預金通帳を見て、我々は一喜一憂する。「今月は厳しいなぁ……」なのか「これくらい貯金があれば余裕だな」なのか、それぞれの感慨は他者からは知るよしもない。だって、当人の貯金残高がいかほどのものなのか、普通は教えてくれないし。 そんな“完全プライベート”とでも呼べる通帳を見せてもらおうと、街行く人にお願いする番組『あの人の通帳が見てみたい!』(テレビ東京系)が10月6日に放送された。 もしも、道すがらで「通帳を見せてください」とお願いされたら、皆さんはどうする? たいていの人は「ちょっと見せられないですね……」と、あっさりお断りするはず。しかし、極稀に「いいですよ」とご開帳してくれる人がいるから驚く。そういう人は、さぞかし貯め込んでいるんでしょうね……。 ■低い残高でも、意外と見せてくれる預金通帳 と思いきや、そうとも限らないのだ。例えば、下北沢の往来で通帳を見せてくれた女性の貯金残高は3万2,683円であった。彼女は、飲食店でアルバイトしながら女優としての成功を目指す19歳だ。夢追い人に、貯金残高の“多さ”“少なさ”は大した問題ではないらしい。 銀座で休日デートする新婚夫婦も、通帳を見せてくれた。夫の持つ個人通帳を見ると、残高はわずか5万4,007円。初めてそれを見た妻は「少なっ!」と驚きのリアクションだが、表情は笑顔のまま。その度量の深さに思わずホッとしてしまうが、それもつかの間、夫が30万円もの大金を数カ月前に引き出している事実が明らかになり、低めのテンションで「何に使ったの?」「結構、デカくね?」と問い詰め始める。夫は夫で、「何かデカい買い物したかなあ?」と思い出せずじまい。この不穏な空気には、見ているこっちがヒヤヒヤしてしまう。だって、新婚さんなのに……。 しまいには「スケジュール帳見たら思い出すんじゃない?」と、夫に確認を迫る妻。すると、夫はようやく思い出す。そして妻を隔離させ、大金を引き出した理由を教えてくれた。その真相は「プロポーズの時のジュエリーなど、彼女へのプレゼントをいろいろ買ったので」とのこと。なんだ、良かった。残高は少ないけど、幸せいっぱいじゃないですか! ■貯金額3,724円でも娘から尊敬される、笑顔の父親 預金通帳を見ると、地域文化も透けて見える。例えば、沖縄で営業中の老舗漬物店の3代目店長が今回は預金通帳を見せてくれた。彼は、交際中の彼女と間もなく結婚しようというタイミング。将来に備え貯蓄しておくべき時期だが、残高は44万8,850円と意外に低めであった。しかも自営なので、3代目に入る給料という給料はない。平均月収は、なんと10万円である。 だが、2人に不安はない模様。沖縄には「ゆいまーる」という“助け合いの文化”が根付いており、物や食べ物をあげたりもらったりしながら生きていくことができるのだ。必ずしも、貯金残高の数字に将来性や安定性、幸せのレベルが反映されているわけではなかった。 極めつきは、銀座で通帳を見せてくれた男性。内装業の会社を営む社長さんだが、貯金残高はわずか3,724円であった。いや、これはさすがにヤバいんじゃないか……。 この残高の低さには理由があるらしい。通帳の欄をさかのぼると、「送金 390,000」と記入されている。バツ1のこの男性、元妻へ月およそ40万円の養育費を15年間(180カ月)払い続けていたのだ。今までの送金額の合計は、およそ7,200万円! 実はこの時、男性の娘さんも近くにいたことが判明。もちろん、番組は娘さんに父の通帳を見てもらうことにする。そして娘さん、通帳に記入されている送金額を初めて目にし「ヤバいね」と一言。そして「すごいと思います。払わない人もいるのに」「大事な存在です」と、父親へ尊敬のまなざしを向けている。一方、父は父で「責任感しかない」「子どもに好かれるのが一番だね、女房に好かれなくてもいいから(笑)」と、まぶしい笑顔を見せるのだ。「娘の幸せがあれば、貯金の少なさもなんてことない」と言わんばかり。貯金残高の低さもなんのその、笑い飛ばしてみせている。 なるほど、“通帳の中身”をのぞき見すると人生や生きざまを垣間見ることができる。そして、残高の数字が即ち幸せの度合いを反映していると限らないことも判明した。 ■ネット上では、番組に対する苦言も 一般人の素性に迫るコンセプトは、同局の人気番組『家、ついて行ってイイですか?』や『Youは何しに日本へ?』等を連想させる。労力を惜しまない番組作りはテレ東の真骨頂で、注ぎ込んだカロリーは番組のクオリティとして見事に花開いたといえるだろう。 ただ、今回は「貯金」というスレスレの線を扱っているので、危険とも背中合わせ。ネット上では、番組の危険性を指摘する書き込みも散見される。せっかくの良番組なので、もしも続編があるのならば、くれぐれも安全性には強く留意していただきたいと願うばかりだ。 (文=寺西ジャジューカ)『あの人の通帳が見てみたい!』テレビ東京
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“ひふみん”こと加藤一二三九段が『紅白』に!? ゲスト審査員か、それとも……
将棋界の“レジェンド”が、ついに大舞台に殴り込みをかける。 今年6月に現役を退いた加藤一二三九段が、大みそかの風物詩『第68回NHK紅白歌合戦』に、出場の運びとなりそうだという。 加藤九段といえば、1954年に当時の最年少記録となる14歳7カ月でプロ棋士となり、史上初の中学生棋士に。その圧倒的なひらめきから「神武以来の天才」と評され、中原誠名誉王座や故・大山康晴十五世名人らと名勝負を繰り広げてきた将棋界のスター。引退までの通算成績は、1,324勝1,180敗1持将棋。対局数は歴代1位の2,505局を誇る。 さらに、最近では「ひふみん」の愛称で親しまれ、独特のキャラクターとその言動で話題を呼んでいる。 「見た目は、ほのぼのとしているのに、話し始めるとマシンガントーク。それでいて、将棋界の大レジェンドにもかかわらず、偉そうにしない。それが受けています。加藤九段が出演する番組は、視聴率が跳ね上がり、オファー殺到で引っ張りだこ。これに目をつけた芸能事務所『ワタナベエンターテインメント』が契約を結び、スケジュールを管理。さらに出演本数を伸ばすという好循環になっていますよ」(芸能関係者) さらに今年は、加藤九段以来5人目となる中学生棋士、藤井聡太四段が脚光を浴び、将棋界が沸いた一年となった。 「NHK側は『紅白』に藤井四段を出演させたいようですが、中学生で規制もあり、難しそう。そこで白羽の矢が立ちそうなのが加藤九段です。ゲスト審査員として参加する可能性が高そうですが、ここにきて企画枠での出演もゼロではなくなってきました」(同) 加藤九段は、古坂大魔王からデビュー曲「ひふみんアイ」の楽曲提供を受け、YouTubeでミュージックビデオを公開したところ、大反響を呼んでいる。レジェンドは審査員になるのか、それともステージに上がることになるのか、注目を集めそうだ。公益社団法人日本将棋連盟公式サイトより
なんだこの番組!?『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』を成立させた、いとうせいこうの手腕
