福山雅治、『集団左遷!!』2ケタ死守で面目保つも「ギャラ大幅ダウン」「主演俳優は失格」の烙印

 福山雅治が主演した連続ドラマ『集団左遷!!』(TBS系)が23日、最終回を終えた。全10話の平均視聴率は10.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、かろうじて2ケタを死守して面目を保ったが、福山にとっては、ここから先が真の“正念場”となりそうだ。

 同ドラマは福山の3年ぶりの連ドラ主演作とあって、注目を集め、初回13.8%と好発進。ところが、コメディタッチの作品で、福山はドタバタ走り回り、顔芸を全開。銀行を舞台にした作品とはいえ、池井戸潤氏原作の『半沢直樹』(TBS系)のようなノリを期待した視聴者を失望させてしまった。

 案の定、第2話は8.9%と急降下。第3話では10.1%と持ち直したものの、第4話以降は9.2%→9.0%→7.8%→9.4%と4週連続で1ケタ台に低迷。しかし、終盤の第8話から、11.8%→10.1%→13.1%と10%超えが続き、なんとか全話平均で2ケタに乗せた。

 三友銀行蒲田支店を舞台にした、第1章「蒲田編」(初回~第6話)は、あまりにもコメディタッチが過ぎて大不評。だが、第2章「本部編」(第7話~第10話)は一転して、三友銀行の本部を舞台に、ビジネスドラマっぽいつくりとなった。

 融資部付部長の主人公・片岡洋(福山)が、専務から副頭取に昇進した横山輝生(三上博史)の不正を暴くべく奔走し、最終的に告発。横山は、自身の不正を隠ぺいしてくれた藤田秀樹頭取(市村正親)とともに失脚。融資担当常務の隅田優(別所哲也)が新頭取となり、片岡は新たな役職で再スタートを切り、ハッピーエンドと相成った。

「結婚して子どもも生まれ、50歳になった福山は、もはやカッコよさだけでは通用しません。福山自身、それを承知の上で、“演技派”への転換を図ったようですが、演技力の乏しさが浮き彫りになってしまいました。走り回ったり、顔芸をさせられたりというのは、演出上の問題なので、福山に非はありませんが、滑稽そのものでした。この作品を通して、福山が演技の幅を広げられたかというと甚だ疑問で、今後に課題を残したといっていいでしょうね」(テレビ誌編集者)

 かつて、福山が主演した『ガリレオ』シリーズ(フジテレビ系)、NHK大河ドラマ『龍馬伝』などは高視聴率をマーク。映画『そして父になる』も大ヒットして、俳優としても、我が世の春を謳歌した。

 しかし、結婚後に主演したドラマ『ラヴソング』(同)は平均8.5%と大爆死。映画では、『三度目の殺人』はまずまずだったが、『SCOOP!』『マンハント』は惨敗を喫し、“主演俳優”としては崖っぷちに立たされていた。

「今回、『集団左遷!!』がなんとか平均視聴率2ケタを死守して、主演ドラマの2作連続爆死は回避しましたが、ギリギリの10%台。過去の福山のブランド力を考えると、物足りない数字で、今後各局が主演オファーを出すかどうかは微妙。出演料も、一般的な主役級より高いと言われていますから、大幅なギャラダウンという現実も受け止めなければならない。いずれにせよ、もう“福山”の名前だけでは数字が取れないとハッキリしたのは確かです」(同)

 さしあたって、福山は11月1日に公開される映画『マチネの終わりに』で主演を務める。同作で、福山は世界的なクラシックギタリスト役を演じ、パリの通信社に勤務するジャーナリスト(石田ゆり子)とのラブストーリーになるという。ドラマ、映画が大ヒットした『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系、映画版のタイトルは『昼顔』)の西谷弘監督と、売れっ子脚本家・井上由美子氏がコンビを再結成するとあって、コケることは絶対に許されない作品だ。

 中年同士のラブストーリーに、どれほどの需要があるかはわからないが、同作も爆死するようだと、いよいよ福山の立場は危うくなるだろう。

三上博史、悪のレトリックが冴え渡った!! 存在感で福山雅治を上回った『集団左遷!!』最終話

  平成から令和をまたいだ、福山雅治初のサラリーマンもの『集団左遷!!』(TBS系)。金融業界が舞台と思えないほどズボラな脚本、福山のコミカルな演技が“顔芸”と称されるなど多くの問題を抱えたドラマでしたが、何とかゴールに辿り着きました。平成最後の、令和初の下克上は果たせたのでしょうか。最終話を振り返りたいと思います。

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 三友銀行に勤める片岡部長(福山雅治)は、横山専務(三上博史)が政治家に不正な献金をしている事実を役員会議で告発します。ところがほとんどの役員は片岡の言葉には耳を傾けず、横山専務が副頭取に昇格することに賛成するのでした。片岡の正論は、横山専務の辣腕ぶりの前に敗北を喫したのです。

 このまま三友銀行は、横山副頭取による独裁支配へと進むのでしょうか? 片岡は反横山派である隅田常務(別所哲也)と共に、横山体制にはびこる不正問題をマスコミに公表することを決心します。

 もちろん、横山副頭取は黙ってはいません。片岡に協力する日本橋支店の副支店長・真山(香川照之)、裏金の流れをメモした秘密手帳を片岡に渡した梅ちゃん(尾美としのり)への出向を命じます。見せしめ人事です。片岡本人ではなく、周辺を狙い撃ちするという何ともゲスいやり口。片岡の首を真綿で締めるように、じっくりと責める横山副頭取でした。

 片岡と横山副頭取が直接対決するシーンが訪れました。真山らの出向が決まったことに、顔を真っ赤にして怒る片岡。そんな片岡に対して、横山副頭取は“悪のレトリック”を全開してみせるのでした。

横山「本当に会社を変えたいのなら、私のところまで上がってきてください。あなたを出向させないのは、あなたのがんばりを評価しているからです。これからの三友銀行に必要な人材だと思っているからです。会社が生き残るためには清濁併せ呑まなくてはならないんです」

 横山副頭取は、社運を賭けた新しい事業のメンバーに片岡を抜擢するつもりだと言います。そして、そこで実績を残せば、役員への道が開け、真山たちを出向先から呼び戻すことができるのだと。それまで「不正は許せない」の一点張りだった片岡の心は揺らぎます。部屋を出た瞬間、「クプッ」と小さく笑う三上博史。悪の華が咲き乱れた、『集団左遷!!』最大の見せ場だったといえるでしょう。

 

悪役・横山がいちばん嫌いだった人物とは?

