吉岡里帆演じるキョドコの支離滅裂さに唖然呆然!? 向井理がキラキラ輝き出した『きみ棲み』第6話

 キョドコのキョは、恐怖のキョ! 支離滅裂な言動で周囲の男たちを散々に振り回す世にも恐ろしきヒロインとは、吉岡里帆演じる小川今日子ことキョドコに他なりません。キョドコのみならず、『きみが心に棲みついた』(TBS系)には心の歪んだキャラクターがやたらと多く、恋愛ドラマというよりはサイコサスペンスを観ているかのように背筋がゾゾッとさせられます。今週もまた、「キョドコ、それは違うだろ!!」と全視聴者がツッコミを入れてしまう火曜の夜がやってきました。まずは『きみ棲み』第6話を振り返ってみましょう。

 下着メーカーに勤める小川今日子(吉岡里帆)、通称キョドコは、野外BBQで上司である星名(向井理)とこじらせた関係だった過去が明かされます。ひとりでBBQ会場を去ったキョドコでしたが、追い掛けてきた漫画誌編集者の吉崎(桐谷健太)と初キスを交わし、ついに交際することに。かつてなくウキウキ気分のキョドコが出社する第6話の始まりです。

 一方、キョドコがアシスタントを務めている新プロジェクトのデザイナー・八木(鈴木紗理奈)ですが、大変な窮地に追い込まれます。新ブランド立ち上げの責任者である池脇部長(杉本彩)から、もう1人のデザイナー・堀田(瀬戸朝香)のサポートに八木は回るように言い渡されます。最終プレゼンを目前に控え、何と理不尽な!!

 実は池脇部長にとって八木は、10年前に米倉課長をめぐって火花を散らし合った恋敵だったのです。八木と米倉課長との社内恋愛を面白く思わない池脇部長は、八木をメンズインナーへと異動させたという因縁がありました。今回も最終プレゼンもしないまま、八木に再び煮え湯を呑ませようと企んでいたのです。下着メーカーって女性社員同士のバトルがすごいんでしょうか? 今年の入社希望者数に影響が出ないかちょっと心配です。

 あまりに露骨な池脇部長のパワハラぶりに、新ブランドのデザイナーの座を八木と争う堀田も我慢なりません。池脇部長の指示に従って荷物を片付け始める八木に向かって、「逃げるんだ、メンズに異動になったときみたいに」「つべこべ言わずに、新しいデザインを描きなよ」とハッパを掛ける堀田でした。吉崎のことで浮かれていたキョドコも動きます。できれば顔を合わせたくない星名のもとに出向き、「最終プレゼンをやらせてください」と懇願するのでした。そんなキョドコに対し、「お前、強気だな。吉崎さんと付き合ってるんだって?」と星名はキョドコがあたふたしてしまうツボをピンポイントで責めるのでした。調教師・星名は、Mっ子・キョコドのことはすべてお見通しです。

 第6話の中盤からは、もうデーモン星名の独壇場となります。ついに始まった新ブランドの最終プレゼン。八木チーム、堀田チーム、共に完成したばかりの新作ランジェリーで合否を競うのでした。ところがジャッジを下す池脇部長は、まるで興味がなさそう。八木チームのサンプルを一瞥しただけで「やっぱり堀田のデザインがいいわ。八木には重荷じゃないかしら」とプレゼン勝者を一方的に堀田へ決めようとするのです。これに「待った!」を掛けたのは勝者に選ばれた堀田でした。最終プレゼンの直前に、堀田と八木はサンプルをこっそり交換していたのです。池脇部長が「革新的だわ」と絶賛したサンプルは、八木がデザインしたものだったのです。

 堀田の種明かしに動揺する池脇部長は、開発室長である星名に救いを求めますが、このときこそデーモン星名の冷たい魅力が炸裂します。

「プロジェクトを統括する人間が、デザインの中身でなく、人間で判断していたことを私は残念に思います」

 かねてより報復人事で悪評の高かった池脇部長を、プレゼン会議の場でばっさりと斬り捨ててみせる星名でした。会社の上層部にはすでに池脇部長の不正ぶりを伝えていました。今回のデーモン星名はダークヒーローのごとく超かっこいい存在です。あえなく池脇部長は現場からの退場を余儀なくされ、新ブランドは堀田と八木の2人体制で発足することに決まります。

■天使と悪魔の顔を持つ男、その名は……!?

 

 池井戸ドラマの主人公のような大活躍を見せた星名でしたが、新ブランドの誕生を一緒に喜ぶ相手はいません。最終プレゼンが終わったことで久しぶりに吉崎に会いに行こうとするキョドコを呼び止め、いつもの星名らしくない庶民じみたラーメン店へ2人で入っていくのでした。吉崎という彼氏ができたキョドコですが、最終プレゼンの根回しをしてくれた星名に対する感謝の気持ちもあり、仲良くラーメンをすすることに。

 星名のことを「悪魔のような人」だと嫌っていたはずのキョドコなのに、この日は星名が優しい顔を見せたことから、ついつい大学時代の思い出に花を咲かせてしまいます。結局、星名の支配から完全離脱することはできないキョドコでした。これまで星名への依存から抜け出そうと努力してきたキョドコを見守ってきた視聴者は唖然呆然です。キョドコは笑顔で「今日は私が奢ります♪」とラーメンの替え玉にギョウザまで追加注文しています。職業ドラマとして展開した『きみ棲み』第6話でしたが、本心とは異なる不可解な行動をしてしまう人間の内面の多面性を描いた実に興味深いエピソードではないでしょうか?

 星名の悪魔のような魅力はこれだけでは終わりません。星名に再び心を開いたキョドコでしたが、星名は甘い飴をたっぷりキョドコに舐めさせた後には、しっかりお仕置きを用意していました。人気作家・成川(中村アン)が吉崎と夜遅くまで一緒にいるインスタグラム画像をキョドコに見せつけるのでした。星名に替え玉を強要するなど、調子に乗っていたキョドコがたちまちギャフン顔になるのを、星名は心から楽しみます。

 星名の留守中にマンションに上がり込み、「母親直伝のシチューなんです」と手料理を作って奥さんぶる飯田(石橋杏奈)にも、星名は冷たいムチを振るいます。飯田に預けていたマンションの合鍵を返させた挙げ句に、「僕、愛のないセックスほど興奮しちゃうようです」と田舎のお嬢さん育ちの飯田に言い放つのでした。『君が心に棲みついた』という題名ですが、視聴者の心に棲みついてしまったのは、天使の顔と悪魔の顔を持つ二重人格者・星名なのかもしれません。

 視聴率は第4話・第5話の7.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)からさらにポイントを下げ、過去ワーストの6.9%に。登場キャラクターたちの一貫性のない行動に、視聴者も付いていくのが大変です。予告を見ると第7話では殺人罪で刑務所送りになっていた星名の母親がついに登場し、さらにはキョドコの処女喪失シーンも用意されているようです。大学時代の星名とキョドコに肉体関係がなかったというのも驚きですが、まだまだサプライズが残されているようです。

 星名に棄てられた飯田、狙っていた吉崎をキョドコに奪われた為末(田中真琴)、星名を憎むあまりに心を病んでしまった一ノ瀬(西村元基)といったサブキャラたちの伏線は最終回までに回収できるのでしょうか? キョドコも『きみ棲み』の後半戦も、絶望という名のクライマックスへ雪崩れ込むことになりそうです。
(文=長野辰次)

キョドコが公開イジメに遭う史上最悪のBBQ!! 胸の谷の吉岡里帆、再び『きみ棲み』第5話

 吉岡里帆演じる“挙動不審女子”キョドコのもじもじぶりにイラつく派、「そこがいいんじゃない?」と擁護する派が拮抗する『きみが心に棲みついた』(TBS系)。ドラマがスタートして1カ月が経過しましたが、擁護派はあまり増えず、イラつく派に押されつつあるようです。まぁ、イラつく派が優勢になればなるほど、男性視聴者はキョドコ=吉岡里帆のことを庇いたくなるわけで、そのことが余計にイラつく派の火力を増強させることになっています。キョドコがストールをいつもネジネジと巻き上げているように、劇中のキョドコも現実の吉岡里帆も捻れに捻れた負のスパイラルへと沈んでいる真っ最中です。

 バレンタイン前夜となる2月13日にオンエアされた『きみ棲み』第5話でしたが、これまでで最もイヤ~な気分になるエピソード回でした。みんな楽しいはずの野外BBQ大会で、キョドコが公開イジメに遭ってしまうのです。いくらキョドコがMっ子だからといって、ご主人さま以外の部外者が寄って集ってイビっていいもんじゃありません。子どもの頃、夕方によく再放送されていた『フランダースの犬』や『みなしごハッチ』を観ていたときのようなブルーな気持ちになってしまいました。

 第5話の冒頭、下着会社に勤める小川今日子(吉岡里帆)ことキョドコは、第3話に続いて再び下着姿になります。デザイナーの八木(鈴木紗理奈)が試作した新作ランジェリーのサンプルが完成したので、モデルの代わりにキョドコが試着することになったのです。

「男が思わず抱きしめたくなる」というキョドコのアイデアから生まれたサンプル下着を身に着け、うれしさ半分恥ずかしさ半分の表情を見せるキョドコでした。下着といってもキャミソールタイプのもので、第3話の純白ブラジャーに比べると肌の露出はかなり控えめですが、胸の谷間はしっかり映し出されています。吉岡里帆のセクシーショットで、少しでも数字を稼ぎたいというTBSのあざとい狙いが丸分かりなシーンでした。こういった露骨なサービスカットも賛否を呼んでいるようです。

 男が欲情するかどうかはさておき、自前のラブリーランジェリーをまとい、うれし恥ずかし状態のキョドコの前に、上司である星名(向井理)が現われます。八木が経理部から呼びされたため、試着室は下着姿のキョドコと星名の2人っきりに。最近、キョドコが漫画編集者の吉崎(桐谷健太)と仲がいいことを星名は責め、さらには「キョドコのくせに」とキョドコの首を締め上げるのでした。就業中の職場でSMプレイとは、まぁなんと破廉恥なことでしょう!

