眞子さまの一生台無しに……皇室ウォッチャーが「小室圭さんとの強制破談はない」と見るワケ

 昨年2月、宮内庁から「2020年までの結婚延期」が発表された秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さん。延期の背景には、小室さんの母・佳代さんが元婚約者との間に抱える“借金問題”が関係しているようだが、いまだ結婚への具体的な話は進んでいないように見える。そんな中、6月21日、ポーランドとフィンランドへの公式訪問前の記者会見に臨んだ秋篠宮ご夫妻が、眞子さまの結婚の見通しについて、「娘から話を聞いていないので、どのように今なっているのかわからない」と発言。世間からは「結婚をめぐって、親子の仲に溝ができているのではないか」「このような状況では破談も近い」といった声が飛び出す中、皇室ウォッチャーX氏は、秋篠宮さまの発言をどう受け止めているのか、また結婚問題はどのような決着を迎えると考えているのか。話を聞いた。

――秋篠宮さまの「娘から話を聞いていないので、 どのように今なっているのかわからない」というご発言について、率直な感想をお教えください。

皇室ウォッチャーX氏(以下、X) 「肩すかし」という印象が強かったですね。週刊誌やテレビ、新聞の関係者は、事前に宮内記者から「結婚問題」についての質問が出ることを把握していたそうなので。世間的にも、昨秋のお誕生日会見時のような踏み込んだご発言(「私は今でも二人が結婚したいという気持ちがあるのであれば、やはりそれ相応の対応をするべきだと思います」「やっぱり多くの人がそのこと(結婚)を納得し、喜んでくれる状況、そういう状況にならなければ、私たちは、いわゆる婚約に当たる納采の儀というのを行うことはできません」など)があるかと期待していたのではないでしょうか。

 そもそも秋篠宮さまは、会見の数週間前には質問をご確認になっていたそうですし、その中に、結婚の見通しについての箇所があることも了承されていたはずです。今回のご発言には、逆に深い意味が込められているのかと勘繰ってしまいました。

――ネット上では「親子断絶ではないか?」「まるで他人事」といった声も散見されました。

X 他人事のような言いようだとは感じましたが、親子断絶までとは言えないと思います。眞子さまはご両親と公務にお出ましになるなど、お仕事の面ではコミュニケーションを取られているはずです。ただ、小室さんとの結婚に関しては、世間からのバッシングも当然ご存じでしょうし、家庭内で話題を出しづらい状況なのだと思います。それに加えて、秋篠宮さまは昨秋のお誕生日会見で、小室さんに対して“やるべきこと”をおっしゃっているわけですから、あえて親子間で結婚問題を話題に出す必要性がないということなのかもしれません。

――小室さんは昨年8月から米フォーダム大学へ留学しており、現在は夏季休暇中とのこと。眞子さまとのご結婚のために、“やるべきこと”をしているのでしょうか。

X 秋篠宮さまは、「金銭トラブルの解決」と「国民から祝福される状況にすること」を小室さんに求められています。そこで彼は、母親の元婚約者に対して、話し合いの機会を持つために文書を送付していますが、元婚約者側がなかなか動かない状態で膠着しています。そういった意味では、小室さんは、すでに現状できることを行動に移しているとも言えます。ただ、婚約内定者という身でありながら、夏休みに帰国しないのは問題だと思います。日本でこれだけ批判されている状況もあるので、一旦帰国して、トラブルの進捗状況や留学の近況などを秋篠宮さまに直接お会いして報告するのが筋でしょう。その辺りはまだ不誠実な対応だと感じます。

――小室さんに不信感を募らせる国民からは、「秋篠宮さまが強制破談させるべきでは」といった厳しい声もありますが。

X 秋篠宮さまは小室さんとの結婚に反対のようですし、かつ強制的に破談させられないわけではないでしょうが、実際に行うとは思えません。というのも、秋篠宮さまが眞子さまの意思を尊重する方だからです。ご自身も紀子さまとも大学で出会い、自らの意思で結婚されたように、眞子さまにもお見合いなどではなく、ご自分で選ばれたお相手と結婚してほしいとの思いがあるのではないでしょうか。さらに秋篠宮さまも、そのことを了解した手前、いまさら破談させることはできないとお考えだと思います。これまでずっと、娘を信頼し、彼女の意思を尊重し続けてきたからこそ、眞子さまのお気持ちに従われるでしょう。眞子さまが今の状況を見て、今後どうするのかの判断を下されるのを待っておられると思います 。 

――眞子さまの結婚問題は、どのような結末を迎えると思いますか。

X 今年中の決着はないでしょうね。以前にも話しましたが、今年は即位関連の儀式があるので。もっと言えば、 来年中に決着するのも疑わしくなってきました。金銭トラブルの解決に向けての話し合いが一向に進まず、一方、先日の北欧訪問前の会見で秋篠宮さまは、「眞子さまからのアクションを待っている」ようでしたし、ご自分からは動かない意思を見せられたからです。ヘタをしたら、小室さんが留学から帰国した後に、やっと話が動き始める可能性すらあります。

 個人的には、これだけ批判されている小室さんとの結婚には賛成できません。しかし、眞子さまのお気持ちや今後のことを考えたら、1億5000万円程の一時金を辞退してもらうなどの条件付きで結婚していただくべきなのかもしれません。大学時代からずっとお付き合いされ、20代の大半を小室さんに捧げてきた眞子さまからすれば、どうしても彼と結婚したいはず。もしここで破談になれば、ほかの相手が見つかる保証はないですし、一生が台無しになる可能性があります。秋篠宮さまも眞子さまの意思を尊重されるスタンスなので、税金から捻出される一時金を辞退して国民の怒りを抑えることで結婚される形が、眞子さまにとって一番いい形だとも考えられるでしょう。

元KAT-TUN・田口淳之介、初公判でプロポーズは判決に影響する? 弁護士が解説

 大麻取締法違反の罪で起訴されていた元KAT-TUNのメンバー・田口淳之介被告と、恋人である小嶺麗奈被告の初公判が、7月11日に東京地裁で行われた。2人とも起訴内容を認めたものの、弁護人による被告人質問での両者の発言内容に対し、ネット上では「とても反省しているようには思えない」と厳しい声が噴出しているという。

 答弁によると、2人は2006年頃から交際をスタート。その後、マスコミに熱愛が報じられると、小嶺は悪質な田口ファンから嫌がらせを受けるようになり、また仕事のストレスも重なったことで、摂食障害、耳管狭窄症などを発症したという。そうした苦しい日々の中、小嶺は09年に大麻に手を染め、一方の田口も小嶺に誘われる形で、約10年前から大麻を使用するようになったそうだ。

 今回の初公判で最も注目を浴びたのは、2人が今後も交際を続けていくことを表明した点だ。小嶺は、弁護人からの「交際を続けたいと思っていますか」という質問に、「続けていきたいと思っています」「交際を続けるなら結婚したいと思っています」と答え、田口もまた「僕も彼女と一緒で、続けていきたいと思っています」と発言。一部メディアがこの様子を「公開プロポーズ」と称し、冷ややかな論調で報じると、ネット上も同様に「恋愛ドラマじゃないんだから」「頭がお花畑なの?」などの批判であふれ、中には「また2人して薬物を使いそう」「きっぱりと別れると言うべきだった」「裁判官もあきれているのでは」といった指摘も飛び出した。

 この点について弁護人は「2人の交際関係がどうなるかは重大な関心があると思う。(中略)それでも2人が別れを選ばなかったことは、それだけ強い絆があるということです。共に罪を犯さないと決意したことを評価し、信じたいと思います」と語っていたが、再犯の可能性を疑う者は後を絶たない様子。

 果たして、初公判における“公開プロポーズ”は、今後どんな影響を及ぼす可能性があるのだろうか。弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞いた。

 今回、田口と小嶺が2人一緒の公判となった点について、一部メディアでは「芸能人の薬物事件では異例」と報じられ、ネット上でも「なぜ?」との疑問が出ているが、山岸氏は「大麻は、1人ではなく、パーティーなど複数人で使用するケースが多い。逆に覚せい剤は1人で使用することが多いですね」という特徴を述べたうえで、次のように解説する。

「複数で逮捕された場合、1人で裁判を行うと『私は相手に誘われてやっただけ』『今回が初めてです』など、自分だけは軽い罪であるといった言い逃れをする可能性があります。それをさせないために、一緒に裁判を行うのです。田口被告と小嶺被告の場合も同様で、どちらが主体となって大麻を使用したのかについて、自己保身に走ることがないようにしたのでしょう」

