『下町ロケット』第8話 シニア向け回春誌「週刊ポスト」が大スクープ!? イモトアヤコはプー生活

 オジさんたちがこれからの日本産業の進むべき未来を熱く語り合う、熱血理系ドラマ『下町ロケット』(TBS系)。農業用の新型ロボットが次々と登場し、激しく火花を散らします。なんだか『鉄腕アトム』の人気エピソード「地上最大のロボット」を思わせるSFチックな展開になってきました。さっそく、『下町ロケット ヤタガラス』第8話を振り返ってみましょう。

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「社長、見てください!」。吹けば飛ぶような中小企業「佃製作所」を経営する佃社長(阿部寛)のもとに、経理部の迫田係長(今野浩喜)があわてて出社してきました。迫田が手にしているのは「週刊ポスト」(小学館)です。いつもは高齢者向きの回春特集や懐かしいアイドルのセクシーグラビアが多い「週刊ポスト」ですが、迫田が「見てください」と開いたページはそうではありません。なんと「帝国重工」の次期社長と目されている的場(神田正輝)が下請け企業をイジメていた過去が暴露されていたのです。「週刊ポスト」にとっては、久々のスクープ記事だったのではないでしょうか。ちなみに池井戸潤の原作小説は小学館から発売中です。

 スクープネタをリークしたのは、小型エンジンメーカー「ダイダロス」の重田社長(古舘伊知郎)と「ギアゴースト」の伊丹社長(尾上菊之助)でした。重田も伊丹も、かつて的場の出世の踏み台として使い捨てにされた苦い過去があります。2人の的場に対する復讐心が、“下町トラクター”こと小型農業ロボット「ダーウィン」を生み出したのです。「ダーウィン」は哀しい生い立ちを持ったロボットのようで、不憫に思えてきます。そういえば、鉄腕アトムも天馬博士の亡くなった息子の代用品として誕生した哀しい生い立ちの持ち主でしたね。

 重田たちの仕掛けた罠に、的場はまんまと引っ掛かります。的場の醜聞は「帝国重工」内でも問題視され、退任がウワサされていた藤間社長(杉良太郎)がもう一期続投することに。反藤間派の沖田会長(品川徹)から呼び出された的場は「このままでは君は終わりだ」と警告されるのでした。焦った的場は、太鼓持ちの奥沢部長(福澤朗)に大型ロボット「アルファ1」の完成を急がせます。農業関係者が10万人集まる大イベント「アグリジャパン」で、重田たちが出品する「ダーウィン」と直接対決し、劣勢を挽回しようと考えたのです。すべては古舘伊知郎扮する重田の考えたアングルどおりの展開です。

 

■M-1の裏で繰り広げられたロボットバトル

 裏では『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で霜降り明星と和牛が激しいお笑いバトルを繰り広げる中、いよいよ田んぼのど真ん中で「アグリジャパン」が開催されます。こちらは超リアルなロボット対決で盛り上がります。ロケ地となった新潟県燕市には大勢のエキストラが集まり、米どころ新潟での『下町ロケット』人気の高さが伝わってきます。

 デモンストレーションの先攻は、伊丹社長がトランスミッションを提供している「ダーウィン」です。小型ロボットらしく小回りがよく、トラブルなくパフォーマンスを終えました。立ち上がった観客たちは“下町トラクター”に惜しみない拍手を送ります。続いては「帝国重工」が完全自社製造した大型ロボット「アルファ1」の入場です。会場に現われたその大きさに圧倒されますが、日本の小さな田んぼには不向きなようです。馬力はあるものの、仕事ぶりは雑。トランスミッションの性能に難があります。極めつけは最後の安全テストでした。目の前に置かれていたカカシを、「アルファ1」は無惨にも轢き潰してしまったのです。会場から思わず悲鳴が上がります。

 ロボットが人命を脅かすという、「ロボット工学三原則」に抵触する事態を起こしてしまった「アルファ1」。しかも衆人の見ている場で。「アグリジャパン」に参加するために米国から緊急帰国した藤間社長の顔に泥を塗ることとなりました。「センサーに泥が付いたようです」と言い訳する奥沢部長は、武士の世なら切腹ものです。大企業「帝国重工」は社内の派閥争いによって、その信頼を一気に失ってしまいました。ロボット新世紀の幕開けに、暗い影を落とす結果となったのです。

■しゃぶりつく軽部とリアルに悩むイモトアヤコ

 今週の軽部の時間です。「佃製作所」きっての変人・軽部(徳重聡)の言動をチェックしてみたいと思います。第8話は軽部の出番が思いのほか多く、軽部ファンにはうれしい回となりました。北海道農業大学の野木教授(森崎博之)の監修のもと、「佃製作所」でも独自に農業ロボットを開発しています。試作機の性能が思うように上がらず、焦る立花(竹内涼真)は軽部に協力を求めるのでした。そんないきり立つ立花をいなすように、軽部は「お昼になったので、メシに行ってきま~す♪」と相変わらずのあまのじゃくぶりです。実用化までの長い長い開発をモノにするには、軽部のようなマイペースさは大切です。しょげる立花を、「北海道はうまいもんがいっぱいあるからな」と技術部の山崎部長(安田顕)が肩を叩いて励ますのでした。

