全身サイリウム男、全力ダッシュする集団、失神寸前の『うたプリ』ヲタ……観客席も大盛り上がり「アニサマ2013」

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 アニメファン恒例の真夏の祭典といえば、コミケ。そして「Animelo Summer Live」(以下、アニサマ)だ。  アニサマとは、もはや言わずもがな。アニメソングシンガー、声優が一堂に会しアニソンを歌いまくる国内最大規模のアニメソングイベントだ。9年目を迎えた今年は、「Animelo Summer Live 2013 -FLAG NINE-」と題し、8月23日から25日の3日間、さいたまスーパーアリーナにて開催。連日およそ2万7000人の観客を集めるという、過去最大規模のイベントとなった。  出演者も水樹奈々、田村ゆかり、宮野真守といった人気声優から山本正之、串田アキラといったレジェンドクラスのアニソンシンガー。果てはももいろクローバーZ、中川翔子、土屋アンナといった、常にホットな話題を提供してくれるJ-POPシンガーやアイドルが集結。まさに「アニソンの祭典」と呼ぶにふさわしい盛り上がりを見せた。  そんなイベントだけあって、観客もほかのイベントにはない熱狂ぶりだった。というわけで、今回はアニサマで出会った素敵なアニソンファンの皆さんの姿をレポートしてみたい。  まず、筆者が最寄駅のさいたま新都心駅に降り立った時に目についたのが、全身にサイリウムを装着したフルアーマーヲタのお兄さんである。肩にたすき掛けしたベルトや、額・腰・腕・足に巻いたベルトに無数のサイリウムを装着し、完全武装。例えるならば、まさに敵陣に突入する直前のランボーだ。彼を目にした瞬間、誰もがこう思っただろう。「そうだ。これからの3日間はただのライブじゃない。戦争だ!」と……。  事実、連日5時間強の長丁場となった今年のアニサマ。その間、ずっと腕を振りっぱなし、立ちっぱなし、声援を送りっぱなし。中盤には20分の休憩が挟まれたものの、その間もアニソンカバーバンド・流田Projectのライブが生中継されたり、新作アニメの告知ムービーやら声優のトークが流されていたので、観客は片時も気が抜けないのである。俺たちにとってアニサマは遊びじゃないんだよ! ということだ。  というわけで、スタートした初日。この日の目玉は、なんといっても「アニサマ捕物帳 in DAYS of DASH」だ。鈴木このみが登場し、『さくら荘のペットな彼女』EDテーマ「DAYS of DASH」がスタートすると、アリーナ後方からステージに向かって通路を全力ダッシュする集団が出現!  もちろん警備スタッフは黙っちゃいない。疾走感満点のポップチューン「DAYS of DASH」をBGMに、無数のウルトラオレンジのサイリウムが暗闇の中を縦横無尽にダッシュ(実際は、警備スタッフとサイリウムを持った輩が追いかけっこをしていたわけだが)。その様子は、スタンド上方の座席からもよく見えていた。なお、この捕物帳は次の曲「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」が終わる頃には終了。犯人たちは、もれなく場外に追放された模様。  ちなみに翌日以降、アリーナはブロックごとに厳重なチケット確認が行われるようになったそうだ。  また2日目には、水泳アニメ『Free!』OPテーマ「Rage on」を歌うODCODEXが登場した際、それまでヲタ芸を打っていた男性の観客が突然床に寝そべり、クロールを始めるという異常事態も発生していたという。そして3日目は、『うたのプリンスさまっマジLOVE2000%』に出演するイケメン男性声優による劇中アイドルユニット・ST☆RISH登場に会場のテンションは最高潮に。特に一十木音也役の寺島拓篤らが、アニメの映像同様にAメロで腰をクイクイ前後運動するシーンでは女性ファンの黄色い声というか、悲鳴というか奇声が、さいたまスーパーアリーナにこだましたのは印象深い。  そんな感じでステージの上下を問わず、さまざまな出来事が起きたアニサマ2013。きっと来年も、数え切れないほどのドラマが各所で生まれることだろう。  個人的には、キタエリ(喜多村英梨)の「ハピハピガー」が最高に楽しかったです! (文=龍崎珠樹)

キャッキャウフフと見せかけ、意外と骨太!『ステラ女学院高等科C3部』が急展開

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『ステラ女学院高等科C3部』公式HPより
 女子高校生たちが泥まみれになってサバイバルゲームに燃える青春模様が話題を呼び、一説には世間に「サバゲー女子」なる存在を生み出しつつあるというアニメ『ステラ女学院高等科C3部』。以前、この連載でもリアルなサバゲーシーンが見どころだと書きましたが、物語も折り返し地点を過ぎたあたりで、本作は主人公・大和ゆらの見せる「自己承認欲求がもたらす危うさ」という意外なメッセージを発し始めました。  ゆらはもともと極度の引っ込み思案、かつ妄想癖のある性格で、どちらかというとコミュ障的な要素を持つ内気な少女でした。しかし、そんな自分を変えようとステラ女学院に入学。そしてサバゲーを行う「C3部」に入部し、新たな自分に出会っていくという成長ドラマが本作の一つのテーマとなっています。  当初はBB弾飛び交う戦場に恐れをなして、身動きが取れなかったりあっさり敵に投降したりと、内気な性格が災いしてチームに迷惑をかけていたゆらですが、長かった髪を切り、心機一転。サバゲーに真面目に取り組むようになってからは、目覚ましい成長を遂げ始めます。果敢に敵陣に飛び込み、情け容赦なく敵を一掃していくなど、一気にエースクラスの活躍を繰り広げ、たちまちチームの中核的存在となると同時に、どんどん社交的な性格になっていきます。  ここまでなら、いわゆる「内気な少年・少女が意外な才能を発揮して自己実現を達成する成長譚」という、割とよく見る展開なのですが、そんなゆらの戦いぶりにC3部の先輩・鹿島そのらだけは何か思うところがある模様。そんな彼女の目線に気づいた視聴者は、ゆらの抱える危うさに直面することになります。  それまでは内気な性格もあってか、深く他人と接することもなく、それゆえに誰かを傷つけるような行動は見せなかったゆらですが、サバゲーの才能を発揮し始めると、徐々に好戦的(もしくは無鉄砲な)な側面を見せます。その片鱗が見えたのは第5話。他校とのゲームに勝利し、C3部一同はゆらを中心に喜びを分かち合いますが、そのらだけは、勝利しか目に入っていない言動を見せたゆらにどこか不安そうな表情。続く第6話では文化祭の出し物として、部員同士によるゲームを披露することになりますが、そこでもゆらはギャラリーを巻き込みかねない危険なプレースタイルでそのらに勝ってしまいます。  エースである先輩に勝てたことを純粋に喜ぶゆらと、ただ勝利の美酒の味のみを求める彼女を危惧するそのら。回を追うごとに、ゆらの持つ危うさは増していくように見えます(しかし、ゆらはそれを自覚してはいません)。  それまで、他者に認めてもらうことがなかったゆら。そんな彼女にとってサバゲーとは、初めて見つけた「自分が主役になれる」世界なのでしょう。劇中のゆらは、際限なく肥大化していく自己承認欲求に憑りつかれているかのようです。そんなゆらの無鉄砲さは、7話において、ついにそのらのケガ、そして入院という形で目に見える形で悪影響を及ぼし始めます。この一件に責任を感じてしまったゆらは、そのらの代わりになるべく孤軍奮闘。C3部のスパルタ教育を開始します。  しかし、責任感のあまりにゲームの勝利以外に価値を見出そうとしないゆらと、サバゲーを楽しみたいほかの部員との間でも徐々にすれ違いが生まれつつあるような……。今後の展開に一抹の不安を感じずにはいられません。果たしてゆらは、このまま勝利のみを追求するサバゲーの鬼になるのか? はたまた、仲間と共にサバゲーを楽しむ気持ちを取り戻すことができるのでしょうか?  単純にサバゲーの楽しさや、才能を発揮していくゆらのサクセスストーリーだけではなく、その裏にはらむ少女のダークサイドも隠すことなく描く『ステラ女学院高等科C3部』は、ポップなビジュアルとは裏腹にかなり骨太なテーマを内包しているのです。思わぬところでハラハラする展開になってきた同作から、今後も目が離せません! (文=龍崎珠樹)

