過去最高視聴率!『隣の家族は青く見える』の“子どもができなくてもハッピーエンド”は番組の良心

 コーポラティブハウスを舞台に、そこに暮らす住民のさまざまな価値観の形を描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)最終話。視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高をマーク。流産の末、家を飛び出した奈々の行く末や、4組の「家族」の顛末は?

 

(前回までのレビューはこちらから)

 

■奈々は別れを決意

 

 長い不妊治療の末、授かった子を流産してしまった失意の奈々(深田恭子)は地元・伊豆にいた。迎えに来た大器(松山ケンイチ)に、奈々は別れを切り出す。

「治療をやめるってことは、大ちゃんに赤ちゃんを抱かせてあげられないってことだよ。そしたら私は、もう一緒にいる意味がないから」

 第1話で大器は「俺の子どもを産んでください」とコミカルながらに告白、交際が始まった。この言葉が奈々の中で大きいのだろう、いい意味でもつらい意味でも。

「2人とも子どもがいない未来を描けていなかった。未来は空っぽ、何にもない。赤ちゃんと一緒に消えちゃった」

「俺はどこいったの? 奈々の未来に俺入ってないの?」

「私はもう大ちゃんのこと幸せにしてあげられないから」

「俺がどうしたら幸せになるかって、なんで奈々が決めるの?」

「なんで子どもいなかったら幸せじゃないって、奈々が決めつけてるの。奈々にとって夫婦ってさ、単なる子作りの相手? 奈々にとって俺ってその程度の存在だったの?」

 奈々の手に指輪がないのに気付いた大器は、実家の居酒屋で荒れて酔い潰れる。

 そんな大器を叱ったりせず「あいつだってつらいんだ」と理解をしめす父・健作(春海四方)。『アンナチュラル』(TBS系)4話でしあわせの蜂蜜ケーキの工場長を演じてた方。

 母・聡子(高畑淳子)と妹・琴音(伊藤沙莉)で、潰れた大器をコーポへ送り、わずか3日で荒れた部屋を片付ける。

「いつまでたっても親なんだね」と笑う琴音に、聡子は言う。

「あんた達がいくつになってもこっちは死ぬまで親だし、あんた達も死ぬまで子どもよ」

 琴音もきっと、そういう母親になるだろう。

 大器の部屋にずっとあった小さな滑り台が外されているのに気付いた聡子は、大器を叩き起こし、毎日でも迎えに行けと叱咤する。奈々には言えなかった本音を語る大器。

「何のために子作りしてきたのか、何のために子作りしてきたのか、何のために結婚したのか、わかんなくなっちゃった」

■広瀬・朔はパートナーシップ提出

 

 朔(北村匠海)は大検に合格。そんな朔に広瀬(眞島秀和)は、パートナーシップ宣誓書の用紙を渡す。

 コーポのある世田谷区、そして都内では他に渋谷区でパートナーシップ制度があり、同性同士の暮らしを支援する。条例である渋谷区に対し、世田谷区のそれは要綱で、例えば、同性同士だからと部屋を貸さない事業者に対し、渋谷区ではその事業者が公表されたりするのだが、世田谷区ではそういった「ペナルティ」はなく「性的少数者に基礎自治体が向き合い、啓発の第一歩となることに意味がある」としている。

 後日、2人で宣誓書を提出。そこに現れたのは、息子がゲイであることを受け入れられず仲違いしていた広瀬の母・ふみ(田島令子)。いつの間にか「朔ちゃん」「お母さん」と呼び合う仲になっていることに驚く広瀬。

「朔ちゃんはね、自分のせいで貴方と私の関係が悪くなるのを恐れたの。家族を作るのが夢だったのに大切な人の家族を壊すなんて、本末転倒だって自分のことを責めて……だから今日来たのよ、朔ちゃんのために」

「今じゃ息子が一人増えたみたいだわ」

 ノーガードで飛び込んでいく朔の身軽さが羨ましく見える。母親と朔の様子をうれしそうに見つめる広瀬もそこに惹かれているのかもしれない。

 

■亮司とちひろは事実婚

 

 亮太(平山浩行)を亮司と同じ川村姓にする「子の氏の変更許可申立書」を記入しつつ、ちひろ(高橋メアリージュン)に「事実婚契約証」「遺言証」を見せる亮司。

 相続なんてどうでもいいと言うちひろだが「亮太のこともちひろに託せる」と言われすぐさまサインをした。

「あの子がまだ自分の居場所をなくすのだけは避けたいから」

 書類などなくても、彼らが家族であることは間違いないが「これが俺なりの家族の守り方なんだ」と亮司は言う。

 名字に代表される個の喪失や、家制度や家柄などに縛られる抵抗感、家単位で管理しようとする戸籍制度への疑問等から事実婚を選ぶカップルは昔からいた。しかしなかなか理解されず後ろ指を指される時代があった。こうやって明るくドラマで描かれる時代になったのは感慨深い。

 いい雰囲気になり、キス寸前のところに亮太が現れて終了というお約束もあり。

 

■真一郎とみゆきは離婚取り消し

 

 長女・優香(安藤美優)のダンス大会に付き添いで来た真一郎(野間口徹)。深雪(真飛聖)も実はこっそり応援にくるなど、すっかり雪解けムード。

 あれほどこだわっていた中学受験に対しても「むしろ苦労したり失敗したりすることも、優香の人生にとっては大切なことかもしれない。行きたい中学に行きなさい」とすっかり柔軟に。

 そんな深雪を見て、真一郎は離婚の申し出を撤回し、頭を下げた。同時に、深雪の子育てに心から感謝する。

「やり直せるかな」という深雪に「一緒に頑張ってくれないかな、パパとママとしてだけじゃなく、夫と妻としてもう少しいい関係でいられるように」。

 いい雰囲気になり、深雪が真一郎のメガネを外すシーンで笑ってしまったのですが、これは笑ってよかったのでしょうか。確かにメガネを外した野間口は変な色気があるのですが、それはそれとして笑いました。

「やっぱりイケメン」とのろける部分は親のラブシーンを見るみたいで個人的に非常に居心地が悪かった。野間口は声がいいですね。いいバイプレイヤーは耳に残る声をしてる人が多い気がします。こちらもキスどころか、ベッドインしようとして、やはり子どもが現れて失敗するという「カブせ」あり。

■子どものいない人生も選択肢にいれた奈々と大器

 

 大器は、何度も何度も、ライン(的なやつ)で変顔を送ってくるなど、不器用なアプローチを続けるが、奈々は返信できない。そんな奈々の元を聡子が訪れるが、戻っても大器につらい思いさせてしまうと語る奈々。しかし聡子は言う。

「つらい思いさせればいいじゃないの。妻がつらい思いしてる時は夫も一緒につらい思いするべきでしょ。うれしいことや楽しいことは誰とでも共有できるけど、つらいことや悲しいことは一番大事な相手としか共有できないんじゃないの? つらくても悲しくても悩んでも苦しんでも、2人で一緒に生きていこうって約束したことが夫婦なんじゃないの? それが結婚ってもんなんじゃないの?」

 小さく振り絞るように語る高畑淳子が、またしても全部持ってく勢い。このドラマ見ていた人は、もはや全員高畑ファンだ。

 奈々は帰宅するなり大器を抱きしめ謝る。ひとしきり気持ちを伝える奈々を、ただ「おかえり」と受け入れる大器。

「赤ちゃんを授かることが奇跡だって思ってたけど、一生一緒にいたいと思えるパートナーと出会えたことがそもそも奇跡なんだなって」

「大ちゃんと出会えたことが一番の奇跡なんだよ」

 子どもができることはもちろん素晴らしいが、それだけでない価値観に気付いた奈々。

「子どものいない人生は耐えられるけど、奈々がいない人生は耐えられないよ」と大器も応える。

 大器を思わず抱きしめ「だいすきーだいすきーだいすきーー」という奈々が、異様に深キョンぽくて生々しかった。

 結局、不妊治療を一旦終了した奈々。子どもを持たない夫婦の居場所も、あのコーポにはある。

 

■子どもができなくてもハッピーエンド

 

 コーポでのバーベキューの最中、ちひろに内緒でサプライズの結婚パーティーが始まった。事実婚を「結婚」として捉えない人がいるが、個人的なつながりを第三者機関に届けないというだけで、普通の結婚だ。このサプライズが亮太の発案だと知り、涙するちひろ。

「口悪い人って涙もろいのよ」という深雪を見て、第2話で価値観を押し付けるなとちひろに言われ『モスラ対ゴジラ』のように派手に大げんかしていた頃を懐かしむ。メガネを外した真一郎が神父になりきり、和ませる。

 朔は広瀬の仕事を手伝いだした。深雪はケーキ屋で働き始め、真一郎は塾講師をしつつ学習ボランティアも続けている。亮司たちも、なんじゃもんじゃゲームを全員で楽しめるくらい亮太と打ち解けた。

 奈々は部屋の滑り台を戻した。「たとえ2人きりの人生だとしても、子どもを避けるような生き方はしたくない」「お母さんという形ではなくても、子どもとは触れ合って生きていたい」という気持ち通り、復帰した職場でキッズダイビング教室を提案。子どもがいること、いないこと、どちらにもとらわれすぎない柔軟な考え方は、奈々をますます生きやすくするだろう。

 大器は職場でプレゼン。「価値観や家族の形態が多様化した現代社会だからこそ、あらゆる形態の家族や仲間が共存共生する社会を目指します」タイアップしてる厚生労働省がちらつくが、このドラマで得体の知れない肩の重みが取れた人もいたかもしれない。

 なかなかこのドラマのように簡単にはいかないだろう。しかし、子どもができないまま奈々たちは前を向いた。「子どもができて、はいハッピーエンド」にしなかったところに、良心を感じました。最終回は少々展開的に物足りない感もありましたが、全体にうまくまとめたいいドラマでした。続編は難しいかもだけど、また別の価値観さんたちを集めて、ぜひ新シリーズを!
(文=柿田太郎)

 

過去最高視聴率!『隣の家族は青く見える』の“子どもができなくてもハッピーエンド”は番組の良心

 コーポラティブハウスを舞台に、そこに暮らす住民のさまざまな価値観の形を描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)最終話。視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高をマーク。流産の末、家を飛び出した奈々の行く末や、4組の「家族」の顛末は?