 横山副頭取の悪の囁きによって、マスコミへの公表をためらっていた片岡ですが、結局は真山に「最後までブレないでください」と説得され、横山副頭取が政治家たちと癒着している事実を、金融庁や新しい提携先であるネット通販会社へとリークするのでした。

片岡「みんなは横山さんのような強い力は持っていません。でも、会社の役に立ち、お客さんに喜んでもらうために、噓をつかずにがんばってきたつもりです」

 最後まで正論を貫き通した片岡が、現代社会の“メフィスト”横山副頭取に引導をついに渡したのでした。

 あともう少しで、横山副頭取が夢想してきた未来型の新しい銀行が誕生するはずだったのですが、中学生のような正論を吐き続ける一人の石頭によって頓挫したのです。横山副頭取の脳内にあった輝かしい未来予想図は、砂上の楼閣のように崩れ落ちていきます。最後に横山副頭取は「す〜は〜」と息を整えてから、「では、みなさん! がんばってくださいッ!!」と張りのある声を残して退場するのでした。実に悪役らしい、あっぱれな姿でした。

 横山副頭取の不正を見逃していた責任から、藤田頭取(市村正親)も身を引くことになりました。経営陣は一新され、隅田常務が新しい頭取に選ばれます。出向が決まっていた真山は銀行を辞め、病気がちな妻(西田尚美)の傍にいられるよう妻の実家の会社を手伝うことになりました。梅ちゃんは隅田常務の片腕になったようです。そして、片岡は人材育成研修センターで若い世代の指導にあたることになります。不正に関わった人間は一掃され、三友銀行が再建へ向かうところで終幕となりました。

 最終話の主人公は、完全に三上博史演じる横山副頭取でした。もう少しで座れるはずだった頭取の椅子の前でヘタレこみ、それまで見せたことのない涙をこぼします。

 一方的にリストラを進める冷血漢にように思われた横山副頭取ですが、必ずしもそうではありません。腹心の部下・鮫島(小手伸也)が秘密手帳を梅ちゃんに無造作に渡したりしなければ、こんな事態にはならなかったはずです。それでも、横山は部下の鮫島を責めることはしません。何もせずに周囲の顔色ばかり見ている人間が、横山は大嫌いなのです。横山のこれまでの努力や独自性のあった将来設計は理解されないまま、誰にも見送られることなく横山は消えていくのでした。

 いつか、三上博史扮する悪徳ビジネスマンが暗躍するピカレスクロマンものを見てみたいです。小手伸也が出演している『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の続編に、三上がラスボスとして登場するのも面白そうです。

 問題点がいろいろあった『集団左遷!!』ですが、ひとつだけに絞れば『半沢直樹』『下町ロケット』(同)といった高視聴率をとった池井戸潤ドラマのしわ寄せ、悪影響が噴出したドラマだったように感じられたということです。『半沢直樹』も『下町ロケット』も池井戸潤の原作小説をそれぞれ2巻ずつ投入することで、非常にスピーディーな展開を見せ、視聴者を取り込むことに成功しました。じっくり楽しみたい人は、原作小説を読めばいいわけです。

 今回の『集団左遷!!』は、江波戸哲夫の小説『集団左遷』『銀行支店長』から美味しいところを抜き出したものの、ほぼオリジナルといっていい内容でした。池井戸潤ドラマのように、ドラマと原作小説とが補完しあうような密な関係にはなっていません。池井戸ドラマのようなスピーディーな展開を狙うあまり、人物造形や家族構成といったドラマの背景はおざなりとなり、最後まで薄っぺらいいままでした。主人公の片岡は「がんばろう」「不正はよくない」と正論しか口にしない、説得力のないキャラクターだったように思います。

 さて、最終話の気になる視聴率は……。13.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。第1話の13.8%に次ぐ高い数字です。第2話以降はゆるいコメディタッチの展開で視聴率の低迷が続きましたが、第7話から『半沢直樹』っぽいシリアスモードにシフトチェンジして数字を上げていきました。爆死案件かと思われていた『集団左遷!!』ですが、何とか数字的には体裁を繕ったようです。

 でも数字を残すことだけが、正義なのでしょうか。序盤とはまったく異なるドラマへと変貌した『集団左遷!!』を見終えて、そのことを考えさせられます。これからはますますテレビは視聴率を、雑誌は発売部数を、ネット記事はPV数を残すことだけが求められ、中身は問われなくなっていくのでしょうか。正論だけ吐いて生きていくことができる片岡が、ある意味羨ましく思えてきます。それではみなさん、3カ月間おつきあいくださり、どうもありがとうございました。

(長野辰次)

福山雅治が“正論おじさん”になっちゃったよ!? 緊張感のないクライマックス『集団左遷!!』第9話

 福山雅治主演ドラマ『集団左遷!!』(TBS系)も残すところ2話となりました。番組の最後に原作本『集団左遷』『銀行支店長』(講談社)の視聴者プレゼントの告知が行われましたが、三井銀行(現三井住友銀行)出身の作家・江波戸哲夫が執筆した原作小説の要素が『集団左遷!!』にはほとんど入ってないことにプレゼント当選者はびっくりするのではないでしょうか。綿密な伏線を張ることなく、強引にクライマックスを迎えた第9話を振り返りたいと思います。

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 三友銀行に勤める片岡(福山雅治)は蒲田支店が廃店となり、本部へと帰還しましたが、今では三友銀行そのものの存在が危うくなっています。大型リストラを進める横山専務(三上博史)の暴走を止めるべく、片岡は裏金を受け取っていた役員たちのリストを公表するのですが、横山専務の名前だけが忽然と消えていました。土壇場で藤田頭取(市村正親)が片岡を裏切り、横山専務と手を組んだのです。

 横山専務とは距離を置いている隅田常務(別所哲也)の解説によると、非主流派である藤田頭取は横山専務を命拾いさせることで、外資系ネット通販サイト「ダイバーサーチ」との提携を進めようとしているとのことです。従来の銀行とは異なる、まったく新しい多国籍企業へと生まれ変わろうとしていたのです。

 記者会見が始まります。三友銀行は「ダイバーサーチ」と資本提携することを発表。さらに9,500人の行員をリストラすることも明らかになります。現場で汗水流している行員たちを冷たく切り捨てようとする横山専務のやり方に、片岡は怒り心頭です。