 こうした経緯から、2人そろって交際継続、またゆくゆくの結婚を宣言するに至ったわけだが、世間では「再犯の可能性を高めるのではないか」「裁判官の心証を悪くする」などの声が出ている。一般論として、一緒に薬物を使用して逮捕されたカップルが、その後も交際を続けると、「再び薬物に手を染めてしまう可能性はあると思います。人間というのは、弱いものですから」と山岸氏は言う。

「ただし、“裁判官の心証”としては、何とも言えません。『一緒に大麻を使用していたのだから、またやるだろう』と考えられる一方、『お互い監視し合うことで、もう二度と大麻を使わないだろう』とも考えられます。つまり、どちらにも捉えられるわけです。大事なのは、両被告がいかに裁判官を説得するか。交際継続という選択をすることで、『二度と大麻に手を染めない』と、裁判官に納得してもらえればいいのです。別れる/別れないは男女の恋愛の話であって、薬物をやる/やらないの話ではありません。なので『別れると言った方が裁判官の心証がいい、交際を続けると言うと心証が悪い』ということではなく、たとえ法廷で『別れます』と宣言しても、裁判官はまず信用しないでしょう」

 なお、ネット上では、小嶺が暗に「田口のファンのせいで」大麻を使用するようになったと示唆し、田口もまた「彼女が私や私のファンに気を使って自分自身をすり減らしていた」と話したことから、ネット上では「そうであれば交際をやめればよかったのでは?」「ファンのせいだというなら、芸能活動をやめればいいのに」といった厳しい声も聞こえてくる。これについても、山岸氏は「ファンがどうこうという話は関係ありません。ただの言い訳でしかなく、ファンから嫌がらせを受けたとて、大麻を使用していい理由にはなりませんから。それは当たり前のことです」とピシャリ。

 検察側は田口と小嶺それぞれに、懲役6カ月を求刑し、弁護側は執行猶予付きの判決を求めているが、山岸氏いわく「大麻所持、初犯であれば、その程度だと思います。執行猶予が付くことでしょう」とのこと。初公判に関して、「まるで恋愛ドラマ」などと揶揄される向きがあるものの、「そういったポーズをとったところで、裁判官はだまされません。通常の一般人と変わらず裁かれます」ときっぱり断言した。

 判決は7月30日に言い渡される。田口と小嶺は、いまどんな心境で判決を待っているのだろうか――。

元KAT-TUN・田口淳之介、初公判でプロポーズは判決に影響する? 弁護士が解説

 大麻取締法違反の罪で起訴されていた元KAT-TUNのメンバー・田口淳之介被告と、恋人である小嶺麗奈被告の初公判が、7月11日に東京地裁で行われた。2人とも起訴内容を認めたものの、弁護人による被告人質問での両者の発言内容に対し、ネット上では「とても反省しているようには思えない」と厳しい声が噴出しているという。

 答弁によると、2人は2006年頃から交際をスタート。その後、マスコミに熱愛が報じられると、小嶺は悪質な田口ファンから嫌がらせを受けるようになり、また仕事のストレスも重なったことで、摂食障害、耳管狭窄症などを発症したという。そうした苦しい日々の中、小嶺は09年に大麻に手を染め、一方の田口も小嶺に誘われる形で、約10年前から大麻を使用するようになったそうだ。

 今回の初公判で最も注目を浴びたのは、2人が今後も交際を続けていくことを表明した点だ。小嶺は、弁護人からの「交際を続けたいと思っていますか」という質問に、「続けていきたいと思っています」「交際を続けるなら結婚したいと思っています」と答え、田口もまた「僕も彼女と一緒で、続けていきたいと思っています」と発言。一部メディアがこの様子を「公開プロポーズ」と称し、冷ややかな論調で報じると、ネット上も同様に「恋愛ドラマじゃないんだから」「頭がお花畑なの?」などの批判であふれ、中には「また2人して薬物を使いそう」「きっぱりと別れると言うべきだった」「裁判官もあきれているのでは」といった指摘も飛び出した。

 この点について弁護人は「2人の交際関係がどうなるかは重大な関心があると思う。(中略)それでも2人が別れを選ばなかったことは、それだけ強い絆があるということです。共に罪を犯さないと決意したことを評価し、信じたいと思います」と語っていたが、再犯の可能性を疑う者は後を絶たない様子。

 果たして、初公判における“公開プロポーズ”は、今後どんな影響を及ぼす可能性があるのだろうか。弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞いた。

 今回、田口と小嶺が2人一緒の公判となった点について、一部メディアでは「芸能人の薬物事件では異例」と報じられ、ネット上でも「なぜ?」との疑問が出ているが、山岸氏は「大麻は、1人ではなく、パーティーなど複数人で使用するケースが多い。逆に覚せい剤は1人で使用することが多いですね」という特徴を述べたうえで、次のように解説する。

「複数で逮捕された場合、1人で裁判を行うと『私は相手に誘われてやっただけ』『今回が初めてです』など、自分だけは軽い罪であるといった言い逃れをする可能性があります。それをさせないために、一緒に裁判を行うのです。田口被告と小嶺被告の場合も同様で、どちらが主体となって大麻を使用したのかについて、自己保身に走ることがないようにしたのでしょう」

 こうした経緯から、2人そろって交際継続、またゆくゆくの結婚を宣言するに至ったわけだが、世間では「再犯の可能性を高めるのではないか」「裁判官の心証を悪くする」などの声が出ている。一般論として、一緒に薬物を使用して逮捕されたカップルが、その後も交際を続けると、「再び薬物に手を染めてしまう可能性はあると思います。人間というのは、弱いものですから」と山岸氏は言う。

「ただし、“裁判官の心証”としては、何とも言えません。『一緒に大麻を使用していたのだから、またやるだろう』と考えられる一方、『お互い監視し合うことで、もう二度と大麻を使わないだろう』とも考えられます。つまり、どちらにも捉えられるわけです。大事なのは、両被告がいかに裁判官を説得するか。交際継続という選択をすることで、『二度と大麻に手を染めない』と、裁判官に納得してもらえればいいのです。別れる/別れないは男女の恋愛の話であって、薬物をやる/やらないの話ではありません。なので『別れると言った方が裁判官の心証がいい、交際を続けると言うと心証が悪い』ということではなく、たとえ法廷で『別れます』と宣言しても、裁判官はまず信用しないでしょう」

 なお、ネット上では、小嶺が暗に「田口のファンのせいで」大麻を使用するようになったと示唆し、田口もまた「彼女が私や私のファンに気を使って自分自身をすり減らしていた」と話したことから、ネット上では「そうであれば交際をやめればよかったのでは?」「ファンのせいだというなら、芸能活動をやめればいいのに」といった厳しい声も聞こえてくる。これについても、山岸氏は「ファンがどうこうという話は関係ありません。ただの言い訳でしかなく、ファンから嫌がらせを受けたとて、大麻を使用していい理由にはなりませんから。それは当たり前のことです」とピシャリ。

 検察側は田口と小嶺それぞれに、懲役6カ月を求刑し、弁護側は執行猶予付きの判決を求めているが、山岸氏いわく「大麻所持、初犯であれば、その程度だと思います。執行猶予が付くことでしょう」とのこと。初公判に関して、「まるで恋愛ドラマ」などと揶揄される向きがあるものの、「そういったポーズをとったところで、裁判官はだまされません。通常の一般人と変わらず裁かれます」ときっぱり断言した。

 判決は7月30日に言い渡される。田口と小嶺は、いまどんな心境で判決を待っているのだろうか――。

遺族は“顔写真の入手”に傷ついている――被害者支援の弁護士が語る「マスコミの問題点」

 5月28日、神奈川県・川崎の登戸駅付近で、スクールバスを待っていた小学生らが、男性に相次いで刺され、小学6年生の女子児童と保護者の男性が死亡、17人が負傷するという「川崎殺傷事件」が起こった。

 この痛ましい事件は、多くの人々にショックを与え、ネット上では、亡くなられた被害者への哀悼や加害者男性への強い憤り、事件の真相解明を求める声などが飛び交ったが、その中で「マスコミ批判」も過熱。加害者男性の名前が公表される前に、被害者の実名が報じられたことをきっかけに、「それより加害者のことを知りたい」「被害者の実名や経歴、人となりを報じる意味は?」「被害者の気持ちをもっと考えるべき」といった声が巻き起こり、「被害者の実名や顔写真を出すな!」といった主張も散見された。

 これまでも、被害者やその家族が報道自粛をする中、マスコミが強引な取材やプライバシー侵害にあたるような報道を行ったとして、「被害者報道の在り方」が議論されることはたびたびあった。そんな中、ここ数カ月の間に起こった「池袋暴走事故」(4月19日)、「大津園児事故」(5月8日)でも、同様の議論に発展、マスコミの取材や報道の仕方が疑問視されることが続いており、現在あらためて事件や事故を取材・報道するマスコミの姿勢が問われているのだ。

 今回、「被害者報道」の現状と課題に、報道サイド/被害者支援サイド双方の視点から考えていく。後編では、日弁連犯罪被害者支援委員会、NPO法人神奈川被害者支援センターにて、被害者支援に携わってきた武内大徳弁護士に話をお聞きした。

 武内氏は、1999年から被害者支援に従事している。この被害者支援とは、具体的に、犯罪被害者参加制度(殺人や傷害、業務上過失致死傷など、一定の犯罪の被害者やその家族、および委託を受けた弁護士が、刑事裁判に直接参加することができる制度)での支援、刑事手続きの流れの説明や法廷への付添支援などだが、事件・事故発生後に被害者側のもとに駆け付け、マスコミの取材対応を行うこともあるという。

(前編:川崎殺傷、池袋・大津事故――「被害者報道」めぐるマスコミ批判に、報道記者はどう答える?