 

(前回までのレビューはこちらから)

 

■奈々は別れを決意

 

 長い不妊治療の末、授かった子を流産してしまった失意の奈々(深田恭子)は地元・伊豆にいた。迎えに来た大器(松山ケンイチ)に、奈々は別れを切り出す。

「治療をやめるってことは、大ちゃんに赤ちゃんを抱かせてあげられないってことだよ。そしたら私は、もう一緒にいる意味がないから」

 第1話で大器は「俺の子どもを産んでください」とコミカルながらに告白、交際が始まった。この言葉が奈々の中で大きいのだろう、いい意味でもつらい意味でも。

「2人とも子どもがいない未来を描けていなかった。未来は空っぽ、何にもない。赤ちゃんと一緒に消えちゃった」

「俺はどこいったの? 奈々の未来に俺入ってないの?」

「私はもう大ちゃんのこと幸せにしてあげられないから」

「俺がどうしたら幸せになるかって、なんで奈々が決めるの?」

「なんで子どもいなかったら幸せじゃないって、奈々が決めつけてるの。奈々にとって夫婦ってさ、単なる子作りの相手? 奈々にとって俺ってその程度の存在だったの?」

 奈々の手に指輪がないのに気付いた大器は、実家の居酒屋で荒れて酔い潰れる。

 そんな大器を叱ったりせず「あいつだってつらいんだ」と理解をしめす父・健作(春海四方)。『アンナチュラル』(TBS系)4話でしあわせの蜂蜜ケーキの工場長を演じてた方。

 母・聡子(高畑淳子)と妹・琴音(伊藤沙莉)で、潰れた大器をコーポへ送り、わずか3日で荒れた部屋を片付ける。

「いつまでたっても親なんだね」と笑う琴音に、聡子は言う。

「あんた達がいくつになってもこっちは死ぬまで親だし、あんた達も死ぬまで子どもよ」

 琴音もきっと、そういう母親になるだろう。

 大器の部屋にずっとあった小さな滑り台が外されているのに気付いた聡子は、大器を叩き起こし、毎日でも迎えに行けと叱咤する。奈々には言えなかった本音を語る大器。

「何のために子作りしてきたのか、何のために子作りしてきたのか、何のために結婚したのか、わかんなくなっちゃった」

■広瀬・朔はパートナーシップ提出

 

 朔(北村匠海)は大検に合格。そんな朔に広瀬(眞島秀和)は、パートナーシップ宣誓書の用紙を渡す。

 コーポのある世田谷区、そして都内では他に渋谷区でパートナーシップ制度があり、同性同士の暮らしを支援する。条例である渋谷区に対し、世田谷区のそれは要綱で、例えば、同性同士だからと部屋を貸さない事業者に対し、渋谷区ではその事業者が公表されたりするのだが、世田谷区ではそういった「ペナルティ」はなく「性的少数者に基礎自治体が向き合い、啓発の第一歩となることに意味がある」としている。

 後日、2人で宣誓書を提出。そこに現れたのは、息子がゲイであることを受け入れられず仲違いしていた広瀬の母・ふみ(田島令子)。いつの間にか「朔ちゃん」「お母さん」と呼び合う仲になっていることに驚く広瀬。

「朔ちゃんはね、自分のせいで貴方と私の関係が悪くなるのを恐れたの。家族を作るのが夢だったのに大切な人の家族を壊すなんて、本末転倒だって自分のことを責めて……だから今日来たのよ、朔ちゃんのために」

「今じゃ息子が一人増えたみたいだわ」

 ノーガードで飛び込んでいく朔の身軽さが羨ましく見える。母親と朔の様子をうれしそうに見つめる広瀬もそこに惹かれているのかもしれない。

 

■亮司とちひろは事実婚

 

 亮太(平山浩行)を亮司と同じ川村姓にする「子の氏の変更許可申立書」を記入しつつ、ちひろ(高橋メアリージュン)に「事実婚契約証」「遺言証」を見せる亮司。

 相続なんてどうでもいいと言うちひろだが「亮太のこともちひろに託せる」と言われすぐさまサインをした。

「あの子がまだ自分の居場所をなくすのだけは避けたいから」

 書類などなくても、彼らが家族であることは間違いないが「これが俺なりの家族の守り方なんだ」と亮司は言う。

 名字に代表される個の喪失や、家制度や家柄などに縛られる抵抗感、家単位で管理しようとする戸籍制度への疑問等から事実婚を選ぶカップルは昔からいた。しかしなかなか理解されず後ろ指を指される時代があった。こうやって明るくドラマで描かれる時代になったのは感慨深い。

 いい雰囲気になり、キス寸前のところに亮太が現れて終了というお約束もあり。

 

■真一郎とみゆきは離婚取り消し

 

 長女・優香(安藤美優)のダンス大会に付き添いで来た真一郎(野間口徹)。深雪(真飛聖)も実はこっそり応援にくるなど、すっかり雪解けムード。

 あれほどこだわっていた中学受験に対しても「むしろ苦労したり失敗したりすることも、優香の人生にとっては大切なことかもしれない。行きたい中学に行きなさい」とすっかり柔軟に。

 そんな深雪を見て、真一郎は離婚の申し出を撤回し、頭を下げた。同時に、深雪の子育てに心から感謝する。

「やり直せるかな」という深雪に「一緒に頑張ってくれないかな、パパとママとしてだけじゃなく、夫と妻としてもう少しいい関係でいられるように」。

 いい雰囲気になり、深雪が真一郎のメガネを外すシーンで笑ってしまったのですが、これは笑ってよかったのでしょうか。確かにメガネを外した野間口は変な色気があるのですが、それはそれとして笑いました。

「やっぱりイケメン」とのろける部分は親のラブシーンを見るみたいで個人的に非常に居心地が悪かった。野間口は声がいいですね。いいバイプレイヤーは耳に残る声をしてる人が多い気がします。こちらもキスどころか、ベッドインしようとして、やはり子どもが現れて失敗するという「カブせ」あり。

■子どものいない人生も選択肢にいれた奈々と大器

 

 大器は、何度も何度も、ライン(的なやつ)で変顔を送ってくるなど、不器用なアプローチを続けるが、奈々は返信できない。そんな奈々の元を聡子が訪れるが、戻っても大器につらい思いさせてしまうと語る奈々。しかし聡子は言う。

「つらい思いさせればいいじゃないの。妻がつらい思いしてる時は夫も一緒につらい思いするべきでしょ。うれしいことや楽しいことは誰とでも共有できるけど、つらいことや悲しいことは一番大事な相手としか共有できないんじゃないの? つらくても悲しくても悩んでも苦しんでも、2人で一緒に生きていこうって約束したことが夫婦なんじゃないの? それが結婚ってもんなんじゃないの?」

 小さく振り絞るように語る高畑淳子が、またしても全部持ってく勢い。このドラマ見ていた人は、もはや全員高畑ファンだ。

 奈々は帰宅するなり大器を抱きしめ謝る。ひとしきり気持ちを伝える奈々を、ただ「おかえり」と受け入れる大器。

「赤ちゃんを授かることが奇跡だって思ってたけど、一生一緒にいたいと思えるパートナーと出会えたことがそもそも奇跡なんだなって」

「大ちゃんと出会えたことが一番の奇跡なんだよ」

 子どもができることはもちろん素晴らしいが、それだけでない価値観に気付いた奈々。

「子どものいない人生は耐えられるけど、奈々がいない人生は耐えられないよ」と大器も応える。

 大器を思わず抱きしめ「だいすきーだいすきーだいすきーー」という奈々が、異様に深キョンぽくて生々しかった。

 結局、不妊治療を一旦終了した奈々。子どもを持たない夫婦の居場所も、あのコーポにはある。

 

■子どもができなくてもハッピーエンド

 

 コーポでのバーベキューの最中、ちひろに内緒でサプライズの結婚パーティーが始まった。事実婚を「結婚」として捉えない人がいるが、個人的なつながりを第三者機関に届けないというだけで、普通の結婚だ。このサプライズが亮太の発案だと知り、涙するちひろ。

「口悪い人って涙もろいのよ」という深雪を見て、第2話で価値観を押し付けるなとちひろに言われ『モスラ対ゴジラ』のように派手に大げんかしていた頃を懐かしむ。メガネを外した真一郎が神父になりきり、和ませる。

 朔は広瀬の仕事を手伝いだした。深雪はケーキ屋で働き始め、真一郎は塾講師をしつつ学習ボランティアも続けている。亮司たちも、なんじゃもんじゃゲームを全員で楽しめるくらい亮太と打ち解けた。

 奈々は部屋の滑り台を戻した。「たとえ2人きりの人生だとしても、子どもを避けるような生き方はしたくない」「お母さんという形ではなくても、子どもとは触れ合って生きていたい」という気持ち通り、復帰した職場でキッズダイビング教室を提案。子どもがいること、いないこと、どちらにもとらわれすぎない柔軟な考え方は、奈々をますます生きやすくするだろう。

 大器は職場でプレゼン。「価値観や家族の形態が多様化した現代社会だからこそ、あらゆる形態の家族や仲間が共存共生する社会を目指します」タイアップしてる厚生労働省がちらつくが、このドラマで得体の知れない肩の重みが取れた人もいたかもしれない。

 なかなかこのドラマのように簡単にはいかないだろう。しかし、子どもができないまま奈々たちは前を向いた。「子どもができて、はいハッピーエンド」にしなかったところに、良心を感じました。最終回は少々展開的に物足りない感もありましたが、全体にうまくまとめたいいドラマでした。続編は難しいかもだけど、また別の価値観さんたちを集めて、ぜひ新シリーズを!
(文=柿田太郎)

 

深田恭子、号泣──『隣の家族は青く見える』彼女がオリーブの木を植えた意味は?

