いま日本の各地で「地方創生」が注目を浴びている。だが、まだ大きな成功例はあまり耳にしない。「まちおこし」の枠を超えて続きを読む
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『アンゴルモア 元寇合戦記』は面白かったけど……「聖地巡礼」で人なんか来てなさそうな対馬の最果て感
これは、あまりにもハードルが高い<聖地>だと思った。
ふと、対馬にいってみようと思った。
対馬は、いわずとしれた玄界灘に浮かぶ国境の島。大きさは日本で10番目の巨大な島だ。巨大ではあるものの、本土からははるかに遠い。
今回、東京を離れて関西を旅するついでがなければ、あえて行ってみようとは思いもしなかった。何しろ、対馬へは飛行機も船もあるのだけれども、距離は長いし料金は高い。
ただ、大阪までいってしまえば、時間さえ気にしなければ、距離はぐんと近くなる。大阪南港と新門司をつなぐフェリーは、一晩かかるとはいえネット限定で3,980円という激安料金で、九州まで運んでくれるのだ。
というわけで、やってきた、大阪南港。今では船便も減ったためか、ターミナルの雰囲気はうらぶれている。でも、乗船客はそこそこ多い。運送業者は日常的に使っているし、最近はフェリーで一泊しながら向かう国内ツアーも盛んな様子。そのためか、旅客は時間に余裕のある老人が圧倒的に多い。
17時発のフェリーは、アナウンスの流れる中を時間通り出港。途中、明石海峡大橋・瀬戸大橋・来島海峡大橋と夜景が美しい橋を3度もくぐるのが、この航路の名物。ただ、瀬戸大橋に達するのは深夜になってからなので、あえて見物するのは明石海峡大橋くらい。
船の中にはゲームコーナーなどもあるにはあるけれど、娯楽としては物足りない。やたらと揚げ物が目立つ、バイキング形式のレストランで食事をした後は、風呂に入って寝るだけ。一応、展望風呂にはなっているけれども、日が暮れてしまえば窓の外にはなにも見えない。
最安の二等は、雑魚寝である。平日ということもあってか、同室の客はもう一人だけ。
特にすることもないので、風呂を終えればあとは寝るだけである。瀬戸内海を航行するフェリーはあまり揺れることもなく、ぐっすりと眠ることができる。
翌朝。フェリーは午前5時過ぎに新門司港に到着する。ここからは、無料で小倉駅までバスで運んでくれるサービス付きである。小倉駅からは、一路電車で博多へ。通勤時間の電車は混み合っていて、ザックを背負う旅姿の自分は、少し肩身が狭い。
博多駅からはバスに乗り換え、またフェリーターミナルへ。ここから対馬へは、フェリーか高速船。当然、選ぶのは料金の安いフェリーのほうである。
係の人に「船は揺れますか?」と聞くと「今日は、そんなでもないですよ」という。ただ、それは慣れている人の言葉。玄界灘へと乗り出したフェリーは、時折ゆらりと大きく揺れる。途中、壱岐に寄港して対馬厳原港までは4時間半。船酔いを避けるためか、みんな50円の毛布を借りて、横になって寝ている。
旅が楽しいからと、座ったり立ったりしていれば、すぐに船酔いをしてしまうからだ。
船にはWi-Fiも飛んでいるが、陸地を離れれば電波は途切れがち。それに画面を見ていると、たちまち船酔いをしてしまいそう。だから、じっと横になっているしかない。
いつまで、じっとしていればいいのだろう。
じっと横になっているのも、面倒くさくなった頃、ようやくフェリーは厳原港へ到着した。
博多を出港したのは、午前10時00分。厳原港到着は、14時45分だから、一日の大半を移動で潰してしまった気分である。
■バスがあるだけマシの観光客に厳しい島
こうして降り立った厳原は、対馬の中心にあたる町である。だが、街には人の姿は少なかった。事前に聞いていた通り、島で目立つのは最近増えている韓国人観光客向けのハングルの案内。そう、歩いている島の外からやってきた人は、ほぼ韓国人ばかり。そもそも、博多からフェリーでやってきた乗客に旅行者然としていたのは、自分だけ。ほかは、出張らしきスーツ姿か作業着の人しかいなかったのだ。
とにかく、滞在中に観光客らしき日本人の姿を目にすることは、まったくなかった。むしろ、どこの店でも「何をしに対馬に?」と、日本なのに日本人観光客が珍しがられるのである。
それは観光案内所でも同様だった。島の地図や名所への行き方を尋ねようと入ってみたら、案内のブースに立っていたのは若い韓国人の女性だった。こちらが、日本語で尋ねると、何か韓国語で話してから、日本人を呼びに行った。
