから」(日テレ関係者) すでに行われた打ち上げでは、相方の北村と漫才のような掛け合いも見せていたという。 「北村さんが『俺もこれで朝ドラですね!』と言って会場を爆笑させて、それに窪田さんが突っ込んでいました。共演の木村多江さんも『普段、地味な格好をしてるのにドラマで派手な格好をしてるので、つい派手なスカートを買ってしまい、今日はいてきました』と笑わせてました。こういったドラマの打ち上げにはゲストの人は普通は来ないのですが、水橋研二さんや柏原収史さんも来ていましたね。現場の雰囲気が良かったからでしょう」(NHK関係者) また、局内では続編の話も持ち上がってきているという。 「NHKでドラマから映画化したものといえば『ハゲタカ』が思い出されるのですが、あれは平均で視聴率7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、そんなに高い数字じゃなかったのですが、内容が評価されて映画化となりました。今作も今のところ平均で6.7%と、そんなに高くはないですが内容がいいですからね。平均で2ケタ近くまでいけば、映画化は間違いないそうです」(芸能事務所関係者) 迫力満点のアクションをスクリーンで拝みたいものだ。NHK『4号警備』番組サイトより
嵐・相葉雅紀主演『貴族探偵』多重の叙述トリックを処理したフジテレビの“原作改変”がスゴすぎる!?
今期の月9『貴族探偵』(フジテレビ系)も、すっかり安心して楽しめるようになってきました。これだけ面白いミステリードラマが毎週供給される幸せを感じながら、第4話を振り返っていきたいと思います。 原典は麻耶雄嵩さんによる小説『貴族探偵対女探偵』(集英社文庫)に収録されている「幣もとりあへず」という短編。これぞ本格推理小説! と言いたくなるような、叙述トリックに特化した作品です。 第3話までは、とりあえず読者のみなさんにもこのドラマを見てほしいと思ってあらすじをほとんど記してきませんでしたが、今回は特徴的な原作ということもあり、このフジテレビによるドラマ化で何が行われているのか、少し考えてみたいと思います。 まず、原作の叙述トリックですが、これは完全に小説でしか成立しない類のものです。事実関係としては、風呂場の隅の小屋に全裸死体が転がっているわけですが、読者はこれを「女性の死体」と思い込む形でミスリードされます。 麻耶さんは、地の文と登場人物の自己紹介セリフを巧妙に使い分けながら、読者に対して「赤川和美」と名乗った女性が殺されたように見せかけます。これが第1のトリック。そして、女探偵が推理を始めると、読者に対して「実は死体は男性でした」という種明かしがなされ、この時点で読者は「えー、死体は女じゃないの!?」という驚きとともに、ページを巻き戻して読み直すことになります。 さらに、最初から死体を男性だと知っていた女探偵も、誤認をしていることが明らかになります。「赤川和美」を名乗った女性(読者は殺されたと思っているが、女探偵は生きていることを知っている)と、「田名部優」を名乗った男性(読者は生きていると思っているが、女探偵は殺されたことを知っている)が、実はそれぞれの名前を入れ替えていたのです。これが第2のトリック。女探偵はこの入れ替えに気付くことができず、愚かにも貴族探偵を犯人と断定し、貴族探偵の使用人にあっさり正しい推理を披露されて「ぐぬぬ」となる。そういう話です。 こうして簡単に文字で説明しても、よくわからないでしょう。実際、普通に読んでもよくわからないんです。読み返して、読み返して、「あーほんとだ、騙されてる!」と読者が自分自身で納得して、初めて満足感が得られるタイプの作品です。筋金入りのミステリーマニアの方々でしたら、一読して絶頂快感を得られるのかもしれませんが、私には難しかったです。 こうした叙述トリック作品の特徴は、読者との関係性によってのみ成り立つというところにあります。作家が騙しているのはあくまで読者であり、登場人物は、作家と共謀関係であるのが一般的なのです。しかしこの「幣もとりあへず」では、まず「作家と読者」の間で第1の欺きがあり、「事件と女探偵」の間で第2の欺きがあるという、多重の叙述トリックが行われているわけです。それを、女探偵と貴族探偵がそれぞれ推理するという多重推理の構造です。多重アンド多重です。まあ、ホントにマニア向けだなと思います。普通の、例えば星新一とか読んで育った私たちは、ここまで求めてないよ! で、ドラマはどうしたか。この多重トリックをそのまま採用することを、さっぱりと諦めてしまいました。 