 コーポラティブハウスを舞台に、4組の「家族」の価値観を描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。評判もいいようで、第9話の視聴率は6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、わずかながら上がってきている。今回はある事件を軸に、人々が理解しようとしたり、和解に至ったりする様子が描かれた。

 

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■朔が広瀬の親の元へ突撃

 

 息子にゲイであることを告白された際、受け入れることができなかった広瀬(眞島秀和)の母・ふみ(田島令子)は、少し時間が経ったからなのか、単身訪ねて来た朔(北村匠海)を戸惑いながらも受け入れようとする。

「まだ理解が追いつかなくて。親が理解してあげなければ本当はダメよね。人様はもっと理解してくれないことだろうから」

 親を知らず育った朔は、産んでくれたことへの感謝と、現在幸せであることを、もし親に会えたなら伝えたいと言う。それは広瀬もきっとそうだと言われ、救われた顔をするふみが印象的。相手を理解しようとすることは、ひいては自分を救うことでもあるのかもしれない。

 朔がふみと会っているころ、届け物を持ってきた同僚・長谷部(橋本マナミ)が、一度だけでも抱いて欲しい、子どもだけでも欲しいと広瀬に迫る。「そんな格好(下着姿)をされても、本当に何も感じない」と悲しそうに語る広瀬。長谷部は広瀬への強い想いからか、逆に広瀬を理解しようとしてこなかったのかもしれない。

 

■人前で抱きしめ恋人宣言

 

 前回、真一郎(野間口徹)に離婚を切り出された深雪(真飛聖)。次女・萌香(古川凛)は、深雪を元気づけるため風船を追いかけ、危うく踏切で轢かれかける。通りかかった朔が助けたものの、その朔は怪我をして病院へ。

 深雪は数年前の夫の海外出張中にも、長女の優香(安藤美優)が何者かに誘拐されかけたトラウマがあるといい、すっかり怯えていた。深雪の全身を武装していた鎧がどんどん外れていく。

 朔の怪我は大したことなかったのだが、取り乱して駆けつけた広瀬は、「家族なんです! 戸籍上は違うけど、一緒に住んでるんです! 家族同然の恋人なんです!」と看護師に詰め寄り、朔を見つけるなり「見られたっていい、そんなこともうどうだっていいから」と、人目もはばからず抱きしめる。不覚にも普通に泣きました。

 子どもの教育上よくないと、以前広瀬に食ってかかった深雪は気まずそうだったが、「これからは多様性を認める世の中にしていかないとダメだよねー」と、すでにLGBTなど多様性について授業で習ってるらしい優香は笑ってるし、未就学の萌香も「朔ちゃんとわたるん、愛し合ってるね」と、微塵も偏見がない。偏見があるのは、ある程度人生を重ねた世代なのだろう。

 ちなみにその夜の朔と広瀬の入浴シーンも、この流れでなんの違和感もなく見れました。

■深い雪解け

 

 中庭。深雪は萌香のことだけでなく、ゲイに対する偏見について全家庭の前で謝罪する。

深雪「私は自分と違うものを排除することで自分を守ってた」「狭い世界に閉じこもって生きてきたこと、今さらながら後悔してるところです」

広瀬「誰だってそうですよ。自分が信じてきた価値観を覆すのは勇気がいります」

亮司(平山浩行)「悪気なく誰かを傷つけてることあるだろうなって思いますし」

朔「誰のことも傷つけずに、自分のことも傷つけずに生きるのって無理じゃないかな」

ちひろ(高橋メアリージュン)「誰かが傷つくのを恐れて、言いたいこと全部引っ込めちゃうのも違う気がするしね」

大器(松山ケンイチ)「傷つけたとしても後で声に出して話し合えば分かり合えるかもしれない」

奈々(深田恭子)「いつか分かり合える時が来るといいですよね」

「3・15中庭会談」として後世まで語り継がれる歴史的会談。根の深かった深雪の気持ちが溶けていくのを見て「深雪」の名前の意味に気付く。直後の深雪とちひろのお馴染みの口論も、もはや棘々しさは皆無で心地よく、舞台化しても映える脚本だと思った。

 筆者は、大器のいう全て「声に出して話す」という物語の運び方が説明的で苦手ではあるのだが、こうした意図を掲げられると、もう黙るしかないです、ごめんなさい。

 ちなみに撮影で使われた電車は「上用賀」行きと書かれていたが、おそらく群馬の上毛電鉄。以前大器が歩いていたのは東急池上線沿線だったが、いろいろ合わせて撮影している模様。

 

■オリーブの木

 

 不妊治療の末、ついに前回妊娠した奈々。親や職場に報告したり、エコーで心拍を確認したり、母子手帳をもらってきたり、マタニティマーク(「お腹に赤ちゃんがいます」のキーホルダー)をつけたりと、不安を抱えつつも幸せそうだ。そんな奈々は庭にオリーブの苗木を2株植える。

 調べてみると、樹齢の長いこのオリーブという種は「他家受粉」といって、他の木の花粉でないと受粉しにくいらしい。同じ個体で受粉できるものを「自家受粉」(一年草などに多い)というのだが、それに対し他家受粉は個々の遺伝子が多様性に富むため、耐性もさまざま(一気に全滅しにくい)で生物として強くなるというメリットがあるという。

 このドラマのテーマである「多様性」。さまざまな価値観を持つ、違った人間同士が関わることで、お互い学びあったり助け合ったりして成長することができるということを、この木は表しているのだろう。

 オリーブの樹を植えた直後に、萌香が行方不明になり、これまで以上に住人が協力したっていたのは象徴的だ。

 仲直り目的で開かれたバーベキューの最中、突然、奈々が倒れた。その時も、それぞれが補うように対処した。深雪は動転する大器からかかりつけの病院を聞き出し連絡、亮司は車を回し、ちひろはブランケットをかけ、流れる血を隠した。奈々が運び出されたあと、オリーブの木が映し出されたのが印象深かった。

 今回はオープニングがいつもの軽快な曲ではなく、最後に流れるミスチルのしっとりした主題歌からスタートし(といってもこのドラマのオープニングはいつも中盤だが)、ただならぬ気配を漂わせていた。

 奈々は、流産してしまった。医師(伊藤かずえ)から初期の流産は珍しいことではないと告げられるも、唐突すぎる展開に2人の気持ちはついていけてない。

 しばらく経ってから、それぞれ強烈に悲しみが襲ってくる様子がリアルだ。特に奈々は翌日、また病院へ行くためバッグを手にした瞬間、大器がつけたマタニティマークが目に入り、涙が止まらなくなる。マークを引きちぎりながら嗚咽する深キョンの芝居は、彼女史上最高のものと思えるくらい気持ちがこもっていた。

 奈々は置き手紙を書き、失踪してしまう。

「ママになりたかったのでなく大ちゃんをパパにしてあげたかったのだと気付きました」「ごめんね大ちゃん……、ごめんね赤ちゃん……」と、自分を過剰に責めてしまう様子がリアルだとの視聴者の声が多かった。

 次回、ドラマは最終回を迎える。今回植えられたオリーブの木が今後、どう成長するのかもっと見ていたい。
(文=柿田太郎)

 

 

深キョンついに妊娠!『隣の家族は青く見える』第8話は高橋メアリージュンの強い芝居に涙させられる神回

 コーポラティブハウスを舞台に、4組の「家族」の価値観を描く『隣の家族は青く見える』。第8話は、視聴者も知らぬいくつかの「理由」があかされ視聴率は6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや上昇。

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■『毒親』に悩まされてきた2人

 

 今回まず目立ったのは、ずっと仲違いしてきたちひろ(高橋メアリージュン)と深雪(真飛聖)の関係の変化。

 亮太(和田庵)の死んだ母親の言葉「人間いつ死ぬかわかないから、やりたいことやっとけ」という言葉に触発され優香(安藤美優)は、受験を辞めて公立中に進み、ダンスを続けたいと母・深雪(真飛聖)に告白。「ママの言う通りにして後悔するのが嫌なの」と言われ、激怒し手を上げかけた深雪のその手を、ちひろが掴む。「子どもをストレスのはけ口にしないで」と語るちひろには、何か理由がありそう。

 後日、亮太の誕生日が近いことを知り、ケーキ作りの手伝いを奈々に頼むちひろだが、奈々(深田恭子)はお菓子作りの腕が「プロ級」だという深雪を連れてくる。ギクシャクしつつも、距離が縮まりだす。

 ここで深雪は、自身が小・中と受験に失敗し、母親に褒められずに育ったという過去を明かす。確かに前回「あなたは受験に失敗したとこから人生狂ってしまった」と、いまだ年老いた実母に圧をかけられていた。

「でもね、子どもができた時、初めて喜んでくれて、ようやく両親に認めてもらえたって思った」という深雪は、子どもの存在を「両親と私をつないでくれた魔法の架け橋」だと言い、だから他人にもつい「子どもを作れ」と勧めてしまう、と。

 深雪も内側に、いわゆるインナーチャイルドを抱える弱い人間なのだ。初めて深雪の弱さを知ったちひろも、母親にいつも殴られていたという自身の過去を明かす。

 確かにちひろは前回「みんながみんな子ども時代が幸せだとは限らないからね」と朔(北村匠海)と共感していた。

「こんな親にだけはなりたくないと思ってて、ある日、気づいたんだよね。そっか、子どもを産まなきゃいいんだって」
「私みたいな育てられ方した人間がいい母親になんかなれるわけないから」
「産んだはいいけど愛してあげられませんでしたじゃ、子どもがかわいそう」

 反目していた2人には『毒親』によって苦しんだという共通する子ども時代があったのだ。深雪は子どもを育てることで、ちひろは子どもを持たないことで、当時のことに折り合いをつけているのだ。

 自分と同じく母親を「失った」亮太がSOSを発した時には必ずそばにいてあげたいと語るちひろの思いを知り、何かが溶けるような表情を見せた深雪が印象的。

 深雪はまだ自身の『毒親』に対し希望を持っているかもしれないが、ちひろは切り捨てているようだ。もし優香をあそこで叩いてしまっていたら、自分が優香に「切り捨て」られていたかもしれない。実際そんなことはないかもしれないが、深雪が、気まずい中、お菓子作りに来たのは、優香との関係を守ってくれたちひろに対する感謝があったのかもしれない。

 この物語では無理だろうが、いつかちひろが(勝手な推測だが)「切り捨て」た母親とまた通じ合い、亮太らを紹介できる、そんな日がきたらいいなと思った。

 そして、こういう場をちゃんとセッティングする奈々、頼もしい。

■死んだ母に「許された」亮太

 

 そして誕生日当日。ちひろは完成したケーキをうれしそうに差し出すも、亮太はいきなりそれを床に叩き落とし、「今日はお母さんが死んだ日だ」と外へ飛び出す。

「悪かった、私が! 知らなかったの! 今日がお母さんの命日だなんて知らなかったの」
「亮太ごめん、亮太を傷つけるつもりなんかなかったの! 本当にごめん、ごめんなさい、ごめんなさい!」

 正直知らなかったちひろに落ち度はないし、それはそれとしてケーキを叩き落とした亮太も幼いのだが、ちひろはすぐさま全力で亮太に飛び込んだ。本気で向き合おうとするちひろの思いが亮太に届く。

「仕事で(誕生日)一緒にいられないって言うから『お母さんなんか別にいらない』って言っちゃったんだ」
「でももう謝れない、お母さんのこと傷つけたの」

 あれから1年間、誰にも言えず、ずっと小さな身体で抱えていたのだろう。実父・亮司(平山浩行)にも言えなかった気持ちをちひろに向けて語ったのは、亮太もちひろに心から向き合おうとしているからだろう。

「2人とも亮太と暮らしたくて何年も親の権利を争ったんだよ? そうやって、やっと亮太と暮らす権利を手に入れたお母さんが、寂しさの裏返しで言った言葉を本気にするわけないじゃんか」
「悔しかったと思うよ、亮太を残して死ぬの、無念だったと思う。最後の最後まで亮太を残して死ぬの心配で心配で仕方なかったと思う」

