セックス中に“俯瞰”する女たち――『あなたのそばに』から考える女の本能

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『六つの禁じられた悦楽』(宝島社文庫)

■今回の官能小説
『あなたのそばに』(葉月奏太、『六つの禁じられた悦楽』より)

 男は別れた女との思い出を、まるで引き出しにでもしまうように大事に取っておく生き物だという。では、女にとっての失恋とは何なのか? ロマンチストな男とは真逆で、女はリアリストだと言うのならば、さしずめ女にとっての失恋は、「次の恋愛につなげる大事なステップ」だろう。失恋=失敗と捉え、「なぜ失敗したのか?」そして「また同じ失敗をしないためには、どうすればいいか」に頭を悩ませる――女はそんな一面を持っているのかもしれない。

 今回ご紹介する、官能アンソロジー『六つの禁じられた悦楽』(宝島社文庫)に収録された『あなたのそばに』の主人公・梨香は、どこにでもいるような普通のOLだ。彼女は23歳の頃、2つ年上の彼・あっくんと交際していた。地味なOLの梨香にとって、病院勤めで忙しいあっくんの存在は眩しく見えた。手料理を作ってもてなしたりと尽くしていたが、ある日彼が二股をしている事実を知る。しかも自分は本命ではなく、単なる遊び相手だった。

旅の醍醐味は男と女の恋愛にも通ずる、ご当地エロス小説『美女紀行』

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『美女紀行』/双葉社

■今回の官能小説
『美女紀行』
睦月影郎、霧原一輝、橘真児、川奈まり子、葉月奏太、柚木郁人、とみさわ千夏(双葉社)

 人は相手を見る時、なぜその背景にある「土地」に魅せられるのだろう? 函館、博多……訪れたことのない地名を聞くと心が浮き足立ち、故郷や、両親・祖父母にゆかりのある地名を聞くと、とたんに親近感が沸いてしまう。

 また、その土地に根付いた「方言」も、魅力の1つとなりえる。地元民にしてみれば何とも感じない、むしろ恥ずかしいとすら感じるかもしれない方言だが、その土地を知らない者からすると、それはそれはぞくっとするほど暖かくて可愛らしい、その人の強い魅力となるのだ。