「YouTube削除は、新手の炎上商法!?」悶絶PVが物議を醸す『世界でいちばん強くなりたい!』 

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テレビアニメ『世界でいちばん強くなりたい!』
 10月よりTOKYO MX、YTV、AT-X、ニコニコ動画で放送開始予定の新アニメ『世界でいちばん強くなりたい!』の「悶絶プロモーションビデオ」と称されるPVが、YouTubeのポリシーに違反しているという理由から削除され、アニメファンの間で物議を醸している。  『世界でいちばん強くなりたい!』は、すでにアニメ化済みの『てーきゅう』『まんがーる!』などを掲載する「コミック アース・スター」(アース・スター エンタテイメント)の連載コミックであり、初の30分枠アニメ化作品である。  国民的アイドルグループ「Sweet」のセンターボーカルの座を、4度の「国民投票」で獲得したトップスター・萩原さくらが、いきなりプロレスラーに転向。プロレス界でも頂点を目指すという作品だ。  今年引退したグラビアアイドル兼女子プロレスラー・愛川ゆず季の活躍に代表されるように、実力、ビジュアルともに向上著しい近年の女子プロレスと、全盛期から成熟期へと移行し始めた感のあるアイドル業界ネタを融合した本作は、秋クールアニメの注目作のひとつである。  そんな本作のスタッフとして、キャラクターデザイン・りんしん×アニメ制作・アームスという『クイーンズブレイド』『百花繚乱 サムライガールズ』『百花繚乱 サムライブレイド』などを手掛けた作画チームの名が並ぶほか、女子高生に転生した三国志の英傑たちがセクシーに戦うOVA『一騎当千 集鍔闘士血風録』を彼らと共に制作した久城りおん監督が登板。  このラインナップからすでに「アレ」なノリを期待せざるを得ないのだが、問題の「悶絶プロモーションビデオ」の仕上がりは予想通りというか、予想の斜め上というか。  ちなみに映像の内容は、対戦相手に技をかけられるさくら(声・竹達彩奈)が、あえぎ声を上げながら延々と番組のPRをするというもの。あずにゃん(中野梓)やきりのん(高坂桐乃)などオタ人気の高いヒロインを多数演じ、なおかつ本人も写真集、イメージビデオなどを発売するアイドル声優・竹達が(プロレス技をかけられて)あえぎ声を上げているなんて!  シチュエーションを考えれば、エロ要素は皆無のはずなのだが、どうやらYouTubeの担当者の劣情を催してしまったらしく、速攻で削除の憂き目に遭ってしまった。その後、ファン有志によってミラー動画がYouTubeやニコニコ動画にアップされており、非公式ながら閲覧は現在も可能である。この映像にエロスを感じるのか。はたまた痛めつけられる女子の姿に、新たな性癖を見だしてしまうのか。それはあなた次第。児ポ法やら表現規制問題に直面する昨今のオタク事情を考える上で、気になる人は一度動画を見てみてはいかがだろうか。  個人的には、こういうおバカなノリのエロネタは全然アリだと思うし、何度も言うが、動画にはエロ要素は皆無。これがエロなら女子プロ自体がエロいということになるぞ! ネット上では「新手の炎上商法」的な言及をするアニメファンも少なからず存在するが、その真実は闇の中である。  いずれにせよ、このバカエロテイストがアニメ本編ではどのように描かれるのか、という期待感を煽る動画であることは変わりません。『世界でいちばん強くなりたい!』、楽しみにしています。 (文=龍崎珠樹)