 亮太はこの言葉がなかったら大人になっても後悔でずっと前を向けなかったかもしれない。死者は何も語れないが、亮太は初めて『許された』気持ちになったのではないか。高橋は強く気持ちを吐き出す芝居がよくハマる。筆者的にはこのドラマで一番のシーン。

 

■別れを切り出される深雪

 

 いつの間にか定期預金を解約していたことを知り、インスタ映えなど虚栄心を満たすために散財してるのでは? と深雪を責める真一郎(野間口徹)。しかし、夫のみならず子どもにまで裏切られたと思い込む深雪はもう限界を迎えており、「私はずっと後悔の連続」「私の人生は一体どこにあるのよ」と気持ちを吐き出すが、真一郎は「君一人に子育てをさせてしまったツケだな。済まない」と謝りつつも、離婚しようと告げる。

 争いを避けようとする彼らしい選択だが、今までと違い深雪の根底にある弱さを知った我々には、キレる深雪に、真一郎には届いていない彼女なりのSOSに感じる。子どもも引き取ると言われ、「魔法の架け橋」を奪われた深雪のこの先が心配だ。

 

■それぞれの「理由」

 

 今回、深雪やちひろの他にも、我々が初めて知る「理由」があった。

 子どもが1歳になったら仕事復帰したいという大器(松山ケンイチ)の妹・琴音(伊藤沙莉)と母親・聡子(高畑淳子)の対立。当初、早急な仕事復帰に反対してした聡子だが、「好きな仕事に汗水垂らして働いてるお母さんとお父さん見て育ったから、そんな姿を私も真奈(娘)に見せたい」という琴音の気持ちを知り、涙する。

 また奈々の上司・倉持(寿大聡)は奈々の不妊治療告白以後、やけに強く理解を示していたが、実は倉持にも7年間ずっと治療をして、やっと子を授かったという過去が。それゆえ「文句を言うとこっちが悪者みたくなる」と奈々への陰口をたたく他の部下に対し、「想像力が足りない」「人生には他人の協力がないとできないことがある」と理解を求める。

 それぞれ人には表面上ではわからない過去や背景がある。そんな当たり前のことに気付かせてくれ、他人に対する態度が短絡的な感情によるものではないか? と見ている我々にも自問させてくれる回だった。

 聡子は「自分と違う立場の人や違う事情を抱えた人のことも理解して思いやることができたら理想的だけど、実際はその立場になってみたり事情を聞いてみないとわからないことだらけ」と語っていたが、これが今回の主題だろう。

 厚生労働省とタイアップしてるだけに教訓めいたことをスローガンのように語ったり、言いたいことを言葉のみでつらつら語らせるシーンがときおり見られるのだが(言ってる内容は実に正論)、高畑が絡むと、演技が上手すぎて、その違和感がまったく気にならなくなるのが凄い。

 伊藤沙莉との親子ゲンカのシーンは毎回達者同士で見応えあるし、正直あまり上手い方ではない深田も高畑と絡むと見事に引っ張られているように見える。細かいが「二度見」の上手さなどは志村けんレベルだし、しつこいようだが高畑敦子、凄い。

 

■奈々が妊娠! だが……

 

 排卵を誘発する注射を自分で打ったり、一人で採卵の処置を受ける奈々の不安な様子も丁寧に描かれた。いよいよ体外受精、そしてついに妊娠。ここまで大器と苦労した回想が流れる。

 しかし、もちろん妊娠して終わりではないし、まだまだ不安定だ。この結末をどうもっていくのか。安易かもしれないが、無事出産してほしいと思う。しかし、実際悩んでいる人々は、あまりにご都合主義では冷めてしまう。もちろんその後の子育ても大変だし苦労は続く。

 残り2回。それぞれが腹を割り出してから面白さが加速している。次回が待ちきれない。
(文=柿田太郎)

大告白大会……登場人物全員が愛おしく見えてくる『隣の家族は青く見える』はどこか懐かしいホームドラマ

 集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、4組の「家族」の価値観を軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。第7話で描かれたさまざまな告白。視聴率は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■3人の亭主の男子会

 

 夫が求職中のため、深雪(真飛聖)は実家の母(多岐川裕美・裕福そう)に生活費を無心したいが言い出せず。それどころか深雪の母が孫の中学受験の成功を願い口にした言葉がつらい内容だった。

「貴女は受験に失敗したところから、人生狂ってしまったから」

 おそらく深雪はずっとこの価値観を植え込まれて育ってきたのだろう。長女(優香・安藤美優)の受験に執着する悲しい背景。

 深雪は帰宅する途中、見知らぬ女性宅を隣人の大器(松山ケンイチ)が訪ねるのを目撃。「浮気では?」と奈々(深田恭子)に報告する深雪だが、奈々を思っての行為というよりは、自分の失意を他人の不幸で満たそうとする行為に見える。目撃時、思わず笑顔になっていた深雪の表情が忘れられない。こうやってずっと自分の精神を守ってきたのだろう。

 夫・真一郎(野間口徹)が、子どもに無償で勉強を教える学習支援ボランティアをしていると知り深雪は激怒。人生で初めてやりがいを見つけた真一郎は職探しをしつつボランティアを続けることを真剣に頼むが、それなら家を出て行けと言われ激高する。

 体外受精について相談する奈々に対し、大器はもう不妊治療をやめないかと提案。

「なんでステップアップするたびに、いろいろ理由つけて反対するの? 私もう反対されるの嫌なんだけど」

「俺だって嫌だよ! つらそうにしてる奈々見るのも嫌だし、つらいの我慢してる奈々見て見ぬふりするの嫌なんだよ?」

 不妊治療の話ばかりで余裕もなくなり衝突してしまうとデメリットを語り、これで夫婦と言えるのか? と吐き出す大器と、夫婦だからやってこれたんだと反論する奈々。後にそれはカウセリングに通っていただけだとわかるのだが、奈々は浮気のことも口にしてしまう。

 亮司(平山浩行)とちひろ(高橋メアリージュン)のカップルは、共に暮らすことになった亮司と前妻の子・亮太(和田庵)のことで衝突。

「亮司は亮太君に嫌われたくないんだよ? だから必死で機嫌とってるの。でも好かれもしないよ、このままじゃ? 彼の心の中に入ってってやらなきゃ、いつまでたっても欲しいもの買ってくれるだけの便利なおじさんのまんまだよ?」

「これは俺と亮太の問題だ、俺たち家族のことに口出さないでくれ」

 すぐさま言葉のあやだと謝るも、「家族」に加えてもらえなかったちひろは傷つく。そして「他人」だから見えていることもある。

 真一郎、大器、亮司は玄関を出たところで、ばったり遭遇。間髪入れず「いいところで会った、飲み行きましょう!」と誘ったのは、一番それを言わなそうなキャラ、真一郎。思わず「お前が誘うんかい」と言いたくなったが、このへんのセンスは毎回見事。大器の実家の居酒屋で発散する3人。

 楽観的過ぎるかもしれないが、この状況すら悪くないとすら思えてしまう。題材こそ現代的だが、どこか懐かしいホームドラマの匂いがする。今回特に。

■女子会に深雪乱入

 

 奈々、ちひろ、朔の女子会が今回も。ここだけドラマというより「コーナー」を見ている気持ちになる。ラジオの人気コーナーが始まった時の、あの気持ち。

 今回は、いきなり「子持ち」となったちひろの苦労話がメイン。「私はお母さんなんかしてません、良識ある大人として同居中の子どもに最低限の責任を果たしてるだけです」と謙遜しつつ、子ども嫌いのはずのちひろは、どこかうれしそう。

 子どもの面倒や家事で鏡を見る暇もないと語る中、奈々が言った「深雪さんのところとか2人もいるのに、いつもきれいにしててすごいよね」という言葉に共感する深雪の天敵・ちひろ。

 自分の芝がちゃんと他所からも、天敵からも青く見られているということを深雪にも早く気づかせてあげてほしい。そして自分の幸せを雑に扱い、安易に他人を羨む行為を自分はしていないのか? と、ふと考えさせられる。

「子どもがいない未来なんて考えられない」と語る奈々に「幸せな子ども時代だったんだね」と親のいない朔が、そして「みんながみんな子ども時代が幸せだとは限らないからね」と、ちひろが言う。奈々もまた、自分の当たり前の幸せに気づけていない部分があるのだ。

 今回はこの女子会に、なんと深雪が乱入。長女・優香が亮太と仲良くなってから成績が下がったと食ってかかる。「あの子の母親じゃないんで」と初めは流していたちひろだが、あまりの言われように「うちの亮太のせいでお宅の娘さんの成績が下がったっていう証拠でもあんのかって聞いてんのよ!」。

 第2話以来の両雄の激突。いつも思うが、高橋メアリージュンにはいつか女子プロレスラーを演じてほしい。きっとハマる。

 慌てる奈々に対し、「もっとやれー」と喜ぶ朔。そして、「うちの亮太」が聞こえたのか、うれしそうに覗き込む亮太。朔と亮太が絡むのが楽しみだ。

 

■広瀬のカミングアウト

 

 前回登場した広瀬の母・ふみ(田島令子)が、いきなり逆訪問。広瀬の意向でゲイカップルであることは隠しているため、それを汲んで広瀬不在の中、仕事の後輩として出入りしてるフリの朔が必死に「痕跡」を隠す。写真立てを隠し、ベッドを独り者っぽくして一安心……のはずが、リビングにデカデカと飾られた「(同居するにあたっての)三つの誓い」で即バレ。笑いました。それは以前決めた「喧嘩しても電話する」などの2人の取り決めで、しっかり布石回収。

 そこへ帰ってきた広瀬がはっきりとカミングアウトする。親に育てられず、しがらみなく生きてきた朔に対し、母親に初めてゲイを告白する広瀬はつらそうだ。

「何がいけなかったのかなあ……」「普通じゃないでしょ」「目を覚まして」と、息子を病気のように考え、原因を考えたり自分を責めてしまうふみ。

「原因とかない」「ゲイは病気じゃない」「普通ってなんなんだろうね」

 言い返すのも虚しそうな広瀬を見ていると、カミングアウトしたがらなかったことに納得してしまう。

 だが広瀬は「自分や自分の好きな人を否定されることが、こんなにも悲しいことだなんて、今の今まで知らなかった。カミングアウトしてよかった」と言い切った。おのおの同じタイミングで焼き芋を買ってくるほど繋がっている2人。朔はカミングアウトすることを安易に勧めていた自分を悔いているようだった。

 

■4つの「告白」

 

