K-POPとアラビック音楽が面白い15曲! B.I.Gは「アラビア語バージョン」で人気拡大中

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。10月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

今月の1曲‖비아이지 (B.I.G) – ILLUSION

 GH Entertainment所属5人(6人?)グループ、B.I.Gのアラビック調の新曲です。メンバーの2人がアイドル再起プロジェクト番組『The Unit』への出演経験があり、これから日本で始まるアイドル発掘プロジェクト「G-EGG」にも再度出演予定とのことです。今回のリリースはシングルなのですが、同時にアラビア語バージョンも収録されており、なんとMVも別であります。

 そして驚くことにアラビア語バージョンの再生数が韓国語バージョンの倍近いことになっています。今までは日本語や英語、中国語、スペイン語バージョンの楽曲を用意するアイドルはたくさんいましたが、アラビア語バージョンをリリースしているのは彼らだけではないでしょうか。

 2019年年始に、彼らがラジオ番組「KBS World Radio Arabic」でアラビア語の楽曲をカバーし、アラブ圏での反応が良かったため定期的にアラビア語のカバー曲や自分たちの既存曲のアラビア語バージョンをリリースし、地道に活動し続けた結果、大統領官邸で開催されたサウジアラビア皇太子の訪韓公式昼食会にゲストとして呼ばれた唯一のアイドルグループとなりました。

 16年にUAEのアブダビにて『KCON』が開催されたものの、それ以降中東圏でのK-Popグループの公演は少なく、18年にドバイで『SMTOWN』、今年の7月にはSuper Junior、Stray Kidsがジェッダで、10月にはBTSが首都リヤドで公演を行い、B.I.Gも11月にアブダビにて単独公演・ファンミーティングを行いました。今年の9月末に、サウジアラビアへの観光目的でのビザ発給が解禁されたこともあり、中東圏も段々といろいろな面で開けてきたことを感じます。

 と、いうことで今月はいつもよりもぐっと幅を広げ中近東圏の音楽について解説したいと思いますが、語り始めたら到底足りないので基礎的で一般的な所をかいつまんで説明します。

中近東圏の独特の音階・リズムとは?

 まずは音階についてです。いま私たちが普段耳にしている一般的なポップスなどは、基本的に西洋音楽の枠の中で考えられたもので、全音階というド~シの1オクターブをピアノの鍵盤でいう12音階に分けて、ドから始めると長音階(メジャースケール)、ラから始めると短音階(マイナースケール)、そこからハ長調(C Major)、イ短調(A Minor)というような表し方をしています。

 一方で中東圏には「マカーム」という音階があり、アラブのマカーム、トルコのマカームというように地域によって複数存在していて、その種類は150、組み合わせで無数にあるとも言われています。例えば「マカーム・ヒジャーズカル」はドレ♭ミファソラ♭シの7音階、「マカーム・ナワサル」はドレミ♭ファ♯ソラ♭シの7音階です。マカームはシルクロードを越え、ウイグルでも「ムカーム」と呼ばれ、西はモロッコから東はウイグルまでがイスラーム文化圏の音楽システムを使っています。

 日本でもヨナ抜き音階や琉球音階という音階があるように、ヨナ抜き長音階であればドレミソラの5音、琉球音階はドレミファソシの6音と言われており、どれも実際に聞いてみると感覚でそれっぽいというのがわかると思うので、YouTubeなどで検索して実際に音を聞いてみて下さい。

 一方でリズムは「イーカー(iqa‘またはiqa‘at)」と総称されるさまざまなリズムパターンを使います。こちらもアユーブ、マクスーム、マルフールといったさまざまパターンがあります。またアラビア圏の音楽をアラビア音楽たらしめているのは、以上のマカームやイーカーを奏でる楽器が占める部分も大きく、西洋、アジア圏で使用する楽器の元になったものも多く、音色を聞くだけでアラビア音楽っぽいなというのが感覚でわかってもらえると思います。例えば「ウード」はリュートの元になった木製の撥弦楽器で、「ハンマーダルシマー」や「カーヌーン」、「サントゥール」はピアノの前身と言われています。マカームやイーカーについてはこのサイトが実際に音で聞けてとても参考になるので、英語ですが興味のある方は見てみて下さい。

関連曲:ポピュラー音楽に移行した中近東楽曲

 では、ここでB.I.GがKBS World Arabicで歌ったエジプトのAbuというミュージシャンの「3Daqat」という曲を聞いてみましょう。クラシックでわかりやすいものを選んだつもりですが、この曲はメロディはもちろんのこと、ドラムのダルブッカの音色、リズムがアラビアを感じさせる要素が強いと思います。

 歌謡に焦点をあてると、レコード産業が始まってからはエジプトが中心にアラビア圏を引っ張っていましたが、伝統音楽からポピュラー音楽へ移行するにつれレバノンがリードするようになります。またこれらエジプト、レバノンなどのポップスのことを「シャアビ(Chaabi,Shaabi)」と言い、それ以外にも発祥の場所などによって「ハリージ(Khaleegy)」「シャバービ(Shabbabi)」「アルジール(Al Jeel)」「ライ(Rai)」など細かいジャンルがあります。

 また、現在の中近東の広いエリアをオスマン帝国が支配していた時代、 セルビア人の軍楽隊が休憩時間に民謡を演奏していたものが、トルコの軍楽隊や移動民族“ロマ民族”のジプシー・ ミュージックと融合し「バルカンミュージック」となっていきます。 バルカンミュージックはそれ一括りがジャンルというよりは、変拍子にトランペットなどの管楽器やアコーディオンを使うことが特徴で、現代ではポップスやロック、 ハウスなどさまざまなジャンルに取り入れられています。
■SANDRA AFRIKA ft. COSTI - Devojka tvog druga

 近年は欧米圏のポップスのテイストも取り込み楽曲が欧米的になりつつも、マカームや使われる楽器の特殊さから西洋音楽とは聞いてすぐに違いがわかるような楽曲が多く、スラム教だと女性は肌を隠さなければならないのが一般的ですが、 政教分離の進んだトルコでは欧米圏におけるポップスのMVと見間違えるほど肌の露出が多いものもあります。この4人組女性グループのMVは色使いなどからDestiny' s Childの「Say My Name」を感じさせる作りです。
■Hepsi - Yalan

 B.I.GがカバーしたSaad Lamjarredというモロッコのポップシンガーの「LM3ALLEM」は15年リリースの楽曲で、使われている音色はクラブミュージックと変わりません。

 それでは、K-Popのアラビック要素のある楽曲をいくつか紹介したいと思います。

■티아라(T-ARA) - 하늘땅 별땅

 0:20~入るシンセ、Aメロの後ろで鳴っているシンセもアラビックです。

■f(x) (에프엑스) - 지그재그 (Zig Zag)
サビの上ネタがアラビックです。

■디홀릭 (D.Holic) - 쫄깃쫄깃 (Chewy)

イントロ部分で鳴っているホーンがアラビックです。少しバルカニックっぽくも聞こえます。

■Nop.K - Queen Cobra (Feat. Don Mills)

これは曲全体が完全にバルカニックです。

■UP10TION(업텐션) - Catch me!(여기여기 붙어라)

イントロ、ラップの入る0:51~のトラックの上ネタがアラビックです。

■4MINUTE(포미닛) - Canvas

サビの上ネタがアラビックです。

■OH MY GIRL(오마이걸) - WINDY DAY

サビ後のインストの部分がバルカニック(特にロマ、ジプシーミュージック)です。

■마마무(MAMAMOO) - 아재개그(AZE GAG)

2:23~、3:51~の間奏がアラビックです。

■이달의 소녀/최리 (LOONA/Choerry) - Love Cherry Motion

サビ後の1:28~、2:45~がバルカニックです。

■리얼걸프로젝트(Real Girls Project) - 핑퐁게임(PINGPONG GAME)

サビの直前0:48~、1:39~のそれぞれ4小節がアラビックです。

■EXO (엑소) - 다이아몬드 (Diamond)
トラックの音だけがアラビックなものが多かったですがこの曲はボーカルもトラックも楽器も全てがアラビックです。

■PENTAGON (펜타곤) - 재밌겠다 (Rap unit)
1:39~の上ネタ、2:30~のサビの上ネタがアラビックです。彼らのデビュー曲Gorillaもバルカニックですね。

■DIA(다이아) - WOOWA(우와)

1:49~の上ネタがアラビックです。

■에이스 (A.C.E) - Do It Like Me

EXOのDiamonと同じくボーカルもトラックもアラビックです。

■AleXa (알렉사) - Bomb

1:39~のサビのシンセがアラビック、特にエレクトロ・シャアビ(Electro Chaabi)。先述のシャアビ(Chaabi)から発展したエレクトロミュージックで、マハラガーン(Mahraganat)とも言います。

<落選したけど……紹介したい1曲>
今月どうしてもどうしても1曲に絞れず……。あまりしゃべらないので2曲紹介させてください。
■PENOMECO (페노메코) X ELO (엘로) LOVE? Feat. GRAY(그레이)

