NCT2020で始まった「RESONANCE」活動のリパッケージアルバム「NCT RESONANCE Pt. 2 - The 2nd Album」の先発曲、「90's Love」です。
メンバーはテン、ウィンウィン、マーク、ジェノ、ヘチャン、ヤンヤン、ソンチャンの7人で、公式の説明はこのようになっています。
作詞はSM Entertainmentお抱えの作詞・作曲家Kenzie。少女時代の「Into the New World」やEXOの「Overdose」、最近ではRed Velvetの「Psycho」やベッキョンの「Candy」を作詞し、今年に入ってからはITZYやTHE BOYZ、TWICEなどSM外のアーティストにも詞を提供しています。SHINeeの「SHIFT」やNCT Dreamの「We Young」「We Go Up」、ベッキョンの「R U Ridin'?」などは、作詞作曲どちらも手掛けており、作曲は複数人でやることが多いですが、一番最初に名前が並んでおり、かなりの比率でSMの楽曲に携わっていることがわかります。Kenzieは1976年生まれで、まさに本人が10代~20代の多感な時期を過ごしてきた90年代を思い返して歌詞を書いたのではないでしょうか。
冒頭0:18~の「Here we go, yo, here we go, yo」がほぼ同じなので、ここから引用しているのではないでしょうか。
A Tribe Called Questは90年代を代表する伝説のグループといわれるほどで、この「Scenario」はなんと100曲以上にサンプリングされています。 Jazzy Hiphop特集の際、Jazz Rapというくくりで紹介しました。
■A Tribe Called Quest - Scenario (91)
9:「Don't this hit 진짜 느낌 오는 jump jump」(Don't this hit マジで良い感じの jump jump) (1:20)
Busta Rhymesの「Pass The Courvoisier Part II」から「Don't this shit make a nigga wanna (JUMP JUMP!!!!)」のフレーズをそのまま引用しています。今まで90年代で固めてきたはずなのに、ここだけ2001年リリースの楽曲なのは何か意味があるのでしょうか……。どうせなら90年代楽曲のフレーズで押し切ってほしかったです。
94年頃からSnoop DoggやA Tribe Called Questなどの人気ラッパーたちがアイスホッケーのユニフォームを着始めます。直接的な理由はわかりませんが、ユニフォームの原色デザインが90年代の原色で色とりどりなファッショントレンドに合っていたことや、バスケなどでもそうですが、地域毎にチームが存在するためHiphopのレペゼン文化(※)に合っていたのではないでしょうか。Snoopは大のアイスホッケーファンといわれており、さまざまなチームのユニフォームを着ていますが……。
というのも、それ以外のシーンは皆Air MaxやAir Jordan、Air Forceなどを履いて、CarharrtやRaf Simonsなど昔からのブランドのものを身につけていますが、このシーンではヘチャンがCOMME des GARÇONSとASICSのGEL-Lyte IIIという今年発売されたスニーカーを履いていたり、マークが03年にできたBillionaire Boys Clubの今年発売されたシャツを着て、ソンチャンがRhudeという13年に誕生したブランドのポロシャツを着ています。
さらに、引用するコンセプトの文化や国・地域などの背景まで考えると、文化の盗用の話も出てきそうで、同じくNCT Uの「Make a Wish」などは相当問題になりました。一方で「90's Love」は、アフリカンアメリカンカルチャーをここまで引用しているのに、今回はいいんだ……と変な気持ちです。変に騒ぐのも良くないと思いますが。
Mnetのサバイバル番組『PRODUCE X 101』から誕生したX1というグループに選ばれたメンバーが2人いましたが、PRODUCEシリーズの投票操作などの影響でX1が解散してしまったため、思ったより早くグループとしてデビューすることになりました(その2人はH&Dというユニットで先にデビューし半年程度活動していたので、このタイミングで9人組でデビューするのは少し驚きました)。
当時はまだジャズというジャンルが「ジャズ」という名称ではなく、アメリカ南部地域のことを指す「Dixieland」(ディキシーランド)と呼ばれていたといいます。その頃に、シカゴで結成されたニューオーリンズスタイルのバンド「Original Dixieland Jazz Band」の楽曲がニューヨークでレコーディングされ、この時に発売されたレコードがジャズ史の中で初めて発売されたレコードとされています。
ジャズに関連する映画はたくさんありますが、1930年代のニューヨークを舞台にした『ギター弾きの恋』(Amazon prime videoで視聴可能)や、ニューオーリンズで生まれ、シカゴ、ニューヨークと移動しながら活動を続けてきたルイ・アームストロングなどが出演した1958年のジャズフェスティバルを取り上げた『真夏の夜のジャズ』という映画がちょうど上映中です。終映してしまったところも多いですが、近くで見られそうな方は是非見てみてください。
