「誰でも、何度でも結婚していいんです」バツ3でも幸せになる方法

 結婚しない「ゼロ婚女性」が増える一方で、芸能界では山口もえや土屋アンナ、千秋など子持ちで再婚する女性が目立つ。こうした傾向は一般の女性にも見られるが、そもそも再婚する女性と、一度も結婚しない女性との違いはどこにあるのだろうか?『堂々再婚~何度でも結婚できる技術』(WAVE出版)を上梓し、ご自身も子連れで3度目の結婚をされている三松真由美(二松まゆみから改名)さんにお聞きした。

■「結婚はムリ」と思い込んでいるのは、世間ではなく自分自身

――国内の夫婦の3組に1組が離婚する時代となり、離婚そのものは珍しい時代ではなくなりました。

三松真由美さん(以下、三松) むしろ今は、初婚の相手と一生添い遂げるほうが難しいのかもしれません。私のようなバツ2や、あるいはバツ3でも幸せな方は、たくさんいらっしゃいます。私は反省だらけの結婚生活を経験し、今とても幸せなので、「結婚は何回失敗してもいいし、自分から動けば幸せになれる」ということを身に染みてわかっているつもりです。これを皆さんに知ってほしくて、本を書きました。バツアリだけではなく、ゼロ婚女子の方も、ぜひ本書を読んで幸せをつかんでいただきたいですね。

――子連れでの再婚、アラフォー以上の初婚は、ハードルがとても高い気がします。

三松 たしかに子連れの場合、「子どもがかわいそうだから」と離婚に踏み切れない方も多いと思います。でも、夫に愛されていない、あるいは夫を愛することもできず、愛されなくて輝いていないママより、生き生きとしているほうがお子さんもうれしいと思います。理解できる年齢になった時に徹底的に話して、もし離婚していなければ、今の幸せはなかったと伝えてください。

 そして、ゼロ婚の方も同様なのですが、「自分はやっぱり結婚に向いていないのでは……」とか「こんなトシだから結婚はムリ」「若い女性には負ける」などと、つい思いがちですよね。けれど、そう思い込んでいるのは、実は世間ではなく自分自身なんですよ。子連れでもアラフォーでも、結婚して幸せになっている方はたくさんいらっしゃいますから。

――なるほど。まずは自分の考えを変えることから始めるべきですね。

三松 そうです。もちろん、離婚はかなり疲れます。私も、身も心もボロボロになりました。でも、離婚は、次の幸せをつかむための投資だと思ってください。詳しくは本を読んでいただきたいのですが、私も過去の結婚の失敗からたくさんのことを学んで、お伝えしたいことはたくさんあります。もちろんゼロ婚の方も、「もういいトシだし、かわいくないし……」と思わないで、幸せな結婚へ向けて歩きだしてほしいです。

■古典的なアクションも大いに活用

――ある程度年齢がいってしまうと、出会いの機会を探すのも難しいですね。本書では婚活パーティーのほか、流行の「相席サービス」のある居酒屋や、カフェなどの利用も勧められています。

三松 むしろ、ナンパも奨励しています。「相席サービス」は、女性は無料や低料金で楽しめるので、モノは試しとして、お得に飲む程度の感覚で行かれてはいかがでしょう? 私も行ってみましたが、なかなかよかったですよ。

 とにかく、きっかけは自分で作ってください。お部屋を探す時と同じで、不動産の物件のように、たくさん見た中から選ぶほうがいいのです。自宅と会社の往復だけで、出会いがあるわけないじゃないですか。まずは、自分の興味のあるところに、自分で行くことです。たとえば、いつも行くファストフードではなく、ちょっとオシャレなカフェに行って周囲を見てみてください。一人で過ごしているイケメンさんが結構いますよ。とはいえ、ルックスだけで選ぶと、失敗の可能性も高いのですが。まずは裾野を広げる。

――知らない男性に声をかけるのは、勇気が必要です。

三松 ダメ元でいいんですから、どんどんアタックしてください。婚活パーティーよりも気軽でいいのではないでしょうか。いきなり「付き合いましょう」ではなく、「よくこのお店で本を読まれてますね」など、無難なあいさつから開始します。目の前でハンカチを落とすなど、古典的なアクションも大いに活用することです。ファーストアクションで人生激変。成功と失敗はフィフティフィフティですから、5割の確率で彼と話がはずむと信じてみてください。

 それから、恥ずかしがらずに「再婚したい」あるいは「結婚したい」という意思を周囲にオープンにするのもオススメです。そうすることで、誰かを紹介してもらったり、独身の男性が来るパーティーや飲み会に誘ってもらえたりするようになります。

 そして、パーティーなどの席では、一番目立たない男性と一番目立つ男性に声をかけるのがコツです。所在なげにしている男性には飲み物を取ってあげるとか、みんなと話している男性には、「楽しかったので、また呼んでください」と声をかけたりして、「安心感のある、話しやすい女性」を印象づけるのです。本命となる人は、こんなあなたをきっと見ています。振れ幅を広く持ちましょう。

■離婚の経験があると、相手に求めすぎないことの大切さがわかる

――気になる人がいても、なかなか次の行動に移れません。

三松 離婚して傷つくのが怖くなっているのはわかりますが、一度は男性から「選ばれた女性」なのですから、自信を持ってください。ゼロ婚女性より、勝るところも多いと思ってください。それに、男性は、女性以上に結婚願望の強い方が多い印象です。「老後はどうしよう?」とか、「家事ができない」とか、不安が多いのでしょうが、単純に「寂しがり屋さん」ということもあります。

 一方で、男性は「女性を守ってあげたい」と思うものですから、夫のいない寂しさを少しだけ見せるのもテクニックです。

――気をつけるべきことって、ありますか?

三松 過去の失敗を思い出してみましょう。離婚の経験がある方は、相手に求めすぎないこと、寛容さを持つこと、「男ゴコロ」を理解しようと努力することなどの大切さがわかると思います。それに、男性を見る目も養えていますよね。

 それから、年下も、ぜひターゲットにしてください。最近の若い男性は「年上の女性にリードされたい」と考えることに抵抗がないようです。飲み物をこぼしてしまった時にすぐにティッシュを出してふいたり、せきをしている人にのど飴をあげたりする「必要な時に必要なものを出せる」など、オトナの女としての気配りに惹かれる男性は多いです。私はこれを「チョイ妻行動」と呼んでいます。ぜひ意識してください。

■「元人妻」として、色っぽさは維持

――本書の中では、セクシャルな魅力についても強調されています。

三松 やはり男性は女性を性的な対象として見ますから、セクシーさは必須です。「元人妻」として、色っぽさはぜひ維持してください。

 最近の芸能人の再婚で驚いたのは、やはり千秋さんです。お相手が15歳下というのは、たいしたものです。千秋さんは40代だけど、お肌もツヤツヤだし、おしゃれでかわいい女性ですよね。

「もうオバハンだから」と言わないで、メイクを変えてみるとか、おしゃれな下着を身に着ける、ムダ毛の処理を怠らない、そして一人エッチも大切です。セクシーで女性ホルモンの分泌が盛んなら、お肌もきれいになりますし、老けにくくなります。

■失敗しても、立ち直ればいいだけ

――ゼロ婚の女性はどうしたらよいでしょうか?