 トランスミッションの開発と同様に、軽部の扱い方もなかなか難しいものがあります。軽部が昼食をしっかり摂る派であることを理解したアキ(朝倉あき)は、「とのむらのお米」で炊いたご飯でおにぎりを作ってきました。タコさんウインナーと卵焼きがおかずです。アキが「軽部さんもどうぞ」と言い終わるやいなや、軽部は瞬時に手を伸ばしておにぎりを頬張ります。「いただきます」も「ありがとう」も言わない軽部ですが、自分が作った料理を美味しそうに食べる姿にアキは満足げです。意外と軽部は母性本能をくすぐるタイプかもしれません。男くさい職場で、アキが眩しく輝く第8話でした。

 イモアトアヤコ演じる天才エンジニア・島津のその後の動向も気になるところです。伊丹社長がダースベイダー化してしまったため、「ギアゴースト」を退職するはめになった島津は、第7話ではボウリング場で孤独さを噛み締めていました。しばらくプー子状態だった島津ですが、貯金も限りがあるのか就活を始めます。企業間の権力闘争に巻き込まれるのが嫌で大学の研究職を探す島津ですが、思うような仕事は見つかりません。カレンダーを見ると、週1ペースでいろんな大学の面談を受けていることがうかがえましたが、反応は思わしくないようです。

 暇を持て余した島津は「アグリジャパン」の会場に出掛けたものの、自分が設計したトランスミッションを内蔵した「ダーウィン」の活躍を目の当たりにしても、笑顔にはなれません。エンジニアとして純粋な情熱を注いだトランスミッションを、「帝国重工」への復讐の道具として利用されたのがつらいのです。

 単なる偶然でしょうが、イモトアヤコのホームグラウンドとも言うべき『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)はヤラセ問題で番組の存続が危ぶまれています。プー子となり、自分の将来に不安を感じている島津の姿が、現実のイモトアヤコと重なって映ります。これまで通りにバラエティー番組を主戦場として続けていくのか、それとも女優業へシフトチェンジするべきか。イモト自身も自分のこれからの進路に悩んでいるのではないでしょうか。

 第8話の視聴率は11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、先週の12.0%からさらにワースト記録を更新。『M-1 グランプリ』の17.8%に、あっさり破れてしまいました。佃社長たちが密かに開発する理想の農業ロボットは、「帝国重工」と重田たち「ダーウィン・プロジェクト」との骨肉の争いにどのような形で割り込んでいくことになるのか。最終回まで残すところ、あと3話。佃社長が新型ロボットの開発によって日本の産業を新次元のものへ変えようとしているように、TBSのドラマ班も視聴率に惑わされない新次元のドラマづくりに挑戦してほしいと思います。
(文=長野辰次)

下請けをバカにするヤツは下請けに泣くはめに!! 変人・軽部が笑ったよ『下町ロケット』第7話

 戦国武将・織田信長は「人生は50年。天界に比べ、人間の一生は夢か幻みたいなもの」という言葉を残して本能寺で散ったそうです。戦国時代と比べ、現代では日本人の平均寿命も大きく伸びました。40代~50代は言ってみれば“オッサン盛り”です。体のいろんなところから、オッサン汁が溢れ出し、実に味わい深い世代なのです。『下町ロケット』(TBS系)の主人公・佃航平率いる中小企業「佃製作所」は、戦国時代同様に誰が敵か味方か分からない経済戦国時代をまさに絶賛サバイバル中です。アクの強いオッサンキャラクターが群雄割拠する『下町ロケット ヤタガラス』第7話を振り返ってみましょう。

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「佃製作所は切れ!」。神田正輝演じる「帝国重工」の“ダーティ重役”的場の顔面クローズアップから第7話は始まりました。次期社長の座を狙う的場は、財前部長(吉川晃司)が企画立案した無人農業ロボットを、自分の手柄にしようとしています。長年、「石原プロモーション」の重役を務めていたせいもあってか、『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)のドック刑事もすっかり腹黒い役が似合うようになりました。

 財閥系の大企業「帝国重工」は戦車などの軍需産業にも関わっているので、無人で動く農業トラクターなんて簡単に自社で製造できるだろうと的場は高を括っているのでした。「佃製作所」を製造ラインから外すように命じたその舌で、農業ロボット開発の第一人者である野木教授(森崎博之)が引き続き協力するように、佃社長(阿部寛)に頼めと言い出します。的場の無茶ぶりに、財前部長は苦悶します。神経の弱い人なら、心の病に罹ってしまいそうです。大企業の暗黒面がまざまざと描かれます。

■悪役たちのデフレーション現象

 舞台は変わって、新潟県燕市。実家の農業を継いだ殿村(立川談春)の前にも悪役が立ちはだかります。妻・咲子(工藤夕貴)が実家の様子を覗きに東京から訪ねてきたので、いいところを見せようと張り切っていた殿村ですが、お米の販売所で唖然としてしまいます。消費者に人気だった「とのむらの米」はそれまで販売所の目立つところに置いてあったのに、隅っこに追いやられていました。農林協に勤める吉井(古川雄大)の地味な嫌がらせでした。

 翌朝、殿村家の玄関前には生ゴミがぶちまけられていました。これも、どうやら吉井の仕業のようです。日本の農業の未来を考える財前部長らに比べ、何とスケールの小さな嫌がらせでしょうか。ミュージカル界の貴公子・古川雄大は、小悪党ぶりを楽しげに演じています。

