軽減税率、駆け込み購入はお得じゃない!? 増税後に“得する”買い物術をFPが解説

 2019年10月1日より、現行の8%から10%に消費税率が引き上げになる。今回の増税では、一部の品目に「軽減税率」が導入されるなど、家計への負担を緩和する措置が取られているものの、内情は非常にわかりにくく、「増税前に買いだめしておくべき?」「これは軽減税率の対象品目なの?」など、開始前から混乱を招いているのが現状だ。そこでファイナンシャル・プランナーの浅田里花さんに、正しい軽減税率の知識や、増税前後の上手な買い物について、話をうかがった。

紛らわしい軽減税率をFPが徹底解説!

――10月より導入される「軽減税率」とは、一体どのようなものなのでしょうか?

浅田里花さん(以下、浅田) 増税によって、年収400万円世帯で年間4~5万円ほどの負担増になるとの試算もあり、家計への影響は決して少なくありません。そこで、増税が家計を圧迫しないよう、生きていく上で必要不可欠な一部の品目の税率を“8%”に据え置くというのが、軽減税率。対象品目は大まかに分けると、「酒類と外食を除く飲食料品」「定期購読契約を締結し、週2回以上発行される新聞」の2種になりますが、対象となるのか否か紛らわしい品目について詳しく説明していきます。

◎コンビニ、電子版で購入する新聞

 まず、「新聞」に関しては、「定期購読契約を締結し、週2回以上発行される新聞」“だけ”が軽減税率の対象なので、コンビニなどで購入した場合は10%になります。購読料を毎月払っている電子版の新聞も「電気通信利用役務の提供」に該当し、軽減税率対象外に。

軽減税率対象(8%) 軽減税率対象外(10%)
定期購読契約を締結し、
週2回以上発行されている新聞
(一般紙、スポーツ新聞、業界紙、
日本語以外の新聞)
電子版
コンビニなどで、その都度購入


◎飲料に適さない料理酒

 次に、「酒類」に関してですが、ビールやワインなどが軽減税率対象外であることは多くの方が理解できると思いますが、「アルコール入りのお菓子」や「調味料」については迷う人も多いのではないでしょうか。酒類とは、酒税法第2条第1項において「アルコール分一度以上の飲料」と定義されているので、それに準ずるものは全て軽減税率対象外。例えば、調味料の“本みりん”はアルコール度数が14%前後あるので、調味料であっても酒類。つまり、“10%”の消費税がかかります。一方、“みりん風調味料”はアルコール度数が1%未満のため、軽減税率の対象になり8%のままです。ただ、“みりんタイプ調味料”は、アルコール度数が5〜15%前後ありますが、食塩が含まれており、飲料に適さないように加工されているので、アルコール度数が1%を超えていても軽減税率の対象になります。また、アルコール入りのお菓子も、名目が「菓子」であれば、含まれるアルコール度数に関係なく、全て軽減税率の対象になります。

軽減税率対象(8%)  軽減税率対象外(10%)
みりん風調味料
みりんタイプ調味料
(アルコール度数に関係なく)
アルコール入りのお菓子
(アルコール度数に関係なく)
本みりん

◎栄養ドリンクや「トクホ」食品

 次いで、栄養ドリンクや健康食品系についてですが、法律で規定されている「医薬品」「医薬部外品」は食品に該当しないため、これらの記載がある栄養ドリンクの税率は“10%”です。また、トクホと言われる「特定保健用食品」や「栄養機能食品」、「健康食品」「美容食品」に当たるものは、食品として扱われ軽減税率の対象になります。具体的な商品を挙げると、リポビタンDは「指定医薬部外品」のため10%、オロナミンCは「炭酸飲料」なので8%、サプリメントなども「健康食品」「美容食品」に該当することが多いので8%です。

軽減税率対象(8%) 軽減税率対象外(10%)
特定保健用食品
栄養機能食品
健康食品
美容食品
大塚製薬「オロナミンC」
サプリメント
医薬品
医薬部外品
大正製薬「リポビタンD」

 
◎店内で食べきれなった食品、バーベキュー

 店側が設置したテーブルやイスなど飲食スペースで食べると10%、持ち帰ると8%というように税率が異なります。また、食べきれなかった食品を持ち帰る際、販売した時点の税率が適用されるので、“10%”のまま。そのほかに屋台での飲食も紛らわしいです。ラーメンのように「業者が用意したイスなどを用いて、その場で食べる」屋台は外食扱いになり10%ですが、「テイクアウトが基本」の屋台であれば、軽減税率が適用され8%になります。