最新作『BROTHERS CONFLICT』も好調! “○○萌え”に挑み続ける「電撃系読者企画」の歴史

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テレビアニメ『BROTHERS CONFLICT』公式サイトより
 父親の再婚で、突然ヒロイン・朝日奈絵麻に13人の兄弟ができてしまった! イケメンの兄弟に囲まれて、ドキドキの共同生活を送ることになった絵麻の日常を描くアニメが、現在放送中のアニメ『BROTHERS CONFLICT』(TOKYO MXほか)です。医師、弁護士、作家、美容師、サラリーマン、アイドル、声優、スポーツマン、男の娘、お坊さんなどなど濃すぎるキャラ設定の兄弟が、機関銃のようにノンストップで甘いセリフをヒロインにささやく本作は、ある種、乙女系アニメの最先端をいく作品の一つといえます。  しかし、本作は突然変異的に生まれたわけではありません。  『BROTHERS COFLICT』の原作ノベルを連載する少女漫画雑誌「シルフ」は、アスキー・メディアワークスから刊行されていますが、同社は90年代後半に「電撃G’sマガジン」誌上にて、全国に散らばる幼なじみの美少女との恋模様を描く伝説的恋愛ゲーム『センチメンタルグラフティ』と連動した小説を掲載。  厳密には同作は電撃系作品ではないのですが、『センチメンタルグラフティ』以降、同誌はその影響を大きく受けた主人公一人に対し複数人のヒロイン(しかも、わりと異常な人数と設定の)を用意。さらに読者も参加できるインタラクティブな企画をコンスタントに発表し続けています。  『BROTHERS CONFLICT』は、それまで男性向けに展開していた同社の誌上企画としては初の女性向けコンテンツとなります。ちなみに男性向けの従来路線の最新作は『ラブライブ!』です)。男性向けに展開していた「萌え」メソッドが、そのまま女性にも通用するのか。という挑戦ともいえる本作の出現は、一つの歴史的大事件といえます!  そこで今回は、『BROTHERS CONFLICT』に至るまで数多く制作された「電撃系読者企画」作品の中から、個人的に特に印象深かった作品と共に、同社が追求してきた「○○萌え」の歴史を振り返ってみたいと思います! ■『センチメンタルグラフティ』(1997年頃)  幼い頃より親の都合で、日本各地を転々としていた主人公。高校生になったある日、差出人不明の「あなたに会いたい」という手紙を受け取ります。そこで主人公は、平日はバイトにいそしみ、週末は日本全国に散らばる12人の心当たりあるヒロインたちに会いに行く超ハードスケジュールを送るというトンデモな内容と、キャラデザを手がけた甲斐智久による魅力的なヒロインに話題が集中。一大ムーブメントを巻き起こしました。  「地方キャラ萌え」「幼なじみ萌え」属性作品とでもいうべきでしょうか。この作品がなければ、のちの萌え系コンテンツの多様性は生まれなかった! というのは言いすぎではないはず。 ■『シスター・プリンセス』(99~03年)  12人の妹、という史上最強のコンセプトを生み出し、ゼロ年代におけるオタクシーンの想像力に最大のパラダイムシフトを引き起こした大ヒット作。雑誌連載企画からスタートし、コミック、アニメ、ゲーム、水樹奈々も所属した声優ユニット・Pritsと、さまざまなメディア展開をしました。  「お兄ちゃん」「おにいたま」「兄ちゃま」「兄くん」「兄や」などなど、12種類の「兄」のバリエーションに日本語の持つ豊かさを感じたものです。本作で「妹萌え」に目覚めた読者も少なくないはず! ■『双恋』(02~05年)  5組10人の双子姉妹が登場する、「双子萌え」作品。基本的に、主人公と双子姉妹の三角関係を維持することが最大の目的にして至上のジャスティスという、前代未聞の二股推奨コンテンツ。誌上ゲーム企画やコンシューマゲーム版では、いかに姉妹のどちらかに肩入れしないようにするかのバランス感覚が要求されました。  アニメ化もされましたが、第2作目『フタコイ オルタナティブ』は探偵の主人公と敵組織の戦いを中心とした、ファンもびっくりの内容。今を時めくアニメスタジオ・ユーフォーテーブルが初期に手掛けたタイトルでもあります。 ■『ウルトラC!』(03~04年)  富豪の4姉妹の誰かと結婚しなくてはいけなくなった主人公。しかし、その中の一人は男の娘かもしれない! という「姉妹萌え」と思わせて、「男の娘萌え」を追求した、かなり時代の先をいっていた意欲作。  ただのヒロイン選びに終わらせたくない! というスタッフのサービス精神とアイデアが、三回転半くらいしちゃった感のあるアクロバチックな設定が素敵です。まさにウルトラCな作品でした。  ちなみに読者投票の結果、金髪ツインテのロリキャラ・ひじりが男の娘に決定しました。 ■『Baby Princess』(09~13年)  電撃系読者企画の最終兵器ともいえるのが本作です。幼い頃に生き別れになった母親と再会した主人公は、19人の姉妹との共同生活をスタート。仲を深めていくというストーリーです。  上は18歳から下は0歳という、幅広すぎる年齢層のヒロインたちに誰もが衝撃を受けました。果たして僕らは、何歳までの女子を「妹萌え」の対象とすることができるのか。「幼女萌え」の先をいく「新生児萌え」はあり得るのか――という「萌え」の限界に挑む野心作でした。  ちなみに0歳児の末っ子・あさひちゃんの誕生日には、公式ブログ上で「0歳のお誕生日おめでとう!」という、深く考えると頭が痛くなるようなコメントが掲載され、話題を呼びました。  今回取り上げたタイトルのほかにも、多数の作品が生まれ、そして作品ごとに「新たな萌え」に果敢に挑み続けてきた電撃系読者企画シリーズですが、その最先端『BROTHERS CONFLICT』。そして今後のタイトルでは、どんな「萌え」の最先端を提案してくれるのでしょうか。これからも目を離すことができませんね!