 

鮫島がとった行動が不可解すぎる

 片岡のもとに、日本橋支店の副支店長となった真山(香川照之)、以前は片岡に反抗的だった滝川(神木隆之介)、さらにはスーパーマーケットに出向させられた花沢(高橋和也)ら今はなき蒲田支店のメンバーが再集結します。金融庁に影響力を持つ国会議員・島津(石丸謙二郎)との癒着が怪しまれる横山専務の弱点を旧蒲田支店チームで調べようと盛り上がります。

 シリーズ前半に登場していた懐かしい顔ぶれたちとの感動の再会シーンなのですが、彼らが銀行内の不正を暴くための密談場所が普通の居酒屋やカラオケ店なのはいただけません。店員や他の客たちに密談内容が丸聞こえです。案の定、横山派の梅ちゃん(尾美としのり)に立ち聞きされてしまいます。片岡たちは伝統ある銀行を守るための、いわば“勤王の志士”なのですが、どうも緊張感がないため、ドラマのクライマックスも緊張感に欠けたまま進んでいくのでした。

 それ以上に第9話で首を捻ったのは、横山派の番犬・鮫島(小手伸也)の言動です。横山専務のお陰で出向を解かれ、本部の支店統括部長にまで昇進できた梅ちゃん。そんな梅ちゃんが今でも片岡と繋がっていることに不満を覚えた鮫島は、思い切った行動に出ます。横山専務が個人的に動かしている裏金の流れをメモした秘密手帳を、なんと梅ちゃんに預けるのです。横山専務への忠誠心を試そうというものでした。

 鮫島はバカなのでしょうか? それとも鮫島は切れ者の仮面を被った、大バカものでしょうか? その答えは、どこからどう見ても鮫島はやっぱり正真正銘の超大バカものだったということです。

 同期の片岡から「若い行員たちのために、俺らが不正を止めないでどうするんだ」と責められ、梅ちゃんは「出向したことのない人間には分からないよ」と反論します。きれいごとだけでは生きていけない先行き不透明な時代です。家族を食べさせることもできませんし、老後のために2,000万円を蓄えることも不可能です。

 それでも、福山雅治演じる片岡はワイドショーで話題の“正論おじさん”のように「不正は許せない」と繰り返します。心根の優しく、それゆえに出世コースからは外れていたであろう梅ちゃんは、結局は横山派にとって命取りとなる秘密手帳を真山経由で片岡に手渡してしまうのです。

 ベテラン俳優・尾美としのりが味わい深い演技を見せた第9話でしたが、鮫島のあまりのアホっぷりが強烈すぎて、印象が薄れてしまったのが残念です。鮫島はやっぱり、詐欺師コメディ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の五十嵐が変装した仮の姿で、最終回にはダー子(長澤まさみ)が現われるんじゃないかと妄想してしまいます。『集団左遷!!』が『コンフィデンスマンJP』を上回る大ドンデン返しを見せてくれれば、この妄想イメージも払拭できるかもしれません。鮫島、期待しているよ。

 

原作本のラストは超ブラック!

 さて、福山雅治が会社に居場所のない“正論おじさん”化してしまった第9話の気になる視聴率は? 本部編がスタートした第7話が9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第8話が11.9%、そして第9話が10.1%。2週連続で二ケタをキープできました。これまでの全9話の平均視聴率は10.02%。薄氷感たっぷりですが、最終回でも10%をキープできれば、なんとか平均二ケタを死守することができます。

 紆余曲折ありましたが、次週はいよいよ最終回。原作本をほとんど無視している『集団左遷!!』ですが、ちなみに原作本のひとつ『銀行支店長』では主人公・片岡は異動先の支店で高額の投資詐欺に引っ掛かった責任をとって銀行を退職します。もうひとつの原作本『集団左遷!!』はもっと悲惨です。リストラ要員たちを束ねて懸命なサバイバルを試みた主人公・篠田部長は、副社長・横山の不正を暴くことができず、自暴自棄に陥って酒に酔って憤死を遂げます。原作本はどちらも苦い終わり方を迎えます。

 新しい時代を切り開くためなら犠牲はやむなしと考えるリアリスト・横山専務と“正論おじさん”化した理想主義者・片岡部長、最後に勝つのは果たしてどちらでしょうか? 最終戦の行方を見届けたいと思います。

(文=長野辰次)

福山雅治主演ドラマの脚本家を終盤にきて変更!! ドラマ制作の正義とは何か『集団左遷!!』第8話

 視聴率が低迷していることで話題となっている福山雅治主演ドラマ『集団左遷!!』(TBS系)。エンドロールにクレジットされる脚本家の名前も変わり、ますます『半沢直樹』(TBS系)そっくりになってきました。終盤になってからのテコ入れ、吉と出るか凶となるか。第8話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 脚本家が野球ドラマ『ROOKIES』(TBS系)のいずみ吉紘から、今年2月に公開された池井戸潤原作の企業サスペンス映画『七つの会議』の脚本に参加していた李正美に変わりました。第2章本部編からは三友銀行に勤める片岡(福山雅治)の奥さま・かおり(八木亜希子)も、岩盤浴仲間だった幼なじみ(パパイヤ鈴木、赤堀雅秋)らも姿を消してしまいました。確実に数字が期待できる香川照之と三上博史らだけが残り、まったく別の企業ドラマになった感があります。

 蒲田支店が廃店となり、三友銀行本部の融資部へ異動となった片岡。融資担当の隅田常務(別所哲也)から、横山専務(三上博史)の怪しい動きを探るように命じられます。なんだか高橋克典が主演した『特命係長・只野仁』(テレビ朝日系)みたいな展開です。残念なことに、お色気シーンはありませんが。

 片岡は日本橋支店の副支店長となっていた真山(香川照之)と連絡を取り合い、日本橋支店に三友銀行の重大な秘密が隠されていることを察知します。入居率90%という人気を誇るシェアハウスを経営する「レジーナ・ホームズ」に横山専務は多大な融資を進めていましたが、ネット上での評判はよくありません。そこで片岡と真山が「レジーナ・ホームズ」に出向いて直接問いただすと、入居率90%は表向きなもので、実際は50%だったことがあっさりと判明します。三友銀行本部の審査部は何をしていたのでしょうか?