筆者は旅先では必ず、地域の情報を得るために、まず観光案内所に立ち寄る。旅行者にとっては、はじめて話す現地の人のはずだが、対応はさまざま。親切にあちこち名所を教えてくれる人もいれば、冷たく最低限のことを教えて切り上げようとする人も。
今回は、後者に近かった。
「和多都美神社に行きたいんですが……」
そう聞くと「バス、あんまりないんですよね」と、時刻表をくれた。それに目を通していると、目に入ったのが今年アニメになった『アンゴルモア 元寇合戦記』のパンフレット。
ここまで「聖地巡礼」に訪れるファンもいるのかと尋ねると「こないだは、ツアーも来ましたけど……」と、なぜか言葉少なげである。
その理由は、それから島の人と話す中で、次第にわかった。半数の人はそんなアニメがあるのを知っている程度。降り立ってみれば決して大きくはない島だけど、そもそも、そんなアニメがあって観光PRをしようとしている人がいることすら知らない人も多かった(観光施設の窓口でも!)。
今年、やはりアニメ化された『ゴールデンカムイ』は、関連で実施されたスタンプラリーが、北海道の広さを感じさせるものとして話題になった。『アンゴルモア 元寇合戦記』の聖地を巡ろうとすれば、それに比べると面積的には広くはない。ただ、島を訪れた旅行者が「どうやって行けばよいのだ?」と、頭を抱えるところばかり。
アニメに出てきた金田城は、バスを乗り継げばなんとか行けるだけ、まだよいほう。最初の合戦が描かれた佐須なんて、山を越えた島の反対側なのだが、そもそも公共交通機関は存在しない。
つまり「聖地巡礼」に限らずとも、観光はレンタカーが大前提。でも、幹線道路すらバスがすれ違いに苦慮するような狭さ。よほど運転に自信がなければ、事故を起こすことになるだろう。そんな島ゆえに「聖地巡礼」スポット選びにも苦悩したのか。なぜか、元寇とは関係ない清水山城(文禄・慶長の役に際してつくられた城)まで『アンゴルモア 元寇合戦記』の聖地として記載されているという状況。
確かに、元寇の時にそのあたりで戦ったかも知れないし、厳原から歩いていける山城ではある。「アニメ関係ないけど苦渋の選択」と、いったところか。
観光案内所に併設された食堂で、特産品の対州蕎麦を丁寧に解説してくれた人に、貼ってあった『アンゴルモア 元寇合戦記』のポスターを指さして「アニメの影響で来訪者が増えたりしてますか?」と尋ねると「あははは~」と苦笑して、はぐらかされた。それが、地域の住民のもっとも正直な反応といえるだろう。
やはりアニメの「聖地巡礼」で地域が活性化していくというのは、限られた成功例が注目されているに過ぎないと、改めて感じた。
■とはいえ、対馬は魅力満点である
だが、この「行くに行けない」という到達困難さが、逆に興味をそそる。今回、筆者が目指した和多都美神社は、かの神武天皇の祖父である彦火々出見尊(山幸彦)が、豊玉姫命と出会った神話の地。ここは、まだ公共交通機関で到達できる神社。
とはいえ、バスは日に数本だけ。それも厳原からは約1時間。そして、バス停からは歩いて3キロあまりという立地。最近、休日は神社までバスが来るようになったというので、まだ観光客向けにマシにはなった様子。
でも、その到達困難さゆえに、神社には圧倒される雰囲気がある。海へと連なる鳥居。本殿の裏手にある磐座は、日本の古来からの信仰を今に伝えてくれるのだ。
ほかにも対馬には、見どころのある神社は、多い。厳原の街にある厳原八幡宮神社は、三韓征伐の時に、神功皇后が神を祀ったとされる由緒正しい神社。
そんな神社なのだが、気になるのは境内を同じくする天神神社と若宮神社(合祀され社殿はひとつ)。
まず天神神社の祭神は安徳天皇と菅原道真。なぜ、安徳天皇かといえば、対馬に伝わる安徳天皇が壇ノ浦で入水せずに逃れてきた伝説があるから。
でも、これはまだわかる。もっと気になるのは、若宮神社のほうである。
この祭神は小西マリア。よほど歴史好きでないと知らないだろうが関ヶ原の戦いで西軍について敗れた小西行長の娘である。マリアは、対馬藩主・宗義智に嫁いだが、父が敗れて処刑されたため離縁され、長崎でキリスト教を信仰しながら生涯を終えたという……。
そんな女性を祀っているのが、この神社。
わかるだろうか。日本の神社なのに、キリスト教徒を神様として祀っているという希有な神社なのである。なんだ、この妙な懐の深さは……?