人気声優・橘田いずみの心の闇がにじみ出る! トラウマ発動しまくりのWEBラジオ『ワタモテRADIO』

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『ワタモテRADIO』
 地味で非モテな中学生時代を送っていたが、女子高校生になればバラ色のモテモテライフが始まるはず! ……そう信じていたものの、相変わらず男子どころか友達すらできずに一人二次元の世界に逃避しつつ、世のリア充どもを敵視しまくる(けど、決して表には出さずに、話しかけるとキョドってしまう)「モテない女」──いわゆる喪女である黒木智子の、笑えるけど切ないコメディアニメ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(『ワタモテ』)が、アニメファンの間で大きな話題となっています。  高校生活が始まってはや2カ月。彼氏どころかクラスメイトと会話したことすらない智子は、「これはやばい!」と一念発起。なんとかモテるための努力を開始するものの、基本的に家族以外と会話できない彼女は、学校の先生に挨拶するだけでも一苦労。かわいくなろうと一生懸命おしゃれしようにも、めったに自分の姿を鏡で見ることがないため、自分の姿にゲロを吐いてしまう始末です。さらに中学時代の数少ない友達だった同じオタク趣味のゆうちゃんは、高校デビューに成功。オタク趣味を持ちながらも恋人を作り、リア充ライフを満喫。弟はサッカー部のレギュラーを務め、風邪をひいた日にはクラスメイトの女子がお見舞いに来るのに、自分が学校を休んでも誰も気にかけてくれない。そしてふてくされて部屋で一人、恋愛ゲームに没頭し二次元の恋人との刹那的な逢瀬を重ね、現実から逃避する日々……。  この「周りはどんどん前に進んでいるのに、自分だけ世界から取り残されている感覚」は、はっきり言って心臓に悪いです。というか、ずっと鍵をかけたまま放置していた、心のトラウマ部屋をバンバン開放されていくような気分です。大なり小なり、似たようなシチュエーションを経験したことのあるオタク趣味人は多いのではないでしょうか?  そんな古傷を自らえぐる自虐的な笑いが魅力の本作ですが、原作コミック、アニメと同じくらい、いやそれ以上に面白く、心理的ダメージを与えてくれるのが、WEBラジオ『ワタモテRADIO』です。  この番組は、アニメ『ワタモテ』と連動したいわゆるアニラジで、パーソナリティを務めるのは黒木智子を演じる声優・橘田いずみ。原作、アニメ自体がトラウマ発動スイッチなだけあって、リスナーの投稿もトラウマ告白ネタ中心ですが、それに負けじと橘田も、毎回これでもかとトラウマを告白。  先日公開された第3回放送では、 「ツインテールとロリータ服で大学に通っていたけど、普通に友達とは付き合えているつもりだったし、『かわいい』って言われていたからみんなに好かれていると思っていたの。でも卒業した後、一番仲の良かった子から“みんなから裏で『超イタい』『オタク』だって言われていたのを、私が仲良くしてあげていたんだよ”って言われて……」(要約) と衝撃のエピソードを公開。この番組のすごいところは、橘田の単独パーソナリティであるため、たとえこんなデカいネタが飛び出したとしても誰も彼女をフォローする人物がいないという点で、原作、アニメ本編同様「誰も彼女の自虐ネタや失敗談を笑ってくれない」絶望感と途方に暮れる感覚が満点です。  橘田といえば声優としてデビューする以前はレースクイーン、グラビアアイドルとして活躍していたこともある長身のモデル系美人といったビジュアル系声優です。近年は声優ユニット「ミルキィホームズ」やバラエティ番組でも活躍するなど一見華やかなイメージの持ち主ですが、この番組の中では次々と彼女の抱える心の闇が晒されていきます。  誰もが楽しい思い出作りにいそしむこの夏(もちろん夏コミ、アニサマなどのオタ系イベントも含まれます!)、部屋にこもって一人きりの夏を謳歌するのもいいんじゃないでしょうか? そのお供には、ぜひ『ワタモテ』。そして『ワタモテRADIO』がおススメだと思います! (文=龍崎珠樹)

『ステラ』『恋愛ラボ』『きんいろモザイク』この夏注目の、“個性派”女子校生アニメ

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左から『ステラ女学院高等科C3部』『恋愛ラボ』『きんいろモザイク』
(それぞれ公式サイトより)
 1000年に一度の猛暑だとか、世界で一番アツい夏とか、とにかくハンパない暑さになると予測されている2013年の夏ですが、見よ! 7月スタートの夏アニメは赤く燃えて……いや、萌えている!  というわけで、今クールの新アニメは女子校生(こう書くと、なんかいかがわしい映像のジャンルみたいですね)ものアニメが大豊作。ハードなロボット&SFアニメが並んだ春アニメとは対照的です。しかし、女子校生ものアニメとはいえ「美少女が出てきて、キャッキャウフフするだけのアニメでしょ?」とは思うなかれ。数が増えれば増えるだけ、個性的な作品が揃うというものです。そこで、今回は第1話から第2話放送時点で、筆者的にビビッときた女子校生ものアニメをピックアップしてみます。レディーゴオオゥ! ■『ステラ女学院高等科C3部』(原作:いこま、漫画:みどりとももか/「月刊ヤングマガジン」連載)  まずはこちら。『新世紀エヴァンゲリオン』『天元突破グレンラガン』『めだかボックス』を手掛けたGAINAX製作の、青春サバゲーアニメです。「サバイバルゲーム」、通称「サバゲー」とは敵味方に分かれた参加者がBB弾を発射するエアガンを撃ち合い、規定の勝利条件を満たした側が勝利となる、いわゆる「大人のごっこ遊び」もしくは「競技」のこと。ミリタリ的な要素が多分に含まれるジャンルであるため、かつては男性プレイヤーの比率が非常に高かったといわれていますが、ここ数年はカジュアル化が進み、女性愛好家も増加しつつある模様です。  そんな中で登場した本作。中学校時代は引っ込み思案な性格だった主人公・大和ゆらは、憧れの女子校「ステラ女学院」に入学。心機一転し、華麗な高校デビューを目指す、というところから物語は幕を開けます。  ある出来事をきっかけに、女子サバイバルゲーム部である「C3部(しーきゅーぶ)」に勧誘され部室に連れてこられてしまったゆらは、いきなりお茶とケーキで誘惑されます。……あれ? これ、どこかの軽音アニメで見た光景じゃない? という具合に、ゆる~いデジャヴから第1話はスタート。これは、「サバゲー」を題材にしつつも、ガールズトークがメインになっちゃったりするのか……? と、序盤はそこはかとない不安を感じたりもしましたが、そこはアクションに強いGAINAX。Bパートで描かれるサバゲーシーンの描写の細かいことといったら!  ゆらを歓迎するべく一対多のハンデ戦を行うことになったC3部。一人でゆらたちの相手をする初瀬カリラは、プレイヤーたちの裏をかくおとり戦術で複数の敵を翻弄します。対する陸奥ほのかと霧島れんとは、セル(2~3人の集団行動)でカリラに迫ります。一方が前進する間は、もう一方が遮蔽物の陰から援護射撃。そしてもう一方が前進する時は、先行する一方が援護射撃……。という具合に、無駄のない動きでカリラを追い詰める2人。その華麗な姿はゆらを、そして視聴者を魅了します。  このアニメはガチです。ガチでサバイバルゲームを描こうとしています。昨年放送され、大ヒットを記録した『ガールズ&パンツァー』に続くミリタリ系女子アニメとして、大きな期待がかかる、といったところです。 ■『恋愛ラボ』(原作:宮原るり/「まんがタイムスペシャル」連載)  私立藤崎女子中学生徒会執行部で繰り広げられる「恋愛」についての研究をコミカルに描く、四コマ漫画原作の本作。放送開始前は『ゆるゆり』的なほのぼの百合系萌えアニメと思われていた節もあったようですが、その実態は、恋に恋する女子たちによる恋愛研究&実践コメディでした。  清楚キャラで校内女子の憧れの的となっている生徒会長・真木夏緒が、抱き枕にキスの練習をしているところを目撃してしまった、ワイルドキャラでこれまた女子の憧れの存在となっている倉橋莉子。モテモテで恋愛経験豊富……と思われている莉子に恥ずかしい姿を見られてしまった夏緒は、彼女に恋愛指南を申し込みます。が、莉子もまたその性格が災いして、恋愛経験ゼロ。しかし、流れで生徒会長補佐として生徒会入りし、夏緒と恋愛研究にいそしむ羽目になる、という本作。  とにかく夏緒の天然キャラと小説や映画などから得たと思われる、恋愛に対する偏った理想と、それにツッコむ莉子のやりとりが最高にハイテンションで微笑ましい限り。恋に恋する女子たちの愛らしい姿にニヤニヤしつつ、テンポのいいボケ&ツッコミに思わず吹き出してしまうこと必至の王道ギャグアニメだといえます。 ■『きんいろモザイク』(原作:原悠衣/「まんがタイムきららMAX」連載)  主人公・大宮忍と、彼女のクラスに転校してきたイギリス人少女のアリス・カータレットを中心とした、ほのぼの日常系アニメです。第1話では物語の前日譚にあたる忍のイギリス留学からスタート。言葉が通じないながらも、ホームステイ先で繰り広げられる忍とアリスの交流が丁寧に描かれていきます。微笑ましい異文化交流の果てに、やがて訪れる忍の帰国。帰国前日の夜のシーンから、もう筆者の涙腺が崩壊しまくりです。そして最後は「ハロー!」(忍)、「こんにちは!」(アリス)とお互いの言葉を誤用しつつ、別れを告げる2人。ここでついに号泣。いや~、いい最終回でした。  というのが、第1話の中盤まで。終盤からは高校生になった忍の日常が描かれ、そこにアリスが転校してきたところで次回へ続く。第1話にして、いきなり続編アニメが始まったようなお得感です。さらに画面全体に漂う優しく穏やかな空気感から、さわやかな感動が描かれる期待感が募ります。感情移入してアニメを見ちゃうタイプの方には、たまらないものがあるんじゃないでしょうか。  というわけで、この夏に見ておきたい「女子校生ものアニメ」3作品をピックアップしてみました。夏の暑さに負けず元気な女子たちの姿を見れば、きっと皆さんも元気になるはず! パワフル&キュートな二次元女子を見て、この夏を乗り切りましょう! (文=龍崎珠樹)