気持ち良さでいうとこちらのが少し上……

■GOT7(갓세븐) - Thursday

多幸感で言うとこちらのが上……GOT7がこういうのをやり続ける限りJYPの犬はついて行きます。

<近況>
Stray Kidsを見にソウルに行き、嗚咽するほど泣きました。この記事が出る頃にはまた代々木第一体育館で彼らを見ているでしょう。
12/13(金)18:00~秋葉原mograにて久しぶりのLiarLiarを開催します。もしかしたら入場規制がかかるかもしれませんが良かったらどうぞ。

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
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韓国映画『弁護人』、公開から6年後の今話題になる背景――「検察」という韓国社会の“怒り”の対象

近年、K-POPや映画・ドラマを通じて韓国カルチャーの認知度は高まっている。しかし作品の根底にある国民性・価値観の理解にまでは至っていないのではないだろうか。このコラムでは韓国映画を通じて韓国近現代史を振り返り、社会として抱える問題、日本へのまなざし、価値観の変化を学んでみたい。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が閣僚へ指名した8月からおよそ2カ月の間、韓国社会を真っ二つにし、賛否両論の中心に立っていた曺国(チョ・グク)法相が辞任した。韓国では、大統領が指名した閣僚候補者は、国会の聴聞会で資質や政策へのヴィジョンを検証される仕組みがあり、実はこれまでも多くの候補者たちが“プライベートな疑惑”に対する野党の追及に耐え切れず、聴聞会直後に自ら辞退してきた。

 もちろん最終任命権は大統領にあるため、まれにではあるが、聴聞会での判定にかかわらず大統領が任命を強行することもあり、曺氏の場合がこれにあたる。曺氏は聴聞会後もさまざまな疑惑(ただしこれらはあくまでも疑惑で、いまだ立証されていない)にさらされたが、野党の猛攻やメディアの一方的な報道を、驚くほど淡々とした態度で受け流していた。そんな曺氏の姿に、国民の関心は次第に“プライベートな疑惑”から、彼が文大統領と共に提唱している“検察改革”へと移っていった。検察改革とは何を意味するのか、なぜこれほどまでの攻撃を受けながら、彼は粘り強く耐えてきたのだろうか。

 そんな中、1本の映画がネット上で再び話題を呼んだ。日本では任期終了後に検察の追及を受けて自殺した人物として知られる、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領をモデルにした『弁護人』(ヤン・ウソク監督、韓国では2013年公開)だ。6年前の映画がなぜ今さら?と思うかもしれない。それは彼こそが、曺氏や文大統領に先駆けて、検察改革を試みた史上初の大統領だったからだ。盧元大統領の改革は、検察側の組織的な反発を打ち破れず挫折したうえ、当時は国民からも、検察を政治から分離するという改革は理想的だが実現性が薄いと疑問視されてうやむやになってしまったのだが、16年たったこの時代に、検察改革を目指して奮闘する曺氏の姿に、忘れかけていた元大統領がオーバーラップしたのである。

 それでは映画『弁護人』を取り上げて、盧元大統領の目指した思いが、いかにして文大統領や曺国氏に受け継がれてきたかを考えてみよう。

<物語>

1980年の釜山、高卒の弁護士ソン・ウソク(ソン・ガンホ)は、金もうけのために税務関係の仕事ばかりを請け負い、周囲からは冷たい目で見られていた。ある日、かつて世話になった食堂の女将・スンエ(キム・ヨンエ)から、息子のジヌ(イム・シワン)がある事件に巻き込まれ、裁判を控えていると聞く。息子を助けてくれというスンエの頼みを断り切れず、一緒に拘置所へ面会に行ったウソクは、そこで拷問を受けて満身創痍になっているジヌの姿にショックを受け、事件の弁護を引き受けることにする。国家権力との壮絶な闘いを通して、俗物だったウソクは大きく変化を遂げていく。

 細かい部分では設定やエピソードにフィクションを交えているが、大筋は盧元大統領の実話である。映画は87年の民主化運動での逮捕で終わっているため、国家との闘いから政治界に身を投じ大統領に上り詰める経緯は描かれていないが、俗物弁護士から人権弁護士への変化を通して、その後の政治家としてのイメージが確立されていくさまがよくわかる作品になっている。

 ウソクが弁護を引き受ける事件とは「釜林(プリム)事件」(映画では釜読連<プドクリョン>事件と名を変えている)として知られる、韓国現代史上の重要な出来事を指している。81年、釜山で読書会に参加していた大学生や教師、会社員ら22名が、令状もないまま公安当局によって逮捕、拷問、起訴された。当時の軍事独裁政権は、国家保安法違反の名目で確たる理由もなく国民に次々と「アカ(=共産主義者)」のレッテルを貼り、不当な逮捕や暴力的な弾圧を繰り返しており、釜林事件でもその不当性は明らかだった。国家権力をかさに終始一方的に進められる裁判で、公安検事(国家保安法違反事件を担当する検事)を相手に次々と論破していくウソクの姿は、ソン・ガンホの熱演と相まって観客の涙を大いに誘い、この映画をきっかけに、2009年に自ら命を絶った盧元大統領の再評価が進んだ。だが、おそらく日本の観客にとって同作において印象的なのは、韓国社会に根深くはびこる「アカ」という存在ではないだろうか。

 同じ民族同士が殺し合った朝鮮戦争以降、北朝鮮と対峙してきた韓国にとって最大の統治理念となった「反共産主義」(反共)だが、実際は権力に抗う者を弾圧するための道具として度々利用されてきた。とりわけ1960年代から90年代初めまで続いた長い軍事独裁政権下では、共産主義者はもとより、反独裁や民主化を叫ぶ学生や活動家たちを「アカ」に仕立て上げることで、拷問をはじめ情け容赦のない仕打ちが正当化されていた。反共のスローガンの下、時の独裁者たちは権力維持のために、何のためらいもなく彼らにとって都合の悪い存在にアカのレッテルを貼り、人間としての尊厳も権利も奪ってきた。

 権力側によるこうした理不尽な仕打ちが、映画ではふんだんに描かれている。友人たちと読書会を開いただけで逮捕されたジヌは繰り返し拷問され、公安のチャ・ドンヨン警監(クァク・ドウォン)はなんとしてでもジヌを「アカ」に仕立てようと自白を強要する。拷問の恐怖と心身の疲労から、ジヌは反国家的行為を認め、自白してしまう。検察側はそれを証拠に裁判を進めようとするが、ウソクはやり口の強引さ、不当さを次々と暴いていく。

 ジヌが持っていた本のイギリス人の原作者が、ソ連に滞在したことがあるというだけで「不穏書籍」と決めつける検察に対し、ウソクはイギリス外務省から原作者が「共産主義者ではない」ことを証明する文書を手に入れる。そして、同書がソウル大学の推薦図書だった事実を指摘し、ならば国家のエリートたちは皆アカではないかと言い放つ彼の姿に、観客は高揚感をかき立てられるのだが、国家権力はそう簡単に負けを認めはしない。それでも、7年後、人権弁護士としてますます勢いづくウソクの姿と、彼の想いが確実に根を張っている様子がラストでは確認できる。

 盧元大統領は弁護士時代、このような経験を通じて強大な権力を振るう検察の弊害や理不尽さを身をもってかみ締めたのだろう。だからこそ彼は検察改革に取り組んだに違いないし、側近らにも「検察を権力から自由にさせたい」と漏らしていたそうだ。人権弁護士から大統領となった盧氏の、人間中心の哲学、脱権力の姿勢、庶民的な言動は多くの国民に愛され、韓国歴代大統領の中では唯一「ノ・サ・モ」(“盧武鉉を愛する人々の会”の略称)というファンクラブが存在したほどである。観客動員1,100万という大ヒットの背景には、このような「人間盧武鉉の魅力」へのノスタルジアとともに、80年代を一緒に闘い抜いた386世代(80年代に大学に入った、60年代生まれの、1990年代当時30代だった世代)からの支持や彼を死に追いやった横暴な検察への怒りなどがあるといえるだろう。

 そんな盧元大統領にとって、現在の文大統領は政治的同志であり親友でもあった。盧政権下で要職を務め、同じ志を持つ文氏が、盧元大統領が成し得なかった検察改革を目指すのは当然であり、研究者の立場から長年にわたって検察改革を主張してきた曺国氏を、多少の人間的瑕疵はあるにせよ、重用しようとしたのも十分に理解できる。

 かつての朴槿恵(パク・クネ)元大統領絡みのスキャンダルもあり、日本では曺国氏の家族をめぐる報道にばかり注目が集まるのも無理はないが、盧元大統領から曺国氏に至る流れを振り返ってみると、今回の曺氏の辞任には、正直もったいないという思いを禁じ得ない。ただし、曺氏は「人権保護捜査規則の制定」や「検察組織の縮小」など、最低限の手は打ってから辞任した。盧元大統領から受け継がれた検察改革は、まだスタートしたばかりである。

崔盛旭(チェ・ソンウク)

1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。著書に『今井正  戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻  スクリーンのなかの他者』(岩波書店)など。韓国映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。

映画『弁護人』DVD発売中
\3,800(税抜)販売元:TCエンタテインメント(C)2013 Next Entertainment World & Withus Film Co. Ltd. All Rights Reserved.

