子宮委員長はる、次に狙うは「市長」!? “狙われた”長崎県壱岐市の危ない今

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 コラム連載が10回目を迎えた今回、タイミングを合わせるかのように「スピリチュアル観光大使」の問題に終止符が打たれました。8月20日、長崎県壱岐市は公式ホームページ上で、前田紗智氏(以下、happy)の同市観光大使の職を解嘱したことを発表したのです。

 happy はこのコラムでもおなじみのスピリチュアリストで、「引き寄せの法則」を取り入れた『“奇跡"は自分で起こせる! 3日後「引き寄せ」日記』(大和出版)といった著書を出したり、スピリチュアル・ブロガーとして活動したり、スピ好きな若い世代から支持を集めている人物。一昨年から『シンデレラ・プロジェクト』といった大規模イベントを主催し、「自分との結婚式」なる“謎の儀式”を行うなどしていました。そんな人物がなぜ市の観光大使を務めていたか、これまでの経緯を振り返ってみましょう。

壱岐市に“引き寄せ”られたhappy

 happyと壱岐市の関わりは、2016年夏頃から始まったよう。ちょうど、彼女の名前がスピ界隈にじわじわと広まり始めた頃です。壱岐市は九州北部の玄界灘にある島で、今年7月の時点で人口は約2万6,000人。この小さな島にhappyがやってきたきっかけが、16年10月27日に更新されたブログの中で明かされています(現在はブログごと削除)。

「8月に急に 『月の神様にお参りに行きなさい』と頭の中にメッセージが来て それでご縁が繋がった不思議な島」

「観光会社や不動産会社の社長さんや宮司さん、女将さん いろんな方と急速にご縁が繋がってますが 純粋な気持ちで動いてると そんな同じ想いの人たちばかりと引き合うので 仕事を超えて同じ志で、日本を良くして行きたいね 神様を近くに心で生きてた時代に戻して行きたいねと そんな話が出来ること自体が今幸せです 直感に従って動いてこの島にたどり着いて本当に良かった」(すべて原文ママ)

 このブログでは、happyが壱岐市内の「研修センター」を購入したことも公表。「土地買うとか初めてなもんでドキドキしましたよ」というコメントとともに、happyとスーツ姿の男性3人がかしこまった様子で写った写真が添えられています。

安倍昭恵夫人とhappy、そして「女将」の不可解な交流

 happyは壱岐市に滞在している間、決まって同じ旅館に宿泊していました。前述のブログでhappyが「島の名物女将とはもう家族のような仲です」とつづっているように、とにかくこの旅館の女将とウマが合ったよう。18年2月には、happyの大親友で吉本興業所属の脚本家・旺季志ずか氏が手掛けたミュージカルを壱岐市内で上演しているのですが、なんと安倍昭恵総理夫人が観劇に訪れています。その際、昭恵夫人はhappyがご贔屓にしている旅館の女将と交流したようで、訪問時の様子が女将のブログで明かされていました。

 その中で、「光栄な事に、ラインを交換してくださり、写真もみんなと写ってくださいましたよ~」との報告がありhappyや女将に囲まれながら、笑顔を浮かべる昭恵夫人の写真が、何枚も掲載されていました。さらに、女将のブログによると、「総理直々にお電話」があったらしく、「色々珍しい美味しいものをたくさん頂いたそうで、お世話になりました」と伝えられたとか。電話の内容について、どこまで真実なのかは知るすべもありませんが、本当だったら(いろいろと)すごい話です。

 昭恵夫人が壱岐市を訪れた翌月の18年3月、happyは同市の「観光大使」に任命されます。地元紙「壱岐新報」によると、任命は白川博一市長の判断だったとか。ファーストレディーを島に“引き寄せる”力に目が眩んでしまったのかもしれませんが、市民感情を考えれば、内幕については検証する必要があるでしょう。

 その後、18年10月に観光大使・happy主導による『縄文祭』が、壱岐市で開催されます。happyファンが約2,000人も一気に来島したかと思えば、会場となった公園の芝生を荒らし、深夜までどんちゃん騒ぎをしていたことで、騒音問題まで起こしたイベントです。市民の大ひんしゅくを買ったことは、以前もコラムで触れました。(該当記事リンク)

 この一件は、市議会や地元メディアで批判的に取り上げられており、そこから「観光大使」解嘱までは1年足らず。今年7月31日付で、happyは観光大使としての役割を終えました。その後、8月30日付の地元紙「壱岐新報」は、happyの解嘱を一面で取り上げ、「島外での公序良俗に反するイベント開催」が理由だったとしています。「島外」となると、『縄文祭』とは別のイベントということになりますから、おそらく市側はhappyの動向に、四六時中目を光らせていたのでしょう。

 壱岐市を引っかき回したhappyですが、『縄文祭』での問題についても、観光大使を降ろされたことについても、現時点では何もコメントを出していません。happyがこのままフェードアウトして、壱岐市と怪しいスピリチュアルの関係も断ち切れるかと思いきや、いま壱岐島には、元「子宮委員長」八木さやが住んでいるのです(どこにでも出てくるな、この人!?)。happyとのつながりもあって、昨年末に移住した八木さやは、最近「総理大臣になりたい」「まずは壱岐市長選に出る」と自身のブログで豪語しており、“信者”の心を躍らせています。

 八木さやはhappyから壱岐市内の「旧・研修センター」の施設を買い取り、今年8月31日に信者を集めてそこでイベントを開催しました。熱心な信者のSNSにアップされた打ち上げパーティーの動画を見ると、意気揚々とスピーチをするhappyの姿も。彼女は八木さやの市長選出馬にあたって「ウグイス嬢をやりたい」そうで、「終身雇用も何のその!」「老後も心配いらず!」などとシミュレーションをしていました。そして、信者と一緒に「八木市長」誕生の瞬間を想定し、“万歳三唱”まで……。前日に地元紙一面で観光大使の解嘱を大きく報じられ、「連絡が不通」「(解嘱通知の)返答はない」と書かれていたhappy本人が、市内で大はしゃぎしているのです。このメンタルの強さ、本当に驚きます。