――川崎殺傷事件で、被害者の実名、顔写真が報じられたことに対し、ネット上で多くの批判が巻き起こりました。

武内大徳氏(以下、武内) 私の所属する神奈川県弁護士会では、川崎市中1男子生徒殺害事件が起こった2015年と、座間9遺体事件が起こった17年に、被害者のプライバシー尊重を求める会長談話を発表しています。中学生でも理解できる平易な文章で、被害者報道とプライバシーの問題について述べているもので、多くの反響をいただきました。これまでも弁護士会の有志と、報道機関の有志がこの問題について意見交換を行っているのですが、現状「なぜ犯罪の被害に遭うと、プライバシーが開かれてしまうのか?」という問いに対しての理論的な説明は、いまだ為されていないと感じます。

 例えば「被害者の実名報道は、人々に強い衝撃を与え、社会をよりよくするための議論を呼ぶ」「ひいては国民にとっていいことである」という意見もよく耳にしますが、それってつまり「ここに道路を作ると、社会にとっても、国民にとってもプラスになるから、あなたの家を取り壊しますね」と言っているようなものではないか……と。「公共性の利益」という理由では、人々は説得されなくなってきていると思います。

――それでもやはり、報道の精神として「実名報道」は絶対とする関係者はいます。

武内 しかし、性犯罪の被害者に関しては、すでに匿名報道が行われているのです。「社会をよりよくするために」というのであれば、性犯罪の被害者がどれだけつらい目に遭っているかは、世の中に伝えなくてもいいのか? と感じてしまいます。もちろん、実名かつ顔写真を報じる方がインパクトはありますし、人々の「かわいそう」という気持ちを呼び起こすであろうことも理解できます。しかし、「やめてほしい」という遺族の申し出を無視してまですることなのかと、疑問は抱いてしまいますね。

――ほかにも問題だと思う報道はありますか。

武内 ある殺人事件の被害者報道では、亡くなられた男性のご家庭が母子家庭で、生活が厳しく、一時期、生活保護を受給していたことが、「美談仕立て」で報じられたこともありましたが、なぜ被害者になった途端、そこまで世間にさらされなければいけないのかと思いました。人々が関心を寄せるような形にして報じるのがマスコミの仕事かもしれませんが、もう少しご遺族の気持ちを考えるべきなのではないでしょうか。

――では、「取材方法」についてはどうでしょうか。川崎殺傷事件のマスコミ取材において「問題がある」と感じた点なありますか。

武内 川崎殺傷事件では、小学6年生の女の子が亡くなられましたが、翌朝の各メディアで、お父様の「今日は勘弁してほしい」「今日は妻を一人にすることはできない」というコメントが報じられました。事件が起こったその日の夜、お父様に「今日は勘弁してほしい」という対応を強いていること自体、普通の感覚であれば、「おかしいのではないか」と感じるものです。「勘弁してほしい」という言葉には、「許してほしい」という謝罪のニュアンスも含んでいる印象もあります。メディアとして速報性が要求されるとしても、事件当日の夜にまで、ご遺族のコメントを取る必要性はあるのだろうか、本当に国民が求めている情報なのかを考え直すべきではないかと思いました。

――ほかにも、ご遺族がマスコミの取材や報道に対し、傷ついていることはありますか。

武内 顔写真の入手や掲載についてです。マスコミが被害者の顔写真を、学生時代の同級生などから入手することがあるのですが、ご遺族にとってみれば、「自分たちの知らない間に、一体誰が?」と強い不信感を抱き、嫌な思いをされることがよくあります。

――マスコミ側からすると、ご遺族に「顔写真をください」と訪ねていくことの方が配慮に欠けると思っているのかもしれません。

武内 いや、「どうせ使うのであれば、この写真をつかってほしい」と思われているご遺族は少なくないですよ。速報性を求められ、他社との競争がある中で、記者の方が葛藤されている面はあると思います。個人的な心情としては被害者の方の葬儀にまで取材に行きたくない、けれど、もし自分が行かなかった葬儀で、突然記者会見が開かれ、他社の記者が参加していたらどうしよう……などと葛藤するのではないでしょうか。ただ私は、その場に我々のような代理人が入ることで、問題は解決すると思っています。

 代理人がご遺族とマスコミの間に入り、コメントや顔写真の手配・提供などを行う――例えば、記者がご自宅の周りを取り囲んでいる状況のとき、ご遺族に「何か一言でもコメントを出せば、この状況はちゃんと落ち着きます」と助言し、もしコメントが得られれば、「コメントを出すから、解散してほしい」とマスコミ側に伝えて、発表する。そうすれば、マスコミが直接ご遺族にコメントや顔写真をお願いすることはなくなりますし、取材時のトラブルはかなり回避できるのでは。もちろん、ご遺族が「コメントは出さない」と言えば、無理強いはしませんが、「突然のことで何をコメントしていいかわからない」ということなら、「それをそのままコメントにしましょう」と提案します。弁護士が事件発生直後からご遺族を支援する仕組みは、ご遺族側のご負担を軽減させるだけでなく、マスコミ側にとっても助かるものだと思いますし、もっと広めていきたいです。

――ネットの意見を見ると、「マスコミが被害者側を虐げている」「マスコミ=悪」と考える人も少なくありませんが、代理人はあくまで「双方にとって何がベストか」を考える立場なのですね。

武内 私は、こういったマスコミ対応を「交通整理」「状況のコントロール」と言っているのですが、「取材は一切お断り」とするのも上手なやり方ではないと思います。記者の方たちは何か情報をつかんで社に持ち帰らなければいけないですし、もしご遺族の取材は一切NGとすると、今度は近隣の方や同じ学校の生徒、職場の同僚など、周辺取材が激化してしまい、新たなトラブルが起こる可能性もあります。

――ネット上では、「被害者報道」自体の必要性について議論する向きもあります。

武内 「被害者報道はいらない」という論調は危険です。もし被害者が、加害者を長年DVで苦しめ続けてきた人物だとしたら、それでも実名報道は必要ないと思いますか? また、もし国会議員が刺されたりしたら、歴史的事実として記録しなければいけませんし、実名で報じるのは当然でしょう。「被害者」などと、大きな主語で議論を行うのは大変危険だと感じます。さらに、事件発生直後は「何も考えられない」という状態だったご遺族の方も、時間がたつにつれて、犯人の逮捕や、裁判の開始、判決が出たタイミングで、「私たちの気持ちも知ってほしい」と思うことがあります。その声を多くの人たちに届けるのはマスコミの仕事です。

――今、被害者報道が注目されていますが、今後の課題についてどう思われますか。

武内 かつて、マスコミによる被害者報道をめぐっては、取材方法にしても、報じられ方にしても、もっと大雑把なものだったと思います。しかし今では、インターネットを通じて、被害者側が声を上げることができるようになったので、問題視されだしたのだと思います。一方、そのネットの発達が、被害者側の負担になるケースもある。ネットのない時代は、実名報道されても、後になってその情報を調べることはなかなか難しいことでしたが、今はネットで検索すると、すぐに名前が出てくる。アーカイブの質が激変し、誰でも簡単に過去の情報にアクセスでき、しかもそれが消えないのです。今、被害者報道が注目を浴びているのは、こうした背景があると見ています。

 私の今後の課題としては、先ほども言っていたように、被害者側に、無料で弁護士がつくという制度の存在をもっと世に広めること。一方、取材サイドに関しては、今回のような取材依頼が来ること自体が「変わっていっている兆し」とも受け止めています。また、実際に「実名を出さずに済む場合は匿名で」というケースも出てきましたし、相模原障害者施設殺傷事件では、警察がご遺族の意向などを理由に、19人の犠牲者を匿名で発表する対応を取りましたが、各社それぞれ実名か匿名かを検討し、「ネットの記事、第一報以外には実名を載せない」などの対応を取ったと言います。マスコミ側にもっと報道の在り方――「なぜ報じるのか」という点を考えていってほしいと願っています。

武内大徳(たけうち・ひろのり)
弁護士。神奈川弁護士会。1999年から被害者支援に携わる。著書に『犯罪被害者等基本計画の解説』(番敦子氏、佐藤文彦氏との共著/ぎょうせい)などがある。

川崎殺傷、池袋・大津事故――「被害者報道」めぐるマスコミ批判に、報道記者はどう答える?