三松 ゼロ婚女子は、単独行動がオススメですね。合コンや婚活パーティーだとグループができてしまい、なかなかカップルに進展しません。周囲は敵だらけという環境でもあります。興味のあるところに一人で行くことから始めてください。

 いわゆる「引き寄せの法則」ってありますよね。考えていることが現実になるのです。「どうせ私なんか……」と言っていたら、いつまでたってもダメです。心も体も硬直し、ターゲットを見つけても動くことができません。ネガティブなことを考えていたら、ネガティブなことしか起こりません。失敗しても、立ち直ればいいだけです。「もっと幸せになってやる!」と思って行動してください。きっと実現しますよ。すべての女性が幸せになれることをお祈りしています。
(蒼山しのぶ)

三松真由美(みまつ・まゆみ)
2017年3月3日までは「二松まゆみ」名で活躍。再婚を機に改名。コミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長、夫婦仲コメンテーター、コラムニスト。専業主婦から主婦マーケティング会社経営を経て、ネット上に相談所を設立、恋人や夫婦仲の円満化をサポートしてきた。メールマガジン「となりの寝室事情・うちの寝室事情」の読者は1万3,000人を超え、メディアでも注目を集める。05年にはイケメンの男性医師のチーム「イケメンドクターズ」のオーナーに就任するなど人脈作りにも定評がある。『堂々再婚』ほか『40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣』(扶桑社)、『キョウイクSEX』(主婦の友社)『新・抱かない男の見分け方』(スターツ出版)など著書多数。公式サイト 

精神状態が悪化しながらも寄り添う中高年の愛――『人間仮免中つづき』が感動の嵐を呼ぶ理由

 セックスワーカーでありAV女優、舞台女優、そしてマンガ家でもある卯月妙子。長年、統合失調症を患い、その症状によって歩道橋から投身、顔面崩壊し、右目を失明したことを綴った『人間仮免中』(イースト・プレス)は、壮絶な内容とユーモラスな語り口で大きな反響を呼んだ。それから約4年半ぶりの続編『人間仮免中つづき』(小学館)は、小泉今日子が帯に「愛ってすごい!愛って尊い!」とのコメントを寄せており、精神状態が悪化しながらも寄り添う中高年男女の姿が大きな感動の嵐を巻き起こしている。

■精神状態が悪化する中高年の同棲生活

 前作『人間仮免中』は、寺山修司の詩『ロング・グッドバイ』の一節とともに、歩道橋から飛び降りる衝撃のシーンからスタート。一方、今作『人間仮免中つづき』は25歳年上の恋人「ボビー」との穏やかな日常風景から始まる。前作は、ボビーの仕事の都合で、彼女がひとりで北海道に引っ越すエピソードで終わっていた。北海道と東京は行き来できない距離ではないが、仕事と病気を抱えたふたりは年に2回会えればいい方で、最後の1年は電話とメールのみ。彼女の病状も悪化し、寝たきりに近い状態だったと明かされる。

 そして、いよいよボビーが仕事を退職し、北海道でのふたり暮らしが始まる。食卓を囲み晩酌をして笑い合う。10月の北海道で、まだ生き延びているハエを見つけて応援する。ささいなことだが喜びに満ちた日常だ。その間にも、統合失調症の陰性症状である幻聴と幻覚が現れたり、些細なことで癇癪持ちのボビーと衝突したりするが、病状は次第に安定する。

 それが一変する出来事が起きる。彼女が新薬を試すことになり、その副作用で極度のハイ状態に。1晩に30通もLINEを送り、妄想をノートに書き続ける。更年期も重なり、ますます精神状態は混乱を極めていく。暴走する彼女と意思疎通が取れず、介護に疲れたボビーは、1日中お酒を飲んで、パソコンを眺めるだけの、無気力な状態になる。一方、幻覚・幻聴が激しく、外出もままならない卯月は、トイレットペーパーが残り1個というだけで錯乱状態に陥るほど。さらに、体が限界を迎え救急搬送される事態に。まともな会話がなかったふたりは、これがきっかけで、年齢的にも病状的にも、これが最後のタイミングかもしれないとお互いに向き合う覚悟を決める。

■死ぬまで一緒に生きるとは

 巻末に、番外編として東日本大震災のエピソードが収録されている。卯月は岩手県宮古市生まれ。地震発生から、親しい身内や友達の生存が確認できるまで、そしてそれによって精神のバランスを崩す様子を、記憶のみを頼りに一気に描いたという。生と死は紙一重。そのどちらになるのか、決定権は自分にはない。卯月妙子は、自ら死に向かって突進しているように見えることもあるが、『人間仮免中』『人間仮免中つづき』の2作を通して読むと、生きようとあがき、子どものように愛に手を伸ばし続けているのだとわかる。それを支える強靭なボビーとの出会いは、奇跡だったのかもしれない。

 本作には、ボビーの寝顔が何度か登場するのだが、顔の輪郭をなぞるようにして描くその絵からは、ボビーへの愛しい思いがあふれている。本作の最後に、ふたりは入籍した。離婚歴もあるふたりがなぜ「結婚」を選んだのか? 中高年の結婚は、見栄や世間体のためでもない。ふたりで死ぬまで生きるとはどんなことか、深く考えさせてくれる作品だ。
(松田松口)

2035年、日本の人口の半分は独身者に! 「超ソロ社会」でどう生き抜く?

「誰もがソロ(独身)として、生きなければいけないリスクを抱えている」

 そう語るのは、博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクト・リーダーの荒川和久さん。2017年1月、『超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)を発表し、20年後には15歳以上の全人口に占める独身者(未婚+離別・死別者)数が、男女合わせて4,800万人を突破し、全体の48%を占めるようになる、と推測している。

 未婚化や少子高齢化が叫ばれているが、結婚しても、離別や死別などによって、ソロに戻るリスクがある。世界に先駆けてソロ社会になる日本では、いったいどうすれば生き抜けるのか? 下北沢の本屋B&Bで、『さんまのスーパーからくりTV』や『中居正広の金曜日のスマたちへ』(ともにTBS)など、数々のバラエティ番組のプロデューサーとして活躍し、16年12月にTBSテレビを退社した角田陽一郎さんをゲストに迎え、ソロ社会のこれからについて語った。

■結婚したからといって、安心できない

 荒川さんは、15年に初の著書『結婚しない男たち 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)を発表し、“結婚できない”ではなく、“結婚しない”男たち「ソロ男」の生態をまとめ、大きな話題を呼んだ。

 今回の新著のテーマ “ソロ社会” について、荒川さんは「未婚化や少子高齢化より深刻なのは、このソロ社会化なんです。結婚したからといって安心できません。3組に1組が離婚する現代。結婚すると、日本人は特に配偶者や家族に依存しがちです。結婚すると、“上がり”みたいに思ってしまう人もいるんですよね」と話す。

 すると、角田さんから「結婚って、ドラマでいうと、『ロングバケーション』(フジテレビ系)の最終話だと思っている。プロポーズをしてゴール。でも、結婚は『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)の第1話ですから! これから、赤木春恵さんとのバトルが始まり、えなり君が大学生になるまで続くんです」と笑いを誘った。

■「バリバリ働く女性ほど未婚率が高い」という事実

 

 トークの序盤では、荒川さんが収集分析した“ソロ社会化”に関係する結婚や離婚に関するデータの数々が紹介された。

 その中で、ソロ社会化する上で問題視されているのが、生涯未婚率(45~49歳と50~54歳の未婚率の平均値から算出したものを50歳時の未婚率とする統計指標)。15年の国勢調査によれば、男性23.4%、女性が14.1%だったが、35年には、男性が3割、女性2割が生涯未婚になると推計されている。過去と比較するグラフでは、1950年には95%結婚していた事実にまず驚かされるが、85年には女性の生涯未婚率がグッと上がる。

「バブルの崩壊という経済的要因も入ってきたりもするんですが、男女雇用機会均等法で、女性の意識が変わった。昔は、専業主婦ばかりだったので、結婚することは死活問題だったんです」(荒川さん)

 つまり、かつての女性は、生活のために結婚せざるを得なかった。しかし、時代が進み、働いて稼げる女性であるほど、経済的に自立する。すると、無理に結婚をする必要がなくなっていく。しかも、女性は自分よりも年収の高い相手を希望する上方婚志向があり、男性も自分より低い年収の女性を求める傾向が顕著なのだ。

■結婚しても、孤独死のリスクはある

 さらに、どうにか結婚できたとしても、離婚が待ち受けているかもしれない。荒川さんが「結婚しても安心できない」と主張する理由のひとつに、「3組に1組が離婚する」という事実がある。厚生労働省の「人口動態統計」によると、「特殊離婚率」(離婚数を婚姻数で割った比率)が、2001年以降35%をキープし続けているのだ。

 離婚率が一番高かったのは、小泉内閣の時。結婚生活は、専業主婦にとっては“経済活動”であるため、景気にもっとも影響されるという。それとは別に、同居期間20年以上の“熟年離婚”も増えており、1947年はたった7%だったが、2016年は30%に上がっている。

 第一生命経済研究所が60代から70代の夫婦を対象に行った調査によれば、男性は90%が「配偶者が頼りになる」と言っているものの、女性は58%。「今と同じ人と結婚したいか?」という質問に「結婚したい」と答えているのは、男性は6割に対し、女性は半分の3割という。夫が円満だと思っていても、妻は見限っているかもしれない。

■不倫問題が待機児童問題につながっている!?

