ジェジュン、「コロナ感染」ウソ投稿は“報道NG”!? 大手プロ・ケイダッシュがマスコミに“圧力発動”のウワサ

 4月1日、自身のインスタグラムで「新型コロナウイルスに感染した」というエイプリルフール投稿を行ったJYJ・ジェジュン。彼の愚行にネット上では「不謹慎だ」という批判の声が相次ぎ、すでに複数の番組出演が見合わせになるなど、芸能活動に大きな影響を及ぼしている。翌2日には、海外メディアでも、ジェジュンへの批判的な記事が報じられていたが、日本の主要メディアはというと、ほとんど報道がなされなかった。関係者によると、その背景には、国内の新聞社やテレビ局に対し、ジェジュンの日本での活動をマネジメントする大手プロより「報道NG」と通達されていたことが関係しているという。

 同日、ニュースサイトがジェジュンの新型コロナ感染を報じ始めると、事態を察した彼は慌てたように、「エイプリルフールのジョークだった」とする投稿に差し替え、オフィシャルサイトでも、「感染の事実はないことをご報告させていただきます」と公式発表が行われた。

「実はこの時点で、ジェジュンと業務提携を結んでいるケイダッシュより、一部メディアに『投稿はエイプリルフールのネタなので、報道するな』という通達が行われていたようです。夜になると共同通信が、一連の騒動を配信するに至ったものの、こちらも転載はNG。一部の一般紙には掲載されたようですが、多くのメディアがケイダッシュの言い分に従いました」(スポーツ紙記者)

 同日夜、ジェジュンは日本語でTwitterを更新。「注意喚起のためだった」と投稿の真意について詳しく説明した上で、騒動になったことを、あらためて謝罪した。

「現在ケイダッシュは、ほかの大手プロなどと同様、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて会社全体が閉鎖状態。メディアは一度、エイプリル投稿に騙されているため、ジェジュンの一連の騒動について記事化する際は、事務所への確認作業を必須としていたものの、窓口が閉まっているため、担当者の携帯番号を知らなければ取材もできないという状態に。番号を知っていたとて、『報道はNG』という回答なので、結果的に補足もフォローも得られないわけですが……。ケイダッシュは2017年、所属タレントである渡辺謙の不倫騒動時も、同じように厳しい報道規制を敷いていたため、各メディアとも後追い記事さえ出しづらい状況でしたが、『今回は話が違うだろ!』と各所から呆れられています」(同)

 とはいえ、ケイダッシュ総帥・川村龍夫会長も、今回の騒動には怒り心頭だという声も聞こえてくる。

「最終決定の権限は、韓国のプロダクションが持っているものの、しばらく芸能活動を自粛することは想像に難くない。それに、たとえ活動を再開することになったとしても、新型コロナウイルス問題自体が落ち着くまで、表立った活動が見合わせとなるのは必至でしょう」(芸能プロ関係者)

 番組出演が急遽取りやめになるなど、「客観的にもわかる事実」しか報じられないジェジュン。今後もしばらく、ファンの不安や心配が尽きることはなさそうだ。

NCT127から紐解くK-POPとBig beat/Digital Rockジャンル――The Prodigy・80KIDZほか18曲

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。3月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

今月の1曲 ‖ NCT127 엔시티 127 - 영웅 (英雄; Kick It)

 SM Entertainment所属、NCT127の「영웅(英雄; Kick It)」です。この曲の収録されているアルバム『Neo Zone』が本当に傑作で、収録曲を1曲ずつ紹介したいぐらいなのですが、今回はあまり馴染みがないであろう、同曲のメインとなっているジャンル「Big Beat」や「Digital Rock」について解説していきたいと思います。

 まずは「英雄」について少し解説します。曲の全体的な印象としては今回紹介するBig BeatやDigital Rock、はたまたNu MetalやRap Metal(日本ではMixture Rockと呼ばれる)ですが、ビートはTrapがメインになっているため完全にBig Beat、Digital Rockとは言えないかもしれません。また2:55~の8小節は以前紹介したJukeが取り入れられたりしていて、さまざまな要素がたくさん詰め込まれた1曲です。

 さて、Big beat/Digital Rockについてですが、厳密にいうとこの2つはまったく同じものではありません。先にDigital Rockについて説明すると、90年代に日本の音楽誌上で流行した用語で、一般的には「デジロック」などと言われます。Hip-hopの「ミドルスクール」と同様に、基本的には日本でしか使われない呼称です。先程挙げたMixture Rock(ミクスチャー)も同じような立ち位置で、日本では呼称があるけれど、それ以外では一般的ではない括りの一つです。

 なのでBig beatに括られるような曲はもちろん、Big beatには入らないようなもっとRock/Punk寄りの楽曲もデジロックに括られることもあります。個人的にはデジロックはロックがベースで、そこに電子音が入るものというイメージです。

■80KIDZ - Hide

Big beatとは?

 Big beatについては説明がかなり長くなりますが、簡潔に言うとヘビーで歪んだブレイクビーツにシンセやFunk、Soul、Jazz、Rockなどの楽曲をサンプリングしループしたものを使う、BPM100~140ぐらいのエレクトロニック・ミュージック……ですが、この説明でピンとくる方はあまりいないと思うので順を追って説明していきます。

 まずBig beatという単語についてですが、1989年イギリスのElectronicデュオ「Big Bang」のIain Williamsがロンドンの雑誌「Metropolitan」でのインタビューで、自分たちの楽曲スタイルを表現するのに「Big beat」というフレーズを使ったのが初めてと言われています。この曲がリリースされた際のインタビューですが、楽曲はABBAの「Voulez Vous」という曲をアラビック調に(今で言う)Remixしたものです。

■Big Bang - Voulez Vous

 90年代に入り、イギリスのレイヴ、クラブシーンではBritish Hip-hop、Chillout、Ambientなどのジャンルがはやっており、そこにTrip hopやBreakbeatなどのサブジャンルが登場しました。92年に、のちのThe Chemical BrothersとなるTom RowlandsとEd Simonsの2人はマンチェスターのNaked Under LeatherというクラブでDJを始め、彼らはHip-hopやTechno、Houseをプレイしていましたが、自分たちが持っているインストHip-hop(トラックだけでラップなどが乗っていないもの)をかけつくしてしまったため自分たちで作ることにします。

■The Dust Brothers - Chemical Beats (Extended Mix)

 この、ドラムがずーっと同じパターンでループされているのをブレイクビーツ(詳細は8月の記事)と呼びますが、そこにビキビキなシンセのサウンドを乗せたり、まさにタイトル通りChemicalな雰囲気の感じられる楽曲です。彼らは最初「The Dust Brothers」というユニット名で活動していましたが、アメリカに同名のグループがいたため、この楽曲の「Chemical」を取り、「The Chemical Brothers」という名前になります。

 一方で、90年に結成したThe Prodigyは80年代後半からイギリスで爆発的に広がったレイヴシーンから影響を受けていました。Acid HouseやTechnoといった音楽、エクスタシーなどのドラッグの流行により、若者が今までのナイトクラブになかった新しい音楽やパーティ経験を求めるようになると、倉庫や郊外の廃屋、屋外を利用して一回限りのイベントが行われるようになり、それは「Revolution Live」からの造語でRave(レイヴ)と呼ばれました。91年にリリースされたThe Prodigyのデビューシングル、「Charly」はレイヴ・アンセム(定番曲)と言われ、UK Single Chartでも3位になります。この曲もブレイクビーツとシンセの印象的な楽曲です。