 5月28日、神奈川県・川崎の登戸駅付近で、スクールバスを待っていた小学生らが、男性に相次いで刺され、小学6年生の女子児童と保護者の男性が死亡、17人が負傷するという「川崎殺傷事件」が起こった。

 この痛ましい事件は、多くの人々にショックを与え、ネット上では、亡くなられた被害者への哀悼や加害者男性への強い憤り、事件の真相解明を求める声などが飛び交ったが、その中で「マスコミ批判」も過熱。加害者男性の名前が公表される前に、被害者の実名が報じられたことをきっかけに、「それより加害者のことを知りたい」「被害者の実名や経歴、人となりを報じる意味は?」「被害者の気持ちをもっと考えるべき」といった声が巻き起こり、「被害者の実名や顔写真を出すな!」といった主張も散見された。

 これまでも、被害者やその家族が報道自粛をする中、マスコミが強引な取材やプライバシー侵害にあたるような報道を行ったとして、「被害者報道の在り方」が議論されることはたびたびあった。そんな中、ここ数カ月の間に起こった「池袋暴走事故」(4月19日)、「大津園児事故」(5月8日)でも、同様の議論に発展、マスコミの取材や報道の仕方が疑問視されることが続いており、現在あらためて事件や事故を取材・報道するマスコミの姿勢が問われているのだ。

 今回、「被害者報道」の現状と課題に、報道サイド/被害者支援サイド双方の視点から考えていく。前編では、大手マスコミの報道記者であるA氏に話をお聞きした。

――ネットを中心に「被害者報道の在り方」を問う声が過熱しています。この現状について、どのように感じますか?

A氏(以下、A) 匿名の人がネット上で意見を言うことが当たり前になった今、「被害者の実名を報じるな」などの声が出ていることはもちろんわかっています。しかし報道記者として……もっと言うと“報道の精神”として「実名報道」というのは原則です。

 記者にもよると思うのですが、私はこの仕事を「歴史を記し、後世に伝えていく仕事」だと考えています。極端な例になりますが、安土桃山時代の関ヶ原の戦いで、当時10代だった小早川秀秋が石田三成を裏切り、徳川家康に寝返ったという話は、歴史上の出来事として広く知られていますよね。それは「小早川秀秋」という実名だからこそだと思うのです。例えば、「10代の武士」としか記録されていなかったら、日本の歴史上、大きな影響を及ぼしたこの戦いの真相を知ることはできなかったはずです。

――ほかにも、「実名報道の意義」について、思うところはありますか。

A 私は、「報道とは世の中に議論を起こすためのもの」だとも思っています。例えば、池袋暴走事故でも、被害者の実名と顔写真が出ましたが、もし「30代の女性と3歳の娘さん」としか伝えられなかったら、もちろん皆さん「かわいそうに」とは感じるものの、高齢者の免許返納問題がこれほど議論されることはなかったのではないでしょうか。

 事件や事故が起こった際、ネットでは「被害者の実名や顔写真を出す意味がわからない」と怒る人もいますが、こうして報じられたからこそ、被害者母子への「かわいそう」という気持ちがさらに強くなり、高齢者の免許返納問題について考えなければいけない機運が高まったと、私は理解しています。

――池袋暴走事件では、亡くなられた被害者女性の夫が会見を開き、顔写真の公開を行いましたが、それも「さまざまな議論がなされ、少しでも犠牲者がいなくなる未来」を考えてのことと、お話されていました。

A 旦那さんは、弁護士の方と一緒に考え、会見を開いてくれたのではないかと思っています。

 なお、池袋暴走事件に関しては、事故が起きた日の夜、旦那さんの話を聞きたいと、記者たちがご自宅の前に集まっていました。旦那さんの立場としては、我々の取材は「過熱しすぎである」と思われて当然だと思いますが、しかしそれでも、我々はご遺族に真摯に向き合い、二度とこのような事故がないように、どうすればいいのかを考えるため、取材させていただきたいという思いを持っていたのです。

――「実名報道をやめてほしい」というご遺族の方に対して、どう向き合うべきだと思いますか。

A ご遺族の気持ちを考えたら、亡くなられた家族の実名や顔写真が出ることを「やめてほしい」と思う方がいるのは当然です。もし自分が同じ立場だったら、嫌だと感じるでしょう。それでも、やはり「実名報道は原則」を我々は忘れてはいけないと思います。我々は、ご遺族の方に対して、最大限「なぜ実名報道をしなければいけないのか」という理由を申し上げる。その努力をするべきだと感じています。ただ晒したいから、実名や顔写真を報じているということは絶対にありません。川崎の事件で亡くなられた男性は外務省職員で、実名や顔写真以外に、どのような仕事をしていたかについても詳しく報じられていましたが、それは男性が“確かに生きていた“ということで、その人生を奪ったことが、どのような意味であるかを世の人に考えてもらいたいと思うわけです。逆に……全てが隠されている方が違和感などを感じてしまうところもありますね。

――「違和感」というのはどういうことでしょうか。

A 「亡くなられたのは30代の男性」だけしか報じられないと、何か隠されているのではないか……と感じてしまうのではないでしょうか。例えばアメリカだと、加害者や被害者だけでなく、事件・事故の目撃者のインタビューでも実名かつ顔出しなんです。文化の違いもあるでしょうが、「隠す理由がない」のであれば、実名は原則であるべきだと感じます。

――被害者報道の在り方については、長年議論されていることですが、“変わってきた”と感じる点はありますか。

A 昔に比べると、被害者やそのご家族に配慮した報道にはなってきていると思いますし、いまこうして議論が再燃している中、テレビや新聞各社は、あらためて「実名報道の意義とは」「取材方法に間違いはなかったのか」と話しているのではないでしょうか。例えば、葬儀の取材はご遺族が最も嫌がられるものだと思います。一昔前は当然のように取材されていたと思いますが、現在では葬儀の取材を必ずしもするものではありません。そこはご遺族の考えを尊重して、自粛しなければいけない場合もあるのではないか、と。

――確かに以前は、テレビで葬儀の様子が流れることもよくありましたが、減ってきているように感じます。

A 昔は、勝手にマンション中に入って、住人に話を聞くといった取材も普通に行われていましたから。今だと「不法侵入」で逮捕される可能性もあります。「取材方法」に関しては特に変わってきていますね。

――速報性が重視され、各社の競争が激化することが、強引な取材につながるといった指摘もありますが。

A 確かに、「各社の競争が激化」という点は、認めざるを得ないところはありますね。上から「どうしてうちだけ被害者の写真が手に入れられないんだ」などと叱られることは実際にあるのです。ただ、だからと言って、ご遺族の自宅のピンポンを押して「写真をください」なんてことはしないですし、各社の競争がご遺族に何か大きな影響を及ぼすということはないのでは……。逆に、実名報道でなかった場合は影響が出ると思います。ご遺族以外の方からお写真を入手する際、「あの人に何かあったの?」などと騒ぎになり、ご遺族にも負担になってしまう可能性もあります。

――大津園児事故では、事故当日に保育園側が会見を開き、その中で記者が、保育園側の安全責任を追及するような質問や、出発前の園児の様子などを聞こうとしたことにより、ネット上で「保育園側を責めるのはおかしい」「意味のない質問」などと大炎上が起こりました。

A 個人的には、質問内容がよくなかったと思います。保育園側の安全責任を追及することが、あの会見での本質ではないと感じますし、ただ、追及しようとする気持ちはわかります。事故というのは、さまざまなミスが重なって起きるものですし、その原因を考える意味では正しいが、あの状況、あのタイミングで聞くべきではなかった。保育園が重大なミスを犯した“悪者”ではないであろうことは、あの時点でわかっていたでしょう。