「子宮委員長」に“狙われた”壱岐市のいま

 「元・子宮委員長が市長選に」。これを多くの人は「冗談」だと捉えていると思います。しかし、彼女は「移住支援ビジネス」展開のため、市内の不動産を買い漁っていることを公表しており、すでに動き始めているのです。移住者が増えること自体は、過疎化に悩む市にとって喜ばしいことかもしれません。しかし、『縄文祭』で痛い目を見たはずの行政サイドとして、高額スピ商材などの販売を生業としている八木さやや、彼女を追って移住してくるかもしれない“信者”たちを歓迎すべきかどうかは、一考しなければならないでしょう。

 これだけでなく、八木さやは壱岐市内の神社二社にそれぞれ1,000万円を“奉納”しており、「来年は3千万円目標です」と宣言しています。「神社密度No.1の壱岐島の 神社の全部を活性化したい」とブログでその理由をつづっていますが、金を積むことに市長選の地盤固めの意図がないと言い切れるのでしょうか。スピリチュアル色の強い高額商品販売や、「自分ビジネス講座」なる情報商材で稼いだ軍資金は潤沢。「当選するはずない」と笑っていられないかもしれません。

 八木さやはこの夏、市内で行われた花火大会の大口スポンサーにもなっており、着実に市との距離を縮めています。夜空に咲く大輪を楽しんだ市民のほとんどは、こういった現状を知らないはず。果たして壱岐市は、「スピリチュアル観光大使」の騒動を教訓に、「スピリチュアル市長」の誕生を阻止できるのか。今後も注視していきたいと思います。

■黒猫ドラネコ
 大分県生まれ、大阪を経て東京都内在住の36歳。職業、性別は非公表。身内が「子宮系女子」となって壊れた経験から、怪しいスピリチュアルや自己啓発セミナーなどの監視と注意喚起を開始。本当の趣味はスポーツ観戦、漫画・アニメ鑑賞。3食スイーツでもいい甘党。
Twitter/ブログ「黒猫ドラネコのブログ(仮)

心屋仁之助氏“公開カウンセリング”の異常性――「死んじゃえ!」「借金イエーイ!」と叫んで終了?

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 芸能人や著名人御用達「Amebaブログ」の読者フォロー数20万人以上、プロフェッショナル部門ランキングで“常時1位”の人物をご存じですか? 子宮委員長はる、スピリチュアリストhappy、自称・卑弥呼の生まれ変わり天宮玲桜といった、怪しいスピリチュアル界隈ともつながりがある、心屋仁之助氏です。おなじみの“信者ビジネス”にハマる人は、高確率で「心屋カウンセリング」に心酔します。私が同氏を知ったのも、子宮委員長はるにハマった身内が、熱心に著書を読んでいたことからでした。それだけ、心屋氏の教えが怪しいスピリチュアル業界に浸透しているということです。

 小林麻耶さん、漫画家の浜田ブリトニーさんといった著名人のファンも多数いる心屋氏。そんな人が、虐待の連鎖に悩む相談者に「キミの娘さん 叩かれるために生まれてきたのよ」と自身のブログにつづった衝撃は忘れません。「流産は前世で自分が望んだ」とネットラジオで発信したのを知った時、私は自分のTwitterやブログで「こんなカウンセラーを信じていいのか」と、疑問を呈しました。その後、私と同じ疑問を持った人も声を上げ、炎上状態となったのですが、心屋氏はおそらく、それらの意見に対して「(自分を叩く人を)蹴散らして、ぶち殺してやる」と、ブログに絵文字付きで投稿。これにはさすがに恐怖を覚えました。

深刻な悩みを“イジって笑う”心屋仁之助氏

 そんな心屋氏について、このコラムの読者さんからご連絡をいただきました。「会員制カウンセリングの様子が怖い」という報告とともに、東京と京都で毎月行われている公開カウンセリング「Beトレ」の様子を収めたYouTubeのURLが貼られていました。調べたところ、心屋氏のホームページでは「心のおけいこの場。心理学の勉強会です」などと説明されており、いろいろなコースが設けられている様子。ちなみに、どれも年会費4~6万円の費用がかかるようです。

 3つ貼られていたURLのうち、1つ目は「子どもを死なせてしまった」という、50代女性による相談に、心屋氏が答える動画でした。長男が2歳の頃、生後2カ月の次男を亡くし、「そのことを引きずってあまり長男に愛情を注げなかったから、成人しても問題を起こすのだと考えてしまう」といった、かなり切実な内容です。これに対する心屋氏の結論は、「全部関係ない。次男が亡くなったことと(長男を)つなげるのはやめて」といったものでした。

 私がこの動画を見てまず気になったのは、会場の雰囲気。心屋氏はどこかのホールのステージ上を歩き回り、観客席から涙声で話す相談者に、「すべてはキミが悪いんだ」などと厳しい言葉をぶつけます。ホワイトボードに字を書きながら、相談者のネガティブ思考を笑い、「会場ザワザワしてるよ?」などとイジり、参加者たちを盛り上げているのです。相談者の深刻な悩みに対し、会場の雰囲気があまりにも陽気。そのギャップに強い違和感を覚えました。

 2つ目は、どこかの会議室に会場を移し、「お金にルーズな40代の弟が嫌。10年ほど同居しているが、そろそろ見捨てるべきか」といった悩みを持つ女性からの相談が取り上げられていました。心屋氏は、『解決!ナイナイアンサー』(日本テレビ系)に出演していた際も行っていた、お得意の“言わせるカウンセリング”で徐々にヒートアップ。心屋氏が先導する形で、「あんな奴、死んじゃえばいいのに!」「あのゴミのせいで!」「消えてしまえ!」と相談者に暴言を叫ばせ、「いい姉をやめたらいい。ストレートに嫌だと伝えて」と結論付けました。

