10代男女の成長物語がここに!――『青春高校3年C組』その魅力とウインターライブレポート

 2018年も、秋元康プロデュースによるアイドルグループが多くの話題を集めた。海外で新グループを立ち上げた48グループや、「吉本坂46」を発足させた坂道シリーズをはじめ、エイベックスと共同で運営する「劇団4ドル50セント」、テレビ番組と連動した「ラストアイドル」、ワーナーミュージック・ジャパンとタッグを組んだ「国民的ガールズバンドオーディション」など、新企画を次々に打ち出し、それまでとは違った側面で楽しませてくれるのは、「さすが」という他はない。

 そんな中、今年の4月に、テレビ東京で、秋元康企画・監修の新たな番組が始まった。タイトルは『青春高校3年C組』。どこかにある、でもどこにもないような「理想のクラス」3年C組を舞台に、生徒たちが企画に挑戦し、その様子を生放送で伝えるというものだ。

 テレビ東京のみの放送ではあるが、「SHOWROOM」や「Paravi」といった配信サービスで楽しめるため、全国のアイドルファンが視聴可能だ。

 

■多種多様な生徒と、実力派のMC陣

 まず、「生徒」となる出演者は、番組内のオーディションで選ばれた若者たち。この時点で、番組の方向性というものが見えてくる。どんなメンバーを選ぶかで、盛り上がり方や人気が全く変わってくるからだ。

 実際選ばれたのは、実に個性豊かな面々だった。

 ジュニアアイドルグループ「みにちあ☆ベアーズ」の元メンバーで、学級委員長を務める美少女・日比野芽奈。中学時代から7年間引きこもっていたという村西里世。仕草や雰囲気が老けて見えるのか、「おばちゃん」の愛称で親しまれている宇都木彩乃など。

 一方、男性陣は、ナイジェリアと日本のハーフである「チャーリー」ことエゼマタ健太チャールズ。体重120kg超えの巨漢・佐藤諒。見た目のヤンキーっぽさが売りの「リッキー」こと奥村力など、こちらもバラエティ色豊か。

 何よりも、「美男・美女」だけではないところがいい。10代男女が多く出演する番組といえば、今年5月に終了した『Rの法則』(NHK Eテレ)に近い部分もあるが、あちらは基本的にモデルや芸能活動経験がある出演者が多く、美男美女揃い。見ている立場からすると、「どうせみんな“リア充”だしなぁ」という気持ちにならなくもなかった。

 しかし、『青春高校』は違う。多くのメンバーが、何かコンプレックスを抱えていたり、「自分を変えたい」というような気持ちを抱いていたりするのだ。そこに大きな魅力がある。

 一方で、選ばれたメンバーには共通点も感じる。それは、「伸びしろがある」ということだ。実際、毎日の生放送を続けて見ていると、それぞれの成長が見えてくる。

 それは、MC(番組内では「担任」)のキャスティングからも感じることができる。

 隔週木曜日担当のバカリズムは、『アイドリング!!!』(フジテレビ系)のMCを10年近く担当し、菊地亜美や朝日奈央などを育ててきた。金曜日のバナナマン・日村勇紀は、相方の設楽統とともに『乃木坂工事中』(テレビ東京系)など、乃木坂46のMCを務め、「公式お兄ちゃん」と呼ばれるまでになっている。他にも、月曜日のメイプル超合金は、『STU48のセトビンゴ!』(日本テレビ系)で、STU48と共演。隔週火曜日のバイきんぐ・小峠と、水曜日の三四郎は、『浅草ベビ9』(テレビ東京系)で、ベイビーレイズJAPANや9nineと共演している。つまり、多くのMCが、番組を通してアイドルを“育てた”実績があるということだ。

 番組プロデューサーは、『ゴッドタン』でもおなじみの佐久間宣行。彼の中にも、芸人と若者のぶつかり合いによって生まれる、感動や面白さを見せようという思いがあったのではないだろうか。