――マスコミが、被害者サイドである保育園に「会見を開かせた」といったニュアンスでとらえる人も少なくなかったようです。

A 私は「開くべきだった」「開くべき意味があった」と思います。保育園側に不手際があったわけではないことが、あの会見によって知れ渡ったのですから。

もし数字取りだけが目的だったら……

――被害者報道について、今後の課題だと感じることをお教えください。

A 先ほど、「原則として実名報道」というお話をしました。いま実名報道の是非について議論が巻き起こってはいるものの、その精神は揺らぐことはありません。さまざまな意見を聞き、考えなければいけない問題ではありますが、実名報道をやめていこうという流れではなく、実名報道は行う、けれど、「なぜ実名報道をするのか」を理解してもらうことを意識すべきではないかと。その努力なしに実名報道をするのは、やはり「被害者への配慮はない」と思います。

 我々は目先のスクープで“数字”を狙っていると勘違いされがちですが、もし数字取りだけが目的なら、過去にあった事件や事故を再び振り返る――例えば「地下鉄サリン事件から20年」などの特集は行いません。報道によって世の中を変えていきたいという気持ちを持っていることを知っていただければと思います。

「セブンペイ」不正アクセス騒動で集中砲火! セブン&アイ「全被害補償」を弁護士解説

 コンビニ最大手「セブン-イレブン」のスマホ決済「7pay(セブンペイ)」で、不正アクセス被害が発生した。一部のアカウントが第三者にIDを乗っ取られて、クレジットカードから不正にチャージされ、買い物に使われるといったケースが多数報告されているという。7月4日午前6時時点の試算で、被害者は約900人、被害額は約5500万円に上ると言われ、キャッシュレス化が進む世の中に、大きな衝撃を与えた。

 7月1日のリリース直後に大事故を起こしてしまったセブンペイ。ネット上に「セキュリティのずさんさに愕然とする」「開始早々こんなことになって、もう誰も使わないでしょ」といった批判が噴出する中、セブン&アイ・ホールディングスが4日に開いた緊急会見では、清水健執行役員が「あらゆるサービスについて、事前にセキュリティ審査をやっている。セブンペイもきちんと確認したが、脆弱性はなかった」と強調したことで、ますます世間の人々を呆れさせることに。

 さらに、セブンペイは、登録時に二段階認証(利用者認証を2回に分けて行う手法)を採用しておらず、マスコミからは「それがセキュリティの甘さにつながったのではないか」といった質問も出たが、株式会社セブン・ペイの小林強社長が「二段階認証……?」と言葉を詰まらせ、曖昧な回答にとどめたことも問題視されている。「決算サービスを扱っているのに、なぜ社長が二段階認証を知らないの?」「事故が起きたのは必然だったと思わざるを得ない」などの厳しい意見が出るのも当然なのかもしれない。

 そんな中、警視庁新宿署は4日、他人のセブンペイアカウントを不正に使用し、20万円分の電子タバコを購入しようとしたとして、詐欺未遂容疑で中国籍の男2人を逮捕した。不正アクセス行為を取り締まる、不正アクセス禁止法違反の容疑にも当てはまりそうだが、弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士は、詐欺未遂容疑での逮捕となった理由を、次のように解説する。

「はい。確かに、不正アクセス罪(不正アクセス禁止法)も、電子計算機使用詐欺(未遂)罪(刑法246条の2) もどちらも成立することでしょう。今回、詐欺未遂容疑で逮捕したのは、法定刑が重いからではないでしょうか。詐欺(未遂)罪は10年以下の懲役、これに対し不正アクセス罪は3年以下の懲役等となります」

 今回の事件には国際的な犯罪グループが関与した疑いがあるとみられており、早期の全容解明が求められるが、先述の通り、世間ではセブン&アイの責任を問う声も高まっている。同社は、「全ての被害に対して補償を行う」としているものの、山岸氏は「セブン&アイには法律上の補償義務はありません」と説明する。

「『補償』に関しては、条理に基づき、企業としての態度を示したということでしょう。ただし、ここで注目すべきは、“条理によるもの”なので、誰にいくら補償するかは“セブン&アイ次第”なのです」

 例えば、「不正チャージされ、かつ不正使用された分」と「自らチャージし、不正使用された分」はどちらも補償対象となるのかなどは、いまのところ不透明。ネット上には「セブン&アイ側が難癖をつけて補償をうやむやにしないことを祈る」などの声も散見される。

 なお、セブン&アイが被害額の約5500万円を取り戻すためには、「不正アクセスの“親玉”がいるとして、その“親玉”を被告とし、民事事件での損害賠償請求訴訟を提起、判決を得る必要があります」といい、「『刑事』事件と『民事』事件は異なるものであり、犯人が逮捕され有罪になることと、損害金を取り戻すことは別の手続です」と補足する。

 山岸氏は、「セブン&アイが被害者であることは間違いなく、セブンペイのシステムが実際に脆弱かどうかもわかりませんが……」と前置きした上で、コンビニ各社が“独自の決済システム”に注力しているのは、「要するに、他社のシステムを利用して決済すると、システム利用料として売り上げから手数料を支払わなければならないからなのでは」と考察する。

「そう考えると、自社都合を優先し、急いでシステムを構築した結果、脆弱性のテストも不十分だったのでは……と世間に思われても仕方ないと思います。また、消費者目線で考えると、コンビニごとに決済システムを構築し、消費者に、いちいち対応アプリの立ち上げを求め、決済させるのではなく、各社共通して一つのシステムを構築してもらいたいものです」

 果たして、セブンペイ不正アクセス事件は、今後一気に拡大すると予想されるキャッシュレス決済に、どのような影響を及ぼすのだろうか。

女性は「容姿を問われて当然」なのか――望月衣塑子氏が語る、ジェンダーの後進性が生む“損失”

 5月下旬、とある女性がつづったブログがネット上で大きな話題となった。ゲームの大会に出場し、優勝するほどの実力があったにもかかわらず、容姿に対する誹謗中傷を受けたために、大会への出場を辞めたという内容だ。彼女はブログの中で、「不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ありませんでした」「全部私の容姿のせいなので」などと謝罪の言葉をたびたびつづり、この内容が話題になると、「本当にひどい話……地獄すぎる」「なぜ頑張ってる人が批判されて傷つかなきゃいけないのか」といった同情の声が多数寄せられ、ゲーム業界のみならず広く議論を呼んだ。

 この件以降も、容姿がその人の評価や能力と関係ない場面で、勝手に“審判”されることに違和感を表明するケースが増えてきているが、明らかなセクハラを受けていたのに、なぜ彼女が謝らなければならなかったのだろうか。容姿を評価するという“空気感”が生む不当な損失や差別、組織としてとるべき対応について、東京新聞の記者であり、ハラスメントやジェンダーの問題に取り組んでいる、望月衣塑子氏に寄稿いただいた。

容姿への誹謗中傷が生んだ大損失

 ビデオゲームの対戦競技「エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)」。日本でも若い世代を中心に盛んで、さまざまな大会が開催されている。プレイヤーの大半は男性で、大会賞金で生活するトップ選手は、国内外を見てもほぼ男性で占められている。女性はまだマイノリティだ。将来的にオリンピックの公式競技となる可能性も取り沙汰されているという。そういう意味で、気になる出来事があった。

 あるeスポーツの公式大会に参加していた女性プレイヤーが、容姿について心ない中傷をネット上で受け続けた結果、競技から「逃げる」選択をしたという。

 5月に公開された本人のブログを読んだ。高校2年生の時に地方大会で優勝し、多くの称賛を受けた。だが、同時に容姿や服装など、競技の成績と関係ないところで誹謗中傷を受け始めたこと、競技で得た喜びよりも嫌がらせへの悲しみがそれを上回り苦しくなったこと、つらいのを我慢してまで競技を続ける必要がないという結論に至ったこと、それに気づくのが遅れたせいで、苦しんだ過去の自分に対して申し訳ない思いを持っていることなどが、綿々とつづられている。ひどい話だ。何よりも悲しいのは、彼女が「自分自身が悪い」と責めていること。全然、違うよ。あなたはちっとも悪くない。