 また、話題は子どもについても及んだ。子どもを持たないと、どこか後ろめたい気持ちを持つ人も多いが、荒川さんは、こう語る。

「結婚をして、自分の子どもを生み育てる集団だけが家族ではないし、それだけが人間としての社会的役割を果たすということではないのでは? 生涯未婚であれ、生涯無子であれ、社会の一員としてしっかり働き、金銭を循環させることで、間接的に子どもをサポートしていければいいはず」

 その話に、角田さんは元水泳選手・岩崎恭子さんの父親の話を取り上げ、「本当の親と一緒に住めない子たちの里親をやっているんですって。自分の子どもを育てるだけじゃない、いろんな子どもを育てる、ということを社会に広めることは、アリなんじゃないかな」と話す。

 それには荒川さんも「アリだと思います。自分の家庭だけ、自分の子どもだけよければいいみたいな風潮が強すぎるんじゃないかな」と応えた。加えて、社会学者が主張している“個人化”について語った。

「よく言われているのは、これからは家族だったり、職場だったり、従来のいわゆる安定した固体的なコミュニティがすべて溶けてなくなり、社会が流動化していきます。それは社会が個人化していくということ。これは世界的な傾向です」

 それを聞いて、角田さんは江戸時代に養子が多かったことについて語り出し、「ある商家がずっと繁栄していて、子どもが生まれなかったら、番頭で一番いい子を養子にして継がせていた。それで経済はしっかり回っていた。芸能人の不倫問題なんかも、実は見かけ以上に複雑で『結婚したら不倫はダメ』とか、結婚という固定観念を検証しないで無理矢理死守しようとしている。それが、待機児童とかあらゆる問題につながっているんじゃないかと思いますよ」と、これまでの固定観念で社会が回っていることに、疑問を呈した。

■独身は幸せを考えない方がいい?

 話題は「結婚できないと、一人前じゃない」という社会の圧力に、独身者たちが潜在的に苦しめられていることについても及んだ。荒川さんによると、その要因は、欧州諸国に比べて日本は結婚規範が根強いことをあげる。強い結婚規範は「結婚できない自分は何かが足りないのだ」という自己否定感と、その人が社会的役割を果たしている、という何かの承認感への欲求を生む。

 さらに、ソロ男もソロ女(詳しくはこちら)も、自己有能感は高い割に、自己肯定感がそれほど高くない。特に、「頑張った割に評価されていない」という承認不足や「まだまだこんなものでは満足しない」という達成不足という欠乏意識の強さがみられ、それゆえ、素直に幸福度を感じ取れないことにつながってしまっているという。

 トークの最後では、観客から「ソロ男はどうやって生きれば、幸せになるか?」という質問が飛び出し、荒川さんからは「独身は無理に幸せを考えなくてもいいのでは(笑)」という、意表をつく答えが返ってきた。

「赤ちゃんの寝顔を見ただけで、疲れがふっ飛ぶという既婚者の幸福感は、家族を持たないソロ生活者はわかりようがない。子どもがどれだけ力を与えてくれるかさえも想像できない。でも、だからこそ、そういう感じられないものを想像したって、しょうがない。特に、ソロ男は、消費で幸福を感じようとする傾向があります。ドーパミン消費といって、アイドルやメイド喫茶にお金をつぎ込んでしまったりする。でも、それを続けるとかえって幸せを感じにくくなります。無理に幸せになろうとして自分を追い込まない方がいい」

 一方、角田さんは、次のように話す。

「既婚者の幸せとかソロの幸せとか、分けていることがナンセンスだと思いますよ。僕は、幸せは欲の処理方法だと思っていて、若い頃は男の場合、性欲を処理することがすべてだったりするんだけど、自分の体が萎えてくると、性欲よりも、睡眠欲、食欲とかが大事になるし、最後には知的好奇心が圧倒的に感情を豊かにしてくれるんじゃないかなと思ってる。この知的好奇心をどう刺激して、満足させて生きていくか」

 幸せの形は人それぞれ。結婚するかどうかも人それぞれ。“既存の家族”という概念が、絶対的ではないものになろうとする未来、ソロ社会を生き抜くため、老若男女、個人と個人が助け合う必要がある。現代は、そうしたそれぞれが精神的に自立し、まったく新しい概念のコミュニティの形が生まれる助走期間なのかもしれないと感じるイベントとなった。
(上浦未来)

荒川和久(あらかわ・かずひさ)
博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクト・リーダー。早稲田大学法学部卒業。独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・WEBメディア多数出演。著書に『結婚しない男たち 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)。東洋経済オンラインにて『ソロモンの時代』連載中。

角田陽一郎(かくた・よういちろう)
1970年千葉県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。TVプロデューサー、ディレクターとして『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』『EXILE魂』『オトナの!』など、主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社goomoを設立(取締役)。2016年末TBS退社。著書に『成功の神はネガティブな狩人に降臨する―バラエティ的企画術』(朝日新聞出版)『最速で身につく世界史』(アスコム)など。『水道橋博士のメルマ旬報』『cakes』で連載中。

2035年、日本の人口の半分は独身者に! 「超ソロ社会」でどう生き抜く?

「誰もがソロ(独身)として、生きなければいけないリスクを抱えている」

 そう語るのは、博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクト・リーダーの荒川和久さん。2017年1月、『超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)を発表し、20年後には15歳以上の全人口に占める独身者(未婚+離別・死別者)数が、男女合わせて4,800万人を突破し、全体の48%を占めるようになる、と推測している。

 未婚化や少子高齢化が叫ばれているが、結婚しても、離別や死別などによって、ソロに戻るリスクがある。世界に先駆けてソロ社会になる日本では、いったいどうすれば生き抜けるのか? 下北沢の本屋B&Bで、『さんまのスーパーからくりTV』や『中居正広の金曜日のスマたちへ』(ともにTBS)など、数々のバラエティ番組のプロデューサーとして活躍し、16年12月にTBSテレビを退社した角田陽一郎さんをゲストに迎え、ソロ社会のこれからについて語った。

■結婚したからといって、安心できない

 荒川さんは、15年に初の著書『結婚しない男たち 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)を発表し、“結婚できない”ではなく、“結婚しない”男たち「ソロ男」の生態をまとめ、大きな話題を呼んだ。

 今回の新著のテーマ “ソロ社会” について、荒川さんは「未婚化や少子高齢化より深刻なのは、このソロ社会化なんです。結婚したからといって安心できません。3組に1組が離婚する現代。結婚すると、日本人は特に配偶者や家族に依存しがちです。結婚すると、“上がり”みたいに思ってしまう人もいるんですよね」と話す。

 すると、角田さんから「結婚って、ドラマでいうと、『ロングバケーション』(フジテレビ系)の最終話だと思っている。プロポーズをしてゴール。でも、結婚は『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)の第1話ですから! これから、赤木春恵さんとのバトルが始まり、えなり君が大学生になるまで続くんです」と笑いを誘った。

■「バリバリ働く女性ほど未婚率が高い」という事実

 

