これまで視聴率2ケタを維持していた高畑充希主演『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)ですが、8日放送の第5話は、前回から0.6ポイントダウンして9.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、1ケタ台に転落してしまいました。視聴者からは「泣けた」という声もあったようですが、いったい何が原因だったのか……。
今週もあらすじから振り返っていきたいと思います!
(前回までのレビューはこちらから)
■『メゾポリ』始まって以来の最も悲しい事件です
ひより(高畑)と伊達さん(近藤正臣)が元警察犬の飼い犬・バロンの散歩中に出会ったおばあちゃん・金森春子(島かおり)。「人を殺しました」とうつろな顔の春子さんは、認知症を患っていました。連絡を受け迎えにやってきた金森金属工業の社長・丸山(大谷亮介)ら3人の従業員とともに、春子さんは無事家に帰っていくのですが、春子さんの「男の人を階段から……落としました」という発言と、何かを隠しているっぽい丸山らのようすが気になったひよりは、2週間前に起きた金森金属工業と取引のある会社の営業マン・三崎聡(亀田佳明)の死亡事故と何か関係があるのではと、メゾンのおじさんたちに捜査協力を依頼。「チームひよこ」が始動します。
捜査の結果、丸山ら金森金属工業の従業員たちは元前科者で、更生活動に力を入れていた春子さんの夫でもある先代の社長に雇われてから家族同然に共同生活を送っていることや、春子さんの娘・翔子が、30年前に起きた連続幼女誘拐事件の犠牲者だったことが判明。
ひよりたちは誘拐事件の犯人である三崎を春子さんが階段から突き落としたのではないかと捜査を進めますが、実際は、納期をめぐって言い合いになった拍子に丸山が三崎を突き落とし、それを隠すために丸山たちは三崎の遺体を歩道橋まで運び、事故死に偽装したというのです。
今回の事件が“悲しかった”ワケは、はここから。実は、金森金属工業にはもう1人、安達高史(奥田洋平)という従業員がいました。この安達こそが、連続幼女誘拐事件の犯人だったのです。3年前、相変わらず小さい女の子に悪さをはたらく安達を偶然街で見つけた春子さんは、安達を階段から突き落とします。一命を取り留めたものの記憶喪失となった安達を、春子さんは従業員として雇い、記憶が戻ることを待ちながら、復讐するタイミングをずっとうかがっていました。
しかし、安達の記憶喪失は全くの嘘。同級生だった三崎に金をゆすられていた安達は、三崎を殺害。三崎を階段から突き落とし、事故死に見せかけたのも安達です。
その一部始終を見ていた春子さんは、娘の復讐のため、娘がされたように、安達を生き埋めにして殺害。春子さんの自白通り、山の中からは安達の遺体が見つかります。丸山たちは春子のしたことに気づき、春子さんをかばうために嘘の証言をしていた——というのが、今回の事件のあらましです。
■「Lemon」的結末
娘を失ったショックで夫も早くに亡くなり、地獄のような日々を過ごしていた春子さん。でも、安達と暮らすようになってから、「復讐」という希望が見えたそうです。でも、認知症を患ったことで記憶が曖昧になってきてしまった。
「安達が思い出すより先に、私が忘れてしまうかもしれない」
なんて切ないんでしょう。これまでこのドラマに登場した犯人は、サイコパスだったり、不倫がバレたとか、金をゆすられたからとかなんとかで簡単に人を殺しすぎている感があったのですが、春子さんの境遇からみるに、今回ばかりは思わず同情してしまう犯行動機でした。
また、ラストで釈放された丸山たちが、警察に捕まったであろう春子さんが震える手で書いた「いっぱいおかわりしてね」という手紙と、鍋いっぱいの作り置きのカレーに、「母さん……」と涙をにじませるシーンは、最低限の説明とセリフの中に、血の繋がらない親子の愛情を感じられるまさに“泣きどころ”だったように思います。
視聴者たちの中には、「今日のメゾポリLemon案件やろ」「見ていてとてもつらい回でした……最後にLemon流して欲しかった」「WANIMAじゃなくLemonなら泣いてる」と、同局ドラマ『アンナチュラル』の主題歌で大ヒットした米津玄師の「Lemon」が脳内再生される人もいたようす。
まさに、「夢ならば~ど~れほど~良かったでしょう……」という悲しい事件でした。
■春子さんの“体力”に視聴者から総ツッコミ
そんな“お涙頂戴”的なストーリーに思わず目頭が熱くはなったものの、疑問なのが、「春子さんがたった1人で安達を生き埋めにできたのか?」ということです。視聴者からも、「ちょっと無理あるやろ」「おばあさん1人でできるもんなのかな?」とツッコミが殺到。
元科捜研の藤堂さん(野口五郎)は前半で、春子さんが歩道橋の上から三崎をつき落としたと推理するひよりに、「春子さんの力じゃ無理」「男性の力が必要」と断言していましたし、調子が悪いときは一人で歩くのもやっとだった春子さんが、安達を襲い、車に乗せ、穴を掘り……と考えると、どうしても無理やり感があるように思えてきます。
まぁ、春子さんは安達に復讐することだけを楽しみに生きてこられたので、ここぞとばかりの馬鹿力が出たのかもしれませんが、それにしてもお粗末すぎる気が……。
コメディ要素が強い本作ですが、一応は刑事ドラマなのに、事件に関する諸々が雑すぎるのってはアリなんでしょうかねぇ。
■“コメディ”と“シリアス”のどっちつかずが弊害を生む
今話には、三崎の遺体発見現場にひよりが寝転んだシーンで、
夏目さん「被害者の気持ちになれるだろ」
ひより「雪平かよ」
というセリフがありました。この「雪平」とは、『アンフェア』シリーズ(フジテレビ系)で篠原涼子が演じた女刑事のこと。捜査を行う際、死体のあった位置に横たわり、「きらきら星」の鼻歌を歌いながら、被害者が最後に見た風景を見ることが、雪平のルーティーンでした。
これまでにも、「『ストロベリーナイト』? 竹内結子?」「『沙粧妙子 -最後の事件-』。(浅野)温子のほうです」というセリフが出てきたり、『花より男子』シリーズの小栗旬を思わせる杉岡さん(西田尚美)の「まーっきの!」などなど、さまざまな作品に関するネタが散りばめられてきました。制作側のこだわりが感じられ、見ていて楽しいシーンではあるのですが、“ネタ感”があからさますぎて、今回のような重いストーリーには少々邪魔になっているようにも感じました。
メタネタ以外にも、悲しい結末を迎えた事件の後に、「スナック完落ち」でひよりが楽しそうに餃子パーティーに参加していたことにはちょっと違和感があったし、手紙とカレーの感動的な余韻をもう少し残してもいいんじゃないかなというのが個人的な感想です。
シリアスになりすぎない……というのがこの作品の良さだとは思います。でも、悪く言えば、“コメディ”と“シリアス”のどっちつかず。中途半端な構成が、視聴者をモヤモヤっとさせてしまって、それが視聴率ダウンにつながっているような気がしました。
とはいえ、メゾンのおじさんたちのワチャワチャ感はもっと見ていたいんですけど!
■次回は高平回!
今夜放送の第6話は、みんな大好き(?)小日向文世さん演じる高平さん回! メゾンの中でも一際明るくてムードメーカー的存在なキャラクターだけに、100%コメディに振り切れば、5話とのギャップも生まれるし、楽しいお話になると思うんですが、そんな単純にはいかないんでしょうね……。
(文=どらまっ子TAROちゃん)