■The Prodigy - Charly

 巨大化したレイヴはドラッグ汚染などがイギリス政府に問題視され、94年にはクリミナル・ジャスティス法(レイヴ禁止法とも呼ぶ)によりレイヴが非合法化されます。それをきっかけにレイヴは政府公認の大規模な商業イベントとアンダーグラウンドなクラブシーンへと二分化して行きます。

 レイヴカルチャーが彼らの考えるものとは乖離してきていることに幻滅し、94年にリリースされたアルバムはレイヴサウンドから距離を置いたブレイクビーツ、Hip-hopやAlternative Rockの融合したものとなります。

■The Prodigy - Poison

■The Prodigy - Voodoo People

 「Poison」はHip-Hop要素が強いながらもビキビキとしたシンセなどは顕在で、「Voodoo People」は私が以前紹介したサイケトランスの源流を感じます。

 95年にはブライトンのConcorde clubにて、のちのFatboy SlimとなるNorman CookとDamien Harrisが「The Big Beat Boutique」というクラブイベントを始めます。この名前が人気を博し、「Big beat」というフレーズが広まっていきます。今まで名前を挙げたThe Chemical Brothers、The Prodigy、Fatboy Slimはイギリス出身ですが、 イギリスだけではなくアメリカのチャートの上位にもランクインし、Junkie XL、The Crystal Method、Propellerheadsなどのフォロワーを生み、99年に公開された『The Matrix(マトリックス)』という映画のサウンドトラックとしてThe ProdigyやPropellerheadsの楽曲が採用され、そのサウンドトラックはプラチナディスク認定され商業的にも成功を収めます。

 『The Matrix: Music from the Motion Picture』に収録されている3曲がこちらです。

■The Prodigy - Mindfields

■Propellerheads - Spybreak!

■Lunatic Calm - Leave You Far Behind

 また、今までコラムで紹介してきたクラブミュージックは、日本に輸入されて取り込まれるのに少し時差があることが多いのですが、Big beat/Digital Rockに関してはそこまで差がなく、日本にも韓国にも取り入れられます。

日本と韓国にも及んだBig beat/Digital Rock

■HOTEI - BELIEVE ME, I'M A LIAR(98)

■SECHSKIES(젝스키스) - 학원별곡 (學園別曲)(97)

■NRG - Face(페이스)(99)

 2000年に入った頃にはもうムーブメント自体が衰退してしまい、あっという間に流行って廃れたというジャンルのイメージが強いですが、TechnoとRock、Metalなどを合わせた「手法」は今も残っており、たくさんのアーティストが影響を受けています。

 K-PopでBig beat楽曲と呼べるものはあまりないかもしれませんが、デジロック楽曲をいくつか挙げたいと思います。

■THE KOXX (칵스) - Oriental Girl (2011)

■Glen Check - Disco Elevator (2011)

■B.A.P - POWER (2014)

■비닐하우스 The VilnylHouse - Negative Love (2015)

■Dreamcatcher(드림캐쳐) - Scream (2020)

<落選したけど……紹介したい1曲>
■DONGKIZ - LUPIN

DONGYO Entertainment所属、5人組ボーイズグループDONGKIZ(ドンキッズ)の5回目のカムバックです。2019年4月のデビューですが、定期的にカムバしており、彼らしか所属アーティストがいない事務所なのに一体どうやってお金が回っているのか不思議なグループです。年始の記事でもさり気なく紹介しています。MVでも良かったのですが、音楽番組で手品を披露するという新しい試みをやっているので今回はあえてステージ動画を貼りました。

<近況>
この状況でイベントが出来ないので突然家からDJ配信をすることにしました。この記事の公開された次の日、4月4日(土)の20時~Twitchにて、SMエンタしばりでDJします。詳しくはTwitterをチェックしてください!

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
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ジェジュン、『Mステ』出演中止は「新型コロナ感染」ウソ投稿の影響? 「悪意ないのに可哀想」複雑なファンも

 韓国の人気アイドルグループ・JYJのメンバーで、近年はソロアーティストとして日本でも活躍するジェジュン。4月2日に更新された公式サイトで、翌3日放送の『ミュージックステーション 3時間SP』(テレビ朝日系)の出演を見合わせると発表し、ネット上のファンが複雑な思いを寄せている。

「ジェジュンは1日、自身のインスタグラムに『新型コロナウイルスに感染しました。政府や周辺の注意を無視して生活した私の不注意でした。入院しています』といった投稿を行い、世間を騒然とさせました。ニュースサイトが『ジェジュン、新型コロナ陽性』と報じ始めると、慌てたように“エイプリルフールの嘘”であったことを明かしたのです」(芸能ライター)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が世界中で問題視される中、ネット上では、エイプリルフールを迎える前から「コロナ関係の嘘は笑えないし、さすがに誰もやらないよね?」「いや、絶対やらかす人いそう」などと言われていたが、まさに“やってしまった“のがジェジュンだったのだ。

「本人は1日のうちに、韓国語での謝罪文をインスタに、日本語ではTwitterに投稿。その中で『現時点での危険性を伝えたかった』と、感染したという嘘をついた意図を説明しました。しかし結局“炎上”し、同日予定されていた『古家正亨のPOP A』(NHKラジオ第1)への出演が取り消され、続いて『Mステ』の出演もナシに。日本版の公式サイトには、『Mステ』に関し、『諸般の事情により出演を見合わせる事になりました』としか記載されていませんが、ネット上では『エイプリルフールに不謹慎な嘘をついたことで、事務所側から何らかの処分を下されたのではないか』とみられています」(同)

 この件については、ファンの間でも反応が割れており、ジェジュンの感染が嘘と明かされた時から「見損なった」「やって良いことと悪いこともわからないのか!」「本気で心配して、嘘とわかった今も悲しい気持ち」などと批判する声もあれば、一方で「ジェジュンの気持ちは伝わったよ」「やり方を間違えてしまっただけ」「ラジオに続き『Mステ』出演まで白紙になるなんて、悪気はなかっただけに可哀想」と、擁護する声も出ている。

「それでも、『最初から、真面目に危険性を伝える投稿をしてくれたら良かったのに』『なぜわざわざエイプリルフールのネタに走ったのか』という意見が多く、実際それに尽きるでしょう」(同)

 ジェジュンに悪意はなかったとしても、誰も幸せにならない結末を迎えてしまったようだ。

JYJ・ジェジュン、「新型コロナ陽性」とウソ投稿! 事務所幹部が激怒で「活動撤退」も!?

 JYJ・ジェジュンが、自身のSNSで、新型コロナウイルスに感染したとする“エイプリルフール”投稿を行った。すでに訂正されているものの、一般人だけでなく、身内の関係者も大激怒で、「謝罪だけでは絶対に済まされない」という声も聞こえてきた。

「ジェジュンは4月1日、インスタグラム上に『新型コロナウイルスに感染した。現在入院中』という内容の文章を投稿。すると、すぐさま国内や韓国メディアが『ジェジュン、新型コロナ陽性』とするニュース記事を配信しました。同時に、ジェジュンの国内マネジメントの窓口であるケイダッシュグループにも、日本のマスコミから取材が殺到。パニックに近い状況となりました」(テレビ局関係者)

 ところが、ニュース記事になったことに慌てたのか、ジェジュンはこの投稿をウソであったと示唆する内容に“差し替え”。ニュースサイトも訂正を出す事態となっている。

「ジェジュンとしては、『新型コロナ感染は他人事ではない』という注意喚起のつもりで投稿したようですが、ネット上の日本のファンからは『いま最もついてはいけないウソ』『たくさんの人が亡くなっているのに、非常識』『理解できない』と批判が噴出。なお、ジェジュンの日本オフィシャルサイトには『ジェジュンがコロナウィルスに感染したとの情報につきまして、感染の事実はないことをここにご報告させて頂きます』という文章が掲載されましたが、マスコミ関係者の間では『まるで他人事のような内容』と指摘されており、『余計に世間の怒りを増幅させるのではないか』とも言われています」(同)