原作の読者をドラマ視聴者に置き換えて、そのままトリックを忠実に映像化するなら、死体を画面に映すわけにはいきません。しかし、殺人事件を扱うドラマで死体が映らなければ、視聴者は当然「そこに何か仕掛けがある」と思うに決まってるんです。それはちょっと不自然すぎる、というドラマ制作の常識に則って、「死体を女だと思わせる」という第1のトリックを潔く切り捨てました。この話の最大の面白ポイントが使えなくなったわけです。 それでもこの第4話が成立したのは、「幣もとりあへず」が多重トリック作品だからでした。第1の叙述トリックを切り捨てても、名前の入れ替えトリックが残されているので、女探偵と貴族探偵の多重推理という楽しさは十分に表現できるわけです。 しかし、ただ捨てれば成立するわけではありません。まず単純な話として、小説の読者は第1のトリックで「うわ死体は男かよ騙された!」の後に、「うわ田名部優は赤川和美かよ騙された!」という驚きが訪れ、これによって「二重のヤツかよ、おもしれーな!」という満足を得るわけですが、ドラマでは第1のトリックを捨てているので「うわ田名部優は赤川和美かよ!」の一点勝負で視聴者を納得させなければならない。半分になってしまった原作の魅力を、オリジナルで創作しなければならなくなりました。 今回は、このドラマオリジナルの改変部分に、たいへん感心してしまったんです。主な改編は以下の2点です。まず、原作では小屋に押し込められていた死体が、湯船から脱衣所に引きずられていたこと。もうひとつは、原作では電波が圏外だった携帯電話が、ドラマでは女将によって没収されていたことです。画面に映る景色としては、些細な変化でしょう。一見すれば、どっちでもいいよ、という程度の改変にしか見えない。原作読者に対しても「あんまり変えてないな」と思わせておいて、がっつりこの2つの改変点に推理の根拠を噛ませてくることで、謎解きに広がりを出しているのです。結果、第1の叙述トリックがなくても普通に面白いミステリーに仕上がっている。事件の内容と謎の解明は、よりわかりやすく、すっきりと提示されている。見事なものです。 ほかにも、貴族探偵が途中で入れ替わりに気付いていたくだりを入れる意味だったり、田名部優(女)から頼まれて入れ替わりに応じた赤川和美(男)に、ちょっとした設定がプラスされることで行動原理から不自然さが取り除かれたりで、原作より格段に視聴者の間口を広げていると思います。 そういうすごく難しい仕事を、すごく頭を使って、すごく誠実にやり遂げながら、松重豊を風呂に入れたり座敷わらしを映り込ませて話題作りも怠らない。そういうわけで、今回の『貴族探偵』って、かなり全方位的に全力で頑張ってると思うんですけど、視聴率あんまり上がらないですね。あと、あんまりこういうことを書くとアレなんですけど、フジテレビの月9をいくら絶賛しても、記事のPVも上がらないんですよねえ……。仕方ないよねえ、面白いんだものねえ……。 (文=どらまっ子AKIちゃん)フジテレビ系『貴族探偵』番組サイトより
ゲームをプレイする悦びを描く『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』の冒険
「みんな聞いてほしい。このエオルゼアに僕の父さんがいる!」 エオルゼアとは、オンラインRPGゲーム『ファイナルファンタジーXIV』の舞台となる世界。そこに集まる仲間たちを前に、「マイディー」を名乗るキャラクターが宣言した。 これは、『FF14』をプレイする親子をめぐるドラマ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(MBS)である。 原作は、ハンドルネーム「マイディー」によるゲームプレイブログ「一撃確殺SS日記」(http://sumimarudan.blog7.fc2.com/)で連載していた「光のお父さん計画」。ゲームプレイブログをドラマ化するのは、前代未聞のことだ。 主人公は、ゲーム上で「マイディー」を名乗るゲーム好きの青年・稲葉光生(千葉雄大)。彼の父親・博太郎(大杉漣)は、60歳になると、家族になんの相談もなしに会社を辞めてしまう。次期社長候補にも挙がっていたというのに、だ。 いつしか父と言葉を交わすことがほとんどなくなっていた光生は、父の真意がわからない。そんなことを何気なくゲーム上で、仲間たちに相談した。 すると、その中のひとりが言う。 「これからは一緒に冒険をする時間あるんじゃないですか?」 「ここに呼ぶってこと?」 