 さらに場所は変わって、時代劇『水戸黄門』(TBS系)に出てきそうな立派な料亭。的場に恨みを持つ「ダイダロス」の重田社長(古舘伊知郎)はダースベイダー化した「ギアゴースト」の伊丹社長(尾上菊之助)らを集めて、ニヤニヤと的場に煮え湯をのませる策略を練っています。ダークサイドに墜ちた彼らは、成功者を地獄に引きずり込むのが愉快で堪りません。

「ヤタガラス編」は、どこもかしこも悪人ばかりです。古舘率いる悪のマシン軍団に加え、天才エンジニア・島津(イモトアヤコ)の後釜となった「ギアゴースト」の開発主任・氷室(高橋努)や的場の太鼓持ち・奥沢(福澤朗)も実に憎々しい表情で、ヒール役は過剰供給状態です。悪役俳優の存在価値が暴落しないか、ちょっと心配になります。

 これだけゲス野郎が多いと、「佃製作所」きっての変人・軽部(徳重聡)がまともに見えてくるではありませんか。「帝国重工」から切り捨てられた佃社長ですが、織田信長のようにここで散るわけにはいきません。目先の利益を求めるのではなく、日本の未来のために農業ロボットを独自開発することを全社員の前で宣言するのでした。「目指すは、まったく別次元のトランスミッションだ!」という佃社長の雄叫びに、トランスミッション開発チームの軽部は「ムフッ」と小さく笑みをこぼします。変人・軽部の表情の変化を追っているだけで、我々視聴者もほっこりするのでした。

■首都圏と地方との視聴率格差が明確に

 佃社長を差し置いて、第7話の主人公となったのは「TEAM NACS」のリーダー・森崎博之演じる野木教授でした。大学時代の親友・佃社長に説得され、「帝国重工」との気乗りしない農業ロボットの開発を続けていた野木教授がついにブチ切れます。演技もビミョーな元日本テレビアナウンサーの福澤朗演じる奥沢が、まさに怒りの琴線にジャストミートしてしまったのです。野木教授と農業ロボットの持つ大きな可能性について語り合っていた佃社長を見つけるなり、「下請けさんはこちらの指示に従えと言っているんですよ」と慇懃無礼な言い回しで、この場を立ち去るように奥沢は命じます。「佃製作所」だけでなく、全国の下請け業者を敵に回す大失言です。大企業の看板という虎の威を借る奥沢に向かって、野木教授は一喝します。

「開発コードはくれてやる。ただし、世界中に公開してやる。下請けが必要ないというなら、下請けぬきで作ってみろ!」

 社内での保身しか考えていない奥沢を一刀両断した野木教授の鮮やかな啖呵に、佃社長に同行していた技術開発部の山崎部長(安田顕)もテレビを観ていた視聴者も溜飲が下がる思いでした。この様子を黙って眺めていた軽部は、白い歯を見せて笑っています。ひねくれ者の軽部と視聴者とのハートがシンクロした瞬間でした。台詞は決して多くない軽部ですが、彼の一喜一憂ぶりから目が離せません。

 さて、第7話の視聴率ですが、12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と先週の13.1%からさらにダウンして、前シリーズも含めてワーストとなってしまいました。東京に本社のあるTBSの営業部や広告代理店は『下町ロケット』新シリーズの数字が伸び悩んでいることを懸念していると思いますが、ロケ地となっている新潟県や北海道では軒並み高視聴率を記録しているそうです。殿村が農業に専念するために退職した第5話は新潟地区で25.7%、森崎演じる野木教授が初登場した第6話は札幌地区で19.4%をマークしています。新しい時代の農業をテーマにした新シリーズを地方の人たちは身近に感じ、都心の人たちはさほど興味を感じないようです。関東地区の数字だけでは読み取れない面白さが新シリーズにはあるようです。

 第7話の終わりに、的場が陣頭指揮を執った大型農業ロボット「アルファ1」と重田社長たちが開発した小型農業ロボット「ダーウィン」がそれぞれ完成。さらに次週以降は佃社長が独自に試作した農業ロボットも加わり、三つ巴のロボットウォーズが勃発します。経済戦国時代を制するのは、いったい誰になるのでしょうか。
(文=長野辰次)

『下町ロケット』不発だった……TBSに漂うあきらめムード「敗因は脚本家の変更」

「局内では、すでに『2は不発だった』という結論に達してますよ。演出の福澤克雄さんも『また来年だな』と、すでに匙を投げてますからね。やっぱり第2話でテレ朝の『おかしな刑事スペシャル』に負けたのが痛かったようです」(TBS関係者)

 阿部寛主演で、現在放送中のドラマ『下町ロケット』第2期(TBS系)。第6話までの平均視聴率が13.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、通常のドラマであれば大成功と言われる数字だが、前作と比較するとやはり物足りない結果となっている。

「前作が平均視聴率18.5%だったことから、当然、目標は20%でした。ところが、このままでは15%も怪しい雰囲気になっています。局内でも『キャスティングに奇をてらいすぎたんじゃないか』とか『ストーリーの展開が早すぎるんじゃないか』とか“戦犯探し”がすでに始まってますよ。今のところ、脚本家が変更になったことが“不発”の原因という風になりそうです」(ドラマスタッフ)

 すでに一部週刊誌でも報じられたように、来年には再び池井戸潤氏の原作でドラマ化が予定されている作品があるという。

「題材はラグビーで、同局でドラマ化もされた『ルーズヴェルト・ゲーム』のような作品になる予定だそうです。演出の福澤さんはラグビー部出身で、U-23日本代表としても活躍しましたし、来年はラグビーのW杯が日本で開催されるので話題性もある。放送は7月クールで、9月からはW杯本戦が始まるので、TBSもそこに向けていろいろな仕掛けを考えているようですから、今回の失敗はあまり気にしてないようですよ」(芸能事務所関係者)

 ヒットメーカーは転んでもただでは起きない!?