「吉崎の化けの皮を剥いでやるよ」とキョドコに宣言した星名は、さっそく行動に移します。有言実行はポジティブな意味で使う言葉ですが、星名のサディストぶりは話数を重ねるごとにどんどん度を過ぎたものになりつつあります。

 星名が過剰なまでにキョドコにかまうのは、理由がありました。星名の母親は殺人罪で長らく刑務所生活を送っていたのですが、ようやく出所し、星名の姉・祥子(星野園美)の世話になっていたのです。スマートな星名と違って肥満体型の祥子はレストランでピザを頬張りながら、母の世話代として300万円を星名に要求するのでした。

「私もきれいな顔になりたかったわ。あんたみたいに整形してさ」

 ピザを呑み込み、油まみれになった口で、姉は星名の暗い過去をほじくり返します。少年時代の星名は、父親から「顔も悪い。頭も悪い。誰に似たんだ」と散々殴られ続ける日々を過ごしたのです。星名がキョドコをずっと手放したがらないのは、星名もまた少年時代に家族からの愛情を感じることができなかったからだったのです。

 デーモン星名の悪魔の企みは着々と進行します。まずはキョドコと映画デートを楽しんだ後の吉崎を電話で呼び出し、漫画家のスズキ先生(ムロツヨシ)も交えて、馴染みのバーで意気投合してみせるのでした。星名の裏の顔を見破っていたはずのスズキ先生ですが、バーテンの牧村(山岸門人)が幻のデビュー作『モノレールにもう乗れる』を読んでいたことから簡単に籠絡されます。ムロツヨシはこういう無能キャラを演じさせると抜群の魅力を発揮しますね。

■キョドコ、死亡フラグを立てまくる!!

 星名が吉崎やスズキ先生を誘って、週末にBBQをやることが決まり、キョドコも行かないわけにはいきません。キョドコは職場の先輩である堀田(瀬戸朝香)たちをBBQに誘いますが、キョドコと吉崎が距離を縮めていることが面白くない編集者の為末(田中真琴)、星名と大学時代の同級生だったレイコ(小林恵美)や牧村も参加していました。大自然に囲まれて気持ちのいいBBQのはずが、キョドコの過去を知る顔ぶれが集まっているために、キョドコはまるで食欲が湧きません。

 ナイスバディだけど、頭は空っぽそうなレイコは、次々とキョドコを口撃します。「相変わらず暗いわね。あんた、そんなんで仕事できてんの?」「キョドコはね、ひと言でいうと、星名くんのストーカーだった」。せっかくのBBQで、参加者をディスるのは本当にやめてほしいものです。BBQに対する冒涜ですよ。さらに、キョドコが耐え切れずにお手洗いへ逃げると、そこで待っていたのは牧村でした。大学時代にキョドコが星名に命じられて校内ストリップをした様子を牧村は隠し撮りしており、そのときの映像をスマホでちらつかせるのでした。キョドコは過呼吸となり、ぶっ倒れてしまいます。

 倒れたキョドコを介抱するのは、もちろん吉崎です。「なんで泣いてるのか分からないけど、終わったことはしようがないじゃん」とキョドコをいたわる吉崎ですが、そんな吉崎の誠実さがキョドコをより苦しめます。校内ストリップの映像を吉崎に見られたら、もう生きてはいけない。BBQの後片付けに戻った吉崎を残し、キョドコはひとりで山を下っていくのでした。

 自殺フラグを立てまくったキョドコを吉崎は追い掛けようとしますが、その様子をずっと見ていた星名は「あなたの手に負えるような人間じゃない。少しでも優しくすると、全身全霊で寄りかかってきますよ」と忠告します。でも、周囲が反対すればするほど、当時者たちの恋心は燃え上がってしまうものです。ずいぶん離れたバス停で、ようやくキョドコに追いついた吉崎。「好きです。私、吉崎さんのことが大好きです」とキョドコもやっと本心を口にします。「嫌われる前にさよならしちゃ、ダメですか?」と別れの言葉を告げようとするキョドコの口を、吉崎は熱いキスで封じるのでした。

 最後の最後にキョドコと吉崎の初キスで強引に盛り上げた第5話でしたが、BBQシーンがあまりにも陰鬱だったせいか、視聴率は過去ワーストだった先週と同じく7.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という結果に。

 原作コミックは『きみが心に棲みついた』全3巻の後、続編『きみが心に棲みついたS』として連載が今も続いています。ちなみにタイトルにあるSはSacrifice(生贄、神への捧げもの)の頭文字だそうです。第6話以降は、キョドコ以外にも星名の犠牲者が続出することになりそうです。また、星名が悪魔にならざるをえなかった悲惨な過去も明かされるようです。向井理にとって、『ゲゲゲの女房』(NHK総合)以来のハマリ役となっている星名のダークサイド・ストーリーに期待しましょう。

(文=長野辰次)

キョドコが公開イジメに遭う史上最悪のBBQ!! 胸の谷の吉岡里帆、再び『きみ棲み』第5話

 吉岡里帆演じる“挙動不審女子”キョドコのもじもじぶりにイラつく派、「そこがいいんじゃない?」と擁護する派が拮抗する『きみが心に棲みついた』(TBS系)。ドラマがスタートして1カ月が経過しましたが、擁護派はあまり増えず、イラつく派に押されつつあるようです。まぁ、イラつく派が優勢になればなるほど、男性視聴者はキョドコ=吉岡里帆のことを庇いたくなるわけで、そのことが余計にイラつく派の火力を増強させることになっています。キョドコがストールをいつもネジネジと巻き上げているように、劇中のキョドコも現実の吉岡里帆も捻れに捻れた負のスパイラルへと沈んでいる真っ最中です。

 バレンタイン前夜となる2月13日にオンエアされた『きみ棲み』第5話でしたが、これまでで最もイヤ~な気分になるエピソード回でした。みんな楽しいはずの野外BBQ大会で、キョドコが公開イジメに遭ってしまうのです。いくらキョドコがMっ子だからといって、ご主人さま以外の部外者が寄って集ってイビっていいもんじゃありません。子どもの頃、夕方によく再放送されていた『フランダースの犬』や『みなしごハッチ』を観ていたときのようなブルーな気持ちになってしまいました。

 第5話の冒頭、下着会社に勤める小川今日子(吉岡里帆)ことキョドコは、第3話に続いて再び下着姿になります。デザイナーの八木(鈴木紗理奈)が試作した新作ランジェリーのサンプルが完成したので、モデルの代わりにキョドコが試着することになったのです。

「男が思わず抱きしめたくなる」というキョドコのアイデアから生まれたサンプル下着を身に着け、うれしさ半分恥ずかしさ半分の表情を見せるキョドコでした。下着といってもキャミソールタイプのもので、第3話の純白ブラジャーに比べると肌の露出はかなり控えめですが、胸の谷間はしっかり映し出されています。吉岡里帆のセクシーショットで、少しでも数字を稼ぎたいというTBSのあざとい狙いが丸分かりなシーンでした。こういった露骨なサービスカットも賛否を呼んでいるようです。

 男が欲情するかどうかはさておき、自前のラブリーランジェリーをまとい、うれし恥ずかし状態のキョドコの前に、上司である星名(向井理)が現われます。八木が経理部から呼びされたため、試着室は下着姿のキョドコと星名の2人っきりに。最近、キョドコが漫画編集者の吉崎(桐谷健太)と仲がいいことを星名は責め、さらには「キョドコのくせに」とキョドコの首を締め上げるのでした。就業中の職場でSMプレイとは、まぁなんと破廉恥なことでしょう!

「吉崎の化けの皮を剥いでやるよ」とキョドコに宣言した星名は、さっそく行動に移します。有言実行はポジティブな意味で使う言葉ですが、星名のサディストぶりは話数を重ねるごとにどんどん度を過ぎたものになりつつあります。

 星名が過剰なまでにキョドコにかまうのは、理由がありました。星名の母親は殺人罪で長らく刑務所生活を送っていたのですが、ようやく出所し、星名の姉・祥子(星野園美)の世話になっていたのです。スマートな星名と違って肥満体型の祥子はレストランでピザを頬張りながら、母の世話代として300万円を星名に要求するのでした。

「私もきれいな顔になりたかったわ。あんたみたいに整形してさ」

 ピザを呑み込み、油まみれになった口で、姉は星名の暗い過去をほじくり返します。少年時代の星名は、父親から「顔も悪い。頭も悪い。誰に似たんだ」と散々殴られ続ける日々を過ごしたのです。星名がキョドコをずっと手放したがらないのは、星名もまた少年時代に家族からの愛情を感じることができなかったからだったのです。

 デーモン星名の悪魔の企みは着々と進行します。まずはキョドコと映画デートを楽しんだ後の吉崎を電話で呼び出し、漫画家のスズキ先生(ムロツヨシ)も交えて、馴染みのバーで意気投合してみせるのでした。星名の裏の顔を見破っていたはずのスズキ先生ですが、バーテンの牧村(山岸門人)が幻のデビュー作『モノレールにもう乗れる』を読んでいたことから簡単に籠絡されます。ムロツヨシはこういう無能キャラを演じさせると抜群の魅力を発揮しますね。

■キョドコ、死亡フラグを立てまくる!!