田中理恵だけじゃない! “悪質イベンター”がアニメイベントで大暴れ中

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 いまやすっかりアニメ、声優ファンの間に定着したライブイベントだが、ここ最近、ファンのマナー低下による問題が噴出している。  その最たるものが、東京・シネマサンシャイン池袋にて6月22日に開催された、テレビアニメ『超次元ゲイム ネプテューヌ』の先行上映イベントで起きた乱入事件だ。同イベント開催中、突如ステージにナイフを持った男が乱入、その後、現行犯逮捕された。来場者のTwitterから、男がイベントに出演していた声優・田中理恵を名指ししていたことなどが明らかとなっている。  田中理恵といえば、昨年、人気声優・山寺宏一と入籍した人気の女性声優。本業以外にも、歌手活動や水着グラビアを披露するなど、多岐にわたる活動でアニメファンにはよく知られる存在だ。  普段は明るく親しみやすい性格の彼女だが、ステージから避難する際に転倒し、膝を打撲。また、精神的なショックを受けたことが所属事務所・リトリートから発表され、イベント前まで頻繁に更新されていた公式Twitterも休止することになった。  今回の件に関して、アニメのイベント運営関係者は「犯人は、以前からマークされていた田中さんのストーカーではないか」と語る。 「以前から田中さんには、執拗なストーカー行為を行うファンがいることは関係者の間では知られていました。警備の目を盗んで控え室に忍び込んだことも、一度ではありません。犯人の顔も事務所には割れていたので、今までは入り口の段階で入場を拒否するなどして対応していたのですが……」(同)  イベントの規模の大きさに比例して、犯人が会場に潜り込む隙が大きくなってしまったということか。ともあれ、一日も早い現場復帰を願いたいところだ。  一方、同日、東京・Zepp DiverCity Tokyoにて開催されたアニソンライブイベント「@JAM2013」会場でも、ファン同士による乱闘騒ぎが起きていた。 「アイドルマスター シンデレラガールズ」「μ's」「藍井エイル」など人気の女性アニソンシンガー・声優ユニットが競演する同イベント会場の最前列に、数名の集団が陣取り、ほかの観客の鑑賞を阻害したのみならず、最前列に近づく自分たち以外の観客を引き剥がす、暴行を加えるなどの迷惑行為を繰り返し、三森すずこ出演時にはついに流血騒ぎまで発生。イベント後、これらの暴力行為に対して、出演者もTwitter上で暗に批判を口にしていたことから、ステージ上からもその混乱具合が確認できていたと思われる。 「あちこちのアニメ系イベントに出没し暴れ回る、いわゆる『悪質なイベンター』集団は、実際に問題になっています。彼らはライブやイベントを楽しむというよりも、『目立ちたい』『暴れたい』という目的でイベントに来ています。ここ最近、イベンターたちの狼藉ぶりはますますひどくなってきており、イベントの進行を邪魔するようなコールや声かけ、イベンター同士で肩車してステージ上に上がろうとしたり……。特に分別がつかない若いファンが集まるイベントは、動物園みたいなノリですよ」(レーベルスタッフ)  ここでいう「イベンター」とは、本来の「イベントを主催する人」という意味ではなく、「アニメ・声優系イベントに頻繁に行く人」という意味の、オタク界隈で使用されるスラングである。その中でも、先述のように迷惑行為を行うイベンターたちが「悪質なイベンター」である。  そういった「悪質なイベンター」たちの行動により、タレントにも被害が及びかねない事態も増えてきたことから、客席の最前列を使えないようにしてステージと客席の距離を空ける対応をしたイベントもあったそうだが、もっとステージの近くで応援したいという一般来場者から批判を受けてしまったなど、笑えないエピソードもあるそうだ。  このように、これまでは来場者の善意と彼らへの信頼を元にイベントを運営してきたアニメ・声優業界だが、今後は強硬な対応を取らざるを得なくなるのは必至だろう。早速、6月30日に開催される『変態王子と笑わない猫。』イベントでは、身分証の提示と手荷物チェックの実施が発表され、今後もこの流れは続くと思われる。  ファンとの距離感の近さが魅力の一つだったが、ファン人口拡大と質の低下に応じて、業界側のスタンスも再検討すべき時期にきているのかもしれない。 (文=龍崎珠樹)