 この不正事実を片岡たちが隅田常務に報告すると、横山専務は先手を打って、みずから「レジーナ・ホームズ」の不正を暴露します。三友銀行の株価は下落しますが、寸前のところで横山専務は逃げ切ったのです。素晴しい危機回避能力です。

 

ついに明かされたメガバンクの闇とは?

 この騒動の煽りを喰らったのは、日本橋支店の支店長・金村(川原和久)でした。不正に気づかなかった責任を問われて退職。代わりに横山専務への忠誠心が厚い鮫島(小手伸也)が新しい支店長に就任します。日本橋支店に代々伝わる三友銀行上層部の秘密を守ろうとします。

 横山専務らが必死で隠そうとする巨大企業の闇とは、いったい何でしょうか? 三友銀行から去った金村のもとを訪ねた片岡が、「これは金村さんにとって正しいことなんでしょうか」と中学校の学級委員みたいな台詞を口にすると、金村はあっさりゲロします。日本橋支店は代々にわたって秘密口座を管理し、役員たちに裏金を流していたのでした。

 裏金を受け取っていた役員たちの名前がリスト化された金村メモは、反横山派である藤田頭取(市村正親)の手に渡ります。藤田頭取はその場で歌い踊り出しそうなほど大喜びです。雌雄を決する役員会議の日がやってきました。意気揚々と会議の場でリストを公表する片岡。しかし、そのリストからは横山専務の名前だけが忽然と消えていました。土壇場になって、藤田頭取は横山専務と手を組むことにしたのです。またしても横山専務に先回りされてしまいした。横山専務は邪魔な役員たちを一掃でき、満面の笑みです。思わず、苦虫を噛み潰す片岡でした。

 前回はカルロス・ゴーン逮捕ネタでしたが、今回はスルガ銀行の不正事件とレオパレスの偽装問題を一緒にしたような内容でした。とりあえず時事ネタを取り上げて、社会派ドラマっぽくしています。また、役員会議の日を迎えたことを知らせるように、あざとく太陽が映し出されます。思いっきり、『半沢直樹』まんまの世界となった本部編でした。

 さて、第8話の気になる視聴率は? 第1章蒲田編の完結となった第6話が7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2章本部編が始まった第7話が9.4%、そして今週の第8話は11.9%! よもやの2ケタ台復帰です。福山雅治の出世作『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系)で妹・小梅を演じた大路恵美が金村の奥さん役でゲスト出演するも1シーンだけで見せ場なし……などの不満はいろいろありましたが、恥も外聞もなく、池井戸潤ドラマふうにしたことで視聴率が劇的に回復したのでした。

 第3話の10.1%以来の視聴率二ケタ復帰で、福山雅治やプロデューサーたちは大喜びでしょう。でも、そこでふと思うのは、福山演じる片岡がよく口にする「銀行員にとっての正しいこと」という台詞です。節操なく路線変更して視聴率を10%台に戻した『集団左遷!!』ですが、ドラマ制作者にとっての正しいこととは何だろうかと考えさせます。ドラマ制作者としての正義、もちろんそれは少しでも高い視聴率をとることでしょう。でも、数字を稼ぐことだけが正義なら、それはちょっと寂しいことです。

 

クライマックスのキーパーソンは!?

 第8話の演出を担当した平川雄一朗ディレクターは、『ROOKIES』をヒットさせた他にも『白夜行』(TBS系)や『義母と娘のブルース』(TBS系)などの秀作ドラマを手掛けてきました。組織の論理では計れないものを描いてきたディレクターです。『半沢直樹』や7月から始まる日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』の福澤克雄ディレクターがTBS社員なのに対し、平川ディレクターは社外スタッフです。そんな平山ディレクターがどんなサラリーマンものを描くのか、少しだけ期待していました。でも、数字の論理の前で、平川色は出せないままとなっています。

 横山派の一員となった梅原(尾美としのり)は窓際族となった宿利部長(酒向芳)の後任部長へと出世しましたが、リストラの危機に遭いながらも銀行員としての正義を貫こうとする同期入社の片岡のことを冷たく拒絶することができずにいます。自分の身の安全、そして家族のことを優先して考える梅原は、「がんばる」から「銀行員としての正義」が口癖になった片岡よりも、人間味を感じさせるキャラクターです。平山ディレクターもいちばん感情移入しているのではないでしょうか。クライマックスのキーパーソンとなりそうな梅原の動向に注目したいと思います。

(文=長野辰次)

福山雅治『集団左遷!!』まるで別ドラマに鞍替えも2作連続で平均1ケタ台の悪夢が目前に

 福山雅治が主演するTBS日曜劇場『集団左遷!!』の第2章「本部編」が2日放送の第7話でスタートしたが、視聴率は9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と振るわず、依然低調なまま。ここまでの平均は9.97%と、ついに2ケタを割ってしまった。

 5月26日オンエアの第6話で第1章「蒲田編」が終了。蒲田支店は結果的に、ノルマになっていた融資額プラス100億円を、あと1億円というところで達成できず、廃店となってしまったが、行員たちは生き残り、それぞれ新たな支店へ移ることができた。蒲田支店支店長だった主人公・片岡洋(福山)は、本部の融資部に異動となり、役職は部付部長。天敵である横山輝生(三上博史)は、蒲田支店を犠牲にして、常務から専務に出世。舞台を本部に移して、片岡VS横山専務の新たなバトルが繰り広げられていくことになる。

 第2章は、第1章とはまったく異なる路線を打ち出しており、まるでほとんど別のドラマに鞍替えしたかのようだった。福山が走り回り、顔芸を見せるのは相変わらずだが、第1章のコメディタッチがややシリアスモードに変わっていた。

 こういう展開になってくると、視聴者も戸惑いは隠せず、早くも賛否両論のようだが、ストーリーがガラッと変わっただけに視聴率を回復させるチャンスともいえる。

 初回(13.8%)と第3話(10.1%)では2ケタに乗せたが、第4話以降、9.2%→9.0%→7.8%→9.4%と4週連続1ケタ台と低迷し、平均視聴率も1ケタ台に転落した。この先はコンスタントに2ケタ台を記録することが必須となる。福山としては、全話平均8.5%と爆死した前回の主演ドラマ『ラヴソング』(フジテレビ系、2016年4月期)に続く2作連続1ケタ台だけは、なんとか回避したいところだろう。