 この事態に、ケイダッシュ関係者からも怒りの声が続出しているようだ。

「幹部クラスが『アイツはバカなのか!!』と大激怒で、各所への謝罪とともに、ジェジュン自身に厳しい処分を科すと話しているようです。ジェジュンは、今回のウソで、身内だけでなく、自らのファン、テレビ局などのスタッフや関係者、共演したタレント、その事務所関係者までもを混乱に陥れた。期待してくれている全ての人を裏切ったも同然です。この事実は、そう簡単に帳消しにできるものではなく、活動謹慎、場合によっては日本国内での“活動撤退”まで考えられます」(芸能プロ関係者)

 関係者が対応に追われる中、果たしてジェジュンはこの事態をどう受け止めているのだろうか。

韓国映画『ミッドナイト・ランナー』での「朝鮮族」の描かれ方と、徹底的「偏見」の背景とは

近年、K-POPや映画・ドラマを通じて韓国カルチャーの認知度は高まっている。しかし作品の根底にある国民性・価値観の理解にまでは至っていないのではないだろうか。このコラムでは韓国映画を通じて韓国近現代史を振り返り、社会として抱える問題、日本へのまなざし、価値観の変化を学んでみたい。

『ミッドナイト・ランナー』

 「ディアスポラ(Diaspora)」という言葉がある。「離散」を意味し、何らかの形で祖国を離れ、新しい土地に定着して生きる人々を総称する言葉だ。韓国の近現代史には、日本に住む在日朝鮮人や中国の朝鮮族、旧ソ連のカレイスキー(高麗人)など、朝鮮半島にルーツを持つディアスポラが多数見受けられる。その背景には、日本による朝鮮の植民地支配の歴史がある。日本統治下での弾圧や貧困、戦争への徴用などをきっかけに、多くの朝鮮人が日本へ、中国へ、そして旧ソ連へと散らばっていったのだ。

 世界のどの民族のディアスポラもそうであるように、彼らは定着した新しい土地で、さまざまな差別や偏見と闘いながらマイノリティとしての歴史を築き、現在もなおたくましく生き続けている。いつかは祖国に帰りたいという思いを持ちつつも、移住した先の土着文化と自らの固有文化を融合させた第三の文化を形成し、文化的多様性を担うグローバルな存在でもある。例えば中国語と韓国語を流暢に話す朝鮮族には、日本や諸外国に留学して更に異なる言語を習得し、世界を股にかけて活躍する優秀な人も数多い。

 ディアスポラの話から始めたのは、今回取り上げる『ミッドナイト・ランナー』(キム・ジュファン監督、2017)の中で、物語を成り立たせる上で欠かせない「悪役」として朝鮮族が描かれているからだ。人気俳優が主演し、韓国で大ヒットを遂げた青春アクション映画である本作だが、コラムでは主人公たちの敵となる朝鮮族の描かれ方について考えてみたい。まずは映画の紹介から始めよう。

≪物語≫

 肉体派のギジュン(パク・ソジュン)と頭脳派のヒヨル(カン・ハヌル)は警察大学の同級生。二人はある晩、女の子との出会いを求めて遊びに行ったクラブからの帰り道に、若い女性が車で連れ去られる現場を目撃する。二人は早速、学校で習った捜査の知識を総動員し、チャイナタウンにある犯人のアジトにたどり着く。犯人たちは、若い女性たちの卵子を集め、不妊治療の病院に不法に売りつけるといった犯罪に手を染めた朝鮮族だった。女の子たちを助けようと立ち向かう二人だったが、逆に捕まって監禁されてしまい、辛うじて脱出するも、ほかの捜査が詰まっているからと警察からは後回しにされてしまう。正義感と使命感に燃える二人は、ついに自分たちの手で女性たちを救出しようと計画を立てる。

 韓国の警察大学とは、警察組織の初級幹部を育成するための国立大学で、卒業後には日本の警部補にあたる「警衛」として任用される。学費無料で警察公務員としての将来が保証されるため、競争率の非常に高い難関大学だ。日本の防衛大学のイメージに近いかもしれない。

 監督が「二人の青年の友情と熱い正義感、警察幹部候補としての使命感を通して、就職や経済的な面で苦しんでいる昨今の韓国の若者たちに勇気と希望を与えたかった」と語るように、犯罪捜査と青春をうまく掛け合わせ、男性コンビが大活躍するいわゆる「バディもの」である本作は、スカッとさせるアクションや笑いと涙を誘う物語が好評となり、観客動員560万人を超えるヒット作となった。『パラサイト 半地下の家族』でのキム家・長男の友達役の記憶も新しいパク・ソジュンと、ドラマ『ミセン』『麗』などに出演し、日本でも人気の高いカン・ハヌルという若手俳優の共演や、警察大学という珍しい舞台設定もヒットに一役買ったといえるだろう。

 だがその一方で、劇中に描かれている犯罪グループの描き方をめぐっては、上映禁止を求めて訴訟にまで発展するトラブルが起こった。実は日本語字幕には訳されていないため、日本の観客にはピンとこないと思うのだが、犯罪グループのメンバーが「凶悪な犯罪を起こす朝鮮族」であり、「彼らが暮らすソウルの下町、デリムドンは犯罪の温床」という設定が、差別的で誤解や悪いイメージを与えかねないとして、在韓朝鮮族団体が猛反発したのだ。訴えは退けられ、上映が中止されることはなかったものの、韓国の若者に勇気と希望を与えたいという若手監督の素朴な願いは、皮肉にも差別的でステレオタイプ化されたイメージを朝鮮族にもたらしてしまったのである。

 私自身、男二人が友情を育んでいく様子を描く前半では、どこか照れくささを覚えながらほほ笑ましく見ていたのだが、犯人グループを追いかけて乗り込んだタクシーの運転手の「ここは朝鮮族の街だ。犯罪が頻発して真っ昼間でも怖くて出歩けない。治安も悪く、警察すら入らない」というセリフを聞いて、またかとあきれてしまった。デリムドンがチャイナタウンであることは事実だが、日本の横浜・中華街と同様、むしろ観光名所としていつもにぎわっている。映画の後半になると、完全に「主人公=正義」と「朝鮮族=悪」という二項対立の構図になり、独特な訛りのある朝鮮族の韓国語が過剰に耳に残る(韓国語がわからなくても、耳を澄ましてみるとイントネーションの違いがわかると思う)。

 だが実は、朝鮮族のこのような描写は本作が初めてではない。『哀しき獣』(10)、『新しき世界』(13)、『コインロッカーの女』(15)、そして『犯罪都市』(17)など、近年の韓国映画には「朝鮮族犯罪映画」ともいえる流れが生じており、これらの映画を通して作り上げられた悪いイメージがそのまま「朝鮮族嫌悪」となって朝鮮族全体に向けられてきたのだ。本作も含めて上に挙げた映画は、作品としての出来や評価とは別に、朝鮮族の表象において強い影響力を持っているので、これでは朝鮮族団体が怒るのも当然だろう。

 映画の影響も大きかったとはいえ、「우리 민족(我が民族)」という言い回しが大好きなはずの韓国人は、なぜ他民族ではない「朝鮮族」を嫌悪するようになってしまったのだろうか? 歴史的な話になってしまうが、韓国と朝鮮族をめぐる「ディアスポラから再会まで」の経緯を、ここで簡単に紹介しよう。