 星名が吉崎やスズキ先生を誘って、週末にBBQをやることが決まり、キョドコも行かないわけにはいきません。キョドコは職場の先輩である堀田(瀬戸朝香)たちをBBQに誘いますが、キョドコと吉崎が距離を縮めていることが面白くない編集者の為末(田中真琴)、星名と大学時代の同級生だったレイコ(小林恵美)や牧村も参加していました。大自然に囲まれて気持ちのいいBBQのはずが、キョドコの過去を知る顔ぶれが集まっているために、キョドコはまるで食欲が湧きません。

 ナイスバディだけど、頭は空っぽそうなレイコは、次々とキョドコを口撃します。「相変わらず暗いわね。あんた、そんなんで仕事できてんの?」「キョドコはね、ひと言でいうと、星名くんのストーカーだった」。せっかくのBBQで、参加者をディスるのは本当にやめてほしいものです。BBQに対する冒涜ですよ。さらに、キョドコが耐え切れずにお手洗いへ逃げると、そこで待っていたのは牧村でした。大学時代にキョドコが星名に命じられて校内ストリップをした様子を牧村は隠し撮りしており、そのときの映像をスマホでちらつかせるのでした。キョドコは過呼吸となり、ぶっ倒れてしまいます。

 倒れたキョドコを介抱するのは、もちろん吉崎です。「なんで泣いてるのか分からないけど、終わったことはしようがないじゃん」とキョドコをいたわる吉崎ですが、そんな吉崎の誠実さがキョドコをより苦しめます。校内ストリップの映像を吉崎に見られたら、もう生きてはいけない。BBQの後片付けに戻った吉崎を残し、キョドコはひとりで山を下っていくのでした。

 自殺フラグを立てまくったキョドコを吉崎は追い掛けようとしますが、その様子をずっと見ていた星名は「あなたの手に負えるような人間じゃない。少しでも優しくすると、全身全霊で寄りかかってきますよ」と忠告します。でも、周囲が反対すればするほど、当時者たちの恋心は燃え上がってしまうものです。ずいぶん離れたバス停で、ようやくキョドコに追いついた吉崎。「好きです。私、吉崎さんのことが大好きです」とキョドコもやっと本心を口にします。「嫌われる前にさよならしちゃ、ダメですか?」と別れの言葉を告げようとするキョドコの口を、吉崎は熱いキスで封じるのでした。

 最後の最後にキョドコと吉崎の初キスで強引に盛り上げた第5話でしたが、BBQシーンがあまりにも陰鬱だったせいか、視聴率は過去ワーストだった先週と同じく7.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という結果に。

 原作コミックは『きみが心に棲みついた』全3巻の後、続編『きみが心に棲みついたS』として連載が今も続いています。ちなみにタイトルにあるSはSacrifice(生贄、神への捧げもの)の頭文字だそうです。第6話以降は、キョドコ以外にも星名の犠牲者が続出することになりそうです。また、星名が悪魔にならざるをえなかった悲惨な過去も明かされるようです。向井理にとって、『ゲゲゲの女房』(NHK総合)以来のハマリ役となっている星名のダークサイド・ストーリーに期待しましょう。

(文=長野辰次)

キョドコの“真性マゾ”ぶりがますます加速する!? プレゼンで燃える女たちの闘い『きみ棲み』第4話

 吉岡里帆が大きな大きな胸の谷間を見せつけた下着シーンのリプレイから始まった『きみが心に棲みついた』(TBS系)の第4話。初めての連ドラ主演に吉岡里帆は健気に体を張っているわけですが、その努力はなかなか評価されずにいます。頑張れば頑張るほど空回りしてしまう劇中のキョドコとシンクロするものを感じさせます。吉岡里帆とキョドコの苦労は、果たして報われる日が訪れるのでしょうか。吉岡の真っ白なブラジャー姿の余韻が残る『きみ棲み』第4話を振り返りましょう。

 下着メーカーで働く、恋に仕事にダメダメな女・小川今日子(吉岡里帆)、通称キョドコ。新作ランジェリーの発表会で大胆にもプロのモデルに交じって下着姿でランウェイに上がったものの、命令した上司・星名(向井理)が同じ材料課の飯田(石橋杏奈)にマンションの鍵を渡しているところを目撃してしまうのでした。さらにはデザイナーの八木(鈴木紗理奈)からは「お前の企画書には、本音が見えへんのや!」とダメ出しを喰らいます。とことんまで落ち込むキョドコでした。

 でも、ここで諦めたら、自分の居場所はどこにもなくなってしまいます。キョドコは会社で夜を明かし、新しい企画書を書き上げるのでした。「男にかわいいと思われたい。男が思わず抱きしめたくなるようなランジェリー」というキョドコの欲望丸出しな企画案に、ようやく八木は納得します。八木から嫌われていると思っていたキョドコでしたが、八木がさっそくラフデザインを描いたことから大喜び。八木のデザインにぴったりな素材を提供してくれる生地メーカーを見つけるため、社外へと駆け出していくのでした。相変わらず、感情の浮き沈みの激しいキョドコです。

 喜び勇んで飛び出したキョドコですが、出社してきた星名とばったり遭遇。星名から「昨日はよくがんばったね」と下着モデルの件を褒められ、ついつい調子に乗って「企画が通ったら、デートしてください」と切り出すのでした。なぜだ、キョドコ! 何度、痛い目に遭えば気が済むんだ!! どうして下着モデルの惨劇から救ってくれた吉崎(桐谷健太)ではなく、デーモン星名へと戻ってしまうんだ!? 視聴者の苛立つ声が立体サウンドで聞こえてきそうです。でも、みなさん、もうお気づきでしょう。そうです、キョドコは真性のマゾヒストだったのです。サディストである星名も、そんなキョドコを手放そうとはしないのでした。「キョドコは生かさぬよう殺さぬよう」。それが星名のポリシーです。

■第4話の後半は『下町ランジェリー』へと急展開!!

 ついさっきまで張り切っていたキョドコでしたが、持ち帰った生地を八木から「あかん!」と突き返されます。「予算以上の素材を見つけてくるのが、あんたの仕事やろ?」と八木に指摘され、ぐうの音も出ないキョドコでした。ライバルチームのデザイナー・堀田(瀬戸朝香)のパートナーを務める飯田が、八木のパートナーも兼任するかもしれないという噂を耳にして、またまた落ち込むキョドコ。翌日会社を休んだ上に、漫画家・スズキ先生(ムロツヨシ)との打ち合わせで忙しい吉崎にネガティブメールを大量に送り続けます。

 その日の気分で職場を休み、仕事中の相手のことも考えることができないキョドコは、はっきり言って社会人失格です。星名や八木に褒めてもらえることを生き甲斐にしている点でも、半人前でしかありません。身近な誰かに褒めてもらうために頑張っているようでは、幼稚園のお遊戯会レベルであって、オリジナルの新商品を生み出すプロの仕事人には到底なれません。

 吉岡里帆のエロシーンが売りだったはずの『きみ棲み』ですが、第4話の中盤から企業ドラマとして俄然盛り上がりを見せ始めます。編集者である吉崎から言われた「作家にとって、いちばんの味方でありたい」という言葉に触発され、八木のデザインにふさわしい生地探しを再開します。中間プレゼンの日が迫り、もはやキョドってる場合ではありません。苦手意識のあったメーカーにも持ち前の粘着気質で粘り強く交渉します。いつも自分の殻に閉じ籠っていたキョドコは、それまでずっと溜め込んでいた言葉にならなかった熱い想いを、仕事をきっかけに吐き出すようになったのです。

 星名とデートするしないは関係なしに、このプロジェクトに残りたい。メンズインナー畑を歩み、社内で正当な評価をされていない八木を“女”にしたい。そして、何よりも八木と作ったランジェリーを自分が身に着けてみたい。周囲の視線を気にせず、ガムシャラに相手に喰らい付くキョドコがそこにはいました。まるでOL版『下町ロケット』か、下着版『陸王』のような展開です。『下町ランジェリー』、もしくは『下着王』と呼びたくなるような『きみ棲み』第4話です。

 第4話からの登場となった部長・池脇(杉本彩)、マーチャンダイザーである星名が見守る中、堀田チームと八木チームとのサバイバルマッチとなる中間プレゼンが行なわれます。先攻を務めるのは八木チームのキョドコです。キョドコは八木と共に「必ず商品化します」とメーカー側に約束して、予算ギリギリギリの値段でシルク40%の素材を提供させることに成功したのです。自信満々のキョドコでしたが、わずか数分後には飯田によって地獄のドン底へと突き落とされるはめに。飯田は縫製工場を経営する叔父に頼み込み、何とシルク100%の素材でサンプルを仕上げてきたのです。シルク100%の肌触りに、会議室にいた社員全員がうっとりして、ため息をもらすのでした。

 いくら努力しても、自分はダメな星のもとに生まれたんだ。キョドコが自分の殻の中に、再び閉じ籠ろうとしたときでした。星名が「パートナーは小川さんではなく、飯田さんに兼任してもらいますか?」と八木に尋ねると、これを八木はきっぱりと断ります。飯田が持ってきたシルク100%の素材は確かに素晴らしい。だが、身内のコネで在庫分を安く分けてもらっただけでは、在庫がなくなった先はどうする? そんな至極まっとうな意見を、プレゼンの最後に八木は切り出すのでした。飯田はプレゼンでの勝利しか考えていない。プロジェクトとしての将来性を考えれば、キョドコが粘って交渉してきた素材のほうがビジネス的には有益ではないのか。起死回生となる八木の発言によって、キョドコは窮地を救われ、両チームの闘いは最終プレゼンへと持ち越されるのでした。

 下着メーカーの会議室が、まるでカンパニー松尾監督の『劇場版テレクラキャノンボール2013』(14)の審査会のような手に汗にぎるドラマチックなシーンになったのでした。社内プレゼンなんて、やる前からだいたい結果が分かっているものですが、勝利を確信しきっていた堀田・飯田チームに対し、意外な団結力でひと泡吹かせることに成功した八木・小川チーム。天国から地獄へ、そして再び天国へ。「私のパートナーは小川今日子や!」とおでこをパチンと八木にはたかれ、喜ぶキョドコでした。やっぱり、キョドコはMっ子です。

 エロいシーンがなくなったことで職業ドラマとしては大いに盛り上がった『きみ棲み』第4話ですが、視聴率は前回の8.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)から7.0%へとダウンしてしまいました。キョドコと星名のSMチックな関係をより官能的に掘り下げながら、キョドコが大人の女として成長していく姿を描けるかどうかが製作陣の課題となりそうです。吉岡里帆のエロいシーンも見たいし、ドラマとしても面白くなくちゃダメ。視聴者はとても欲張りな生き物ですから。