ネタ? 本気のSF? ジェットコースターアニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』を再検証

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『革命機ヴァルヴレイヴ』公式サイトより
 そろそろ4月スタートの春クールアニメの最終回ラッシュに突入する、テレビアニメシーンですね。放送前の下馬評どおりに面白かった作品もあれば、「どうしてこうなった」な作品もあり、百花繚乱な今クールアニメらしく、さまざまな結末が描かれることになると思われます。  そんな中、最終話直前の現在もなお「これは面白いのか?」「いや、面白い!」と、いまひとつ評価が定まらないアニメが『ヴヴヴ』こと『革命機ヴァルヴレイヴ』です。  『機動戦士ガンダム』『コードギアス 反逆のルルーシュ』など、多数のヒット作を世に送り出したアニメ制作会社・サンライズによる超王道にして大作ロボットアニメとして、鳴り物入りでスタートした本作。T.M.Revolutionと水樹奈々というアニソン界のスターがデュエットするオープニング主題歌「Preserved Roses」は10万枚超のヒットを記録し、バンダイから発売された主役ロボット・ヴァルヴレイヴのプラモデルも、店頭に並ぶとすぐさま売り切れになってしまうほどのフィーバーぶりを見せています。  そんなグッズ関連が絶好調な『ヴヴヴ』ですが、唯一、賛否両論なのが肝心のアニメ本編のストーリーだったりします。  以前、この連載で「過去の名作ロボットアニメをオマージュしたシーンが続出!」(http://www.cyzo.com/2013/04/post_13198.html)と書いたように、どっかで見たことがあるような設定やシーンが続出する本作。「二国間の戦争に巻き込まれた中立コロニーに住む主人公が、偶然最新鋭ロボットに乗り込み、エースパイロットになる」という第1話を見た視聴者(っていうか筆者)は、てっきりこの後コロニーから脱出なり軍属になるなりして、主人公たちは刻の涙の一つや二つ見ちゃうのかなと推測したりもしたんですが、まったくそんなこともなく学生だけでコロニーに居座り「国家として独立宣言」しちゃったり、ヴァルヴレイヴのパイロットになった主人公・時縞ハルトはなぜか人に噛み付くと人格ごと乗り移る「ヴァンパイア化」しちゃったり。はたまた、元アイドルでありメインパイロットの一人・流木野サキが歌う挿入歌に合わせてミュージックビデオみたいな映像が流れたり、何かあるとSNSに情報を公開して「イイネ!」的なボタンを世界中の人に押してもらったり、その合間に敵が攻めたり撤退したり……。なんだか妙に緊張感がないというか、全体的に文化祭の催しごとみたいに楽しいアトラクション満載の学園生活っぽい雰囲気すら漂っています。  非常に精緻な作画で描かれるキャラクターたちと、一機ごとに異なる性能を持つヴァルヴレイヴたちによる目の離せないロボットバトル。そのヴィジュアルを支える千住明による緊迫感満点のサウンドトラック(ガンダムファン的には『機動戦士Vガンダム』の人でおなじみですね)。  そんなヴィジュアル&サウンドが醸し出すヘビーな作風に対する期待感とはちょっと違う内容に、ネット上では「何がやりたいのかわからない」「ネタアニメなのか、本気のSFアニメなのかわからない」「なんで敵はいちいち手加減してくれるの?」など、突っ込みどころ満載の内容に酷評も少なくありません。  しかし、その一方で「毎回何が起こるかわからなくて面白い」「キャラのセリフや行動がいちいち斜め上をいってて目が離せない」など、ジェットコースター感覚を楽しむ声もあり、その楽しみ方を裏付けるようにアニメ雑誌では「スタッフそれぞれがロボットアニメの中で『見たい!』と思っているもの」をぶち込んだ、極めて快楽原則にのっとった作りになっていることが明かされています。  その結果が、第7話の櫻井アイナの突然の戦死だったり、第10話のハルトきゅんがサキをいきなり押し倒すレイプシーンだったりしたわけですね。スタッフはそういうシーンを見たかったのかもしれないけど、視聴者としてはいきなりすぎてビックリしましたよ~。しかし、この「いきなり」な展開こそ本作最大の魅力であるジェットコースター感覚の最たるもの。  確かにこれらのシーンはネット上でも賛否両論でしたが、実際のところ放送直後はDVD/Blu-rayのアマゾンランキングが急上昇したそうです。その購入者たちが本作のジェットコースター感覚を楽しめているかどうかは定かではありませんが、楽しみ方を理解するファンは確実に増えつつあるのです(購入者たちが単にエログロ好きだったという可能性も、なきにしもあらずですが)。  また物語も佳境に突入していく中で、どこか牧歌的な空気すら漂わせている主人公たちの住むコロニーや、そこを攻め落としたいのかどうかよくわからない動きをするドルシア軍の裏に何やら大きな秘密が隠されていることも明らかになってきました。なぜ敵軍は、本格的に主人公たち学生を殺しに来なかったのか。なぜ主人公たちの住む学校の下に、最新鋭のロボットが隠されていたのか。そして、なぜ主人公たちは、ヴァルヴレイヴのパイロットに選ばれたのか……。  ご都合主義と思われていたストーリーには、すべてちゃんとした理由が存在していたのです。その謎が徐々に明かされていく快感は、今まで途中下車することなくジェットコースターに乗っていた視聴者だけの特権といえるでしょう。  本作は分割2クール作品なので、とりあえず前半のストーリーは6月で終了しますが、続きは10月からスタート。今年いっぱいは『ヴヴヴ』の先の読めないジェットコースターなストーリーを楽しめそうですね。 (文=龍崎珠樹)