 出前は食事を届けるだけで、飲食は“自宅”になるため、こちらも軽減税率の対象です。一方、ケータリングは、「指定された場所での調理や給仕」という扱いになるので、標準税率の10%なんです。

 レジャー関連に目を向けると、最近増えている「手ぶらでできるバーベキュー」は飲食場所の設備と食品を提供しているので、軽減税率は適用されず10%。イチゴ狩りや潮干狩りなどの「味覚狩り」は、「狩り」というサービスを提供しているので10%になりますが、収穫した果物や魚を「持ち帰り用」に購入した場合は8%になります。

 そして、社員食堂や学食については、利用が“選択性”になっていることから、軽減税率の該当にならず10%。一方、学校給食や有料老人ホームの食事に関しては、1日につき、1食の金額が税抜き640円以下で合計1,920円までであれば8%です。「公共」寄りのケースには配慮したということなのではないでしょうか。

軽減税率対象(8%) 軽減税率対象外(10%)
出前
味覚狩りの持ち帰り(イチゴ、潮干狩り)
学校給食
有料老人ホームの食事
食べきれなかった食品
ケータリング
バーベキュー
味覚狩りの入園料(イチゴ、潮干狩り)
社員食堂
学食

 

――一部の品目に軽減税率が適用されるとはいえ、増税による家計の負担を少しでも軽くするために、増税前に購入した方がいいものはありますか?

浅田 今回の消費増税では、19年10月~20年6月の9カ月間、届出済みの中小・小規模商店で対象商品をキャッシュレス決済した場合、支払額の“2%または5%”のポイント還元が受けられることになっているので、慌てて無駄な出費を増やすよりも、ポイント還元などを狙った方がお得かもしれません。大手ECサイト「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」の3社も、一部の商品を除き決済金額の5%分に相当する金額を還元するということなので、こちらを活用するとお得だと思いますよ。

 例えば、増税後に、1万円の商品を購入した場合、税込みで1万1,000円となり、これまで1万800円で購入できたものが、200円も高くなります。しかし、5%還元となる店で購入すれば、550円分のポイント還元(1万1,000円の5%)を受けられるので、実質1万450円の支出になり、つまり増税前より350円“安く”購入できたことになります。

 このように、増税後に購入した方がお得になるケースもあるので、駆け込み購入をするよりも、還元制度の情報を十分に収集して、自分の欲しい商品や、利用する店舗が、還元の対象かどうかなど、じっくり見極めることが先決だと思います。その点を踏まえても、増税前に購入をオススメする商品は、「ポイント還元の対象にならず、高額で値崩れしにくい」ブランド家電や語学学校の回数券、通勤定期ぐらいではないでしょうか。
 
 大手家電量販店などはポイント還元の“対象外店舗”ではあるものの、消費者の買い控えを懸念して、秋口にセールを行う店舗もあるでしょうし、電化製品などモデルチェンジのあるものは、型落ちすると安くなります。そういった場合は、増税後の方がお得になる可能性も高いと思うので、購入先や購入時期を検討すると失敗しづらいかもしれませんね。

※現在、経済産業省の公式ホームページでポイント還元対象店舗を確認することができる。また、公式のキャッシュレス還元マップも提供される。今後、キャンペーンの対象店舗は、「還元率」「利用可能決済方法」が一目でわかる経済産業省発行のポスターを張り出す予定。

利用額の2%ポイント還元  利用額の5%ポイント還元
コンビニ、外食、ガソリンスタンドなど
フランチャイズチェーン等の一部店舗


Amazon  楽天市場

Yahoo!ショッピング
中小企業・小規模事業者が運営する店舗

 ――増税後に損することなく生活するには、どのような点に気を付けたらいいでしょうか?

浅田 増税のように、自分の裁量ではどうにもできない支出が増えるからこそ、家計管理が大切になります。今回の増税をきっかけに、家計簿アプリやポイント制度などを上手に活用し、家計を見直すといいかもしれません。我慢しすぎず、「今月は服を買いすぎたから、交際費を抑えよう」などメリハリをつけたりしながら、限られた収入の中で確実に貯金するクセをつけることをオススメします。
(文=千葉こころ)

浅田里花(あさだ・りか)
1959年、兵庫県生まれ。 82年同志社大学文学部卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。88年独立系FP会社(株)エムエムアイに入社し、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。93年に独立し、生活者対象のファイナンシャル・プランニングを担当するほか、執筆、講演活動もこなす。現在、FP会社㈱生活設計塾クルー取締役。日本FP協会会員CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)一級FP技能士。著書に、『知ってトクする生命保険と個人年金の上手な掛け方選び方』(日本実業出版社)などがある。