 椅子に深く座って目を閉じ、相談者に暴言を反復させる心屋氏。満足げな表情に見えるのは、私だけではないはず。「あのゴミ」「消えてしまえ!」といった暴言は、本当に相談者本人の言葉なのか。「彼女はこう思っているはず」と、心屋氏が勝手に考えたセリフではないのか。ためらいながら号泣する相談者を見ると、そんな疑問が湧いてきます。

 最後の動画は、正直まったく意味不明。相談者は「どんどん遊んで」という心屋氏の教えに従い散財。その結果、「借金返済が苦しい」と訴えます。これに対する心屋氏の結論は、「どうもせんでいい」「悪いことだと思っているから、助けてもらえない」。そして、「借金イエーイ! 踏み倒すぞイエーイ!」と明るい調子で言わせて終了です(どういうことなの……?)。

 この無責任さ、「深く考えずやりたいことをどんどんやろう」といった奔放さが、子宮系女子やスピ稼業を目論む人たちにウケる理由かもしれませんが、私の目にはどれも“異常”に映りました。しかも、これらの動画に出てくる相談者は、「『Beトレ』に通ってるのに問題が解決しない」などと話し出すのです。心屋氏は一体、「Beトレ」で何を“おけいこ”しているのか、不思議でなりません。

 「Beトレ」の宣伝ページには、これらの無料動画が多数あり、いずれも観客からの悩み相談をもとに、心屋氏の考え方をオープンな場所で伝えるといった内容でした。時にはギターをかき鳴らしてオリジナルソングを披露し、“伝道者”のごとく立ち振る舞う心屋氏。こうしたカウンセリング方法は、心理学の分野において一般的に用いられるものなのでしょうか。「心理オフィスK」の代表であり、臨床心理士の北川清一郎先生にご協力いただき、「Beトレ」の動画について見解を伺いました。

――心屋氏が行っているような、不特定多数の人の前でカウンセリングを行う手法は一般的なのでしょうか。

北川清一郎氏(以下、北川氏) カウンセリングは基本的に、相談者のプライバシーや秘密が守られた状態で行われます。なぜならば、相談者が“本当のこと”を言えないからです。「秘密が守られる」という確約があるからこそ、本心を話すことができるのではないでしょうか。家族相談やグループ療法など、少人数で行う場合もありますが、それも参加者全員が秘密を守ることが絶対条件。よって、不特定多数の人がいる中でカウンセリングを行うことは、通常あり得ません。ましてや動画の公開なんて、もってのほかです。

 また、臨床心理士や公認心理師には、倫理と法律による“守秘義務”があります。これを守らないと、相談者が著しく傷つけられることになります。人に知られたくないことを知られることは、非常に苦痛を伴いますし、時には訴訟の対象となることも。人によっては「家族にも秘密にしたい」という場合もありますから、情報の開示には慎重になります。

――心屋氏や参加者が、相談者の悩みを笑っているような場面もありました。

北川氏 相談者と心屋氏・参加者の関係性の質にもよりますが、カウンセリング中に雰囲気を和ませるため、視点の切り替えを提示するために、“ジョーク”を用いることはあります。しかし、多用はしません。多くの場合、相談者は真剣な悩み事をお話しになりますから、こちらも真剣に聞くのは当然です。

 また、相談者の悩みを軽く扱うことによって、本人にとっては真剣な内容にもかかわらず、「大事にされていない」「バカにされている」といった感情を抱く可能性があります。そうした感情を持つと、悩みを話すことを躊躇し、問題解決に至らないリスクが伴います。

――正直なところ、この動画を見て「変だな」と思う人が大半だと思うのですが、心屋氏を頼る人が絶えないのは、なぜだとお考えになりますか。

北川氏 動画を見る限り、相談者は心屋さんが何を言っても鵜呑みにし、彼と話をしただけで救われたような気持ちになっているのかもしれません。広い意味では「催眠」と言っていいかと思います。一般的には、バラエティ番組で睡眠術をかけられた人が操り人形のようになる姿を想像するでしょうが、催眠はもっと広い概念で、専門的には「変性意識状態」と言い、意識の在り方が通常から外れてしまうことを言います。

 これは日常的に起こることで、例えば好きなことに熱中していると、多かれ少なかれ周りが見えなくなったり、付き合いたての時に恋人のすべてが好ましいものに見えてしまったりするのも、「変性意識状態」と言えます。要するに、視野が狭くなっている状態。こうしたことが、参加者の中で起こっているのでしょう。

 初期段階や軽い状態ならば、状況を変え、第三者と会話することで冷静になることはできるでしょう。しかし、長期間にわたって影響を受け続け、いわゆる「マインドコントロール」や「洗脳」に近い状態になると、容易に抜け出すことはできません。ここまで行くと、物理的に対象と接触することを禁止し、回復を目指した積極的な心理療法やカウンセリングなどを行う必要が出てくるかもしれませんね。

――「心理カウンセラー」を名乗る心屋氏は、多くの“認定講師”を抱え、さらに多数の支持者がいます。臨床心理士として、この状況をどう思われますか。

北川氏 通常のカウンセリングでは、相談者の“自立”を目標とし、カウンセラーなしで生きていけることを目指します。カウンセラーが相談者をずっと手元に置くことはありませんし、“認定講師”といった形で弟子をつくることもしません。学校と同じように、カウンセラーからの卒業を目指すものなのです。心屋さんに依存しないと生きていけないというのは、非常に危険な状態のように思います。

 「心理カウンセラー」は“職業名”なので、名乗ろうと思えば誰でも名乗ることができます。極端に言えば、まったく心理学やカウンセリングを学んでいない人でも、「心理カウンセラー」を標榜することができてしまうのです。一方で、「臨床心理士」や「公認心理師」は“資格名”であり、さまざまな訓練を経て、一定の資格試験をパスした人だけが名乗れます。つまり、能力が担保されているということです。「心理カウンセラー」を名乗る人は多いですが、実際にどういった資格を持ち、どういった訓練を受けてきたのか、きちんと判断する必要があると思います。

