『1秒先の彼』がリメイクで性別変更した理由とは?

リメイクで性別を変更

 ドラえもんとひみつ道具が出てこない『ドラえもん』のような映画、あるいはSF(すこし・ふしぎ)な藤子・F・不二雄ワールド。生前のF先生が描いた中編(『未来の想い出』のような)が原作、と言われたらつい信じたくなる。『1秒先の彼』はそんなSFファンタジー&ラブコメだ。

 主人公はふたり。何をするにもワンテンポ早い郵便…

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『アフターサン』を観て憂う、超少子化社会ニッポン

回想禄なのに回想主がいない

 11歳の少女ソフィ(フランキー・コリオ)が、今は離れて暮らす31歳の父親カラム(ポール・メスカル)と、トルコのリゾート地で数日間まったりと過ごす。『アフターサン』はただそれだけの、シンプルな物語だ。長尺化が進む昨今の映画の中でも珍しく、本編は101分しかない。

 本作の宣伝文句には「11歳の娘ソフィが父親…

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『アダマン号に乗って』心を病んだ人が感じる「居心地の良さ」とは?

精神疾患なのに生き生きしている

 パリのセーヌ川に浮かぶ、船の形をしたデイケアセンター「アダマン」。『アダマン号に乗って』は、そこに日々集う精神疾患者たちの様子を捉えたドキュメンタリーだ。ただし、船の形といっても実際に出港するわけではない。木造造りの建物が川岸近くに固定してあり、川岸から乗り込み用の通路が設置してあるのだ。

「精神疾患…

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『フェイブルマンズ』は「思ってたのと違う」映画

思ってたのと違う

 あらゆる監督作品に「家族愛」テーマを必ずと言っていいほど差し込んでくる巨匠スティーヴン・スピルバーグが送る「初の自伝的作品」(チラシのキャッチより)だけに、最新作『フェイブルマンズ』のチラシや予告編観を見た観客の多くは、こんな内容を期待するだろう。

・普遍的な映画愛とノスタルジックな銀幕ロマンが全開の、スピルバーグ…

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『逆転のトライアングル』松本人志が撮るかもしれなかった「有害な男らしさ」

あ、これ「トカゲのおっさん」だ

 カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞、ゴールデングローブ賞作品賞・女優賞受賞、アカデミー賞作品賞・監督賞・脚本賞ノミネート(2023年2月時点)。スウェーデンの監督リューベン・オストルンドの最新作『逆転のトライアングル』に対する輝かしい評価である。そんな同作を観て思った。ダウンタウンの松本人志が、映画初監督作…

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GG賞3冠!『イニシェリン島の精霊』はオジサン同士の泥沼離婚劇!?

これは「何のたとえ話」なのか?

 『スリー・ビルボード』で2017年の映画賞レースを総なめにしたマーティン・マクドナー監督が、またも小難しい映画を撮った。第80回ゴールデン・グローブ賞でミュージカル/コメディ部門の作品賞と男優賞、そして脚本賞の最多3冠に輝いた『イニシェリン島の精霊』である。

 舞台は100年前のアイルランド、ど田舎の…

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『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は虚構世界のドキュメンタリー映画!?

没入感<実在感

 ジェームズ・キャメロンが『アバター』(09)以来13年ぶりの続編として、かつ全5部作の2作目として監督した『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(WoW)』(12月16日より全国公開中)に関しては、「見たことのない凄い映像、以上」で感想は事足りてしまうが、その凄さにさらなる解像度を与えるなら、「没入感」を「実在感」が超えている…

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まるで『ピタゴラスイッチ』…『宮松と山下』永遠に見続けられる香川照之の所作

 まもなく1歳になる息子と一緒に、よく『ピタゴラスイッチ』を見る。Eテレで放送中の幼児向け番組だ。

 『ピタゴラスイッチ』には色々なコーナーがあって、どれもこれも面白いのだが、看板コーナーとも言えるのが「ピタゴラ装置」だ。「ボールを指で押して転がす」など何らかのアクションを最初に行うと、以降は連鎖してドミノが倒れたり、別のものが転がったり、凝った仕掛けが連続的に作動したりして、…

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『もっと超越した所へ。』反ジェンダーフリーなどんでん返しと主題歌がaikoの意味

 ざっくり言えば、4人の女性(前田敦子、伊藤万理華、黒川芽以、趣里)が4人のクズ男(菊池風磨、オカモトレイジ、三浦貴大、千葉雄大)から“被害”を受け、最後に激ギレする話だが、クズ男たちのクズっぷりがとにかく徹底している。

 4男性とも基本的にはヒモで、各女性の家に家賃を払わず居候している。才能も生活力もないのにプライドは高く、恩着せがましく、糾弾された際の弁解にはまるで説得力が…

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