 生徒たちの成長の度合いを見せるかのように、定期的に企画やイベントが組まれている。

 野外合宿、運動会、新メンバーの加入……その時々に用意された課題に取り組むことにより、メンバーは絆を強め、また少し大人へと近づいていくのだ。

 そんなイベントの中でも、一番の盛り上がりを見せたのが、8月27日に東京富士大学で開催された『青春高校文化祭』だった。会場にはキャパいっぱいの1,000人ものファンが訪れ、「アイドル部」「軽音部」「ダンス&ボーカル部」などの、練習の成果を見届けたのだ。

 そのライブの最後に発表されたのが、「12月26日に、ウインターライブを開催する」という告知だった。一つの山を越えたメンバーたちは、次のイベントに向かって歩き出した。

 そして迎えた、ウインターライブ当日。私も会場に足を運んだので、レポートしたい。

■熱気と感動に包まれた3時間

 開場時間の17時半頃、会場である中野サンプラザに到着すると、すでに大勢の客が集まっていた。ちなみにチケット(およそ2,000枚)はソールドアウト。年末の忙しい時期ではあるが、多くのファンが、彼ら彼女らの発表を見届けようと思っていたのだ。

 入場待機列を眺めてみると、若い男女が多い。皆、自分の現在を、生徒たちに重ね合わせているのかもしれない。入口で、生徒手作りのパンフレットを受け取り、会場に入る。

 注意事項のアナウンス、前説をそれぞれ担当の生徒たちがこなしていく。いずれも、プロとは一味違う初々しさが微笑ましい。

 定刻を15分ほど押して、開演。幕が上がると、出演者の生徒たち31人、そしてMCの中井りか(NGT48)、岩永達彦(ノブナガ)が登場。多くのステージを経験している中井だが、生徒たちかうまくできるかどうか心配で緊張しているという。

 簡単な挨拶の後、まずは、夏に作られた、それぞれのユニットの楽曲披露となった。

 トップバッターは、軽音部。小峠が学生時代に作った曲をベースにした「うるさいうた」を披露する。8月の文化祭に比べ、レベルが上がっているのはもちろんだが、新メンバーが加わり、音に厚みが加わった。特に、上島陸歩のヴァイオリンが、魅力的な音を奏でていた。

 ここで、客席に来ていたMC陣、三四郎の小宮浩信と相田周二、そして安藤なつ(メイプル超合金)が挨拶する。今回相田は、ダンスボーカル部のセンターを務めるということもあり、気合が入っている。

 続いて、企画ユニットが「バトラー」、ダンス&ボーカル部が「Leave it to me!」をパフォーマンス。どちらも新メンバーが加わっているが、クオリティは前回以上。それぞれの熱意が感じられた。

 そして、アイドル部が登場し「チャイムの途中で」を歌う。こちらは、前回の7人から9人に増員。華やかさが増した印象だった。客席からも、色とりどりのペンライトが振られ、彩りを添えていた。

 ここからは、かくし芸的なステージが続く。まずは3人組の漫才部。台本もメンバーで書いたという、ドライブデートを題材にした漫才は、テンポもよく面白かった。そして、MC・中井りかも加わってのコント部。アイドルの握手会という設定で、中井のスキャンダルをネタにしたストーリーは大ウケだった。

 前回賛否両論あったマリンバ演奏では、ピアノや太鼓も加わって、SEKAI NO OWARI「スターライトパレード」を披露。他の出し物のような、熱さこそないものの、なにかほのぼのとして温かい気持ちになれた。

 続いて、今回の目玉のひとつでもある、全員コント。主役は、前回の文化祭で、補欠から正規メンバーに昇格した、別所匠。30分を超えるコントだったが、ひとりひとりの熱演もあって、あっという間に感じた。

 そして後半戦。ここからは、今回のライブのために作られた、新ユニットや新曲のコーナーだ。

 トップバッターは、今回唯一のソロ、前川歌音による「クラクションレクイエム」。かつての中森明菜を彷彿させる楽曲に、マイクスタンドを使った大胆なパフォーマンスが見事。会場からの大歓声に、満足感を感じているようだった。

 そして、チャーリー(エゼマタ健太チャールズ)とおばちゃん(宇都木彩乃)によるユニットで、「ナイジェリアローズ」。こちらは、チャーリーが曲の途中で上着とズボンを脱ぎ捨て、短パンひとつで歌うという驚きの趣向であった。