 トークの序盤では、荒川さんが収集分析した“ソロ社会化”に関係する結婚や離婚に関するデータの数々が紹介された。

 その中で、ソロ社会化する上で問題視されているのが、生涯未婚率(45~49歳と50~54歳の未婚率の平均値から算出したものを50歳時の未婚率とする統計指標)。15年の国勢調査によれば、男性23.4%、女性が14.1%だったが、35年には、男性が3割、女性2割が生涯未婚になると推計されている。過去と比較するグラフでは、1950年には95%結婚していた事実にまず驚かされるが、85年には女性の生涯未婚率がグッと上がる。

「バブルの崩壊という経済的要因も入ってきたりもするんですが、男女雇用機会均等法で、女性の意識が変わった。昔は、専業主婦ばかりだったので、結婚することは死活問題だったんです」(荒川さん)

 つまり、かつての女性は、生活のために結婚せざるを得なかった。しかし、時代が進み、働いて稼げる女性であるほど、経済的に自立する。すると、無理に結婚をする必要がなくなっていく。しかも、女性は自分よりも年収の高い相手を希望する上方婚志向があり、男性も自分より低い年収の女性を求める傾向が顕著なのだ。

■結婚しても、孤独死のリスクはある

 さらに、どうにか結婚できたとしても、離婚が待ち受けているかもしれない。荒川さんが「結婚しても安心できない」と主張する理由のひとつに、「3組に1組が離婚する」という事実がある。厚生労働省の「人口動態統計」によると、「特殊離婚率」(離婚数を婚姻数で割った比率)が、2001年以降35%をキープし続けているのだ。

 離婚率が一番高かったのは、小泉内閣の時。結婚生活は、専業主婦にとっては“経済活動”であるため、景気にもっとも影響されるという。それとは別に、同居期間20年以上の“熟年離婚”も増えており、1947年はたった7%だったが、2016年は30%に上がっている。

 第一生命経済研究所が60代から70代の夫婦を対象に行った調査によれば、男性は90%が「配偶者が頼りになる」と言っているものの、女性は58%。「今と同じ人と結婚したいか?」という質問に「結婚したい」と答えているのは、男性は6割に対し、女性は半分の3割という。夫が円満だと思っていても、妻は見限っているかもしれない。

■不倫問題が待機児童問題につながっている!?

 また、話題は子どもについても及んだ。子どもを持たないと、どこか後ろめたい気持ちを持つ人も多いが、荒川さんは、こう語る。

「結婚をして、自分の子どもを生み育てる集団だけが家族ではないし、それだけが人間としての社会的役割を果たすということではないのでは? 生涯未婚であれ、生涯無子であれ、社会の一員としてしっかり働き、金銭を循環させることで、間接的に子どもをサポートしていければいいはず」

 その話に、角田さんは元水泳選手・岩崎恭子さんの父親の話を取り上げ、「本当の親と一緒に住めない子たちの里親をやっているんですって。自分の子どもを育てるだけじゃない、いろんな子どもを育てる、ということを社会に広めることは、アリなんじゃないかな」と話す。

 それには荒川さんも「アリだと思います。自分の家庭だけ、自分の子どもだけよければいいみたいな風潮が強すぎるんじゃないかな」と応えた。加えて、社会学者が主張している“個人化”について語った。

「よく言われているのは、これからは家族だったり、職場だったり、従来のいわゆる安定した固体的なコミュニティがすべて溶けてなくなり、社会が流動化していきます。それは社会が個人化していくということ。これは世界的な傾向です」

 それを聞いて、角田さんは江戸時代に養子が多かったことについて語り出し、「ある商家がずっと繁栄していて、子どもが生まれなかったら、番頭で一番いい子を養子にして継がせていた。それで経済はしっかり回っていた。芸能人の不倫問題なんかも、実は見かけ以上に複雑で『結婚したら不倫はダメ』とか、結婚という固定観念を検証しないで無理矢理死守しようとしている。それが、待機児童とかあらゆる問題につながっているんじゃないかと思いますよ」と、これまでの固定観念で社会が回っていることに、疑問を呈した。

■独身は幸せを考えない方がいい?

 話題は「結婚できないと、一人前じゃない」という社会の圧力に、独身者たちが潜在的に苦しめられていることについても及んだ。荒川さんによると、その要因は、欧州諸国に比べて日本は結婚規範が根強いことをあげる。強い結婚規範は「結婚できない自分は何かが足りないのだ」という自己否定感と、その人が社会的役割を果たしている、という何かの承認感への欲求を生む。

 さらに、ソロ男もソロ女(詳しくはこちら)も、自己有能感は高い割に、自己肯定感がそれほど高くない。特に、「頑張った割に評価されていない」という承認不足や「まだまだこんなものでは満足しない」という達成不足という欠乏意識の強さがみられ、それゆえ、素直に幸福度を感じ取れないことにつながってしまっているという。

 トークの最後では、観客から「ソロ男はどうやって生きれば、幸せになるか?」という質問が飛び出し、荒川さんからは「独身は無理に幸せを考えなくてもいいのでは(笑)」という、意表をつく答えが返ってきた。

「赤ちゃんの寝顔を見ただけで、疲れがふっ飛ぶという既婚者の幸福感は、家族を持たないソロ生活者はわかりようがない。子どもがどれだけ力を与えてくれるかさえも想像できない。でも、だからこそ、そういう感じられないものを想像したって、しょうがない。特に、ソロ男は、消費で幸福を感じようとする傾向があります。ドーパミン消費といって、アイドルやメイド喫茶にお金をつぎ込んでしまったりする。でも、それを続けるとかえって幸せを感じにくくなります。無理に幸せになろうとして自分を追い込まない方がいい」

 一方、角田さんは、次のように話す。

「既婚者の幸せとかソロの幸せとか、分けていることがナンセンスだと思いますよ。僕は、幸せは欲の処理方法だと思っていて、若い頃は男の場合、性欲を処理することがすべてだったりするんだけど、自分の体が萎えてくると、性欲よりも、睡眠欲、食欲とかが大事になるし、最後には知的好奇心が圧倒的に感情を豊かにしてくれるんじゃないかなと思ってる。この知的好奇心をどう刺激して、満足させて生きていくか」

 幸せの形は人それぞれ。結婚するかどうかも人それぞれ。“既存の家族”という概念が、絶対的ではないものになろうとする未来、ソロ社会を生き抜くため、老若男女、個人と個人が助け合う必要がある。現代は、そうしたそれぞれが精神的に自立し、まったく新しい概念のコミュニティの形が生まれる助走期間なのかもしれないと感じるイベントとなった。
(上浦未来)

荒川和久(あらかわ・かずひさ)
博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクト・リーダー。早稲田大学法学部卒業。独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・WEBメディア多数出演。著書に『結婚しない男たち 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)。東洋経済オンラインにて『ソロモンの時代』連載中。

角田陽一郎(かくた・よういちろう)
1970年千葉県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。TVプロデューサー、ディレクターとして『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』『EXILE魂』『オトナの!』など、主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社goomoを設立(取締役)。2016年末TBS退社。著書に『成功の神はネガティブな狩人に降臨する―バラエティ的企画術』(朝日新聞出版)『最速で身につく世界史』(アスコム)など。『水道橋博士のメルマ旬報』『cakes』で連載中。

事実婚が増えれば、夫婦別姓が実現するかもしれない——「未届けの妻」のメリットとは?

(前編はこちら)

■事実婚は、自分にとって最適な結婚生活を実現できる“カスタマイズプラン”

――36歳の時に、“事実婚”で再婚されていますが、なぜ、事実婚を選択されたんですか?