「要介護1、2の保険給付外し!?」と大騒動! 親は、家族はどうなる――介護のプロが語る

 「介護保険の給付外しだ」「介護サービスが使いづらくなり、介護家庭の負担が大きくなる」「介護離職する人も増えるのでは?」「介護保険の改悪、あり得ない」――。

 先日、インターネット上に、そんな声が飛び交った。厚生労働省が厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会の介護保険部会を開き、2021年の「介護保険制度改正」に向け、給付と負担のあり方を見直す議論を始めたのだ。部会の検討事項の一つとして、軽度者へのサービスのあり方が挙がっており、「要介護1、2の高齢者に対する生活援助サービスを市町村に移管すること」が論点となっている。財政がひっ迫する中で、介護保険の給付費膨張にどう対応していくかが課題となっており、今年末までの取りまとめを目指しているという。

 このニュースが報道されると、ネット上はヒートアップしたが、そもそも「要介護1、2の高齢者の生活援助サービス」とはどんなものなのか、また「それらを市町村の総合事業に移行する」とはどういったことなのか、よく理解した上で議論が交わされているのか、疑問に思えるコメントも多かった。

要介護1、2とはどのような状態なのか?

 さて、今回の社会保障審議会の介護保険部会では、「要介護1、2の人の生活援助サービス」を市町村の総合事業に移すことが検討事項となっている。「生活援助サービス」とは、掃除や洗濯、食事づくりといった日常生活の援助をいう。

 要介護度には、心身の状態に応じて要支援1・2、要介護1~5に分けられている。そもそも、要介護1、2というのはどういう状態を指すのだろうか。その目安を紹介しておこう。

要介護1
・身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
・歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
・排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
・精神・行動障害や認知機能低下がみられることがある。
要介護2
・身だしなみや居室の掃除などの身の回りの世話の全般に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
・歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とする。
・排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある。
・精神・行動障害や認知機能低下がみられることがある。
(「静岡市の介護保険 2019年度版」から引用)

 こうした要介護1、2の人の生活援助サービスが市町村の総合事業に移行するわけだが、実は2017年には、要支援1、2の高齢者に対する「介護予防サービス」について、同様の措置が取られている。要支援と認定されると、これまでケアマネジャーがケアプランを立てていたのだが、各区市町村の地域包括支援センターが替わってケアプランを立てるように。基本的にこれまで利用していた訪問介護と通所介護(デイサービス)は同じように利用できるものの、利用料金が月ごとの定額制となった。またヘルパーの資格がなくても、ボランティアやNPO法人、民間企業などがサービスを提供することも可能になっている。

 では、実際に要介護1、2の人への生活援助サービスが市町村の総合事業に移行すると、どんなことが起こるのだろうか。そして要介護者や、その家族にはどんな影響があるのか。介護現場をよく知るケアマネジャーと介護サービスを提供する事業者にお話を伺った。

「サービスの質の低下は避けられない」
ケアマネジャーMさん……首都圏の県庁所在地に勤務
 認知症の方の場合、要介護1、2というのは認知症の初期症状が出ている状態。介護度が上がるにつれて抑うつ、意欲低下、徘徊、物盗られ妄想、暴言などの周辺症状がひどくなっていきます。要介護2で認知症だと、こうした症状がかなり目立つようになっていますね。認知症ではない場合、要介護2になると室内でも歩行器、屋外では車いすを使っているような状態。こうなると一人暮らしの方の場合、食事づくりや掃除などを一人ではできないので、生活援助サービスを使っている人が多いです。その際、要介護者の残存機能を生かした自立支援をしつつ、要介護者とともに家事を行うのがヘルパーの仕事。単に家事だけをしているわけではないのです。

◎認知症の悪化の可能性も?
 私が担当している方に、認知症で要介護1という男性がおり、生活援助サービスとして、ヘルパーが食事づくりと掃除をしています。この生活援助サービスが市町村の総合事業に変わっても、おそらく今のヘルパーを変えることなく、サービス内容はそのままで利用し続けられると思います。でも、市の財源が不足するとヘルパーから有償ボランティアに替えるということもあり得えます。また、新たに同じ状態の方が介護サービスを利用しようとすると、最初から有償ボランティアがサービスを提供する可能性はあるでしょう。こうした有償ボランティアには、市も一定の研修を課すとは思いますが、生活援助とはいえ、認知症の方へ適切な対応をすることができなくなることは十分考えられます。資格のあるヘルパーと有償ボランティアとではスキルに差があるのは当然で、サービスの質が低下することは否めません。そうなると認知症が悪化する可能性も出てくるでしょう。