 朝鮮族は、主に中国の東北3省(遼寧・吉林・黒竜江)に居住する少数民族としての朝鮮人を意味する。この地域への朝鮮人移住の背景には、二つの歴史的変動があり、一つは1881年に清朝が実施した封禁政策の解除である。清朝発祥の地であるこれらの地方に、清は長い間外国人を入れないようにしていたのだが、漢人や朝鮮人による不法移住が続いたため、解除せざるを得なくなったのだ。とりわけ朝鮮人の場合は、長く続いた凶作による飢餓や貧困から逃れる目的が大半だった。

 もう一つは、1910年の日韓併合後、日本の植民地支配から逃れるための朝鮮人の大量流出だ。東北3省は旧満州に当たる地域で、特に抗日闘争の拠点としても重要な役割を果たしたことで知られるが、45年の独立後も中国の解放闘争や朝鮮戦争の混乱の中、半島に戻れない朝鮮人が多く残ったままだった。そして55年、中国の少数民族優遇政策のもと、延辺朝鮮族自治州(吉林省)が成立し、朝鮮の言語や文化、伝統を守りながら現在に至るまでディアスポラとして生活している。

 韓国が朝鮮族との「再会」を果たしたのは、まだ中国と韓国の間に国交がなかった79年のこと。文化大革命の後、中国政府が人道政策の一環として、中国内の朝鮮族に韓国訪問を許可したのだ。当時朝鮮半島をめぐって、日本・韓国・中国・北朝鮮の間で「地域平和のため」人的交流の必要性が共通認識されたことも後押しとなり、まずは中国政府によって厳選された朝鮮族が韓国を訪問した後、88年のソウルオリンピック開催や92年の中韓国交回復によってその数は急増した。およそ70万人が韓国に帰国しているが、現在も中国に暮らす朝鮮族も、いまだ180万人ほどいる。

 以上のような経緯で、朝鮮族は再び朝鮮半島に戻り、韓国人として暮らすようになったのだが、その数が増えるにつれて当然犯罪者も出始めた。犯罪者は朝鮮族のごく一部にすぎないが、何かあればすぐにメディアが大きく取り上げ、まるで朝鮮族そのものに問題があるかのような悪いイメージが作り出されていった。インターネットで「朝鮮族」を検索すると、瞬く間に「殺人」「組織暴力」「臓器売買」「結婚詐欺」「オレオレ詐欺」といったワードが後に続く。

 とりわけ私を驚愕させたのは、韓国公共放送KBSのお笑い番組だった。映画『哀しき獣』に登場する朝鮮族マフィアのコスプレをしたお笑い芸人たちが、オレオレ詐欺をするというコントが、ほぼ1年間にわたって毎週放送されたのだ。しかも、年間で最も優れた番組を表彰する「KBS芸能大賞」のお笑い部門で、このコントが「最優秀アイディア賞」を受賞するという始末。朝鮮族の当事者や2世、3世の子どもたちがどんな思いをするか、そんな当たり前の想像力すら持てないこの公共放送の徹底した無神経ぶりに、私は心の底から失望した。

 こんな状況を生んだ責任は、犯罪ばかりをクローズアップして報じてきたメディアにあると断言できる。韓国に暮らす70万人の朝鮮族を潜在的な犯罪者として扱うのは、あまりに理不尽だ。にもかかわらず、メディアが量産したステレオタイプを無批判に取り込み、その再生産に加担した映画の責任も無視できない。韓国映画は、一体いつになったら本当の意味で朝鮮族を「描ける」ようになるのだろうか? 在日朝鮮人の中から崔洋一や李相日といった監督が輩出されたように、後の世代を待たなければいけないのだろうか?

 韓国に留学した際に受けた朝鮮族に対する日常的な差別を『日本人のための「韓国人と中国人」――中国に暮らす朝鮮族作家の告白』(原題の直訳は『韓国はない』)として上梓した作家・金在国は、韓国での差別がむしろ「中国人である自分に気づかせてくれた」といい、「私の名前はキム・ジェグク(韓国語読み)ではない。ジン・ザイグォー(中国語読み)だ」と語る。彼のみならず、恐らく多くの朝鮮族にとって韓国との再会は、「同じ民族同士の喜び」から「他者という失望」へと変容しているだろう。だがそれでも、再び「再会の喜び」を手にする日への希望は持っていたい、と思う。

 歴史について多く語ってしまったが、最後に再び映画の話題に戻って終わることにしよう。なんでも日本では4月から、本作『ミッドナイト・ランナー』のドラマ版が放送されるらしい。主演はジャニーズの中でも乗りに乗っているSexy Zoneの中島健人とKing&Princeの平野紫耀。『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)と題されたこのドラマ、日本を舞台に、果たしてどんな「敵」が待ち受けているのだろうか?

崔盛旭(チェ・ソンウク)
1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。著書に『今井正  戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻  スクリーンのなかの他者』(岩波書店)など。韓国映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。

韓国映画『ミッドナイト・ランナー』での「朝鮮族」の描かれ方と、徹底的「偏見」の背景とは

近年、K-POPや映画・ドラマを通じて韓国カルチャーの認知度は高まっている。しかし作品の根底にある国民性・価値観の理解にまでは至っていないのではないだろうか。このコラムでは韓国映画を通じて韓国近現代史を振り返り、社会として抱える問題、日本へのまなざし、価値観の変化を学んでみたい。

『ミッドナイト・ランナー』

 「ディアスポラ(Diaspora)」という言葉がある。「離散」を意味し、何らかの形で祖国を離れ、新しい土地に定着して生きる人々を総称する言葉だ。韓国の近現代史には、日本に住む在日朝鮮人や中国の朝鮮族、旧ソ連のカレイスキー(高麗人)など、朝鮮半島にルーツを持つディアスポラが多数見受けられる。その背景には、日本による朝鮮の植民地支配の歴史がある。日本統治下での弾圧や貧困、戦争への徴用などをきっかけに、多くの朝鮮人が日本へ、中国へ、そして旧ソ連へと散らばっていったのだ。

 世界のどの民族のディアスポラもそうであるように、彼らは定着した新しい土地で、さまざまな差別や偏見と闘いながらマイノリティとしての歴史を築き、現在もなおたくましく生き続けている。いつかは祖国に帰りたいという思いを持ちつつも、移住した先の土着文化と自らの固有文化を融合させた第三の文化を形成し、文化的多様性を担うグローバルな存在でもある。例えば中国語と韓国語を流暢に話す朝鮮族には、日本や諸外国に留学して更に異なる言語を習得し、世界を股にかけて活躍する優秀な人も数多い。

 ディアスポラの話から始めたのは、今回取り上げる『ミッドナイト・ランナー』(キム・ジュファン監督、2017)の中で、物語を成り立たせる上で欠かせない「悪役」として朝鮮族が描かれているからだ。人気俳優が主演し、韓国で大ヒットを遂げた青春アクション映画である本作だが、コラムでは主人公たちの敵となる朝鮮族の描かれ方について考えてみたい。まずは映画の紹介から始めよう。

≪物語≫

 肉体派のギジュン(パク・ソジュン)と頭脳派のヒヨル(カン・ハヌル)は警察大学の同級生。二人はある晩、女の子との出会いを求めて遊びに行ったクラブからの帰り道に、若い女性が車で連れ去られる現場を目撃する。二人は早速、学校で習った捜査の知識を総動員し、チャイナタウンにある犯人のアジトにたどり着く。犯人たちは、若い女性たちの卵子を集め、不妊治療の病院に不法に売りつけるといった犯罪に手を染めた朝鮮族だった。女の子たちを助けようと立ち向かう二人だったが、逆に捕まって監禁されてしまい、辛うじて脱出するも、ほかの捜査が詰まっているからと警察からは後回しにされてしまう。正義感と使命感に燃える二人は、ついに自分たちの手で女性たちを救出しようと計画を立てる。