公式自ら“作画崩壊”宣言『スパロウズホテル』1期は、本当にダメアニメだったのか

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右がSEASON1、左がSEASON2(テレビアニメ『スパロウズホテル』公式サイトより)
 味がありすぎる作画とドライブ感あふれる内容で、一部のアニメファンの間で中毒患者を続々と生み出しているのが、現在放送中のアニメ『スパロウズ・ホテル』(ニコニコ動画、AT-X、KBS京都、テレ玉など)です。  本作は、繁華街のど真ん中に立地するビジネスホテルを舞台とした「まんがライフ」(竹書房)連載中のコミック(原作・山東ユカ)を原作とする、およそ3分間のショートアニメ。本作は第1話放送直後に、公式サイトに「一話から作画崩壊しておりますが、DVD商品ではディレクターズエディションとして、全話数の作画・キャラクターデザインを一新します。先ずは、あたたかい目でお見守り下さいますと幸いです」というコメントを掲載。公式自ら「作画崩壊」を認め、異例の全話リメイクを放送開始直後に発表し、アニメファンを驚愕させました(現在は「作画崩壊」に関する文言は削除されている)。  「公式で作画崩壊を認めるのか」と、この状況を面白がる声が上がる一方で、「仕込ではないのか」「話題づくりでは」と指摘する声もあり、この一連の出来事は多くがアニメ系まとめサイトやニュースサイトを賑わせたことを覚えている読者も少なくはないのでは?  その後、本作は第6話をもって「SEASON1」を終了。第7話より「あいまいみー」を手がけた、いまざきいつきを監督・脚本・キャラクターデザイン・絵コンテ・演出・作画に迎えた「SEASON2」をスタートさせたわけですが、両シーズン間の違いは主に以下のとおり。 ・90年代のギャルゲーを彷彿とさせるトラディショナルなタッチのキャラクターデザインの「SEASON1」に対し、「SEASON2」はいわゆるここ数年の「萌え」文脈に則ったキャラクターデザインへとリファイン。 ・作画が安定しなかったりやたら動画枚数が少ない「SEASON1」に対し、「SEASON2」の作画は全体的に安定し、動きも心なしかなめらかな仕上がりとなっている。 ・「SEASON1」はともすれば不条理ともとられかねない唐突でハイテンポな展開やギャグが多かったが、「SEASON2」はキャラ描写やストーリー構成が比較的丁寧に。 といった具合に、とがりまくっていた「SEASON1」に対して、全体的にマイルドに、より多くの視聴者に受け入れられる内容に軌道修正したのが「SEASON2」といえます。  確かにアニメも「商品」である以上、より多くの人に受け入れてもらえる内容に整えていくのは、正しい判断です。しかし、公式が制作側に「NG」を出した「SEASON1」は、本当に「ダメなアニメ」だったのでしょうか。ここから先は限りなく個人的な感想になるのですが、微妙に下手クソな作画と唐突で暴力的なまでにハイテンポなシナリオが共存していた「SEASON1」には、「絵のおかしさで笑わせる」「唐突な展開が生み出す不条理ギャグ」「異常にハイテンポな構成が生み出すドライブ感」といった要素が渾然一体となり、あたかもドラッグムービーのような中毒性を醸し出していたように思うのです。  もちろん「SEASON2」もちゃんと面白いアニメとして成立しています。誤解を恐れずにいうと、確実に「SEASON1」よりも完成度は高いです。しかし、どこか物足りなさを感じてしまうのも事実なのです。例えるならば、演奏は下手くそだけどすさまじくエッジな楽曲でメジャーデビューしたロックバンドが、その後、演奏スキルは向上したものの売れ線狙いのポップな路線になっちゃった。そんな一抹の寂しさすら感じてしまうのです。  ニコニコ動画のコメントには、「こっちの(SEASON2の)ほうがいい」「SEASON1は全体的にダメだけど癖になる」などなど賛否両論が渦巻き、ファンの間でも「SEASON1」派と「SEASON2」派といった派閥が生まれつつある模様です。1期と2期の制作体制の違いで賛否両論が起こった例として、『みなみけ』シリーズが挙げられますが、本作でもそれ以上の対立が起こるのでしょうか?  ともあれ、テレビ放送期間である6月末まで、DVD未収録のテレビ放送版の「SEASON1」が全話無料で配信されているので、興味を持った方は現在放送中の「SEASON2」と見比べてみてはいかがでしょうか。派閥闘争に身を投じるかどうかは別として、あなたも週に一回は『スパロウズホテル』を見ないと落ち着かない、中毒患者になるかもしれませんよ。 (文=龍崎珠樹)

ハナガサイタヨの秘密を語った『惡の華』ハナガサイタヨ会vol.2レポート!