 今回、衝突と同時にさまざまな告白が見られた。

 ゲイであることの告白(広瀬が母に)、実は無職であったことの告白(真一郎が奈々に)は記したが、ちひろとまだ気まずい亮司は、亮太とベッドに入りつつ、離婚した原因を語った。お互い仕事のことばかりでの行き違いらしいが、時を経て仲直りし、ちひろとの再婚の予定を報告した際には「今度は大事にしなさいよ」と励まされたという。「遺言なら守らないとダメじゃん」と父をベッドから追い出す亮太と、その会話がうまい具合にちひろに聞こえているのもいい。

 そして、奈々は勇気を出して職場で不妊治療していることを告白。人手不足のためか理解してくれない目線も感じたが、それでも奈々は切り開きたかったのだろう。前の晩、ゴールの見えないつらさ、リセットされるたび、妊婦や赤ちゃんを見かけるたびに襲われるつらさを大器に語りつつ妊活続行への理解を求め、仲直りしつつベッドへ。

 男子会後、おそらくちゃんと喧嘩をしたことがなく落とし所がわからない真一郎だけは中庭にテントを張り、敷地内野宿。カップ酒で浮かれる野間口のアドリブっぽい芝居が光るが、深夜、凍える真一郎に「みっともないから戻って!」とイラつきながら許しを感じさせる真飛聖もよかった。この日は、この2人で副音声もしていたのだが、ここでも真飛が話をリードしていてなんか微笑ましかったです。

 今回、特に揉め事→理解、むず痒い仲直りの展開が心地よく、登場人物全員が愛おしく感じた回でした。次回も期待大です。
(文=柿田太郎)

フジテレビ『隣の家族は青く見える』高畑淳子の“顔芸”が達者すぎ!

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。第6話の視聴率は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)ですが、オリンピックの最中、ドラマは録画が増えるので、もはや視聴率に意味はないでしょう。前回から2カ月が経過した4家庭の現状から振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■高畑淳子の表情だけで笑える

 

 大器(松山ケンイチ)の両親と妹夫妻が、前回生まれた子どものお宮参りの帰りに、大器と奈々(深田恭子)の住むコーポを訪ねて来る。鯛のお頭付きのお祝い膳で迎える古風な奈々。

 奈々が言った「子どもが生まれる事自体が奇跡」という言葉に感動し、琴音(伊藤沙莉)が命名したのは「真奈」という名前(ちなみにハワイ語でマナは奇跡という意味だとも)。その琴音は、旦那の啓太(前原滉)に対し「おむつ変えただけで『俺今日めっちゃがんばった』みたいになる」のが気にくわない。いわゆる産後から旦那への嫌悪感が強まる「産後クライシス」。後半に妊活クライシスにも触れる場面もあり、未経験にはピンとこない「危機」を、多少教材的にだが教えてくれる。

 前回、奈々らが不妊治療をしていることを知り、自分の無神経な振る舞いを涙ながらに後悔した聡子(高畑淳子)は、子どもの話題になるたびに逆に過剰にドギマギ。高畑の顔の芝居があまりに冴えまくるので、全員のシーンで、この人の表情だけ見てても面白い。高畑主演のコメディドラマが観たい。

 広瀬渉(眞島秀和)は独立し、自宅で仕事を開始。それに応じるように、慣れない家事や大検の資格を取ろうとしたりするパートナー・朔(北村匠海)。前回「あなたは彼にはふさわしくない」と広瀬の元同僚・長谷部(橋本マナミ)に言われたことが大きいようだ。

 そして、別れる寸前だったのに焼けボックリに火がつき燃え上がり、結局踏みとどまった川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の事実婚カップル。ちひろは同居しだした亮司の前妻との子ども・亮太に歩み寄ろうとするが、亮太は拒絶しているように見え、双方うまくいかない。そんな中、亮司はよきパパになろうとしすぎて亮太を過剰にかわいがり、それがちひろは気に食わない。

 なかなか深刻な環境だと思うのだが、ちひろと明るく喧嘩しつつ、たまにいちゃつく様子は重くなりすぎない。今回も、ぞんざいに扱われるちひろと高橋のバタ臭い演技がマッチ。コメディ時の篠原涼子を彷彿とさせ、ますます仕事を増やしそう。『ラストシンデレラ』(フジテレビ系)で共演してますね。

 ちひろ、奈々、朔の仲良し女子会も恒例化。

 夫婦になり「安心」してしまうことを回避するため事実婚にしたと語るちひろと、それに対し「選択して事実婚なのと、事実婚しか選択できないのは、また違う」という同性カップルの朔。「逆に婚姻届という拘束力のあるものが欲しい」と願うなど、それぞれの価値観を素直にぶつけ合える関係。仲よすぎて、どこか特典映像のアフタートークにすら見えてくる。誰しも、こうなれたらいいのだが。

 小宮山深雪(真飛聖)は、長女・優香(安藤美優)の成績が落ちたことで悲願の私立中学入学に焦りだす。深雪に秘密で友達とダンス練習をする優香と父親・真一郎(野間口徹)は理解し合っており、さきほどの女子会トーク仲間からも浮き立ち、深雪だけがドラマの中で浮いてきている。自分勝手な価値観を押し付けたり、他人の価値観を否定してしまったり、どうしても「加害者」的な見え方になってしまうが、どんどん孤立してしまうことで余計、自分の価値観に必死にすがろうとする様が痛々しく、悲しく見えてくる。価値観に縛られ、もがき苦しむ様に見える深雪と、どう接するべきか? そんな問いを投げかけられているようにも感じる。

 今回、優香と亮太が同じクラスになっていたことも判明。こっそり優香を隠し撮りするなど不審な行動も見せたが、この突然現れた亮太が小宮山家に風穴を開けてくれるのか。朔もそうだが、深雪の価値観をポーンと飛び越えていくような人物と触れ合わせてほしい。すっかり「悪者」な深雪に、ドラマ後期、改心させるとかそんな単純なことではなく、もっと多くの人が感情移入してしまうような作りになってほしいし、時折その気配も感じる。

 今回、琴音が慣れない育児で必死になり、周りを全て敵としてみてしまうような場面があるのだが、深雪も真一郎が単身赴任している中、こうして苦労して必死に育児をしてきたのかと思うと素直に憎めない。

 ちなみに、優香の友人が、ダンスをしていることを亮太が親(深雪)にばらさないように「念のため口止めしときなよ」と優香にけしかけるのが、どこか残酷で笑いました。

■奈々の4度目の人工授精の結果は?

 

 一方、不妊治療のために仕事を調整しているのだが、それが言えないため、ついに理解ありそうだった上司に「やる気ないスタッフ雇ってるほど余裕ないんだよね」とまで言われてしまう奈々。他の同僚が妊娠したため人手が足りないらしく「こういうのってお互い様だから」と、あまりに悲しい言葉まで言われてしまう。他人を理解することの難しさ。自分の立場も言いたいが、いろいろ考えると奈々は言えないし、言わない人だろう。気遣いから我慢したり言えない人が損をしてしまう仕組みをヒリヒリと見せる。同じことを自分は誰かにしてしまっていないか? と考えてしまう。

 足を骨折した母親を見舞うため実家を訪ねるも、結婚や孫を強くせっつかれてしまう広瀬。後輩のふりして付いていった朔は、ゲイであることを告白しないことが親に対し残酷だと言い、広瀬は隠し通すことこそが親孝行だと言う。どちらが正解か、答えはない。どちらの価値観もあることを認識するのが正解なのかもしれない。カミングアウトするかしないかのスタンスで、たびたびぶつかる広瀬と朔だが、今回は親がいない朔の気持ちも影響しているようだ。広瀬の実家に着いた当初、柱に隠れるように所在無げにしていた朔。他人からの見え方にこだわってしまう深雪とは真逆で、しがらみから自由で、身軽で、それが強さにも見えたりもする朔だが、本人はその価値には気づいておらず、すぐ子どものようにヘソを曲げたりもする。代わる代わる他人の側面を見せるドラマだからこそ気づかせてくれる幸せのあり方。幸せの青い鳥の童話じゃないが、隣の芝だけでなく自分の家の芝の青さに気付けたらいいのだが。

 ちょっとしたミスだけで急に母親としての自信をなくし、弱音をぶちまけてしまう琴音。できちゃっただけで「子どもなんて欲しくなんてなかった」と感情だけで口走る琴音に平手打ちを食らわせる聡子。横にいる奈々を思っての行為だ。

「世の中には赤ちゃんが欲しくたってできない人だっているんだよ」「謝んなさい!」と泣きながら、ただならぬ気迫で迫る聡子に思わず「……誰によ?」と聞いてしまう琴音。このシーン、感動したという声も多いし、もちろんその意図はあるのだろうが、同時に少しだけ笑わそうとしている。このバランスが綺麗だし、挑戦的だ。

 あからさまな聡子の態度で、奈々は自分の不妊治療を聡子が知ってることに気づく。

 子どもをせっついたことを謝り「子どもができようができまいが、そんなことどうだっていいの、あんたちが幸せに暮らしてたらそれでいいのよ」と心から奈々に訴える聡子。真っ先に今ある目の前の幸せに気付けたのは聡子なのかもしれない。

 少しずつ、登場人物の悩みの裏側が見えてきたシリーズ中盤。価値観の違う人物と人物が触れ合うことが毎回新鮮に楽しみで、絡んでない人同士をつい考えてしまう。

 ちひろが触れようとすると激怒していたスマホを深夜に握りしめ、事故で急死した母親からの何気ない留守電の声をヘッドホンで繰り返し聴き涙する亮太には、親がそもそもいない朔がきっと寄り添ってくれるだろう。

 そして4回目の人工授精も残念な結果に終わってしまった奈々。大器が不倫? 浮気? のように訪ねた女性は誰なのか? ひやひやしながら次週を待ちたいと思います。
(文=柿田太郎)

 

フジテレビ『隣の家族は青く見える』高畑淳子の“顔芸”が達者すぎ!