『下町ロケット』第6話 悪役たちが“顔面パレード”する後半戦スタート!! 変人・軽部に恋の予感か

 鍋料理の後のおじやのように味わい深い、オジさん俳優たちが大挙出演する熱血理系ドラマ『下町ロケット』(TBS系)。今週もいい出汁加減です。阿部寛演じる佃社長の道楽みたいなものだったロケット開発ですが、新章「ヤタガラス編」に突入し、具体的なビジネスへと展開していくことになります。高齢化、労働者不足が叫ばれる日本社会に、新しい希望をもたらすことになりそうです。さっそく、『下町ロケット ヤタガラス』第6話を振り返ってみましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

「けったくそ、悪い話だなぁッ」。理系ならではの変人キャラ・軽部(徳重聡)が2週間ぶりの登場です。ベンチャー企業「ギアゴースト」の伊丹社長(尾上菊之助)が佃社長(阿部寛)を裏切って、ライバル社「ダイダロス」と資本提携したことが「佃製作所」の社員全員に知らされます。ひねくれ者と思われている軽部ですが、社員みんなの気持ちを率直に代弁するのでした。

 今週の軽部の台詞はこのひと言だけでしたが、その後もなかなかの挙動不審ぶりで楽しませてくれました。「ギアゴースト」を退職した副社長・島津(イモトアヤコ)が「佃製作所」へ最後のあいさつに訪れたのですが、立花(竹内涼真)やアキ(朝倉あき)は「一緒にやりましょうよ」と「佃製作所」に再就職することを勧めます。普段はぶっきらぼうな軽部ですが、天才エンジニアである島津の実直な仕事ぶりには好意を抱いています。無言ながらも、子犬のようなつぶらな瞳で、「島ちゃん、一緒に働こうよ♪」とアイコンタクトを懸命に送る軽部でした。

 苦労を共にしてきた伊丹社長から用済み扱いされた島津ですが、捨てる神あれば拾う神ありです。変人と天才との間で恋は芽生えるのでしょうか。池井戸潤の原作小説にはなかったサイドストーリーに俄然注目です。

 

■夢は現実化するとノルマに変わる!?

 ロケット開発の現場から外された「帝国重工」の財前部長(吉川晃司)の新しい部署は「企画推進部」でした。ロケットに関わる周辺ビジネスを考える部署のようです。そこで財前部長が閃いたアイデアは、人工衛星による測位情報を利用した無人農業ロボットの実用化でした。この農業ロボットが全国に普及すれば、高齢化が進む日本の農業を救うことができるのです。単なる道楽と思われていたロケットの打ち上げが、日本の第一次産業に大革命をもたらすことになるのです。財前部長から農業ロボット用のエンジンとトランスミッションの提供を頼まれ、佃社長の鼻息はいつになく強めです。

 佃社長はエンジンとトランスミッションの開発に加え、もうひとつ重要なミッションを託されます。農業ロボット研究の第一人者である北海道農業大学の野木教授(森崎博之)を、このプロジェクトに巻き込んでほしいというものでした。野木教授は佃社長の大学時代の親友です。北海道で久々の再会を果たした佃社長と野木教授は、学生たちと一緒にキャンパス内での宴会を楽しむのでした。北海道で生まれた「TEAM NACS」のリーダー・森崎だけに、ジンギスカン鍋を囲む姿がよく似合います。

 ところがビジネスの話になると、野木教授の顔色がサッと変わるではありませんか。以前、「キーシン」というベンチャー企業から共同開発を持ち掛けられ、情報を盗まれるという痛い目にあっていたのです。金儲けのために自分の研究が利用されることを嫌った野木教授は、名台詞を吐くのでした。「企業と組むことで、夢は目標となり、ノルマに変わる」と。この名言を話す相手が現われる日を、野木教授はずっと待っていたようです。

 しかし、佃社長も自社の存続が掛かっているので、「そりゃ、そうですね」と引き下がるわけにもいきません。学会で上京してきた野木教授を「いいものを見せてやる」と誘い、「帝国重工」へと強制的に連行するのでした。佃社長の「いいもの」とは、「帝国重工」と「佃製作所」が共同で開発しているロケット用新型バルブの実験現場でした。会社の垣根を越えて、開発チームのメンバーたちが共に汗を流しています。BGMは英国合唱団「LIBERA」が歌う中島みゆきの名曲「ヘッドライト・テールライト」。佃社長の「彼らにはノルマを乗り越える歓びがあるんだ」という言葉に、ついついうなずいてしまう野木教授でした。一流詐欺師のような佃社長の見事な手口に、若干の恐ろしさを覚えます。

 

■悪の貴公子、さっそうと登場!