◎住んでいる「場所次第」でサービスが異なるのでは
 とはいえ、今の介護保険制度でできることは多いし、サービスも手厚いのは事実。適切なサービス提供によって、外に出ることができなかった要介護2の方の状態が改善するようなケースは少なくありませんが、その一方、「お手伝いさん感覚」で生活援助サービスを利用している人もいないわけではありません。
これから団塊の世代が後期高齢者に突入すると、国の介護保険財政は一気にもたなくなるでしょう。全員が納得する制度はないのだから、持続可能な介護保険制度にするためには、今回の介護保険部会での議論も、ある程度理解はできます。ただ、市町村の総合事業に移行すると、サービスの質や量が市町村によってまちまちになるのではないでしょうか。豊かな市町村や、やる気のある地域包括支援センターなら、元気な60代をサービス提供側として活用するなど、地域性を把握してその地域に合ったサービスを展開できるかもしれませんが、うまくいかない市町村も出てくるのでは。高齢化が進む市町村ほど、事業を進めるのは大変になると思います。どんなサービスが受けられるかは住んでいる場所次第となると、それでいいのかなとは感じますね。

「要介護者の家族にも影響が出るだろう」
介護サービス事業所幹部Hさん……首都圏でグループホームやデイサービスを運営する事業所幹部
 介護サービスを提供する事業者として、介護保険を将来的に持続可能なものにしないといけないという認識はあります。これからも必要な人に、介護サービスを提供していくためには、独居で重度な人へのサービスを手厚くする一方で、家族と同居している人や軽度な人にはサービスが手薄になるでしょう。

 すでに、介護保険の給付抑制の流れは始まっています。介護認定でも、要介護3以上の判定は出にくくなっていて、以前なら要介護3に認定されていたような人が、今は要介護1や2としか判定されないという実感はあります。介護を提供する側からいうと、軽度の方に対して、「ゼロの状態をプラスに変える」ような介護はできなくなり、重度の人の「マイナス状態をゼロにする」ので精一杯になりつつあるのです。「これで良いんだろうか?」という思いはありますが、今後そうしたサービスしか提供できなくなるのだと、我々も意識を変えないといけなくなるでしょう。

◎介護離職につながる――家族への影響は大きい?
 介護保険のコストを下げると、サービスを提供する時間や回数が減らされるでしょう。今もすでに減っていますが、さらに減るのは間違いないし、要介護1、2の人が使えないサービスも出てくると思います。それは、働き手の報酬にも影響してきます。新しく要介護1、2になった人は「そんなものだ」と受け入れることができても、すでにサービスを利用していた人は、これまで通りのサービスは受けられなくなる。そしてその水準は、市町村次第ということになります。

 要介護者の家族にも、大きく影響してくると思います。例えば、家族が同居していると、どうしても家族ができないと判断された場合を除き、生活援助サービスは受けられなくなるか、サービスが減るでしょう。要介護1だと、「基本的ADL(日常生活動作・起居動作、移乗、移動、食事、更衣、排せつ、入浴、整容など)」よりも高次の日常生活動作「手段的ADL」が低下している人……例えば「歩くことはできるが、買い物や食事づくり、掃除はできない」という人は、これまでヘルパーにそれらの生活援助サービスを提供してもらっていたのが、違う形でのサポートを受けることになります。近くに家族がいれば家族がやるとか、民間のサービスを利用するなどの選択肢も検討しなければならなくなるでしょう。

 さらに、これまでヘルパーは生活援助サービスを提供しつつ、プロの目で要介護者を観察して、重度化を遅らせるようなサポートをするという役割も果たしていました。プロに替わって家族が要介護者を見る目を養わないと、気がつかないうちに重度化しているということも起こります。親と関わっている人から情報を集める力も必要になるでしょう。また、ヘルパーが来ることでコミュニケーションが活性化するというメリットもありましたが、これを家族が埋めなければなりません。いずれにしても家族の関与を増やさないと、要介護1、2の人の状態は低下しますし、家族の介護離職につながるケースも出てくるのではないかと危惧しています。

◎要介護者に向けた怪しげなサービス増加?
 加えて、民間サービスに移行する傾向が強まると、要介護者に向けた怪しげなサービスが増加することも考えられます。すでに、「自費でできるマンツーマンのリハビリをやりませんか」とか、「介護保険では限界があってできないプラスαの部分を請け負います」というビジネスも出てきています。高齢者がよくわからないまま契約させられるケースも増えるでしょうし、家族はそうしたことから親を守る必要も出てきます。