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。第6話の視聴率は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)ですが、オリンピックの最中、ドラマは録画が増えるので、もはや視聴率に意味はないでしょう。前回から2カ月が経過した4家庭の現状から振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■高畑淳子の表情だけで笑える

 

 大器(松山ケンイチ)の両親と妹夫妻が、前回生まれた子どものお宮参りの帰りに、大器と奈々(深田恭子)の住むコーポを訪ねて来る。鯛のお頭付きのお祝い膳で迎える古風な奈々。

 奈々が言った「子どもが生まれる事自体が奇跡」という言葉に感動し、琴音(伊藤沙莉)が命名したのは「真奈」という名前(ちなみにハワイ語でマナは奇跡という意味だとも)。その琴音は、旦那の啓太(前原滉)に対し「おむつ変えただけで『俺今日めっちゃがんばった』みたいになる」のが気にくわない。いわゆる産後から旦那への嫌悪感が強まる「産後クライシス」。後半に妊活クライシスにも触れる場面もあり、未経験にはピンとこない「危機」を、多少教材的にだが教えてくれる。

 前回、奈々らが不妊治療をしていることを知り、自分の無神経な振る舞いを涙ながらに後悔した聡子(高畑淳子)は、子どもの話題になるたびに逆に過剰にドギマギ。高畑の顔の芝居があまりに冴えまくるので、全員のシーンで、この人の表情だけ見てても面白い。高畑主演のコメディドラマが観たい。

 広瀬渉(眞島秀和)は独立し、自宅で仕事を開始。それに応じるように、慣れない家事や大検の資格を取ろうとしたりするパートナー・朔(北村匠海)。前回「あなたは彼にはふさわしくない」と広瀬の元同僚・長谷部(橋本マナミ)に言われたことが大きいようだ。

 そして、別れる寸前だったのに焼けボックリに火がつき燃え上がり、結局踏みとどまった川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の事実婚カップル。ちひろは同居しだした亮司の前妻との子ども・亮太に歩み寄ろうとするが、亮太は拒絶しているように見え、双方うまくいかない。そんな中、亮司はよきパパになろうとしすぎて亮太を過剰にかわいがり、それがちひろは気に食わない。

 なかなか深刻な環境だと思うのだが、ちひろと明るく喧嘩しつつ、たまにいちゃつく様子は重くなりすぎない。今回も、ぞんざいに扱われるちひろと高橋のバタ臭い演技がマッチ。コメディ時の篠原涼子を彷彿とさせ、ますます仕事を増やしそう。『ラストシンデレラ』(フジテレビ系)で共演してますね。

 ちひろ、奈々、朔の仲良し女子会も恒例化。

 夫婦になり「安心」してしまうことを回避するため事実婚にしたと語るちひろと、それに対し「選択して事実婚なのと、事実婚しか選択できないのは、また違う」という同性カップルの朔。「逆に婚姻届という拘束力のあるものが欲しい」と願うなど、それぞれの価値観を素直にぶつけ合える関係。仲よすぎて、どこか特典映像のアフタートークにすら見えてくる。誰しも、こうなれたらいいのだが。

 小宮山深雪(真飛聖)は、長女・優香(安藤美優)の成績が落ちたことで悲願の私立中学入学に焦りだす。深雪に秘密で友達とダンス練習をする優香と父親・真一郎(野間口徹)は理解し合っており、さきほどの女子会トーク仲間からも浮き立ち、深雪だけがドラマの中で浮いてきている。自分勝手な価値観を押し付けたり、他人の価値観を否定してしまったり、どうしても「加害者」的な見え方になってしまうが、どんどん孤立してしまうことで余計、自分の価値観に必死にすがろうとする様が痛々しく、悲しく見えてくる。価値観に縛られ、もがき苦しむ様に見える深雪と、どう接するべきか? そんな問いを投げかけられているようにも感じる。

 今回、優香と亮太が同じクラスになっていたことも判明。こっそり優香を隠し撮りするなど不審な行動も見せたが、この突然現れた亮太が小宮山家に風穴を開けてくれるのか。朔もそうだが、深雪の価値観をポーンと飛び越えていくような人物と触れ合わせてほしい。すっかり「悪者」な深雪に、ドラマ後期、改心させるとかそんな単純なことではなく、もっと多くの人が感情移入してしまうような作りになってほしいし、時折その気配も感じる。

 今回、琴音が慣れない育児で必死になり、周りを全て敵としてみてしまうような場面があるのだが、深雪も真一郎が単身赴任している中、こうして苦労して必死に育児をしてきたのかと思うと素直に憎めない。

 ちなみに、優香の友人が、ダンスをしていることを亮太が親(深雪)にばらさないように「念のため口止めしときなよ」と優香にけしかけるのが、どこか残酷で笑いました。

■奈々の4度目の人工授精の結果は?

 

 一方、不妊治療のために仕事を調整しているのだが、それが言えないため、ついに理解ありそうだった上司に「やる気ないスタッフ雇ってるほど余裕ないんだよね」とまで言われてしまう奈々。他の同僚が妊娠したため人手が足りないらしく「こういうのってお互い様だから」と、あまりに悲しい言葉まで言われてしまう。他人を理解することの難しさ。自分の立場も言いたいが、いろいろ考えると奈々は言えないし、言わない人だろう。気遣いから我慢したり言えない人が損をしてしまう仕組みをヒリヒリと見せる。同じことを自分は誰かにしてしまっていないか? と考えてしまう。

 足を骨折した母親を見舞うため実家を訪ねるも、結婚や孫を強くせっつかれてしまう広瀬。後輩のふりして付いていった朔は、ゲイであることを告白しないことが親に対し残酷だと言い、広瀬は隠し通すことこそが親孝行だと言う。どちらが正解か、答えはない。どちらの価値観もあることを認識するのが正解なのかもしれない。カミングアウトするかしないかのスタンスで、たびたびぶつかる広瀬と朔だが、今回は親がいない朔の気持ちも影響しているようだ。広瀬の実家に着いた当初、柱に隠れるように所在無げにしていた朔。他人からの見え方にこだわってしまう深雪とは真逆で、しがらみから自由で、身軽で、それが強さにも見えたりもする朔だが、本人はその価値には気づいておらず、すぐ子どものようにヘソを曲げたりもする。代わる代わる他人の側面を見せるドラマだからこそ気づかせてくれる幸せのあり方。幸せの青い鳥の童話じゃないが、隣の芝だけでなく自分の家の芝の青さに気付けたらいいのだが。

 ちょっとしたミスだけで急に母親としての自信をなくし、弱音をぶちまけてしまう琴音。できちゃっただけで「子どもなんて欲しくなんてなかった」と感情だけで口走る琴音に平手打ちを食らわせる聡子。横にいる奈々を思っての行為だ。

「世の中には赤ちゃんが欲しくたってできない人だっているんだよ」「謝んなさい!」と泣きながら、ただならぬ気迫で迫る聡子に思わず「……誰によ?」と聞いてしまう琴音。このシーン、感動したという声も多いし、もちろんその意図はあるのだろうが、同時に少しだけ笑わそうとしている。このバランスが綺麗だし、挑戦的だ。

 あからさまな聡子の態度で、奈々は自分の不妊治療を聡子が知ってることに気づく。

 子どもをせっついたことを謝り「子どもができようができまいが、そんなことどうだっていいの、あんたちが幸せに暮らしてたらそれでいいのよ」と心から奈々に訴える聡子。真っ先に今ある目の前の幸せに気付けたのは聡子なのかもしれない。

 少しずつ、登場人物の悩みの裏側が見えてきたシリーズ中盤。価値観の違う人物と人物が触れ合うことが毎回新鮮に楽しみで、絡んでない人同士をつい考えてしまう。

 ちひろが触れようとすると激怒していたスマホを深夜に握りしめ、事故で急死した母親からの何気ない留守電の声をヘッドホンで繰り返し聴き涙する亮太には、親がそもそもいない朔がきっと寄り添ってくれるだろう。

 そして4回目の人工授精も残念な結果に終わってしまった奈々。大器が不倫? 浮気? のように訪ねた女性は誰なのか? ひやひやしながら次週を待ちたいと思います。
(文=柿田太郎)

 

フジテレビ『隣の家族は青く見える』4.6%と超低空飛行も、深田恭子の“善き人”ぶりに注目!?

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。

 なかなか子どもができない奈々に、子どもがらみの事件が降りかかる第5話は4.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、さらにダウン。NHKで放送されていた平昌五輪のカーリングが高視聴率だったことが響いた模様。4家庭の現状から振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■また深雪の逆鱗に触れる事件が

 

 人工授精に向けて動き出した大器(松山ケンイチ)と奈々(深田恭子)夫妻。

 急きょ確定する排卵日の前日・前々日に合わせて、採れたて精子を医師に提出することの苦労を語る大器。奈々も、会社に理由を伏せながら3連休を取らねばならぬため、理解ある職場だが、それでも軽く注意されてしまう。確かに「人工授精のために」とは言えないだろう。

 大器は「『今日は精子とってから出勤しまーす』とか『人工授精終わってから出勤しまーす』とか言えるべきなんだよ~」と愚痴るが、それも確かに。妊活に前向きに向き合いだす大器の変化がわかる。後日、奈々は精子の温度が冷えないようタオルでくるみ、大切に運んだが、これらの活動が何ひとつ会社に言えないということが、ある意味一番つらいのかもしれない。

 よい精子をつくるために自転車に乗りすぎない(圧迫が×)とか、膝上ノートパソコンはよくない(精巣の高温×)などの情報も、ためになる。

 ゲイであることをを中傷するヘイトなビラが会社に配られたことをきっかけに、デザイン事務所からの独立を決めた広瀬。あんなの気にすることないと同僚・長谷部(橋本マナミ)は引き止めるが、決意は固い。

 川村亮司(平山浩行)が前妻の子を引き取ることで、出て行くことを決めた、ちひろ(高橋メアリージュン)。引っ越し費用を出すからと謝る亮司の言葉が、ちひろの気分を害する。言ってほしいのはそこじゃない。「すぐに出て行かないで、チャンスあげたのに、何にも言ってこない」と奈々・朔(北村匠海)ら女子トーク仲間にも愚痴っていた。

 だが、自分の責任のため、迂闊なことは言わず罪を被っているつもりの亮司。平行線どころか、別れ間際で、さらに溝が深まってしまう。

「男なんてプライド高い小心者ばっかりだから、リスクあることするわけない」「より戻したいなら女の子から言わなきゃ」と朔からアドバイス。

「違う環境で育った人間同士が心を通わせるなんて、そもそもムリなことしてるんだから、恋愛関係が続くこと自体奇跡」

「めんどくさいことや些細なことを乗り越えて、それでもこの人と! って思えた人と奇跡の山恋愛に登頂できる」

 朔先生のありがたい言葉に耳を傾ける生徒2人。

 深雪(真飛聖)は、奥様らと自宅で優雅にランチ……かと思いきや、まさかの、リア充ぶりを撮影させる有料サービス。

「この度も『リア充代行サービス・ハピネス』をご利用いただきありがとうございました」と、普通言わないであろう丁寧な説明セリフ有り。以前登場した高級バッグもここのレンタル&撮影だったようで、虚栄心が満たされず「いいね」依存が止まらない。

 この席で、他の3家族への愚痴や暴露が止まらない深雪。夫の無職の件などしゃべりすぎで心配なほど……。

 深雪はこのとき、大器と奈々のことを「アライカップル」と揶揄していたが、アライとはLGBTに理解・支援するスタンスのこと。ゲイである広瀬らだけでなく、それを許容する奈々達も気に食わないのだ。

