【関電幹部の金品受領】検察が立件を見送り、マスコミが長きに渡って沈黙した不可解さ

 関西電力の八木誠会長をはじめ幹部20人が、2011~17年の7年間にわたり、総額3億2,000万円相当の”原発マネー”を受け取っていたことが金沢国税局の税務調査で明るみに出た。

 前代未聞の原発スキャンダルである。在阪の大手紙社会部記者が語る。

「高浜原子力発電所のある福井県高浜町の元助役・森山栄治氏が金品を届けていたのですから驚きです。森山氏は、関電の原発工事を受注している地元の建設会社・吉田開発の顧問役。この会社から少なくとも3億円相当の金品を森山氏が受け取り、関電幹部に提供しました。原資はまさに原発マネー。関電幹部の元には、中元や歳暮として、高額のスーツ引換券や現金が届いていたようですが、あまりにも高額なため、森山氏に返そうとしたところ拒まれ、個々人で一時保管していた、などと関電側は苦しい釈明に追われています」

 この記者によると、森山氏は1977~87年に助役を務めた際、高浜原発3~4号機の誘致を成功させるため、関電と深い仲になったという。

事実を矮小化した関電は改めて会見を開くハメに

 退職後も、町長をしのぐ実力者にのし上がり、関電の原子力事業本部に在籍した歴代幹部と緊密な関係を築いたとみられている。

「そのため、森山氏による金品提供は2011年以前にも行われていたとみるのは当然。実際、八木会長は原子力事業本部に在籍し、2006~10年の間に金品を受け取ったと認めています。それなのに、関電は9月27日の記者会見で2011年以降に限定し、『幹部20人に3億円』と矮小化して発表してしまった。マスコミ各社の突き上げに遭い、関電は改めて10月2日に会見を開くハメに追い込まれています」(前出・記者)

 ところで今回の原発スキャンダルは、通信社のスクープを引き金に一斉報道された。在京の大手紙社会部デスクが言う。

「森山氏が90歳で亡くなった今年3月以降、在阪メディアに今回の裏金疑惑を告発する文書が出回りました。すでにその前年から金沢国税局は存命中の森山氏を追及中でしたが、途中、肝心の森山氏が亡くなり、税務調査は頓挫し、メディアの取材は沙汰止みになっています。しかし金沢国税局の孤軍奮闘で、関電幹部たちに修正申告させるところまでたどり着き、関電の社内調査も始まった頃合いを見て、9月26日深夜に共同通信が先行する形で一斉報道しました。毎日新聞も先行取材をしていて、翌27日の朝刊は一面トップでした」

 こうしたマスコミ事情について、事件取材に強いある古参ジャーナリストは、「むしろマスコミは半年もの間、疑惑を放置してきたというべきだろう」と憤慨して言う。

「告発文書が出たのは今年3月のこと。この時点ですでに、原発マネーをヤミで受け取った森山氏を金沢国税局が摘発していたし、一部のマスコミはこの事実をつかんでいたと聞いている。なのに、生前の森山氏を捕まえて取材をした形跡もないし、関電内部に深く入り込んで、独自に掘り起こして独自報道をしたわけでもない。ずっと黙って金沢国税局による税務調査や社内調査の推移を見守り、先方に都合よく取捨選択された情報だけを報じているに過ぎないのではないか」

 その言葉通り、古参ジャーナリストが入手した告発文を見てみると、頷ける部分がある。

 文書は今年3月10日付け。関電の岩根茂樹社長宛になっており、今回明らかになった森山氏や地元の原発工事会社「吉田開発」摘発の事実や、関電の八木会長たちに原発マネーが”還流”していると予告。

 その上で、関電がこうした疑惑について「無視、あるいは、もみ消し工作をするようであれば、次のような対応をとります。容赦はしません」「把握している限りの情報を、下記の諸団体、諸組織、マスコミ等に公表し、徹底的に解明、訴追してもらいます」と警告を発し、以下(※告発文ママ)のようなタレコミ先を列挙しているのだ。

・松井?新大阪市長(言わずもがな、大株主ですね。)
・神戸市長
・橋下徹氏
・福井新聞
・朝日新聞
・立憲民主党 ~ 国勢調査権の発動 大罪⑤対応
・日本共産党 ~ 国勢調査権の発動 大罪⑤対応
・原発設置反対小浜市民の会
・福井から原発を止める裁判の会 他
・テレビ朝日
・TBS
・金沢国税局
・大阪地検特捜部
・その他

 前出の古参ジャーナリストが言う。

「私が確かめたところ、列挙された関係先には告発文が届いていたし、ここに書かれていない他のメディアも文書を入手していた。第一、今回の事件は査察案件だったから、告発先となる検察も事前に概要を把握していたとみるのが自然だ。マスコミはこれだけの原発スキャンダルを検察にもみ消されてしまった疑惑こそ追及すべきだろう。そこに政治力が働いていないか検証すべきではないか。金沢国税局が必死になってつかんだ事実だけを報じて手柄話にすり替えるなんて、本末転倒。マスコミこそ、半年間も沈黙してきた咎(とが)を責められるべきではないか」

 ここにきて、立憲民主党の枝野幸男代表は、今回の原発スキャンダルについて「原発を推進してきた電力会社の姿勢と、それを後押ししてきた自民党政治の本質に関わる。臨時国会で最大の課題かもしれない」と国会で厳しく追及する構えを見せている。