 ここで客席には、隔週火曜日MC・千鳥の二人が登場。会場に歓声が沸き起こる。

 さて、ステージ上には、元引きこもりの村西里世が登場し、YouTubeとTwitterで、50万回以上再生されたという「引きこもりあるあるのうた」を歌う。自身の経験をも織り込んだと思わる歌詞と、コミカルなダンスが印象的。引きこもりらしく、スウェット姿もよく似合っていた。

 そして、クラスではモテない男子キャラとなっている、出口晴臣、別所匠の2人による「負け犬のブルース」。ここでは、出口がハーモニカも奏で、切なげな歌を一層盛り上げていた。

 部活の発表に戻り、軽音部が新曲「自己嫌悪の夜」を演奏。切ないバラードに、キーボードのソロ、そしてやはりヴァイオリンがいい味を出している。そのままの盛り上がりを受け、企画ユニットの「気まぐれカモン」へと繋がった。

 新メンバーの、「マーガリン」こと大曲李佳がセンターとなった、アイドル部は、「無人島へ連れてって」を歌い踊る。AKBなどにも通じる王道のアイドルソングで、9人のフォーメーションも見事だった。

 部活のラストは、三四郎・相田がセンターをすることになった、ダンス&ボーカル部の「マイナスワン」。赤いジャージ風の衣装で12名が踊る様は圧巻だった。短い練習時間だったと思うが、相田も立派に務めを果たしていた。

 ライブも一通り終了し、生徒がステージに揃ったところでサプライズ。なんと、番組MCを務めている芸人13人による新曲「たった一つだけの約束」ができたとのこと。会場に来ていたMC陣もマイクを握り、曲が流される。「死ぬな、生きろ!」というメッセージが伝わってくる力強い曲。生徒たちは涙を流して聞き入っていた。

 その後、もう一つのサプライズ、来年2月に、新宿アルタで1週間劇場公演が決まったとのこと。こちらもどんな内容になるのか、期待して待ちたい。

 最後、メンバーから感謝の言葉が述べられ、全員で合唱曲「夕焼けはなぜ、一瞬なのか」を歌う。会場は、ひとつのことをやり遂げた生徒たちに拍手を送り、3時間にも及んだライブは終了した。

 

■ライブを通して伝えたかったこと

 企画もバラエティに富んでいて、楽しく、見ごたえのあるライブだった。テレビの企画であることを考えれば、構成や演出は細かく決められていたことと思う。制作しているのは、経験豊富なプロの人たちだ。良いものができるのも納得だ。ただ、実際にステージを生で見て、生徒たちの頑張る姿に、台本を超えた勢いや感動を感じたことも事実である。

 近年は、ネットなどの広まりにより、「学校」というものの存在は希薄化しているのではないかと思う。この番組の作り手側の人たちが経験した時代は、今よりもっと濃密な学校生活があった。私自身振り返ってみても、学生時代、学校は生活のほぼ全てで、塾に行っている人すら少数派だったのだ。

 この番組を生み出したのは、あの頃の学校を作りたかった人たちなのだ。人間関係が濃くて、キラキラと輝いていた。そんな思い出の中の「理想の学校」、それこそが、今回見せてくれた若者たちの「青春」なのだろう。

「学校って、こんなに楽しかったんだよ。こんなに一生懸命になれたんだよ」そんなことを、生徒たちや、テレビの向こうにいる視聴者に知ってほしかったんじゃないだろうか。熱血モノの学園ドラマも流行らなくなった今、バラエティとドキュメンタリーの間にあるような、この番組が、伝えようとしているものは大きいはずだ。

 番組が始まって8カ月、実際に生徒たちは大きく成長した。かつての『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系)や『ASAYAN』(テレビ東京系)などの例を見るまでもなく、若い子たちが成長する姿を見るのは、何よりも嬉しいものだ。当然、番組である以上、つらいことや厳しい面もあるだろう。しかし、困難を乗り越えてなお「前に進もう」とする姿勢は、実に尊いものなのだ。

「学校」がコンセプトであるがゆえに、生徒たちもみないつかは卒業していく。彼ら彼女らが外の世界に向け大きく羽ばたいていく日まで、しっかりと見届けたいと思った。

(文=プレヤード)