*****

 このように、心屋氏の言動は専門家も疑問視しています。明るい雰囲気を作って“問題が解決したような気分”になる「カウンセリング・ショー」をご自分の人生に取り入れるべきかどうかは、慎重に考えた方が良いでしょう。

■北川清一郎(きたがわ・せいいちろう)
「心理オフィスK」代表。関西大学、関西大学大学院で臨床心理学やカウンセリングを専攻。大学院を修了後、精神病院、心療内科クリニック、小中学校スクールカウンセラー、教育センター、児童相談所、企業内保健センター、開業カウンセリング機関、就労支援施設などを中心に、フリーランスで臨床活動やカウンセリングを行う。
「心理オフィスK」公式サイト

■黒猫ドラネコ
 1983年5月生まれ。性別、職業は非公表。大分県出身、学生時代から大阪で過ごし結婚を機に上京。穏やかで細かい性格。自分勝手な人が嫌い。趣味はスポーツ観戦、カフェ巡り、漫画・アニメ鑑賞など。甘党でお酒よりジュースを好む。ショートスリーパーにつき夜行性。
Twitter/ブログ「黒猫ドラネコのブログ(仮)

子宮委員長はる、引退後の今――「八木さや」改名後も“信者ビジネス”を続けている実態

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 最近、熱くなってきましたね。いやいや、気温のことではありません。近年登場した“怪しいスピリチュアル”の代表格ともいえる「子宮委員長」のことです。現在は名前を「八木さや」に変えて新しい試みを行っており、列島を襲う猛暑に負けまいと、日々奮闘しているようです。

「抑圧感情が溜まると子宮筋腫になる」「旦那さんの出世や昇給は子宮(女性器)の力」という“子宮メソッド”を唱えていた子宮委員長は、昨年末で活動を停止。タレントの小林麻耶さんや、お笑い芸人のなだぎ武さんらが参加し、昨年4月に行われた『シンデレラ・プロジェクト』というイベントにて、盛大な“引退式”を決行しました。その後、彼女は長崎県壱岐市(壱岐島)に移住。名前を「八木さや」に変えて、家庭菜園やガーデニングについてつづるブログを始めた……ハズでした。

■子宮委員長、その“商魂”は健在なり

 最初は庭いじりや、(合法な)ハーブ栽培の様子などをアップしていましたが、徐々に雲行きが怪しくなります。今年2月、唐突に「美神レーベル」を立ち上げて化粧品のプロデュースを開始。「誰でも美肌になれる」美容クリームや、自身の心臓の音を収録したCD(ジブリ作品の音楽プロデューサーとのコラボとか。ホントかよ!?)まで販売を始めます。現在は、バッグや財布なども売り始め、子宮委員長時代の商魂がまったく隠しきれていない状態になっています。

 我々ウォッチャーから「どこが引退だ!」と総ツッコミが入る中、満を持して登場したのが、「自分ビジネス・オンライン講座」。「体に優しい働き方で、面白いお金の使い方で、老後まで使える働き方」が学べるというDVDと、YouTubeでオンライン配信されている動画のお値段は、なんと3万8,000円。かつて子宮委員長が唱えていた「子宮メソッド」の自己啓発DVDを出していた、「東京映像制作」という会社から販売されました。この「自分ビジネス」とは一体何なのか。販売元の説明をご紹介します。

「終身雇用が都市伝説になりかけているこの頃、『自分に永久就職』『自分に終身雇用』という概念を学び、自分の居場所を作ってみませんか? 自分ビジネスは自分を整えるセラピーです。特に、スピリチュアルな趣味をお持ちの方はお金と出会ってみませんか?」

「前半は、どこから開業届をもらえばいいのか、どこに提出すればいいのかから、確定申告の詳細や、経費の使い方まで、超初心者レベルから学べつつ、八木さやイズムを投入したので、とっても面白い内容となっています。後半はマーケティングノウハウを持ち、企業コンサルの経験もあり、また、自身も実績のあるビジネスのプロフェショナルを講師にお招きし、今まで言われてきたビジネスノウハウと八木さやビジネスの違いについて仰天対談します」

 簡単に言えば、八木さやが子宮委員長だった時代のスピリチュアル・ビジネスや、自己ブランディングについて正当化して、自慢げに語る動画です。彼女のSNSにアップされた販促用の情報を眺めると、「自分ビジネス」と神社との類似点を挙げたり、「自分自神(じぶんじしん)」といったスピリチュアルなワードが散見されます。「やっぱりな!」という印象しかありません。

■「それっぽい」情報を売っているだけという事実

 スピリチュアルな気持ちにさせるだけでなく、「開業届の書き方」「マーケティング」などの知識も学べるらしく、それらを解説するのは、八木さやのお友だち。ただ、信用していいのか不安にしかならないメンバーが揃っています。

 まず「開業届や経費」などの講話には、有竹志帆さんという方が登場。税理士事務所で働きつつ、個人でも会計講座などを開いており、「チャネリングセラピスト」を名乗っています(見事なオチ!)。今年1月に更新されたブログには、「わが家は小さい税理士事務所なので、税理士登録は、旦那さんだけで、申告書のサインは旦那さんがしております」とつづられているので、有竹さん本人は税理士の国家資格を持っていないようです。

 さらに、「特別講師」として出てくるのが、元コンサルタントのロンズー(瀧澤勉)さんという方。起業家養成セミナーの講師をしていた過去があり、かなり弁が立つ人のようですが、ブログの内容はほぼ意味不明。「自分ビジネス」について、ロンズーさんは8月1日の更新で「『自分ビジネス』の『ブログセラピー』によって、自分自“神”にアクセスすることで、完璧なメソッドとして、形となり、さらなる進化を続けている」と熱弁されておりますが、何を言っているのか、私にはさっぱりわかりません。

 信ぴょう性はともかく、一見プロっぽい有竹さんの専門知識、ロンズーさんのコンサルっぽい説得力に加え、子宮委員長が駆使してきた独自理論を大いに語るのが、「自分ビジネス講座」なのでしょう。このように、物事のノウハウやハウツーを売るものは、一般的に「情報商材」と呼ばれます。グーグルで調べてみると、「詐欺」「逮捕」とサジェストされるのですが、これがすべてを物語っていると言えるでしょう。