 彼女は当初、Twitterで誹謗中傷をしてくるアカウントをブロックしたり、自分に対する評価をネットで調べる「エゴサーチ」をしないように努めたりしたという。だが、容姿にまつわる他人の目に敏感になる年頃だ。気にするな、というほうが難しい。他人が「不条理な中傷と戦え」などと軽々しく言えないし、そんな苦労をする必要もない。彼女がその場から去るという選択は間違っていない。でも、eスポーツ競技とそれに関わる人たちにとって、大きな才能の損失だったことは、はっきりしている。

 近代オリンピックで女性選手の参加が認められたのは1900年の第2回パリ大会からで、最初はテニスとゴルフのわずか2種目。その後、女性が参加できる競技は少しずつ増えたが、男性で占められた大会役員の「女性らしさを損なわない」という価値観の時代が続いた。94年に世界スポーツ会議で「ブライトン宣言」が採択され、ようやく男女の機会均等の機運が高まった。現在の日本選手団を見れば、女子選手の活躍は周知の通りだ。裏を返せば、高い能力があっても、こうした歴史と環境があったために、今まで五輪の夢をあきらめていた女性アスリートたちがいたのだと思う。

 eスポーツは黎明期で、これから競技人口は増えていく。筋肉量や心肺機能の差が成績に直接結びつくわけではないので、他の競技よりも女性が参加しやすい。ましてや、子どもの頃からゲームに親しめる日本ならば、能力の高い女性プレイヤーが頭角を現すチャンスは多いだろう。でも、このような“陰湿ないじめ”を見せられれば、「次に狙われるのは自分かもしれない」と誰だって思う。女性が参加をためらうのは、目に見えている。

 団体が連携して、ネット上の心ない攻撃の拡散を防ぐ方策を練ることはできないか。たとえばサッカーは、問題行動を起こしたサポーターの入場をクラブが自主的に禁止・制限している。スタジアムで子どもや女性が安心して観戦を楽しめることで、「おらがチーム」の応援につながり、子どもが安心してサッカーを始めることができる。eスポーツもその環境づくを学び、取り入れるべきだと思う。

 そんな環境を生んだ責任の一端は、マスコミにもある。「美人作家」「美しすぎる弁護士」などといった報じ方はやめてほしい。「ミスコン」のように外見の美しさを競うジャンル(その是非についても議論があるが、紙幅の都合上、ここでは触れない)を除けば、本人の能力や努力と外見は何の相関も因果関係もない。なのに、マスコミが見た目のイメージをセットにして伝えれば、受け取る側は「女性は容姿も問われて当然」と思ってしまうではないか。

 もちろん、男性も「イケメン」などと書かれることはある。だが、女性のほうがより顕著だろう。かわいければたくさんのスポンサーがつくから? “美人”と見出しに入れれば媒体を手に取る男性が増えるから? 見目麗しい人を愛でるのはその人の勝手だ。ただ、「『美人』『かわいい』と書いておけば本人も嫌がらない。ハラスメントにならない」という安易な考えで、気軽に使ってはいないだろうか。それは外見を「抱き合わせ」で報じることの免責理由にはならない。このような報じ方をすれば、同時に「ブスのくせに」「女らしくない」という差別意識を生むからだ。この点、広告をはじめマスコミ業界が率先して自省し、抑制するべきだと思う。

 ジェンダー問題の後進性が損失を生んでいるケースは、他の分野でも見られる。私がこのブログを読んで思い返したのが、ブロガー・はあちゅうさんのケースだ。

 17年秋以降、米・ハリウッドから世界に広がった「#MeToo」のムーブメントで、日本ではジャーナリスト・伊藤詩織さんの会見を皮切りに、作家の森まゆみさん、元厚生労働事務次官の村木厚子さん、はあちゅうさんらが次々と過去の被害を打ち明けた。はあちゅうさんは、告発に7年を要したとし、その理由について、「忘れられない私が人間的に未熟だ」と思っていたから、と語った。自分の責任に落とし込んでしまうのが、今回の件と共通している。その分析は誤っている。でも、そう思い込まされてしまう環境に、私たちはいまだに置かれている。私はそのことに最も怒りを感じるし、一抹の後悔がある。

 男女雇用機会均等法が1986年に施行され、女性の社会進出が進んだが、日本は長らく“男社会”が続いてきた。男女平等の度合いを指数化して世界順位を示す「ジェンダーギャップ指数」を見ると、日本の2018年の順位は149カ国中110位で、まだまだ遅れている。1989年の流行語大賞は「セクハラ」で、2018年は「#MeToo」が新語・流行語大賞のトップテンに入った。女性への性的いやがらせは、平成の約30年の間、ろくに解決していないことになる。

 均等法第一世代の女性はパイオニアだった。「だから女はダメだ」と周囲に言わせないため、諸々を犠牲にしてむちゃくちゃ働いた。結婚や出産を選択しなかった先輩もいる。彼女たちの多くは、取材先や社内でのセクハラに耐えてきた。嫌な気持ちを押し込んで、なかったことにしようとした人もいた。先輩の昔話を聞くと「男性の2倍働いて、ようやく半分の評価がもらえるぐらい」というから、いかに苛烈だったかがうかがえる。

 私が採用された2000年当時、同期のうち女性は3割まで増えていた。それでもまだ警察、自治体の幹部、政治家など取材先は、自分より年上の男性だらけで、女性記者は目立つ存在だった。名前と顔をすぐに覚えてもらえたし、携帯電話を聞き出すのもラクだったと思う。代わりに、夜の食事や飲み会にしつこく誘われることも多かった。一度会っただけの人からつきまとわれ、「つきあいたい」と会社にまで電話がかかってきたこともあった。

 セクハラの被害にも遭ったが、仕事と割り切って適当に受け流してきた。うまく情報を取ったときだけ「女は得だね」、弱音を吐けば「泣けばいい」と思われるのが嫌だと当時は思っていたから。個人として評価されたかったし、弱みを見せないようにしてきた。

 でも、自分が傷つかないようにするため、「セクハラ被害を無かったことにしよう」「早く忘れてしまおう」と問題を矮小化すると、加害者にも周囲にも、その言動がセクハラであり、ひどい行為だと気付いてもらうチャンスがなくなってしまう。昨年、テレビ朝日の女性記者が福田淳一財務事務次官(当時)から受けたセクハラ被害を告発したが、福田氏はセクハラを否定していた。「胸触っていい?」「キスしていい?」などという福田氏に対し、「いやいや、正真正銘のセクハラだよ」と誰しもツッコミを入れたと思うが、財務省内でもこれまで、福田氏の行為が“即アウト”レベルのセクハラだと認識されてこなかったのかもしれない。

 それは、私たちの世代が悔しさを押し込め、我慢したせいかもしれない。女性が「嫌なことを忘れるのが当然だ」と思い込ませる環境をつくってしまったのだとしたら。声を上げず、問題を積み残しにしてしまったのではないか――。若い後輩記者からセクハラ被害の相談を受けることが増えた今になって、そう悔やんでいる。

 セクハラを我慢せずに「おかしい」「いやだ」と声を上げていくことが必要だが、それには勇気がいる。各企業や団体も「女性活用」をうたうのであれば、悩み相談レベルからサポートする窓口を作らなければならないだろう。ただし、片方の主張だけで判断はできないだろうし、一方を処分して「おしまい」にするだけでは次につながらない。組織上層部は、セクハラを当事者同士の限定的な問題として扱うのではなく、被害者が自分を責めたり、組織から逃げ出したりしないよう、環境の改善に役立てる意識を持ってほしい。

■望月衣塑子(もちづき・いそこ)
1975年、東京都生まれ。東京新聞社会部記者。慶應義塾大学法学部卒業後、東京・中日新聞に入社。千葉、神奈川、埼玉の各県警、東京地検特捜部などで事件を中心に取材する。2004年、日本歯科医師連盟のヤミ献金疑惑の一連の事実をスクープし、自民党と医療業界の利権構造を暴く。また09年には足利事件の再審開始決定をスクープする。東京地裁・高裁での裁判担当、経済部記者などを経て、現在は社会部遊軍記者。防衛省の武器輸出、軍学共同などをテーマに取材している。二児の母。

韓国エステの名所・上野に異変⁉ 中国人が韓国人を装い、”偽アカスリ店”を営業中!