「正体を隠して仲良くなれば心を開いてくれるかも」 父に『FF14』をプレイしてもらい、自分は正体を隠して共に冒険を続け、いつの日か自分が実の息子であることを打ち明けるという壮大な親孝行を計画したのだ。それが「光のお父さん計画」だ。(ちなみに「光の~」とは『FF』における冒険者が「光の戦士」と呼ばれることに由来している) 念のために補足すると、『FF14』のようなオンラインゲームとは、ネットにつないで世界中の人たちと一緒にプレイするゲームだ。同じゲーム内の世界で、自分と同じように世界中の誰かがプレイしている。ゲーム中すれ違う人たちも全員、現実にいるどこかの誰か、ということだ。その中で、もちろん一人で遊ぶこともできるが、「フレンド」登録して、ほかの誰かと一緒に冒険をすると格段に楽しくなる。 「退職祝い」で息子に『FF14』をプレゼントされた父親は、そんな説明を聞いて、つぶやいた。 「そんなん、なんか恥ずかしい……」 光生がゲーム好きになったのは、小学生の頃、謎の一人遊びに興じる息子を見かねた父がゲームを買ってくれたからだ。その時、一緒に買ったソフトが『FF3』だった。 息子が楽しそうにプレイしているのを見て、父も見よう見まねでプレイするようになった。 「光生、これ、なかなか面白いな」 ゲームは父と息子の共通言語になった。 だが、ある日、父が仕事から疲れて帰ってきたときに、光生は喜々としてゲームの話をしてしまう。 「ゲームばかりせんと、ちょっとは勉強せえ」 そこから、2人は心を開いた会話をすることができなくなったのだ。 しかし今、2人はかつて一緒に遊んだ『FF』の世界で、再び出会った。 その時、「インディ」を名乗る父は、初心者にとっては難敵のモンスターに襲われていた。 「このままでは父さんが死んでしまう!」 インディの命の危機に、マイディーはすかさず加勢し、救ったのだ。 「大丈夫でしたか?」 尋ねるマイディーに、インディは沈黙したまま見つめ合う。やがて、なぜかマイディーの周りを走りだす。戸惑うマイディーを尻目に、インディはそのまま走り去ってしまうのだ。 まだどうやって会話していいかわからない父がなんとか感謝を伝えようとしたが、それができず、結局逃げてしまったのだ。 どうすればよかったのかを聞きに来た父に息子が説明すると、父はしみじみと言うのだ。 「このゲーム、なかなか楽しい」 ドラマは、このように現実の世界とゲームの世界(エオルゼア)を行き来する。エオルゼアの様子には、実際のプレイ画面が使われている。先のインディが逃げてしまうシーンも、ゲーム画面特有の動きのチグハグさが、おかしみを生んでいた。 これまでもゲームをモチーフにしたドラマはあったが、ここまで「ゲームをプレイする悦び」に焦点を当てて、そのゲームの特性を利用し、それをストーリーや映像に組み込んだ作品は例がないのではないだろうか。 その実現に至るまでは、さまざまな苦労があったことが想像できる。実際にその顛末は、原作者のブログ「一撃確殺SS日記」で、「光のぴぃさん」と題し、連載されていた。 たとえば、最初の脚本案。もちろん原作ブログそのままをドラマ化したのでは、オンラインゲームをもともと好きな人は楽しめても、筆者のようなそうでない者は楽しめない。地上波で放送するドラマである以上、それではダメなことは明らかだ。原作ではほとんど描かれていない主人公の背景や、原作では主人公と父と母だけしか出てこない登場人物の追加などは必要不可欠な要素だった。 もちろん、それは原作者も納得していたが、最初に出された脚本案は、受け入れがたいものだった。主人公は引きこもり、父は末期がん。それを知った主人公が「光のお父さん計画」を立てる。旅の仲間たちもアニメオタクやBLマニアなど、テレビ的に誇張されたオタク像。人生経験豊富な父が、そんなネット依存した若者たちを更生、社会復帰させていくというものだった。 なるほど、確かに息子が正体を隠して父をゲームに誘い、その中で交流し親子愛を深めていくという物語の骨格は継承している。 だが、決定的に間違っている。なぜなら、原作が描いているのは「オンラインゲームの素晴らしさと可能性」だからだ。ネットを悪とするような価値観とは相いれない。そんなドラマ化では意味がない。やめたほうがいい。 「やめるのはいつでもできます。でも、そういう時に頑張ることが、大切だと思うんです」 戦いに敗れ、「また今度にしよう」というマイディーにインディは言う。 そんなインディの言葉通り、原作者やそれを理解しているスタッフたちは、理想のドラマ化実現に向け、妥協せずに戦った。