韓国映画『弁護人』、公開から6年後の今話題になる背景――「検察」という韓国社会の“怒り”の対象

近年、K-POPや映画・ドラマを通じて韓国カルチャーの認知度は高まっている。しかし作品の根底にある国民性・価値観の理解にまでは至っていないのではないだろうか。このコラムでは韓国映画を通じて韓国近現代史を振り返り、社会として抱える問題、日本へのまなざし、価値観の変化を学んでみたい。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が閣僚へ指名した8月からおよそ2カ月の間、韓国社会を真っ二つにし、賛否両論の中心に立っていた曺国(チョ・グク)法相が辞任した。韓国では、大統領が指名した閣僚候補者は、国会の聴聞会で資質や政策へのヴィジョンを検証される仕組みがあり、実はこれまでも多くの候補者たちが“プライベートな疑惑”に対する野党の追及に耐え切れず、聴聞会直後に自ら辞退してきた。

 もちろん最終任命権は大統領にあるため、まれにではあるが、聴聞会での判定にかかわらず大統領が任命を強行することもあり、曺氏の場合がこれにあたる。曺氏は聴聞会後もさまざまな疑惑(ただしこれらはあくまでも疑惑で、いまだ立証されていない)にさらされたが、野党の猛攻やメディアの一方的な報道を、驚くほど淡々とした態度で受け流していた。そんな曺氏の姿に、国民の関心は次第に“プライベートな疑惑”から、彼が文大統領と共に提唱している“検察改革”へと移っていった。検察改革とは何を意味するのか、なぜこれほどまでの攻撃を受けながら、彼は粘り強く耐えてきたのだろうか。

 そんな中、1本の映画がネット上で再び話題を呼んだ。日本では任期終了後に検察の追及を受けて自殺した人物として知られる、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領をモデルにした『弁護人』(ヤン・ウソク監督、韓国では2013年公開)だ。6年前の映画がなぜ今さら?と思うかもしれない。それは彼こそが、曺氏や文大統領に先駆けて、検察改革を試みた史上初の大統領だったからだ。盧元大統領の改革は、検察側の組織的な反発を打ち破れず挫折したうえ、当時は国民からも、検察を政治から分離するという改革は理想的だが実現性が薄いと疑問視されてうやむやになってしまったのだが、16年たったこの時代に、検察改革を目指して奮闘する曺氏の姿に、忘れかけていた元大統領がオーバーラップしたのである。

 それでは映画『弁護人』を取り上げて、盧元大統領の目指した思いが、いかにして文大統領や曺国氏に受け継がれてきたかを考えてみよう。

<物語>

1980年の釜山、高卒の弁護士ソン・ウソク(ソン・ガンホ)は、金もうけのために税務関係の仕事ばかりを請け負い、周囲からは冷たい目で見られていた。ある日、かつて世話になった食堂の女将・スンエ(キム・ヨンエ)から、息子のジヌ(イム・シワン)がある事件に巻き込まれ、裁判を控えていると聞く。息子を助けてくれというスンエの頼みを断り切れず、一緒に拘置所へ面会に行ったウソクは、そこで拷問を受けて満身創痍になっているジヌの姿にショックを受け、事件の弁護を引き受けることにする。国家権力との壮絶な闘いを通して、俗物だったウソクは大きく変化を遂げていく。

 細かい部分では設定やエピソードにフィクションを交えているが、大筋は盧元大統領の実話である。映画は87年の民主化運動での逮捕で終わっているため、国家との闘いから政治界に身を投じ大統領に上り詰める経緯は描かれていないが、俗物弁護士から人権弁護士への変化を通して、その後の政治家としてのイメージが確立されていくさまがよくわかる作品になっている。

 ウソクが弁護を引き受ける事件とは「釜林(プリム)事件」(映画では釜読連<プドクリョン>事件と名を変えている)として知られる、韓国現代史上の重要な出来事を指している。81年、釜山で読書会に参加していた大学生や教師、会社員ら22名が、令状もないまま公安当局によって逮捕、拷問、起訴された。当時の軍事独裁政権は、国家保安法違反の名目で確たる理由もなく国民に次々と「アカ(=共産主義者)」のレッテルを貼り、不当な逮捕や暴力的な弾圧を繰り返しており、釜林事件でもその不当性は明らかだった。国家権力をかさに終始一方的に進められる裁判で、公安検事(国家保安法違反事件を担当する検事)を相手に次々と論破していくウソクの姿は、ソン・ガンホの熱演と相まって観客の涙を大いに誘い、この映画をきっかけに、2009年に自ら命を絶った盧元大統領の再評価が進んだ。だが、おそらく日本の観客にとって同作において印象的なのは、韓国社会に根深くはびこる「アカ」という存在ではないだろうか。

 同じ民族同士が殺し合った朝鮮戦争以降、北朝鮮と対峙してきた韓国にとって最大の統治理念となった「反共産主義」(反共)だが、実際は権力に抗う者を弾圧するための道具として度々利用されてきた。とりわけ1960年代から90年代初めまで続いた長い軍事独裁政権下では、共産主義者はもとより、反独裁や民主化を叫ぶ学生や活動家たちを「アカ」に仕立て上げることで、拷問をはじめ情け容赦のない仕打ちが正当化されていた。反共のスローガンの下、時の独裁者たちは権力維持のために、何のためらいもなく彼らにとって都合の悪い存在にアカのレッテルを貼り、人間としての尊厳も権利も奪ってきた。

 権力側によるこうした理不尽な仕打ちが、映画ではふんだんに描かれている。友人たちと読書会を開いただけで逮捕されたジヌは繰り返し拷問され、公安のチャ・ドンヨン警監(クァク・ドウォン)はなんとしてでもジヌを「アカ」に仕立てようと自白を強要する。拷問の恐怖と心身の疲労から、ジヌは反国家的行為を認め、自白してしまう。検察側はそれを証拠に裁判を進めようとするが、ウソクはやり口の強引さ、不当さを次々と暴いていく。

 ジヌが持っていた本のイギリス人の原作者が、ソ連に滞在したことがあるというだけで「不穏書籍」と決めつける検察に対し、ウソクはイギリス外務省から原作者が「共産主義者ではない」ことを証明する文書を手に入れる。そして、同書がソウル大学の推薦図書だった事実を指摘し、ならば国家のエリートたちは皆アカではないかと言い放つ彼の姿に、観客は高揚感をかき立てられるのだが、国家権力はそう簡単に負けを認めはしない。それでも、7年後、人権弁護士としてますます勢いづくウソクの姿と、彼の想いが確実に根を張っている様子がラストでは確認できる。

 盧元大統領は弁護士時代、このような経験を通じて強大な権力を振るう検察の弊害や理不尽さを身をもってかみ締めたのだろう。だからこそ彼は検察改革に取り組んだに違いないし、側近らにも「検察を権力から自由にさせたい」と漏らしていたそうだ。人権弁護士から大統領となった盧氏の、人間中心の哲学、脱権力の姿勢、庶民的な言動は多くの国民に愛され、韓国歴代大統領の中では唯一「ノ・サ・モ」(“盧武鉉を愛する人々の会”の略称)というファンクラブが存在したほどである。観客動員1,100万という大ヒットの背景には、このような「人間盧武鉉の魅力」へのノスタルジアとともに、80年代を一緒に闘い抜いた386世代(80年代に大学に入った、60年代生まれの、1990年代当時30代だった世代)からの支持や彼を死に追いやった横暴な検察への怒りなどがあるといえるだろう。

 そんな盧元大統領にとって、現在の文大統領は政治的同志であり親友でもあった。盧政権下で要職を務め、同じ志を持つ文氏が、盧元大統領が成し得なかった検察改革を目指すのは当然であり、研究者の立場から長年にわたって検察改革を主張してきた曺国氏を、多少の人間的瑕疵はあるにせよ、重用しようとしたのも十分に理解できる。

 かつての朴槿恵(パク・クネ)元大統領絡みのスキャンダルもあり、日本では曺国氏の家族をめぐる報道にばかり注目が集まるのも無理はないが、盧元大統領から曺国氏に至る流れを振り返ってみると、今回の曺氏の辞任には、正直もったいないという思いを禁じ得ない。ただし、曺氏は「人権保護捜査規則の制定」や「検察組織の縮小」など、最低限の手は打ってから辞任した。盧元大統領から受け継がれた検察改革は、まだスタートしたばかりである。

崔盛旭(チェ・ソンウク)

1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。著書に『今井正  戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻  スクリーンのなかの他者』(岩波書店)など。韓国映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。

映画『弁護人』DVD発売中
\3,800(税抜)販売元:TCエンタテインメント(C)2013 Next Entertainment World & Withus Film Co. Ltd. All Rights Reserved.