7日深夜、突如テレビ東京系列で放送された『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』。 水原恵理アナが、「山田孝之の演技入門をお送りする予定でしたが、大幅に内容を変更してお送りします」と、まるで災害情報を伝えるかのようなテンションで告げて、突如始まったこの番組。突如といったのには、理由がある。この番組は、ほんのすこし前まで『山田孝之の演技入門』として予告されていた枠だった。しかしオンエアの少し前に突如ホームページにて内容の変更が告知され、『演技入門』という、どこか懐かしさを感じるEテレのごときプログラムは『緊急生放送』という、けたたましい煽り文句のついた特別番組に姿を変えた。 ■「山田孝之×テレ東」といえば そもそも「山田孝之がテレ東でなんかやる」ことには、さんざん我々は振り回されてきた。 山田孝之が、自身を見つめ直すために赤羽に移住し、ファンキーな赤羽の先住民との交流から自己を取り戻す『山田孝之の東京都北区赤羽』。山田孝之が、突如カンヌ最高賞を受賞したいと言い出したことにより、盟友・山下敦弘や主役の芦田愛菜(殺人鬼役!)を巻き込み、カンヌに向かったロードムービー『山田孝之のカンヌ映画祭』。 どちらもドキュメンタリーの形をとりつつ観せる、いわゆるフェイクドキュメンタリーなのだが、見ている我々は「フェイク」だとか「やらせ」だとか、そんな無粋な目線は抜きにして、狂っていく山田孝之を心から心配し、そして彼に振り回される映画監督山下敦弘に心から同情した。 そんな山田孝之×テレ東の組み合わせ。しかし、今回画面上に山田の盟友山下の姿はないようだが……。 ■説明を聞いてもよくわからないまま番組は進む 水原アナの横には、同じく司会で「旗振り役」と紹介されたいとうせいこうが過剰に真剣なトーンでこの番組の意図を語っている。いとうが言うには「山田孝之君がこの番組を通して、日本に、世界に元気を送る、良い元気、幸せな元気を送っていく」とのことなのだが、説明を聞いてもさっぱりわからない我々をよそに、番組はどんどん進んでいく。どこか懐かしい、この置いてけぼり感。 公式Twitterですら「なんせ緊急生放送なんで番組内容はよくわかりません」とつぶやくありさま。 幾何学的なオブジェに囲まれたスタジオの中央には、山田孝之本人がご本尊のように鎮座し、両手を大きく広げ何か瞑想をしている。 番組の意図はよくわからないが、とにかくすごいことが始まりそうなのは間違いない。いとうが言うには、山田はもうすでに日本中に元気を送っている、とのこと。 『演技入門』のゲストとして呼ばれていた、紀里谷和明(映画監督)、小池栄子、松岡茉優も、そのまま出演。それぞれに真剣なトーンで山田孝之をユリ・ゲラーや、はたまたUMAのごとく熱く語る。 特に松岡にいたっては「今回、『元気を出す』じゃなく『送る』じゃないですか? 私『送る』って言葉がすごく響いてて、なんか今日はものすごい奇跡の体験をできるだろうし、俳優として新しいステージを山田さんが見せてくれると思うとなんかこう、わなわなします」と、文字に起こしてみても何一つピンとこない内容を、情感たっぷりに語っており、女優として大事な時期なのに、心配だ。 とにかくよくわからないが、生放送の間に、鎮座し瞑想している山田が世界中に正体不明のパワーを送り、何かとんでもない奇跡を起こす……というのが見どころの番組らしい。 この後、こんな番組をやることになったかという経緯をまとめたVTRが流れる ■番組のきっかけは假屋崎省吾の生花 そもそものきっかけは、いとうせいこうが青山ブックセンターに飾られた假屋崎省吾作の作品(巨大な生花)から、尋常じゃない衝撃を受けたことから始まるという。假屋崎いわく、その作品は、あるテレビ番組を見ていて体が熱くなり、衝動にかられて製作したものだという。作品名はその名も『山田』、素直なネーミングだ。そして「地面から湧き上がるパワーを感じた」と假屋崎が熱弁するその番組名とは、まさかの『山田孝之のカンヌ映画祭』! 点と点が繋がり出す。 しかも何かのパワーを感じ取ったのは假屋崎だけでなく、『~北区赤羽』『~カンヌ映画祭』を観て山田の事務所(スターダスト)に届けられたファンレターには「就職が決まりました」「舞台の主役になれました」「彼女ができました」「花がもう一度咲きました」という多くの奇跡の報告と、それをもたらしたであろう山田への感謝が多数綴られていた。ワイプに映る小池栄子も松岡茉優も、実に真剣に頷いている。 もうこの頃になると、自分がテレ東の深夜番組を見ているのだか、80年代のテレ朝の水曜スペシャルを見ているのだか感覚がごっちゃになってくる。 ■衝撃映像 ここである問題の映像が公開される。 それは『~カンヌ映画祭』の未公開映像だそうで、番組内で山田は鹿児島の実家に里帰りしたのだが、その際に近くの池で撮影されたモノだという。 池と呼ぶには雰囲気のある、森の奥地の泉といった場所で、もののけ姫ならシシガミが、ハリーポッターならヴォルデモートが対岸に現れそうな雰囲気のあるスポットだ。そこで山田が手を水に浸すと、静かだった池の中から何匹もの魚が次々とジャンプし、鳥が多数飛び立ったのだ。 鳥が空に多数飛び立つことは、木々に囲まれた森の中でありえるものと思う。問題は魚だ。静かな泉には似つかわしくない丸々とした魚が何匹も、突如暴れ狂ったようにジャンプを繰り返す。まるで、利根川や霞ヶ浦水系で梅雨の時期に数日だけ突如としてジャンプを繰り返す巨大魚レンギョのそれのようだ。いや、アップの画面がないのではっきりとは言えないが、本当にレンギョにすら見える。はたまた産卵のために堰を遡上しようと群がる鮭のようにも見えなくもない。 しかしレンギョにしろ鮭にしろ、こんな小さな泉の一角に大群で生息などするわけがないし、こんなことが起きているのにカメラも微動だにせず、ズームもしない……。さらに最も驚かされたのは、この光景を山田がまったく意に介していないということだ。なんなら、あまり意識がなかったとすら語っている。 この映像を観たいとうに「昔から動物が寄ってくるの?」と尋ねられ、「『動物が寄ってくるよね』と人に言われたことはある」と絶妙に不気味な回答をする山田。もはやこの山田は、山田孝之であって山田孝之でない。テレ東でだけ見られる、いつもとは違う山田孝之だ。 Vが開けても、山田は目をつむって気を練るように集中している。岡本太郎のようでもあり、Mr.マリックのようでもある。 ■豪華な「サクラ」陣 神秘の映像を受けて、ゲスト陣も山田が只者でない様をここぞとばかりに語り出す。紀里谷監督は、カメラを回したら映像が歪むとか、何かそれっぽいことを言い、小池栄子も以前、山田と共演した際に「自分が苦手とするコメディのアドリブがポンポン出てきた」と山田のパワーを語り、松岡に至っては、駆け出しの頃、山田と目があっただけで血管が「ドン!」となったと熱弁する。 小池のそれは単に相性がいいだけな気もするし、松岡のそれはただの緊張とも言える。しかし彼らは山田のパワーを、もはや疑わない。完全に信者と化し、あっち側の人間と化している。 ここで視聴者からの山田のパワーを受け取ったらしき報告が相次ぐ。 