 第4話のクライマックスでは、有名下着ブランドのパンフレットの撮影を見学している吉崎とキョドコの背後に、ふいに星名が現われます。いつもクールな星名ですが、時間を費やして調教してきたキョドコを吉崎に奪われそうなことから内心は穏やかではありません。星名はすっかり「キョドコのくせに」「吉崎~ッ」が口癖になってしまいました。次回、第5話では星名の悪巧みが仕込まれたバーベキュー大会が催され、吉崎たちのいる前でキョドコと星名の過去の関係がバラされてしまいます。星名のサディストぶりにゾクゾクしてしまう人は必見です。キョドコ、そして吉岡里帆のマゾヒズムもますます疼くことになりそうです。
(文=長野辰次)

女性から嫌われまくるキョドコの運命はいかに!? 胸の谷間が脳裏に焼き付く『きみ棲み』第3話

 吉岡里帆の純白のブラジャー姿が、脳裏に鮮明に焼き付いた『きみが心に棲みついた』(TBS系)の第3話。スレンダーなのに意外と豊乳な吉岡里帆の胸の谷間に目線を奪われ、正直なところストーリーはほとんど頭に入ってきませんでした。第3話のオンエア以降、『胸の谷間が頭に棲みついた』状態です。でも、そこは初主演ドラマに体を張る吉岡里帆の度胸を讃え、吉岡演じるキョドコが下着姿になった第3話の流れを振り返ってみましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 下着メーカーに勤める小川今日子(吉岡里帆)ことキョドコは、自己評価が極端に低い女子です。そんなキョドコを唯一受け入れてくれた大学時代の先輩・星名(向井理)が職場の上司として現われたことで、キョドコの挙動不審ぶりにますます拍車が掛かるのでした。

 第2話でキョドコと同じ材料課に勤める飯田(石橋杏奈)と親密そうにタクシーに乗り込み、キョドコの嫉妬心を煽る星名は、そうとうのWARUです。会社の業績アップを口実に、社内の女子社員たちを思いのままに操り、ほくそ笑んでいます。カリスマ性のあるやり手社員って、往々にセックスアピールにも優れていたりもするものなので、全否定しにくいわけです。星名はそんなグレイゾーンを巧みに生き抜いてきた男です。

 星名の呪縛から何とか逃れようとするキョドコですが、星名が優しい顔を見せると、ついつい星名に依存しきっていた大学時代の関係に戻ってしまいます。新作ランジェリーの発表会の人手が足りないから、手伝ってほしいと職場の上司でもある星名から頼まれ、キョドコは断ることができません。社外の会場を借りて行なわれる新作発表会には、展示物の設営やランジェリーのディスプレイをコマネズミのように動き回ってせっせと手伝うキョドコの姿がありました。

 いよいよ多くのギャラリーを集めた発表会が始まり、スタイル抜群な外国人モデルたちが、レッド、ブルー、ブラック……と色とりどりなセクシーランジェリーをまとって会場内に設置されたランウェイをウォーキングします。ちょっとしたパリコレのようです。取材のために来場していた漫画家のスズキ(ムロツヨシ)は鼻の下を伸ばし、同行した編集者の吉崎(桐谷健太)は目のやり場に困っています。そして問題シーンの登場です。

 外国人モデルたちによる新作ランジェリーに続き、ホワイトデイにちなんだホワイトデイ・スペシャル・ランジェリーの発表です。バレンタインのお返しに、男性がプレゼントしたくなるような逸品だとアナウンスは告げています。このとき、会場がざわめきました。さっきまでの堂々とした外国人モデルから一転して、小柄な日本人の女性が下着姿でおどおどとランウェイを歩き始めたからです。

 顔をこわばらせながら歩いている下着モデルは、キョドコではありませんか。普段はおとなしそうにしているキョドコですが、星名に命じられてマゾヒズム性を公衆の面前でさらけ出してしまいます。下半身はフリルのついたミニスカふうのウェアですが、上半身は白いブラジャーのみで、胸の谷間があらわになっています。大いなる胸の谷間の出現に、吉崎も視聴者も驚きを隠せません。

 星名の興味が、職場の後輩である飯田に向かっていることを懸念した、キョドコの体当たりのアピールでした。星名を失うことを恐れるあまり、星名に命じられるがまま、恥も外聞も棄てて下着姿になったキョドコ。しかし、足元がおぼつかずにランウェイの途中でへたれ込んでしまい、余計に醜態をさらすはめに。キョドコは前のめりでうずくまったため、胸の谷間を強調した女豹ポーズのようになってしまいます。キョドコをここまで辱める星名の悪魔ぶりにもびっくりですが、人気俳優同士によるSMプレイが地上波テレビで堂々とオンエアされたことにもびっくりです。いや、このシーンを否定するつもりはないんです。テレビドラマって放送コードさえ守れば、アンモラルな描写もOKなんですね。人間の内面や恋愛事情はモラルの物差しでは到底計れないものなので、TBSにはぜひ今後も頑張ってもらいたいです。

 キョドコは星名の愛情を自分だけのものにしたくて、このような羞恥プレイに挑んだわけですが、キョドコを演じる吉岡里帆の場合は、連ドラ初主演に自分を抜擢してくれた番組プロデューサーやディレクターたちの期待に応えたくて、体を張ったんだなぁと考えると、女優としての業(ごう)だとか性(さが)みたいなものまで感じられてきます。常盤貴子は若手時代に出演した連続ドラマ『悪魔のKISS』(フジテレビ系)でファッションヘルス嬢に扮し、見事な美乳を披露しましたが、常盤貴子がブレイクした後、『悪魔のKISS』はソフト化されることはありませんでした。『きみ棲み』第3話もお宝映像となる日が訪れるのでしょうか。

■キョドコはなぜ同性から嫌われるのか?

 

 ランウェイの真ん中で身動きできない状態になったキョドコを救出したのは、やはり吉崎でした。キョドコがなぜ下着モデルになったのか内情を知らないまま、男気溢れる吉崎はランウェイに上がるや、「ここでゲストの方にもお話をお聞きましょう。人気漫画家・スズキ先生です」と強引にギャラリーの注目を自分たちのほうに集め、キョドコをこっそりと退場させるのでした。吉崎とアドリブでトークする漫画家・スズキを演じた、桐谷健太&ムロツヨシの好感度が視聴者の間でぐ~んとアップした瞬間でした。

 ひと騒動落ち着いた後、吉崎が後輩編集者の為末(田中真琴)たちと呑んでいると、為末はキョドコが下着モデルをした一件を「私、信じられない」と蒸し返します。下着メーカーに戻った飯田は、「小川さんって何か怖いです」と星名を相手にディスっています。どうも、キョドコには周囲の人間、特に同性をイラつかせてしまうものがあるようです。

 キョドコは幼い頃から母親(中島ひろ子)の愛情を感じることができず、大学に入って星名に依存するようになりました。ところが、星名に依存しすぎて、校内ストリップまでやらされました。星名から自立したいと考えたキョドコは、合コンで知り合った吉崎に交際を迫ります。星名とはタイプの異なる吉崎と付き合えば、これまでとは違う自分になれると思ったのです。でも、それは依存の相手を替えるだけであって、キョドコ自身には主体性というものがありません。

 メンズインナーから新ブランドのプロジェクトに抜擢されたデザイナー・八木(鈴木紗理奈)は、キョドコの書いた企画書にはキョドコの主体性、本音が抜け落ちていることを指摘します。相手の顔色をうかがい、周囲に流されるままに生きていたキョドコが、ひとりの女性として、社会人として成長できるのかどうかが『きみ棲み』の本当のテーマのようです。

 さて、吉岡ランジェリー効果による、『きみ棲み』の視聴率はどうだったのでしょうか? 第1話が9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2話が8.5%、そして第3話は8.4%という結果でした。TBSサイドとしては第1話の校内ストリップに続く、吉岡のセクシーショットで数字を稼ぎ、第4話以降のドロドロ展開への弾みにしたかったと思われますが、視聴者はなかなかシビアです。

 第3話のラストでは、星名のもとに姉からの手紙が届き、母親が刑務所にいることが明かされます。また、キョドコの窮地を救った“いい人”吉崎の前には元カノである人気作家・成川映美(中村アン)が現われ、キョドコが見ている前で吉崎の唇を奪います。大きな暗雲が垂れ込めるキョドコの恋愛予想図。キョドコはどこまで堕ちていくのでしょうか。マジで新興宗教や薬物依存に走らないか、キョドコの行く末が心配になってきます。
(文=長野辰次)

女性から嫌われまくるキョドコの運命はいかに!? 胸の谷間が脳裏に焼き付く『きみ棲み』第3話

 吉岡里帆の純白のブラジャー姿が、脳裏に鮮明に焼き付いた『きみが心に棲みついた』(TBS系)の第3話。スレンダーなのに意外と豊乳な吉岡里帆の胸の谷間に目線を奪われ、正直なところストーリーはほとんど頭に入ってきませんでした。第3話のオンエア以降、『胸の谷間が頭に棲みついた』状態です。でも、そこは初主演ドラマに体を張る吉岡里帆の度胸を讃え、吉岡演じるキョドコが下着姿になった第3話の流れを振り返ってみましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 下着メーカーに勤める小川今日子(吉岡里帆)ことキョドコは、自己評価が極端に低い女子です。そんなキョドコを唯一受け入れてくれた大学時代の先輩・星名(向井理)が職場の上司として現われたことで、キョドコの挙動不審ぶりにますます拍車が掛かるのでした。

 第2話でキョドコと同じ材料課に勤める飯田(石橋杏奈)と親密そうにタクシーに乗り込み、キョドコの嫉妬心を煽る星名は、そうとうのWARUです。会社の業績アップを口実に、社内の女子社員たちを思いのままに操り、ほくそ笑んでいます。カリスマ性のあるやり手社員って、往々にセックスアピールにも優れていたりもするものなので、全否定しにくいわけです。星名はそんなグレイゾーンを巧みに生き抜いてきた男です。