巨大な島に散らばる名所をめぐるための交通網は、観光客にはまったく優しくない。だが、この観光客にまったく慣れていないがゆえの独特の冷たさは、どこにいっても「町おこし」が盛んな現代においては、味わえぬもの。
来年には、長崎県立対馬歴史民俗資料館の移転・改修も終わり対馬博物館としてオープン予定というが、雰囲気に変化は訪れるのだろうか。
本土から遠く離れた島で、限れた商店は努力しなくても客は来るのか、大して愛想もよくない。そんな独特の感覚は、そう簡単には変わりはしないだろう。
むしろ、その独特さこそが、やたらと過剰なサービスとかマニュアルがあふれる現代にあっては、新鮮である。
『アンゴルモア 元寇合戦記』でも用いられた「率土の最果て」という言葉が似合う島・対馬。観光とか「聖地巡礼」では味わえない最果て感を、あえて味わいにいってもよさそうだ。
(文=昼間たかし)
いよいよ7月!! あの「田切駅」にアニメ史に残る名所が……“アニメ聖地巡礼発祥の地”記念碑が建立されるぞ
アニメ聖地巡礼発祥の地を記念する石碑が、この7月に建立される。
その名も「アニメ聖地巡礼発祥の地 記念碑」。建立されるのは、長野県は飯島町のJR飯田線・田切駅前である。
普段は、人もまばらな田切駅周辺だが、ここには古くから多くのアニメファンが詰めかけている。きっかけは、1991年にリリースされたOVA版『究極超人あ~る』だ。この作品では「いつも通り」に田切駅で降りてしまった主人公らが、轟天号(ブリジストンの自転車・ロードマン)で田切駅から伊那市駅までを走り抜けるのがクライマックス。
以来、決して賑わいはしないが、現在に至るまで田切駅を訪れるファンが絶えることはない。
そして2012年からは、年に一度大勢のファンが集うようになった。飯田線・伊那市駅開業100周年にちなむイベントの一つとして、伊那市役所自転車部などによって『究極超人あ~る』を再現しようという、あまりにオバカなイベントが開催されたのである。
以来、毎年一度、頼んでもないのに全国から、老若男女が自転車を担いだり、コスプレをして現地に駆けつけているのだ。
これを経て、2013年の開催時には田切駅を「究極超人あ~るとそのファンによって図らずも誕生した聖地巡礼発祥の地」であるとする「聖地巡礼発祥の地宣言」を発表。
そして、これまた面白い人々によって田切駅が開業100周年を迎える今年「アニメ聖地巡礼発祥の地 記念碑」の建立が決まったのである。
この催しの発案者の一人でもあり、記念碑の発起人である伊奈市役所自転車部「Cycle倶楽部R」代表の牧田豊氏は語る。
「毎年『今年もバカな夏がやってきました~』とは言ってますが、こんな片田舎に全国から人が来てくれるのは有り難いことです。みなさんの浄財のおかげで当初の予定よりも大きな記念碑を建てることができます。今では全国各地で聖地巡礼が行われているわけですけど、本当の始まりがここにはあります。それを、ぜひ来て、味わってほしいと思っています」
記念すべき碑の除幕式は、今年も全国から人が集まるイベント開催日に行われる予定。
毎年、メインの自転車イベントはタイトルを変えているが、今年は『轟天号を追いかけて 2018/伊那の七福神 聖徳寺さまは福禄寿』として開催。
===
田切駅開業100周年の良き年に、伊那の七福神を巡れば家内安全、商売繁盛、五穀豊穣、学業成就、恋愛成就、諸芸上達、武運長久、怨敵退散、焼肉定食まちがいなし
===
として、参加者を募っている。
自転車参加者は誓約書を提出する必要があるが、出走せずにコスプレなどで見物するなどのにぎやかしの場合は不要だ。
梅雨も明けた夏の1日、面白いものを探している人なら、ぜひ駆けつけたいところ。何も準備はいらない。ただ、伊那谷は美味いもの天国なので、腹だけは空かせておいたほうがいい。
(文=昼間たかし)
『轟天号を追いかけて 2018/伊那の七福神 聖徳寺さまは福禄寿』
https://goutengo.jimdofree.com/
7月28日(土) 飯田線・田切駅前集合
*午後2時30分頃から受付開始なので、勝手に集合のこと。
*自転車で走りたい人は、リンク先誓約書を提出の上で自力で。
いよいよ7月!! あの「田切駅」にアニメ史に残る名所が……“アニメ聖地巡礼発祥の地”記念碑が建立されるぞ