 要介護1、2の人は、要支援・要介護者の約4割を占めています。今回の議論は、そこに団塊の世代が入ってくる前に何とかしたいという国の意向があるのは明らかです。この流れは加速することはあっても、戻ることはもとより止まることはないでしょう。

 お二人の意見を聞いて、どう思われただろうか。正直に言うと筆者は、サービスを提供するのが市町村になっても、軽度者の生活援助サービス程度ならさほど大きな不都合はないのではないかと考えていた。生活援助サービスが提供される場面を何度も取材してきたが、ヘルパーの丁寧な仕事ぶりに感心すると同時に、我が家よりも丁寧な掃除や調理、銘柄まで指定される買い物といったサービスが自己負担数百円でできることに疑問を感じたのも事実だ。ネットスーパーを利用するなど、サービスを合理化することはいくらでもできるのではないかとも思った。

 しかし、お二人の意見を聞くと問題はそう簡単なことではなかったようだ。介護保険制度は思ったよりも有効で、お二人に代表されるようなプロによって、世界に誇れるほどレベルの高いサービスが提供されている。志の高いプロが支えていることに、介護サービスを斜めから見ていた自分を恥じた。

 それでも、介護保険制度を持続可能なものにするためには、ある程度の痛みはあってしかるべきだとも感じている。少子超高齢化社会が進む中、介護保険にかかる財源はひっ迫している。今の手厚い介護サービスのままでは、これから先、若い世代にしわ寄せがいくのは目に見えているのだ。少子化でサービスの担い手も不足しているし、人手不足はますます深刻になるだろう。今回話を聞いたお二人も、この点については同様の考えだった。

 ただ本当に必要な人に、必要なサービスが提供されなくなっては、そもそも何のための介護保険制度なのか、ということにもなりかねない。いずれ、誰もが老いて、人の手を借りなければ生活できなくなるのだ。介護保険改悪反対を声高に叫ぶばかりでなく、先を見据えて冷静に議論することが大切なのではないだろうか。
(坂口鈴香)

目黒・結愛ちゃん虐待死で懲役8年――専門家が語る「虐待を防ぐために私たちがすべきこと、社会がすべきこと」

 昨年3月、東京都目黒区で船戸結愛ちゃん(当時5歳)が両親から虐待され死亡したとされる事件で、母親の優里被告(27)に懲役8年(求刑懲役11年)の判決が下された。東京地裁は、「両親による食事制限はひどく、医療処置を受けさせなかったことも悪質で強く非難されるべきだ」とした上で、元夫・雄大被告(34)の「意向に従ってしまった面が否定できない」と言い渡した。

 事件の発覚当時、父親から日常的に暴力を振るわれ、十分な食事を与えられず衰弱死したという悲惨な虐待の内容と、結愛ちゃんが書いた「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」という手書きの文章は、社会に大きな衝撃を与えた。それから1年半の時が経過する中で、行政面では児相の体制強化や体罰禁止などの法改正が進んだが、一方で、事件への関心が徐々に薄れつつあったことも否定できないだろう。

 サイゾーウーマンでは、昨年に【目黒事件から改めて虐待を考える】と題した全5回の特集を展開している。母親・優里被告に判決が下ったいま、改めて記事を再掲する。この機会に、ぜひ読んでいただきたい。

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(初出:2018年8月24日)

kosodateimage06 今回の【目黒事件から改めて虐待を考える】特集では、すでに起こっている虐待事案のデータを分析し、児童相談所の対応や虐待している側の心理などをテーマに5回にわたって専門家のインタビューを掲載してきた。実際に凄惨な虐待事案が起きた場合は児童相談所などの関係機関の対応が要になるが、虐待を予防するためにできることは私たちにもあるはず。最終回では、各専門家に聞いた「虐待を防ぐために必要なこと」を掲載する。

 他人との距離感がわかりにくい時代、自分が傷つきたくないがために他人への無関心を装ったり、必要以上に遠慮したり、夫婦であっても話し合いを持たないことは珍しいことではない。ただ、目黒区の結愛ちゃん事件もほかの虐待死事案も「誰かがもう少し気にかけていれば」「ちゃんと話を聞いていれば」の積み重ねが、最悪のケースを招いたともいえる。虐待事件報道のたびに感じる「やりきれない気持ち」をそのままにせず、幼い子の命を守るため、専門家の提言を一歩踏み出す力に変えてほしい。

【第1回】「加害者の半数は実母」「幼児より新生児の被害が圧倒的に多い」――児童虐待の事実をどのぐらい知っていますか?