 今月1日付の「日本経済新聞(ネット版)」によれば、東京都がまとめた2018年度の消費生活相談概要で、「簡単に稼げるノウハウ」などと称して販売される「情報商材」に関する相談件数は、1,304件に上ったそう。14年度には260件だったため、4年間で5倍に急増していることになります。「3割近くがSNSをきっかけに消費者が購入してしまったケースで、この比率も年々上昇している」「相談者は40~50代と20代が多い」とも書かれていました。

■子宮委員長の“信者ビジネス”は続く

 八木さやのブログでは、8月1日の時点で「自分ビジネス講座」の参加者が7,800人を突破したと公表されていました。この数字が本当かどうかは知りようがありませんが、「自分ビジネスは自分を整えるセラピー」と、たとえ“儲け”という成果が出なくても逃げられるような曖昧な定義の付いた情報商材に、これだけの人数が集まっているとしたら驚きです。子宮委員長のマインドを学びたがる人たち、つまり、スピ界隈の一大勢力「子宮系女子」は、いまだ健在なのでしょう。

 確かに、パワーストーン販売、リーディング、ヒーラー等の“スピ稼業”で子宮委員長のように成功したい人たちにとって、本人から聞くビジネス論は、さぞありがたく心に響くはず。「自分ビジネス」の実態は、子宮委員長が名前を変えて新たに仕掛けた、「信者ビジネス」にほかならないのです。

 何から情報を得るのも、何を信じるのも自由。でも、 購入者に知識を授けるのは、 経営コンサルタントなどではなく、名前以外は何も変わらない“ 教祖様”です。「ビジネス」 と言われるとちょっぴり興味が湧くかもしれませんが、 私と一緒に生暖かい目で見守るぐらいにしておいた方が賢明ですよ。

■黒猫ドラネコ
 1983年5月生まれ。性別、職業は非公表。大分県出身、学生時代から大阪で過ごし結婚を機に上京。穏やかで細かい性格。自分勝手な人が嫌い。趣味はスポーツ観戦、カフェ巡り、漫画・アニメ鑑賞など。甘党でお酒よりジュースを好む。ショートスリーパーにつき夜行性。

Twitter/ブログ「黒猫ドラネコのブログ(仮)」

子宮委員長はる、引退後の今――「八木さや」改名後も“信者ビジネス”を続けている実態

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 最近、熱くなってきましたね。いやいや、気温のことではありません。近年登場した“怪しいスピリチュアル”の代表格ともいえる「子宮委員長」のことです。現在は名前を「八木さや」に変えて新しい試みを行っており、列島を襲う猛暑に負けまいと、日々奮闘しているようです。

「抑圧感情が溜まると子宮筋腫になる」「旦那さんの出世や昇給は子宮(女性器)の力」という“子宮メソッド”を唱えていた子宮委員長は、昨年末で活動を停止。タレントの小林麻耶さんや、お笑い芸人のなだぎ武さんらが参加し、昨年4月に行われた『シンデレラ・プロジェクト』というイベントにて、盛大な“引退式”を決行しました。その後、彼女は長崎県壱岐市(壱岐島)に移住。名前を「八木さや」に変えて、家庭菜園やガーデニングについてつづるブログを始めた……ハズでした。

■子宮委員長、その“商魂”は健在なり

 最初は庭いじりや、(合法な)ハーブ栽培の様子などをアップしていましたが、徐々に雲行きが怪しくなります。今年2月、唐突に「美神レーベル」を立ち上げて化粧品のプロデュースを開始。「誰でも美肌になれる」美容クリームや、自身の心臓の音を収録したCD(ジブリ作品の音楽プロデューサーとのコラボとか。ホントかよ!?)まで販売を始めます。現在は、バッグや財布なども売り始め、子宮委員長時代の商魂がまったく隠しきれていない状態になっています。

 我々ウォッチャーから「どこが引退だ!」と総ツッコミが入る中、満を持して登場したのが、「自分ビジネス・オンライン講座」。「体に優しい働き方で、面白いお金の使い方で、老後まで使える働き方」が学べるというDVDと、YouTubeでオンライン配信されている動画のお値段は、なんと3万8,000円。かつて子宮委員長が唱えていた「子宮メソッド」の自己啓発DVDを出していた、「東京映像制作」という会社から販売されました。この「自分ビジネス」とは一体何なのか。販売元の説明をご紹介します。

「終身雇用が都市伝説になりかけているこの頃、『自分に永久就職』『自分に終身雇用』という概念を学び、自分の居場所を作ってみませんか? 自分ビジネスは自分を整えるセラピーです。特に、スピリチュアルな趣味をお持ちの方はお金と出会ってみませんか?」

「前半は、どこから開業届をもらえばいいのか、どこに提出すればいいのかから、確定申告の詳細や、経費の使い方まで、超初心者レベルから学べつつ、八木さやイズムを投入したので、とっても面白い内容となっています。後半はマーケティングノウハウを持ち、企業コンサルの経験もあり、また、自身も実績のあるビジネスのプロフェショナルを講師にお招きし、今まで言われてきたビジネスノウハウと八木さやビジネスの違いについて仰天対談します」

 簡単に言えば、八木さやが子宮委員長だった時代のスピリチュアル・ビジネスや、自己ブランディングについて正当化して、自慢げに語る動画です。彼女のSNSにアップされた販促用の情報を眺めると、「自分ビジネス」と神社との類似点を挙げたり、「自分自神(じぶんじしん)」といったスピリチュアルなワードが散見されます。「やっぱりな!」という印象しかありません。

■「それっぽい」情報を売っているだけという事実

 スピリチュアルな気持ちにさせるだけでなく、「開業届の書き方」「マーケティング」などの知識も学べるらしく、それらを解説するのは、八木さやのお友だち。ただ、信用していいのか不安にしかならないメンバーが揃っています。