 星名の呪縛から何とか逃れようとするキョドコですが、星名が優しい顔を見せると、ついつい星名に依存しきっていた大学時代の関係に戻ってしまいます。新作ランジェリーの発表会の人手が足りないから、手伝ってほしいと職場の上司でもある星名から頼まれ、キョドコは断ることができません。社外の会場を借りて行なわれる新作発表会には、展示物の設営やランジェリーのディスプレイをコマネズミのように動き回ってせっせと手伝うキョドコの姿がありました。

 いよいよ多くのギャラリーを集めた発表会が始まり、スタイル抜群な外国人モデルたちが、レッド、ブルー、ブラック……と色とりどりなセクシーランジェリーをまとって会場内に設置されたランウェイをウォーキングします。ちょっとしたパリコレのようです。取材のために来場していた漫画家のスズキ(ムロツヨシ)は鼻の下を伸ばし、同行した編集者の吉崎(桐谷健太)は目のやり場に困っています。そして問題シーンの登場です。

 外国人モデルたちによる新作ランジェリーに続き、ホワイトデイにちなんだホワイトデイ・スペシャル・ランジェリーの発表です。バレンタインのお返しに、男性がプレゼントしたくなるような逸品だとアナウンスは告げています。このとき、会場がざわめきました。さっきまでの堂々とした外国人モデルから一転して、小柄な日本人の女性が下着姿でおどおどとランウェイを歩き始めたからです。

 顔をこわばらせながら歩いている下着モデルは、キョドコではありませんか。普段はおとなしそうにしているキョドコですが、星名に命じられてマゾヒズム性を公衆の面前でさらけ出してしまいます。下半身はフリルのついたミニスカふうのウェアですが、上半身は白いブラジャーのみで、胸の谷間があらわになっています。大いなる胸の谷間の出現に、吉崎も視聴者も驚きを隠せません。

 星名の興味が、職場の後輩である飯田に向かっていることを懸念した、キョドコの体当たりのアピールでした。星名を失うことを恐れるあまり、星名に命じられるがまま、恥も外聞も棄てて下着姿になったキョドコ。しかし、足元がおぼつかずにランウェイの途中でへたれ込んでしまい、余計に醜態をさらすはめに。キョドコは前のめりでうずくまったため、胸の谷間を強調した女豹ポーズのようになってしまいます。キョドコをここまで辱める星名の悪魔ぶりにもびっくりですが、人気俳優同士によるSMプレイが地上波テレビで堂々とオンエアされたことにもびっくりです。いや、このシーンを否定するつもりはないんです。テレビドラマって放送コードさえ守れば、アンモラルな描写もOKなんですね。人間の内面や恋愛事情はモラルの物差しでは到底計れないものなので、TBSにはぜひ今後も頑張ってもらいたいです。

 キョドコは星名の愛情を自分だけのものにしたくて、このような羞恥プレイに挑んだわけですが、キョドコを演じる吉岡里帆の場合は、連ドラ初主演に自分を抜擢してくれた番組プロデューサーやディレクターたちの期待に応えたくて、体を張ったんだなぁと考えると、女優としての業(ごう)だとか性(さが)みたいなものまで感じられてきます。常盤貴子は若手時代に出演した連続ドラマ『悪魔のKISS』(フジテレビ系)でファッションヘルス嬢に扮し、見事な美乳を披露しましたが、常盤貴子がブレイクした後、『悪魔のKISS』はソフト化されることはありませんでした。『きみ棲み』第3話もお宝映像となる日が訪れるのでしょうか。

■キョドコはなぜ同性から嫌われるのか?

 

 ランウェイの真ん中で身動きできない状態になったキョドコを救出したのは、やはり吉崎でした。キョドコがなぜ下着モデルになったのか内情を知らないまま、男気溢れる吉崎はランウェイに上がるや、「ここでゲストの方にもお話をお聞きましょう。人気漫画家・スズキ先生です」と強引にギャラリーの注目を自分たちのほうに集め、キョドコをこっそりと退場させるのでした。吉崎とアドリブでトークする漫画家・スズキを演じた、桐谷健太&ムロツヨシの好感度が視聴者の間でぐ~んとアップした瞬間でした。

 ひと騒動落ち着いた後、吉崎が後輩編集者の為末(田中真琴)たちと呑んでいると、為末はキョドコが下着モデルをした一件を「私、信じられない」と蒸し返します。下着メーカーに戻った飯田は、「小川さんって何か怖いです」と星名を相手にディスっています。どうも、キョドコには周囲の人間、特に同性をイラつかせてしまうものがあるようです。

 キョドコは幼い頃から母親(中島ひろ子)の愛情を感じることができず、大学に入って星名に依存するようになりました。ところが、星名に依存しすぎて、校内ストリップまでやらされました。星名から自立したいと考えたキョドコは、合コンで知り合った吉崎に交際を迫ります。星名とはタイプの異なる吉崎と付き合えば、これまでとは違う自分になれると思ったのです。でも、それは依存の相手を替えるだけであって、キョドコ自身には主体性というものがありません。

 メンズインナーから新ブランドのプロジェクトに抜擢されたデザイナー・八木(鈴木紗理奈)は、キョドコの書いた企画書にはキョドコの主体性、本音が抜け落ちていることを指摘します。相手の顔色をうかがい、周囲に流されるままに生きていたキョドコが、ひとりの女性として、社会人として成長できるのかどうかが『きみ棲み』の本当のテーマのようです。

 さて、吉岡ランジェリー効果による、『きみ棲み』の視聴率はどうだったのでしょうか? 第1話が9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2話が8.5%、そして第3話は8.4%という結果でした。TBSサイドとしては第1話の校内ストリップに続く、吉岡のセクシーショットで数字を稼ぎ、第4話以降のドロドロ展開への弾みにしたかったと思われますが、視聴者はなかなかシビアです。

 第3話のラストでは、星名のもとに姉からの手紙が届き、母親が刑務所にいることが明かされます。また、キョドコの窮地を救った“いい人”吉崎の前には元カノである人気作家・成川映美(中村アン)が現われ、キョドコが見ている前で吉崎の唇を奪います。大きな暗雲が垂れ込めるキョドコの恋愛予想図。キョドコはどこまで堕ちていくのでしょうか。マジで新興宗教や薬物依存に走らないか、キョドコの行く末が心配になってきます。
(文=長野辰次)

Mっ子・キョドコとデーモン星名は共依存の関係!! 向井理の闇演技がハマりすぎな『きみ棲み』第2話

 キョドコを見ていると、イラッとしてしまう。いや、気になって、ついつい観てしまう。視聴者の意見がまっぷたつに分かれているのが、吉岡里帆の連ドラ初主演作『きみが心に棲みついた』(TBS系)です。始まったばかりのドラマながら賛否両論なのは、キョドコを演じる吉岡里帆本人の「あざとい感じがする」「でも、かわいいから許せる」という相反する評価と被るものがあるようです。恋に仕事に空回りを続けるキョドコこと小川今日子の運命はいかに? 『きみ棲み』第2話を振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 下着メーカーに勤めるOL・小川今日子(吉岡里帆)は自分に自信が持てず、いつも挙動不審な言動をしてしまうため、学生時代から「キョドコ」と呼ばれ続けてきました。そんなキョドコですが、肌に直接触れる下着の素材に関してはこだわりがあり、誰よりも豊富な知識を持っています。職場の先輩である下着デザイナーの堀田(瀬戸朝香)は、キョドコの秘めた情熱の理解者です。堀田に励まされながら、キョドコは新しいブランドのための企画案をメンズから抜擢されたデザイナーの八木(鈴木紗理奈)にせっせと提出しては、罵倒される日々でした。

 第1話の合コンで出会ったマンガ誌の編集者・吉崎(桐谷健太)が取材のために来社することを堀田から教えられ、顔を輝かせるキョドコ。取材当日、自分が取材されるわけでもないのに、キョドコはミニスカにハイヒールと思いっきりフェミニンなファッションで出社します。ところが、人の良いキョドコは先輩や上司から頼まれた雑用を断ることができず、来社した吉崎にせっかくのファッションを見せることができません。子どもの頃からの自分の要領の悪さを呪うキョドコでした。

 堀田から「吉崎さん、さっき帰ったよ」と告げられて落ち込むキョドコでしたが、諦めきれずに社外へ飛び出すと、ケバブ屋台で小腹を満たそうとしている吉崎の姿が。嬉しさのあまり駆け出したキョドコは慣れないヒールのため、気持ち悪い音を立てて足首を捻ってしまいます。「どんくさいなぁ。会社にこんなヒールを履いてくるなよ」と説教する吉崎におんぶされ、うれし恥ずかし状態のキョドコ。本人はまったくの無自覚ですが、職場の同性たちがこの光景を見たら、すっごくあざとい女に映るんじゃないでしょうか。

 一歩間違えるとうざいだけのキャラになるギリ寸前でコメディとして成立させる演技パターンとしては、『あまちゃん』(NHK総合)に主演した能年玲奈(現:のん)が先例として挙げられますが、『あまちゃん』は1日15分という短い時間だから許容できた世界でした。これが1話50分間となると、けっこうしんどいものがあります。かつて不倫ドラマ『ポケベルが鳴らなくて』(日本テレビ系)で、裕木奈江の演技があまりにもリアルすぎたため、劇中の役を演じただけの裕木奈江が女性誌によってバッシングされるという異常事態が起きた悲劇が脳裏をかすめます。吉岡里帆とキョドコの一心同体化が進むにつれ、ちょっと心配になってきます。

 第2話ではキョドコが自分に自信が持てず、大学時代のサークルの先輩・星名(向井理)に依存するようになった経緯が描かれました。子どもの頃からおっとりしていたキョドコは、母親(中島ひろ子)から「もたもたしていると嫌われるよ」と急かされるばかりで、温かい愛情を感じることができませんでした。いつもマイペースなため、学校でも浮いてしまい、友達がずっとできないまま。大学に入ったキョドコに「キョドコはキョドコのままでいいんだよ」と初めて優しい言葉を掛けたのが星名でした。新興宗教の勧誘のように親切な笑顔で星名はキョドコに近づき、オルグしてしまったのです。