「テレビを見てた猫が毛玉を吐き出した」 「財布の小銭が777円だった」 「お通じがよくなった」 これらに、目を丸くして驚く小池、頭をかかえる紀里谷。一歩間違うと通販番組のサクラに見えなくもないのだが、ゲストの人選が絶妙なせいか、そこに安さはない。 「数年間引きこもりだった僕が、コンビニに行く決意ができました」という報告に、すかさず「ありがとう、そして君も素晴らしい」と返すいとうせいこう。 「ハムスター踊り狂ってる」という報告に「まあ夜だから走る時刻ではあるんですが……」とアカデミックなリアリティを付与するいとうせいこう。 山田という素材を楽しそうに、いとうが調理しているかのようだ。 この後も、 ・金魚の入った水槽に山田がパワーを送る→特に変化は見えないがゲストは光沢や発色が変わったと驚く。 ・スピリチュアルカウンセラーが、山田のエネルギーを絶賛 ・頭に器具をつけ山田のチャクラを測定→山田は宇宙と繋がっている ・山田のパワーを増幅させるため、兵庫の沼島のパワースポットを訪問 と、スタジオのみならず、山田・せいこうコンビが9月中にあちこち足を運んでいた様子が映像で紹介される。深夜の1時間強の単発番組のためとは思えない日数をかけていることがわかる。 去年の夏は、芦田愛菜らとカンヌを目指した山田だが、今年の晩夏は主にいとうと共に、自身のパワーの探求をしていたようだ。 ■突然のライブパフォーマンス いとういわく「古来、儀式として人間が人間を超えたものと繋がろうと思った時は、リズムと歌と踊りと花とかそういった美術(アート)を捧げることで自分の力を増幅させた」ということで、山田のパワー(山田力)を視聴者に伝えるためにライブパフォーマンスをスタジオで敢行することに。ポリリズミックなリズムとファンキーなベース音に、スペイシーなギターが乗る。さらにさまざまな動物を模した仮面をつけた10数人のダンサーが、鎮座する山田を取り囲み、一心不乱に踊り続ける。途中から、紀里谷監督はカメラを回し出し、刈谷崎は後方で花を生けている。小池も松岡も、一心不乱に踊り出している。 この混沌としたパフォーマンスをバックに「北海道無職。シャワーの出が良くなりました、北海道無職。シャワーの出が良くなりました」「愛知県主婦・消えかかった蛍光灯が復活しました。愛知県主婦・消えかかった蛍光灯が復活しました」と視聴者から送られてきた「山田力」の報告を淡々と読み上げるいとうせいこう。 もう本当に何の番組なのかジャンルすらわからない。 「香川県・大学生、番組を録画するのを忘れていましたが、勝手に録画されていました。番組を録画するのを忘れていましたが、勝手に録画されていました」 「傘が道端に落ちていて雨に濡れずに帰れました、山田先生ありがとうございます」 もはやこれがやりたかっただけなのでは? とも疑問が湧くほどの、演奏とミスマッチな大喜利。 しかし、演奏が佳境になるに従い、いとうの報告紹介も熱を帯び、叫ぶように変化していく。 「偏頭痛が治りました」 「赤ちゃんが立ちました」 そして北海道・団体職員の「4年間止まっていた時計が動き出しました」という報告の直後、MCせいこうが叫ぶ。「レッツダンス!!」さっきまでの司会の顔が完全にミュージシャンに変わる。 番組終了間際、最後にMCせいこうが叫ぶ「みんながいつまでも元気でありますように! 山田孝之は永遠に元気です! そして、テレビも元気!」 結局パワーは届いたのか、金魚はどうなったのか、もはやなんの番組だったのか、そんなことはどうでもよくなるような力強いメッセージで番組は終了した。まるで岡本喜八の怪作『ジャズ大名』(1986)のような、爽快なエンディング。結局スタジオの山田は一言も口を開くことはなかった。 ■結局、監督はあの2人 そして最後、混沌としたスタジオの状態に被せて流れるスタッフロールの中には案の定「監督・松江哲明 山下敦弘」という2人の名前が。 やはり『北区赤羽』『カンヌ映画祭』の流れを汲んだ番組だったことがわかる。 しかし、前2作が山田の暴走に山下(スタッフ)が振り回されるという作りであるのに対し、今作では主にスピリチュアルな素材としての山田を、いとうせいこうが利用し、教祖として奉り、祭り上げていく様が軸となっており、VTRを受けるスタジオパートもあるためか、前2作とはテイストが若干異なる。素材としては山田が主役だが、番組を動かし転がしていたのはいとうせいこうだし、前2作で山田が持っていた熱のようなものは、どちらかというと、いとうに感じた。あえてタイトルをつけるならば『いとうせいこうの教祖誕生』といったところだろうか。 番組を通してやはり目立ったのは、このふんわりとした企画を的確に進行しつつ、それっぽさを添えて番組を成り立たせるせいこうの手腕である。 そしてもう一人、「チャクラを開き大地とつながり太陽を見据える山田のアプローチを『俳優』と呼ぶのであれば、ほとんどの人は『俳優』失格ではないのか? 山田以外に『俳優』はいないのではないか?」と深刻に自問する松岡のヒステリックなコメントぶりが印象に残った。まだまだ伸びしろのありそうな逸材ぶりだ。 ちなみにこの番組はひかりTVで完全版が配信されるらしいので、気になる方はご自身で「山田力」を受信していただきたい。 (文=柿田太郎)
なんだこの番組!?『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』を成立させた、いとうせいこうの手腕
7日深夜、突如テレビ東京系列で放送された『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』。 水原恵理アナが、「山田孝之の演技入門をお送りする予定でしたが、大幅に内容を変更してお送りします」と、まるで災害情報を伝えるかのようなテンションで告げて、突如始まったこの番組。突如といったのには、理由がある。この番組は、ほんのすこし前まで『山田孝之の演技入門』として予告されていた枠だった。しかしオンエアの少し前に突如ホームページにて内容の変更が告知され、『演技入門』という、どこか懐かしさを感じるEテレのごときプログラムは『緊急生放送』という、けたたましい煽り文句のついた特別番組に姿を変えた。 ■「山田孝之×テレ東」といえば そもそも「山田孝之がテレ東でなんかやる」ことには、さんざん我々は振り回されてきた。 山田孝之が、自身を見つめ直すために赤羽に移住し、ファンキーな赤羽の先住民との交流から自己を取り戻す『山田孝之の東京都北区赤羽』。山田孝之が、突如カンヌ最高賞を受賞したいと言い出したことにより、盟友・山下敦弘や主役の芦田愛菜(殺人鬼役!)を巻き込み、カンヌに向かったロードムービー『山田孝之のカンヌ映画祭』。 どちらもドキュメンタリーの形をとりつつ観せる、いわゆるフェイクドキュメンタリーなのだが、見ている我々は「フェイク」だとか「やらせ」だとか、そんな無粋な目線は抜きにして、狂っていく山田孝之を心から心配し、そして彼に振り回される映画監督山下敦弘に心から同情した。 そんな山田孝之×テレ東の組み合わせ。しかし、今回画面上に山田の盟友山下の姿はないようだが……。 ■説明を聞いてもよくわからないまま番組は進む 水原アナの横には、同じく司会で「旗振り役」と紹介されたいとうせいこうが過剰に真剣なトーンでこの番組の意図を語っている。いとうが言うには「山田孝之君がこの番組を通して、日本に、世界に元気を送る、良い元気、幸せな元気を送っていく」とのことなのだが、説明を聞いてもさっぱりわからない我々をよそに、番組はどんどん進んでいく。どこか懐かしい、この置いてけぼり感。 公式Twitterですら「なんせ緊急生放送なんで番組内容はよくわかりません」とつぶやくありさま。 幾何学的なオブジェに囲まれたスタジオの中央には、山田孝之本人がご本尊のように鎮座し、両手を大きく広げ何か瞑想をしている。 番組の意図はよくわからないが、とにかくすごいことが始まりそうなのは間違いない。いとうが言うには、山田はもうすでに日本中に元気を送っている、とのこと。 『演技入門』のゲストとして呼ばれていた、紀里谷和明(映画監督)、小池栄子、松岡茉優も、そのまま出演。それぞれに真剣なトーンで山田孝之をユリ・ゲラーや、はたまたUMAのごとく熱く語る。 特に松岡にいたっては「今回、『元気を出す』じゃなく『送る』じゃないですか? 私『送る』って言葉がすごく響いてて、なんか今日はものすごい奇跡の体験をできるだろうし、俳優として新しいステージを山田さんが見せてくれると思うとなんかこう、わなわなします」と、文字に起こしてみても何一つピンとこない内容を、情感たっぷりに語っており、女優として大事な時期なのに、心配だ。 とにかくよくわからないが、生放送の間に、鎮座し瞑想している山田が世界中に正体不明のパワーを送り、何かとんでもない奇跡を起こす……というのが見どころの番組らしい。 この後、こんな番組をやることになったかという経緯をまとめたVTRが流れる ■番組のきっかけは假屋崎省吾の生花 そもそものきっかけは、いとうせいこうが青山ブックセンターに飾られた假屋崎省吾作の作品(巨大な生花)から、尋常じゃない衝撃を受けたことから始まるという。假屋崎いわく、その作品は、あるテレビ番組を見ていて体が熱くなり、衝動にかられて製作したものだという。作品名はその名も『山田』、素直なネーミングだ。そして「地面から湧き上がるパワーを感じた」と假屋崎が熱弁するその番組名とは、まさかの『山田孝之のカンヌ映画祭』! 点と点が繋がり出す。 しかも何かのパワーを感じ取ったのは假屋崎だけでなく、『~北区赤羽』『~カンヌ映画祭』を観て山田の事務所(スターダスト)に届けられたファンレターには「就職が決まりました」「舞台の主役になれました」「彼女ができました」「花がもう一度咲きました」という多くの奇跡の報告と、それをもたらしたであろう山田への感謝が多数綴られていた。ワイプに映る小池栄子も松岡茉優も、実に真剣に頷いている。 もうこの頃になると、自分がテレ東の深夜番組を見ているのだか、80年代のテレ朝の水曜スペシャルを見ているのだか感覚がごっちゃになってくる。 ■衝撃映像 ここである問題の映像が公開される。 それは『~カンヌ映画祭』の未公開映像だそうで、番組内で山田は鹿児島の実家に里帰りしたのだが、その際に近くの池で撮影されたモノだという。 池と呼ぶには雰囲気のある、森の奥地の泉といった場所で、もののけ姫ならシシガミが、ハリーポッターならヴォルデモートが対岸に現れそうな雰囲気のあるスポットだ。そこで山田が手を水に浸すと、静かだった池の中から何匹もの魚が次々とジャンプし、鳥が多数飛び立ったのだ。 鳥が空に多数飛び立つことは、木々に囲まれた森の中でありえるものと思う。問題は魚だ。静かな泉には似つかわしくない丸々とした魚が何匹も、突如暴れ狂ったようにジャンプを繰り返す。まるで、利根川や霞ヶ浦水系で梅雨の時期に数日だけ突如としてジャンプを繰り返す巨大魚レンギョのそれのようだ。いや、アップの画面がないのではっきりとは言えないが、本当にレンギョにすら見える。はたまた産卵のために堰を遡上しようと群がる鮭のようにも見えなくもない。 しかしレンギョにしろ鮭にしろ、こんな小さな泉の一角に大群で生息などするわけがないし、こんなことが起きているのにカメラも微動だにせず、ズームもしない……。さらに最も驚かされたのは、この光景を山田がまったく意に介していないということだ。なんなら、あまり意識がなかったとすら語っている。 この映像を観たいとうに「昔から動物が寄ってくるの?」と尋ねられ、「『動物が寄ってくるよね』と人に言われたことはある」と絶妙に不気味な回答をする山田。もはやこの山田は、山田孝之であって山田孝之でない。テレ東でだけ見られる、いつもとは違う山田孝之だ。 Vが開けても、山田は目をつむって気を練るように集中している。岡本太郎のようでもあり、Mr.マリックのようでもある。 ■豪華な「サクラ」陣 神秘の映像を受けて、ゲスト陣も山田が只者でない様をここぞとばかりに語り出す。紀里谷監督は、カメラを回したら映像が歪むとか、何かそれっぽいことを言い、小池栄子も以前、山田と共演した際に「自分が苦手とするコメディのアドリブがポンポン出てきた」と山田のパワーを語り、松岡に至っては、駆け出しの頃、山田と目があっただけで血管が「ドン!」となったと熱弁する。 小池のそれは単に相性がいいだけな気もするし、松岡のそれはただの緊張とも言える。しかし彼らは山田のパワーを、もはや疑わない。完全に信者と化し、あっち側の人間と化している。 ここで視聴者からの山田のパワーを受け取ったらしき報告が相次ぐ。 「テレビを見てた猫が毛玉を吐き出した」 「財布の小銭が777円だった」 「お通じがよくなった」 これらに、目を丸くして驚く小池、頭をかかえる紀里谷。一歩間違うと通販番組のサクラに見えなくもないのだが、ゲストの人選が絶妙なせいか、そこに安さはない。 「数年間引きこもりだった僕が、コンビニに行く決意ができました」という報告に、すかさず「ありがとう、そして君も素晴らしい」と返すいとうせいこう。 「ハムスター踊り狂ってる」という報告に「まあ夜だから走る時刻ではあるんですが……」とアカデミックなリアリティを付与するいとうせいこう。 山田という素材を楽しそうに、いとうが調理しているかのようだ。 この後も、 ・金魚の入った水槽に山田がパワーを送る→特に変化は見えないがゲストは光沢や発色が変わったと驚く。 ・スピリチュアルカウンセラーが、山田のエネルギーを絶賛 ・頭に器具をつけ山田のチャクラを測定→山田は宇宙と繋がっている ・山田のパワーを増幅させるため、兵庫の沼島のパワースポットを訪問 と、スタジオのみならず、山田・せいこうコンビが9月中にあちこち足を運んでいた様子が映像で紹介される。深夜の1時間強の単発番組のためとは思えない日数をかけていることがわかる。 去年の夏は、芦田愛菜らとカンヌを目指した山田だが、今年の晩夏は主にいとうと共に、自身のパワーの探求をしていたようだ。 ■突然のライブパフォーマンス いとういわく「古来、儀式として人間が人間を超えたものと繋がろうと思った時は、リズムと歌と踊りと花とかそういった美術(アート)を捧げることで自分の力を増幅させた」ということで、山田のパワー(山田力)を視聴者に伝えるためにライブパフォーマンスをスタジオで敢行することに。