水谷さるころさん(以下、水谷) まず事実婚についてお話しすると、事実婚はいわゆる婚姻届を提出し、法律で認められた夫婦ではありませんが、「夫婦ですよ」という状態を指す広い言葉なんです。事実婚にもいろいろあるのですが、うちの場合は、生活実態をより法律婚に近い状態にするために、住民票を一緒にして同一世帯にして「未届けの妻」にするという方法をとっています。行政は、保育園や子どもの医療保険などに関する手続きにおいて「世帯」を単位として見ているので、籍は実は関係がないんです。

 共働きでお財布が別、どちらが扶養されるわけでもなく納税も別だと、法律婚をするメリットは少ないんじゃないかと思って。働いて生きていきたい女性にとっては、結婚すると、「世の中って、こんなふうなの?」とガッカリすることが多いんですよね。きちんと、わかりやすく看板を立てていかないと、保守的な結婚の考えの人に、仕事の面でも、家庭の面でも引っ張られてしまう。法律婚は“おまかせ安心パック”、事実婚は自分にとって最適な結婚生活を実現できる“カスタマイズプラン”のようなイメージです。

――おもしろい考え方ですね。

水谷  世間には、保守的な“結婚村”というのがあると感じることが多くて。村人は、村の掟から外れることをすごく嫌います。「結婚したのに、そんなに夜遊びするの?」とか、「毎日ごはんつくってないの?」とか圧をかけてくるわけです。うちは、夫がごはんをつくってるので、それを言うと、すごい嫌な顔をされて「あいつはダメ嫁だ」というレッテルを貼ってくる人がいるんですよ。理想のルールの通りにしてほしい、という圧をかけてくる。だから、私はその村から抜けようと思ったんです。私が欲しいのは、結婚じゃなくて家族ですから。

 結婚村の人は、同居が続いていると、「どうして結婚しないの? 早く結婚した方がいいんじゃない?」とか言います。でも、事実婚なら、「婚」がついているので、牽制にもなりますし、「ルールが違います」と伝えやすいんですよね。

――事実婚をして、大変だったことはありますか?

水谷 やっぱり親を説得するのが大変でした。「なんで、そんなことするの?」と聞かれますから。でも、「保守的な結婚観が嫌だから」とは言えないじゃないですか(笑)。いかにうまくオブラートに包みながら、「事実婚の方がいい」「普通に結婚しているのと変わらない」と伝えられるか。「名前も変わらないし、うちはフェアな関係だから」と言い続けると、私がごはんをつくっていないことなども、徐々にとやかく言われなくなっていきます。ただ、理解してもらうには、最低でも3年は必要だと思います。

――親世代を納得させるのは、なかなか難しそうですね。

水谷 うちは夫も私も両方とも再婚で、親の期待値がものすごく下がっていて、パートナーがいてくれるだけでも安心という状態だったので、説得しやすかったと思います。

 友達にも事実婚にしようとした女の子がいたんですが、初婚でそれを言いだすと、味方がひとりもいない。自分の親も、相手の親も嫌がるし、パートナーは「どっちでもいい」みたいな状況。女性側が「事実婚の方がいいな」と思っていたとしても、初婚でそこに至るのは難しいのが現実だと思います。

■事実婚が増えたら、法律が変わるかもしれない

――ところで、お子さんもいらっしゃいますよね。事実婚で特に問題はないですか?

水谷 別にないですね。びっくりするほど、何もありません。久々に「おぉっ!」と思ったのは、この間、息子が手術をして、半日入院した時です。たくさん書類があったので、保護者として、私と夫でサインをしていたんです。

 そうしたら、息子が手術室に運ばれていった後に、「ちょっとお話が……」と呼び出されて、「お母様とお子さんのお名前が違うんですけど、どういったご事情でしょうか?」と聞かれました。今まで1回も聞かれたことがなかったから、気がつかなかった。「うちは事実婚なので母子別姓で、息子の籍は夫側。でも親権者は私です。生活は一緒にしていて、家族です」と伝えたら、それで終わりでした。それぐらいですね。

――お子さんの籍は旦那さん側ですか? 入籍しない場合、女性側の籍に入るのかと思っていました。

水谷 子どもの名前は夫側の姓にしたかったので、一度、籍を入れて、夫の姓(野田)で産んで、離婚しているんです。

 ご指摘の通り、結婚をしないで子どもを産むと、自動的に女性側の籍に入ります。別に自分の子どもを自分の姓にしたいという願望もないですし、夫の姓の方が親戚も多くて仲間もいっぱいでいいかなと思って。私の親は「娘の子が自分と同じ姓」なのを喜ぶ人たちでもなかったので子どもを自分の姓にするメリットもなくて。

 でも、結婚しないで野田姓にするには、家庭裁判所に行ったり、手続きがなかなか面倒臭いんです。それで出産する時だけ入籍して、野田になって、産んでから離婚しました。それなら、書類を出すだけで終わりますから。

――わざわざ結婚&離婚されていたんですね。一度籍を入れたら、そのまま流されてしまいそうですが。

水谷 私がもう結婚したくないと思う理由のひとつに、結婚すると、金融機関の名前の変更があるんですよ。私の場合、取引先の多数の会社に入金用口座の変更をお願いする必要があるので、本当に大変。ですから、半年ぐらいであれば、準備期間として、クレジットカード会社や金融機関からも何も言われないので、結婚して半年くらいで離婚という方法をとりました。

 それから、小さな政治的な主張という意味合いもなくはありません。今、日本では夫婦別姓が認められていません。今後もしも事実婚をしている人が増えて、半分とはいかなくても、1~2割ぐらいの無視できない数になってきたら、事実上、法律婚の必要性が低くなっているから、ということで、法律が変わるかもしれない。制度を実情に合わせるべきと主張した方が、法律が変わることが多いですから。今の状態で、選択的別姓の運動をしても、昭和22年に廃止されはしたものの、女性が男性側の戸籍に属する「家制度」の名残がある日本では難しいと思っています。

 男女差別なんて、もうないよね? と思っていましたが、それは、先人の働く女性が戦ってくれたおかげで、そう感じていただけで、まだ道は半ば。今は過渡期だからしょうがないですよね。

――もっと事実婚を浸透させていくには、どうしたらよいと思いますか?

水谷 一番簡単なのは「結婚しました」と言って、事実婚状態にしておくことだと思います。事実婚で不便だと思ったら籍を入れれば、何の不便もない。婚姻届なんて、書くだけ書いて、しまっておけばいいんですよ。本当にそれでいい。結婚式も挙げて、「結婚しました」と言って、婚姻届も書いて、棚にしまう。引っ越しの時に「未届けの妻」にしておけば、実質的にも「妻」だし、子どもが生まれた時に、婚姻届を使うかどうか考えればいい。私のおすすめは、“しれっと事実婚”です。

 「結婚したら、夫が支配的になった」とか「結婚前の約束は嘘だった」といった場合でも、関係を解消しやすい。浮気は事実婚でも民事で裁判できますから、法律婚はするなら相続問題が現実的になる頃、事実婚20年目の記念などに「20年仲良くできたね」と、してみてもいいんじゃないかな――と思ったりしています。
(上浦未来)

水谷さるころ(みずたに・さるころ)
1976年千葉県生まれ。女子美術大学短期大学部卒業。イラストレーター。マンガ家、グラフィックデザイナー。99年「コミック・キュー」(イースト・プレス)にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ!30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末を『30日間世界一周!』(イースト・プレス、以下同)としてマンガ化(全3巻)する。そのほかの著書に旅マンガ『35日間世界一周!!』(全5巻)、『世界ボンクラ2人旅!』(全2巻)がある。趣味は空手。

事実婚が増えれば、夫婦別姓が実現するかもしれない——「未届けの妻」のメリットとは?

(前編はこちら)

■事実婚は、自分にとって最適な結婚生活を実現できる“カスタマイズプラン”

――36歳の時に、“事実婚”で再婚されていますが、なぜ、事実婚を選択されたんですか?