ゲームを愛する新たな脚本家を招き、主人公の設定も、マジメな会社員に変更され、オンラインゲームの中で得た教訓や実感を現実の世界で生かし、主人公が成長していく物語に昇華されたのだ。 インディは、また命の危機にさらされる。それを見つけ、マイディーが手を差し伸べ、協力してモンスターを倒す。再び、マイディーに救われたインディ。マイディーをしばらく見つめたインディは、ゆっくりとひざまずき、感謝の意を伝えたのだ。 このシーンには、オンラインゲームのときめきと悦びが、すべて詰まっているようだった。 饒舌な言葉の交流や現実社会での直接の交流がなくても、心が通じ合ったという実感を得られることがある。ゲームだからこそ、生まれる感動があるのだ。ゲームが共通言語になった瞬間だった。 このドラマは、いまだに「ゲーム=悪」という描かれ方をされてしまう風潮への戦いだ。その冒険は、ゲーム界にとっても、ドラマ界にとっても一筋の光だ。そこには大きな可能性が広がっている。 インディは言う。 「人生にゲームオーバーはありません。あきらめない限り」 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/) ◆「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらからMBS/TBSドラマイズム『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』公式ウェブサイトより
ゲームをプレイする悦びを描く『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』の冒険
「みんな聞いてほしい。このエオルゼアに僕の父さんがいる!」 エオルゼアとは、オンラインRPGゲーム『ファイナルファンタジーXIV』の舞台となる世界。そこに集まる仲間たちを前に、「マイディー」を名乗るキャラクターが宣言した。 これは、『FF14』をプレイする親子をめぐるドラマ『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(MBS)である。 原作は、ハンドルネーム「マイディー」によるゲームプレイブログ「一撃確殺SS日記」(http://sumimarudan.blog7.fc2.com/)で連載していた「光のお父さん計画」。ゲームプレイブログをドラマ化するのは、前代未聞のことだ。 主人公は、ゲーム上で「マイディー」を名乗るゲーム好きの青年・稲葉光生(千葉雄大)。彼の父親・博太郎(大杉漣)は、60歳になると、家族になんの相談もなしに会社を辞めてしまう。次期社長候補にも挙がっていたというのに、だ。 いつしか父と言葉を交わすことがほとんどなくなっていた光生は、父の真意がわからない。そんなことを何気なくゲーム上で、仲間たちに相談した。 すると、その中のひとりが言う。 「これからは一緒に冒険をする時間あるんじゃないですか?」 「ここに呼ぶってこと?」 「正体を隠して仲良くなれば心を開いてくれるかも」 父に『FF14』をプレイしてもらい、自分は正体を隠して共に冒険を続け、いつの日か自分が実の息子であることを打ち明けるという壮大な親孝行を計画したのだ。それが「光のお父さん計画」だ。(ちなみに「光の~」とは『FF』における冒険者が「光の戦士」と呼ばれることに由来している) 念のために補足すると、『FF14』のようなオンラインゲームとは、ネットにつないで世界中の人たちと一緒にプレイするゲームだ。同じゲーム内の世界で、自分と同じように世界中の誰かがプレイしている。ゲーム中すれ違う人たちも全員、現実にいるどこかの誰か、ということだ。その中で、もちろん一人で遊ぶこともできるが、「フレンド」登録して、ほかの誰かと一緒に冒険をすると格段に楽しくなる。 「退職祝い」で息子に『FF14』をプレゼントされた父親は、そんな説明を聞いて、つぶやいた。 「そんなん、なんか恥ずかしい……」 光生がゲーム好きになったのは、小学生の頃、謎の一人遊びに興じる息子を見かねた父がゲームを買ってくれたからだ。その時、一緒に買ったソフトが『FF3』だった。 息子が楽しそうにプレイしているのを見て、父も見よう見まねでプレイするようになった。 「光生、これ、なかなか面白いな」 ゲームは父と息子の共通言語になった。 だが、ある日、父が仕事から疲れて帰ってきたときに、光生は喜々としてゲームの話をしてしまう。 「ゲームばかりせんと、ちょっとは勉強せえ」 そこから、2人は心を開いた会話をすることができなくなったのだ。 しかし今、2人はかつて一緒に遊んだ『FF』の世界で、再び出会った。 