アニメ聖地巡礼発祥の地を記念する石碑が、この7月に建立される。
その名も「アニメ聖地巡礼発祥の地 記念碑」。建立されるのは、長野県は飯島町のJR飯田線・田切駅前である。
普段は、人もまばらな田切駅周辺だが、ここには古くから多くのアニメファンが詰めかけている。きっかけは、1991年にリリースされたOVA版『究極超人あ~る』だ。この作品では「いつも通り」に田切駅で降りてしまった主人公らが、轟天号(ブリジストンの自転車・ロードマン)で田切駅から伊那市駅までを走り抜けるのがクライマックス。
以来、決して賑わいはしないが、現在に至るまで田切駅を訪れるファンが絶えることはない。
そして2012年からは、年に一度大勢のファンが集うようになった。飯田線・伊那市駅開業100周年にちなむイベントの一つとして、伊那市役所自転車部などによって『究極超人あ~る』を再現しようという、あまりにオバカなイベントが開催されたのである。
以来、毎年一度、頼んでもないのに全国から、老若男女が自転車を担いだり、コスプレをして現地に駆けつけているのだ。
これを経て、2013年の開催時には田切駅を「究極超人あ~るとそのファンによって図らずも誕生した聖地巡礼発祥の地」であるとする「聖地巡礼発祥の地宣言」を発表。
そして、これまた面白い人々によって田切駅が開業100周年を迎える今年「アニメ聖地巡礼発祥の地 記念碑」の建立が決まったのである。
この催しの発案者の一人でもあり、記念碑の発起人である伊奈市役所自転車部「Cycle倶楽部R」代表の牧田豊氏は語る。
「毎年『今年もバカな夏がやってきました~』とは言ってますが、こんな片田舎に全国から人が来てくれるのは有り難いことです。みなさんの浄財のおかげで当初の予定よりも大きな記念碑を建てることができます。今では全国各地で聖地巡礼が行われているわけですけど、本当の始まりがここにはあります。それを、ぜひ来て、味わってほしいと思っています」
記念すべき碑の除幕式は、今年も全国から人が集まるイベント開催日に行われる予定。
毎年、メインの自転車イベントはタイトルを変えているが、今年は『轟天号を追いかけて 2018/伊那の七福神 聖徳寺さまは福禄寿』として開催。
===
田切駅開業100周年の良き年に、伊那の七福神を巡れば家内安全、商売繁盛、五穀豊穣、学業成就、恋愛成就、諸芸上達、武運長久、怨敵退散、焼肉定食まちがいなし
===
として、参加者を募っている。
自転車参加者は誓約書を提出する必要があるが、出走せずにコスプレなどで見物するなどのにぎやかしの場合は不要だ。
梅雨も明けた夏の1日、面白いものを探している人なら、ぜひ駆けつけたいところ。何も準備はいらない。ただ、伊那谷は美味いもの天国なので、腹だけは空かせておいたほうがいい。
(文=昼間たかし)
『轟天号を追いかけて 2018/伊那の七福神 聖徳寺さまは福禄寿』
https://goutengo.jimdofree.com/
7月28日(土) 飯田線・田切駅前集合
*午後2時30分頃から受付開始なので、勝手に集合のこと。
*自転車で走りたい人は、リンク先誓約書を提出の上で自力で。
マンホールの蓋まで『ラブライブ!サンシャイン!!』聖地巡礼に沸く沼津市でヒロインの顔が傷つけられる事件が発生
ほんわかした記事を書こうと思ったら、いきなりファンならずとも怒るとんでもない不届き者が現れてしまったぞ。
5月18日沼津市に『ラブライブ!サンシャイン!!』のメンバー9人をデザインしたマンホールの蓋が、市内9カ所に設置された。
『ラブライブ!サンシャイン!!』のヒット以来、聖地巡礼が絶えない沼津市。このマンホールの蓋は東京都の企業が沼津市や製作会社と連携したクラウドファンディングで制作資金を募り実現したもの。
18日の設置以来、既に多くのファンが訪れているとして話題になっていた。
大好きなアニメヒロイン、いや「嫁」が、靴の裏に踏まれかねないマンホールの蓋になるとは……。
今は昔『ToHeart』のマルチが秋葉原駅の床広告になった時に「大丈夫か」「踏んでよいのか」と驚愕された時代からすると隔世の感がある。
と、いうわけでファンの声を拾い記事にしようかと思っていたら、突然の事件が!!
