今や紙の新聞を取っている人は少数派かもしれないが、毎朝、自宅のポストに届けられる新聞を開いて1日が始まるという人はまだまだいる。ところが11月29日の朝、大手紙購読者の“モーニングルーティン”が、気まぐれな変更により崩された。
「私は毎朝起きると、まずは新聞のテレビ欄をチェックするのが日課。ネットでもチェックできるのは百も承知ですが、スマホは画面が小さいですし、いちいちパソコ…
今や紙の新聞を取っている人は少数派かもしれないが、毎朝、自宅のポストに届けられる新聞を開いて1日が始まるという人はまだまだいる。ところが11月29日の朝、大手紙購読者の“モーニングルーティン”が、気まぐれな変更により崩された。
「私は毎朝起きると、まずは新聞のテレビ欄をチェックするのが日課。ネットでもチェックできるのは百も承知ですが、スマホは画面が小さいですし、いちいちパソコ…
10月1日からついに始まった消費増税。飲食品などを対象とした8%に据え置かれる軽減税率制の採用とキャッシュレスによるポイント還元により、実質税率は複雑化。メディアはその混乱ぶりを取り上げたのだが、「おまいう」なのが新聞社だろう。何しろ「新聞にも軽減税率を導入しろ」と迫ってきたのは、他ならぬ新聞社自身だからだ。
その急先鋒は、渡辺恒雄主筆率いる読売新聞だった。
「 ただでさえ新聞離れが進んでいる中、値上げとなれば新聞社にとって死活問題。ナベツネ氏は安倍晋三首相と面会した時など、ことあるごとにプレッシャーをかけてきた。2013年には『8%を中止にし、10%に上げる時に、軽減税率については生活必需品は5%にどどめること』という手紙を、巨人戦のチケットを同封して、懇意の政治家たちに送っています。言うまでもなく『生活必需品』には新聞が含まれます。安倍政権は2014年4月、税率を5%から8%に引き上げたとはいえ、ナベツネ氏の意を汲んだのか、10%への増税は2度延期し、8%の軽減税率を盛り込みました」(政治部記者)
新聞協会はヨーロッパのように新聞、書籍、雑誌に軽減税率を適用するよう求めていたが、結局、対象は宅配の新聞のみ。全国に抱える新聞販売店の存亡が悩みのタネである新聞社にしてみれば、うまく政権側にご機嫌を取られた格好だ。
「読売は、麻生太郎財務相が『軽減税率は面倒くさい』と感想を述べると、『軽減税率代替策 「面倒くさい」で済まされるか』と社説で噛みついた(15年9月7日)。枝野幸男・民主党幹事長(当時)の『水道料金や電気料金に適用しないのに、新聞だけ適用するのは支離滅裂だ』との当然の指摘には『民主主義や活字文化を支える重要な公共財である新聞や出版物に対する理解を欠いていると言わざるを得ない』(15年12月20日社説)と自画自賛した上で糾弾しています」(同前)
その読売が、増税翌日の10月2日紙面では「複数税率大わらわ」と展開したのだから、唖然とするばかりだ。
安倍政権に批判的な朝日新聞も腰が定まらなかった。
1日付社説は「5年半ぶり消費増税 支え合う社会の将来像描け」と珍しく前向き。消費税を「所得の低い人の負担感が大きい税でもある」と指摘した上で「今回、食品と定期購読の新聞の税率を8%のままにする軽減税率が初めて入ったのも、そのことへの配慮という面がある」と理解を示した。
ところが翌2日紙面では「小売りなど一部混乱も」(1面)「消費増税複雑すぎて」(2面)と手のひら返しである。これぞ”ジャーナリズム”と言いたいのだろうか。
1日に日本新聞協会が出した声明は「不確かでゆがめられたフェイクニュースがインターネットを通じて拡散し、世論に影響するようになっています」と自らの報道に過ちなどないと言わんばかりだが、こんな”裸の王様”では、読者離れも致し方ないだろう。
10月1日からついに始まった消費増税。飲食品などを対象とした8%に据え置かれる軽減税率制の採用とキャッシュレスによるポイント還元により、実質税率は複雑化。メディアはその混乱ぶりを取り上げたのだが、「おまいう」なのが新聞社だろう。何しろ「新聞にも軽減税率を導入しろ」と迫ってきたのは、他ならぬ新聞社自身だからだ。
その急先鋒は、渡辺恒雄主筆率いる読売新聞だった。
「 ただでさえ新聞離れが進んでいる中、値上げとなれば新聞社にとって死活問題。ナベツネ氏は安倍晋三首相と面会した時など、ことあるごとにプレッシャーをかけてきた。2013年には『8%を中止にし、10%に上げる時に、軽減税率については生活必需品は5%にどどめること』という手紙を、巨人戦のチケットを同封して、懇意の政治家たちに送っています。言うまでもなく『生活必需品』には新聞が含まれます。安倍政権は2014年4月、税率を5%から8%に引き上げたとはいえ、ナベツネ氏の意を汲んだのか、10%への増税は2度延期し、8%の軽減税率を盛り込みました」(政治部記者)
新聞協会はヨーロッパのように新聞、書籍、雑誌に軽減税率を適用するよう求めていたが、結局、対象は宅配の新聞のみ。全国に抱える新聞販売店の存亡が悩みのタネである新聞社にしてみれば、うまく政権側にご機嫌を取られた格好だ。
「読売は、麻生太郎財務相が『軽減税率は面倒くさい』と感想を述べると、『軽減税率代替策 「面倒くさい」で済まされるか』と社説で噛みついた(15年9月7日)。枝野幸男・民主党幹事長(当時)の『水道料金や電気料金に適用しないのに、新聞だけ適用するのは支離滅裂だ』との当然の指摘には『民主主義や活字文化を支える重要な公共財である新聞や出版物に対する理解を欠いていると言わざるを得ない』(15年12月20日社説)と自画自賛した上で糾弾しています」(同前)