ポリリズミックなリズムとファンキーなベース音に、スペイシーなギターが乗る。さらにさまざまな動物を模した仮面をつけた10数人のダンサーが、鎮座する山田を取り囲み、一心不乱に踊り続ける。途中から、紀里谷監督はカメラを回し出し、刈谷崎は後方で花を生けている。小池も松岡も、一心不乱に踊り出している。 この混沌としたパフォーマンスをバックに「北海道無職。シャワーの出が良くなりました、北海道無職。シャワーの出が良くなりました」「愛知県主婦・消えかかった蛍光灯が復活しました。愛知県主婦・消えかかった蛍光灯が復活しました」と視聴者から送られてきた「山田力」の報告を淡々と読み上げるいとうせいこう。 もう本当に何の番組なのかジャンルすらわからない。 「香川県・大学生、番組を録画するのを忘れていましたが、勝手に録画されていました。番組を録画するのを忘れていましたが、勝手に録画されていました」 「傘が道端に落ちていて雨に濡れずに帰れました、山田先生ありがとうございます」 もはやこれがやりたかっただけなのでは? とも疑問が湧くほどの、演奏とミスマッチな大喜利。 しかし、演奏が佳境になるに従い、いとうの報告紹介も熱を帯び、叫ぶように変化していく。 「偏頭痛が治りました」 「赤ちゃんが立ちました」 そして北海道・団体職員の「4年間止まっていた時計が動き出しました」という報告の直後、MCせいこうが叫ぶ。「レッツダンス!!」さっきまでの司会の顔が完全にミュージシャンに変わる。 番組終了間際、最後にMCせいこうが叫ぶ「みんながいつまでも元気でありますように! 山田孝之は永遠に元気です! そして、テレビも元気!」 結局パワーは届いたのか、金魚はどうなったのか、もはやなんの番組だったのか、そんなことはどうでもよくなるような力強いメッセージで番組は終了した。まるで岡本喜八の怪作『ジャズ大名』(1986)のような、爽快なエンディング。結局スタジオの山田は一言も口を開くことはなかった。 ■結局、監督はあの2人 そして最後、混沌としたスタジオの状態に被せて流れるスタッフロールの中には案の定「監督・松江哲明 山下敦弘」という2人の名前が。 やはり『北区赤羽』『カンヌ映画祭』の流れを汲んだ番組だったことがわかる。 しかし、前2作が山田の暴走に山下(スタッフ)が振り回されるという作りであるのに対し、今作では主にスピリチュアルな素材としての山田を、いとうせいこうが利用し、教祖として奉り、祭り上げていく様が軸となっており、VTRを受けるスタジオパートもあるためか、前2作とはテイストが若干異なる。素材としては山田が主役だが、番組を動かし転がしていたのはいとうせいこうだし、前2作で山田が持っていた熱のようなものは、どちらかというと、いとうに感じた。あえてタイトルをつけるならば『いとうせいこうの教祖誕生』といったところだろうか。 番組を通してやはり目立ったのは、このふんわりとした企画を的確に進行しつつ、それっぽさを添えて番組を成り立たせるせいこうの手腕である。 そしてもう一人、「チャクラを開き大地とつながり太陽を見据える山田のアプローチを『俳優』と呼ぶのであれば、ほとんどの人は『俳優』失格ではないのか? 山田以外に『俳優』はいないのではないか?」と深刻に自問する松岡のヒステリックなコメントぶりが印象に残った。まだまだ伸びしろのありそうな逸材ぶりだ。 ちなみにこの番組はひかりTVで完全版が配信されるらしいので、気になる方はご自身で「山田力」を受信していただきたい。 (文=柿田太郎)
サンドウィッチマンが大盤振る舞い! 「最速でネタに引き込む」漫才技術をビジネスマンに伝授
芸能界を離れていた約10年の間、ヒロミがトレーニングジム経営で大成功を収めていたのは有名な話。2015年に『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)へ出演したヒロミは「芸能界でやってこられた人なら、ほかの何をやっても成功できる」と断言している。彼の実績を振り返ると、説得力のある言葉だ。 ほかにも、雨上がり決死隊・宮迫博之の元相方がラーメン店、キャバクラ、芸能事務所、アパレルブランドなどを立ち上げ、成功者となった恵藤憲二氏であることは多くの人が知る事実である。 これらの成功例を、“芸能界で培ったスキルが他業種でも通用する証し”としてもいいものだろうか? ■トレエンが「コンプレックスを武器に変える手法」を伝授 9月18日よりスタートした『漫才先生~ビジネス基礎~』(NHK Eテレ)が面白い。この番組のコンセプトは「漫才師がビジネスマンにビジネス道を熱血指導する前代未聞の若い働きマンへの新ビジネス指南番組」である。 第1回目の講師として登場したのは、トレンディエンジェル。斎藤司はNSC(吉本総合芸能学院)入学以前、楽天に勤務していた経歴の持ち主だ。そんな彼らが、若きビジネスマンたちを相手に講義を行う。今回のテーマは「コンプレックスを最大の武器にせよ」だ。トレエンのコンプレックスといえば、やはり頭髪ということになるだろう。 デビュー当初、トレエンは“ハゲネタ”を避けたネタ作りをしており、ウケを取ることができなかった。いや、それ以前にネタを真剣に見てもらうことすらできなかったという。これは、当時の彼らの知名度のなさゆえ。しかし、ハゲネタを解禁してから、彼らの快進撃は始まる。 斎藤「ハゲは、当時の僕らより有名でしたから。今はハゲを抜きましたけど」 たかし「ハゲを抜くって、ややこしいですけど」 要するに、自分のことを知らない相手への“壁”を突破する方法として有効なのが「コンプレックスを武器にする」という手法だったのだ。 ここからは実践編。「人見知り」をコンプレックスとする生徒が、たかしを相手にいつもの飛び込み営業の様子を披露したのだが、これがどうにも弱腰だ。保険のセールスをしたいのに「時間ないからいいよ」と言われた途端、「わかりました」と退出してしまう。その表情にはすまなそうな感情が出まくっており、俗に言う“困り顔”になってしまっていた。 そんな彼に、斎藤は「話を聞いてもらうことが大事」とアドバイス。その時、武器にしてほしいのがコンプレックスなのだ。「コンプレックスを見せる」と「相手に弱みを見せる」ことになり、それは即ち「心を開いてくれる」ということになるからである。 では、具体的にどうすればいいのだろう? ここで斎藤が見せたお手本は秀逸である。“困り顔”を、見事にプラスに転換してみせた。 斎藤「すいません、佐藤さんいらっしゃいますか?」 たかし「佐藤? ウチにそんな人いない」 斎藤「あれ、いないッスか? ……やっべ、間違えちゃいました! あのぉ、田中さんはいます?」 たかし「田中もいないよ(笑)」 斎藤「あれ? あるんですよ、こういうところ。すいません、失礼します!(退出しようとする)」 たかし「(斎藤が落とした財布を見つけ)あれ、ちょっと!」 斎藤「なんか、すみません。拾ってもらっちゃって。ただごとじゃないな、この関係性は……。じゃあ、またお邪魔しますんで。あっ、これよかったらウチでやってる保険の資料なんでこれ見といてください」 たかし「えっ?」 実はこのくだりには、ビジネスに有効なスキルがいくつか盛り込まれている。