10代男女の成長物語がここに!――『青春高校3年C組』その魅力とウインターライブレポート

 2018年も、秋元康プロデュースによるアイドルグループが多くの話題を集めた。海外で新グループを立ち上げた48グループや、「吉本坂46」を発足させた坂道シリーズをはじめ、エイベックスと共同で運営する「劇団4ドル50セント」、テレビ番組と連動した「ラストアイドル」、ワーナーミュージック・ジャパンとタッグを組んだ「国民的ガールズバンドオーディション」など、新企画を次々に打ち出し、それまでとは違った側面で楽しませてくれるのは、「さすが」という他はない。

 そんな中、今年の4月に、テレビ東京で、秋元康企画・監修の新たな番組が始まった。タイトルは『青春高校3年C組』。どこかにある、でもどこにもないような「理想のクラス」3年C組を舞台に、生徒たちが企画に挑戦し、その様子を生放送で伝えるというものだ。

 テレビ東京のみの放送ではあるが、「SHOWROOM」や「Paravi」といった配信サービスで楽しめるため、全国のアイドルファンが視聴可能だ。

 

■多種多様な生徒と、実力派のMC陣

 まず、「生徒」となる出演者は、番組内のオーディションで選ばれた若者たち。この時点で、番組の方向性というものが見えてくる。どんなメンバーを選ぶかで、盛り上がり方や人気が全く変わってくるからだ。

 実際選ばれたのは、実に個性豊かな面々だった。

 ジュニアアイドルグループ「みにちあ☆ベアーズ」の元メンバーで、学級委員長を務める美少女・日比野芽奈。中学時代から7年間引きこもっていたという村西里世。仕草や雰囲気が老けて見えるのか、「おばちゃん」の愛称で親しまれている宇都木彩乃など。

 一方、男性陣は、ナイジェリアと日本のハーフである「チャーリー」ことエゼマタ健太チャールズ。体重120kg超えの巨漢・佐藤諒。見た目のヤンキーっぽさが売りの「リッキー」こと奥村力など、こちらもバラエティ色豊か。

 何よりも、「美男・美女」だけではないところがいい。10代男女が多く出演する番組といえば、今年5月に終了した『Rの法則』(NHK Eテレ)に近い部分もあるが、あちらは基本的にモデルや芸能活動経験がある出演者が多く、美男美女揃い。見ている立場からすると、「どうせみんな“リア充”だしなぁ」という気持ちにならなくもなかった。

 しかし、『青春高校』は違う。多くのメンバーが、何かコンプレックスを抱えていたり、「自分を変えたい」というような気持ちを抱いていたりするのだ。そこに大きな魅力がある。

 一方で、選ばれたメンバーには共通点も感じる。それは、「伸びしろがある」ということだ。実際、毎日の生放送を続けて見ていると、それぞれの成長が見えてくる。

 それは、MC(番組内では「担任」)のキャスティングからも感じることができる。

 隔週木曜日担当のバカリズムは、『アイドリング!!!』(フジテレビ系)のMCを10年近く担当し、菊地亜美や朝日奈央などを育ててきた。金曜日のバナナマン・日村勇紀は、相方の設楽統とともに『乃木坂工事中』(テレビ東京系)など、乃木坂46のMCを務め、「公式お兄ちゃん」と呼ばれるまでになっている。他にも、月曜日のメイプル超合金は、『STU48のセトビンゴ!』(日本テレビ系)で、STU48と共演。隔週火曜日のバイきんぐ・小峠と、水曜日の三四郎は、『浅草ベビ9』(テレビ東京系)で、ベイビーレイズJAPANや9nineと共演している。つまり、多くのMCが、番組を通してアイドルを“育てた”実績があるということだ。

 番組プロデューサーは、『ゴッドタン』でもおなじみの佐久間宣行。彼の中にも、芸人と若者のぶつかり合いによって生まれる、感動や面白さを見せようという思いがあったのではないだろうか。

