12月15日に最終回を迎えた、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』。同作は、1964年に開催された東京オリンピックが実現するまでの半世紀を描いた作品。大河ドラマでは珍しい近代史モノ、そして2020年の東京オリンピックを翌年に控えての放送とあって注目を集め、初回視聴率こそ15.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)をマークしたが、第6話の放送以降1ケタ台を抜け出すことができず、第39話ではついに3.7%まで落ち込んでしまう結果に。全47話の平均視聴率は8.2%で、大河史上初となる1ケタ台と歴代ワースト記録を打ち立てたが、なぜ『いだてん』は不調だったのか、どうすればよかったのか――視聴者100人に聞いてみた。
競技シーンの演出を工夫する
オリンピックがテーマなだけに、競技シーンは見どころの一つ。視聴者は、本番さながらの感動と興奮を味わえるくらいの演出を求めていたようだ。
・2020年の東京オリンピックをイメージさせるために、競技のシーンを増やすべきだったと思います。(40代/男性/正社員)
・実際に走るシーンの躍動感が乏しいので、役者に長距離走の訓練を積ませて、当時の陸上選手と同様の体作りをさせた方がよかったと思います。(40代/男性/正社員)
出演者で話題性を上げる
『いだてん』のキャストは大御所から金メダリストまでそうそうたる顔ぶれだったが、視聴者の注目を集めるためには、もっと意外性のある人物のキャスティングが必要だったのかもしれない。
・サプライズで大物ゲストを呼んでの話題作り。(30代/男性/正社員)
・眼福効果のあるイケメンを大量に登場させてみるとよかったと思います。(30代/女性/正社員)
・満を持して、能年玲奈(現・のん)を起用する。または新しい地図のメンバーを起用する。ここまで低迷したら、思い切ったキャスティングが大事だったかも。(50代/女性/専業主婦)
・話題性が少ないので、人気のある女優さんや現役のアスリートを出演させるのがよかったと思います。(40代/男性/正社員)
・大河にしては近代のものなので、大御所の俳優さんより若手をどんどん起用して、もっと身近に感じてもらうのがよかったのではと思う。また、元オリンピック選手で現在は芸能活動をしている人を多く起用するのも、本物のオリンピックといった雰囲気になったのでは? 引退後に芸能で頑張っている元選手を応援したい気持ちにもなれて楽しそう。(40代/女性/専業主婦)
最も多かった意見は「わかりづらい」の一言。ストーリーの流れについていけず、脱落者が増えたことも視聴率低下の一因になっていたようだ。
・時間の経過がわかりづらい印象を受けました。最初のうちはゆっくりと時間が経過していたのに、かなり時間の進行が速くなり、少し混乱する部分がありました。時間経過をわかりやすく明確にすれば、視聴率は上がったと思います。(30代/男性/派遣社員)
・場面や時代が飛んでしまうので、とてもわかりにくかった。大河ドラマはお年寄りが多く見るので、わかりやすくした方がよかったのでは。(20代/女性/無職)
・相関図や年表を取り入れて、どの年代のどんな話題の回かを簡単に説明すべきだった。続けて見ていなかったり、見ようか迷っていたりする人にも優しいと思う。(20代/女性/派遣社員)
・時代があっち行ったりこっち行ったりしすぎるのをやめてほしかった。話がわかりづらく、見ていて疲れました。(40代/男性/正社員)
・戦国などのわかりやすい激動の時代でもなく、命の危機があるような設定でもない。ゆえに「何を目指して頑張っているのか」という点がわかりづらかった。話がどこに向かっているのか、登場人物の原動力はなにかを開示すると、とっつきやすかったと考えます。(20代/男性/正社員)
スピンオフやメイキングで“ドラマの裏側”を見せる
当時の時代背景やストーリーでは語られない脇役の人生など、“ドラマの裏側”を知りたいという声が多数。
・主人公以外のキャストに焦点を当てて、その人物の過去や日常を描くとよかった。(30代/男性/無職)
・昭和史自体をあまり知らない人が多いのも視聴率が低い理由だと思う。時代背景にある政治史などを、『いだてん』の出演者を交えて解説してくれる番組があればよかったのでは。(40代/女性/パート・アルバイト)
・『メイキングオブいだてん』を放送して、その背景を視聴者に伝えれば視聴率アップにつながったと思う。(40代/女性/正社員)
地道な番宣をする