水谷さるころさん(以下、水谷) まず事実婚についてお話しすると、事実婚はいわゆる婚姻届を提出し、法律で認められた夫婦ではありませんが、「夫婦ですよ」という状態を指す広い言葉なんです。事実婚にもいろいろあるのですが、うちの場合は、生活実態をより法律婚に近い状態にするために、住民票を一緒にして同一世帯にして「未届けの妻」にするという方法をとっています。行政は、保育園や子どもの医療保険などに関する手続きにおいて「世帯」を単位として見ているので、籍は実は関係がないんです。

 共働きでお財布が別、どちらが扶養されるわけでもなく納税も別だと、法律婚をするメリットは少ないんじゃないかと思って。働いて生きていきたい女性にとっては、結婚すると、「世の中って、こんなふうなの?」とガッカリすることが多いんですよね。きちんと、わかりやすく看板を立てていかないと、保守的な結婚の考えの人に、仕事の面でも、家庭の面でも引っ張られてしまう。法律婚は“おまかせ安心パック”、事実婚は自分にとって最適な結婚生活を実現できる“カスタマイズプラン”のようなイメージです。

――おもしろい考え方ですね。

水谷  世間には、保守的な“結婚村”というのがあると感じることが多くて。村人は、村の掟から外れることをすごく嫌います。「結婚したのに、そんなに夜遊びするの?」とか、「毎日ごはんつくってないの?」とか圧をかけてくるわけです。うちは、夫がごはんをつくってるので、それを言うと、すごい嫌な顔をされて「あいつはダメ嫁だ」というレッテルを貼ってくる人がいるんですよ。理想のルールの通りにしてほしい、という圧をかけてくる。だから、私はその村から抜けようと思ったんです。私が欲しいのは、結婚じゃなくて家族ですから。

 結婚村の人は、同居が続いていると、「どうして結婚しないの? 早く結婚した方がいいんじゃない?」とか言います。でも、事実婚なら、「婚」がついているので、牽制にもなりますし、「ルールが違います」と伝えやすいんですよね。

――事実婚をして、大変だったことはありますか?

水谷 やっぱり親を説得するのが大変でした。「なんで、そんなことするの?」と聞かれますから。でも、「保守的な結婚観が嫌だから」とは言えないじゃないですか(笑)。いかにうまくオブラートに包みながら、「事実婚の方がいい」「普通に結婚しているのと変わらない」と伝えられるか。「名前も変わらないし、うちはフェアな関係だから」と言い続けると、私がごはんをつくっていないことなども、徐々にとやかく言われなくなっていきます。ただ、理解してもらうには、最低でも3年は必要だと思います。

――親世代を納得させるのは、なかなか難しそうですね。

水谷 うちは夫も私も両方とも再婚で、親の期待値がものすごく下がっていて、パートナーがいてくれるだけでも安心という状態だったので、説得しやすかったと思います。

 友達にも事実婚にしようとした女の子がいたんですが、初婚でそれを言いだすと、味方がひとりもいない。自分の親も、相手の親も嫌がるし、パートナーは「どっちでもいい」みたいな状況。女性側が「事実婚の方がいいな」と思っていたとしても、初婚でそこに至るのは難しいのが現実だと思います。

■事実婚が増えたら、法律が変わるかもしれない

――ところで、お子さんもいらっしゃいますよね。事実婚で特に問題はないですか?

水谷 別にないですね。びっくりするほど、何もありません。久々に「おぉっ!」と思ったのは、この間、息子が手術をして、半日入院した時です。たくさん書類があったので、保護者として、私と夫でサインをしていたんです。

 そうしたら、息子が手術室に運ばれていった後に、「ちょっとお話が……」と呼び出されて、「お母様とお子さんのお名前が違うんですけど、どういったご事情でしょうか?」と聞かれました。今まで1回も聞かれたことがなかったから、気がつかなかった。「うちは事実婚なので母子別姓で、息子の籍は夫側。でも親権者は私です。生活は一緒にしていて、家族です」と伝えたら、それで終わりでした。それぐらいですね。

――お子さんの籍は旦那さん側ですか? 入籍しない場合、女性側の籍に入るのかと思っていました。

水谷 子どもの名前は夫側の姓にしたかったので、一度、籍を入れて、夫の姓(野田)で産んで、離婚しているんです。

 ご指摘の通り、結婚をしないで子どもを産むと、自動的に女性側の籍に入ります。別に自分の子どもを自分の姓にしたいという願望もないですし、夫の姓の方が親戚も多くて仲間もいっぱいでいいかなと思って。私の親は「娘の子が自分と同じ姓」なのを喜ぶ人たちでもなかったので子どもを自分の姓にするメリットもなくて。

 でも、結婚しないで野田姓にするには、家庭裁判所に行ったり、手続きがなかなか面倒臭いんです。それで出産する時だけ入籍して、野田になって、産んでから離婚しました。それなら、書類を出すだけで終わりますから。

――わざわざ結婚&離婚されていたんですね。一度籍を入れたら、そのまま流されてしまいそうですが。

水谷 私がもう結婚したくないと思う理由のひとつに、結婚すると、金融機関の名前の変更があるんですよ。私の場合、取引先の多数の会社に入金用口座の変更をお願いする必要があるので、本当に大変。ですから、半年ぐらいであれば、準備期間として、クレジットカード会社や金融機関からも何も言われないので、結婚して半年くらいで離婚という方法をとりました。

 それから、小さな政治的な主張という意味合いもなくはありません。今、日本では夫婦別姓が認められていません。今後もしも事実婚をしている人が増えて、半分とはいかなくても、1~2割ぐらいの無視できない数になってきたら、事実上、法律婚の必要性が低くなっているから、ということで、法律が変わるかもしれない。制度を実情に合わせるべきと主張した方が、法律が変わることが多いですから。今の状態で、選択的別姓の運動をしても、昭和22年に廃止されはしたものの、女性が男性側の戸籍に属する「家制度」の名残がある日本では難しいと思っています。

 男女差別なんて、もうないよね? と思っていましたが、それは、先人の働く女性が戦ってくれたおかげで、そう感じていただけで、まだ道は半ば。今は過渡期だからしょうがないですよね。

――もっと事実婚を浸透させていくには、どうしたらよいと思いますか?

水谷 一番簡単なのは「結婚しました」と言って、事実婚状態にしておくことだと思います。事実婚で不便だと思ったら籍を入れれば、何の不便もない。婚姻届なんて、書くだけ書いて、しまっておけばいいんですよ。本当にそれでいい。結婚式も挙げて、「結婚しました」と言って、婚姻届も書いて、棚にしまう。引っ越しの時に「未届けの妻」にしておけば、実質的にも「妻」だし、子どもが生まれた時に、婚姻届を使うかどうか考えればいい。私のおすすめは、“しれっと事実婚”です。

 「結婚したら、夫が支配的になった」とか「結婚前の約束は嘘だった」といった場合でも、関係を解消しやすい。浮気は事実婚でも民事で裁判できますから、法律婚はするなら相続問題が現実的になる頃、事実婚20年目の記念などに「20年仲良くできたね」と、してみてもいいんじゃないかな――と思ったりしています。
(上浦未来)

水谷さるころ(みずたに・さるころ)
1976年千葉県生まれ。女子美術大学短期大学部卒業。イラストレーター。マンガ家、グラフィックデザイナー。99年「コミック・キュー」(イースト・プレス)にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ!30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末を『30日間世界一周!』(イースト・プレス、以下同)としてマンガ化(全3巻)する。そのほかの著書に旅マンガ『35日間世界一周!!』(全5巻)、『世界ボンクラ2人旅!』(全2巻)がある。趣味は空手。

結婚さえできればいいと思っていたけど、「入籍したら仕事が減る」!? 婚姻届の魔力

 女が人生の中で最も自分を見失い、頭がおかしくなる時期。それは20代後半から30代の嫁入り前――かもしれない。どうしても結婚したい、結婚ッ!結婚ッ!と、何者かによって、ひどく重い、妙な呪いをかけられてしまうからである。

 『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)の著者で、イラストレーターの水谷さるころさんも、そんな呪いにかかり、「結婚したい」と相手に迫って30歳で結婚。そのままバリバリと仕事を続けるつもりが、周りからは旦那さんに養ってもらうと勘違いされ、これはマズイと、CSのテレビ番組から世界一周の仕事をゲットし、30日間の海外出張へ。帰国後、ある飲み会に出て、仕事の話をすると「俺の妻が1カ月も家を空けるなんて言ったら許さないもんね」「夫さんは偉いよ。妻が働くのは女のワガママでしょ」と嫌みを言われ、あぜん。女の行動は、夫の許可制だったのか!?