 洗脳後のキョドコは、すっかり星名にオモチャ扱いされ、暴力的支配に耐える日々でした。大学を卒業し、星名の影響下から抜け出そうと努めたキョドコですが、職場の上司として現われた星名に資料室で抱きすくめられ、再び彼の術中へと堕ちていくのです。

■吉岡里帆 vs. 石橋杏奈の演技バトルがかなりリアルな件

 クールかつイケメンで、仕事もできる星名のダークサイドに気づいているのは、今のところはキョドコと、吉崎と一緒に星名を取材した漫画家のスズキ(ムロツヨシ)だけです。「あの笑顔には絶対裏がある」と初対面ながら鋭く見抜きます。ドロドロ展開となっていく『きみ棲み』の世界で、コメディリリーフ役も担うムロツヨシは実にたのもしい存在です。

 漫画家のスズキが裏の顔を見抜いたように、第2話から星名という悪魔的キャラクターの複雑な内面が明かされていきます。大学時代の同級生がバーテンをやっているバーへ星名は立ち寄りますが、星名の派手な女性関係を羨んだバーテンが「俺も鼻をイジればモテるかな」と軽口を叩くと、星名はそれまで見せたことのない怒気をはらんだ表情に変わるのでした。少年時代の星名は父親のDVに苦しみ続けたという暗い過去を持ち、顔を整形することで別人となり、過去を封印したのでした。キョドコ以上に深い闇を抱えています。キョドコを自分の支配下に置くことに喜びを感じる星名ですが、実は星名もキョドコに依存していることが分かります。キョドコと星名は“共依存”の関係だったのです。

 共依存というディープな関係にある星名とキョドコの間に割って入ろうとするのが、キョドコと同じ材料課にいる飯田(石橋杏奈)でした。携帯電話で親戚の叔父さんとうっかり方言で話しているところを星名に聞かれ、「方言をかわいく話す女性に僕は興味がある」と囁かれ、たちまち星名に夢中になってしまいます。女性が気にしているコンプレックスをうまく褒めることが、どうやらモテ男になるための秘訣のようです。

 星名の歓迎会では、星名の横にぴったり寄り添い、すっかり恋人気分の飯田でした。キョドコがテーブルの下を覗くと、飯田と星名はしっかり手を繋いでいるではありませんか。星名から卒業するつもりでいたキョドコですが、星名を失いたくないという気持ちが溢れ出てしまい、自分ではもうコントロールができなくなってしまうのでした。野生の熊は一度手に入れた獲物は、絶対に手放さないと言われています。今のキョドコは野生の熊と化した危険な状態です。

 さて、飯田役の石橋杏奈ですが、吉岡里帆と同年齢の若手女優ながら、廣木隆一監督の『きみの友達』(08)、山下敦弘監督の『マイ・バック・ページ』(11)、若松孝二監督の遺作『千年の愉楽』(13)など映画を中心に着実にキャリアを積んできた実力派です。コントバラエティー『LIFE! 人生に捧げるコント』(NHK総合)にも一時期レギュラー出演し、コメディ対応も可。正当派の美人顔に加え、演技力も安定しており、吉岡里帆にとってはリアルにライバル的な存在です。吉岡は「どん兵衛」のCM、石橋は『LIFE!』で星野源と共演したという接点もあります。吉岡vs.石橋のバチバチの演技バトルによって、泥沼恋愛劇がこれから本格化していきそうです。

 吉岡がセーラー服姿を披露し、ラストではずぶ濡れになりながら星名と飯田が乗るタクシーを追い掛ける熱演ぶりを見せた『きみ棲み』第2話ですが、視聴率は初回の9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)から8.5%にダウン。まぁ、これは製作サイドも想定内だったのではないでしょうか。第3話の予告では、原作にあったキョドコが下着モデルとなってランウェイ・ウォーキングする様子が流れました。早くもキラーカットの投入です。吉岡里帆の下着姿に期待している男性視聴者は多いことでしょう。吉岡ランジェリー効果で視聴率をアップさせることができるのか、第3話に注目です。
(文=長野辰次)

作家・鈴木光司と貞子は背中合わせの関係だった!! 原作者が語る『リング』が生まれた原風景とは?

 2018年は劇場版『リング』(98)が日本中を震撼させてから20年となる。呪いのビデオから這い出てきた貞子はその後増殖を続け、韓国版やハリウッド版も生まれ、恐怖のウイルスは世界各地へと広まっていった。ハリウッド版の新作『ザ・リング/リバース』の日本公開を1月26日(金)に控え、貞子の生みの親である作家・鈴木光司氏が、『リング』シリーズがロングランヒットする秘密と貞子が誕生した原風景について語った。

──中田秀夫監督が撮った劇場版第1作『リング』で、テレビ画面の中から貞子が這い出てくるシーンはあまりにもインパクトがありました。原作者である鈴木さんは、Jホラーブームを巻き起こしたあの第1作を、どのようにご覧になったんでしょうか?

鈴木 シナリオを事前に読んでいたので、当然、内容は知っていました。面白いことを考えつくなぁと思いましたね。原作小説には貞子がテレビから出てくるシーンはないんです。小説で描いても、貞子の怖さは伝わってきませんしね。映像のよさが活かされた劇場版でした。映像から這い出てきたことで、貞子というキャラクターが定着していったといえるでしょうね。

──そんな貞子の怖さは、ウイルスのように世界へと広まっていった。中田監督が撮った『ザ・リング2』(05)以来となるハリウッド版『ザ・リング/リバース』は、若手のF・ハビエル・グティエレス監督が『リング』シリーズの面白さを汲み取った上で、現代的にアップデートしたものになっています。

鈴木 僕が書いた小説を、ハビエル監督はしっかり読んで研究したなと思いました。ナオミ・ワッツが主演したハリウッド版第1作『ザ・リング』(02)の頃は、まだ僕の小説の英訳が出てなかったんですが、今では英語版も出ているので、今回は、かなり原作を読み込んできたなという印象を受けます。貞子(ハリウッド版ではサマラ)に対する愛情も感じさせ、薄型テレビから出てくるシーンがちゃんと用意されていますしね。

■オカルト現象と科学とのボーダーに潜むもの

 

──主演の若手俳優マチルダ・ルッツとアレックス・ローが序盤は延々といちゃいちゃしているシーンが続くんですが、中盤以降は愛する恋人を呪いによって失うかもしれないという恐怖へと転じていく。実は『リング』シリーズは愛の物語だったことに改めて気づかされました。

鈴木 主演の2人は初々しいカップルで、とてもよかった。確かに『リング』は愛をめぐる物語なんです。原作小説は妻と娘を守るために懸命に闘う父親の物語でした。これを中田監督の劇場版は松嶋菜々子さん演じる母親を主人公にして、母親が息子を呪いから救おうとするドラマにアレンジしたわけです。今回のハリウッド版は恋人を救うためのストーリーになっています。やっぱり、『リング』は愛する人を失うかもしれないという恐怖が描かれているから、多くの人を魅了したんだと思います。小説って、読者の想像力をどれだけ刺激できるかが面白さの決め手になるんです。自分自身の記憶に置き換えることで、物語がリアルに感じられるわけです。映画版も同じで、自分の大切な人がもし残り1週間の命だったらどうしようと考えるから怖く感じるんです。

──コケ脅し的な怖さではないから、『リング』シリーズはロングラン人気を誇っているわけですね。

鈴木 そう思います。愛する人を失うかもしれないという恐怖が、『リング』の骨格なんです。僕は言ってみれば“貞子遣い”なわけなんだけど、貞子自体は別に怖くはないんです。すでにプロ野球のマウンドに登板するようにもなっているわけで(12年と13年のパ・リーグの始球式イベントに貞子が登場)。もう、貞子は面白キャラになっちゃってますからね(笑)。

──今回の逆輸入版『ザ・リング/リバース』は、そんな貞子のキャラぶりを再度ひっくり返してみせたと。今回、オカルト現象を科学的に証明しようとする大学の研究チームが現われるあたりが面白く感じられました。

鈴木 かつてはオカルトと呼ばれたものも、近年は科学的に実証できるようになってきたわけです。例えば大昔、雷は神さまの怒りだと恐れられていたけれど、自然界に発生した静電気だと今ではみんな知っている。でも、科学で全部証明できると信じている人はアホです。まだまだ科学で証明できていないものは、いくらでもあります。

──リアル・高山竜司(『リング』シリーズに登場する天才学者)のレクチャーを受けているような気分になってきました。

鈴木 ハハハ! 宇宙を構成しているのは、ダークマターとかダークエネルギーと呼ばれているものが99%を占めているんです。ですから、我々が理解していると思っている物体も、実はわけのわからないものなんです。そのことが2000年になってから発覚した。大ショックですよ。これまで否定的に見られてきたオカルト現象ですが、科学的に証明できることも充分あると思いますよ。虫の知らせって、あるでしょ? 僕は実際に2度ほど体験しています。大切な人が亡くなる瞬間に、離れた場所にいても、眠っていても胸騒ぎがするわけです。この虫の知らせが宇宙空間だとどうなるんだろうということに、僕は興味があるんです。論理的に考えれば、情報が伝達するのは光よりも速いスピードでは不可能なはず。では5光年先の宇宙で宇宙飛行士が亡くなった場合、虫の知らせは5年の歳月を要するのか、それとも一瞬で感じるのか。もし、一瞬で虫の知らせを感じたのなら、これまでの物理の理論は成り立たなくなります。アインシュタインの相対性理論の上を行くモデルをつくらないと証明することができない。最近の量子力学なんて、以前ならオカルトと呼ばれた世界ですよ。僕が小説にするネタは、まだまだいっぱいある(笑)。

■『リング』に関わった人間はみんな幸せになる!?

 

──劇場版の『リング』シリーズに登場した女優ですが、竹内結子、松嶋菜々子、中谷美紀、深田恭子、仲間由紀恵、石原さとみ……。韓国版ではペ・ドゥナ、ハリウッド版ではナオミ・ワッツと、貞子に関わった後、みんな人気女優となっています。貞子って、実は幸福をもたらす女神じゃないんでしょうか?