 一方、長女の優香(安藤美優)は、友人の代役でダンス番組のオーディションに参加するが、塾からの連絡でサボったことが深雪にばれてしまう。

 

■娘のために嘘をつく真一郎

 

 深雪は、偶然通りかかった奈々に次女の萌香(古川凛)を預けて、慌てて塾へ。揶揄していたくせに。しかし、子どものできない2人には、これが貴重な擬似体験に。

 帰宅後、何をしていたか本当のことを言えない優香のため、自分が誘い出したと真一郎(野間口徹)が助け舟を出す。真一郎は優香がダンスを練習してるところを偶然見かけ、練習に打ち込む姿に感激していた。

 自分と会っていたというのは、もちろん優香を助けるための嘘だが「こうでもしなきゃ子どもたちとの時間作れないから」と語った気持ちは本物だろう。

 中学受験合格が悲願の深雪と、子どもの気持ちを尊重したい真一郎。出張時代、子どもの面倒を見てきたというプライドから「暇になったからって、急に口出さないでよ」とキレる深雪。言い返せない真一郎だが、どんどん火薬が蓄積されていってるような危険を感じる。

 深雪のキャラは相当嫌われる作りになっているのだが、それでも次女・萌香の無垢な笑顔に癒やされたりするシーンがごく稀にあり、首の皮一枚で救いを持たせている。

 今回は真一郎が優香にダンスを応援する旨をこっそり伝えたり、優香も中学受験について「辞めたらママがっかりするから」と母を想う気持ちを見せるなど、救いを入れている。

 今さらだが野間口の気弱な夫ぶりは見事で、地味ながら「顔」でしっかり芝居を見せ、「お前まで俺をバカにする気か」と、落とした小銭を追いかける哀愁も実にハマっている。

 

■謎の女が動きだす

 

 広瀬の同僚・長谷部が朔の働くバーに、いきなり訪問。朔について調べた調査報告書をチラつかせ「世間知らずのおぼっちゃまかと思ったら結構複雑な生い立ちなのね」といきなりバケの皮を自ら剥ぐ。

 中傷ビラも、広瀬と朔を別れさせるため長谷部がやったことで、「あなたは彼には相応しくない。彼の将来に邪魔になるようなことだけはしないで」と脅す。

 朔も初めは動じなかったが「広瀬くんのとこに転がりこんだ理由も話した?」と言われたとたん、言葉を失う。どんな理由があったのか。帰り際「ご馳走様」と注文した白ワイン代を払わず去るところが、長谷部の性格を表している。

 ちなみに調査報告書によると、朔のバーがあるのは渋谷の松濤で、ドラマの舞台となるコーポは世田谷区上用賀東2-1-4。東という住所はないが、上用賀2-1-4で検索すると、現在休苑中の馬事公苑がヒットする。いいとこ住んでますね。

 

■琴音の出産に立ち会い

 

 大器の妹・琴音(伊藤沙莉)が破水し、出産に立ち会う奈々。実は少し前に自分の人工授精が実らなかったのに、なぜが他人の子ども問題が次々降りかかる。

 緊迫した手術シーンの後、祭りで神輿を担いでいたとのことで、ハッピ姿で慌てて病院に駆けつける両親(春海四方・高畑淳子)と夫(前原滉)がスローモーションなことに爆笑。胎盤早期剥離でやや小さい子ながら無事出産。医師の説明を聞きながら2人目を見つめ合うのが大昔のジャンプの恋愛漫画『キックオフ』みたいで良かったです。

 ここまで肝っ玉母さん一辺倒だった聡子(高畑)も、奈々が不妊治療していたことを知り、自分の無神経さを後悔する。

「小さい頃は、大人になったら誰でもお母さんになれるものだって思ってたけど、実はそうじゃなくて、お腹の中に赤ちゃんが宿ることも、この世界に赤ちゃんが宿ることも、すくすく成長することも、みんな当たり前のように見えてるけど、本当は一つ一つが奇跡」と、ますます子どもが欲しいと強く思えた奈々。

 同時に、うらやむことをやめ「私は妊娠できないだけじゃない、まだ妊娠してないだけだって」と前向きに切り替える。本当に善の人ですね、奈々は。感情を強く出すと変な感じになっちゃうことの多い深キョンですが、こういうマイペースな雰囲気はマッチ。

 そして、決別し出て行く間際、無言で見つめあった瞬間、いきなりおっぱじめる亮司とちひろ。ここまで言えなかった気持ちが、セックスとして爆発。タランティーノの映画みたい。予定を切り上げ不意にやってきた亮太に、下着姿のちひろが見つかってしまうも、普通に挨拶する大人な亮太。

 終わり際まで見所が多く、尻尾まであんの詰まったたい焼きのような回。とりあえず、どうせうまくいくんだろ? と斜に構えながらも、ちひろと亮太の距離がどうなるのかが楽しみでなりません。
(文=柿田太郎)

 

『隣の家族は青く見える』アウティング上等? “オープンゲイ”北村匠海のキーマンっぷり

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。人工授精をめぐる激論や、広瀬(眞島秀和)がゲイだとバレる第4話は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回の5.9%から横ばい。振り返ります。

 

■人工授精を嫌がる人々

 

 主治医(伊藤かずえ)に人工授精を勧められた奈々(深田恭子)は「すごく人工的なものを想像しちゃうけど、実際には自然妊娠に近い治療法」と前向きに取り組もうとするが、拒否反応を示す人々も。

 夫の大器(松山ケンイチ)は「第3者の手が加わるっていうのがなあ」「理屈ではわかってるけどなんか抵抗ある」と割り切れない。

 職場の商品会議で「世の中、人工的なモノで溢れてるから、天然素材にこだわりたい」と、世に溢れる「自然」信仰「人工」否定論を口にしており、この悪意なき思考が人工授精への拒否反応に根底でつながっているのだろう。

 そして初登場の奈々の実母・春枝(原日出子)。当初は親子仲睦まじい雰囲気だったが、不妊治療、人工授精と聞いた瞬間に顔を歪める。

「子どもは自然に任せるのがいいに決まってる」というだけでなく、話を先に進め、「うちの子は体外授精で生まれましたって人に言える?」「自然に生まれたんじゃないことを理由にいじめられたらどうする?」と詰め寄る。

 偏見だと言い返す奈々に「偏見があるのが世の中ってもんなの」という考え方。実際、ありがちな意見を元にしてるのだろう。

 しかし、終盤「親は自分の子どもが苦しんでる姿を見るのが一番つらい」と不妊の身体に産んだことを詫びる母を見て、意見は違えど実際そうやって自分を想い育ててくれたことを実感し奈々は涙する。

 大器の人工授精に対する抵抗感を取り払ったのは、妹の琴音(伊藤沙莉)。

「自然分娩じゃないと子どもに愛情が湧かないんじゃ?」と夫に言われた琴音は、母乳や自然妊娠にこだわりたくても、それぞれの事情でそうできない人々がいることに触れ、「そういう人たちの気持ち全く考えないで自然自然って言うのも、どうかと思う」と「自然神話に取り憑かれれてる人」を斬る。

 帝王切開にはなんの偏見もないのに、自然妊娠にはこだわってた自分にふと気づく大器。その瞬間、注文してた「オーガニック」ドリンクが届くという皮肉が綺麗。

 

■ゲイを公表すべきか

 

 好意を寄せる同僚・長谷部留美(橋本マナミ)に対し曖昧な態度を続ける広瀬を快く思わない広瀬のパートナー・青木朔(北村匠海)は「女性の好意を利用して自分のセクシュアリティをカモフラージュするなんて、最低の人間のやること」と詰め寄る。

「たった一度の人生なのに自分を偽って生きるのは虚しくない?」

「親が生きているうちはカミングアウトしないことが、せめてもの親孝行だと思ってる」

 ゲイであることをオープンにする朔と、オープンにできない広瀬の対比が今回も軸だ。おそらく広瀬は朔のようになりたいが、そもそもの性格もあるだろうが、親だったり職場だったり、さまざまななしがらみを気にしてそうなれない。だから奔放に振る舞う朔に惹かれてるのか。

「世の中のほとんどの人が、ゲイっていう存在を、自分とはまったく関係のないファンタジーか何かかと思っている」という朔の言葉が我々に突き刺さる。

 前妻との子どもを引き取ることにした川村亮司(平山浩行)は、子どもを作らないと約束してた杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)との同棲を解消することに。子どものベッドや勉強机の購入を笑顔でアドバイスするちひろがけなげだ。幼い子どものために余裕がない亮司を理解しようとはするが、どこかないがしろにされたと感じているちひろ。それでも双方、別れたくない気持ちが垣間見える。

■家の入口にヘイトな貼り紙が

 

 ある日、コーポの入口に「広瀬渉は同性愛者」「ゲイカップルの家」と中傷ビラが貼り付けられる事件が。専業主婦・深雪(真飛聖)は広瀬がゲイである事に嫌悪感を爆発させる。

 コーポ中にゲイであることを知られてしまった広瀬は、大器と奈々に相談。自分が気にしすぎてるだけで、朔のようにオープンにすべきかと思い始めていただけに「一瞬にして現実に引き戻されました」と落ち込む。

「知らないから怖いんじゃないでしょうか? 知ってしまえばなんてないことを知らないからって敬遠するってことあると思うんです」と奈々は言うが、「本音を言えばほっといて欲しいんですよ。別に受け入れてくれなくていいからそっとしといてくれ、と」と、とことん参っている広瀬。

 犯人に怒りつつ「あー気分悪いお風呂入ってくる」と切り替える奈々が、ちょっと面白い。

 しかも広瀬を中傷するビラは、職場にまでばら撒かれており、同僚・長谷部は「みんなも気にしてない」と励ますが、職場の雰囲気はおかしいし、まわり以上に本人がやりきれないだろう。

 家に帰ると、さらに「心の優しいゲイカップルの家です」と貼り紙が。しかしこれだけは「攻撃は最大の防御」が持論の朔がやったもの。オープンにすることで広瀬のように焦燥しきってしまうことから身を守るという朔の考え方はシンプルな分、強い。

 誰にも知られたくないなら近所付き合いのない家に住めばいいのに? という朔の問いに広瀬は言う。

「そんなことしたら本当に自分の世界だけに閉じこもってしまう気がして」

「世間にばれたくないからこそ、世間とつながってなきゃと思ってた」

「矛盾してるけど、それが俺なりのバランスの取り方だった」

 しっかり者に見える広瀬の弱さが暴かれるたびに、いたたまれなくなる。

 