タイアップや出演者のイベント参加などで認知度を上げ、これまで大河ドラマに興味がなかった層も取り込んで視聴率アップを狙うとよかったという声も。
・『チコちゃんに叱られる!』などの番組に、日頃あまりバラエティに出ない俳優さんが出て演技以外の表情を見せると、興味を増して視聴してみたいと思ったのではないかと思います。(40代/女性/個人事業主)
・市町村とタイアップして、ロケ地巡りを推奨すればよかったと思う。(40代/男性/正社員)
・ストーリーそのものは面白いのですが、番組紹介などがあまり芳しい感じではなく、せっかくの面白さが伝わってきません。もっと内容に踏み込んだ紹介をした方が良いと感じます。(40代/女性/無職)
・内容的には大変面白いのに、大河ドラマを見ている層(中高年)には合わないから視聴率が上がらなかったのでは。逆に今まで大河ドラマを見ていなかった若い人に積極的にアプローチするべきだった。(30代/女性/個人事業主)
重たい話題だけに見やすい演出を
1年間見続けるには、ストーリーが暗く、離脱した視聴者も散見された。重い話題をはねのけるような演出があれば、ここまで視聴率は下がらなかったかもしれない。
・スポットを当てている時代が時代なだけに、多少重い内容にならざるを得ないのはわかりますが……。題名とギャップのある重い展開・考えさせられる話を、日曜のあの時間帯に見るのはちょっとしんどいです。もっと展開が明るいとか、セットや画面全体の色合いを明るくするとか、見ていてストレートに元気が出る内容が増えるとよかった。(30代/女性/専業主婦)
・もっと華やかさが加わればいいなと思います。(50代/女性/専業主婦)
・毎話、単調のような気がした。もう少し話に抑揚をつけた方が、視聴者も『いだてん』の世界観に引きこまれたと思う。(20代/女性/学生)
・話の展開をもっとテンポよく、飽きにくいようにすれば、人気が出たと思います。(20代/女性/正社員) とはいえ、本題の腰を折ったり、ストーリーをわかりづらくしたりする演出は不要との声もチラホラ。
・無駄な寸劇が多いと感じるので、もっと省いた方がいいと思う。女性をババアと呼ぶのもどうかと思うので、そういった面がなくなればいいと思った。(20代/女性/正社員)
・変な誇張やギャグをやめて、誠実なストーリー展開をすべき。(50代/男性/無職)
・落語の部分を完全にカットするべきだった。年配の人には時間の移動はわかりにくいと思います。(40代/女性/専業主婦)
・落語の語りは使わずに、もう少しスポーツドラマであり、かつ人間ドラマであることを前面に押し出した方が良い。(50代/男性/個人事業主)
放送時間を変更する
これまでの大河ドラマとは視聴者層が異なりそうな内容だっただけに、放送時間が仇となった可能性も十分考えられそうだ。
・大河は、放送時間を21時台に変更すればいいと思います。『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)や『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)など他局の人気番組が放送される時間帯なので、視聴率が悪いのでは。(40代/女性/専業主婦)
・放送時間を変更すればいいと思います。午後6時台に変更すれば、民放よりもNHKを選ぶ人が増えたかもしれない。(30代/男性/個人事業主)
そもそも視聴率アップは無理⁉︎
「どうあがいても、視聴率アップは無理」という厳しい声も少なからず集まる結果に。
・そもそも題材が大河ドラマ向きではなく、朝ドラでやった方が良かった内容。時代劇を期待していた層が離れたので、あれこれテコ入れしても無駄だった。(40代/男性/個人事業主)
・歴史ものにしてはインパクトがない人物を題材にしたため、視聴率が上がらないのは仕方がないです。大河ドラマは誰でも知っている歴史上の偉人または配役がカギとなるのでは。今回は実在の人物、配役ともに印象が薄く、採用したNHKの制作者の責任は重いでしょう。視聴率をアップするなんて無理です。(50代/男性/経営者)
・そもそもここまできたら、もはや視聴率アップは望まない方がいいのでは?(30代/女性/正社員)
・来年の東京オリンピックと無理に結びつけようとしても、国民はついていけない。(40代/女性/個人事業主)
・視聴率を求めて余計なことはしてほしくないと思う。頑張ってよいものを作ってほしい。(30代/男性/派遣社員)
・もともと大河ドラマには向かない素材だったので仕方ないと思います。朝ドラや2時間枠に向いていたのでは。(50代/女性/個人事業主)
【アンケート概要】
■調査地域:全国
■調査対象:年齢不問・男女
■有効回答数:100サンプル