 結婚生活も、思い描いていたような素敵ライフには程遠く、3年半で離婚。その後、法律婚には懲りて、36歳の時に“事実婚”で再婚し、38歳で出産。現在は2歳の子どもを育てる母でもある。結婚したら、女性には何が待ち受けているのか? さらに、これから増えるかもしれない“事実婚”について、お伺いした。

■「結婚=男の経済力にぶら下がる」と考える人は少なくない

――なぜ30歳を過ぎると、女子は結婚したくてしょうがなくなるんでしょうね?(笑)

水谷さるころさん(以下、水谷) この時期は、女が一番頭のおかしくなる、魔の時期ですよね(笑)。スピリチュアルが大好きなので、超煮詰まっていた時には、出雲大社によく出かけていました。それで、本当に結婚ができたので、実際「すごいな!」とも思ったんですけれど。

 なぜそんなに結婚したかったかを振り返ると、私の場合、20歳からフリーランスで働いていて、生活も仕事もひとりで、毎日会う人が欲しい、家族が欲しい、ということが一番でした。会社や共同事務所とかがあれば、まだ社会が広がっていって、追い詰められる感じでもなかったと思うんですが、事務所を持つと費用がかかるし、そういう機会もなかったんですよね。小さい時は30歳になったら結婚をして、子どももいるものだと思ってたのに、「やばい……こんな生活のまま独身だったら死にそう」と思い、「結婚」が何かを考える前に、「なんとか結婚しなきゃ」と、自分で呪いをかけていたんだと思います。

――本の中で「結婚したら仕事の依頼が減った」と書かれていて、とても気になりました。

水谷 これは、離婚してから、結婚のせいだとわかったんです。とはいえ結婚しても、ゼロにはなりません。取引先の担当者が既婚女性の場合は、結婚しても当然働くつもりとわかっているので、お仕事をくれます。でも、「結婚してから、なんとなく仕事もらえなくなったけれど、どうしてかな?」というような取引先もあるわけです。自分の実力がないからなのか、旬ではなくなったのか、何か悪いことしてしまったかな……などと考えていたんですが、連絡が来ないからわからない。けれど、みんなに離婚した時に「離婚した」と伝えたら、数人から「飲みに行きましょう」と連絡があり、「すっかり悠々自適な生活をしているんだと思っていましたよ」と言われたんです。本の中では、いろいろとマイルドに描いていますが、「結婚=男の経済力にぶら下がる」と本気で考える人が、少なからずいることに驚きました。

――それで、バリバリ働くという意思を示すべく、仕事の会合には頻繁に参加して、ブログを積極的に更新していたら、「最近、夜遊びしすぎではありませんか?」と、知らない人から書き込みがあったんですよね。一体何なんですか!?

水谷 本当にあったんですよ。モニターに向かって、思わず「ダレだよ、お前!?」ってツッコミました(笑)。コメントを書いてくれた方は、以前、テレビ番組に出ていた時のファンの方だと思うんですね。

 おそらく私のことを番組で知って、ブログを見たら、結婚をしたにもかかわらず、夜に飲み歩いている。それを見て、「あれ? ちょっと違うんじゃないか」と思って、書き込んだと思うんですね。百歩譲って、そう思うところまではオッケーだとしても、実際書き込まれると、「はぁ!?」と思いますよね。こっちにも色々あるんだよ、と。

――そういう方には、どう対処しているんですか?

水谷 とやかく言われたら、心の中で「うるさいな」と思うようにしています。そうなのかな……?とプレッシャーに流されてしまっても、良いことはひとつもないですし。とやかく言ってくる人は、私の人生をどうにかしてくれるわけもなく、自分がこうしてきたんだから、こうした方がいいと言うだけです。言っている人自身の影に対しての言葉なので、気にしなくていいと思います。

■婚姻届は、自分たちを救ってくれる魔法ではない

――女性の場合はどうしても結婚をすると、仕事を辞める方向に結びついていきますよね。

水谷 男性の場合は、結婚しても、「仕事辞めるの?」なんて、絶対に聞かれない。むしろ「頑張らないとね」となります。結婚した後、私は本を出すために、かなり努力しました。本を1冊出すには時間がかかるし、コストパフォーマンスがとても悪い。でも「やらないと先がない、チャレンジするなら今しかない」と思って始めたんですけれど、そういうことをやり始めると、「男に養ってもらえるから、好きなことができるんだね」と思う人がいるようなんですよ。実際は、自分の貯金で生きていました。

 私としては、結婚をすることもチャレンジだったし、本を出すこともチャレンジだった。前向きに投資をしているつもりでも「結婚したから、コストパフォーマンスの悪い漫画にもチャレンジできるのね。旦那さんはさぞかし稼ぎがあって、サポート力のある方なのね」と思われてしまう。あれ? 夫の株ばっかり上がって、私は? なんかすごい損してない? ……と。

――結婚だけでも大変ですから、お子さんができたら、働く女性は、ここ一番の踏ん張り時ですよね。

水谷 子どもを保育園に預けていないと、仕事をお願いする側にとっては安心できませんよね。仕事します! とわかってもらうためにも認可には入れなきゃと必死でした。在宅のフリーランスの場合は、やっぱり簡単には入れません。うちは認可保育園に受かるために、まず無認可保育園に入れましたが、正直すごく高かったです。区によって、保育園に入れる基準は全然違うんですけれど、私の住んでいる区がフリーランスは無認可保育園に入れないと認可に入れないような仕組みなので、預けざるを得ない。うちは何がなんでも認可に入れるぞ! と収入の少ない出産後の時期に貯金はたいて頑張って無認可に入れて、2カ月で仕事復帰して……と実行したものの、正直、こんなに頑張らないといけないのか? 私の仕事は、こんなにまで頑張り、守るべきものだっけ? と、何度も弱気な気持ちになりました。

 でも、それをあきらめると、また仕事関係者から勘違いされることになるので、「やるしかない」と、頑張りました。夫はすごくフェアな人ですが、なんだか私と保活に対しての必死さが違う気がしましたね。それで私がすごく不安になり、どこかで「保活はお前の仕事だろ」と思ってるんじゃないの? 「保育園に入れなかったら、どうするつもりなの? 預けられなかったら、面倒を見るのは私なの?」と喧嘩しました。やっぱり男性とは危機感が違うんじゃないかな。女性が結婚して子どもを産んで、仕事をするのは戦いですね、ホント。今の時代、まだまだ頑張らないとダメですね。

――結婚をする前に気をつけるべきことはなんですか?