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 現在放送中のテレビアニメ『惡の華』のイベント「惡の華 ~ハナガサイタヨ会vol.2~」が6月2日、東京・パセラリゾーツ銀座店内銀座Benoaにて行われた。今回のゲストは、「ハナガサイタヨ」のフレーズで視聴者を恐怖のどん底に叩き込んだASA-CHANG、超絶ハイテクアンサンブルを礎に変幻自在のアヴァンポップバンド「宇宙人」ヴォーカル・しのさきあさこ、モジュラーシンセを駆使した音響ユニット「電子海面」の一員でもある作曲家・深澤秀行の3名だ。    ロトスコープでしかできない表現できない「2.5次元」映像、原作のエッセンスを濃く抽出したとにかく痛いストーリーでも注目を集める『惡の華』だが、放映開始前の予告PVから第1回終了に至るまでのサウンドインパクトは絶大で、「これは一体なんだ!?」と視聴者をビビらせていたことを忘れてはいけない。ざわざわビリビリとテンションを高める音響系BGM、その緊張感からの解放を狙ったかのように斜め上に突き抜ける破天荒なOP曲、主人公3人の惡の華が開いていく様子と完全一致するED曲。いずれも、メジャーな商業音楽として表に出していいのだろうか、と思わせる音ばかりだった。  「カテゴライズされたくない」と長濵博史監督が再三発言していた通り、アニメとも実写映画ともつかない同作。仮にアニメと規定した場合でも、既存のジャンルに回収不能な映像には、こうしたカテゴリー不明の音楽が必要不可欠だったのかとも思えてくる。  その「ノンカテゴライズアニメ」を志向した結果が、受け取る側のノンカテゴライズだ。プライベートでふらりと会場を訪れたニッポン放送の吉田尚記アナウンサーが、休憩時間、ハーフタイムショー代わりに即興のトークを始めた際に「客層がまったく読めない」と漏らしたとおり、音に惹かれ画に惹かれ演技に惹かれ、さまざまな方向からアンテナを尖らせた人々が集った。  すっかりおなじみとなった、実写でも声でも山田役の松崎克俊(やさしい雨)をMCに、春日高男役の植田慎一郎、原作者の押見修造、そして長濱博史監督が、代わる代わるゲストを迎えていく。最初に登壇したのは、ED曲を提供するASA-CHANGだった。  前説で、キングレコードの宮本純乃介がテーマソングのプロデューサーとして主題歌を導きつつも、ED「花-a last flower-」に関しては押見の強い要望で採用されたことが明らかにされていたが、長濱監督があらためて経緯を説明。原曲が発売されたのは、2001年3月28日で、「ちょうど僕が一番堕落しきっていたときです。(この曲に)救われました」(押見)という。  カテゴライズの話になり、ASA-CHANGいわく「FacebookやTwitterの話ですけど、ASA-CHANG&巡礼(ASA-CHANGを中心としたユニット)は、アニメ界の枠組みでいうと『サブカル』、Subcultureではなくカタカナの『サブカル』らしいですね」  ここで「花」のオリジナル譜面(ASA-CHANGによれば「設計図」)をスクリーンに映す。20拍で区切ったこの譜面があったからこそ、今回『惡の華』のためにリアレンジできたとASA-CHANGは言う。「変わらないのは、声をカットアップして切り絵みたいに貼っていく作業をするところ」 DSC07731.jpg  ミュージックコンクレートなどの現代音楽、抽象的な表現の多いシンセサイザーによる電子音楽、ウィリアム・S・バロウズの文章に対するカットアップ&コラージュ技法、それらの影響下にあった80年代のノイズインダストリアル音楽といった、ストレートに楽器を弾くだけではない類の音像は、なかなか一般に広く流通するものではない。深澤秀行の音楽もそうだが、ASA-CHANGの「花」にしても、「サブカル」判定をされてしまうのはやむを得ないことかもしれない。「宇宙人」にしてもフリージャズやカンタベリー音楽、プログレッシヴロックの影響を云々できる種類の音を聴かせてくれるバンドであり、こうした音をアニメの一部としてメジャーな回路に載せてしまった『惡の華』は、音楽業界に対しても多大な貢献をしているように思える。  昨年秋にASA-CHANG&巡礼の公演があり、パフォーミングアーツとして再構築する過程にこの作品が巡ってきたことで、今回『惡の華』版を作りやすかったという意味でも、タイミングがよかったとASA-CHANG。 「詞をあまり書いたことがない人間の詞なんですよね。歌の詞じゃない。Aメロ、Bメロという書き方をしたことがないから、こういう詞になっちゃったのかもしれない。もともと打楽器奏者なので」 「万葉集の時代には日本語が異なっていたらしいんです。そういう言葉にも音楽、リズムをつけていたりするんですけど。はひふへほではなくぱぴぷぺぽに近いらしいんですが、現存していないので誰にもわからない」(ASA-CHANG)  音、言葉を元素レベルから構築していく姿勢が「花」を生んだのか。トークは、「宇宙人」のしのさきあさこが登場する第2部へと移っていく。  OP曲「惡の華」のMVがフルで流れる。木更津でロケーションしたという渾身の映像は圧巻だ。金色のブルマはダンサーさんの私物だとしのさきがこぼれ話を開陳すれば、長濱監督は寺山修司のようだと絶賛、楽しげに会話が転がっていく。 「UFOみたいなラスボスが出てきて、3人はラスボスに操られていた、というオチです。結末。ふふっ(微笑)」(しのさき)  UFOは、芸術家が車のボンネットやベランダの柵などの廃材でこのMVのためだけに作り、撮影が終わるとともに廃棄されたという。  「惡の華」は4ヴァージョンある。群馬県桐生市ヴァージョン以外は主人公3人を表現したものだ。春日、仲村、佐伯のキャラクターが強烈すぎ、全部一緒のメロディだと違うだろう、との判断で種々のヴァージョンが作られた。1週間で50曲を作ったうちの4曲で、しかも元の音源はUSBメモリを紛失してしまったため、もう聴くことができないという。もはや実際にあったのかどうかを証明することすらできない。  3ヴァージョンの歌い手はそれぞれキャストとは異なり、後藤まりこ(元ミドリ)、の子(神聖かまってちゃん)、南波志帆が担当している。人選はしのさきによるもので、アニメキャストの人選と並行していたため「後出し」ではない。にもかかわらず、歌手の声質はキャストが歌っているかのように聴こえてくる。アニメ本編制作サイドと主題歌制作サイドの、原作の受け止め方が相似だったのかもしれない。
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 ちなみに、長濱監督が感動した「仕方がなくってここにいる、どこへいっても同じだ」というフレーズは、後藤の作だという。クレジットを見ると、後藤との子の名がある。仲村ヴァージョンと春日ヴァージョンについては、2人の手が入っているようだ。  休憩時間を挟み、深澤が登壇。モジュラーシンセサイザーとMacによる15分弱の演奏を行った。モジュラーシンセによる電子嵐のような音を基調に長い拍のピアノが響く味わい深い時間が大半を占めたが、終盤には強いビートを刻み、ディス・ヒートの「Horizontal Hold」を彷彿とさせる音楽的な表情をも見せた。 「(モジュラーシンセは)電子楽器の原始的なやつです。でも、普通の音楽に合わせられない。たとえばバッハをプレイするのは至難の業なので、インターフェースとして鍵盤をつけた。シンセサイザーの原点は、これのもっとでかいやつです」(深澤)  いちいちプラグを接続しないと命令できない時代のモジュラーシンセだが、ヴィンテージではなく現行品だという点も、深澤は強調した。ピアノやドラムの音はMacから出力して別の卓で調整しているとの説明もあった。  もともと『惡の華』の愛読者だった深澤は、書店で「アニメ化決定」の帯を見て「もう音楽担当は決まっているんだろうな」と肩を落としながら帰宅した。ところが、『惡の華』の音楽をやりたいという気持ちが抑えられない。マネジャーを通じてキングレコードに打診したところ、まだ音楽は誰がやるか決まっておらず、デモテープを聴いてもらえることになったのだという。 「初めに『惡の華』の原作を読んで作った一曲は『ハリー・ポッター』のようで、いま聞くとすごく恥ずかしい」(深澤)    本人によればファンタジーの作風。これを長濱監督は「異世界ものだったら合う」と評していた。 「物事を広く捉えている。いろいろなものが集約されて入っていて、壮大な光景が浮かぶ音楽だった。ポーン(という一拍の音)、だけで仲村を、春日を、というお話をそのあとにするんですよね。そうしたら「やります」と。本当にそうなっているじゃないですか」(長濱監督)  最初の一曲がダメだったから、では次の人……とはならず、長濱監督は「狭く、深く、ひとりの足元をずっと掘っていく感じ」と、オーダーをして現在の楽曲に結びつけた。 「とあるシーンで音をくるくる回したいなと思って、回したんです。音の位置を前後左右にして連続した変化にすると音は自分の周りを回るわけです。それを、誰にも言わずに入れておいた。すると、ダビングが終わって最後に落とし込む(ミックスダウンの)際に、音(の定位)を視覚的に確認するメーターがあって、あるシーンでメーターがぐるんぐるんと回っていて、“なんじゃこりゃー!”と驚いたと、のちに指摘されました」(深澤)  その場面は、今後に登場するという。OPの「惡の華」も間もなく4ヴァージョン目に突入する。放送が一番早いTOKYO MXでは今週末に最新第10回が放映されるが、植田によればキャストの演技が見ものとなる回らしい。作画も演技もすべてが洗練され、加速する『惡の華』、音にも耳を傾けながら刮目したい。 (取材・文=後藤勝)