■キレる深雪とキーマン・朔

 

 自分から娘の誕生会をやるからと人を集めておいて、そんな場合じゃないからと、「嘘をついていた」「詐欺にあったのと同じ」と広瀬らを問い詰める会議に切り替える女傑・深雪(真飛聖)。自分以外の住人すべてからその意見を否定されるも「あなたたちには子どもがいないからわからない」と、またしても子どもを盾に。子どもを持ちたくても持てない奈々のことは見えていない。もはや独走の浮き具合で逆に痛々しいほどだ。

 小学生の子どもの教育上よくないから対処(=出てけ)という深雪と、それに抗わず自分のような性的少数派はひっそり暮らすべきだと謝る広瀬。ここで奈々が立ち上がる。

「みんな同じ人間なのに、堂々と暮らせる人間とそうでない人がいるなんておかしい」

「人は誰だって自分が望む幸せを手に入れようとする権利があるはず」

 すっごく正論だし、すっごく同意なのだが、なぜだろう、この深キョンに必死に球を集めてシュートさせてる感じが少々気になる。テトリスの赤い棒を譲ってる感じ。主役だから仕方ないのかもしれないが、無理に演説みたい言っちゃうシステムにせず、自然解決するのも見てみたい。

 ここで、奈々に感動した朔が、「奈々に抱きついたら大器が発狂しちゃうから」との独自の理由で大器をハグするという珍行動。これに、全員笑ってしまい、ぎゅっと距離が縮まる(深雪以外)。退去間際なのに「だんだん、ここの人たち好きになってきちゃった」と、ちひろに思わせるなんて、やはり朔はキーマンだ。都合いい展開だが、朔の力で深雪を溶かしてあげてほしい。

 翌朝、奈々が図書館で借りてきていた人工授精に関する本やネットなどで勉強した大器はまとめた資料を、奈々の母・春枝に手渡す。自分も反対だったが、調べてみたと。

 奈々がやってることは不幸になるためじゃなく、幸せになるためにやっていることだと知ってほしいと。大器が夜通し勉強していたことを知り、沁み入る奈々。

 次回、人工授精に挑むのか? そして最初のビラの犯人は?

 話の合わなそうな人物同士がだんだん交わる感じが心地よく、くせになる展開。そして今回も大器の母を演じる高畑淳子の演技が見事。失礼ながら、こんなに目で笑わせられる方なんですね。高畑淳子主演のド・コメディが見たいです。次週も期待してます。
(文=柿田太郎)

「だったら、馬鹿のほうがいい──」フジテレビ『隣の家族は青く見える』深田恭子の“汚顔”が美しい

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組それぞれの「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。

 第3話は、ゲイカップルであることを隠していた広瀬渉(眞島秀和)と青木朔(さく・北村匠海)が中庭でキスしてるところを五十嵐奈々(深田恭子)に見られてしまった続きからスタート。

(前回のレビューはこちらから)

 

■ゲイだと打ち明ける朔

 

「親戚間のスキンシップ」だと、動揺しまくりでごまかす広瀬と「何それ、かえって気持ちわるいよ」と笑顔で動じない朔のスタンスの違いがクッキリ。

 奈々は「大丈夫です」と理解を示して立ち去るが、「何が大丈夫なの? ねえ?」と朔にすがる広瀬。ダンディだったのに、朔の前ではペース乱されまくりで取り乱す広瀬が可愛く見えてくるのがニクい。

 次の日、ゲイであることを公言していない立場の広瀬(クローゼットというらしい)のために、秘密にしてほしいと奈々に頼む朔。広瀬を振り回しながらも、しっかり想っているのが伝わる。

 朔に嫉妬してないフリして、すごく嫉妬してくる夫・大器(松山ケンイチ)をニヤニヤ見つめる奈々。さぞ大器を可愛く思ったことだろう。

 そんな奈々は、不妊治療でクロミッドと呼ばれる排卵誘発剤を飲むことに。妊娠の確率が上がるというが、これがある意味、今回のドラマを引き起こす。

 不妊治療の出費がかさむこと、去年から都が助成金を出していること、しかし年齢制限(妻が35歳未満)で、奈々たちがぎりぎり受給できないことなどリアルな情報(夫婦の所得合算730万未満なども)も、さりげなく盛り込む。深キョンがあまりに昔ながらの見た目なのでピンとこなかったけど(褒めてます)。

 

■イラつく奈々

 

 一足先に妊娠している大器の妹・琴音(伊藤沙莉)が、胎動があったと実家で騒動になっているのを、いつものように少しだけ傷つきながら、それでも笑顔を保つ奈々。琴音の実母・聡子(高畑淳子)の親バカぶりや、奈々の不妊への開けっぴろげな接し方など、一世代前の肝っ玉母さんぶりが見事。

 ここまで他に比べるとおしどり的な五十嵐夫妻だったが、薬の副作用なのか、奈々は少しイライラしてしまうとの自覚が。主治医(伊藤かずえ)に「妊活はできるだけリラックスして行うことが大切」だと言われ、夫もそう感じている可能性があるから話し合うようにと勧められる。費用の件もそうだが、不妊治療にのしかかる現実を細かく描き、経験者からの共感の声も多いようだ。

■「子ども」で揉める川村家と小宮山家

 

 川村亮司(平山浩行)は、急死した前妻との間にいる10歳の子ども(亮太・和田庵)を引き取ろうと考えていると現在のパートナー・杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)に告げる。前回亮太と一緒にいるのを目撃して不信感を募らせていたちひろは素直に受け入れられない。

 伝えるのが遅くなったこと詫びつつ「亮太を引き取ってこの家で暮らしたい」という亮司。

「もしちひろが嫌なら……」

「嫌なら何? 引き取るのやめる? それとも私と別れる?」

 気持ちをぶつけるちひろに「父親としての責任」として「引き取らないという選択肢はない」と言い切るが「婚約者としての責任は?」と問うちひろ。2人は子どもを持たないことを条件に婚約したのだが「事情が変わったんだ。本当にすまない」と亮司に言い切られてしまう。

 後日、式場の解約や自分が引っ越すことなどを気丈にも笑顔(のフリ)で伝えるちひろ。そんなちひろに何も声をかけられない亮司。

 小宮山家の長女・優香(安藤美優)は厳しい母親・深雪(真飛聖)に内緒で友人とダンスに励んでいるが、帰りが遅くなり激昂される。本当は今度あるダンスのオーデションに参加したいらしいのだが、それも言えず従うしかできない。

 この日は求職中で時間を潰す父・真一郎(野間口徹)と図書館付近でニアミスしかけたし、広瀬や朔と話したそうな雰囲気も時折見せており、それを嫌がる深雪と今後何かありそうだ。

 今回もイライラが止まらない深雪だが次女の萌香(古川凛)の無垢な笑顔に救われた顔も見せる。

 

■ついに妊娠か?

 

 そんな中、仕事帰りの奈々が自宅前で倒れる。たまたま通りかかった朔が五十嵐家に運び介抱するが、そこへ帰宅した大器は、いきなり激怒。奈々は大したことなかったが、いくら事情を説明しても信じない大器に朔は全告白する。

「俺ゲイなんです」「女の人に興味ないんです」「広瀬渉の恋人なんです」

 落ち着いた後、深々と謝る大器。照れ隠しなのか「彼イケメンだから……」と言い訳するも「私、そんな面食いじゃないからね!」と奈々に言われ、言葉を失う大器。それを茶化しつつ大器とも打ち解ける朔。

 基礎体温の高温期が続き、生理も来ていないため、妊娠の可能性で活気づく大器と奈々。妊娠検査薬を買いに行った際に、うまい具合に義母・聡子に出くわしごまかすものの、しっかり見破る聡子。

 奈々の妊娠を喜び、我を忘れるほど大喜びする高畑のドタバタ芝居が本当に素晴らしく、女優としての底力を感じる。しっかり者でクレバーな次女役の伊藤沙莉との相性も実によく、この2人の「親子漫才」だけ15分ほど見ていたくなるほど。

 亮司ともめて家を飛び出した際に植木鉢を割ってしまったお詫びに、奈々を訪ねてきたちひろ。奈々はちひろを初めて家に招く。うっかり卓上に置きっ放しにしていた検査薬を見られてしまい、それきっかけで不妊治療をしていることを打ち明ける。検査薬使用前に生理がきて「リセット」してしまったことも、ここで語られた。

 少し他の家庭と距離を取っていたちひろだが、打ち明ける奈々に心許すように自分たちが別れることになったことを語りだす。

 子どもを引き取ることは「不可抗力」だとしながらも「私を説得するわけでもなく、あっさり結婚を諦めちゃったのがショックでさ」と本音を吐き「まあその程度の女だったってことだよ」と強がり笑う。

「そこまで愛されてなかった」から説得されなかったんだと納得しようとするちひろだが、奈々に言われた「愛してるからじゃないかな」「好きな人に無理させることほど辛いことってないと思うから」という言葉が沁みる。

■「だったら馬鹿の方がいい」

 

 翌日、落ち込む奈々の気持ちを汲んでか、気分転換に外へ連れ出す大器。富士山麓にある、胎内に見立てた洞窟や御胎内神社で安産祈願をし、うまくいかなくても目の前にある幸せを前向きに楽しむその2人の姿は、不妊だけでなく多くの価値観にとらわれる人々に何かを伝えるはずだ。

 その日の夕食時、大器作のお好み焼きを食べながらリラックスした奈々が打ち明けたのは、大器の妹・琴音の妊娠発覚時、実は喜んであげられなかったという本音。「不妊治療をしだしてから嫌な人間になってそうで辛い」と言う奈々を励ます大器。

 自分はいくら苦労しても妊娠できないのに、いきなりできちゃった他人(身内ではあるが)の妊娠。

「それで喜んでたら、お人好し通りこして馬鹿だよ?」

「だったら馬鹿のほうがいい」

 汚い泣き顔で言う奈々が綺麗でした。

 直後のセリフ「5枚焼くからね、絶対食べてよ?」は、おそらく松ケンのアドリブ。現場でもムードを作ってそうな彼に対する安心感があるから、深キョンはいい芝居ができたのではないかなと勝手に思ってます。

 あと、ソースとマヨネーズをすごい勢いでお好み焼きに噴射する手際のよさが尋常ではなく「何かやってたのか?」と途中から気になってしまい、その後、集中できなかったことを記しておきます。

 今回は、朔と大器とか、奈々とちひろとか、登場人物が今までより深く触れ合うことで、解決までいかなくても見えていなかった価値を感じたり見つめ直すシーンが印象的でした。来週は奈々の母が来て一悶着あるみたいで、そちらも楽しみです。
(文=柿田太郎)