 韓国人アガシ(娘)が性的マッサージを行う男性専用エステ店が、全国的に激減している。警察当局の摘発や、ほかの仕事で求人が増えたのが影響しているという。そんな中、都内では中国人の小姐(娘)が、韓国人を偽装する事案が発生。夜のエステ業界の異変を追った――。

 21世紀初頭、東京・上野、大塚、蒲田の駅周辺にある雑居ビルには韓国エステ店が続々と入居し、隆盛を誇った。

 韓国エステはシャワー→マッサージもしくはアカスリ→スペシャルサービス(SP)→シャワーという流れ。マッサージは蒸しタオルやアロマオイルをふんだんに使い、足踏みや肘を使って入念にほぐす本格的なものだ。

「SPの前になると、アガシが『ちょっと待っててね』と言って個室から出て行き、タオル1枚で帰ってきて、全裸になってハンドサービスを施す。店によっては、それ以上のサービスもあった」(常連客)

 上野・御徒町エリアは、こうした韓国エステの“名所”として知られたが、昨年あたりから名店の撤退が相次いでいる。

「韓国内の物価が上がり、日本で働いても為替差益が出なくなった。また、訪日韓国人の増加に伴い、日本語の上手なアガシは、より実入りのいい旅行客相手のビジネスに就くようになった 」(風俗ライター)

 それまで黙認していた警察当局も、東京五輪が近づくにつれての取り締まりを強め、純粋な韓国エステ店は上野周辺や蒲田周辺に数店舗まで減っているという。

 一方、「韓国式アカスリ」を名乗る店は、上野周辺の雑居ビルにいまだ複数存在する。

 韓国エステファンという40代の会社員男性は「電話で『韓国人のアガシいるよね?』と念押しして入店したんですが……」と苦い思い出を振り返る。

 店舗は上野駅に近い雑居ビルの一室。店のママは「韓国から来たばかりで、まだ日本語ができないの」と、申し訳なさそうに男性を個室に案内した。

 男性は、かねてからアガシと仲良くなるため韓国語をたしなんでいた。

「アガシは若かったが、『故郷はどこなの?』『いつから日本に来ているの?』と韓国語で問いかけても返答はなく、ニヤニヤして言葉がよくわからないそぶりをするだけ。アカスリは雑で、SPもハンドマッサージもあったが、着衣のままだった」(前出男性)

 訝しく思った男性は、エステ嬢がお茶を取りに行った隙に、こっそり彼女が残したスマホの画面を触ってみた。すると……。

「画面の表示言語は中国語だった。黙っていれば、中国人とは バレないと思っていたわけです。これは詐欺ですよ!」(同)

 前出の風俗ライターによると、中国人女性の人件費はまだ安く、濃厚サービスな韓国エステ店の威を借りた中国店は、まだまだ健在なんだとか。好き者は注意が必要だ。

元AV女優の名も……FC2わいせつ動画配信者「全国一斉検挙」の裏側

 6月26日、アダルト業界をざわつかせるニュースが列島を駆けめぐった。

 警視庁がインターネット動画サイト「FC2ライブ」でわいせつな動画を配信したとして、公然わいせつの疑いで男女7人を逮捕した。さらに、同じような内容の事件で、北海道、愛知、岡山、福岡の4道県警が一斉に動いたのだ。

「いずれもFC2ライブで性行為を生配信していたとする、公然わいせつ容疑です。FC2ライブは、配信側が視聴料を決められる仕組みで、警視庁に逮捕された7人は2017年10月ごろから、約1,000万円を荒稼ぎしていたようだ」(警視庁担当記者)

 摘発のタイミングが一緒だったのは、偶然ではない。

 警視庁は道県警とともに合同捜査本部を設置し、一斉検挙に及んだのだ。

「警視庁が逮捕したうちのひとりは、『キャッツ』と名乗って動画を配信していた、現役のAV女優だった。警視庁にはわいせつ動画に関する情報が昨年850件以上寄せられ、一連の情報をもとにして7人を特定したようだ」(同)

 全国の警察が連携した今回の「大捕物」には、違法配信の舞台となったFC2をめぐる捜査当局の思惑も透けて見えている。

 そもそもの発端となったのは、2015年の逮捕劇だ。

「京都府警と三重、島根、山口、高知の5府県警合同捜査本部がFC2の実質的な運営元である大阪の会社代表の男ら2人を公然わいせつ容疑で逮捕したんです。FC2では無修正動画や違法性の高い内容を含む動画の配信が常態化していたほか、著作権法違反に抵触するコンテンツも多かった。捜査当局も長く問題視していたが、会社のサーバーが米国にあるため、なかなか手を出せなかった。そんな中、04年にファイル共有ソフト『Winny』の開発者を摘発した事件で有名になった京都府警サイバー犯罪対策課が中心となり、摘発に乗り出したんです」(事情を知る捜査関係者)

 当時、著作権法違反や公然わいせつの罪などに問われる可能性のある違法性の高いコンテンツを提供する業者の間では、海外にサーバーを置いて捜査当局の摘発を免れる手口が横行していた。FC2はそのはしりともいえる存在で、捜査の背景には「これを機にFC2の無法コンテンツの一掃を図りたい」とする警察庁の狙いもあったとされる。

 しかし、そのシナリオはもろくも崩れる。

「実質オーナーの男らをなんとか起訴まで持ち込んだが、違法コンテンツの根絶にまでは持っていけなかった。しかも、捜査の一環でFC2の運営会社の関連口座を凍結させたのは違法だとして、FC2側から訴えられ、敗訴するという“反撃”にも遭った。こうした遺恨もあり、京都府警をはじめとした捜査サイドが逆襲の機会を狙っていたのは間違いない」(前出・捜査関係者)

 今回のFC2摘発は、捜査当局にとっては意趣返しという側面もあったというのだ。ただ、捜査当局が、さらにその先の展開を見据えているという見方も出ている。

「捜査当局にとってのもうひとつの懸案が、国内法に照らせば明確に違法なわいせつ動画を垂れ流している『カリビアンコム』などをはじめとする無修正動画サイトの存在 。いずれも海外にサーバーを置いて摘発を免れており、FC2と構図は一緒だ。これらの業者は法人登記を海外で行って事業実態が見えないようにしているケースも少なくない。脱税が疑われる業者もあり、今後さらに捜査を強化して、違法行為の摘発に乗り出す構えだ」(同)

 今後の捜査の行方が注目される。

「ViVi」自民党企画が波紋――軍地彩弓氏が語る「もし私が女性ファッション誌で政治を扱うなら」

「わたしたちの時代がやってくる!権利平等、動物保護、文化共生。みんなはどんな世の中にしたい?【PR】」

 講談社の女性ファッション誌「ViVi」が6月11日、ウェブでこんなタイトルの記事を配信した。ViVigirl9人が、「どんな世の中にしたいってある?」という問いに対して、それぞれ「Be Happy ハッピーに生きていける社会にしたい」「Express Yourself 自分らしくいられる世界にしたい」などと、思いを語っているのだが、実はこの記事、自由民主党とのタイアップ企画。記事最下部に、ViVigirlのメッセージ入りTシャツのプレゼントが告知され、そこには「どんな世の中にしたいか、自分の気持ちをという思いを#自民党2019 #メッセージTシャツプレゼントの二つのハッシュタグをつけてTwitterもしくはInstagramに投稿してね」と応募詳細が掲載されていた。

 女性ファッション誌と政治――この2つを「相容れないもの」と見る人もいるかもしれないが、ここ数年、女性ファッション誌が政治を取り上げることは徐々に珍しくなくなり、誌面に「憲法改正」「特定秘密保護法」「参院選」などの言葉が散見されるようになっている。しかし、今回の「ViVi」の自民党タイアップは、「特定の政党」の「広告」という点で、先に挙げた企画とは明らかに一線を画しているだろう。ネット上には「特定の政党からお金をもらって記事を作るのはちょっと……」「自民党がどういった政党なのか一切説明しないまま、『Tシャツプレゼント』で自民党をPRするってどうなの」「何だか読者層の若い女性をバカにしているようにも見える」などと “モヤモヤ”を抱える人が続出。そんな中、いち早くこのタイアップ企画に「おかしい!」と声を上げたのが、かつて「ViVi」に編集スタッフとして携わっていたこともある、編集者でファッション・クリエイティブ・ディレクターの軍地彩弓氏だ。

 軍地氏は同13日、ニュースサイト「HUFF POST」に、「ViViの自民党キャンペーン『#自民党2019』は、読者への裏切りではないのか。 元編集スタッフの私が感じたモヤモヤ。」という記事を寄稿。「ファション雑誌が政治について語ることは大賛成」としつつも、自民党のタイアップ企画は「参院選前のこの時期に、読者にバイアスをかけてしまう」と問題視し、さらに「ViVi」ひいては講談社が、読者や社会に対して、この記事を配信したことの “説明責任”を果たせていない点を厳しく指摘したのだ。