 池畑慎之介演じる悪徳弁護士・中川は刑務所送りとなりましたが、新章スタートに合わせて新しい悪役たちがぞろぞろと姿を見せました。「ダイダロス」の重田社長(古舘伊知郎)のもとに、野木教授から情報を盗んだ「キーシン」の戸川社長(甲本雅裕)、広報担当の北堀(モロ師岡)が顔をそろえます。これにダースベイダー化した「ギアゴースト」の伊丹社長が加わり、悪のマシン軍団の完成です。カメラは丁寧に、一人ひとりの悪党づらをクローズアップで映して見せます。オジさん俳優たちは、みんな悪いことがしたくて堪らないといった風情です。『下町ロケット』はサラリーマン版『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)なのかもしれません。

 美味しい悪役をオジさん俳優たちだけに独占させるのは、もったいないというものです。「佃製作所」を退職して、新潟県燕市にある実家の農業を継いだ殿村(立川談春)ですが、故障しがちな古いトラクターに頭を抱えている殿村の前に、さっそうと悪役界の貴公子が現われるのでした。ミュージカル『テニスの王子様』や『エリザベート』『モーツァルト!』など、ミュージカル界で活躍する古川雄大の出番です。

 農林協に勤める大農家の三男坊である吉井(古川雄大)は、殿村家の自家米が農林協を遠さずに消費者に直売されていることが気に入りません。トラクターの故障箇所を見ていた佃社長を「こんな、修理のおっさん」呼ばわりした挙げ句、「米の品質なんて、客に分かるわけないだろ。米なんて、喰えりゃいいの」と農林協の職員とは思えない大暴言を吐くのでした。そのくせ、殿村から「あんたみたいな人がいると、米がまずくなる」と怒鳴られると、すたこらと退散していきます。とてもライトな小悪党ぶりは、古舘伊知郎率いる悪のマシン軍団とは違った軽やかなフレーバーで視聴者を楽しませてくれます。
 
 タレントの好感度ランキングがもてはやされた時期は、テレビドラマでも映画でも悪役をやると好感度が下がり、CMの仕事が来なくなってしまうという底の浅い理由から、俳優たちが悪役をやりたがらないというつまらない風潮がありましたが、北野武監督の『アウトレイジ』(10年)がヒットしたあたりから、風向きが変わってきたようです。俳優はダークサイド側の人間も演じられてこそ一人前です。うさん臭い芸能プロダクションの社長役のモロ師岡は、北野監督の名作『キッズ・リターン』(96年)では才能ある新人ボクサー(安藤政信)に酒と下剤を教えて潰してしまうロートルボクサーを好演しました。こういうアクのある俳優がいることで、いい出汁加減のドラマができるのです。甘い夢を語る、いい人たちだらけでは社会もドラマも回りません。

 新章スタートとなった第6話の視聴率は13.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。福澤克雄チーフディレクターの演出により、前回の12.7%からちょい数字が回復しました。佃社長が言った「ノルマを乗り越える歓びがある」という台詞は、野木教授だけでなく、TBSのドラマ班にも向けた言葉でもあるようです。平均視聴率18.5%を記録した前シリーズに、どこまで後半戦は迫ることができるのか。軽部の恋の行方と共に注目したいと思います。
(文=長野辰次)

『下町ロケット』第6話 悪役たちが“顔面パレード”する後半戦スタート!! 変人・軽部に恋の予感か

 鍋料理の後のおじやのように味わい深い、オジさん俳優たちが大挙出演する熱血理系ドラマ『下町ロケット』(TBS系)。今週もいい出汁加減です。阿部寛演じる佃社長の道楽みたいなものだったロケット開発ですが、新章「ヤタガラス編」に突入し、具体的なビジネスへと展開していくことになります。高齢化、労働者不足が叫ばれる日本社会に、新しい希望をもたらすことになりそうです。さっそく、『下町ロケット ヤタガラス』第6話を振り返ってみましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

「けったくそ、悪い話だなぁッ」。理系ならではの変人キャラ・軽部(徳重聡)が2週間ぶりの登場です。ベンチャー企業「ギアゴースト」の伊丹社長(尾上菊之助)が佃社長(阿部寛)を裏切って、ライバル社「ダイダロス」と資本提携したことが「佃製作所」の社員全員に知らされます。ひねくれ者と思われている軽部ですが、社員みんなの気持ちを率直に代弁するのでした。

 今週の軽部の台詞はこのひと言だけでしたが、その後もなかなかの挙動不審ぶりで楽しませてくれました。「ギアゴースト」を退職した副社長・島津(イモトアヤコ)が「佃製作所」へ最後のあいさつに訪れたのですが、立花(竹内涼真)やアキ(朝倉あき)は「一緒にやりましょうよ」と「佃製作所」に再就職することを勧めます。普段はぶっきらぼうな軽部ですが、天才エンジニアである島津の実直な仕事ぶりには好意を抱いています。無言ながらも、子犬のようなつぶらな瞳で、「島ちゃん、一緒に働こうよ♪」とアイコンタクトを懸命に送る軽部でした。

 苦労を共にしてきた伊丹社長から用済み扱いされた島津ですが、捨てる神あれば拾う神ありです。変人と天才との間で恋は芽生えるのでしょうか。池井戸潤の原作小説にはなかったサイドストーリーに俄然注目です。

 

■夢は現実化するとノルマに変わる!?