韓国映画『共犯者たち』の皮肉すぎる“その後”……主要メディアが政権に忖度したことで起こる「現実」とはなにか

近年、K-POPや映画・ドラマを通じて韓国カルチャーの認知度は高まっている。しかし作品の根底にある国民性・価値観の理解にまでは至っていないのではないだろうか。このコラムでは韓国映画を通じて韓国近現代史を振り返り、社会として抱える問題、日本へのまなざし、価値観の変化を学んでみたい。

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 韓国には韓国放送公社(KBS)、SBS 、文化放送(MBC)という3つの地上波テレビ放送局がある。KBSは日本のNHKのような公共放送局、SBSは民間企業を母体とする民間放送局、そしてMBCは株式会社ではあるものの、公的機関の放送文化振興会(放文振)が大株主であることから公営体制をとっている。日本と比較すると、2つの実質的な公共放送と1つの民間放送しかない韓国のテレビ放送は意外に思われるかもしれないが、その代わり韓国では膨大な数のケーブルチャンネルが放送の多様性を補っている。だが、いずれにしても、全国ネットワークである地上波3つの放送局が、国民に対して甚大な影響力を持っていることは言うまでもない。

 かつて朴正煕(パク・チョンヒ)や全斗煥(チョン・ドゥファン)ら軍事政権時代には厳しい言論統制が敷かれていた韓国は、民主化が進んだ1990年代以降、言論の自由が飛躍的に進歩した。だが政権が代わるたびに保守(=右派)か進歩(=左派)と極端な偏りを見せる韓国では、放送局が政権の意向を探って忖度するといった悪習は依然として残っており、だからこそ国民を混乱や分裂から守るため、公共放送であるKBSとMBCの報道姿勢における公正性や政治的中立性が絶えず問われてきたのも事実である。

 今回取り上げるチェ・スンホ監督の『共犯者たち』(2017)は、まさにその「悪習」にしがみついて言論の自由を踏みにじってきた政権の「共犯者」とは一体何者なのかを突き止めていくドキュメンタリーである。ドキュメンタリー映画として異例の大ヒットとなったばかりでなく、さらに多くの人に見てもらいたいからと公開の2カ月後にはYouTubeで無料配信を始めた。また日本でも、テレビ局の政権への忖度が危機感を抱かれる中で多くの人の関心を集め、全国各地でロングランとなった。

 映画はまず、08年にKBSが保守派の李明博(イ・ミョンバク)政権によって実権を握られた経緯を明らかにするところから始まる。当時、李大統領が指名した閣僚候補2名の不正をKBSがスクープしたことで、候補者らは辞退。発足早々にして興ざめの様相を呈した李政権は、仕返しかのように、前任の進歩派・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下で任命されたKBSの社長をクビにし、親政権的な人物を送り込んだ。社員たちは労働組合を中心に猛反発したものの、国家が経営する放送局であるため天下りの経営陣には勝てず、ニュース番組の関係者らは相次いで解雇、政治色の強い番組は廃止されることとなった。21世紀という時代に再び、露骨な言論弾圧が幕を開けたのである。

 次に狙われたのはMBCだった。チェ監督は、解雇されるまで同局のプロデューサー(PD)だったこともあり、映画はMBCの闘いを中心に展開するのだが、ここでその発端となった「アメリカ産牛肉輸入問題」について、映画では詳しく語られないので簡単にまとめておこう。

 李政権は当時、アメリカからの圧力によって牛肉の輸入基準を緩和し、月齢30カ月以上の牛肉も輸入できるようにした。そこに待ったをかけたのがMBCの『PD手帳』という時事番組で、月齢30カ月以上の牛肉は「BSE(牛海線状脳症、韓国では狂牛病という)」の恐れがあると警鐘を鳴らした。番組ではさらに「韓国人は遺伝子的にBSEに感染しやすい」「アメリカの骨付き牛肉はBSE発症の可能性が高い」といった内容にも踏み込んで、牛肉大好き韓国人たちは恐怖のどん底に突き落とされたのである。政府は慌てて釈明し、安心・安全を強調したものの、もはや信じる者はおらず、李政権の支持率は急落、一部国民からは大統領弾劾を求める声まで飛び出した。テレビでは連日、BSEの科学的根拠を問う番組が放送され、ネットでは海外でのBSEによる死亡例が真偽不明のまま拡散された。

 居ても立ってもいられなくなった国民はロウソクを手に広場に集まり、4カ月にわたるロウソク・デモの結果、窮地に陥った李政権はついに国民に降伏、アメリカと交渉を重ねた末に、月齢30カ月未満の牛肉だけを輸入する基準に戻すことで合意した。これで国民の怒りは収まったものの、李政権は一連の混乱の責任はMBCの『PD手帳』にあると結論づけ、今度はMBC弾圧に乗り出したのである。(ちなみにチェ監督も、この番組のPDだった。韓国ではあらゆるテレビ番組がPD主導で進められるため、権限や責任は非常に大きい)

 MBC経営陣の人事権を持っている放文振の理事会は、与党推薦委員が野党推薦委員の2倍の数を占めるため、親政権的な社長を送り込むことなど朝飯前だ。KBSの時と同じく、李政権は直ちに社長を交代させ、時事番組の廃止やキャスターの交代を実行した。労働組合はストライキに突入し、局全体が機能停止に陥ったが、経営陣は好都合とばかり、ストライキの参加者を解雇したり、閑職に追いやったりした。それによって多くの局員が不当な扱いに苦しめられていった。

 こうした状況は13年、李政権を受け継いだ同じ保守与党の朴槿恵(パク・クネ)政権下でも変わることなく、KBSもMBCも、ただの政府の宣伝道具にすぎない存在になっていた。その挙げ句の果てに起こったのが、14年、修学旅行中の高校生らを含む304名の死者・行方不明者が出た「セウォル号沈没事故」の誤報だ。事件発生直後の「全員無事」「救助は順調」といったKBS、MBC両局による誤報は、政権とマスメディアが癒着したらどうなるかを如実に示す結果となった。もしも報道システムが正常に働き、誤報による初期対応の遅れがなければ、一人でも多くの命が救われていたかもしれない。だがそれでも、両局は政府を擁護する報道姿勢をやめなかった。

 そして日本でも記憶に新しいであろう、「崔順実(チェ・スンシル)ゲート事件」が起こる。16年に明らかになった、政府を裏で牛耳っていた朴大統領の親友・崔順実による一連の国政介入スキャンダルのことだ。この時もKBS、MBC両局は、最初は報道もしなかったし、せいぜい後から形ばかりの縮小報道をしたのみだった。これらの報道に携わる記者のことを映画では「キレギ」と呼んでいるが、これは「記者(キジャ)」と「ごみ(スレギ)」を掛け合わせた造語である。日本でいう「マスゴミ」のようなものだろうか。結局、事件の全貌はケーブルテレビ局のニュースを通して明るみに出ることとなり、そしてあの大規模なロウソク・デモから朴大統領の弾劾と罷免という、前代未聞、史上初の形で収束したのである。

 映画の終盤、新たに選ばれた進歩派の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、放送局の正常化を約束する中、カメラはかつて権力の頂点に君臨した李明博・元大統領を直撃する。放送局をダメにした犯人はあなたではないかと厳しく追及するチェ監督の姿は、怒りと使命感にあふれている。「記者に質問させないと国が滅びますよ!」、逃げるようにその場を後にするかつての大統領への叫びが心に響くなか、映画は終わりに向かう。

 だが、現実は、さらに皮肉な後日談を用意していた。

 文政権は公約通り、放送局の正常化を図り、透明性を確保するために一般公募でMBCの社長を募集した。応募したチェ・スンホ監督は見事合格、不当解雇を受けて命懸けの闘いを繰り広げた末に、社長として返り咲いたのだ。彼は「MBC正常化委員会」を設置し、崩壊同然の組織の立て直しに取り掛かった。

 ところが、彼が立て直しの一方でやったのは、ストライキに参加していない記者や、ストライキ中に雇われた契約アナウンサーをクビに、あるいは閑職に追いやることだった。かつて自身が李政権によって受けた仕打ちを、まったく同じやり方で、仕返しに転じたのだ。閑職に追われた記者は現在、毎日のようにMBCの前で一人で抗議デモを行い、アナウンサーたちは不当解雇を司法に訴え、勝利を収めている。放送局の正常化とは何だろうか? この映画のタイトルにもなっている「共犯者たち」とは、はたして誰を指すのだろうか? なんとも後味の悪い現実が、今この瞬間の韓国で展開されている。

 最近韓国では、「내로남불:ネ・ロ・ナム・ブル」という言葉が大はやりだ。「私がすればロマンス、他人がやれば不倫」を意味するこの造語は、自分のやることはすべて正しく、他人が同じことをしてもそれは間違いである、という政治・社会的な風潮を皮肉った表現だ。映画を見終わった後にふと、この言葉が頭をよぎってしまうのは気のせいだろうか?