 まず「開業届や経費」などの講話には、有竹志帆さんという方が登場。税理士事務所で働きつつ、個人でも会計講座などを開いており、「チャネリングセラピスト」を名乗っています(見事なオチ!)。今年1月に更新されたブログには、「わが家は小さい税理士事務所なので、税理士登録は、旦那さんだけで、申告書のサインは旦那さんがしております」とつづられているので、有竹さん本人は税理士の国家資格を持っていないようです。

 さらに、「特別講師」として出てくるのが、元コンサルタントのロンズー(瀧澤勉)さんという方。起業家養成セミナーの講師をしていた過去があり、かなり弁が立つ人のようですが、ブログの内容はほぼ意味不明。「自分ビジネス」について、ロンズーさんは8月1日の更新で「『自分ビジネス』の『ブログセラピー』によって、自分自“神”にアクセスすることで、完璧なメソッドとして、形となり、さらなる進化を続けている」と熱弁されておりますが、何を言っているのか、私にはさっぱりわかりません。

 信ぴょう性はともかく、一見プロっぽい有竹さんの専門知識、ロンズーさんのコンサルっぽい説得力に加え、子宮委員長が駆使してきた独自理論を大いに語るのが、「自分ビジネス講座」なのでしょう。このように、物事のノウハウやハウツーを売るものは、一般的に「情報商材」と呼ばれます。グーグルで調べてみると、「詐欺」「逮捕」とサジェストされるのですが、これがすべてを物語っていると言えるでしょう。

 今月1日付の「日本経済新聞(ネット版)」によれば、東京都がまとめた2018年度の消費生活相談概要で、「簡単に稼げるノウハウ」などと称して販売される「情報商材」に関する相談件数は、1,304件に上ったそう。14年度には260件だったため、4年間で5倍に急増していることになります。「3割近くがSNSをきっかけに消費者が購入してしまったケースで、この比率も年々上昇している」「相談者は40~50代と20代が多い」とも書かれていました。

■子宮委員長の“信者ビジネス”は続く

 八木さやのブログでは、8月1日の時点で「自分ビジネス講座」の参加者が7,800人を突破したと公表されていました。この数字が本当かどうかは知りようがありませんが、「自分ビジネスは自分を整えるセラピー」と、たとえ“儲け”という成果が出なくても逃げられるような曖昧な定義の付いた情報商材に、これだけの人数が集まっているとしたら驚きです。子宮委員長のマインドを学びたがる人たち、つまり、スピ界隈の一大勢力「子宮系女子」は、いまだ健在なのでしょう。

 確かに、パワーストーン販売、リーディング、ヒーラー等の“スピ稼業”で子宮委員長のように成功したい人たちにとって、本人から聞くビジネス論は、さぞありがたく心に響くはず。「自分ビジネス」の実態は、子宮委員長が名前を変えて新たに仕掛けた、「信者ビジネス」にほかならないのです。

 何から情報を得るのも、何を信じるのも自由。でも、 購入者に知識を授けるのは、 経営コンサルタントなどではなく、名前以外は何も変わらない“ 教祖様”です。「ビジネス」 と言われるとちょっぴり興味が湧くかもしれませんが、 私と一緒に生暖かい目で見守るぐらいにしておいた方が賢明ですよ。

■黒猫ドラネコ
 1983年5月生まれ。性別、職業は非公表。大分県出身、学生時代から大阪で過ごし結婚を機に上京。穏やかで細かい性格。自分勝手な人が嫌い。趣味はスポーツ観戦、カフェ巡り、漫画・アニメ鑑賞など。甘党でお酒よりジュースを好む。ショートスリーパーにつき夜行性。

Twitter/ブログ「黒猫ドラネコのブログ(仮)」

「子どもは親を選んで生まれる」――のぶみ・池川明医師の思想が“絵本コーナー”に並ぶ危うさ

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 今月26日、何かとお騒がせな絵本作家・のぶみさんが、サンマーク出版より新作絵本『うまれるまえにきーめた』を発売します。Amazonの商品説明には「ママのお腹へと行く前に、一人ひとり、やりたいことを決めるのです」とありました。のぶみさんご本人が自身のSNSなどで内容を小出しにして宣伝していましたが、生まれる前の子どもが“神様”に促され、自分が欲しい才能や、人生のあらすじを紙に書かせる(でも「ほとんどのじんせいが そのとおりにならない」と言われる)という、摩訶不思議な内容でした。

 のぶみさんは2017年にも『このママにきーめた!』(同)という絵本を出版しており、その中には「ねぇ、どうしてママをえらんだのか、しってる?」「ようし! ぼく、このママにきーめた!」といった子どものセリフが出てきます。また、あとがきには「おなかのなかの記憶がある子どもたちに会って描いた絵本です」とも書かれており、「子どもの証言」を作品に落とし込んでいることがうかがえます。

 のぶみさんといえば、元暴走族の総長で33回も逮捕された(自称)という、絵本作家としても、社会人としても異色の経歴の持ち主。昨年、「あたしおかあさんだから」という歌の歌詞で“自己犠牲”の母親像を礼讃して、ネットを大炎上させました。この時、『このママにきーめた!』をはじめとした他の作品についても疑問の声が上がり、それ以来、嫌悪感を抱く人が増えたようです。よせばいいのに、のぶみさんはたびたび“アンチ”に応戦。しかも「弁護士に相談した」などと、33回の逮捕で学んだのであろう、社会通念上の善悪の規範をチラつかせてくるとか。

 “のぶみアンチ”な方々は、一体彼の何を警戒しているのか。気になった私は、Twitter上で交流のある、のぶみさんを「危険視する」方々から話を聞きました。

「SNSでの支離滅裂な発言、つじつまの合わない経歴、母親を馬鹿にして描いていることを疑問視しています。彼を売り出したメディアや、のぶみさんを起用する公的機関にも責任があると思います」(女性、子育て経験なし)

「命への尊厳とそれを描く技量が欠けているため、子どもに対して暴力的な作用をするのではないでしょうか。無害なふりをして、他の絵本の横に並んでいる恐ろしさがあります」(女性、子育て経験あり)