何者かによって蓋に描かれたヒロインの顔が傷つけられる事件が発生したのである。
沼津市によれば同27日に通行人からマンホールの蓋に傷を付けている人がいるという通報があり、キャラクターの顔の部分に明らかに故意に付けられた傷を確認したという。
二次元とはいえ、女のコの顔に傷を付けるとはファンならずとも絶対に許せないことである。犯人への怒りと共に、早急に傷の修復が望まれるところだ。
そのあたりはどうなっているのかと、沼津市の水道総務課に聞いてみると……
「今のところ、修理の予定は決まっていません。まず、被害届をどうするかを弁護士とも相談しているところです……」
具体的に修理を行うとしても、どのような形になるかも今のところは未定……という話だったのだが、市は6月1日に被害届を提出。
しかし、被害はこれだけにとどまらず、5日にはこのオリジナルマンホールの蓋3枚に塗料のようなものが吹き付けられる被害が発生。市は被害届を出した上、再発防止のため全キャラクター分9枚すべてを回収した。設置再会の時期は未定だという。
今後もわんさかと訪れるファンたちは聖地巡礼の喜びどころか、悲しみと怒りに打ち震えるのではないか……。こんな不届き者どもを許してはならない。
(文=昼間たかし)
マンホールの蓋まで『ラブライブ!サンシャイン!!』聖地巡礼に沸く沼津市でヒロインの顔が傷つけられる事件が発生
ほんわかした記事を書こうと思ったら、いきなりファンならずとも怒るとんでもない不届き者が現れてしまったぞ。
5月18日沼津市に『ラブライブ!サンシャイン!!』のメンバー9人をデザインしたマンホールの蓋が、市内9カ所に設置された。
『ラブライブ!サンシャイン!!』のヒット以来、聖地巡礼が絶えない沼津市。このマンホールの蓋は東京都の企業が沼津市や製作会社と連携したクラウドファンディングで制作資金を募り実現したもの。
18日の設置以来、既に多くのファンが訪れているとして話題になっていた。
大好きなアニメヒロイン、いや「嫁」が、靴の裏に踏まれかねないマンホールの蓋になるとは……。
今は昔『ToHeart』のマルチが秋葉原駅の床広告になった時に「大丈夫か」「踏んでよいのか」と驚愕された時代からすると隔世の感がある。
と、いうわけでファンの声を拾い記事にしようかと思っていたら、突然の事件が!!