崔盛旭(チェ・ソンウク)

1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。著書に『今井正  戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻  スクリーンのなかの他者』(岩波書店)など。韓国映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。

SHINee・EXO・NCTの「SuperM」は楽曲もスゴい! K-POPの「Juke」に驚嘆のワケ

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。10月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

今月の1曲‖SuperM - I Can't Stand The Rain

 SHINeeのテミン、EXOのベッキョン、カイ、NCTのテヨン、テン、ルーカスからなるアベンジャーズ(?)グループ・SuperMのアルバム曲「I Can't Stand The Rain」です。SuperMの結成が発表された時から、グループの存在に賛否両論が飛び交い、リリース後にBillboardの8つのチャートで1位を獲ってもなお、プロモーションの仕方やチャートの妥当性などが毎日議論に挙げられている状態です。

 売り出し方やアメリカでの人気の是非などについては、いろいろな人が論じていますが、あまり音楽的な面で説明されているものを見ないのと、最近のSMからリリースされる楽曲にあまりピンと来ていなかった私が、久しぶりに面白いアルバムだなと思ったので今回は2曲目の「I Can't Stand The Rain」を紹介したいと思います。

 アルバム全曲、さまざまなジャンルを取り込んだ楽曲になっており、JoppingはTechno、2 Fastは2stepと説明し出したらキリがないのですが、「I Can't Stand The Rain」で特筆する部分はサビの「너 없이 난 아무것도 할 수 없어(の おぷし なん あむごっと はるす おぷそ)~I can't stand the rain」の部分です。ここのドラムの打ち方が「Juke」というジャンルで、この曲を聞いた時にびっくりしました。今回は、Jukeというジャンルについて紹介したいと思います。

関連曲‖Jukeのルーツを知る

 Jukeを語るにあたってルーツのChicago Houseの説明をする必要があるのですが、源流を辿るとそのジャンル名にもあるようにHouseに辿り着き、先月取り上げた2stepともルーツは同じであることがわかると思います。

 先月の記事通り、HouseはFrankie KnucklesがシカゴにあるWare Houseでかけた楽曲を「House Music」と呼ぶところから来ています。当初はディスコやサルソウルなどのフィリーソウルをプレイしていたので、NYのParadise Garageでかかる「Garage」とあまり違いはなかったのかもしれませんが、ドラムマシンやシンセサイザーを多用したエレクトロニックなトラックがHouseの特徴で、House musicの最初のヒット曲、1985年リリースのシカゴ出身J.M. Silkの作ったこの曲を聞くと何となくはわかるかもしれません。

■J.M. Silk - Music Is The Key

 先程の曲は現代で一般的に言う「House」というイメージからは少し離れているかもしれませんが、86年にリリースされたこの曲はなんとなくイメージと近くなるかと思います。

■STEVE "SILK" HURLEY - Jack Your Body

 この曲はシカゴで作られたChicago Houseですが、UKのシングルチャートで1位を獲得し世界的にHouseというジャンルの名前が知られていきます。Houseは制作のために使われるドラムマシンやシンセサイザーなどの機材が当時格安で出回っていたこともあり、DiscoやSoulのように沢山の楽器でセッションをして曲を作るという過程がなくても曲が作れることからたくさんの楽曲が作られ、そこからAcid House・Deep Houseなどのサブジャンル、Detroit Technoなどに派生していきます。

 その後Chicago HouseはHiphopをルーツにするBass Music「Miami Bass」と混ざり合い、1990年代前半頃、粗くてダーティな質感の「Ghetto House」というジャンルが生まれます。

 Miami Bassは、昨今よく使う「Bass Music」という大きな括りのクラブミュージックを表す語源となったジャンルで、ジャンル名に入っている通り発祥はアメリカのマイアミです。と言っても、代表的なアーティスト2 Live Crewは南カリフォルニア出身で、週末の度にマイアミに行ってライブをしていたそうですが、彼らが完全にマイアミに拠点を移しMiami Bass DJ’sというクルーを立ち上げたのがジャンル名の元となっています。マイアミのクラブでは、さまざまなジャンルの楽曲が低音重視でプレイされていたことや、2 Live Crewが踊りやすいようにビートを強調したトラックをRolandのTR-808というドラムマシンで作ったことなどもあり、低音が強調されたTR-808のドラムが入った楽曲がMiami Bassの特徴と言えるでしょう。また、とにかく下品な歌詞やジャケット、既存の曲や歌詞を無断で借用したり、何でもアリな風潮も特徴です。2 Live Crew以前の世界的に名前が知られたMiami Bassと言われた、TR-808のドラム音がわかりやすいMC ADEの楽曲と2 Live Crewの代表曲を紹介します。

■MC ADE - Bass Rock Express

■2 Live Crew - Me So Horny

 「Ghetto House」はBooty Houseとも言い、1992年頃に先述のMiami BassとChicago Houseが影響しあって誕生したジャンルです。「Ghetto」というアフリカン・アメリカンのスラングで貧困地域(転じて治安の悪いエリア)を表す単語が入っているように、Gangsta RapやMiami Bassなどの影響などもありHouse Musicに過激な歌詞が入った曲が登場するようになり、そのおかげでゲットーの男性たちがHouse Musicを聴いてもダサくないというような風潮になっていきます。

 この曲は耳で拾えるだけでも、かなり過激な歌詞がたくさん入っていることがわかると思います。

■DJ Funk - There's Some Hoes in This House

 Dance Maniaというレーベルが中心となりDJ Funk, DJ Deeon, Traxmen, DJ Milton, DJ Slugoなどがたくさんの曲をリリースしていくなか、94年リリースのこの曲で初めて「Ghetto House」というフレーズが出てきたそうです。どのジャンルもそうですが、黎明期から音楽ジャンルの名前が付いていることは少なく、ある程度時がたってから「あのムーブメントを括って、こういうジャンルと呼ぼう」となることが多いと感じます。

■DJ Funk - Follow(Getto House Mix)

 Dance Maniaの看板アーティストとして君臨したDJ Slugoが、後のインタビューで「Ghetto Houseはビッチのために作っていた。クラブで女とエロいダンスをするための音楽だ」と語っていたことからも、GhettoやBooty(お尻)などのキーワードがジャンル名に入るのも頷けます。

 90年代前半にGhetto Houseはフットワークと呼ばれる、足を高速で動かすダンスと共に発展し、その盛り上がりからGhetto HouseのBPMもどんどん速くなり、2000年頃になるとChicago JukeやJuke Houseという名前で「Juke」というジャンルが確立し、さらにそこからJukeのキックドラムがなくなり、「Footwork」という音楽ジャンルとして派生していきます。

 ダンスとしてのフットワークは見てもらうのが一番早いと思いますが、曲もFootworkという音楽ジャンルで有名なプロデューサーのものをたくさん使っており、感覚的にわかりやすいと思います。

 Jukeの特徴はリズムとダンス。BPM80、120、160を行き来します。一般的なHouse Musicなどは、120~130ぐらいで、1分間に120回首を振れると言ったらわかりやすいでしょうか。

 クラブミュージックのジャンルは、大体このぐらいのBPMとジャンルでざっくり決まっていることが多い中、Jukeは一定していません。というのも、ドラムがトラックのメインになっており、ハイハット・キック・スネア――どれを全面に出すか、どういう刻み方をするかで、人によって拍の取れ方が変わってくることも多いです。そこが逆にリズムに乗りづらく、ジャンルとして掴みづらい、難解という印象になることもわからなくもないです。

 こちらはダンスバトルの動画ですが、RP BooとTraxmanがDJをしていて、いろいろなJukeの曲が聴けます。なんとなくJukeに対してのイメージが掴めるかと思います。

 日本でもBooty Tuneなどのレーベルが、クラブシーンで活発にJuke/Footworkを広め、Traxmanのアルバムリリースに合わせて作られたドキュメンタリーもあるので興味がある方は見てみて下さい。

 2013年にはNHK BSでEXILEのTETSUYAが本場シカゴに乗り込み、Footworkバトルをするという番組も放送され、ダンスシーンでも注目されていきます。

関連曲‖K-PopにおけるJuke曲

 ビートが主体なこともあり、ポップスに取り入れるのは難しいため関連曲は少ないですが、最後に日本のシーンとK-PopでJukeを取り入れた楽曲を紹介します。

■Boogie Mann running through with Tavito Nanao - Future Running

■EVERGLOW - Bon Bon Chocolat

この曲は連載を始めた一番最初の5月の記事でも取り挙げましたが、ほんの一瞬、最後の3:33あたりにJukeのビートが聞こえます。

<落選したけど……紹介したい1曲>
■TWICE - Fake & True

先月メインで取り上げたTwiceですが、日本の楽曲が前作の「Breakthrough」あたりから、「日本語楽曲はダサい」という今までの固定概念は何だったのか、というほど正解を叩き出しており、韓国での楽曲も含め独走しています。

<近況>
私が熱を上げて追っている(いた)グループのメンバーがどんどん脱退していくんですがどういうことでしょうか…。ラウンちゃん…ファルくん…ミンくん…ウジニヒョン…みんなどこに行ったの…

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
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TWICEのアルバム『Feel Special』がスゴいワケ――BTS、SHINeeなどK-POPと2stepの関係

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。9月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

今月の1曲‖TWICE - Feel Special

 TWICEの新アルバム『Feel Special』からタイトル曲の「Feel Special」です。この曲はJPYの社長パク・ジニョンとTWICEのメンバーとが対話した中から歌詞が作られ、これまでのリリースを経た等身大の彼女たちを表現する内容になっていると話題ですが、私は音楽的な面から説明しようと思います。

 まずはティーザーとして出た、このイントロ動画をご覧ください。

 9月18日の0時にリリースされたこれを聞いたとき、5~8小節目のキックの打ち方から「2stepだ!!!!」と、ついにTWICEが2stepをやるのかと興奮して夜中に騒ぎました。

 結局は、イントロのこの部分のみドラムの打ち方が2stepだっただけで、曲全体としてはK-Pop定番の、フレーズ毎に微妙にジャンルが変わっていくトラックで、完全に2stepとは言い切れないですが……と、そのままアルバムを聞いていくと実は次の2曲目「RAINBOW」が全体的に2stepに近いトラックになっています。