福山雅治主演ドラマが『半沢直樹』そっくりに! “加齢なる”本部編のスタート『集団左遷!!』第7話

 福山雅治の顔芸や視聴率が低迷していることばかりが話題となっている『集団左遷!!』(TBS系)。蒲田支店を舞台にした第1章は終わり、キャストもストーリーも大きく変わった第2章が始まりました。はたして、仕切り直しはうまくいったのでしょうか。第7話を振り返ってみましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 廃店が決まっていた三友銀行蒲田支店の支店長となった片岡(福山雅治)の奮闘ぶりが第6話までは描かれてきました。その結果、蒲田支店は廃店。支店員たちはバラバラとなり、片岡は本部融資部へと異動となります。舞台も登場する顔ぶれもドラマ内容も、がらりと変わりました。ぶっちゃけ、視聴率が伸び悩んだ『集団左遷!!』は第6話で打ち切られたようなものだなと感じさせる本部編です。

 三友銀行本部の横山常務(三上博史)はリストラ計画を成功させた手腕を認められ、専務に昇格。AIを導入し、これまで以上に人員の合理化を進めていくことを会議で発表します。そんな折、三友銀行が融資している百貨店グループ「マルハシ」のダニエルCEOが逮捕されたというニュースが飛び込みます。資産を私的流用していた疑いがあるというものです。横山専務はこの機に、前社長だった丸橋会長(本田博太郎)を社長に復帰させようと提案するのでした。

 一方、三友銀行日本橋支店の副支店長となっていた真山(香川照之)のもとに、差出人不明の告発メールが届きます。CEOは会長にハメられたという内容でした。真山も片岡も新しい職場では暇を持て余していました。横山専務の独断ぶりに違和感を覚える隅田常務(別所哲也)に直訴し、片岡と真山は告発メールの差出人を探すことにします。

 

意外性もサスペンス性もまるでなし

 事件の鍵を握るディープスロートは、あっさりと見つかります。真山が「会いたい」と告発者に返信メールを送ると、自宅に招いてくれたのです。出会い系アプリで出会うよりも簡単でした。告発者は百貨店の元経理部長(モロ師岡)で、会長が貸し出し記録をごまかしていることを指摘したことから子会社へ左遷させられていたのでした。悪人顔の丸橋会長がやっぱり真犯人だったのです。

 片岡は百貨店の再建を目指す会長の息子である副社長・丸橋ジュニア(筒井道隆)に協力を求めます。副社長に「父さんの不正を証明する証拠は見つけたよ。今から警察に行きます」と会長に電話を掛けさせます。片岡の考えたハッタリでしたが、会長はまんまと罠にハマり、改竄した貸し出し記録の原本を取りに行ったところを片岡たちに取り押さえられるのでした。

 意外性もサスペンス性もまるで感じさせないエピソードです。まぁ、こんな間抜けな会長が社長に復帰できるような百貨店には未来はないでしょう。カルロス・ゴーン逮捕劇のような大掛かりな事件になるのかと思わせながら、新章になっても『集団左遷!!』はやっぱり『集団左遷!!』のままでした。脚本のズボラさは相変わらずです。

 蒲田支店の若手行員・滝川(神木隆之介)や木田(中村アン)たちが姿を消し、キャストの年齢層がぐ~んと上がった第7話。華麗な新章の幕開けとは言いがたく、加齢臭漂う本部編の始まりとなりました。

 片岡ががんばったせいで、かつては片岡の上司だった宿利部長(酒向芳)は追い出し部屋の住人となってしまい、片岡とは同期入社で仲のよかった梅原(尾美としのり)は横山派閥の一員となり、片岡によそよそしくなります。鮫島(小手伸也)の横山常務へのロボット風腰ぎんちゃくぶりはすっかり板に付いてきました。いろんなタイプのおじさんたちが百花繚乱。おじさん天国となった本部編でした。日本はこれからいよいよ高齢化社会を迎えるのだなと実感した次第です。

 先週はV6の岡田准一が財前教授役を演じた『白い巨塔』(テレビ朝日系)の最終話とバッティングし、ほぼダブルスコアの大差で視聴率バトルに破れてしまいました。新規巻き返しを狙った第7話の気になるその結果は……?

 第6話の視聴率7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)から第7話は9.4%に上昇。池井戸潤原作の『半沢直樹』(TBS系)とは異なるテイストの銀行員ものを目指してスタートした『集団左遷!!』でしたが、金融庁の視察や本部内の派閥争いなど、『半沢直樹』っぽい要素を投入した本部編のほうが数字がよかったとは何とも皮肉です。視聴率の下落を止めるためには、かまっていられなかったのでしょう。裏でテレビ朝日が放映していた岡田准一主演の時代劇大作『関ヶ原』(17年)が大きな話題になってなかったことも幸いしたようです。

 残りの話数で、大手銀行に巣食う闇が暴かれることになるようです。ザルのような脚本なので、どこまでリアルに大企業の闇に迫ることができるのかはなはだ疑問ですが、横山専務を演じる三上博史が独自の組織論、世界観を訴えるシーンには期待を寄せたいと思います。
(文=長野辰次)

福山雅治『集団左遷!!』、岡田准一『白い巨塔』に惨敗で壮絶爆死! 視聴率2ケタキープは“風前の灯”

 福山雅治が主演を務めるTBS日曜劇場『集団左遷!!』が、かなりヤバい状況になってきた。26日、同ドラマの第6話が放送され、視聴率は7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と壮絶爆死を遂げたのだ。

 同話は第1章「蒲田編」のクライマックスで、半年で融資額プラス100億円というノルマを達成しなければ、三友銀行蒲田支店は廃店になる瀬戸際の中で、片岡洋支店長(福山)以下、行員たちが、期限ギリギリまで奮闘する姿が描かれた。

 しかし、せっかく前半最大の見せ場だったにもかかわらず、視聴率は大コケ。日曜劇場で7%台まで落ち込んだのは、2016年10月期『IQ246~華麗なる事件簿~』(織田裕二主演)最終回(第10話)の7.8%以来、2年半ぶりの失態となった。

 第6話までの平均視聴率は9.8%で、初回(13.8%)の貯金も尽きて、ついに2ケタを割ってしまっているが、これまでの6話中4話で1ケタ台ならそれもやむを得ないところ。しかも、第4話以降、9.2%→9.0%→7.8%と3週連続の右肩下がりで状況は悪く、全話平均視聴率で2ケタをキープするのは、風前の灯となってきたようだ。