 ロケット開発の現場から外された「帝国重工」の財前部長(吉川晃司)の新しい部署は「企画推進部」でした。ロケットに関わる周辺ビジネスを考える部署のようです。そこで財前部長が閃いたアイデアは、人工衛星による測位情報を利用した無人農業ロボットの実用化でした。この農業ロボットが全国に普及すれば、高齢化が進む日本の農業を救うことができるのです。単なる道楽と思われていたロケットの打ち上げが、日本の第一次産業に大革命をもたらすことになるのです。財前部長から農業ロボット用のエンジンとトランスミッションの提供を頼まれ、佃社長の鼻息はいつになく強めです。

 佃社長はエンジンとトランスミッションの開発に加え、もうひとつ重要なミッションを託されます。農業ロボット研究の第一人者である北海道農業大学の野木教授(森崎博之)を、このプロジェクトに巻き込んでほしいというものでした。野木教授は佃社長の大学時代の親友です。北海道で久々の再会を果たした佃社長と野木教授は、学生たちと一緒にキャンパス内での宴会を楽しむのでした。北海道で生まれた「TEAM NACS」のリーダー・森崎だけに、ジンギスカン鍋を囲む姿がよく似合います。

 ところがビジネスの話になると、野木教授の顔色がサッと変わるではありませんか。以前、「キーシン」というベンチャー企業から共同開発を持ち掛けられ、情報を盗まれるという痛い目にあっていたのです。金儲けのために自分の研究が利用されることを嫌った野木教授は、名台詞を吐くのでした。「企業と組むことで、夢は目標となり、ノルマに変わる」と。この名言を話す相手が現われる日を、野木教授はずっと待っていたようです。

 しかし、佃社長も自社の存続が掛かっているので、「そりゃ、そうですね」と引き下がるわけにもいきません。学会で上京してきた野木教授を「いいものを見せてやる」と誘い、「帝国重工」へと強制的に連行するのでした。佃社長の「いいもの」とは、「帝国重工」と「佃製作所」が共同で開発しているロケット用新型バルブの実験現場でした。会社の垣根を越えて、開発チームのメンバーたちが共に汗を流しています。BGMは英国合唱団「LIBERA」が歌う中島みゆきの名曲「ヘッドライト・テールライト」。佃社長の「彼らにはノルマを乗り越える歓びがあるんだ」という言葉に、ついついうなずいてしまう野木教授でした。一流詐欺師のような佃社長の見事な手口に、若干の恐ろしさを覚えます。

 

■悪の貴公子、さっそうと登場!

 池畑慎之介演じる悪徳弁護士・中川は刑務所送りとなりましたが、新章スタートに合わせて新しい悪役たちがぞろぞろと姿を見せました。「ダイダロス」の重田社長(古舘伊知郎)のもとに、野木教授から情報を盗んだ「キーシン」の戸川社長(甲本雅裕)、広報担当の北堀(モロ師岡)が顔をそろえます。これにダースベイダー化した「ギアゴースト」の伊丹社長が加わり、悪のマシン軍団の完成です。カメラは丁寧に、一人ひとりの悪党づらをクローズアップで映して見せます。オジさん俳優たちは、みんな悪いことがしたくて堪らないといった風情です。『下町ロケット』はサラリーマン版『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)なのかもしれません。

 美味しい悪役をオジさん俳優たちだけに独占させるのは、もったいないというものです。「佃製作所」を退職して、新潟県燕市にある実家の農業を継いだ殿村(立川談春)ですが、故障しがちな古いトラクターに頭を抱えている殿村の前に、さっそうと悪役界の貴公子が現われるのでした。ミュージカル『テニスの王子様』や『エリザベート』『モーツァルト!』など、ミュージカル界で活躍する古川雄大の出番です。

 農林協に勤める大農家の三男坊である吉井(古川雄大)は、殿村家の自家米が農林協を遠さずに消費者に直売されていることが気に入りません。トラクターの故障箇所を見ていた佃社長を「こんな、修理のおっさん」呼ばわりした挙げ句、「米の品質なんて、客に分かるわけないだろ。米なんて、喰えりゃいいの」と農林協の職員とは思えない大暴言を吐くのでした。そのくせ、殿村から「あんたみたいな人がいると、米がまずくなる」と怒鳴られると、すたこらと退散していきます。とてもライトな小悪党ぶりは、古舘伊知郎率いる悪のマシン軍団とは違った軽やかなフレーバーで視聴者を楽しませてくれます。
 
 タレントの好感度ランキングがもてはやされた時期は、テレビドラマでも映画でも悪役をやると好感度が下がり、CMの仕事が来なくなってしまうという底の浅い理由から、俳優たちが悪役をやりたがらないというつまらない風潮がありましたが、北野武監督の『アウトレイジ』(10年)がヒットしたあたりから、風向きが変わってきたようです。俳優はダークサイド側の人間も演じられてこそ一人前です。うさん臭い芸能プロダクションの社長役のモロ師岡は、北野監督の名作『キッズ・リターン』(96年)では才能ある新人ボクサー(安藤政信)に酒と下剤を教えて潰してしまうロートルボクサーを好演しました。こういうアクのある俳優がいることで、いい出汁加減のドラマができるのです。甘い夢を語る、いい人たちだらけでは社会もドラマも回りません。