鈴木 みんなを幸せにしているのは貞子ではなく、僕なんですよ(笑)。僕は自称「人間パワースポット」なんです。『人間パワースポット 成功と幸せを“引き寄せる”生き方』(角川書店)なんて本も出しています。僕の初代編集担当者は、今では角川映画の責任者ですよ。僕と関わると、みんな売れっ子になるんです。僕がね、いつも心掛けていることは、なるべくみんなが明るくなれるように現場を盛り上げ、いい仕事をして、仕事終わりに旨い酒を呑むための雰囲気づくりです。いい雰囲気の場所から、いいものが生まれる。大相撲みたいに、閉鎖的なことをやってちゃダメ。僕は、小説を書いているとき以外は、どうすればみんなが明るくなるかということばっかり考えているんです。また、そういうことばかり考えていることが人間パワースポットに繋がっているように思います。

──底抜けに明るい性格だから、『リング』のようなホラー小説が書けるんですね。

鈴木 そうですよ。作家の柳美里さんが「あんなに怖い話を書く人は、心の中に暗く不吉なものがあるに違いない」と言ったそうですが、僕の編集担当が「鈴木さんの頭の中は、どこを探しても暗いものがない。天然で明るいだけ」と説明したそうです。「僕の頭の中を空っぽみたいに言うなよ」と、そのとき思ったけど、実際に僕にはコンプレックスがひとつもなく、なんでこんなにいろんなことがうまくいくんだろうと思っている人間なんです。逆に、僕には明るい家族の話が書けません(笑)。

──作家・鈴木光司と貞子は“背中合わせ”の関係なんですね。小学生の頃に文章を書くようになったきっかけがあったそうですが……。

鈴木 小学5~6年のときに初めて小説らしきものを書いて、それが僕の作家デビュー作『楽園』のもとになっています。文章を書くようになったきっかけは、小学4年生の頃にクラスでいじめがあって、その輪の中に僕は入ることができず、疎外感を感じていたんです。そんなとき宮沢賢治の伝記を読んだら、賢治もいじめに遭遇して同じような心境になっていた。自分と同じように感じていた人がいたことがうれしく、それから賢治を真似て詩を書くようになったんです。

──小学校時代の体験が、作家・鈴木光司としての原点であり、『リング』誕生の原風景にもなったといえそうですね?

鈴木 そうですね。確かに、そういう部分はあるかもしれませんね。

──いじめって、どんなに時代を経てもなくなりません。

鈴木 いじめがなくなることはないでしょうね。昔は単純に貧富の差や容姿の違いから起きていたものだったと思いますが、今はいじめの構造が変わってきています。娘たちが通っていた学校でもいじめ問題があったので、ずっと考えていた時期があったんです。いじめの原因がどこにあるかは明白です。家族の問題なんです。いじられる側もいじめる側も、どちらも家庭に問題があることがほとんどで、家庭の崩壊がいじめの原因に繋がっている。いじめは子どもが学校に入学する前から根が張っている深い問題です。それが学校に上がって、ひとクラス30~40人が同じ輪になったときに、いろんな問題が顕在化してくる。いじめる側といじめられる側の立場が、逆転することもありえます。学校の先生が「いじめはダメ」と押さえつけても効果はありません。人間パワースポットみたいな根っから明るい子をうまく輪の中に配置することで、クラスの雰囲気は変わってきます。子どもたちからのボトムアップが重要です。先生がそのことをうまく理解して、子どもたちを配置できればいいんですが、今の先生たちは多忙すぎて、なかなか手が回らないというのが現状でしょう。

──いろんな状況を、作家として論理的に見つめているんですね。『リング』誕生から四半世紀が経ちますが、鈴木さんが感じる“恐怖”に変化はありますか?

鈴木 僕がいちばん怖いのは、やはり愛する家族を失うということ。そういう点では、恐怖の対象は変わっていないように思います。物理的に怖いのは、僕はヨットでよく航海するんですが、夜間に台風に遭遇したときですね。あらがいようのない大自然の怖さは、オカルトどころではないです。ヨットで航海しているときは、船の性能や自分の航海技術や能力で乗り切るしかない。小説や映画の世界で描かれる妄想の怖さは、またそれとは別物でしょうね。妄想は実態がないから、対処のしようがありませんから。『ザ・リング/リバース』で描かれた恐怖は、僕の原作にとても近い。その分、すごく怖いですよ。
(取材・文=長野辰次)

『ザ・リング/リバース』
原作/鈴木光司、映画『リング』
監督/F・ハビエル・グティエレス 脚本/デヴィッド・ルーカ、ヤコブ・アーロン・エステス、アキヴァ・ゴールズマン
出演/マチルダ・ルッツ、アレックス・ロー、ジョニー・ガレッキ、ヴィンセント・ドノフリオ
配給/KADOKAWA 1月26日(金)より全国ロードショー
C)2017 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
http://thering-movie.jp/

●鈴木光司(すずき・こうじ)
1957年静岡県生まれ。慶應大学文学部卒業後、90年に日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した『楽園』(新潮社)で小説家デビュー。91年に発表した『リング』(角川書店)は横溝正史賞最終選考に残り、ベストセラーに。その続編『らせん』(角川書店)は吉川英治文学新人賞を受賞。『リング』『らせん』は98年に同時映画化され、Jホラーブームを巻き起こした。『リング』はハリウッドで『ザ・リング』として2002年にリメイクされるなど、世界的な人気シリーズとなった。映画原作となった作品に『仄暗い水の底から』『バースデイ』『エス』(いずれも角川書店)などがある。

 

連ドラ初主演の吉岡里帆がドMヒロインに挑戦!! 視聴者のS心が沸き立つ『きみが心に棲みついた』

 吉岡里帆、1993年京都市出身。清純そうなルックスながら、大胆な水着グラビアで注目を浴び、『カルテット』『ごめん、愛してる』(ともにTBS系)などの人気ドラマやCMに出演。2017年もっともブレイクした女優に選ばれ、まさに順風満帆。京都で過ごした大学時代は小劇場系の舞台に立っていたというプロフィールも、はんなりとしたサブカル臭を漂わせ、いい感じです。でも、まだ女優としての決定打は放っていません。そんな吉岡里帆が連ドラ初主演作に選んだのが、火曜ドラマ『きみが心に棲みついた』(TBS系)です。

 天堂きりん原作コミックのドラマ化『きみ棲み』で吉岡里帆が演じるのは、下着メーカーに勤めるOL・小川今日子。ルックスは充分にかわいく、仕事に対する情熱もあるけれど、どうしても自分に自信が持てずにいつもオドオドしてしまう。そのため挙動不審な言動が多く、「キョドコ」というあだ名で呼ばれ続けてきました。自分のことが好きになれないキョドコが、まったく異なる価値観を持つ2人の男性(桐谷健太、向井理)の狭間で揺れ動くという恋愛トライアングルが紡がれていくことになります。

 マンガ原作ということもあり、主人公のキョドコこと小川今日子はかなりの変わり者です。ストールはいつもねじねじと巻き上げ、中尾彬風にしています。この癖、実は大学時代に憧れていたサークルの先輩の影響。いまだに大学時代に惚れた男のことが忘れられずにいるキョドコのことを心配して、職場の先輩である下着デザイナーの堀田(瀬戸朝香)は合コンへと誘い出します。この合コンで出逢ったのが、マンガ誌の編集者・吉崎(桐谷健太)でした。

 合コンの席で、キョドコのキョドコらしさが炸裂します。乾杯用の最初の一杯に思わずテキーラをロックで注文しようとするキョドコ。堀田にたしなめられ、無難なカクテルに注文を変えますが、場の空気を読むことも、人との距離のはかり方もとことん苦手なようです。さらには自己紹介の際におとなしいイメージを払拭したいあまりに、ハズしまくってしまいます。

「人見知りで、すぐテンパって、挙動不審になるので、学生時代からずっとキョドコと呼ばれました。挙動不審のキョドコで~す♪」

「元彼とかじゃないんです。うわーとなるんです。その人のせいで、変になっちゃたんです。正直誰でもいいんです。ありのままの私と恋愛してくれる人なら」

 ウケようとするあまり、素の自分を出そうとするあまり、どんどん空振りしてしまうキョドコ。まるで人間扇風機のようです。真冬に扇風機はいりません。あまりにも寒々しいキョドコを前にして、いつも本音で生きる熱い男・吉崎はイラッとしてしまいます。

「ありのままの自分を受け入れろって、傲慢。努力する気がないってことでしょ。大人なのに人見知りって宣言するなんて、周りに気をつかえってことだし。恋愛なんて無理じゃない?」

 初対面の吉崎からダメ出しされたことで、キョドコの胸はキュンとなります。根っからのM女のようです。この人なら、ダメな私を変えてくれるに違いない! 仕事が残っていることを口実に合コンを途中退席する吉崎の後を、ストーカーと化したキョドコが追い掛けます。

 いくら顔面偏差値が高い女性でも、地縛霊のように執拗にしがみつかれては男は引いてしまうものです。「私と付き合ってください」と迫るキョドコを突き飛ばし、吉崎はタクシーに乗って去っていきます。このときの吉岡里帆の尻餅の突き方が何ともいえない味わいのあるものでした。吉岡里帆のようなかわいい女の子が無様に振られるシーンに、倒錯的な喜びを感じる男性視聴者は少なくなかったのではないでしょうか。

■校内ストリップシーンは今後の伏線に!?