 今話が大爆死を喫した最大の要因は、裏で放送されたテレビ朝日の5夜連続スペシャルドラマ『白い巨塔』(V6・岡田准一主演)第5話が15.2%をマークし、『集団左遷!!』と、ほぼダブルスコアの大差をつけたことが考えられる。日本テレビ系『世界の果てまでイッテQ!』2時間スペシャルが18.1%の高視聴率を記録したことも、少なからず影響したとみられる。

 6月2日オンエアの第7話から、物語は第2章に突入し、片岡は本部の融資部に異動となるが、同日、テレ朝は午後9時からの『日曜プライム』枠で、岡田が主演した映画『関ヶ原』を地上波初放送する。同作は興行収入24億円を挙げ、まずまずのヒットを飛ばした人気作で、『白い巨塔』の余韻も残っているだけに、『集団左遷!!』はまたまた苦戦を強いられそうな気配。その状況下で、2ケタを突破するには険しい道のりとなりそう。

 福山は前回主演した連ドラ『ラヴソング』(16年4月期)が平均8.5%と爆死しているだけに、今作はまさに崖っぷちとなっており、2ケタ維持が絶対的なノルマ。なんとか、後半での巻き返しに期待するしかなさそうだ。
(文=田中七男)

福山雅治『集団左遷!!』、岡田准一『白い巨塔』に惨敗で壮絶爆死! 視聴率2ケタキープは“風前の灯”

 福山雅治が主演を務めるTBS日曜劇場『集団左遷!!』が、かなりヤバい状況になってきた。26日、同ドラマの第6話が放送され、視聴率は7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と壮絶爆死を遂げたのだ。

 同話は第1章「蒲田編」のクライマックスで、半年で融資額プラス100億円というノルマを達成しなければ、三友銀行蒲田支店は廃店になる瀬戸際の中で、片岡洋支店長(福山)以下、行員たちが、期限ギリギリまで奮闘する姿が描かれた。

 しかし、せっかく前半最大の見せ場だったにもかかわらず、視聴率は大コケ。日曜劇場で7%台まで落ち込んだのは、2016年10月期『IQ246~華麗なる事件簿~』(織田裕二主演)最終回(第10話)の7.8%以来、2年半ぶりの失態となった。

 第6話までの平均視聴率は9.8%で、初回(13.8%)の貯金も尽きて、ついに2ケタを割ってしまっているが、これまでの6話中4話で1ケタ台ならそれもやむを得ないところ。しかも、第4話以降、9.2%→9.0%→7.8%と3週連続の右肩下がりで状況は悪く、全話平均視聴率で2ケタをキープするのは、風前の灯となってきたようだ。

 今話が大爆死を喫した最大の要因は、裏で放送されたテレビ朝日の5夜連続スペシャルドラマ『白い巨塔』(V6・岡田准一主演)第5話が15.2%をマークし、『集団左遷!!』と、ほぼダブルスコアの大差をつけたことが考えられる。日本テレビ系『世界の果てまでイッテQ!』2時間スペシャルが18.1%の高視聴率を記録したことも、少なからず影響したとみられる。

 6月2日オンエアの第7話から、物語は第2章に突入し、片岡は本部の融資部に異動となるが、同日、テレ朝は午後9時からの『日曜プライム』枠で、岡田が主演した映画『関ヶ原』を地上波初放送する。同作は興行収入24億円を挙げ、まずまずのヒットを飛ばした人気作で、『白い巨塔』の余韻も残っているだけに、『集団左遷!!』はまたまた苦戦を強いられそうな気配。その状況下で、2ケタを突破するには険しい道のりとなりそう。

 福山は前回主演した連ドラ『ラヴソング』(16年4月期)が平均8.5%と爆死しているだけに、今作はまさに崖っぷちとなっており、2ケタ維持が絶対的なノルマ。なんとか、後半での巻き返しに期待するしかなさそうだ。
(文=田中七男)

岡田准一 vs 福山雅治の視聴率バトルの結果は? 片岡支店長が運命の日を迎えた『集団左遷!!』第6話

 福山雅治が軽い銀行支店長役を軽~く演じたサラリーマンドラマ『集団左遷!!』(TBS系)。ここまでは脚本の粗さばかりが目立っていますが、まったく修正されることなく蒲田支店が廃店か存続かが決まる運命の日を迎えました。第1章完結編と銘打たれた第6話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 半期で100億円のノルマを達成できなければ、即廃店されることが決まっている三友銀行蒲田支店。第5話で片岡支店長(福山雅治)から20億円の小切手をだまし取った三嶋社長(赤井英和)のエピソードの続きから第6話は始まります。

 原作小説のひとつ『銀行支店長』(講談社)では三嶋社長の逃亡先であるフィリピンまで追跡劇は展開されますが、残念ながら『集団左遷!!』では三嶋社長は空港で片岡支店長にあっさりと見つかります。プロボクサー時代はハードパンチャーで鳴らした“浪速のロッキー”赤井英和ですが、実におとなしく体調不良の片岡支店長に取り押さえられるのでした。

 10年前の福山雅治主演作だったら海外ロケも考えられたかもしれませんが、国内の空港でちゃちゃっと済ませられたところに、現在の福山の置かれている状況を感じさせます。

 三嶋社長が低金利で近寄ってきた羽田支店ではなく、わざわざ蒲田支店にこだわって20億円をだまし取った理由は、まったく明かされないままでした。ただ三嶋社長に「お金が苦しかったんや~」と最後にひと言叫ばせただけで巨額詐欺事件解決です。「脚本を練る余裕がなかったんや~」という脚本家の叫びのように聞こえたのは気のせいでしょうか。

 

『半沢直樹2』を揶揄するギャグ

 20億円は無事だったものの、100億円のノルマは達成できていません。蒲田支店のみんなで営業会議を開き、アイデアを募ります。若手行員の滝川(神木隆之介)から「羽田支店に奪われたお客を奪い返したいと思います」という意見が提案され、「いいね」と一度はOKしかかった軽い片岡支店長ですが、「やられたんだから、やり返していいでしょ」と主張する滝川に対し「いやいや、ダメだよ」と“倍返し”を禁じます。