何者かによって蓋に描かれたヒロインの顔が傷つけられる事件が発生したのである。
沼津市によれば同27日に通行人からマンホールの蓋に傷を付けている人がいるという通報があり、キャラクターの顔の部分に明らかに故意に付けられた傷を確認したという。
二次元とはいえ、女のコの顔に傷を付けるとはファンならずとも絶対に許せないことである。犯人への怒りと共に、早急に傷の修復が望まれるところだ。
そのあたりはどうなっているのかと、沼津市の水道総務課に聞いてみると……
「今のところ、修理の予定は決まっていません。まず、被害届をどうするかを弁護士とも相談しているところです……」
具体的に修理を行うとしても、どのような形になるかも今のところは未定……という話だったのだが、市は6月1日に被害届を提出。
しかし、被害はこれだけにとどまらず、5日にはこのオリジナルマンホールの蓋3枚に塗料のようなものが吹き付けられる被害が発生。市は被害届を出した上、再発防止のため全キャラクター分9枚すべてを回収した。設置再会の時期は未定だという。
今後もわんさかと訪れるファンたちは聖地巡礼の喜びどころか、悲しみと怒りに打ち震えるのではないか……。こんな不届き者どもを許してはならない。
(文=昼間たかし)
『たまゆら』の聖地に見た“向上心を忘れた観光地”竹原市の行く末──観光協会と地元民の不協和音も
もはや、どこにでも当たり前のように存在するようになったアニメの「聖地」。
今回、たまたま訪れた広島県竹原市で見たのは、「聖地巡礼」ブームが去った後に、どうやってその“観光資源”を生かしていくかという問題であった。
写真好きの女子高校生である沢渡楓を中心に女子高生たちの青春を描く『たまゆら』がOVAとしてリリースされたのは、2010年。翌11年からはテレビアニメが2期にわたって放送。その後、OVAで16年に完結した。
それから2年あまり。竹原市は「訪れてみたい日本のアニメ聖地」にもセレクトされている。でも、普段の竹原の市街地には、賑わいは見られない。駅を一歩出ると広がるのは、営業している店のほうが少ない商店街。そんな駅前のロータリーにある観光協会の建物に掲げられた『たまゆら』のイラストも、すでに輝きを失っている……。
正直「大丈夫か?」と感じながら、観光協会で街の観光スポットを尋ねてみた。
中にいた観光協会の職員が勧めたのは、駅から少し歩いたところにある「町並み保存地区」。古くから製塩などで栄えた竹原は「安芸の小京都」と呼ばれる土地だったという。そんな歴史を聞いた後に『たまゆら』の話題をふると、職員は『たまゆら』の舞台をガイドマップでまとめたパンフレットを渡してくれた。
すでに作品の完結から、少し時間がたってしまったが、まだアニメファンは訪れるのだろうか。そのことを尋ねると……。
「イベントの時なんかは、まだたくさん来てくれますよ」
この竹原はNHKの連続テレビ小説『マッサン』の舞台にもなった土地。でも、観光協会でしきりに推されたのは『マッサン』よりも『たまゆら』のほうだった。
実際、アニメの聖地となったことのインパクトは大きかったのだろう。シャッターばかりが続く商店街には、あらゆるところに『たまゆら』のポスターやPOPなどが掲げられているのだ。その商店街を抜けた先にある道の駅には『たまゆら』の特設コーナーまで設けられている。
でも、作品の舞台となったロケーションが数多くある町並み保存地区に入ると、風景はガラリと変わる。そこまでは、あちこちにあった『たまゆら』の絵も文字も、まったく目にすることがなくなるのだ。
そのあたりで地元の人に話を聞くと、さまざまな問題が見えてきた。それは、メインの観光地である町並み保存地区の人々の、『たまゆら』なり『マッサン』を推す観光協会への不信感。
「土日は、そこそこ観光客が来るけど……ぜんぜん、お金を落とさない」
ある商店の人は、吐き捨てるようにいう。