その読売が、増税翌日の10月2日紙面では「複数税率大わらわ」と展開したのだから、唖然とするばかりだ。
安倍政権に批判的な朝日新聞も腰が定まらなかった。
1日付社説は「5年半ぶり消費増税 支え合う社会の将来像描け」と珍しく前向き。消費税を「所得の低い人の負担感が大きい税でもある」と指摘した上で「今回、食品と定期購読の新聞の税率を8%のままにする軽減税率が初めて入ったのも、そのことへの配慮という面がある」と理解を示した。
ところが翌2日紙面では「小売りなど一部混乱も」(1面)「消費増税複雑すぎて」(2面)と手のひら返しである。これぞ”ジャーナリズム”と言いたいのだろうか。
1日に日本新聞協会が出した声明は「不確かでゆがめられたフェイクニュースがインターネットを通じて拡散し、世論に影響するようになっています」と自らの報道に過ちなどないと言わんばかりだが、こんな”裸の王様”では、読者離れも致し方ないだろう。
メディア業界を騒がせている政府人事をご存じだろうか。
安倍政権は8月30日、読売新聞グループ本社会長の白石興二郎氏を駐スイス大使に起用すると閣議決定した。白石氏は速やかに会長退任を発表。報道機関の現職トップから大使への起用は極めて異例のことで、政権と読売の近すぎる関係が、メディア業界で波紋を呼んでいるのだ。
「白石? 読売のトップはナベツネさんじゃないの?」と疑問をお持ちの方のために、読売新聞グループについて説明しておこう。
読売新聞グループとは、読売新聞を中心に文化、スポーツ、レジャーなど約150の会社や団体で構成されている。グループ全体を束ねているのが、持ち株会社である「読売新聞グループ本社」。ここには代表権を持つ役員が3人いる。
●代表取締役主筆 渡邉恒雄
●代表取締役会長 白石興二郎(読売新聞東京本社会長・編集主幹)※8月30日付で退任
●代表取締役社長 山口壽一(読売新聞東京本社社長)
要するに、読売新聞グループは渡邉恒雄氏ら3人による集団指導体制「トロイカ体制」を敷いており、その1人が白石氏というわけだ。
さて、白石氏が政府人事の対象になった背景には、4月の新元号決定に重要な役割を演じたためとの指摘がある。舞台裏を取材した全国紙の政治部記者の話。
「4月1日に『元号に関する懇談会』が首相官邸で開かれたんですが、進行役の菅義偉官房長官が最初に指名したのが白石さんだったんです。白石さんはこのとき、『令和が望ましい』と発言。続いて発言した有識者8人のうち7人が令和を推しています。官邸内では『白石さんの一言で令和決定の流れが決まった』と評価されていました。ですから、今回のスイス大使起用は白石さんと読売新聞に対する最大限の〝論功行賞〟とささやかれています」
もっとも、スイスは伝統的な親日国として知られ、大きな懸案はない。これまでにも、警察庁長官銃撃事件の被害者となった国松孝次氏元長官をはじめ、安倍首相の経済ブレーンである財務省出身の本田悦朗氏が大使を務めている。外交に通じていない人物でも大使が務まるというのがもっぱらの見方だ。
とはいえ、メディアに詳しい大学の専門家たちは今回の人事に厳しい注文を付けている。
「権力監視の役割を担うメディア出身者が権力側に回るのはおかしい。政権と一体化したと国民から思われても仕方がないじゃないか」
こうした声を一部のメディアが伝えているのだが、どういうわけか、一向に批判の声は高まらない。それもそうだろう。メディア出身者が大使に就任したケースは白石氏が5人目で、読売新聞だけに限らないからだ。外務省OBの話。
「過去には朝日新聞で環境問題の専門記者だった石弘之氏が大学教授を経て駐ザンビア大使に起用されています。元毎日新聞記者の高原須美子氏も経済評論家から駐フィンランド大使に就いた例もある。いわゆるアンチ読売の立場にあるメディアも、今回の白石さんの起用を批判すれば、天に唾することになりますね。それに大使を外務省出身者で独占させず、民間から人材を登用する考え方は諸外国では一般的で、望ましいことですから、批判するに当たらないと思います」
いや、ちょっと待ってほしい。外交官に民間から起用されるケースは諸外国でも一般的だからといって、政府人事にメディア幹部を安易に起用することを問題なしとするわけにはいかないのだ。というのも、最も深刻なケースがあるからだ。大手新聞社の記者が話す。
「全国の警察を管理する立場にある政府機関『国家公安委員会』をみてほしい。各社持ち回りのマスコミ枠があり、いまは読売新聞出身者が委員を務めている。過去にはNHK会長や日経新聞会長から転じたケースがあるし、最近では、共同通信社の元編集局長も起用されている。本来、マスコミは、警察による人権侵害を告発する立場にあるはず。それなのに政府機関入りしてしまっては、警察の不祥事など筆が鈍ることにもなる」
マスコミと政権の近すぎる関係によって、政権への批判記事を手控えるようなことが起きてしまっては本末転倒だろう。マスコミの”忖度”は働いていないかどうか、本サイトも監視していきたい。
Ad Plugin made by Free Wordpress Themes