まず、質問を繰り返すことで会話をコントロールする「質問話法」を駆使。また、商品をまったく売ろうとしていない斎藤の態度は、会話中にニーズを見つけて「買いたい」と言わせる「売らない営業法」と通ずるものがある。加えて“困り顔”を印象付けることで、相手を助けたくなる「人間の援助行動」も引き出している。「人見知り」のコンプレックスが、相手の気を引くチャンスとして見事昇華されたのだ! ■「最速でネタに引き込む」という企業秘密をさらすサンドウィッチマン 9月25日放送の第2回目に登場したのは、サンドウィッチマン。前回のトレエンは比較的、スピリッツの部分に関する授業を行っていたが、今回のサンドウィッチマンはがっつり営業方法について言及する。というのも、伊達みきおは芸人になる前に福祉用具の営業マンを5年間勤め上げていたのだ。 それにしても、この回のサンドウィッチマンは大サービスだった。自らの漫才台本を掲示し、そのシステムを親切丁寧に解説していくのだから。 サンドの2人がまず始めにアドバイスするのは「最初に一番言いたいことを言う」ということ。いわゆる“ツカミ”に当たる部分である。番組によって一つのネタを「3分にしてくれ」「5分にしてくれ」とリクエストされることなど、芸人にとっては日常茶飯事である。だからこそ「最速でネタに引き込む」が、永遠のテーマとなる。設定に入る前にだらだらさせない。 例えば、サンドのネタにはこういうくだりがある。 伊達「世の中、興奮することはいっぱいありますけど、一番興奮するのはお寿司屋さんに行った時だね」 富澤「間違いないね」 伊達「あっ、お寿司屋さんだ。興奮してきたな。ちょっと入ってみようかな」 上記の流れ、無駄が極力排除されているのだ。「俺、お寿司屋さんやってみたいんだよね」「そうなの?」「俺がお寿司屋さんやるから、あなたがお客さんとして入ってきて」というお決まりの流れが邪魔だと2人は考えた。なので、伊達が「あっ、お寿司屋さんだ」と言うだけに留めている。 そして、すぐにツカミへ突入する。 富澤「ヘイヘイヘイヘイヘイラッシャイ」 伊達「少年野球か、うるせえな!」 これは、ビジネスの世界にも応用できるロジックだ。あらゆるシチュエーションでは、切り口(入り)が大事になってくる。漫才も、テレビも、映画も、プレゼンも、重要なのは最初の1分間。この時点で、相手を引き込めるかが左右される。まさしく“ツカミ”。細かい説明は後回しでいい。とにかく、冒頭1分で本題に入ってしまう。それが重要だとサンドウィッチマンは説く。 それにしても、サンドウィッチマンが明かした手法は具体的すぎる。これって、彼らにとっての企業秘密じゃないのだろうか? 講義を受けたビジネスマンから「こんなに手の内をさらしちゃっていいんですか?」と問われたサンドウィッチマンは「全然いいですよ。台本に上げちゃえばわかるものなので」と、至ってクールな態度を貫いていた。 トレエンもサンドウィッチマンも、職人だ。一つのボケ、言葉が決まるまでに2~3カ月かけることもザラ。実を言うと究極に理論的なその構造は、ブラッシュアップされ尽くしているだけに、あらゆるシチュエーションで応用可能なスキルとなっていたようだ。 「漫才師がビジネスマンにビジネス道を熱血指導する」というコンセプトであるものの、それだけに収まらない『漫才先生』。裏側をあくまで“チラ見せ”することで、芸人がよりカッコ良く見えてくる番組であった。 (文=寺西ジャジューカ)グレープカンパニー公式サイトより
サンドウィッチマンが大盤振る舞い! 「最速でネタに引き込む」漫才技術をビジネスマンに伝授
芸能界を離れていた約10年の間、ヒロミがトレーニングジム経営で大成功を収めていたのは有名な話。2015年に『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)へ出演したヒロミは「芸能界でやってこられた人なら、ほかの何をやっても成功できる」と断言している。彼の実績を振り返ると、説得力のある言葉だ。 ほかにも、雨上がり決死隊・宮迫博之の元相方がラーメン店、キャバクラ、芸能事務所、アパレルブランドなどを立ち上げ、成功者となった恵藤憲二氏であることは多くの人が知る事実である。 これらの成功例を、“芸能界で培ったスキルが他業種でも通用する証し”としてもいいものだろうか? ■トレエンが「コンプレックスを武器に変える手法」を伝授 9月18日よりスタートした『漫才先生~ビジネス基礎~』(NHK Eテレ)が面白い。この番組のコンセプトは「漫才師がビジネスマンにビジネス道を熱血指導する前代未聞の若い働きマンへの新ビジネス指南番組」である。 第1回目の講師として登場したのは、トレンディエンジェル。斎藤司はNSC(吉本総合芸能学院)入学以前、楽天に勤務していた経歴の持ち主だ。そんな彼らが、若きビジネスマンたちを相手に講義を行う。今回のテーマは「コンプレックスを最大の武器にせよ」だ。トレエンのコンプレックスといえば、やはり頭髪ということになるだろう。 デビュー当初、トレエンは“ハゲネタ”を避けたネタ作りをしており、ウケを取ることができなかった。いや、それ以前にネタを真剣に見てもらうことすらできなかったという。これは、当時の彼らの知名度のなさゆえ。しかし、ハゲネタを解禁してから、彼らの快進撃は始まる。 斎藤「ハゲは、当時の僕らより有名でしたから。今はハゲを抜きましたけど」 たかし「ハゲを抜くって、ややこしいですけど」 要するに、自分のことを知らない相手への“壁”を突破する方法として有効なのが「コンプレックスを武器にする」という手法だったのだ。 ここからは実践編。「人見知り」をコンプレックスとする生徒が、たかしを相手にいつもの飛び込み営業の様子を披露したのだが、これがどうにも弱腰だ。保険のセールスをしたいのに「時間ないからいいよ」と言われた途端、「わかりました」と退出してしまう。その表情にはすまなそうな感情が出まくっており、俗に言う“困り顔”になってしまっていた。 そんな彼に、斎藤は「話を聞いてもらうことが大事」とアドバイス。その時、武器にしてほしいのがコンプレックスなのだ。「コンプレックスを見せる」と「相手に弱みを見せる」ことになり、それは即ち「心を開いてくれる」ということになるからである。 では、具体的にどうすればいいのだろう? ここで斎藤が見せたお手本は秀逸である。“困り顔”を、見事にプラスに転換してみせた。 斎藤「すいません、佐藤さんいらっしゃいますか?」 たかし「佐藤? ウチにそんな人いない」 斎藤「あれ、いないッスか? ……やっべ、間違えちゃいました! あのぉ、田中さんはいます?」 たかし「田中もいないよ(笑)」 斎藤「あれ? あるんですよ、こういうところ。すいません、失礼します!(退出しようとする)」 たかし「(斎藤が落とした財布を見つけ)あれ、ちょっと!」 斎藤「なんか、すみません。拾ってもらっちゃって。ただごとじゃないな、この関係性は……。じゃあ、またお邪魔しますんで。あっ、これよかったらウチでやってる保険の資料なんでこれ見といてください」 たかし「えっ?」 実はこのくだりには、ビジネスに有効なスキルがいくつか盛り込まれている。