水谷 婚姻届を神聖化して、「私のことを一生面倒見てね」「これで私たちの一生は約束された」といった異様なまでに思い入れを込める人が多い気がするんです。でも、婚姻届を出すのは、ただの制度だから。自分たちを救ってくれる魔法ではない。結婚式をして、籍を入れてみたら、救われるどころか「○○しないとダメなんだ」という親世代の結婚観に呪われてることの方が多いんじゃないか、と私は感じました。

 今は不況なので、男の人が人ひとりを養うことは、現実的に考えてなかなか厳しいです。できる人もいるけれども、おっかぶされるのは困るからと、渋る場合もある。その時に、女性が結婚をしたいあまりに、家事などサービスをしすぎてしまうと、“お母さん”になってしまいます。共働きを考えているなら「経済的にお父さんの代わり」を求めたり、「なんでも面倒見てくれるお母さん代わりになる」という結婚ではなくて、「二人でちゃんとやっていこう」と目指す内容を確認した方がいいです。そういう現実的なところまで意思の疎通が取れる人かどうか、よく話し合うことが大切だと思います。とはいえ、失敗しても命まではとられないから、失敗してもいいと思いますけどね!
(上浦未来)

(後編につづく)

「まず自分の理想と現実を知るべき!」妖怪男ウォッチャー、ぱぷりこが語る、幸せになる恋愛術

<p> ゲスの極み乙女。の川谷絵音が12月から活動自粛となり、「やっと天罰が下ったか」とスカッとした女性は少なくないだろう。いつの世にも女を悩ませ狂わせ苦しませる、不思議な妖気をまとった男性がいるものである……。<br />  9月に『妖怪男ウォッチ』(宝島社)を上梓したアラサーOLのぱぷりこさんは、「妖怪男」と呼ばれる一癖も二癖もある愛すべきクズ男たちを紹介し、悩める女性の目が覚めるような観察眼を披露している。コンサル男、セフレ牧場経営者、恋心の搾取地主、メンヘラホイホイ男……など「あ〜いるいるこういう奴」と共感せずにはいられない17の妖怪男の生態を分析した本書は、恋する乙女に少しの恐怖心を与えると同時に、女性が幸せな恋愛、結婚をするために大切なポイントがギュッと詰まっている。</p>

「年を取って後悔しても遅い」アラサー女性が“とりあえず結婚”を考えてみるべき理由

<p> 晩婚化が進み、結婚に前向きではない男女が増える一方、街コンや相席居酒屋などの婚活ビジネスは盛況中です。矛盾を感じてしまいますが、結婚したい人とそうでない人が、極端に分かれているとも言えそうです。6月5日に『とりあえず結婚するという生き方』(ヨシモトブックス)を上梓した、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美さんに、アラサー世代へ向け、なぜ今、あえて結婚を勧めるのかを聞きました。</p>

不倫は純愛か? 慰謝料請求裁判をしたことで見えたもの

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Photo by Steve Johnson from Flickr

 こんにちは、まほです。結婚4年目にして、夫の不倫が発覚。その日を境に、今まで送ってきた生活は、がらりと大きくありようを変えました。その顛末記です。

■男性の半数以上、女性の3分の1以上が配偶者および恋人を裏切っている

 さてこの連載も、最終回となります。わたしが経験した不倫の慰謝料裁判についての結末は前回、お伝えしましたが、発覚から和解までに、おおよそ2年を費やしているうち、芸能人や有名人の不倫が世間を何度も賑わし、そして、不倫する男女を非難する世間の声は、激しくなっていくばかりです。もちろん、不倫は(不貞行為があった場合)、日本の民法上では不法とされている行為です。道義的にも、正しい行いとはされていません。けれど、これほどまでにヒステリックに世間が騒ぐのはなぜか。

 「実は不倫願望がある人は多く、しかし、家庭のことを考えて我慢している。だから、感情のままに恋をしている人のことを羨ましいと思う気持ちが嫌悪につながる」といった解釈などもされていましたが、わたしが思ったのは、むしろ「実は心の中に密かに、『自分もされているかもしれない』という疑心を持っていて、そこを刺激されるので、ことさらに否定してしまう」のではないかということです。

 というのも、日本家族計画協会家族計画研究センターがコンドーム・メーカーであるジェクス株式会社からの依頼を受けて実施した「ジェクス ジャパン・セックス・サーベイ」という調査結果があります。最新のものでも2013年と、若干古いのですが、全国満20 歳から69歳の男女を対象としてインターネットリサーチを実施したもので、調査配信数は10万6,871 人。都道府県間の比較を行うために、47 都道府県から回収順にしたがって均一に107 サンプルを収集し、合計5,029 人を集計対象としたデータです。

 これによると、「これまでに配偶者(夫・妻)や恋人以外の人とのセックス(性交渉)があったか」との質問に対し、男性の55.1%、女性の34.9%が「あった」と答えているんです。この数字、どう思いますか。実に男性の半数以上、女性の3分1以上が配偶者および恋人を裏切っているということです。このうち何%がパートナーの浮気の事実を知っているか、という調査結果はありませんでしたが、一緒に住んでいる夫婦ならば、「なんか怪しい」「あの人、もしかして」と考える瞬間は必ずあると思います。その時に、わたしがしたように「でも、まさかね。うちの人に限ってそんな(笑)」と楽天的に考えて、真実から目を背けている人って、たくさんいると思うんです。もちろんすべて知っていて、「家庭に迷惑をかけないのならば」と目をつぶっている人もいるでしょう。けれども、目を背けても目をつぶっても、心の奥では疑念や怒りが、ふつふつとたまっていくものです。だから、芸能人の不倫のニュースを聞くと、八つ当たりのように怒りをぶつけてしまうのでは、と思った次第です。

■慰謝料請求裁判をしたことで、自分の見たくない部分ばかり見えた

 わたしは芸能人の不倫には腹は立ちませんが、しかし、不倫を当事者同士が“純愛”と言ってのけることには腹が立ちます。結婚によって結びついている男女のほうがむしろ“不純”だって暗に言われているような気になってしまうからです。もちろん、結婚は生活を共にすることなので、“純愛”に照らし合わせると、“不純”と言われる発言や行動だって避けて通れません。夫が突然仕事を辞めて、夢を追い始めようとしたら、自分たちの生活のために考え直すように説得するでしょうし、セックスだってしたくない時は、相手にどれだけ求められても断る。

 そう。自分でもわかっているんです。ひたむきに愛情を注ぐことができない自分に、後ろめたさを感じているからこそ、胸を張って“純愛”だと言い切られると腹が立つっていうことも。夫の不倫の発覚、そして、不倫の慰謝料請求裁判をしたことで見えてきたのは、そういう自尊心の高さ、嫉妬深さ、そして、優越感を得るために不倫相手を見下すような驕りや、不倫相手に対抗意識を燃やす自己顕示欲の強さといった、自分で見たくない部分ばかりでした。

 そして後悔ばかりです。夫とその不倫相手との関係の深さを認めたくなくて、無理やりに引き剥がしたために、今度は彼らがより狡猾に密会するようになったこと。相手は捨て身になり、自殺未遂までして全身全霊で夫を引き留めようとしたことを「メンヘルこえー」とせせら笑い、かっこつけて余裕なポーズで、毎晩女友達と飲み歩いて、夫の気持ちが“かわいそうな愛人”に寄り添ってしまったこと――今さら後悔しても仕方ありませんが、やり直せるとすれば、最初の三者面談の時点で弁護士を入れて、「これ以上調子に乗ると、裁判するぞコラ」と、夫と不倫相手の両方に脅しを入れておけばよかったと思っています。

 なんせ、不倫といえども当人たち、もしくは片方が“純愛”気分に浸っている場合は「付き合っていて、何が悪いの? わたしたちは愛し合っているのに」と考えているのだから、その配偶者は、完全に愛を切り裂く邪魔者扱いなわけです。そんな相手にいくら話をしても無駄、こちらに与えられた権利を行使しつつ、ただ粛々としかるべき措置を講じていくことが、物事を解決するただひとつの方法だったと思います。

 そして、最後に言いたいのは、慰謝料請求裁判をして、よかったということです。自分の中でメラメラと燃えていた夫と不倫相手への怒りは、ほとんど消えましたし、身をもって「うちの妻は本気になったら怖い」と知った夫は、前よりもわたしや家庭を尊重するようになりました。相手の女性はきっと、今でもわたしのことを恨んでいるとは思いますが、それでも、自由になれて楽になったのではないか――とも、わたしは思っています。クリスマスやお正月といったイベントの日はもちろん、週末も、夜も朝も、自分が会えていない時はいつも別の女性(わたし)と過ごしていて、SNSでちょっと探れば、愛しい自分の恋人の隣で、周囲に“カップル”として認められて当然の顔をしている、その女性の姿が目に入る――そんな地獄から、ようやく逃れることができたのですから。

 全20回と長期にわたって、極私的な体験談を読んでいただいたことを感謝いたします。不倫の沼に浸かって溺れそうな方、旦那様の浮気で苦しんでいる方、ともに幸せな未来が訪れますように。
(まほ)