その時、「インディ」を名乗る父は、初心者にとっては難敵のモンスターに襲われていた。 「このままでは父さんが死んでしまう!」 インディの命の危機に、マイディーはすかさず加勢し、救ったのだ。 「大丈夫でしたか?」 尋ねるマイディーに、インディは沈黙したまま見つめ合う。やがて、なぜかマイディーの周りを走りだす。戸惑うマイディーを尻目に、インディはそのまま走り去ってしまうのだ。 まだどうやって会話していいかわからない父がなんとか感謝を伝えようとしたが、それができず、結局逃げてしまったのだ。 どうすればよかったのかを聞きに来た父に息子が説明すると、父はしみじみと言うのだ。 「このゲーム、なかなか楽しい」 ドラマは、このように現実の世界とゲームの世界(エオルゼア)を行き来する。エオルゼアの様子には、実際のプレイ画面が使われている。先のインディが逃げてしまうシーンも、ゲーム画面特有の動きのチグハグさが、おかしみを生んでいた。 これまでもゲームをモチーフにしたドラマはあったが、ここまで「ゲームをプレイする悦び」に焦点を当てて、そのゲームの特性を利用し、それをストーリーや映像に組み込んだ作品は例がないのではないだろうか。 その実現に至るまでは、さまざまな苦労があったことが想像できる。実際にその顛末は、原作者のブログ「一撃確殺SS日記」で、「光のぴぃさん」と題し、連載されていた。 たとえば、最初の脚本案。もちろん原作ブログそのままをドラマ化したのでは、オンラインゲームをもともと好きな人は楽しめても、筆者のようなそうでない者は楽しめない。地上波で放送するドラマである以上、それではダメなことは明らかだ。原作ではほとんど描かれていない主人公の背景や、原作では主人公と父と母だけしか出てこない登場人物の追加などは必要不可欠な要素だった。 もちろん、それは原作者も納得していたが、最初に出された脚本案は、受け入れがたいものだった。主人公は引きこもり、父は末期がん。それを知った主人公が「光のお父さん計画」を立てる。旅の仲間たちもアニメオタクやBLマニアなど、テレビ的に誇張されたオタク像。人生経験豊富な父が、そんなネット依存した若者たちを更生、社会復帰させていくというものだった。 なるほど、確かに息子が正体を隠して父をゲームに誘い、その中で交流し親子愛を深めていくという物語の骨格は継承している。 だが、決定的に間違っている。なぜなら、原作が描いているのは「オンラインゲームの素晴らしさと可能性」だからだ。ネットを悪とするような価値観とは相いれない。そんなドラマ化では意味がない。やめたほうがいい。 「やめるのはいつでもできます。でも、そういう時に頑張ることが、大切だと思うんです」 戦いに敗れ、「また今度にしよう」というマイディーにインディは言う。 そんなインディの言葉通り、原作者やそれを理解しているスタッフたちは、理想のドラマ化実現に向け、妥協せずに戦った。ゲームを愛する新たな脚本家を招き、主人公の設定も、マジメな会社員に変更され、オンラインゲームの中で得た教訓や実感を現実の世界で生かし、主人公が成長していく物語に昇華されたのだ。 インディは、また命の危機にさらされる。それを見つけ、マイディーが手を差し伸べ、協力してモンスターを倒す。再び、マイディーに救われたインディ。マイディーをしばらく見つめたインディは、ゆっくりとひざまずき、感謝の意を伝えたのだ。 このシーンには、オンラインゲームのときめきと悦びが、すべて詰まっているようだった。 饒舌な言葉の交流や現実社会での直接の交流がなくても、心が通じ合ったという実感を得られることがある。ゲームだからこそ、生まれる感動があるのだ。ゲームが共通言語になった瞬間だった。 このドラマは、いまだに「ゲーム=悪」という描かれ方をされてしまう風潮への戦いだ。その冒険は、ゲーム界にとっても、ドラマ界にとっても一筋の光だ。そこには大きな可能性が広がっている。 マイディは言う。 「人生にゲームオーバーはありません。あきらめない限り」 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/) ◆「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらからMBS/TBSドラマイズム『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』公式ウェブサイトより


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