しかし、どうだろう。この、町並み保存地区というところ、確かに町並みは保存されている。でも、観光客がお金を落としそうなところが極端に少ない。数件の飲食店を除けば、資料館くらいだろうか。
正直、街の経済が沈滞しているからこそなのか、町並みの保存状態はよい。でも、このような町並みは、全国のあちこちに存在する。ほかに観光客が押し寄せる要素はどこにもない。『たまゆら』は、そうした沈滞ムードを打破する要素と成り得たのに、それは果たせなかった。
歩けば寂しさばかりがつのる観光地の行く末が、気になった。
(文=昼間たかし)
『たまゆら』の聖地に見た“向上心を忘れた観光地”竹原市の行く末──観光協会と地元民の不協和音も
もはや、どこにでも当たり前のように存在するようになったアニメの「聖地」。
今回、たまたま訪れた広島県竹原市で見たのは、「聖地巡礼」ブームが去った後に、どうやってその“観光資源”を生かしていくかという問題であった。
写真好きの女子高校生である沢渡楓を中心に女子高生たちの青春を描く『たまゆら』がOVAとしてリリースされたのは、2010年。翌11年からはテレビアニメが2期にわたって放送。その後、OVAで16年に完結した。
それから2年あまり。竹原市は「訪れてみたい日本のアニメ聖地」にもセレクトされている。でも、普段の竹原の市街地には、賑わいは見られない。駅を一歩出ると広がるのは、営業している店のほうが少ない商店街。そんな駅前のロータリーにある観光協会の建物に掲げられた『たまゆら』のイラストも、すでに輝きを失っている……。
正直「大丈夫か?」と感じながら、観光協会で街の観光スポットを尋ねてみた。
中にいた観光協会の職員が勧めたのは、駅から少し歩いたところにある「町並み保存地区」。古くから製塩などで栄えた竹原は「安芸の小京都」と呼ばれる土地だったという。そんな歴史を聞いた後に『たまゆら』の話題をふると、職員は『たまゆら』の舞台をガイドマップでまとめたパンフレットを渡してくれた。
すでに作品の完結から、少し時間がたってしまったが、まだアニメファンは訪れるのだろうか。そのことを尋ねると……。
「イベントの時なんかは、まだたくさん来てくれますよ」
この竹原はNHKの連続テレビ小説『マッサン』の舞台にもなった土地。でも、観光協会でしきりに推されたのは『マッサン』よりも『たまゆら』のほうだった。
実際、アニメの聖地となったことのインパクトは大きかったのだろう。シャッターばかりが続く商店街には、あらゆるところに『たまゆら』のポスターやPOPなどが掲げられているのだ。その商店街を抜けた先にある道の駅には『たまゆら』の特設コーナーまで設けられている。
でも、作品の舞台となったロケーションが数多くある町並み保存地区に入ると、風景はガラリと変わる。そこまでは、あちこちにあった『たまゆら』の絵も文字も、まったく目にすることがなくなるのだ。
そのあたりで地元の人に話を聞くと、さまざまな問題が見えてきた。それは、メインの観光地である町並み保存地区の人々の、『たまゆら』なり『マッサン』を推す観光協会への不信感。
「土日は、そこそこ観光客が来るけど……ぜんぜん、お金を落とさない」
ある商店の人は、吐き捨てるようにいう。
しかし、どうだろう。この、町並み保存地区というところ、確かに町並みは保存されている。でも、観光客がお金を落としそうなところが極端に少ない。数件の飲食店を除けば、資料館くらいだろうか。
正直、街の経済が沈滞しているからこそなのか、町並みの保存状態はよい。でも、このような町並みは、全国のあちこちに存在する。ほかに観光客が押し寄せる要素はどこにもない。『たまゆら』は、そうした沈滞ムードを打破する要素と成り得たのに、それは果たせなかった。
歩けば寂しさばかりがつのる観光地の行く末が、気になった。
(文=昼間たかし)
実務経験ゼロでも自信たっぷり……事例はいつも大洗!? 「聖地巡礼」に群がる“アヤシげ”な人々
ホント、こんな人が増えたな。いや、前からか……?