 新章スタートとなった第6話の視聴率は13.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。福澤克雄チーフディレクターの演出により、前回の12.7%からちょい数字が回復しました。佃社長が言った「ノルマを乗り越える歓びがある」という台詞は、野木教授だけでなく、TBSのドラマ班にも向けた言葉でもあるようです。平均視聴率18.5%を記録した前シリーズに、どこまで後半戦は迫ることができるのか。軽部の恋の行方と共に注目したいと思います。
(文=長野辰次)

「商標登録」「おごらない」「治療費の値切り」……銭ゲバ芸能人たちの強欲エピソード!

 芸能界には、金に関してかなりキッチリしているタレントが多い。

 3月27日に『5時に夢中!』(TOKYO MX)にゲスト出演した元女子プロレスラーでタレントの北斗晶は、番組内で「鬼嫁」を商標登録していることを明かした。

 北斗は商標登録について「商品とかを考える人たちっていうのは、今はやってる、その時にパッと取らなきゃ、っていうのはあるんじゃない?」と自身の見解を述べた後、「『鬼嫁』は、実は商標登録を私がしてます」と語っている。

 しかし、酒の「鬼嫁」はすでに登録済みであったといい、「だから『北斗晶の鬼嫁のお酒』みたいなのとかは一切、ワインとかお酒は私は売る権利はない、簡単に言ってしまうと。だから、商標登録って早いもの勝ちなんだよね」。商標登録の理由については、鬼嫁Tシャツの類似品を見るようになり、きちんとしなければと思ったのがきっかけと明かし、他の共演者が「北斗さんの場合は金目的じゃないんですよ」とフォローするも「金目的……ああ半分、金目的だ!」と笑っていた。

「北斗さんはもともと料理上手のやりくり上手で、経済観念がしっかりしているタイプ。最近はがんを患うなどし、仕事を休んだり治療費がかさむなど、経済的に大変だったはず。商標登録の話も、さすがといったところですね」(テレビ局勤務)

 金に関してきっちりしているといえば、嵐の二宮和也も有名だ。ジャニーズの中でも二宮は“度が過ぎるケチ”として有名で、そのエピソードは数多い。2016年3月に行われた映画『暗殺教室』公開記念舞台あいさつに後輩のHey!Say!JUMPの山田涼介と出演した際は、2人が二宮の自宅でしゃぶしゃぶパーティを開催したという話の流れで、山田がその時の肉について「298円でしたよ」と暴露。あせった二宮が「やめろ〜!」と制止するという笑える話もある。

「二宮さんは過去、嵐が結成される前の下積み時代には月給が1万6,000円だった時代があったと報道されています。この時には食事も満足にできない状況だったらしく、この時のトラウマが今の経済観念を作ったとか。後輩におごらず先輩とご飯を食べに行くと公言したり、嫌いな食べ物は高い食べ物だと発言しています」(週刊誌記者)

 また、俳優の阿部寛も2017年10月17日発売の「女性自身」(光文社)にて、保険適用外で受けていた歯並びの治療を「保険適用にできるはず」と直談判。熱心な値切り交渉の末、見事半額の支払いに落としこむことができたのだと報じられている。

「同誌では阿部さんがバブル崩壊時に数億円の借金をしていたことや、妻がつける家計簿をチェックするといった倹約家ぶりが書かれています。しかし阿部さんはケチなわけではなく、今年に入って台湾地震のために1,000万円寄付するなど社会貢献をしている。納得の行く支払いならOKということなのでしょう」(芸能ライター)

 お金を大切にするタレントは、長く生き残る!?

小倉優子だけじゃない!? 阿部寛、さまぁ~ず・三村マサカズ……芸能人たちの“不動産売買”事情

 小倉優子がハワイの別荘を売却したと一部メディアで報じられている。小倉は昨年7月に美容師の夫と離婚。2人の子どもの親権は小倉が持っている。別荘売却で得た金銭は子どもの養育費に充てられるようだ。この件について当の小倉は否定しており、その真偽は定かではないがともあれ、小倉に限らず芸能人の中にはさまざまな理由で不動産を手放す人間が案外多いのも事実だ。

「もっとも多いのは投資目的で不動産を購入したものの失敗するパターンですね。俳優の阿部寛はバブル期のマンション投資によって数億円の借金を背負ってしまいます。当時はモデルから俳優へ転身し仕事は上向きでした。しかし、濃い目の顔立ちが時代にそぐわなかったのかその後は長い低迷期が続き、苦労を味わったようです。2000年代に入ると『トリック』(テレビ朝日系)などでブレイク。20年かけて借金を完済したようですね」(業界関係者)

 バブル期の不動産投資により多額の借金を抱えた芸能人といえば「千昌夫の3,000億円」が知られるが、阿部寛も人知れず苦労人であったのだ。さらに、ひょんなことから不動産物件が舞い込んだ芸能人もいる。

「さまぁ~ずの三村マサカズですね。バカルディ時代の1998年に『オールスター感謝祭』(TBS系)に出演して優勝を果たし、苗場のリゾートマンションを獲得します。しかし登記手数料や固定資産税などは自己負担のため、やむなく物件を手放したそうです。“苗場のリゾマン”はバブル期の遺産というべきもので、今は物件そのものは10万円程度で投げ売りされています。いざ、手に入れたところで維持は大変だったかもしれません」(同)

 何かと不安定な立場にある芸能人にとって不動産はある意味では安心材料なのかもしれない。だが、それに泣かされることも多そうだ。
(文=平田宏利)

東出昌大と阿部寛は、大根役者界の「良い棒」……棒演技をめぐる「良い」「悪い」ってナンだ!?