 ということで、今月は2stepについて説明します。

 まず「2step」とは「2step Garage」を短縮したものです。「Garage」は、アメリカ・ニューヨークの「Paradise Garage」というクラブで、DJのLarry Levanがかけたソウルやディスコ、ロック、ジャズ、ラテン楽曲のことを総称して言ったものです。

 Paradise Garageがオープンした1977年は、世界的なディスコブームがピークで、ニューヨークのディスコ(今で言うクラブと同じようなもの)はBee Geesなどのアーティストを中心に、白人文化の象徴でした。一方、Paradise Garageの客層はアフリカンアメリカンやヒスパニックが中心で、そこではLarry LevanによってR&Bやラテンをベースにソウルフルなボーカルが乗った楽曲が多くプレイされていました。ちなみに、先述のようにParadise Garageは人種的マイノリティやゲイの方が多く集まり、Larry Levanが面接をして通った人のみが通える会員制で、 主要な客層だったアフリカンアメリカン訛りでGarageを「ガラージ」もしくは「ガラージュ」と発音します。 そこから、今もジャンルとしてのGarageはガラージと発音しま す。

 音楽のジャンルとしては多岐に渡るため、楽曲を複数挙げてもあまり関連性が感じられないかもしれませんが、Larry Levanミックスの曲を1つ挙げます。

■Inner life Feat.Jocelyn Brown - Ain't No Mountain High Enough(The Garage Mix)

 このLarry LevanがParadise Garageをオープンする前から、ニューヨークのアンダーグラウンドなゲイパーティーシーンに共に関わってきたのがFrankie KnucklesというDJで、彼は後にシカゴに拠点を移しHouseというジャンルを確立するのはまた別の話ですが、このような成り立ちからGarageとHouseは密接な関係があり、「Garage House」と言ったりもします。

 87年にParadise Garageは閉店しますが、それらの楽曲のBPMを速くしたものが90年代中盤に「Speed Garage」としてイギリスで生まれます。遡って、90年代初頭からイギリスでプレイされるGarageを「UK Garage」と総称するようになり、Paradise GarageでプレイされていたGarageは「US Garage」と区別されるようになります。

 ここで、2step Garageに至るまでのジャンル、 代表曲を紹介したいと思います

関連曲‖それぞれのジャンルの代表曲

■24 Hour Experience - Together

UK Garageのクラシックとされる1曲。

■Double 99 - RIP Groove

 Speed Garageのアンセムです。

 この流れから段々と2stepが形作られていき、97年の下記楽曲が2stepの走りと言われています。

■Tina Moore - Never Gonna Let You Go (Kelly G. Bump-N-Go Mix)

 2stepの楽曲はBPMが130前後で、ソウルやR&Bの歌モノの楽曲がBPM65前後なことから、そのボーカルをサンプリングして楽曲を作ることもできるし、DJのプレイでも65と130を行ったり来たりできることから、たくさんの楽曲が作られ、チャートを席巻して行きます。

■Sweet Female Attitude - Flowers

■Artful Dodger Feat. Craig David - Re-Rewind

 一般的なGarageやTechnoは、1小節4拍の中、4拍の頭全てにキックが等間隔で打たれ、スネアは2、4拍の頭に打たれます。そのような楽曲を、キックを等間隔で4つ打つことから総称して「4つ打ち」と呼びます。2stepはこの4つ打ちのように、キック4拍を等間隔に打たず、2拍目と4拍目が少しずれて打たれ、抜け落ちたように感じることから1拍目と3拍目が強調されて聞こえ、1小節の中にリズムの“ノリ”の重点が2つあるところから、2つのステップ=2stepとなります。昨今はUK Garageと2stepがあまり区別されず、UK Garage/2stepと並列に書かれることが多いです。

 と、ここまで説明したところでK-Popの2step楽曲をいくつか紹介したいと思います。

関連曲‖K-Popにおける2step楽曲

■SHINee - Prism

よくもここまでシンプルなトラックでアイドルがパフォーマンスする楽曲に落とし込んだな……と感嘆します。

■SHINee - SHIFT
どの記事でも毎回SHINeeを挙げている気がしますが、それだけいろいろなものを、自分たちの作品として落とし込める力を持っているグループで、事務所もそれを認識しているんだなぁと感じます。

■EXO-CBX - The One

 こちらもトラックが渋い渋い……。ドラムパターンなどまさに2step!って感じだと思います。

■NCT 127 - Summer127
こちらはDeep House特集の時にも挙げましたが、ドラムパターンは2stepに近いと思います。

■CHUNG HA - Roller Coaster

K-Popの女性アーティストとして2step楽曲をやったのは初めてでしょうか。サビのシンセの感じはまた本来の2stepとは少し違ってジャンルが混ざっている感じがします。

■BTS - Trivia 起 : Just Dance
こちらも完全に2step。ラップがほとんどを占めているので2stepとHiphopが結びついて出来たGrimeに近いとも言えます。

■Sori - Touch

ココソリとして活動していたソリのソロデビュー曲です。女性アーティストの楽曲でタイトル曲に2stepを持ってくることが少ないのでどんどんチャレンジして欲しいです。

<落選したけど……紹介したい1曲>
■ZICO - 걘 아니야 (Actually)

Block Bとして所属していたSeven Seasonsとの契約が終わり、KOZ ENTERTAINMENTを立ち上げたZICOの、独立してからリリースされた1枚目のEPに収録されているアルバム曲です。この記事のここまでを踏まえ、Larry LevanがParadise Garageでかけていても違和感のないGarage曲だと思います。

 アルバム曲ではありますが、同じクルーのPENOMECOもこの曲がタイトル曲じゃないなんて……と言っているように、それぐらい華のある素晴らしい曲だと思います。

<近況>
今この文章を『KCON』タイのために来たバンコクで書いています。従姉妹の結婚式が被っていましたが、ONFから何の前触れもなく突然ラウンくんが脱退したのを見て、アイドルは見られる時に見ておかないと……という気持ちが強くなり、親に謝ってタイに行くことを決意しました。来て良かった。出演者の4分の1ぐらいがJYPのグループで、もちろんタイで大人気のGOT7も出演するのですが、ここ2~3年タイと台湾でしかGOT7を見たことがないので、そろそろ韓国で彼らを見たいです。

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

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大島麻衣、”韓国擁護”でも韓流ファンから猛反発の素顔「ホテルにまで押しかける熱烈な追っかけ」

 日韓関係が冷え込むなか、元AKB48の大島麻衣のツイートが話題となっている。

 大島は「日本の方も外国人には優しくしませんか?韓国だって一緒」「いろんなことがあったけど、ニュースだけ見て、韓国人怖いというのは違う」「好きなものを好きと言う。それだけ。シンプルな話」と立て続けにツイート。

 今月2日、韓国旅行で撮影した写真には「#こんな時こそ思いやり」というハッシュタグを添え「今までよりも優しさに触れることが多くて、なんか嬉しいです!韓国の方も日本人を気にしてくれている人はたくさんいます!」と投稿した。

 こうした一連のツイートには肯定的な意見とともに、「残念です」といったネガティブな反響も少なくなかった。これに大島は「残念という方たちは何をもって残念と言ってくるのでしょうか」「私はもともと韓国が好きと言っているのに今更残念がられても」と反論した。

 たしかに大島の言い分は至極まっとうで、日韓関係の感情的な議論に一石を投じるものではある。それでも好感度が低いわけは、大島が韓流ファンの間で”いわくつき”だからだという。

「大島はタレントでありながら、韓流グループの熱烈な”追っかけ”としても有名なんです。メンバーと直で繋がろうとして、他のファンからヒンシュクを買ったことも。プライベートでも直営業のために、頻繁に韓国訪問を繰り返している。彼女の口癖は『日本の音楽は終わってる』で、普段から韓流どっぷりの生活を送っています」(アイドル誌ライター)

 大島は1つのK-POPグループにご執心というワケでなく、複数のグループを渡り歩いてきたミーハー。過去には4人組バンド「FTISLAND」のボーカル、イ・ホンギや、3人組グループ「MBLAQ」のジオにハマっていたことも。

「彼らが来日した際の滞在ホテルに、大島さんが出入りしていたという目撃談もあったほど、その想いは熱烈。いわゆる外タレに取り巻くグルーピー状態で、タレントとしての”業界パワー”を使って彼らに近づくのですから、韓流ファンからはすこぶる評判が悪い。今回の韓国擁護にも猛反発を受けているほど」(同)

 テレビの明るいキャラクターとは対照的に、楽屋では無言でひたすらスマホをイジり、韓流グループの情報を集めているという大島。芸能プロ関係者によると「ハングルを勉強し、韓国語検定2級を保持しているが、それもお目当てのグループと直で繋がりたいのがミエミエ」という。

 これでは一連の”韓国擁護ツイート”が共感されないのも無理はない?