【第2回】児童相談所の権限強化や警察との全件共有は、本当に救える命を増やすのだろうか?

【第3回】悲しいことに結愛ちゃんが書いた「ゆるして」は珍しくない……子どもへの暴力を認めている日本の現状

【第4回】虐待した保護者、虐待された子のその後は――? 児童相談所の「措置機能」を考える

【第5回】なぜ「虐待する親」「パートナーの虐待を止めない親」が生まれるのか、臨床心理士が心理状態を分析

虐待を防ぐのは配偶者のサポート 「子どもの虹情報研修センター」専門相談室長・小出太美夫さん

 虐待を防ぐためにすべきことは「孤立を防ぐこと」。虐待加害者の半数が「母親」である現状では、孤立を防ぐためには配偶者である父親のサポートが重要です。日本のお父さんは子育ての「協力」と「サポート」の違いがわかってないのかもしれません。「協力」は家事や子どものおむつ替えで、「サポート」は子育てのメインになりがちな母親の話を聞く、評価し褒めることです。とはいえ、仕事を理由に「協力」はおろか、「サポート」すらしない男性も多い。そういった夫婦は、情緒的ネグレクトとなっているケースが多いように見受けられます。例えば夕食を作ってもらっても、「おいしいね」と言うこともなく、それが当然だと思っている。また、母親が子どもの話をしても無視する。一方的に交流を断つことは一種のネグレクトで、それを続けられたら母親は子育てする気力が出てこない。配偶者のサポートというのは、虐待の予防や再発防止、虐待連鎖を断つ大きな力です。

さまざまな“貧しさ”をなくすこと 日本社会事業大学専門職大学院教授・宮島清さん

 貧しさをなくすこと。貧しさというのは、金銭的な貧しさ、時間の貧しさ、空間の貧しさ、発想の貧しさを含みます。結愛ちゃんの父親のように、幸せなろうとして努力したのに失敗してしまった人を、単純に鬼畜だと考える想像の貧しさ。児童相談所の職員を「税金で楽してる」と考え、がんばっている人を追い詰める貧しさ。人生で当たり前に起こり得るさまざまな困難や失敗に陥った人を蔑み、社会が共有している税金を使うことを嫌がったり、福祉に関わる人を「単純労働だから給料が安くても構わない」と思ったりする心の貧しさです。こういった貧しさからなんとか脱却していかないと、虐待はなくならない。虐待をはじめ、さまざまなニュースを自分のことだと思って考える当事者性を持たなければ、社会は良くならない。 

他人になにか言われても、他人の感情を引き受けすぎない NPO法人「児童虐待防止全国ネットワーク」理事・高祖常子さん

 社会が子育て中の親に対して、「見張る」のではなく「見守りの目」を向けること。電車の中で赤ちゃんが泣いていたら周りの人は思わずそちらを見ることが多いでしょうが、親が「刺さるような目」と感じるのか、「見守ってくれてるな」と感じるのか。それだけでも子育てのしやすさは違うはずです。「この時期の子は泣いちゃうんだよね」「うちの子も泣いてたわ」と声をかけるだけで、普段肩身の狭い思いをしている親はふと肩の荷が下りる。小さなことですが、虐待加害者を厳罰化するよりも、温かい目で見る人を増やしていく方が子育ては楽しくなるし、みんなが暮らしやすい世の中になると思います。

 私の肌感覚ですが、いまも10人中9人ぐらいは子育てしている人に優しいのではないかと思います。ただ親としては、「私がこんな行動をしたから、あの人は怒ったんじゃないか」と機嫌が悪そうな人に過敏になってしまう。共感することも大事ですが、他人の感情は他人のもの。過剰にそれを引き受け過ぎないことが大事です。それは子どもに対しても同じです。「子どもが泣きやまないのは、私がうまくできないからだ」と自分を責めるのではなく、「泣きたいときだってあるよね」と子どもの気持ちを受け止め、割り切って考えてもいいんです。

「叩いてしまった」を繰り返さないのが大切 臨床心理士・杉山崇さん

 虐待の社会的背景には、貧困問題があると思います。人は、お金がないとみじめな気持ちになり、自尊心を失うもの。こうした貧困によって受けた苦痛を、今度はほかの誰かに与えたいとする心理が働き、それが児童虐待につながっている面もあるのではないでしょうか。そもそも今の日本社会は、アメリカナイズされたビジネスの価値観が浸透しています。例えば、内向的な人より外交的な人、消極的より積極的な人が優れているといった考え方で、人と比べることによって優劣が成り立つ、つまり“自尊心の奪い合い”が起こっているんです。大きな話になってしまいましたが、虐待の原因が自尊心の欠落に関係しているとすれば、“負け組”を生み出す社会構造に問題がある、虐待防止には、その点にも目を向けるべきといえるのではないでしょうか。