 韓国の警察大学とは、警察組織の初級幹部を育成するための国立大学で、卒業後には日本の警部補にあたる「警衛」として任用される。学費無料で警察公務員としての将来が保証されるため、競争率の非常に高い難関大学だ。日本の防衛大学のイメージに近いかもしれない。

 監督が「二人の青年の友情と熱い正義感、警察幹部候補としての使命感を通して、就職や経済的な面で苦しんでいる昨今の韓国の若者たちに勇気と希望を与えたかった」と語るように、犯罪捜査と青春をうまく掛け合わせ、男性コンビが大活躍するいわゆる「バディもの」である本作は、スカッとさせるアクションや笑いと涙を誘う物語が好評となり、観客動員560万人を超えるヒット作となった。『パラサイト 半地下の家族』でのキム家・長男の友達役の記憶も新しいパク・ソジュンと、ドラマ『ミセン』『麗』などに出演し、日本でも人気の高いカン・ハヌルという若手俳優の共演や、警察大学という珍しい舞台設定もヒットに一役買ったといえるだろう。

 だがその一方で、劇中に描かれている犯罪グループの描き方をめぐっては、上映禁止を求めて訴訟にまで発展するトラブルが起こった。実は日本語字幕には訳されていないため、日本の観客にはピンとこないと思うのだが、犯罪グループのメンバーが「凶悪な犯罪を起こす朝鮮族」であり、「彼らが暮らすソウルの下町、デリムドンは犯罪の温床」という設定が、差別的で誤解や悪いイメージを与えかねないとして、在韓朝鮮族団体が猛反発したのだ。訴えは退けられ、上映が中止されることはなかったものの、韓国の若者に勇気と希望を与えたいという若手監督の素朴な願いは、皮肉にも差別的でステレオタイプ化されたイメージを朝鮮族にもたらしてしまったのである。

 私自身、男二人が友情を育んでいく様子を描く前半では、どこか照れくささを覚えながらほほ笑ましく見ていたのだが、犯人グループを追いかけて乗り込んだタクシーの運転手の「ここは朝鮮族の街だ。犯罪が頻発して真っ昼間でも怖くて出歩けない。治安も悪く、警察すら入らない」というセリフを聞いて、またかとあきれてしまった。デリムドンがチャイナタウンであることは事実だが、日本の横浜・中華街と同様、むしろ観光名所としていつもにぎわっている。映画の後半になると、完全に「主人公=正義」と「朝鮮族=悪」という二項対立の構図になり、独特な訛りのある朝鮮族の韓国語が過剰に耳に残る(韓国語がわからなくても、耳を澄ましてみるとイントネーションの違いがわかると思う)。

 だが実は、朝鮮族のこのような描写は本作が初めてではない。『哀しき獣』(10)、『新しき世界』(13)、『コインロッカーの女』(15)、そして『犯罪都市』(17)など、近年の韓国映画には「朝鮮族犯罪映画」ともいえる流れが生じており、これらの映画を通して作り上げられた悪いイメージがそのまま「朝鮮族嫌悪」となって朝鮮族全体に向けられてきたのだ。本作も含めて上に挙げた映画は、作品としての出来や評価とは別に、朝鮮族の表象において強い影響力を持っているので、これでは朝鮮族団体が怒るのも当然だろう。

 映画の影響も大きかったとはいえ、「우리 민족(我が民族)」という言い回しが大好きなはずの韓国人は、なぜ他民族ではない「朝鮮族」を嫌悪するようになってしまったのだろうか? 歴史的な話になってしまうが、韓国と朝鮮族をめぐる「ディアスポラから再会まで」の経緯を、ここで簡単に紹介しよう。

 朝鮮族は、主に中国の東北3省(遼寧・吉林・黒竜江)に居住する少数民族としての朝鮮人を意味する。この地域への朝鮮人移住の背景には、二つの歴史的変動があり、一つは1881年に清朝が実施した封禁政策の解除である。清朝発祥の地であるこれらの地方に、清は長い間外国人を入れないようにしていたのだが、漢人や朝鮮人による不法移住が続いたため、解除せざるを得なくなったのだ。とりわけ朝鮮人の場合は、長く続いた凶作による飢餓や貧困から逃れる目的が大半だった。

 もう一つは、1910年の日韓併合後、日本の植民地支配から逃れるための朝鮮人の大量流出だ。東北3省は旧満州に当たる地域で、特に抗日闘争の拠点としても重要な役割を果たしたことで知られるが、45年の独立後も中国の解放闘争や朝鮮戦争の混乱の中、半島に戻れない朝鮮人が多く残ったままだった。そして55年、中国の少数民族優遇政策のもと、延辺朝鮮族自治州(吉林省)が成立し、朝鮮の言語や文化、伝統を守りながら現在に至るまでディアスポラとして生活している。

 韓国が朝鮮族との「再会」を果たしたのは、まだ中国と韓国の間に国交がなかった79年のこと。文化大革命の後、中国政府が人道政策の一環として、中国内の朝鮮族に韓国訪問を許可したのだ。当時朝鮮半島をめぐって、日本・韓国・中国・北朝鮮の間で「地域平和のため」人的交流の必要性が共通認識されたことも後押しとなり、まずは中国政府によって厳選された朝鮮族が韓国を訪問した後、88年のソウルオリンピック開催や92年の中韓国交回復によってその数は急増した。およそ70万人が韓国に帰国しているが、現在も中国に暮らす朝鮮族も、いまだ180万人ほどいる。

 以上のような経緯で、朝鮮族は再び朝鮮半島に戻り、韓国人として暮らすようになったのだが、その数が増えるにつれて当然犯罪者も出始めた。犯罪者は朝鮮族のごく一部にすぎないが、何かあればすぐにメディアが大きく取り上げ、まるで朝鮮族そのものに問題があるかのような悪いイメージが作り出されていった。インターネットで「朝鮮族」を検索すると、瞬く間に「殺人」「組織暴力」「臓器売買」「結婚詐欺」「オレオレ詐欺」といったワードが後に続く。

 とりわけ私を驚愕させたのは、韓国公共放送KBSのお笑い番組だった。映画『哀しき獣』に登場する朝鮮族マフィアのコスプレをしたお笑い芸人たちが、オレオレ詐欺をするというコントが、ほぼ1年間にわたって毎週放送されたのだ。しかも、年間で最も優れた番組を表彰する「KBS芸能大賞」のお笑い部門で、このコントが「最優秀アイディア賞」を受賞するという始末。朝鮮族の当事者や2世、3世の子どもたちがどんな思いをするか、そんな当たり前の想像力すら持てないこの公共放送の徹底した無神経ぶりに、私は心の底から失望した。

 こんな状況を生んだ責任は、犯罪ばかりをクローズアップして報じてきたメディアにあると断言できる。韓国に暮らす70万人の朝鮮族を潜在的な犯罪者として扱うのは、あまりに理不尽だ。にもかかわらず、メディアが量産したステレオタイプを無批判に取り込み、その再生産に加担した映画の責任も無視できない。韓国映画は、一体いつになったら本当の意味で朝鮮族を「描ける」ようになるのだろうか? 在日朝鮮人の中から崔洋一や李相日といった監督が輩出されたように、後の世代を待たなければいけないのだろうか?