 堺雅人主演の『半沢直樹』(TBS系)の続編が2020年4月にオンエアされることが正式発表されたばかりで、さっそく『半沢直樹』の決めゼリフだった“倍返し”を揶揄するTBS内の身内ギャグが。『集団左遷!!』の製作チームは高視聴率を記録した『半沢直樹』や『下町ロケット』(TBS系)などの池井戸潤原作ドラマをライバル視していることがうかがえます。

 その後のドラマ展開も池井戸ドラマを意識したものとなっていました。蒲田支店の奮闘ぶりを後押ししたい本部の藤田頭取(市村正親)から、片岡支店長はかつて下町工場としてがんばっていた西村精機を紹介されます。物づくりの夢を追い続けていた社長が亡くなったため、未亡人・雪子(丘みつ子)が工場を閉鎖してコインパーキングを開くための1億円を融資してほしいという案件でした。

 西村精機に1億円を融資すれば、100億円のノルマ達成です。ところが工場を訪ねた滝川は、未亡人が亡くなった夫の夢を守るために工場を再開したがっていることに気づくのでした。そのことを片岡支店長も知り、悩みます。さっさと1億円を融資すれば、蒲田支店は廃店を免れるのですが、片岡支店長は支店員みんなを集め、「僕らがうまく行って、お客さまがうまく行かなくていいのか」と問い掛けるのでした。

 片岡支店長が自分から発した問い掛けの回答はこうでした。西村精機に1億円を融資はしない。その代わり、義足サイボーグを開発中のお金のない若者たち3人を未亡人に引き合わせるというものでした。跡継ぎのない高齢の農家などの事業主にやる気のある若い人材を紹介する「第三者継承」の下町工場版です。工場を持っているけど働き手のいない未亡人と、夢を持っているけど夢を叶える場を持たない若者たち3人組は、「Win-Win」の関係となったわけです。片岡支店長は「お金ではなく、心意気をご融資させていただきました」とドヤ顔です。一瞬、片岡支店長の顔に坂本龍馬の面影が宿りました。

  スパイ行為がバレたことからスーパーへ出向になった花沢(高橋和也)や片岡支店長の妻・かおり(八木亜希子)たちからの援護射撃があったものの、横山常務(三上博史)が決めた期限までには99億円しか用意できませんでした。本部から帰ってきた片岡支店長の口から、蒲田支店の今後について説明されます。

 本部の決定は、蒲田支店は約束どおり廃店。でも、支店員たちはみんな首都圏の支店へ銀行員として異動。真山副支店長(香川照之)は日本橋の副支店長、そして片岡支店長は本部の融資部へ……。みんなバラバラになるけれど、万々歳のフィナーレとなったのでした。

 蒲田支店の行員たちは自分たちがリストラや出向扱いにならず、銀行員のままでいられることに歓び浮かれまくります。でも、果たしてこれでいいのでしょうか。蒲田支店がなくなると困ると、地元の人たちがなけなしのお金を蒲田支店に預けることで、彼らは窮地を救われたはずです。ブタの貯金箱を持ってきた少年は、蒲田支店の閉鎖を知ってどう思うのでしょうか。

 片岡支店長は「銀行員としてのプライド」と常に口にしますが、そんな彼らにお金を託した地元の人たちの気持ちは軽んじられているように感じます。福山雅治主演ドラマ『集団左遷!!』にずっと付きまとっている違和感の正体は、これではないでしょうか。金融ドラマを軽快に描くことばかりに意識が向き、お金のやりとりをとても軽んじて描いているようにしか映りません。

 お金よりも大事なものがあると言いたいのかもしれませんが、このドラマはお金の重みがまるでないので、大事なものの重みもまったく伝わってこないままです。いつも冷静な真山副支店長ですが、病気の妻(西田尚美)の治療費のために実は真山家の家計は火の車だとかの描写があれば分かりやすいのですが、そういった背景は完全にスルーされています。本部への復帰が決まった片岡支店長は心の中で「これでいいのだ~♪」と『天才バカボン』の主題歌を口ずさんでいるかもしれませんが、本当にこれでいいんでしょうか。

 

岡田准一版『白い巨塔』最終話と激突!

 さて、岡田准一主演ドラマ『白い巨塔』(テレビ朝日系)の最終話と被った『集団左遷!!』第6話の気になる数字は? 『集団左遷!!』第6話の視聴率は、7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と同番組上ワーストとなってしまいました。初回13.8%のお陰で辛うじて平均視聴率10%台をキープしていましたが、ついに底が割れてしまいました。一方、岡田准一演じる財前教授が医療告発された『白い巨塔』最終話は15.2%。山崎豊子原作の重厚な社会派ドラマに完負けした結果となりました。

 視聴率の低下に加え、気になるのは今回で連続ドラマとして完結してしまった『集団左遷!!』をまだ続ける意味があるのかという疑問です。これで最終回だと思った視聴者もいるのではないでしょうか。無理に1クール10話というフォーマットに縛られなくてもいいように思います。次週からは原作小説とは関係のない、ほぼオリジナルエピソードが展開される模様です。

 ここまで来たら、脚本家もディレクターも視聴率を気にせず自由にやってください。でも、できれば残りの話数で、脚本家やディレクターたちには「ドラマ製作者としてのプライド」を感じさせるクライマックスにしてほしいと思います。

(文=長野辰次)

岡田准一 vs 福山雅治の視聴率バトルの結果は? 片岡支店長が運命の日を迎えた『集団左遷!!』第6話

 福山雅治が軽い銀行支店長役を軽~く演じたサラリーマンドラマ『集団左遷!!』(TBS系)。ここまでは脚本の粗さばかりが目立っていますが、まったく修正されることなく蒲田支店が廃店か存続かが決まる運命の日を迎えました。第1章完結編と銘打たれた第6話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 半期で100億円のノルマを達成できなければ、即廃店されることが決まっている三友銀行蒲田支店。第5話で片岡支店長(福山雅治)から20億円の小切手をだまし取った三嶋社長(赤井英和)のエピソードの続きから第6話は始まります。

 原作小説のひとつ『銀行支店長』(講談社)では三嶋社長の逃亡先であるフィリピンまで追跡劇は展開されますが、残念ながら『集団左遷!!』では三嶋社長は空港で片岡支店長にあっさりと見つかります。プロボクサー時代はハードパンチャーで鳴らした“浪速のロッキー”赤井英和ですが、実におとなしく体調不良の片岡支店長に取り押さえられるのでした。