先日、あるアニメ・マンガ関係の会合で「観光振興」などの仕事をしているという人物と名刺交換をする機会があった。どうやら、先方は筆者の名前を知っていたそうで「お名前は存じてます」と言う。
そう言われれば、こちらの返事は当然「どちらの作品を読んでいただいていますか?」となる。すると、その人物は、こう返答した。
「いや、Twitterで『また昼間か』とか……」
別に腹も立たず、冷静にその人物の名刺に目をやった。肩書には、ある学会に所属していることと、ある関西の町の観光物産協会の会員であることが記されていた。
その町のことが嫌いになりかけた。とはいえ、正直な言葉を返して、場を荒らすのもよくない。なので、こんな質問をしてみた。
「最近、盛り上がっていたり、面白い取り組みをしている地域はどこですか?」
すると、こう言われた。
「それは、大洗ですよ。大洗は盛り上がってますよ」
思わずあぜんとしてしまった。そんなことは誰でも知っているし、多くの人が言及していることである。
これまで、地方都市でいきなり「うちでも、アニメやマンガで町おこしを」「地域を舞台にしたゲームをつくります」「コスプレイヤーを集めてイベントをやります」といった人が現れては、何も実現できないままに消えていった事例を数多く聞いていた。
きっと、この人物もその類いに違いはなかった。
何よりも、いきなり町に悪印象を与える人を抱えているこの観光物産協会も、大変なんだろうな……と思った。
特段、聖地巡礼は専門ではないが、あちこちの地方都市の取材を重ねている筆者。大洗をはじめとする成功例が注目されるゆえだろうか? 次々と現れる“アヤシげ”というべきか、どうしようもない人に出会うこともある。一昨年に報じた『東方Project』の聖地に出没していた「私は天照大神と話ができる」という人物(その後、現在まで姿を見ていない)ほど、ぶっ飛んだ例には出くわさないが(参照先「おたぽる」)、「なんだかな」と首をかしげさせられる人は尽きない。
昨年、首都圏の行政機関でアニメ・マンガの地域振興に携わる知人が、ある記事に登場していた。たまたま顔を合わせた時に、その記事に触れたら顔をしかめられた。
「いやね、記事を書いたあの人……地方のコンサルとか名乗ってるけど、アニメ・マンガも含めて実務経験もないのに、さも自分には実績があるかのように話すんですよ。宣伝にもなるから、取材は断らないようにしていますけどねえ……」
聖地巡礼に携わる大半の人が、素朴な気持ちで地域を盛り上げようとしているのは、まごうことない事実である。
だからこそ、アヤシげなヤツらは、浮かび上がって見えるということか。
(文=昼間たかし)
実務経験ゼロでも自信たっぷり……事例はいつも大洗!? 「聖地巡礼」に群がる“アヤシげ”な人々
ホント、こんな人が増えたな。いや、前からか……?
先日、あるアニメ・マンガ関係の会合で「観光振興」などの仕事をしているという人物と名刺交換をする機会があった。どうやら、先方は筆者の名前を知っていたそうで「お名前は存じてます」と言う。
そう言われれば、こちらの返事は当然「どちらの作品を読んでいただいていますか?」となる。すると、その人物は、こう返答した。
「いや、Twitterで『また昼間か』とか……」
別に腹も立たず、冷静にその人物の名刺に目をやった。肩書には、ある学会に所属していることと、ある関西の町の観光物産協会の会員であることが記されていた。
その町のことが嫌いになりかけた。とはいえ、正直な言葉を返して、場を荒らすのもよくない。なので、こんな質問をしてみた。
「最近、盛り上がっていたり、面白い取り組みをしている地域はどこですか?」
すると、こう言われた。
「それは、大洗ですよ。大洗は盛り上がってますよ」
思わずあぜんとしてしまった。そんなことは誰でも知っているし、多くの人が言及していることである。
これまで、地方都市でいきなり「うちでも、アニメやマンガで町おこしを」「地域を舞台にしたゲームをつくります」「コスプレイヤーを集めてイベントをやります」といった人が現れては、何も実現できないままに消えていった事例を数多く聞いていた。
きっと、この人物もその類いに違いはなかった。
何よりも、いきなり町に悪印象を与える人を抱えているこの観光物産協会も、大変なんだろうな……と思った。
特段、聖地巡礼は専門ではないが、あちこちの地方都市の取材を重ねている筆者。大洗をはじめとする成功例が注目されるゆえだろうか? 次々と現れる“アヤシげ”というべきか、どうしようもない人に出会うこともある。一昨年に報じた『東方Project』の聖地に出没していた「私は天照大神と話ができる」という人物(その後、現在まで姿を見ていない)ほど、ぶっ飛んだ例には出くわさないが(参照先「おたぽる」)、「なんだかな」と首をかしげさせられる人は尽きない。
昨年、首都圏の行政機関でアニメ・マンガの地域振興に携わる知人が、ある記事に登場していた。たまたま顔を合わせた時に、その記事に触れたら顔をしかめられた。
「いやね、記事を書いたあの人……地方のコンサルとか名乗ってるけど、アニメ・マンガも含めて実務経験もないのに、さも自分には実績があるかのように話すんですよ。宣伝にもなるから、取材は断らないようにしていますけどねえ……」
聖地巡礼に携わる大半の人が、素朴な気持ちで地域を盛り上げようとしているのは、まごうことない事実である。
だからこそ、アヤシげなヤツらは、浮かび上がって見えるということか。
(文=昼間たかし)