 韓国に留学した際に受けた朝鮮族に対する日常的な差別を『日本人のための「韓国人と中国人」――中国に暮らす朝鮮族作家の告白』(原題の直訳は『韓国はない』)として上梓した作家・金在国は、韓国での差別がむしろ「中国人である自分に気づかせてくれた」といい、「私の名前はキム・ジェグク(韓国語読み)ではない。ジン・ザイグォー(中国語読み)だ」と語る。彼のみならず、恐らく多くの朝鮮族にとって韓国との再会は、「同じ民族同士の喜び」から「他者という失望」へと変容しているだろう。だがそれでも、再び「再会の喜び」を手にする日への希望は持っていたい、と思う。

 歴史について多く語ってしまったが、最後に再び映画の話題に戻って終わることにしよう。なんでも日本では4月から、本作『ミッドナイト・ランナー』のドラマ版が放送されるらしい。主演はジャニーズの中でも乗りに乗っているSexy Zoneの中島健人とKing&Princeの平野紫耀。『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)と題されたこのドラマ、日本を舞台に、果たしてどんな「敵」が待ち受けているのだろうか?

崔盛旭(チェ・ソンウク)
1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。著書に『今井正  戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻  スクリーンのなかの他者』(岩波書店)など。韓国映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。

「脱退しろ」と広告バス走らせ大炎上! EXO・チェン、“前代未聞”のデキ婚でアンチ過激化

 韓国のみならず、日本や中国でも人気のK-POPアイドル、EXOのメンバー・チェンがファンの尋常ではないアンチ行動に悩まされている。

 今月に入り、EXOのファンを自称する一部の熱狂的なコミュニティがチェンのグループ脱退を要請するため、バスの広告を使用すると宣言。「私たちが描く未来にチェンはいらない」「チェンの脱退を求める」と言った文言をバスにラッピングし、あろうことかチェンの故郷である京畿道始興市に5台も走らせると息巻いた。さらにSNS上では、実際にこの文言を掲載したバスの写真も拡散され、大きな波紋を呼ぶことに。

 なぜ、チェンはこれほどまでの批判に晒されることとなったのか。発端は1月にチェンの「デキ婚」が報じられたことだ。韓国においても、アイドルの熱愛報道は日本同様に大々的に報じられるが、現役で活躍中のアイドルが結婚、しかも相手が妊娠しているといった例は前代未聞。所属事務所のSMエンターテインメントは結婚を認め、「今後もチェンはアーティストとして、変わりなく一生懸命に活動する姿でお応えする」とコメント。チェン自身も直筆の手紙で「僕に祝福が訪れました」と妊娠を暗に認めるような言葉を記している。

「韓国では結婚より先に子どもを授かることを『速度違反』と呼び、批判的に捉えられる風潮がいまだにあります。儒教思想が根付いているため、婚前交渉はタブーという見方が一般的なんです。そのため、チェンの『デキ婚』ニュースは衝撃が大きかった。日本では嵐の二宮和也さんが結婚して、ファンも阿鼻叫喚でしたが、二宮さんと違ってチェンはまだ20代で兵役も終えていないし、なによりファンも若い。結婚や妊娠の事実を受け入れられない若いファンの多くが、アンチに転じてしまった印象です」(韓流メディア編集者)

 アンチたちの行動は、事務所のイベント施設前でデモを開催したり、事務所付近に脱退要請のメッセージが書かれた電光板を乗せた車を走らせたりと、加熱する一方。さらには、購入していた過去のEXOのCDを大量に事務所宛てに送付するなど、直接的な営業妨害にまで至っている。こうして冒頭の「バス広告」という非常識な手段にまでたどり着いたわけだ。

「韓国のファンは『とことんやる』のがお決まり。アイドルの家まで追っかけるのは朝飯前で、トイレにまでついて行ったりしますから。ファンの愛情がいきすぎてアンチに裏返るとさらに恐ろしいことに。有名なのは東方神起のユノの事件で、ファンに接着剤入りのジュースを飲まされて病院に運ばれたことがあります。2PMのテギョンは生理の経血で書かれたメッセージを送られたことも。最近だとBTSのジミンに何度も殺害予告が届き、TWICEのナヨンはストーカー被害に遭い事務所が刑事告発しました」(同)

 こうした事件は「K-POPあるあるだ」と前出の韓流メディア編集者は言うが、ファンの行きすぎた迷惑行為がアイドルの精神を蝕むケースも多発している。

「昨年、自殺した元KARAのク・ハラや元f(x)のソルリは、SNS上での悪質な書き込みに悩まされ続けていました。ほかにもファンの嫌がらせをきっかけに、活動休止に追い込まれるアイドルも。事務所も法的措置にでるなどの対応をしているのですが、正直アイドルへのケアが行き届いていない印象です。今回のチェンへの行動も異常ですよ。事務所と韓国のメディアが連携して、もっとファンへの啓蒙活動をすべきではないかと思います」(韓国現地新聞の記者)

 今回の悪質なバス広告は、ファンの問い合わせを受けた行政側が動き、結局は撤去されることになったそうだが、アンチによるチェンへの脱退要請は今後も続きそうだという。韓国を代表する文化となった「K-POP」だが、アイドルの人権にまつわる諸問題には課題が残されているようだ。

韓国映画『レッド・ファミリー』に見る、北朝鮮スパイの描かれ方の変遷とその限界

近年、K-POPや映画・ドラマを通じて韓国カルチャーの認知度は高まっている。しかし作品の根底にある国民性・価値観の理解にまでは至っていないのではないだろうか。このコラムでは韓国映画を通じて韓国近現代史を振り返り、社会として抱える問題、日本へのまなざし、価値観の変化を学んでみたい。

レッド・ファミリー

 『うつせみ』(2004)や『嘆きのピエタ』(12)など、奇抜な物語と過激な映像表現で「鬼才」と称され、世界有数の映画祭で数々の賞を受賞してきたキム・ギドク監督。そんな彼が製作・シナリオ・編集を手掛け、愛弟子のイ・ジュヒョン監督にメガホンを取らせたことで注目を集めたのが本作、『レッド・ファミリー』(13)だ。朝鮮半島南北分断の現実を北のスパイ団と南の一家族を通してユーモラスかつシリアスに描き、高い評価を獲得。日本でも第26回東京国際映画祭で観客賞を受賞している。

 韓国映画における「スパイ映画」は、朝鮮戦争直後の『運命の手』(ハン・ヒョンモ監督、1954)に始まり、昨年日本で公開された『工作 黒金星と呼ばれた男』(ユン・ジョンビン監督、2018)に至るまで、数えきれないほど作られてきた。それぞれの作品を掘り下げていくと、政権が替わるごとに、映画の内容やスパイそのものの描き方も変化していることがうかがえる。何よりも「反共」を国是としていた軍事政権下でのスパイ映画は、韓国に混乱をもたらし、社会転覆を狙って暗躍する北朝鮮のスパイを一網打尽にする物語がほとんどだった。映画に登場する北のスパイは、平気で韓国の人々を殺す殺人鬼であって、感情のある「人間」ではなかった。

 ところが90年代に入って民主化が進むと、スパイ映画にも変化が現れ始める。とりわけ、北朝鮮に対するそれまでの敵対政策から、平和と共存を目指す、いわゆる「太陽政策」への転換を打ち出したキム・デジュン政権と、これを受け継いだノ・ムヒョン政権下では、「我々は同じ民族」と訴える映画が量産された。スパイ映画のテーマが、イデオロギー(反共)からナショナリズム(民族的同一性)へと大きく流れを変えたのだ。『SPY リー・チョルジン 北朝鮮から来た男』(チャン・ジン監督、99)や『二重スパイ』(キム・ヒョンジョン監督、03)など、この時期に作られた映画において北のスパイは、もはや殺人鬼ではなく、喜怒哀楽の感情や内面を持つ一人の人間として描かれていた。