 10年前の福山雅治主演作だったら海外ロケも考えられたかもしれませんが、国内の空港でちゃちゃっと済ませられたところに、現在の福山の置かれている状況を感じさせます。

 三嶋社長が低金利で近寄ってきた羽田支店ではなく、わざわざ蒲田支店にこだわって20億円をだまし取った理由は、まったく明かされないままでした。ただ三嶋社長に「お金が苦しかったんや~」と最後にひと言叫ばせただけで巨額詐欺事件解決です。「脚本を練る余裕がなかったんや~」という脚本家の叫びのように聞こえたのは気のせいでしょうか。

 

『半沢直樹2』を揶揄するギャグ

 20億円は無事だったものの、100億円のノルマは達成できていません。蒲田支店のみんなで営業会議を開き、アイデアを募ります。若手行員の滝川(神木隆之介)から「羽田支店に奪われたお客を奪い返したいと思います」という意見が提案され、「いいね」と一度はOKしかかった軽い片岡支店長ですが、「やられたんだから、やり返していいでしょ」と主張する滝川に対し「いやいや、ダメだよ」と“倍返し”を禁じます。

 堺雅人主演の『半沢直樹』(TBS系)の続編が2020年4月にオンエアされることが正式発表されたばかりで、さっそく『半沢直樹』の決めゼリフだった“倍返し”を揶揄するTBS内の身内ギャグが。『集団左遷!!』の製作チームは高視聴率を記録した『半沢直樹』や『下町ロケット』(TBS系)などの池井戸潤原作ドラマをライバル視していることがうかがえます。

 その後のドラマ展開も池井戸ドラマを意識したものとなっていました。蒲田支店の奮闘ぶりを後押ししたい本部の藤田頭取(市村正親)から、片岡支店長はかつて下町工場としてがんばっていた西村精機を紹介されます。物づくりの夢を追い続けていた社長が亡くなったため、未亡人・雪子(丘みつ子)が工場を閉鎖してコインパーキングを開くための1億円を融資してほしいという案件でした。

 西村精機に1億円を融資すれば、100億円のノルマ達成です。ところが工場を訪ねた滝川は、未亡人が亡くなった夫の夢を守るために工場を再開したがっていることに気づくのでした。そのことを片岡支店長も知り、悩みます。さっさと1億円を融資すれば、蒲田支店は廃店を免れるのですが、片岡支店長は支店員みんなを集め、「僕らがうまく行って、お客さまがうまく行かなくていいのか」と問い掛けるのでした。

 片岡支店長が自分から発した問い掛けの回答はこうでした。西村精機に1億円を融資はしない。その代わり、義足サイボーグを開発中のお金のない若者たち3人を未亡人に引き合わせるというものでした。跡継ぎのない高齢の農家などの事業主にやる気のある若い人材を紹介する「第三者継承」の下町工場版です。工場を持っているけど働き手のいない未亡人と、夢を持っているけど夢を叶える場を持たない若者たち3人組は、「Win-Win」の関係となったわけです。片岡支店長は「お金ではなく、心意気をご融資させていただきました」とドヤ顔です。一瞬、片岡支店長の顔に坂本龍馬の面影が宿りました。

  スパイ行為がバレたことからスーパーへ出向になった花沢(高橋和也)や片岡支店長の妻・かおり(八木亜希子)たちからの援護射撃があったものの、横山常務(三上博史)が決めた期限までには99億円しか用意できませんでした。本部から帰ってきた片岡支店長の口から、蒲田支店の今後について説明されます。

 本部の決定は、蒲田支店は約束どおり廃店。でも、支店員たちはみんな首都圏の支店へ銀行員として異動。真山副支店長(香川照之)は日本橋の副支店長、そして片岡支店長は本部の融資部へ……。みんなバラバラになるけれど、万々歳のフィナーレとなったのでした。

 蒲田支店の行員たちは自分たちがリストラや出向扱いにならず、銀行員のままでいられることに歓び浮かれまくります。でも、果たしてこれでいいのでしょうか。蒲田支店がなくなると困ると、地元の人たちがなけなしのお金を蒲田支店に預けることで、彼らは窮地を救われたはずです。ブタの貯金箱を持ってきた少年は、蒲田支店の閉鎖を知ってどう思うのでしょうか。

 片岡支店長は「銀行員としてのプライド」と常に口にしますが、そんな彼らにお金を託した地元の人たちの気持ちは軽んじられているように感じます。福山雅治主演ドラマ『集団左遷!!』にずっと付きまとっている違和感の正体は、これではないでしょうか。金融ドラマを軽快に描くことばかりに意識が向き、お金のやりとりをとても軽んじて描いているようにしか映りません。

 お金よりも大事なものがあると言いたいのかもしれませんが、このドラマはお金の重みがまるでないので、大事なものの重みもまったく伝わってこないままです。いつも冷静な真山副支店長ですが、病気の妻(西田尚美)の治療費のために実は真山家の家計は火の車だとかの描写があれば分かりやすいのですが、そういった背景は完全にスルーされています。本部への復帰が決まった片岡支店長は心の中で「これでいいのだ~♪」と『天才バカボン』の主題歌を口ずさんでいるかもしれませんが、本当にこれでいいんでしょうか。

 

岡田准一版『白い巨塔』最終話と激突!

 さて、岡田准一主演ドラマ『白い巨塔』(テレビ朝日系)の最終話と被った『集団左遷!!』第6話の気になる数字は? 『集団左遷!!』第6話の視聴率は、7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と同番組上ワーストとなってしまいました。初回13.8%のお陰で辛うじて平均視聴率10%台をキープしていましたが、ついに底が割れてしまいました。一方、岡田准一演じる財前教授が医療告発された『白い巨塔』最終話は15.2%。山崎豊子原作の重厚な社会派ドラマに完負けした結果となりました。

 視聴率の低下に加え、気になるのは今回で連続ドラマとして完結してしまった『集団左遷!!』をまだ続ける意味があるのかという疑問です。これで最終回だと思った視聴者もいるのではないでしょうか。無理に1クール10話というフォーマットに縛られなくてもいいように思います。次週からは原作小説とは関係のない、ほぼオリジナルエピソードが展開される模様です。

 ここまで来たら、脚本家もディレクターも視聴率を気にせず自由にやってください。でも、できれば残りの話数で、脚本家やディレクターたちには「ドラマ製作者としてのプライド」を感じさせるクライマックスにしてほしいと思います。

(文=長野辰次)