まず、質問を繰り返すことで会話をコントロールする「質問話法」を駆使。また、商品をまったく売ろうとしていない斎藤の態度は、会話中にニーズを見つけて「買いたい」と言わせる「売らない営業法」と通ずるものがある。加えて“困り顔”を印象付けることで、相手を助けたくなる「人間の援助行動」も引き出している。「人見知り」のコンプレックスが、相手の気を引くチャンスとして見事昇華されたのだ! ■「最速でネタに引き込む」という企業秘密をさらすサンドウィッチマン 9月25日放送の第2回目に登場したのは、サンドウィッチマン。前回のトレエンは比較的、スピリッツの部分に関する授業を行っていたが、今回のサンドウィッチマンはがっつり営業方法について言及する。というのも、伊達みきおは芸人になる前に福祉用具の営業マンを5年間勤め上げていたのだ。 それにしても、この回のサンドウィッチマンは大サービスだった。自らの漫才台本を掲示し、そのシステムを親切丁寧に解説していくのだから。 サンドの2人がまず始めにアドバイスするのは「最初に一番言いたいことを言う」ということ。いわゆる“ツカミ”に当たる部分である。番組によって一つのネタを「3分にしてくれ」「5分にしてくれ」とリクエストされることなど、芸人にとっては日常茶飯事である。だからこそ「最速でネタに引き込む」が、永遠のテーマとなる。設定に入る前にだらだらさせない。 例えば、サンドのネタにはこういうくだりがある。 伊達「世の中、興奮することはいっぱいありますけど、一番興奮するのはお寿司屋さんに行った時だね」 富澤「間違いないね」 伊達「あっ、お寿司屋さんだ。興奮してきたな。ちょっと入ってみようかな」 上記の流れ、無駄が極力排除されているのだ。「俺、お寿司屋さんやってみたいんだよね」「そうなの?」「俺がお寿司屋さんやるから、あなたがお客さんとして入ってきて」というお決まりの流れが邪魔だと2人は考えた。なので、伊達が「あっ、お寿司屋さんだ」と言うだけに留めている。 そして、すぐにツカミへ突入する。 富澤「ヘイヘイヘイヘイヘイラッシャイ」 伊達「少年野球か、うるせえな!」 これは、ビジネスの世界にも応用できるロジックだ。あらゆるシチュエーションでは、切り口(入り)が大事になってくる。漫才も、テレビも、映画も、プレゼンも、重要なのは最初の1分間。この時点で、相手を引き込めるかが左右される。まさしく“ツカミ”。細かい説明は後回しでいい。とにかく、冒頭1分で本題に入ってしまう。それが重要だとサンドウィッチマンは説く。 それにしても、サンドウィッチマンが明かした手法は具体的すぎる。これって、彼らにとっての企業秘密じゃないのだろうか? 講義を受けたビジネスマンから「こんなに手の内をさらしちゃっていいんですか?」と問われたサンドウィッチマンは「全然いいですよ。台本に上げちゃえばわかるものなので」と、至ってクールな態度を貫いていた。 トレエンもサンドウィッチマンも、職人だ。一つのボケ、言葉が決まるまでに2~3カ月かけることもザラ。実を言うと究極に理論的なその構造は、ブラッシュアップされ尽くしているだけに、あらゆるシチュエーションで応用可能なスキルとなっていたようだ。 「漫才師がビジネスマンにビジネス道を熱血指導する」というコンセプトであるものの、それだけに収まらない『漫才先生』。裏側をあくまで“チラ見せ”することで、芸人がよりカッコ良く見えてくる番組であった。 (文=寺西ジャジューカ)グレープカンパニー公式サイトより
TBSが異例の懲戒解雇! 危険ドラッグ&傷害逮捕の局部長は“余罪”アリ!?「局内で売人活動を……?」
TBSの武田信二社長は9月27日の定例会見で、危険ドラッグ所持や傷害の容疑で書類送検されたメディアビジネス局部長を、8月28日付で懲戒解雇にしたことを明らかにした。不祥事を起こしても解雇とまではならないことも多いテレビ局だが、厳しい処分となったことには、局内から「余罪」のウワサもささやかれる。 「クビになった部長には、ドラッグを別の局員に売っていたのではというウワサが広まってます。実際に買った人を知っているわけじゃないんですが、局内で怪しいウラ風俗に誘う話をしたり、変なところのある人だったので、売人説まで出たんでしょうね」(TBS関係者) 元部長は6月に都内で、禁止指定された成分を含む危険ドラッグの小瓶数本を所持していた容疑があるほか、それ以前に都内ホテルでその液体ドラッグを、ネット上で知り合った30代女性の顔にかけて負傷させた疑いも持たれている 捜査関係者によると、元部長が持っていた危険ドラッグは、かつてゲイカルチャー界隈で流通したセックスドラッグである通称「ラッシュ」なるもの。指定薬物として2015年からは輸入までもが制限されているが、これがテレビ業界内では密かに流行していたものでもある。 過去、海外赴任したテレビマンが持ち帰って業界関係者に転売していた事件があったほか、NHKプロデューサーや地方局アナウンサーも、所持で摘発されたことがある。それだけに元部長もそのドラッグ人脈の中心人物だったのではないかというウワサがあるわけだ。 元部長は捜査に対し「以前からたびたび使ったことがあり、フランス出張で日本に持ち込んだ」と供述しているとも伝えられるが、「父親が番組制作会社の役員で、コネ入社のウワサのあった人だった」と前出関係者。 「だから事件が大々的に表になってなかったら、クビになってなかったんじゃないかと思います。局内で平然と女子アナをナンパしようとしたとか、風俗の話を平然とする下品な奴だとか、いろいろ女性に嫌われるような評判が多かった」(同) その人物像はあくまで数名から聞いた又聞きでしかないが、いずれにせよ危険ドラッグで逮捕されてしまったことからも、問題人物であることは確かだ。 「彼と親しかった人は、一緒に遊んでいたんじゃないかと疑われて困っていた様子なので、クビになってホッとしたでしょうね。ただ、テレビ界は問題を起こした人でも、いつの間にか他の局の番組制作に携わっていたりすることもある業界なので、キッパリと業界からいなくなるかどうかはわかりません。もしドラッグつながりの人脈があるなら、他局にも知り合いがたくさんいるでしょうし」(同) 芸能人がたびたび、薬物で逮捕される業界ではあるが、裏方のスタッフたちにも怪しい人間がいるということか。 (文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)
小池百合子「希望の党」台頭にテレビ関係者が戦々恐々!?“小池嫌い”タレントの扱いが……