 

 第1話の後半、いよいよキョドコをノーマルな恋愛ができない体質へと調教した張本人が現われます。商社と合併したことでキョドコたちの下着メーカーに新しく上司として配属されてきた星名(向井理)こそが、キョドコの調教師、いやキョドコを悩ませ続けてきた悪魔でした。大学時代いつもひとりぼっちだったキョドコに対し、「キョドコはキョドコのままでいいんだよ」と甘い言葉でハートをつかみ、マインドコントロールしてしまったひどい男です。大学時代、キョドコは星名という名のひとりカルト教団にハマってしまいました。キョドコは星名のことを忘れたいのに、でもずっと忘れられずにいたのです。

 星名に気に入られたいがために、大学時代のキョドコは男子学生たちが集まったサークルの部室で、すっぽんぽんのストリップを披露したことが回想シーンで明かされます。ストリップシーンはブラを外した背中しかカメラに映りませんでしたが、絶賛売り出し中の若手女優に対して、TBSは何という羞恥プレイでしょう。ちなみにこの校内ストリップのエピソードは、今後の伏線にもなりそうです。原作では星名の呪縛から逃れられないキョドコは、星名に命じられるがまま新作下着の発表会に下着モデルとして登場するシーンが用意されています。星名は校内ストリップに飽き足らず、社内ストリップを命じるのです。連ドラ初主演となった吉岡が、毎回どこまで体を張ったシーンに挑むかが『きみ棲み』の見どころになりそう。向井理の悪魔ぶりをついつい応援したくなります。

 前クールで放映された井上真央主演ドラマ『明日の約束』(フジテレビ系)では、毒親の支配から逃げられない子どもたちの恐怖が描かれましたが、『きみ棲み』では元彼のマインドコントロールから抜け出せずにいるメンヘラ寄りの女性の葛藤がテーマとなりそうです。街でばったり再会した吉崎とメール&電話のやりとりをするようになって嬉々とするキョドコですが、キョドコが自分から離れていくことをデーモン星名は許しません。堀田が立ち上げた新プロジェクトのメンバーにキョドコは内定していたものの、星名の策略によってお流れとなってしまいます。

 学生時代に想いを寄せていた先輩が職場の上司としてふいに現われる、とてもマンガチックな幕開けとなった『きみ棲み』第1話。リアリティーのあるドラマではなく、やはり連ドラ初主演となった吉岡里帆の過剰なまでのハッスルぶりを楽しむべきものではないでしょうか。星名に耳元で「キョドコさん」と囁かれ目が泳ぐ仕草、お気に入りのブラジャーを胸に当てて無邪気に吉崎に見せる笑顔、先輩の堀田に喝を入れられ空元気で応える姿、部屋着姿でエロマンガの感想を熱心に書く一途な表情……。それはそれは、どれも小動物系のキュートでフォトジェニックな吉岡里帆のオンパレードです。

 気になる『きみ棲み』第1話の視聴率は9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。最終回が20.8%を記録した同じ火曜ドラマ枠の大ヒット作『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)は初回が10.2%でしたから、初回としてはそう悪くない数字です。視聴率がアップすれば吉岡はますますハッスルするでしょうし、ダウンすればセクシーなサービスカットが増えるかもしれません。星名役を演じる向井理だけでなく、視聴者のS心も大いに沸き立つ週に一度の楽しみとなりそうです。
(文=長野辰次)

連ドラ初主演の吉岡里帆がドMヒロインに挑戦!! 視聴者のS心が沸き立つ『きみが心に棲みついた』

 吉岡里帆、1993年京都市出身。清純そうなルックスながら、大胆な水着グラビアで注目を浴び、『カルテット』『ごめん、愛してる』(ともにTBS系)などの人気ドラマやCMに出演。2017年もっともブレイクした女優に選ばれ、まさに順風満帆。京都で過ごした大学時代は小劇場系の舞台に立っていたというプロフィールも、はんなりとしたサブカル臭を漂わせ、いい感じです。でも、まだ女優としての決定打は放っていません。そんな吉岡里帆が連ドラ初主演作に選んだのが、火曜ドラマ『きみが心に棲みついた』(TBS系)です。

 天堂きりん原作コミックのドラマ化『きみ棲み』で吉岡里帆が演じるのは、下着メーカーに勤めるOL・小川今日子。ルックスは充分にかわいく、仕事に対する情熱もあるけれど、どうしても自分に自信が持てずにいつもオドオドしてしまう。そのため挙動不審な言動が多く、「キョドコ」というあだ名で呼ばれ続けてきました。自分のことが好きになれないキョドコが、まったく異なる価値観を持つ2人の男性(桐谷健太、向井理)の狭間で揺れ動くという恋愛トライアングルが紡がれていくことになります。

 マンガ原作ということもあり、主人公のキョドコこと小川今日子はかなりの変わり者です。ストールはいつもねじねじと巻き上げ、中尾彬風にしています。この癖、実は大学時代に憧れていたサークルの先輩の影響。いまだに大学時代に惚れた男のことが忘れられずにいるキョドコのことを心配して、職場の先輩である下着デザイナーの堀田(瀬戸朝香)は合コンへと誘い出します。この合コンで出逢ったのが、マンガ誌の編集者・吉崎(桐谷健太)でした。

 合コンの席で、キョドコのキョドコらしさが炸裂します。乾杯用の最初の一杯に思わずテキーラをロックで注文しようとするキョドコ。堀田にたしなめられ、無難なカクテルに注文を変えますが、場の空気を読むことも、人との距離のはかり方もとことん苦手なようです。さらには自己紹介の際におとなしいイメージを払拭したいあまりに、ハズしまくってしまいます。

「人見知りで、すぐテンパって、挙動不審になるので、学生時代からずっとキョドコと呼ばれました。挙動不審のキョドコで~す♪」

「元彼とかじゃないんです。うわーとなるんです。その人のせいで、変になっちゃたんです。正直誰でもいいんです。ありのままの私と恋愛してくれる人なら」

 ウケようとするあまり、素の自分を出そうとするあまり、どんどん空振りしてしまうキョドコ。まるで人間扇風機のようです。真冬に扇風機はいりません。あまりにも寒々しいキョドコを前にして、いつも本音で生きる熱い男・吉崎はイラッとしてしまいます。

「ありのままの自分を受け入れろって、傲慢。努力する気がないってことでしょ。大人なのに人見知りって宣言するなんて、周りに気をつかえってことだし。恋愛なんて無理じゃない?」

 初対面の吉崎からダメ出しされたことで、キョドコの胸はキュンとなります。根っからのM女のようです。この人なら、ダメな私を変えてくれるに違いない! 仕事が残っていることを口実に合コンを途中退席する吉崎の後を、ストーカーと化したキョドコが追い掛けます。

 いくら顔面偏差値が高い女性でも、地縛霊のように執拗にしがみつかれては男は引いてしまうものです。「私と付き合ってください」と迫るキョドコを突き飛ばし、吉崎はタクシーに乗って去っていきます。このときの吉岡里帆の尻餅の突き方が何ともいえない味わいのあるものでした。吉岡里帆のようなかわいい女の子が無様に振られるシーンに、倒錯的な喜びを感じる男性視聴者は少なくなかったのではないでしょうか。

■校内ストリップシーンは今後の伏線に!?

 

 第1話の後半、いよいよキョドコをノーマルな恋愛ができない体質へと調教した張本人が現われます。商社と合併したことでキョドコたちの下着メーカーに新しく上司として配属されてきた星名(向井理)こそが、キョドコの調教師、いやキョドコを悩ませ続けてきた悪魔でした。大学時代いつもひとりぼっちだったキョドコに対し、「キョドコはキョドコのままでいいんだよ」と甘い言葉でハートをつかみ、マインドコントロールしてしまったひどい男です。大学時代、キョドコは星名という名のひとりカルト教団にハマってしまいました。キョドコは星名のことを忘れたいのに、でもずっと忘れられずにいたのです。

 星名に気に入られたいがために、大学時代のキョドコは男子学生たちが集まったサークルの部室で、すっぽんぽんのストリップを披露したことが回想シーンで明かされます。ストリップシーンはブラを外した背中しかカメラに映りませんでしたが、絶賛売り出し中の若手女優に対して、TBSは何という羞恥プレイでしょう。ちなみにこの校内ストリップのエピソードは、今後の伏線にもなりそうです。原作では星名の呪縛から逃れられないキョドコは、星名に命じられるがまま新作下着の発表会に下着モデルとして登場するシーンが用意されています。星名は校内ストリップに飽き足らず、社内ストリップを命じるのです。連ドラ初主演となった吉岡が、毎回どこまで体を張ったシーンに挑むかが『きみ棲み』の見どころになりそう。向井理の悪魔ぶりをついつい応援したくなります。

 前クールで放映された井上真央主演ドラマ『明日の約束』(フジテレビ系)では、毒親の支配から逃げられない子どもたちの恐怖が描かれましたが、『きみ棲み』では元彼のマインドコントロールから抜け出せずにいるメンヘラ寄りの女性の葛藤がテーマとなりそうです。街でばったり再会した吉崎とメール&電話のやりとりをするようになって嬉々とするキョドコですが、キョドコが自分から離れていくことをデーモン星名は許しません。堀田が立ち上げた新プロジェクトのメンバーにキョドコは内定していたものの、星名の策略によってお流れとなってしまいます。

 学生時代に想いを寄せていた先輩が職場の上司としてふいに現われる、とてもマンガチックな幕開けとなった『きみ棲み』第1話。リアリティーのあるドラマではなく、やはり連ドラ初主演となった吉岡里帆の過剰なまでのハッスルぶりを楽しむべきものではないでしょうか。星名に耳元で「キョドコさん」と囁かれ目が泳ぐ仕草、お気に入りのブラジャーを胸に当てて無邪気に吉崎に見せる笑顔、先輩の堀田に喝を入れられ空元気で応える姿、部屋着姿でエロマンガの感想を熱心に書く一途な表情……。それはそれは、どれも小動物系のキュートでフォトジェニックな吉岡里帆のオンパレードです。

 気になる『きみ棲み』第1話の視聴率は9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。最終回が20.8%を記録した同じ火曜ドラマ枠の大ヒット作『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)は初回が10.2%でしたから、初回としてはそう悪くない数字です。視聴率がアップすれば吉岡はますますハッスルするでしょうし、ダウンすればセクシーなサービスカットが増えるかもしれません。星名役を演じる向井理だけでなく、視聴者のS心も大いに沸き立つ週に一度の楽しみとなりそうです。
(文=長野辰次)