 一方で、親がすべきことについて。もし感情的に叱ったり、叩いたりしてしまったときは、ただ自分を責めるのではなく、「どんな親でも、子どもが敵に見えてしまうことはある」「大切なのは繰り返さないためにどうしたらいいか」と、考えるようにしてほしいです。乳幼児期は脳が未発達なので、全力で欲求を訴えます。そんなとき、「親を困らせようとしているのではない」ということを頭の片隅においておけば、気持ちが少し楽になるかもしれません。

SOSを出すことは親としての責務 子ども家庭福祉学者・柏女霊峰さん

 社会がすべきことは、子どもとその保護者に、関心を寄せること。民生委員/児童委員という制度があり、高齢者のご家庭には、委員の方が「今日は暑いけど、ちゃんと水飲んでる?」などといって、気軽に立ち寄ることもあるようなんですが、子育てをしているご家庭には、「なかなか入りにくい」と足が遠のいてしまいがちだそうです。地域の中で、人々が関心を持ち合うことができれば、赤ちゃんの泣き声が止まらないご家庭に、「どうしたの?」と声をかけにいってあげられますよね。今は、「すぐに児童相談所に通告を」といわれていますが、まずは地域での関係性を密にすることが大事だと思っています。

 また、親がすべきことは、周囲に対してSOSを出すこと。昔は、おじいちゃんやおばあちゃん、ご近所さんが声をかけてくれたから、親も何とか子育てができていたけど、今はもうそういった環境が減ってきています。だからこそ、親自らが、子どもと自分のために、SOSを出さなければいけないんです。周囲を頼ること、助けを求めることは、親としての“権利”であり、“責務”でもあると考えるべきだと思います。

坂口杏里に必要な「支援」とは? ホストで借金、逮捕、自殺未遂……歌舞伎町の駆け込み寺に聞く

 8月27日、元タレント・坂口杏里さんが、ホストクラブ勤務の知人男性とトラブルを起こし、住居侵入の疑いで逮捕(不起訴)された。なお彼女は2017年にも、同じ男性への恐喝未遂容疑で逮捕(不起訴)されている。

 坂口さんといえば、有名女優・坂口良子さんの娘として広く知られる存在だ。6月に放送されたドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション ワケあって…坂口杏里』(フジテレビ系)によると、坂口さんは08年に芸能界デビューし、一時期は2世タレントとしてバラエティー番組に引っ張りだこだったが、13年に良子さんが亡くなってから、その寂しさを紛らわすように、ホストクラブにハマッていったという。気づけば多額の借金を抱えることになり、16年にはAVデビュー、そして、風俗嬢に転身。同番組では、自殺未遂をしていたことも明かされていた。

 しかし坂口さんは、そんな崖っぷちの状況から抜け出すため、昨年末、芸能界復帰を目指すと宣言していたわけだが、ここに来て2度目の逮捕――。芸能界復帰の夢は泡と消えそうな中、今度はYouTubeに「坂口杏里チャンネル」を開設し、良子さんの遺産や義理の父であるプロゴルファーの尾崎健夫氏について話す動画をアップしている状況だ。

 そんな坂口さんを、ネットの住民たちはどう見ているのか。絵に描いたような“転落人生”だと好奇の視線を向ける者、「もっと反省すべき」と厳しい言葉を投げかける者、はたまた、天国の良子さんを哀れむ者などさまざまだが、中には「支援を受けた方がいい」「誰か周りに頼れる人はいないの?」と声をかける者もいる。はたから見ていても、どこか心もとない彼女を心配しているのだろうが、その「支援」とは何か、誰もがわからない状況なのではないか。そこで今回、新宿・歌舞伎町で、家庭内暴力、DV、虐待、ひきこもり、ストーカー、金銭トラブルなど……さまざまな悩みを抱える人たちの問題解決に奔走してきた「公益社団法人日本駆け込み寺」の設立者で、「よろず相談研究所」所長・玄秀盛さんに取材を行い、坂口さんに多額の借金を背負わせたホストクラブの構造、彼女が抱える問題の正体、そして彼女が立ち直るために必要なことについて、見解を聞いた。