 このような流れは、保守派政権が続いたイ・ミョンバクからパク・クネ時代にも止めることはできなかった。かつての軍事政権時代とは比べ物にならないほど進歩した民主的社会と、それに伴う北朝鮮に対する認識の変化によって、国民は昔のような「北朝鮮=悪の塊」という単純で時代遅れのプロパガンダにはもう騙されなくなっていたからだ。こうした流れの中で作られたのが本作である。

<物語>

 仲良し家族のスンヘ(キム・ユミ)一家の本当の姿は、韓国に送り込まれた北朝鮮のスパイ団「ツツジ班」だ。妻役のスンヘは班長として、夫役のジェホン(チョン・ウ)と娘役のミンジ(パク・ソヨン)、祖父役のミョンシク(ソン・ビョンホ)を率いて、脱北者など裏切り者の暗殺や、軍事施設の情報収集を行っている。一方、隣に暮らす韓国人一家は、身勝手で金遣いの荒い妻(カン・ウンジン)と、彼女に振り回される夫(パク・ビョンウン)の喧嘩が絶えず、息子のチャンス(オ・ジェム)や祖母(カン・ドウン)は途方に暮れている。スンヘらはそんな隣家を資本主義のクズだと軽蔑するが、ミンジとチャンスが親しくなり家族同士の交流が始まると、次第に憧れを抱くようになる。そんな中、とある事情から「北朝鮮にいる家族のために手柄を立てよう」と焦ったスンヘは、スパイとして大きなミスを犯してしまい、「ツツジ班」のメンバーが処刑の危機に。「ミスを挽回したいなら隣の家族を始末しろ」と命じられたスンヘらは、命令を果たすべく、彼らを誘って旅に出る。だが旅先では思わぬ結末が待っていた。

 「隣の仲良し家族が、実は北の恐ろしいスパイだった」という設定は、韓国映画だからこそリアルさを感じられる。実際、南北に分断されてからの北朝鮮は、物売りを装ったスパイから武装スパイまで、ありとあらゆる形で韓国にスパイを送り続けてきたからだ。本作のように祖父から孫まで3世代家族に模したスパイというのは、さすがに検挙例がないものの、夫婦を装ったスパイ事件は数多く存在することからも、本作の設定はまったくあり得ない話ではない。

 夫婦スパイといえば、97年に韓国社会を震撼させた「夫婦スパイ団事件」が有名だ。当時の報道によれば、「内乱煽動、要人暗殺、情報収集」を任務として夫婦を装って送り込まれた彼らは、潜入後まもなく左派の政治団体関係者に近づこうとして怪しまれ、すぐに警察に通報され、あっけなく捕まってしまった。妻役のスパイは逮捕直後に隠し持っていた毒を飲んで自殺、そして夫役のスパイの供述に韓国社会は震え上がることになる。

 ひとつは、韓国に張り巡らされた北朝鮮のスパイ組織網には、ソウル大学の教授や地下鉄の運転手が含まれているということ。供述によってこれらの組織はすぐに潰されてしまったものの、スンヘ一家のように身近な存在の中にスパイが潜んでいたという事実は、軍事政権の終焉後、薄れつつあった北朝鮮の脅威を改めて韓国国民に実感させた。中でもソウル大のある教授は、60年代から30年以上にわたってスパイ活動を続けてきたというから驚きだ。

 北のスパイは、北朝鮮から直接送り込まれる「直派スパイ」と、韓国人になりすまして定着した者や彼らに抱き込まれた韓国人スパイを指す「固定スパイ」の大きく2種類に分けられる。調べによると約2万人は存在するといわれる固定スパイの中には、ソウル大の教授のように、朝鮮戦争で生き別れ、北に残された家族を人質にスパイ活動を強要される韓国人もいるという。本作でもスンヘらツツジ班のメンバーは、仲間が失敗したり裏切ったりすることで、北にいる本当の家族に危害が及ぶことを常に恐れていた。

 もうひとつの供述は、夫婦スパイ事件の半年前に起きた「イ・ハンヨン暗殺事件」に関わるものだった。イ・ハンヨンとは、キム・ジョンイル総書記の前妻ソン・ヘリムの甥にあたる人物。スイス留学中の82年に韓国に亡命、その後は総書記家族の暴露本を出版したり、北朝鮮の体制批判をしたりして常に暗殺の危険にさらされていた。韓国の情報当局KCIAは当然彼の身辺警護にあたっていたが、一瞬の隙をついてイ・ハンヨンは暗殺されてしまった。韓国側は犯人逮捕に失敗、北朝鮮は暗殺への関与を否定し続けたのだが、捕まった夫役スパイの供述で、北のスパイによる犯行であったことが明らかになった。

 「イ・ハンヨン暗殺事件」の衝撃は大きく、保守系メディアは「安保不感症」「だらけた反共精神を引き締めよ」と鼻息を荒くし、巷では「早朝に背広姿で山から下りる者はスパイだ」とか、「タバコの値段を知らない者がいたら通報せよ」といった、ひと昔前のスパイの見分け方が再び取り沙汰された。本作での、北を批判する脱北知識人暗殺の場面は、もしかしたらこの事件がモチーフになっているのかもしれない。

 一方で、これらの一連のスパイ事件を、政府によるでっち上げだと危惧する声も少なからずあった。軍事政権下の60~80年代には、反政府的知識人や大学生らをスパイに仕立て上げて弾圧を正当化するやり方が横行していたからだ。もちろん「密室・拷問」が当たり前だった軍事政権とは違い、97年当時の政府は捜査から逮捕まですべてオープンにしていたので、懸念にすぎなかったわけだが、韓国ではスパイや暗殺といった映画のような話が、今でも十分現実に起こり得るのだ。

 だが、以上のような背景と照らし合わせて本作を見ると、ひとつ気になることがある。北のスパイを「脅威」としてではなく「同化」できる同じ民族・人間として捉えるのはよいのだが、その同化とは、あくまでも「韓国への同化」だということだ。とりわけ、ラストシーンでのスンへらによるチャンス家族の過剰な「真似」は、それを強く物語っている。北朝鮮のスパイたちは、欠点は多いものの、のどかに暮らしている韓国人家族を夢見る展開になっているのだ。

 本作だけではなく、ナショナリズム(民族的同一性)を強調するようになってからのスパイ映画のひとつの共通点は、最終的には「韓国の良さ」を際立たせているということだ。これも捉え方によっては、「人権意識もない、過酷で劣悪な北朝鮮」「人間らしく生きられる幸せな韓国」といった単純な二項対立の図式を通し、良しあしを決め付けるプロパガンダになり得るのではないだろうか。そういう意味では、表現の違いこそあれ、昔も今もあまり変わっていないといえるかもしれない。強いて言うなら、「ハードな反共」が「ソフトな反共」に変わっただけということか。

崔盛旭(チェ・ソンウク)
1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。著書に『今井正  戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻  スクリーンのなかの他者』(岩波書店)など。韓国映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。

※サイゾーウーマン編集部より
今回取り上げました『レッド・ファミリー』の製作・シナリオ・編集を手掛けたキム・ギドク氏は2017年、監督作『メビウス』(13) 撮影中に出演女優に平手打ちをし、 事前台本にはなかった性行為シーンやヌードシーンを強要したとして告発されました。そのうち、平手打ちなどの暴行については、罰金500万ウォン(約50万円)の略式命令が下っています。また18年には、別の2人の女優がテレビ番組で、キム・ギドク氏のセクハラ行為やレイプを訴えています。