 関電をめぐる原発マネーの全容解明をはじめ、検察が立件を見送ってマスコミが長きにわたって沈黙していた事情が、果たして、国会の場で明るみに出るときは来るのだろうか。

【関電幹部の金品受領】検察が立件を見送り、マスコミが長きに渡って沈黙した不可解さ

 関西電力の八木誠会長をはじめ幹部20人が、2011~17年の7年間にわたり、総額3億2,000万円相当の”原発マネー”を受け取っていたことが金沢国税局の税務調査で明るみに出た。

 前代未聞の原発スキャンダルである。在阪の大手紙社会部記者が語る。

「高浜原子力発電所のある福井県高浜町の元助役・森山栄治氏が金品を届けていたのですから驚きです。森山氏は、関電の原発工事を受注している地元の建設会社・吉田開発の顧問役。この会社から少なくとも3億円相当の金品を森山氏が受け取り、関電幹部に提供しました。原資はまさに原発マネー。関電幹部の元には、中元や歳暮として、高額のスーツ引換券や現金が届いていたようですが、あまりにも高額なため、森山氏に返そうとしたところ拒まれ、個々人で一時保管していた、などと関電側は苦しい釈明に追われています」

 この記者によると、森山氏は1977~87年に助役を務めた際、高浜原発3~4号機の誘致を成功させるため、関電と深い仲になったという。

事実を矮小化した関電は改めて会見を開くハメに

 退職後も、町長をしのぐ実力者にのし上がり、関電の原子力事業本部に在籍した歴代幹部と緊密な関係を築いたとみられている。

「そのため、森山氏による金品提供は2011年以前にも行われていたとみるのは当然。実際、八木会長は原子力事業本部に在籍し、2006~10年の間に金品を受け取ったと認めています。それなのに、関電は9月27日の記者会見で2011年以降に限定し、『幹部20人に3億円』と矮小化して発表してしまった。マスコミ各社の突き上げに遭い、関電は改めて10月2日に会見を開くハメに追い込まれています」(前出・記者)

 ところで今回の原発スキャンダルは、通信社のスクープを引き金に一斉報道された。在京の大手紙社会部デスクが言う。

「森山氏が90歳で亡くなった今年3月以降、在阪メディアに今回の裏金疑惑を告発する文書が出回りました。すでにその前年から金沢国税局は存命中の森山氏を追及中でしたが、途中、肝心の森山氏が亡くなり、税務調査は頓挫し、メディアの取材は沙汰止みになっています。しかし金沢国税局の孤軍奮闘で、関電幹部たちに修正申告させるところまでたどり着き、関電の社内調査も始まった頃合いを見て、9月26日深夜に共同通信が先行する形で一斉報道しました。毎日新聞も先行取材をしていて、翌27日の朝刊は一面トップでした」

 こうしたマスコミ事情について、事件取材に強いある古参ジャーナリストは、「むしろマスコミは半年もの間、疑惑を放置してきたというべきだろう」と憤慨して言う。

「告発文書が出たのは今年3月のこと。この時点ですでに、原発マネーをヤミで受け取った森山氏を金沢国税局が摘発していたし、一部のマスコミはこの事実をつかんでいたと聞いている。なのに、生前の森山氏を捕まえて取材をした形跡もないし、関電内部に深く入り込んで、独自に掘り起こして独自報道をしたわけでもない。ずっと黙って金沢国税局による税務調査や社内調査の推移を見守り、先方に都合よく取捨選択された情報だけを報じているに過ぎないのではないか」

 その言葉通り、古参ジャーナリストが入手した告発文を見てみると、頷ける部分がある。

 文書は今年3月10日付け。関電の岩根茂樹社長宛になっており、今回明らかになった森山氏や地元の原発工事会社「吉田開発」摘発の事実や、関電の八木会長たちに原発マネーが”還流”していると予告。

 その上で、関電がこうした疑惑について「無視、あるいは、もみ消し工作をするようであれば、次のような対応をとります。容赦はしません」「把握している限りの情報を、下記の諸団体、諸組織、マスコミ等に公表し、徹底的に解明、訴追してもらいます」と警告を発し、以下(※告発文ママ)のようなタレコミ先を列挙しているのだ。

・松井?新大阪市長(言わずもがな、大株主ですね。)
・神戸市長
・橋下徹氏
・福井新聞
・朝日新聞
・立憲民主党 ~ 国勢調査権の発動 大罪⑤対応
・日本共産党 ~ 国勢調査権の発動 大罪⑤対応
・原発設置反対小浜市民の会
・福井から原発を止める裁判の会 他
・テレビ朝日
・TBS
・金沢国税局
・大阪地検特捜部
・その他

 前出の古参ジャーナリストが言う。

「私が確かめたところ、列挙された関係先には告発文が届いていたし、ここに書かれていない他のメディアも文書を入手していた。第一、今回の事件は査察案件だったから、告発先となる検察も事前に概要を把握していたとみるのが自然だ。マスコミはこれだけの原発スキャンダルを検察にもみ消されてしまった疑惑こそ追及すべきだろう。そこに政治力が働いていないか検証すべきではないか。金沢国税局が必死になってつかんだ事実だけを報じて手柄話にすり替えるなんて、本末転倒。マスコミこそ、半年間も沈黙してきた咎(とが)を責められるべきではないか」

 ここにきて、立憲民主党の枝野幸男代表は、今回の原発スキャンダルについて「原発を推進してきた電力会社の姿勢と、それを後押ししてきた自民党政治の本質に関わる。臨時国会で最大の課題かもしれない」と国会で厳しく追及する構えを見せている。

 関電をめぐる原発マネーの全容解明をはじめ、検察が立件を見送ってマスコミが長きにわたって沈黙していた事情が、果たして、国会の場で明るみに出るときは来るのだろうか。