PENTAGON、SHINEEなど“本家”越えの良曲を紹介! K-POPとニュージャックスウィングの意外な関係

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。8月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

8月の1曲‖PENTAGON - HAPPINESS

 Cube Entertainment所属9人組ボーイズグループ、PENTAGONの日本オリジナル曲です。クレジットにあるようにメンバーのキノがメインで作曲をしています。まさかその後にニュージャックスウィングのビートが来るとは思えないギターのイントロから、キノの「幸せになれるか さぁ確かめてみようよ」というフレーズでボーカルが始まります。初めて曲を聞いた時、「幸せになれるか」ぐらいであっこれは良い曲……と感じました。ウソクのラップも韓国語よりハマってる感じがするし、数少ない成功している日本オリジナル曲と言えるでしょう。聴いてわかるようにニュージャックスウィングなのですが……ということで、今回は「ニュージャックスウィング(以下、NJS)」について解説しようと思います。

 NJSについて物凄く簡単に説明すると、今でこそジャンルとしてはひと括りにされがちなHiphopとR&Bですがもともとは源流が違う、全く異なる音楽ジャンルで、1980年代後半にそこをうまくつなげたTeddy Rileyによって作られたものになります。

 R&Bというと何となく歌モノというイメージの方が多いかもしれませんが、40年代頃にリズムアンドブルーズという名前が出てきたのち60年代頃にはソウルとなり、ロックンロールやファンク、ディスコなどさまざまな音楽ジャンルを生み出す元となります。80年代中盤から後半にかけてはアーバンでスローテンポなヒット曲が増え、人気も落ち着いてきます。

ニュージャックスウィング(NJS)の世界的な流れ

 86年にリリースされたこの曲は、一番先述のイメージに近い曲かなと思います。

■Freddie Jackson & Melba Moore - A Little Bit More

 一方で前回の記事でも少し触れましたがHiphopは70年代後半に生まれ、80年代後半になるとHiphop第二世代としてPublic Enemyなどが台頭し始め、「Thug」な(悪党、凶悪犯、チンピラのような)ステレオタイプができてきます。当時、ラジオ局では朝6時〜夜6時までの時間帯はHiphopを流すことを嫌がったそうで、ラップは「若者のムーブメント」という状況だったようです。

■Public Enemy - Bring The Noise

 こちらはHiphopのクラシック曲で、88年にリリースされた、Billboardの「US Top Pop Albumチャート」で42位、「Top Black Albumチャート」で1位を獲得したPublic Enemyのアルバムに収録されているものです。

■Keith Sweat - I Want Her

 そして少し前後しますが87年、NYのハーレムで育った20歳の青年、Teddy Rileyが全面プロデュースしたKeith Sweatのデビューアルバム『Make It Last Forever』がリリースされ、収録曲「I Want Her」がヒット。これを機に世間にNJSが認知され出します。

 80年代後半のR&Bはあまりドラムが強調されないものが多いですが、HiphopのようなトラックにR&Bの歌唱を組み合わせた曲になっていることがわかると思います。その後、彼はGuyというグループを結成し、数々のNJSヒット曲を生み出します。

■Guy - Groove Me

 先月の記事で触れたので、またサンプリングの話を少ししますが、この曲は68年リリースのThe Mohawks「The Champ」の上ネタをサンプリングしています。

■Bobby Brown - My Prerogative

 私と同じ世代ぐらいの方にならBritney Spearsの同曲に馴染みがあるかもしれませんが、その原曲となったこちらもTeddy RileyとBobby Brownの共作で、この曲の収録されたアルバムは世界的にヒットします。

■Bobby Brown - Every Little Step

 この曲は日本でもCMに使われ、彼の髪形や服装などを真似した「ボビ男」と呼ばれる若者が多く出現します。NJSの世界的な大ヒットと、まだバブルで日本の音楽業界にも体力があったこの時代、J-PopにもNJSがたくさん取り入れられます。

■ZOO - Careless Dance

NJSで知名度がアップしたアーティスト/NJSを取り入れた大御所たち

 89年以降は、Teddy Rileyを始めとしたプロデューサーによってさまざまなNJS曲がリリースされ、NJSによって知名度の上がったアーティストもいれば、すでに人気のある大御所アーティストたちも自身の曲にNJSを取り入れるようになります。

■Janet Jackson - Rhythm Nation

 私が通っていた高校のバスケ部では昔からこの曲を使って新入生歓 迎会の時にボールを使ったパフォーマンスをすることが伝統で、女子高だったこともあり毎年ウケが良くてキャーキャー言われたことを思い出します。

■Michael Jackson - Remember The Time

■TLC - What About Your Friends

 NJSのジャンル名については、カルチャー誌のライター・Barry Michael Cooperが、87年にTeddy Rileyの紹介記事を書くにあたり曲の歌詞にあった「New jack(スラングで新参者、青二才の意味)」を引用し、Teddy Rileyが使用しているLinn drumというドラムマシーンでリズムをスウィングできる機能のあるボタンを「Swing」と呼んでいたところから、それらの単語を合わせていたと言われています。

 ここまで曲を聴いてきた方には説明は不要かもしれませんが、BPMは95~110ぐらいのものが多く、16分3連符が主体のスウィングビート(厳密には違いますがシャッフルビートとも言う)で、SP-1200というサンプラーやTR-808といったドラムマシーンの打ち込みのサウンドが特徴です。

 先述したように、日本ではアメリカでの流行とほぼ並行してNJS曲がリリースされますが、韓国でも92年にソテジワアイドゥルがNJS曲をリリースします。

■서태지와 아이들(Seotaiji and Boys) - 난 알아요(I Know)(1992年)

■듀스(DEUX) - 나를 돌아봐(Turn around and look at me)(1993年)

 次の年の93年にはヒップホップデュオDEUX(デュース)がデビューしNJS曲で音楽番組に出演したりもします。

■BTOB - WOW(2012年)

 今現在も活動しているK-Popアイドルと呼べるグループでは、2012年リリースのBTOBの「WOW」がNJS曲としては初めでしょうか。
なんと一番最初に挙げたPENTAGONと同じCube Entertainment所属です。

■Rania - Dr.Feel Good(2013年)

 そして次の年、13年にはNJS創始者のTeddy RileyがRaniaをプロデュースします。その後Teddy Rileyは少女時代、f(x)、SHINee、Super Junior、EXOなどSMのアーティストを中心にたくさんK-Pop楽曲を手掛けます。ちなみにどうでも良い情報ですがこのMVはダンスが過激すぎて放送禁止になったそうです……。

 その後、2016年には유성은(U Sung Eun)の「질투」やSHINeeの「1 of 1」を皮切りに、K-PopでもNJS曲が増えていきます。同年11月にリリースされたBruno marsの『24K Magic』というアルバムに収録されている「Finesse」は、その後Cardi Bを客演に迎えたRemixで大ヒットしますが、このアルバムを先取りするように「1 of 1」がリリース(同年10月6日)されたのも面白い事実です。

近年のK-POPにおけるNSJ

 最後に、ここ2〜3年でリリースされたK-PopのNJSで私のお気に入りを貼って終わります。NJSはどうしても、トラックの音色が似たようなものになりがちなので、ボーカル・ラップの声色とメロディラインがとても重要になってくると個人的には思います。

■이달의 소녀/희진, 현진 (LOONA/HeeJin, HyunJin) - I'll Be There

■JBJ - 오늘부터

■VERIVERY - Super Special

<落選したけど……紹介したい1曲>
■디원스(D1CE) - 놀라워(Amazing)

 D1CE Entertainment(旧Happyface Entertainment)から8月1日にデビューした5人組ボーイズグループ・D1CE(ディウォンス)のアルバム曲「놀라워(ノラウォ)」、軽快なディスコファンクです。『Produce101 season2』や『Mixnine』、『少年24』など全員がサバイバル番組経験者で、ラッパーのウジニョンは『Mixnine』で1位にもなり、最近はラップサバイバル番組『Show me the money8』にも出演し初戦突破を果たしたりと、実力のあるグループです。とにかくアルバムが良いのでアルバム単位で是非お聞き下さい。

<近況>
7月・8月は珍しく飛行機に乗らず節約!と思ったら結局普段韓国に行くよりもお金を出して新幹線に乗って大阪までWe in the zoneを見に行ってしまいました。今月は月末にKCONタイに行きます。

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

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pH-1 からTWICE、NCT127まで全14曲! K-POP、サンプリングの元ネタを一挙解説

――毎月リリースされるK-POPの楽曲。それらを楽しみ尽くす“視点”を、さまざまなジャンルのDJを経て現在はK-POPのクラブイベントを主宰するe_e_li_c_a氏がレクチャー。7月にリリースされた曲から[いま聞くべき曲]を紹介します!