編集部として、 彼の行為は決して許されるものではなく、断罪されてしかるべきものだったと確信していますが、今回、「韓国映画におけるスパイの描かれ方の変遷」というテーマを語る上で、『レッド・ファミリー』 を取り上げることが最適だと考えました。性暴力加害者を支援する意図、 間接的とはいえ作品を取り上げることで彼の経済活動を援助する意図はないことを、改めて表明します。

BIGBANG、事務所と再契約! スキャンダルまみれの復活も「問題はエイベックス」と関係者

 事実上活動休止中だったK-POPグループ、BIGBANGの”再契約”が韓国で報じられ、本国のみならず日本のファンたちも喜びの声を上げている。

 BIGBANGは2006年に、韓国の芸能事務所YGエンターテインメント(以下、YG)からデビュー。「韓国歌謡の歴史を変えた」とも言われる活躍で一時代を築き、本国はもちろん海外でも多くのファンを獲得した。日本でいえば、SMAPや嵐に匹敵する国民的グループだ。

 しかし、2018年、メンバーのV.I(スンリ)が経営に携わっていた、ソウル市江南区にあるナイトクラブ「バーニング・サン」で起きた暴行事件をきっかけに、性接待の斡旋、麻薬販売、盗撮動画の流失などといった疑惑が噴出。芸能界だけでなく、政財界をも巻き込んだ大スキャンダルに発展した。このことにより、兵役中だったV.Iは後に逮捕状を請求されることになる。

「このスキャンダルは『バーニング・サン事件』と呼ばれ、事件に関わった芸能人たちは世間から激しいバッシングに遭いました。結局、V.Iもこの騒動を受け、グループを脱退。YGからも専属契約を解除され、引退を余儀なくされました。もちろん、グループ自体のイメージも相当悪くなってしまいました」(韓流メディア編集者)

 さらに「バーニング・サン事件」は、所属事務所YGの代表であるヤン・ヒョンソク氏にも飛び火した。ヤン氏自身にも脱税や性接待の斡旋などの疑惑が噴出。それに加え、19年にBIGBANGの弟グループ・iKONの元リーダーB.Iに麻薬使用疑惑が浮上した際、この疑惑の情報提供者を脅迫したと告発され、警察が動くこととなりYGの代表職を辞任するに至った。

「YGは、90年代にヒップホップグループで活動していたヤン氏の楽曲プロデユースがあって成り立っていた事務所でもあった。そのため、ヤン氏の不祥事によって事務所全体のイメージは失墜、韓国でのYGの評価は下がりきっています。BIGBANGの復帰を待っているファンはもちろんたくさんいますが、世間一般の目は厳しく、一度ついてしまったダーティーなイメージを払拭できるのか心配です」(同)

 韓国国内ではYGやBIGBANGに対して批判的な意見もいまだに多く散見され、イメージの回復には時間がかかりそうだ。そうなると、海外活動に活路を見出いだす必要が出てくるだろう。特にドームコンサートを成功させていた日本には、いまだに根強いファン層が存在しているため、早々に動き出しそうにも思える。しかし、なかなかそうもいかない事情があるそうだ。

「日本でのBIGBANGの活動はYGとエイベックスが共同で設立したYGEXがサポートしてきました。日本での活動再開もやはりYGEX、ひいてはエイベックスが仕切るのではないかと思います。ただ、エイベックスはヤン氏との結びつきが非常に強かったので、YG側はそこが懸念となるでしょうね」(レコード会社関係者)

 なんでも、日本ではユニバーサルミュージックに所属していたBIGBANGを、エイベックス幹部が直々にヤン氏へ接待攻勢をかけて、移籍およびYGEXの設立を取り付けたという話だ。

「ヤン氏は日本に来るたびに、松浦勝人氏やエイベックス関係者と接見していた。そんなヤン氏がいなくなったYGとエイベックスの関係が今後どうなるかは未知数です」(同)

 また、V.Iとは別に問題を抱えるメンバーもいる。16年、兵役中にマリファナを喫煙した容疑で起訴されたメンバーのT.O.Pだ。17年には精神安定剤の過剰摂取で救急搬送、今年の2月には泥酔した状態でインスタライブを配信し、「韓国では、復帰しない。復帰自体したくない」と漏らすなど、不安定な状態が続いている。

「BIGBANGには日本語が堪能なメンバーもいるし、キャラ立ちもしている。何よりパフォーマンスが唯一無二ですからね。エイベックスだって彼らの復帰を後押ししたいと考えるだろうし、待っているファンも多いはず。けれども、スケールの大きいアーティストだけに『バーニング・サン事件』にしろ、T.O.Pの薬物にしろ、スキャンダルの規模もでかすぎるんですよ(苦笑)。このリスクをエイベックスがどう捉えるのか……」(同)

 復活のステージとして見越されていた北米最大級の音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル」も、新型コロナウイルスの影響で4月から10月へ延期するなど前途多難だが、復帰を待つファンの期待に応えてほしいところだ。

東方神起は「ウイルス拡散宗教の信者」!? 本国でデマ拡散、事務所は法的措置を宣言

 日本でも絶大な人気を誇るK-POPグループ・東方神起について、新興宗教「新天地イエス教会」の信者であるというウワサが韓国内で拡散され、物議を醸している。

 「新天地イエス協会」(以下、「新天地」)といえば、韓国での新型コロナウイルス感染者拡大の原因にもなったといわれる団体で、米有力紙ニューヨーク・タイムズでも「韓国で確認される感染者4000人以上のうち、60%が新天地イエス教会の関係者である」と報じられている。ソウル市は同団体の教祖と教団幹部を「殺人罪」で刑事告発。これを受け、翌日に同団体のイ・マンヒ総会長は記者会見を開き、土下座で謝罪。この模様は日本のメディアでも大きく取り上げられた。

 そんな中、韓国のネット上で「新天地イエス協会の芸能人信者リスト」なる文書が流布、拡散され、そのリスト内に有名俳優らと共に東方神起の名も挙がっていたのである。この報道を受け、日本の音楽業界関係者はため息を漏らす。

「すでに東方神起は、日本でのイベントがコロナウイルスの影響で延期になるなど、損害が出ている。ですが、今回の『新天地の信者だ』というウワサは明らかにデマですし、今後の活動に支障が出ることはないと思います。ただ、根も葉もない話が発端でトイレットペーパーの買い占めが起こったように、人々が不安になっている時に流される“ウワサ”や“憶測”の類が及ぼす悪影響を考えると、デマとはいえ看過できない。こんなことに巻き込まれた東方神起は完全に被害者ですから、韓国の事務所も黙ってはいないでしょう」

 関係者がこう語るように、SMエンターテインメントはすでに「現在ネット上で流布されている内容は事実ではない。これは全く根拠のないデマ。当方のアーティストは特定の宗教とは無関係」と真っ向からウワサを否定。「(デマの拡散など)アーティストの名誉を傷つける不法行為に対しては法的措置をとる」と発表した。韓流系メディアの編集者はこう語る。

「東方神起は昨年日本デビュー15周年を迎え、今も根強い人気がある。日本で一番知名度があるK-POPアーティストといえるでしょう。また、『新天地』についても、土下座会見の様子が広く報道されましたから、たとえ事実でなくとも『東方神起が新天地の信者だとウワサされた』ことに、日本のファンも動揺していました。ですから、事務所が迅速に声明文を出したのは賢明な判断だったと思います」

 思わぬデマ被害に遭った東方神起は災難だったが、こうした新型コロナウイルスによる混乱は収まる気配がない。エンタメ業界が被る被害もまだまだ拡大していきそうだ。