「作者本人がSNSで講演会開催を熱望したり、10冊や100冊単位で買うようにファンに呼び掛けていることに違和感を覚えます。一部の母親たちを“信者”のように慕わせ、母親たちも『私がのぶみさんを助けなきゃ』と共依存しているように見え、まるで“カルト”のようです」(女性、子育て経験あり)

 このような批判を浴びながらも、のぶみさん自身が“教祖様”さながらに、自身のコミュニティ内でひたすら宣伝を繰り返している点は、私も気になるところです。

 新刊『うまれるまえにきーめた』は、のぶみさん自らが100人の子どもから聞いた「産まれる前の記憶」を、作品に反映させているとのこと。これは「胎内記憶」と呼ばれ、誕生後にその記憶を話す子どももいるそうです。前述の『このママにきーめた!』も、「おなかのなかの記憶がある子どもたちに会って描いた絵本」というあとがきからわかるように、「胎内記憶」に基づいた物語だと考えられます。

 この話題では、日本における胎内記憶の第一人者として多数の著書を世に出し、「日本胎内記憶教育協会」なる団体の代表を務める、池川明医師にも触れなければなりません。池川医師の著書を見ると、『ママのおなかをえらんできたよ。』(リヨン社)『だから、ママのところに来たんだよ』(総合法令出版)『子どもは親を選んで生まれてくる』(日本教文社)といった具合で、「子は親を選ぶ」と主張されています。

 「日本メンタルサービス研究所」の公式サイトに掲載されている池川医師のインタビューでは、保育園で0~6歳の子どもにアンケートを取ったところ、「3歳までで限って言えばだいたい40%位のお子さんに、記憶があるのではないかと思います」とした上で、「『お父さんお母さんを選んできた』って言う子が2割います」と断言しています。また、“流産”についても「子ども達に聞いた」話として、「家族が幸せになるために流産する」「『このお母さんはこのレベルじゃだめだから、一気に成長させてやるか』って、(子どもが)命を賭ける」(すべて原文ママ)などと語っていました。

 これらの空想が、“医師による”ケアだとすれば、すごく乱暴ではありませんか。医師ならば本来、流産しないためにはどうしたらよいか伝えるべきだと思いますが、「あなたに子どもが生まれないのは、選ばれなかったから」「流産してもしょうがない。だって子どもが試練を与えたのだから」なとど言われるとしたら、“医学”そのものを疑ってしまいそうです。「胎内記憶」の危うさは、科学的な根拠が皆無だと思われる点と、不妊や流産で悩む人が、いたずらにつらい気持ちを背負わされてしまう可能性があることだと考えます。

 昨年、心理カウンセラーの心屋仁之助氏が、虐待の連鎖に悩む相談者に「キミの娘さん、叩かれるために生まれたのよ」と言い放って騒動になりました。心屋氏もまた、池川医師の提唱する説を信じていることがブログなどからわかり、スピリチュアルや自己啓発界隈には、「胎内記憶」が蔓延していると言えるでしょう。「胎内記憶」は心屋氏のように、都合よく虐待を肯定するための説にさえもなりうるのです。

 「胎内記憶」を唱える界隈では、炎上をものともせず新刊を出し続けるのぶみさんが“広告塔”となり、池川医師の支持者を集める構図が出来上がっています。2人は頻繁にコラボ企画や公演を行っており、“協力関係”であることは明白。誰もが手に取れる「絵本コーナー」にのぶみさんの本が置かれることへの不安は、どうしても拭えません。

 妊娠・出産など、生命の神秘を感じさせるものとスピリチュアルは常に密接です。「お空の上からママを見てた」「お母さんを選んで生まれた」「パパとママを喜ばせるためにやって来た」――。まだ空想と現実の区別がつかない子どもたちの無邪気な言葉を利用して、思想を流布したい大人がいることは、紛れもない事実です。絵本という一見何の害もなく、手に取りやすいイラスト入りの書籍で“教祖様”たちの思想を子どもにまで広げ、“スピリチュアルビジネス”を拡大させようと画策しているなら……。書店や保育関係者にも、慎重なご判断をお願いしたいものです。

■黒猫ドラネコ
 1983年5月生まれ。性別、職業は非公表。大分県出身、学生時代から大阪で過ごし結婚を機に上京。穏やかで細かい性格。自分勝手な人が嫌い。趣味はスポーツ観戦、カフェ巡り、漫画・アニメ鑑賞など。甘党でお酒よりジュースを好む。ショートスリーパーにつき夜行性。

Twitter/ブログ「黒猫ドラネコのブログ(仮)

吉本芸人の“スピリチュアル営業”はなぜ許される? 「宗教の広告塔になる」罪深さ

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 令和初めての梅雨入りと時を同じくして、雨上がり決死隊・宮迫博之さん、ロンドンブーツ1号2号・田村亮さんら、吉本興業所属の芸人が、反社会的勢力が主催するイベントに出演していた「闇営業」で、世間を騒がせました。宮迫さんらは当初、反社会的勢力からの金銭授受を否定しましたが、後に一転して認めたことが、事態を悪化させた要因だと思います。このあたりの批判はすでに多数出ているので、私からは今回言及しません。

 「闇営業」というと、“裏社会”とのつながりをイメージしがちですが、その定義は「所属事務所を通さずに仕事をすること」だそうですね。これを聞いて、すぐに思い浮かべたことがあります。それは、吉本興業所属の芸人による「スピリチュアル営業」です。私が観察を続けている界隈のイベントに、これまで複数の吉本芸人が出ていました。あれって、事務所は把握していたのでしょうか……?