いま聞くべき1曲‖pH-1 - You don't know my name

 元2PM、Jay parkが設立したH1GHR Music所属のラッパー、pH-1のアルバム曲です。2000年代のアメリカのHiphop、R&Bを追っていた人には聞いただけで一発でわかる、冒頭の「You don't know my name~round and round and round we go,will you ever know,will you ever know it? 」ですが、これはアメリカのシンガーソングライター・Alicia Keysの「You don't know my name」という曲のサビのフレーズで、1:09~を早回し(※)しています。

□元ネタ:Alicia Keys-You don't know my name

 ということで今回はK-Popにおけるサンプリングについて説明したいと思います。その前に、まずはサンプリングの歴史・経緯について説明します。

 まず、手法でいう「サンプリング」は元々は1940~1960年代にエクスペリメンタルミュージック(実験音楽)のミュージシャンによって開発されたもので、環境音やさまざまな物を使って出した音を録音し、テープを切り貼りして音のコラージュを作ったりするところから始まりました。70年代にターンテーブル(レコードプレイヤー)を2台使い、当時流行していたソウル・ファンク・ディスコなどの楽曲のドラムブレイク(歌がなくドラムとベースだけの部分)を、同じレコードのドラムブレイクにつなぎ、ブレイクの部分だけを繰り返したものがブレイクビーツと呼ばれ、Hiphopのビートとなっていきます。

 Hiphopの3大DJ、Kool HercによるDJプレイの2:45~がわかりやすいです。

 このような成り立ちから、Hiphopはサンプリング技術に基づいた最初のポピュラー音楽ジャンルなどと呼ばれています。Hiphopの楽曲全てがサンプリングをしているというわけではないですが、前述のAlicia Keysの「You don't know my name」にもサンプリング元があります。

□さらに元ネタ:The Main Ingredient - Let Me Prove My Love to You(1:46~)

※ レコードを再生するターンテーブルには再生速度が33回転と45回転の2種類があり、本来33回転で再生するものを意図的に45回転にしてかけるとピッチが高くなりBPMも速くなる。それを利用したサンプリングの手法の1つです。今はデジタルでどうにでもなるのでわざわざターンテーブルで律儀にこれをやっている人は少ないかもしれませんが……。

関連曲:K-Popにおけるサンプリング

 では、ようやくK-Popにおけるサンプリングについてです。
■god - 어머님께

 1999年リリースのgodのデビュー曲、JYPの社長パク・ジニョンが作詞作曲をしています。リリース当時は自身のみの作詞作曲としていましたが盗作疑惑をかけられ、後に2Pacの「Life goes on」をサンプリングしたものと明かされます。バックでかかっているカノンのようなシンセのメロディが「Life goes on」と一緒ですね。

□元ネタ:2Pac - Life Goes On

 先程と同じ流れですが「Life goes on」にもサンプル元があります。

□さらに元ネタ:O'Jays - Brandy(0:16~)

■헤이즈 (Heize) - And July (Feat. DEAN, DJ Friz)

 2016年リリース、シンガー兼ラッパーのHeizeの曲、客演のDeanが作詞作曲をメインでしています。こちらに関しては併せてこの曲も。

iKON - 솔직하게 (M.U.P)

 サンプリングするパーツは曲によってさまざまですが、この2曲に関してはドラムの部分をこの曲からサンプリングしています。

□元ネタ:The Honey Drippers - Impeach The President

 この曲のドラムは数え切れないほどたくさんの曲からサンプリングされており、Hiphop界隈ではImpeachのドラムといえばこれ! というぐらいです。

■블락비 바스타즈 (BLOCK B Bastarz) - That's right

今まではメロディとドラムがサンプリングされていましたがこちらは声ネタ。Block Bの派生ユニット、BastarzのThat's right、0:10の「It's yours」部分がこちらです。

□元ネタ:T La Rock & Jazzy Jay - It's Yours(0:28)

■아이오아이 (I.O.I) - Whatta Man (Good man)

Produce101で結成された期間限定グループI.O.Iの2曲目の活動曲です。こちらは曲名も同じこちら。

□元ネタ:Salt 'N' Pepa - Whatta Man

曲のアイデンティティとなるサビが全く同じなのでこれをサンプリングとするかカバーとするか難しい所ですが、曲まるまる同じわけではないのでサンプリングに留まるのでしょうか。

 さて、ここからはリズムマシンやPCの作曲ソフト等で扱うサンプル・ループ素材について少し取り上げます。プリセットのサンプルとして元々ソフトや楽器に入っているものもあれば追加で買うようなパターンもありますが、基本は作曲ソフト等を購入すれば誰でも使えるもので、わざわざ使用許可を取る必要はありません。

楽器のサンプル例

■NCT 127 - Regular(0:36)

■TWICE - FANCY(0:04)

 2曲の共通している音に気付くのが難しいかもしれませんが、表記の場所で聞こえる「Aaaah!」という声ネタです。Twiceのほうがわかりやすいと思います。

 次も冒頭のAlicia Keys世代の方には、なんか聞いたことあるな……? となるかもしれませんが、 この曲でも同じサンプルを使っています。

■Nelly - Dilemma ft. Kelly Rowland(0:24)

 これはRolandという楽器メーカーのシンセサイザーの拡張ボード(DANCE SR-JV80-06 Expansion Board)に入っている声サンプルです。サンプルはこちら

 同じパターンで、作曲ソフトのサンプルを使っている曲の紹介をいくつかしたいと思います。ちなみにこちらはサンプル元が何なのかは不明です……。

作曲ソフトのサンプル例:1

■JB(GOT7) - Sunrise

백현 (BAEKHYUN) - Ice Queen

この2曲はトラックの上ネタが同じで、JBの曲はイントロからその部分が聞こえるので分かりやすいと思います。

作曲ソフトのサンプル例:2

Sleepy - 잠겨(Fall in love)

■이달의 소녀 (LOOΠΔ) - ++

■피오 (P.O) - 소년처럼 (Comme des Garcons)

몬스타엑스 (MONSTA X) - Party Time

 これら4曲全て同じギターのサンプルが使われています。

 もちろん既存曲からのサンプリングの場合著作権などが絡んでくるため、上記パク・ジニョンの曲のように盗作騒動になったりもしますが、Crushの「Oasis」のようにリスナーが早とちりして騒いでしまうパターンもあります(Crushの「Oasis」はEric Bellingerの「Awkward」の盗作だという議論が浮上し、Eric Bellinger本人がそうは思わないと否定した経緯があります)。

 私のもとに、この曲とこの曲のフレーズが同じなんですけどそんなことありますか? と質問が来たこともあります。1970年代ぐらいから、そのような議論は絶えないですが、韓国のHiphopウェブマガジン「RHYTHMER」が2014年にサンプリングのことについて書いた記事があり、日本語訳もされているので興味がある方は読んでみて下さい。

<落選したけど……紹介したい1曲>
크나큰 (KNK) - SUNSET

 220ent所属の5人組グループKNKの新曲です。びっくりするぐらいめちゃくちゃテクノです。

<近況>
気付いたら家にWe in the zoneの同じCDがたくさんあって怖いです。
8/12(月・祝) 15時~渋谷AsiaというクラブでK-Popをかけるクラブイベント、Todak Todakを開催します!
ゲストも豪華で広い所でやるので是非たくさんの方に来ていただきたいです!詳細はTodak TodakのTwitterアカウントを御覧ください。電子チケットの販売はこちら

e_e_li_c_a
1987年生まれ。18歳からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

Twitter @e_e_li_c_a TodakTodak 
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BTS、「日本版」写真集発売によからぬウワサ――韓国の出版社から「聞いてない」とクレーム?

 ワールドツアー『LOVE YOURSELF:SPEAK YOURSELF』の一環として、大阪、静岡での日本ツアーを終えたBTS(防弾少年団)。開催期間中には、写真集発売も発表されるなど、グループとして大きな盛り上がりを見せているが、この写真集をめぐって、マスコミ関係者の間に不穏な空気が漂っているという。

 同写真集は、昨年、韓国でWeb限定販売された『Dicon BEHIND THE SCENE~僕たちが一緒なら砂漠も海になる~』の日本版。韓国版についていた付録に加えて、日本語翻訳小冊子や、特大ポスターの抽選権もつくという。

「制作や発売は、女性誌『JJ』(光文社)が担当するそうで、8月より予約がスタートします。ところが、この発表に対して、『韓国の出版社サイドが、光文社に対してクレームをつけているらしい』という話が聞こえてきたんです」(音楽誌ライター)

 ツアー開催期間中、一部出版関係者の間ではこんなウワサが飛び交っていたのだという。

「韓国サイドは、光文社の写真集発売を事前に知らされておらず、そのため大きな損害が発生してしまう、と主張しているといったウワサです。しかし、写真集を“リメーク”する側の光文社が、元の出版社に連絡をしていないとは少々考えにくい。もしかしたら、何かしら別のトラブルが隠されているのかもしれません」(同)

 BTSをめぐっては、過去にもさまざまな騒動が勃発している。

「昨年夏、秋元康氏が『Bird』という楽曲に詞を提供したのですが、韓国内で反発が起こり、日本版シングルへの収録が中止になるという騒動がありました。秋元氏は、AKB48のプロデュースを行う中で『女の子たちを商品のように扱っている』などとされ、『BTSとコラボしてほしくない』という声が高まったのです。さらに年末には、メンバーのジミンが、過去に原爆投下を揶揄するようなTシャツを着用していたことが発覚し、ネットが大炎上。複数の音楽番組に出演が見送られた騒動も勃発しました。今回の写真集については、すでに詳細が発表されているため、まさか発売の延期や中止といった事態には発展しないと思いますが、波乱含みの展開になる可能性は否定できません」(レコード会社関係者)

 日韓関係は、先頃から輸出規制をめぐって、さらなる対立を深めている状況。この波紋が、悪い形で芸能界にまで広がってしまわないことを祈るばかりだ。