 ドラマの感想などが書き込まれるネット掲示板で、度々見かける「棒」という言葉。

「棒」とは「棒読み」、いわゆる「大根役者」のことで、ずいぶん失礼な話ではあるが、よく掲示板などに挙がる名前には、山崎賢人、福士蒼汰といった若手イケメン俳優から、東出昌大、ディーン・フジオカ、向井理、西島秀俊、EXILE・AKIRAまで、さまざまだ。

 さらに、そうした「棒」の中でも、ときどき見かけるのが「良い棒」「悪い棒」という言葉。

 基本的にけなし言葉のはずの「棒」という言葉に、なぜ「良い」「悪い」があるのか? また、どういう違いなのだろうか? あるテレビ誌記者は言う。

「抑揚のあまりないしゃべり方をしたり、表情の変化があまりなかったりする役者さんは、確かに『棒(読み)』と言われることがありますよね。また、どうしても声に表情が出にくい、声質が原因になっている役者さんもいる気がします。良い・悪いの基準はないでしょうが、単純に『味がある』役者さんの場合、『良い棒』というのかわかりませんが、高く評価されることがありますよね」

 その「味」というのも、実に曖昧なものだが……。

「ひとつには、スマートなイケメン俳優さんよりも、個性的な風貌であるだけで『味がある』ととらえられることはありますよね。また、若手よりも、年齢を重ねていることで、『味』が出てくるともいわれる。また、昔はハンサムで大根と言われていた三浦友和さんなどが、いつの間にか渋みのある役者さんになったのも、年齢を重ねてこそだと思います」(同)

 さらに、「役柄との出会い」もあると指摘する。

「例えば、無表情や、抑揚のないしゃべりにちゃんと意味がある強烈な役柄を演じることによって、それが味わいになってくるパターンもあります。かつては『棒』と言われた阿部寛さんなどがそうですし、今では東出昌大さんがその筆頭かなと思います」(同)

 確かに、東出といえば、何かと「棒」と言われがちで、名前の検索関連ワードに「棒」「演技 下手すぎる」などが出てくるほど。

 しかし、それがドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)で、不倫する妻(波瑠)への嫉妬に狂う夫を演じた際には、「棒演技だからこそ、むしろ怖い」とネット上で絶賛されていた。

 そして、『あなそれ』以降は、「普通じゃない人」を表現する上で、その存在感が大いに注目されているようだ。

「『あなそれ』で開花した淡々とした演技の味わいは、今秋上映された映画『散歩する侵略者』と、WOWOWドラマの劇場版『予兆 散歩する侵略者』において、さらに凄みを増してきました」と語るのは、ある映画ライター。

「東出さんは、もともとこもった感じの声質のせいもあって、『棒』と言われがちですが、その演技や存在感が生かされる場はたくさんあります。『散歩する侵略者』では、ワンシーンのみの牧師役として登場しましたが、目を見開いて真っすぐな瞳で愛の定義を語る、何も伝わってこない空虚な感じは見事でした。さらに『予兆~』のほうでは、地球外からの侵略者役でしたが、表情のなさ、淡々とした口調の怖さときたら。あの長身がのっそり病院内を歩いてくる姿だけで、明らかに普通の人間とは違う『異物』であることが説明なしにわかりますし、終盤はもうほとんど『ターミネーター』状態でした」

 長身イケメンの目立つルックスも、強烈な役柄に出会えば、単なるイケメン俳優でなく、「怪優」としての大きな武器になる。

 今後ますます、いろいろな味の「強烈な役柄」を演じてほしいものだ。

香里奈がワースト独走、西島秀俊『無痛』はフジ最下位! 今期ドラマ視聴率ランク

<p> 2クール連続で放送する『相棒』『科捜研の女』(ともにテレビ朝日系)を除き、民放5局で放送されている秋ドラマが最終回を迎えた。1位は高視聴率が話題になった阿部寛主演の『下町ロケット』(TBS系)で、最下位は同じくTBSで香里奈が主演を務めた『結婚式の前日に』と、同局でトップとワーストを押さえる結果となった。<br /> </p>

『下町ロケット』好スタートのウラで、スタッフたちが頭を抱える “難アリ”俳優とは?

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『下町ロケット』(TBS系)公式サイトより

 俳優の阿部寛が主演を務めるTBS日曜劇場『下町ロケット』が18日に2時間スペシャルでスタートし、初回の平均視聴率が16.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と好スタートを切った。

「一昨年、同局で放送された同じ池井戸潤氏原作の『半沢直樹』の初回19.4%には及ばなかったものの、昨年の『ルーズヴェルト・ゲーム』(同)の初回14.1%は上回りました。やはり“池井戸原作”は数字を持ってますね」(テレビ局関係者)