1800年代後半にアメリカで野球が生まれ、現在のメジャーリーグは1903年に発足します。1920年にはベーブ・ルースが活躍し、戦時中や世界恐慌時に人気が下火になることもありますが、ジャズと時を同じくしてアメリカ全土で人気を博します。戦時中の人手不足があっても、アフリカンアメリカンはメジャーリーグへの出場は認められませんが、1947年にジャッキー・ロビンソンが初めてのアフリカンアメリカンのメジャーリーガーとして登場。彼が大活躍したことでアフリカンアメリカンの選手を雇う球団が増え、さらにはCount Basieによる「Did You See Jackie Robinson Hit That Ball?」というジャズ楽曲まで作られます。「HOME;RUN」の楽曲で、ジャズの「スウィング」と野球の「スウィング」がかかっていることがわかりますね。
■Count Basie & His Orchestra - Did You See Jackie Robinson Hit That Ball? (1947)
ミュージカル楽曲はミュージカル作品のために書かれているため、特定のアーティストのイメージが付きにくく、引用してジャズの楽曲としてアレンジしやすいというのもあるでしょう。日本でもCMなどに使われているため知っている方も多いであろう下記の曲は、1959年に上映されたミュージカル「The Sound of Music」の挿入歌です。
■John Coltrane - My Favorite Things (1965)
スウィングの関連ジャンルとして「Electro swing」(エレクトロ・スウィング、またはSwing house musicともいう)というジャンルがあり、スウィング・ジャズとエレクトロミュージックを融合させたジャンルで、「踊れるジャズ」とも呼ばれています。HouseやHiphop、Drum & Bass、EDMなどと混ざり合って1990年代に生まれたジャンルで、黎明期にはAcid JazzやNu Jazz、Swing houseなどともいわれていました。
DJ Tameilは、ニューアーク以外のアーティストが自分たちと同じスタイルのトラックをまだ作っていなかったため、2002年にニューアークの愛称である「Brick City」にちなんで、「Brick City club」というジャンル名を生み出します。自分たちの作ったトラックとBmoreのトラックを入れたミックステープを作り、前半はClub、後半はHouseというような構成でした。
ちなみに現在「Club music」というとクラブでかかるジャンルの音楽(≒ダンスミュージック)として捉えられがちですが、元々は90年代後半にニュージャージーで人気だったChicago HouseをClub musicと呼んでいました。その後、Baltimore clubとBrick City club(Jersey club)、またBaltimore clubから派生したPhilly clubの3つを指すようになります。ですので、このミックステープ前半の「Club」はBmoreやBrick City clubなどのことを指します。
Bmoreが成功を収め、Myspaceという音楽やエンターテインメントを中心としたSNSを介してシーンの知名度が上がり、ジャンル名がニューアークを越えて広まったこともあり、05年にはジャンル名を「Brick City club」から「Jersey club」に変えます。楽曲はMyspaceやファイル共有ソフトのLimewireにアップロードされ、さらには無料のミックスCDとして配布され、さまざまな場所でJersey clubがプレイされどんどんと広まっていきます。
Jersey clubはもともとDJがマイクパフォーマンスすることが盛んなジャンルですが、この時期はダンスがシーンの中心になりつつあり、 パーティでかける曲に決まった振りで踊るよう、DJがオーディエンスにダンスを呼びかける文化ができました。DJ中に毎回ダンスムーブをコールすることが嫌になったTim Dollaは、手を振って膝に当てるように踊る「Swing dat」というダンスムーブから、「Swing dat sh*t」というフレーズが連呼される曲を作り、 大ヒットします。
以降、気に入ったトラックを聞いたダンサーが自分たちでダンスを発案し、曲にのせて踊る動画をネットに上げるようになり、トラックの知名度も高まりました。現在のTikTokで起こっているような現象ですが、これが08年頃すでに行われていました。 ■DJ Sliink - Get Da Patty Cake Goin'
80年代のYMOの「ライディーン」やa-haの「Take On Me」、最近ではThe Weekndの「Blinding Lights」などが思い出されます。今月はJersey clubとシンセポップのどちらを特集するか最後まで悩みましたが、関連楽曲がJersey clubのが面白いかなと思いXUMを選びました。「LA DI DA」は振り付けと衣装がとにかくすごいので、是非音楽番組のステージなども見てみて下さい。