 生徒たちの成長の度合いを見せるかのように、定期的に企画やイベントが組まれている。

 野外合宿、運動会、新メンバーの加入……その時々に用意された課題に取り組むことにより、メンバーは絆を強め、また少し大人へと近づいていくのだ。

 そんなイベントの中でも、一番の盛り上がりを見せたのが、8月27日に東京富士大学で開催された『青春高校文化祭』だった。会場にはキャパいっぱいの1,000人ものファンが訪れ、「アイドル部」「軽音部」「ダンス&ボーカル部」などの、練習の成果を見届けたのだ。

 そのライブの最後に発表されたのが、「12月26日に、ウインターライブを開催する」という告知だった。一つの山を越えたメンバーたちは、次のイベントに向かって歩き出した。

 そして迎えた、ウインターライブ当日。私も会場に足を運んだので、レポートしたい。

■熱気と感動に包まれた3時間

 開場時間の17時半頃、会場である中野サンプラザに到着すると、すでに大勢の客が集まっていた。ちなみにチケット(およそ2,000枚)はソールドアウト。年末の忙しい時期ではあるが、多くのファンが、彼ら彼女らの発表を見届けようと思っていたのだ。

 入場待機列を眺めてみると、若い男女が多い。皆、自分の現在を、生徒たちに重ね合わせているのかもしれない。入口で、生徒手作りのパンフレットを受け取り、会場に入る。

 注意事項のアナウンス、前説をそれぞれ担当の生徒たちがこなしていく。いずれも、プロとは一味違う初々しさが微笑ましい。

 定刻を15分ほど押して、開演。幕が上がると、出演者の生徒たち31人、そしてMCの中井りか(NGT48)、岩永達彦(ノブナガ)が登場。多くのステージを経験している中井だが、生徒たちかうまくできるかどうか心配で緊張しているという。

 簡単な挨拶の後、まずは、夏に作られた、それぞれのユニットの楽曲披露となった。

 トップバッターは、軽音部。小峠が学生時代に作った曲をベースにした「うるさいうた」を披露する。8月の文化祭に比べ、レベルが上がっているのはもちろんだが、新メンバーが加わり、音に厚みが加わった。特に、上島陸歩のヴァイオリンが、魅力的な音を奏でていた。

 ここで、客席に来ていたMC陣、三四郎の小宮浩信と相田周二、そして安藤なつ(メイプル超合金)が挨拶する。今回相田は、ダンスボーカル部のセンターを務めるということもあり、気合が入っている。

 続いて、企画ユニットが「バトラー」、ダンス&ボーカル部が「Leave it to me!」をパフォーマンス。どちらも新メンバーが加わっているが、クオリティは前回以上。それぞれの熱意が感じられた。

 そして、アイドル部が登場し「チャイムの途中で」を歌う。こちらは、前回の7人から9人に増員。華やかさが増した印象だった。客席からも、色とりどりのペンライトが振られ、彩りを添えていた。

 ここからは、かくし芸的なステージが続く。まずは3人組の漫才部。台本もメンバーで書いたという、ドライブデートを題材にした漫才は、テンポもよく面白かった。そして、MC・中井りかも加わってのコント部。アイドルの握手会という設定で、中井のスキャンダルをネタにしたストーリーは大ウケだった。

 前回賛否両論あったマリンバ演奏では、ピアノや太鼓も加わって、SEKAI NO OWARI「スターライトパレード」を披露。他の出し物のような、熱さこそないものの、なにかほのぼのとして温かい気持ちになれた。

 続いて、今回の目玉のひとつでもある、全員コント。主役は、前回の文化祭で、補欠から正規メンバーに昇格した、別所匠。30分を超えるコントだったが、ひとりひとりの熱演もあって、あっという間に感じた。

 そして後半戦。ここからは、今回のライブのために作られた、新ユニットや新曲のコーナーだ。

 トップバッターは、今回唯一のソロ、前川歌音による「クラクションレクイエム」。かつての中森明菜を彷彿させる楽曲に、マイクスタンドを使った大胆なパフォーマンスが見事。会場からの大歓声に、満足感を感じているようだった。

 そして、チャーリー(エゼマタ健太チャールズ)とおばちゃん(宇都木彩乃)によるユニットで、「ナイジェリアローズ」。こちらは、チャーリーが曲の途中で上着とズボンを脱ぎ捨て、短パンひとつで歌うという驚きの趣向であった。