 前回も紹介した「スピリチュアリスト」のhappy(現在は「さちまる」「竹腰紗智」に改名。以下、元happy)は、定期的に「イメージが降りてきた」などと言いながら、自身の支持者を集めて大規模なイベントを開催しています。そのイベントに出演する“ゲスト”の手配に重要な役割を果たしていると思われるのが、吉本興業に「文化人」として所属している、旺季志ずかさんです。本業は脚本家で、公式プロフィールには「心屋リセット心理カウンセラー」「ヒプノセラピスト」の資格があると紹介されています(それって、吉本的には公にアピールするものなんだ!?)。

 そんな旺季さんは、2018年4月16日に更新された自身のブログで、アイドルグループ「吉本坂46」のオーディションにて、「隣に座ったことから始まった おそるべきシンクロニシティで」吉本所属のピン芸人・なだぎ武さんと飲み会を開いたと明かしています。その後なだぎさんは、昨年4月に開催された元happy主催のイベント「第2回シンデレラ・プロジェクト」で司会を担当。このイベントは、グランドプリンスホテル新高輪で盛大に行われ、元happyと仲良しのタレント・小林麻耶さんが奇抜なドレスを着て、嬉々とした表情でランウェイを歩いたことで話題になりました。舞台上で麻耶さんに抱きつかれるなだぎさんの写真も、ネットに転がっています。吉本所属のお笑いコンビ・ダイノジの2人も、会場で軽快なDJを披露し、参加者を盛り上げていました。

 ダイノジは昨年10月に長崎県壱岐島で行われた「縄文祭」にも招かれています。これも、壱岐市の観光大使を務める元happyの主催イベント。島におよそ2,000人を集め、深夜まで騒音を出し、会場となった公園の芝生を荒らしたことで住民から怒りを買い、市議会で問題視されたことは前回も述べました。さらに、今年5月に旺季さん主催で、元happyも登場した「ええじゃないか文化祭」は、吉本所属の若手コンビ・ラフレクランがMCを担当。同じく吉本所属・プラスマイナスも出演し、漫才を披露しました。旺季さんが書いたお芝居を、なだぎさんと元happyが熱演する、なんてコーナーもあったようです。

 なだぎさんは、闇営業騒動で所属事務所が揺れていた6月27日、自身のTwitterに「今月の給料を確認。。地獄過ぎて笑うことも泣くこともでけへん、、来月はとりあえずバナナで乗りきります。皆様、もし私を街で見かける事があれば、エサを与えて下さい。。」と、投稿していました。吉本興業は、報道でも取り沙汰されるほど“薄給”な芸能事務所だといいます。前述のイベントに参加した芸人さんたちが、報酬をもらっていたかどうかは確認のしようがありませんが、彼らを取り巻く人々が反社会的勢力の一員だったら、宮迫さんらのように明確に“クロ”として厳しく処分されたはずです。しかしスピ界隈は(裏に何がいるかは知りませんが)、仕事上の関わりとして、“クロ”だとまでは断定しにくいのでしょうね。芸人さんたちは、オファーを受けるのが「悪いこと」とは思わなかったのでしょう。では、何が問題なのか。考えてほしいのは、“この界隈がどのように商売をしているか”ということです。

■いつの間にか“広告塔”になっている罪深さ

 スピリチュアルな“教祖様”は、SNSを駆使し、「意識はいつも自分の内側」などとよくわからないことを言いつつ、主に若い女性の心を操り、「あなたも幸せになれる」「創造の目撃者に」と大げさに煽って熱狂させ、高額な物を売るビジネスを展開しています。元happyも、このお決まりの手法を利用し、若い女性から支持を得ました。「第2回シンデレラ・プロジェクト」は、素人のダンス大会や、素人のファッションショーがメイン。この舞台を見るのに、なんと最低でも3万円のチケット代が必要でした。「縄文祭」なんて、3万3,000円のチケット代が含まれた、8万8,000円のプランまで登場。島への旅費や宿代が含まれているのかと思いきや、もちろんそんな財布にも人にも優しい配慮など皆無で、例えば参加者は“寝袋で野宿”を勧められていたのです。一般的な感覚ならこれが「高い」と思えますが、宗教的なやり方で説得力を持たせ、信者に支払わせるのが“教祖様”。華々しくステージに上がった吉本芸人たちは、教祖様の信用を強固にし、このビジネスへの違和感を薄れさせる役割を担ってしまったと、私は考えます。

 元happyらが、根拠のないものを「布教している」のは、調べればすぐにわかるはずです。素性を隠す反社会的勢力とは違い、彼女たちは自ら発信しています。テレビ業界では、新興宗教やオカルトの類いの取り扱いについて、コンプライアンス意識が強くなってきているはずです。「精神世界」だの「宇宙からのエネルギー」だのと言って客寄せをする“宗教的なもの”に、お墨付きを与えるような“自覚なき”加担も、芸能人・著名人には慎んでほしいのです。「有名な人を呼んでハクをつけたい」「人脈をアピールしたい」という動機は、怪しいスピ集団も、反社会的勢力も変わりません。軽はずみにオファーを受けることによって、いつの間にかスピリチュアルの “広告塔”になってしまう。この罪深さは、著名人個々人や、芸能事務所がきちんと理解するべきではないでしょうか。

 闇営業問題をクリアにするには、どのような依頼主のイベントに所属タレントが出演しようとしているのか、事務所がしっかり見極めなければいけませんよね。それに加え、「反社会的勢力じゃないからセーフ」なのかどうかも、ぜひ考えていただきたいと思います。怪しいスピリチュアルに依存し、一般社会と乖離することを誇りながら、大金をつぎ込む人たちがいます。「芸人さんがイベントに出ていたから」「タレントさんが信じている思想だから」と新たな世界を知り、一歩踏み出してしまう人がいるかもしれない。そうして信者の人口が拡大する可能性は、ゼロではありません。社会問題として認識された時に、「素性がわからなかった」では、闇営業騒動から何も学んでいないことになります。今のうちに対策を練っておくことを、強くおすすめします。

■黒猫ドラネコ
 1983年5月生まれ。性別、職業は非公表。大分県出身、学生時代から大阪で過ごし結婚を機に上京。穏やかで細かい性格。自分勝手な人が嫌い。趣味はスポーツ観戦、カフェ巡り、漫画・アニメ鑑賞など。甘党でお酒よりジュースを好む。ショートスリーパーにつき夜行性。