都会暮らしの匿名性が快楽を加速させる、“隣人”の欲情ドラマ『となりの果実』

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『となりの果実』/幻冬舎

■今回の官能小説
『となりの果実』(黒沢美貴、幻冬舎)

 都会に住む人たちは、一体どれだけ隣人のことを知っているだろう? うっすらと顔形が判別できればいい方、ほとんどが「隣は何をする人ぞ」ではないだろうか? 薄い壁の向こう側には、想像もつかない他人の人生が繰り広げられている。穏やかな家族生活を営んでいる、夜な夜なAVを眺めて自慰行為に耽っている、あるいは、恋が叶わずに自暴自棄になっているかもしれない。
 
 今回ご紹介する『となりの果実』(幻冬舎)には、都会の喧噪にひっそりと寄り添う隣人たちの姿と、その交差が描かれている。舞台は都会のド真中、麻布十番のマンション。彼らは、その小さな一角で人生ドラマを繰り広げている。