 ここで客席には、隔週火曜日MC・千鳥の二人が登場。会場に歓声が沸き起こる。

 さて、ステージ上には、元引きこもりの村西里世が登場し、YouTubeとTwitterで、50万回以上再生されたという「引きこもりあるあるのうた」を歌う。自身の経験をも織り込んだと思わる歌詞と、コミカルなダンスが印象的。引きこもりらしく、スウェット姿もよく似合っていた。

 そして、クラスではモテない男子キャラとなっている、出口晴臣、別所匠の2人による「負け犬のブルース」。ここでは、出口がハーモニカも奏で、切なげな歌を一層盛り上げていた。

 部活の発表に戻り、軽音部が新曲「自己嫌悪の夜」を演奏。切ないバラードに、キーボードのソロ、そしてやはりヴァイオリンがいい味を出している。そのままの盛り上がりを受け、企画ユニットの「気まぐれカモン」へと繋がった。

 新メンバーの、「マーガリン」こと大曲李佳がセンターとなった、アイドル部は、「無人島へ連れてって」を歌い踊る。AKBなどにも通じる王道のアイドルソングで、9人のフォーメーションも見事だった。

 部活のラストは、三四郎・相田がセンターをすることになった、ダンス&ボーカル部の「マイナスワン」。赤いジャージ風の衣装で12名が踊る様は圧巻だった。短い練習時間だったと思うが、相田も立派に務めを果たしていた。

 ライブも一通り終了し、生徒がステージに揃ったところでサプライズ。なんと、番組MCを務めている芸人13人による新曲「たった一つだけの約束」ができたとのこと。会場に来ていたMC陣もマイクを握り、曲が流される。「死ぬな、生きろ!」というメッセージが伝わってくる力強い曲。生徒たちは涙を流して聞き入っていた。

 その後、もう一つのサプライズ、来年2月に、新宿アルタで1週間劇場公演が決まったとのこと。こちらもどんな内容になるのか、期待して待ちたい。

 最後、メンバーから感謝の言葉が述べられ、全員で合唱曲「夕焼けはなぜ、一瞬なのか」を歌う。会場は、ひとつのことをやり遂げた生徒たちに拍手を送り、3時間にも及んだライブは終了した。

 

■ライブを通して伝えたかったこと

 企画もバラエティに富んでいて、楽しく、見ごたえのあるライブだった。テレビの企画であることを考えれば、構成や演出は細かく決められていたことと思う。制作しているのは、経験豊富なプロの人たちだ。良いものができるのも納得だ。ただ、実際にステージを生で見て、生徒たちの頑張る姿に、台本を超えた勢いや感動を感じたことも事実である。

 近年は、ネットなどの広まりにより、「学校」というものの存在は希薄化しているのではないかと思う。この番組の作り手側の人たちが経験した時代は、今よりもっと濃密な学校生活があった。私自身振り返ってみても、学生時代、学校は生活のほぼ全てで、塾に行っている人すら少数派だったのだ。

 この番組を生み出したのは、あの頃の学校を作りたかった人たちなのだ。人間関係が濃くて、キラキラと輝いていた。そんな思い出の中の「理想の学校」、それこそが、今回見せてくれた若者たちの「青春」なのだろう。

「学校って、こんなに楽しかったんだよ。こんなに一生懸命になれたんだよ」そんなことを、生徒たちや、テレビの向こうにいる視聴者に知ってほしかったんじゃないだろうか。熱血モノの学園ドラマも流行らなくなった今、バラエティとドキュメンタリーの間にあるような、この番組が、伝えようとしているものは大きいはずだ。

 番組が始まって8カ月、実際に生徒たちは大きく成長した。かつての『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系)や『ASAYAN』(テレビ東京系)などの例を見るまでもなく、若い子たちが成長する姿を見るのは、何よりも嬉しいものだ。当然、番組である以上、つらいことや厳しい面もあるだろう。しかし、困難を乗り越えてなお「前に進もう」とする姿勢は、実に尊いものなのだ。

「学校」がコンセプトであるがゆえに、生徒たちもみないつかは卒業していく。彼ら彼女らが外の世界に向け大きく羽ばたいていく日まで、しっかりと見届けたいと思った。

(文=プレヤード)