「小池さんは政界の台風の目。彼女に嫌われると何かとやりにくくなるから、小池嫌いの出演者の扱いには、注意が必要かも」とテレビの番組プロデューサー。国政選挙を前に力を強める小池百合子都知事について、テレビ関係者が警戒を強めているようだ。 小池都知事は国政政党「希望の党」代表に就任し、民進党の議員を多数吸収して衆院選の一大勢力となっているが、公認候補を取捨選択している独裁ぶりもあって、彼女の地域政党「都民ファーストの会」の“身内”から反発があり、音喜多駿と上田令子の2都議が離党届を提出したことが伝えられた。特に音喜多都議は10月4日、TOKYO MXの『モーニングCROSS』に電話出演し、小池都知事を厳しく批判。 「メディア出演は厳しく規制され、事実上、出られない状態だった。新人議員とご飯を食べに行こうとしたら派閥作りの行動だと叱責された」と語った。 こうした話について、他局の情報番組を手掛ける前出のプロデューサーは「小池さんは議員たちの出演規制を敷くほどメディアに神経質になっている」という。 「解散前でも番組出演を相談したとき、共演者を詳しく聞かれて、そこがハッキリしないうちは承諾できないという感じだったこともある。そうなると結局、小池さんに厳しい人を起用しにくくなる。特に選挙の結果で勢力が強まるなら、メディア選択だってされる可能性もある」(同) プロデューサーは具体的にNGになりそうな出演者の名前は口にしなかったが、別のテレビマンからは思わぬ人物の名前が飛び出した。 「マツコ・デラックスさんは以前、小池さんを『権力志向のホステス』と呼んでボロクソ言っていましたからNGの筆頭では? バラエティ中心のタレントであっても、どこかで小池さんを批判する可能性はあるので、気にかけておく必要はあるでしょう」(フリーディレクター) マツコは昨年7月の都知事選の直後、TOKYO MXの『5時に夢中!』で小池都知事との共演について「じゃあ他の曜日にして」と拒否したことがあるともいわれる“小池嫌い”タレント。「サンデー毎日」(毎日新聞出版)の連載コラムでも、過去に複数政党を渡り歩いた小池都知事のことを「権力志向」、「男どもにひらひらと飛び移っているタイプ」、「男どものホステスをすることが最終目的に繋がるのであれば、そのしたたかさは間違いではないわ」と辛口に評した。 また、かつて女性総理誕生についての話題になったときも「小池百合子は終わった人、蓮舫さんはまだ早い」と発言し、蓮舫にだけ「さん」付けしていたことが指摘されたこともある。小池都知事が写真集を出せば「なんなら片乳くらい出してくださっても」と小馬鹿にし、「満員電車ゼロ」の公約を出せば「それでやれるんだったら鉄道会社がとっくにやってるよね」と否定的だった。今回もまた小池都知事が希望の党の候補者との撮影に3万円の撮影料を徴収したという話に「器が小さかったかな」と断じている。 「小池さんが選挙で大勝したり存在感を見せつけるようだと、それこそマツコさんのようなアンチ意見を発するタレントに対してクレームを付けてきかねない」と前出プロデューサー。マツコの小池都知事への厳しい発言の大半は、TOKYO MXの番組内でのものだが、東京都は同局の株主でもあるため、政治情勢によってなんらかの影響を受けないといいのだが……。 (文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)
保毛尾田保毛男の大炎上だけじゃない!? “非常事態”フジテレビの「差別・いじめ」バラエティ史
もう何度目になるのか。またしてもフジテレビが炎上している。 『とんねるずのみなさんのおかげでした30周年記念SP』において、往年の名物キャラクター、石橋貴明扮する「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」が30年ぶりに復活。同性愛者を揶揄するかのようなデフォルメされたキャラクターの登場に、抗議が殺到し、社長が謝罪する騒動が起きている。LGBTはじめ、マイノリティに対する人権意識が高まりつつある今日においては、許される表現ではないのは明らか。 「かつてフジテレビは、とんねるずの保毛尾田保毛男以外にも『ボキャブラ天国』ではゲイ関係の投稿ネタを多く流していました。さらに同番組に出演していたバレーボールの全日本代表で体育系大学出身の川合俊一が“それっぽい経歴と素行”ということでゲイ疑惑がイジられていましたね。男性同性愛者はバラエティ番組で一貫してネタにされてきたといえるでしょう」(業界関係者) 1990年代には『進め! 電波少年』(日本テレビ系)においても、ゲイ雑誌編集部に突撃するなど配慮を欠いた演出が多く見られ、フジテレビだけでなくテレビ業界全体に問題があったともいえるだろう。だが、フジテレビだけが往年の「面白ければ何でもアリ」のノリを引きずっているのではないか。 「打ち切り寸前といわれる『めちゃ×2イケてるッ!』では、2000年から01年にかけて放送されたコーナー『七人のしりとり侍』において、負けたメンバーが野武士に暴行される場面がいじめや暴力を助長するとの抗議を受けて打ち切りとなりました。放送が問題視されるようになると『皆もしりとりの練習のみ 乱暴な真似はしてはならない』といった注意喚起をうながしましたが、そもそもの企画意図に問題があったといえるでしょう。『めちゃイケ』では11年の『27時間テレビ』内でも、バスケット企画でナインティナイン岡村にボールをひたすらぶつける場面が問題視されました」(同) フジテレビは、今回謝罪を行った宮内正喜新社長によって「非常事態」が宣言されている。この危機を脱するための一手は、悪ノリを引きずったままの『みなおか』『めちゃイケ』両番組の打ち切りしかあるまい。 (文=平田宏利)
中居正広、板野友美……『めちゃイケ』で「保毛尾田保毛男」に扮した芸能人たちが戦々恐々!?
叩かれるべきは石橋貴明だけではない!? 9月28日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP』(フジテレビ系)で、石橋が28年ぶりに扮した番組初期の人気キャラクター「保毛尾田保毛男」に対して、ネット上で「男性同性愛者を揶揄している」との批判が上がり炎上騒ぎとなっている。 放送翌日に行われたフジテレビの定例会見でも宮内正喜社長が、「不快な面をお持ちになった部分があれば大変遺憾だと思うので、謝罪をしなければいけない」と語ったほか、一部報道によれば、同番組の一部スポンサーが契約更新をしない方針を明らかにしたという。 石橋や番組に対しては「引退」「打ち切り」といった厳しい声が聞かれるが、「保毛尾田保毛男に扮したタレントは、ほかにもいる。今ごろ、戦々恐々としているのでは?」と、テレビ誌ライターが続ける。 「元SMAPの中居正広も、2007年に放送された『めちゃ×2イケてるッ!』(同)にて、『保毛尾田保毛男』に扮して笑いを取ろうとしていたことがあります。今回の石橋とまったく同じく公務員風のスーツ姿、青々としたヒゲ、7:3に分けられた髪形、おちょぼ口でオカマ言葉をしゃべるのが特徴。見方によっては、石橋以上に侮辱的でした」 また、13年には同じ『めちゃイケ』で、当時AKB48のメンバーだった板野友美も保毛尾田保毛男に扮している。 「番組では、かつてフジテレビのバラエティ番組に登場した往年のキャラクターにメンバーが扮していました。篠田麻里子がタケちゃんマン、渡辺麻友が変なおじさんなどの仮装を披露しましたが、その中で板野が保毛尾田保毛男に。岡村隆史は『懐かしいー!』と大喜びでしたが……」(同) 『めちゃイケ』と『みなさんの~』という、“過去の遺産”にすがる今のフジテレビを象徴する2番組を巻き込んだ騒動。石橋のみならず、中居や板野らにも「性差別の意図」があったのか、ぜひとも聞いてみたいものだ。







