「韓国のハワイ」こと済州(チェジュ)島。浮かれた博物館が乱立するこの島で、珍スポ趣味者が訪れるべき三大スポットといえば、「健康と性の博物館」と「世界性文化博物館」、そして今回取り上げる「済州ラブランド」だ。ここに秘宝館の世界チェーン店「リプリーのビリーブ・イット・オア・ノット博物館」を加えて、済州島珍スポ四天王としてもいいだろう。
ラブランドを訪れたのは今年2月。ハワイと言えども冬の済州島は震えるほど寒く、雪もちらつく中、目的地のある山の中へとタクシーで向かった。こんな天候で、こんな人里離れた場所には、誰もいないのではと思いきや予想以上に人は多い。さすが有名観光地だ。
1万2,000ウォン(1,200円)を支払って入場すれば、さっそく現れるチンコのオブジェ。チンコの看板が指し示すその先には、パステルカラーのエロチックな像が景観に溶け込む、情緒あふれる庭園が広がっていた。
ラブランドの主役は、リアルな造形と鮮やかな色彩がおバカ感を演出する、エッチな巨像たちだ。それらをひとつひとつ堪能しながら歩を進める。
パンフレットには「楽しさとユーモアいっぱいの、性をテーマにした公園」「自然と調和する芸術作品を眺め、ヒーリング散歩」と書かれている。エロを眺めてヒーリング……が可能なのかよくわからないが、うがった見方をせず、あくまで芸術作品として朗らかに楽しむのが正解なのだろう。訪れた女子たちも、腰がカクカク動くオブジェを嬉々として動かしたり、チンコに抱きついたりしながら、楽しそうに写真を撮っている。
そしてそれぞれの像には、丁寧にも韓国語・日本語・英語・中国語で作品名が掲示されていた。作品との調和はもちろん、ただの翻訳とは思えない豊かな表現力で、日本語ネイティブの私も思わずうなってしまうものがあった。
個人的にツボだったのは、「日本人の愛」をはじめとする、世界の愛の形を像にしたシリーズだ。「インド人の愛」は、男女がカーマスートラの複雑な体位で絡み合っており、「アメリカ人の愛」は、男女がミュージカルのワンシーンのようにドラマチックに抱き合っているが、下半身は丸出し。世界の国々がこんなだったら、きっと平和なことだろう。
公園の中ほどには、屋内展示場が2つ。セックスグッズ、エロジオラマ、男根彫刻などが展示されていた。まるでスーパーで試食でもしてもらうかのように、通りがかる女性客にバイブを触らせようとしているお土産屋のおばちゃんを眺め、思わずほっこりとした気分に。
さらに公園を一番奥まで進むと、ちょっとしたスナックコーナーがあった。香ばしい匂いが漂ってくると思ったら、売店で焼かれているお菓子の形もやはり卑猥だ。
生気のない目をしたおばちゃんたちが卑猥なものを黙々と焼いている様子に心を打たれた私は、迷わずそれを購入、店内の席に座り食べることにした。中は練乳だろうと期待したら、白あんだ。「名物にうまいものなし」と言うが、味にメリハリがなくボリュームだけは満点のお菓子に、食べ物を大事にすることで有名な私もギブアップ。申し訳なく思いつつも、ゴミ箱にそっと捨てた。
ふと隣の席を見ると、彼氏と一緒に来ていた韓国人女子が、細長いお菓子の先っちょを口にくわえながら自撮りしているではないか。インスタにでもアップするのだろうか? 彼女もやはり一口だけかじって、残りは捨てていた。
そうこうしているうちに日も暮れ始め、雪の勢いもいよいよ増してきた。済州島にハワイを期待し薄着で来てしまった私は、シャレにならないほど体が冷えきってしまい出口へと急ぐが、公園はイラッとするほど広く、なかなかたどり着けない。
しかしそんな状況にもかかわらず、私以外の観光客たちは、傘も差さず像の前で写真を撮り合うなど、アグレッシブにラブランドを楽しんでいる。なんだこの状況?
韓国のハワイとは気候のことではなく、心の在り方なのだろう。どうにか外に出て、タクシーを呼ぼうとするも「雪が降っているから」という理由で配車拒否され、いつ来るかわからない市バスをブルブル震えながら待ちつつ、そんなことを思った。
(文・写真=清水2000)
●済州ラブランド
住所 済州市1100路2894-72(蓮洞680-26)
営業時間 9:00~24:00
入場料 1万2,000ウォン
サイト http://www.jejuloveland.com



