 同記事は、SNSで爆発的に拡散され、あらためて「ViVi」の自民党タイアップの問題点が議論されるとともに、「女性ファッション誌が政治を取り上げること」そのものは賛同できるという声も散見されるようになっている。そこで今回、軍地氏に「もし20代女性ファッション誌で政治を取り上げるなら……」というテーマで話をお聞きした。

 先述した通り、ここ数年、女性ファッション誌が政治をテーマにした企画を組むようになっている。例えば2014年には、「VERY」(光文社)が「お母さんこそ、改憲の前に知憲! 今、改憲が実現したら、将来、戦地に行くのは誰?」、15年には「Seventeen」(集英社)が「17sで考えよう "戦後70年"」、さらに16年には「LEE」(同)が「2016夏 参院選 もしあなたが投票に行かなかったら...」というタイトルの企画を掲載し、それぞれ大きな話題を集めていた。軍地氏は、中でも「VERY」の憲法企画の印象が強かったと語る。

「編集者の仕事というのは、あくまで生活者の目線で、みんながモヤモヤしていたり、疑問を抱いていたり、あえていま口に出して聞けないといった読者の“心のニーズ”を引き出すことだと思うのですが、『VERY』の企画は、しっかりそこを押さえていました。同誌の読者である“お子さんのいる働く女性”目線で、彼女たちがなんとなく窮屈さを感じていることを顕在化して、ちゃんと俎上に上げて論じているのが、よかったと思います。確かに20世紀には、『ファッション誌に政治的なことは入れなくていい』といった風潮があったかもしれませんが、政治は特別のものではなく、本来、国民の生活をよりよくするものです。ファッション誌が『そこを語らないのはおかしい』という見方は当たり前なのではないでしょうか」

 軍地氏は、クリエイティブ・ディレクターとして創刊・運営に携わった「VOGUE GIRL」(コンデナスト・ジャパン)で「震災」のテーマを扱ったこともあり、「生活者目線、読者目線で情報を発信することが何よりも大事」だと感じているという。

 なお「お母さんこそ、改憲の前に知憲!」という企画をめぐっては、掲載号の発売直前、内閣府広報室から「VERY」編集部に、「秘密保護法を特集するのですか。それならうちも取材してくれませんか」という電話がかかってきたという一件もあったと新聞報道されているが、軍地氏は「発売前の雑誌の内容が外部に漏れ、さらに内閣府が介入してきたとあって、とても気持ち悪さを感じたものの、編集部は毅然とした態度で取り合わず、その点も正しかったと思います」と振り返った。

「政治がタブー視される風潮があった理由は、『バランス感覚を保つのが難しいから』なのではないでしょうか。ただ、SNS時代の今、社会的にも『自分の意見を発する』ということが大事になり、タブーを持っていること自体がかっこ悪くなっているように思います。14年、シャネルのファッションショーで、モデルたちが『女性をもっと自由に』などのプラカードを持ち、ランウェイを闊歩したことがありましたが、ほかにもディオールやステラマッカートニー、ヴィヴィアンウエストウッドなど、“メッセージ性を打ち出す”ファッションブランドが増えてきているんです。トランプ政権の誕生によって、世界中に不穏な空気に包まれる中、『声を出すことがかっこいい時代』になってきたと言えるのではないでしょうか」

 そんな軍地氏が今、20代女性ファッション誌で政治を取り上げるとしたら、どのような企画を展開するのだろうか。

「ローラさんや渡辺直美さん、水原希子さんなど、有名人の中にも自分の考え方を発信する女性が出てきていますが、そういった人物へのインタビューを通して、その『カッコよさ』をしっかり見せたいですね。やっぱり、若い世代にものを伝える手段として『カッコよさ』は大事だと思います。これまで、身の回りのさまざまな問題を発信し、注意喚起を行っていくのはメディアが担っていた部分でしたが、今は“影響力のある人物”が担うようになってきました。これからのメディアの仕事は、問題を曲解して俎上に上げるのではなく、発信している有名人たちの声を一緒に伝えることが重要になるとも感じています」

 同時に、「正当で偏りのない“ファクト”を伝える記事も作りたい」と軍地氏。

「まず座談会などで、読者が『世の中にどのようなことを感じているのか』『何を問題に思っているのか』を話し合う。そこでは、政治についてと限定するのでなく、LGBTやフェミニズムの問題など、さまざまな意見が出ていいと思っています。そして、読者が抱いている疑問や問題を『論点』として取り上げて、『未来の年金制度はどうなってると思う?』『消費税が10%になるけど、どう思う?』『もし外国が日本を攻めてきたとしたらどうなると思う?』といったテーマに発展させ、各政党がこれらにどのような立場にいて、どんな取り組みを行っているのか、わかりやすい言葉で客観的に、表などにして見せたいですね」

 偏りのないファクトを重視した企画に軍地氏がこだわるのは、「ViVi」の自民党キャンペーンが、「『自民党』という言葉自体をサブリミナル的に見せている点」を強く問題視したからだという。

「あの企画では、自民党がどういった政党なのかまったく述べられていませんし、Tシャツプレゼントの応募のために『#自民党2019』というハッシュタグをSNSに投稿するように指示している。もし『ViVi』の自民党キャンペーンを知って『選挙に行こう』と思った人がいたとして、政党についてよくわかっていないと、インスタのキャンペーンで見かけた『自民党』という政党名をそのまま投票用紙に書いてしまう可能性も出てくるでしょうし、そういった“誘導”につながることは絶対に避けるべきです」

 「#自民党2019」のハッシュタグが、ゆくゆく世間にどのような影響を及ぼすか――その点を軽く見て、同キャンペーンをコントロールできなかった「ViVi」編集部は、「罪が重い」と軍地氏は言う。講談社広報室は、マスコミの取材に対して「政治的な背景や意図はまったくございません」と回答、その後6月21日をもって同キャンペーンを終了した。

 では軍地氏は、「ViVi」の読者層にもあたる、20代女性の政治意識をどのようにとらえているのだろうか。

「無自覚層と意識の高い層の二極化が進んでいると感じます。昔はテレビや新聞が発信する公の情報が、ある程度末端にまで伝わってきたと思うのですが、今のネット時代では、アルゴリズムによってフィルターバブルが進み、それが無自覚層の拡大につながっているのではないでしょうか。しかし一方で、『今のままじゃいけない』『世の中を変えよう』と考える若い女性も増えてきたと思います。今年『SPA!』(扶桑社)の『ヤレる女子大学生RANKING』が炎上し、20代の女性が、記事に反対する署名運動を起こしましたが、こうした“上の世代が見逃してきたこと”を見逃さずに、声を上げる人が出てきたのです。若い世代の間で新しい秩序が出てきていると思います」

 軍地氏は、20代女性ファッション誌で政治を取り上げるならば、「無自覚層」と「意識の高い層」どちらにも伝わる内容にしたいといい、「“共通言語”を見つけていくのも編集者の仕事」と語る。

「最初に、Twitterで『ViVi』の自民党キャンペーンについて触れた時、私自身、『政治の話をするのはドキドキする』と感じたんです。やっぱり政治について語ると、いろいろな矢が飛んでくるものなので。でも実際は、返ってきた反応のうち、8割は『よく言ってくれた』という意見で、特に女性からのメッセージが多く、その時、『残り2割の“矢”を怖がって何も言わないより、8割の賛同の方を希望だと思わなければいけないな』と強く感じたんです。ファッションはもともと自己表現の一つであり、『私は何者であるのか』『私はどうありたいか』を伝えるもの。そうした前提がある中で、『ファッションと政治は別物』という方が、かっこ悪いと私は思います。ファッション誌の編集者は、今読者が世の中に抱いている疑問や問題を『論点』として取り上げていくべきです」

 取材中、かつて携わっていたファッション誌の編集会議で、「政治経済を扱ったコラムをやりたい」と提案した際、男性の編集長に「女の子ってファッション誌に政治とか求めてないでしょ?」と言われ、驚いたことがあるというエピソードも明かしてくれた軍地氏。これからは、「誰だって、ファッションと同じくらい政治のことだって考えるでしょ」というのが“当たり前”になっていくことを祈りたい。

軍地彩弓(ぐんじ・さゆみ)
編集者、ファッション・クリエイティブ・ディレクター。大学卒業と同時に「ViVi」編集部で、フリーライターとして活動。その後、「GLAMOROUS」「VOGUE GIRL」に携わり、2014年には、自身の会社である「株式会社gumi-gumi」を設立。現在「Numéro TOKYO」のエディトリアルアドバイザーほか、多岐にわたる活動を展開中。