■ホストで借金地獄の女の子は「たくさんいる」

――坂口さんは、ホストクラブにハマッて、1300万円(18年6月時点)もの借金を抱えているそうです。

玄秀盛さん(以下、玄) そういう女の子は、杏里さん以外にもたくさんいるよ。そもそもホストクラブの構造自体が問題。ホストの最低保証給って、日給2,000円くらい。これは今から約40年前に「愛‐本店‐」の愛田武元社長が決めたもので、あとは歩合制で給料が決まるんやけど、歌舞伎町のホストって「カネと女が手に入る」と思って上京してきた地方出身者ばっかりやから、「日給2,000円」という現実は厳しいものがある。しかも「マンションの六畳一間に5人暮らし」「食事はカップラーメン」みたいな生活を目の当たりにする。そうすると、ホストは客に――しかもまだ20歳そこそこの子に、一晩30~50万円なんて大金を使わせようとしだすというわけや。

――女性客は危機感を持たないものなのでしょうか。

玄 女の子はマインドコントロールされてんねん。ホストは、アルコール慣れしてない20歳そこそこの子に酒を飲ませて、会話を盛り上げ、甘い言葉をささやく……俺から言わしたら、そんなん「悪魔のささやき」やけど、愛情と優しさに飢えてる子やったら、ハマっちゃうよ。しかもホストってイケメンやろ。でも、ホストは「値踏み」もしてる、「この子はどれくらい稼げるか」っていう。

――つまり、キャバクラや風俗で働かせて、いかに自分にお金を貢がせるか……ということですか?

玄 そうそう。歌舞伎町にはホストクラブが約200店舗あって、仮に1店舗10人在籍してるとして、約2,000人のホストがいる計算やけど、「何も持っていない女の子から、いかにカネをむしり取るか」を考えてる“ハイエナ”みたいな奴が多いのは確か。もちろん真面目に働いてるホストもいるけど、そういう奴は目立たんねん。キャバや風俗で稼がせるにしても、最初は性的サービスのないものから始めさせて、徐々に慣れさせていく。エグいけど、ホストが女の子に5年間の「AVを含む」モデル契約をさせるという話もあった。「AVを含む」ことに気づいた女の子が「聞いてなかった」と言っても、「キャンセル料30万円だよ」と迫り、断れなくする。逆にホストが保証人になって、「いいよ、ここは俺が払うよ」と言って、女の子側に借金を作ることもある。「彼が払ってくれたんだ」とほだされた女の子は、さらにホストにカネを使うようになり、そうしてできた借金を返すため、「彼のためならいいか」といって、風俗で働きだす。そしてまたホストにカネを使う。ホストクラブは、こういう負のスパイラルで成り立っているのが多い。

――テレビで放送されるホストのドキュメンタリー番組などでは、見えない一面ですね。

玄 最近は、ホストの数が増えて、客の奪い合いになり、どんどんあくどくなってる印象もある。あと、地方の若い女の子が「HOST‐TV.COM」(ホストクラブ動画・ホスト求人・密着・PV・バラエティ番組を毎日更新するサイト)を見て、歌舞伎町にやって来て、ホストクラブの負のスパイラルにハマッてしまうことも増えてるよ。客引き禁止条例ができてから、ネットで集客するようになってるんやな。俺はそういう風潮をよくないと思っていて、ホストやホストクラブのオーナー、「HOST‐TV」社長に「勉強会をしませんか?」と声をかけてます。勉強会を開こうと思ってる話は、新宿区や新宿警察署の関係者に話をしているよ。

■風俗を辞められないのは「孤独」が原因?

――坂口さんも、ホストクラブの負のスパイラルにハマッているのかもしれません。

玄 完璧にハマッてる。杏里さんは愛情が欲しいんやと思う。だから昔の男を追いかける。一度付き合った男とは、たとえ別れても距離が縮みやすいから。でも、そのホストの男に「こいつからはもうカネ取られへん」と思われてたら、厄介者扱いや。警察を呼ばれたのも、そういう事情があったのかなと思う。

――坂口さんは、昨年末に風俗を辞めて芸能界復帰を目指すと宣言しましたが、現状、辞められていません。

玄 辞められない理由は簡単やんか、孤独だからや。寂しいと、つい元カレのホストに電話して、飲みに行ったりして借金を作る、で、カラダで払う。その繰り返し。「女友達と遊べばいいのに」という人がいるかもしれんけど、女友達からは「『カネ貸して』と言ってくる厄介な子」だと思われて敬遠されるねん。男は別や。言い方は悪いけど、たとえカネはなくても「セックスはできる」と思って、ある程度は付き合ってくれるからな。

 こうやって、孤独によってどんどん落ちていく。その姿をマスコミが報じると、「悪名は無名に勝る」で、また杏里さんに人が群がる、もてはやす。本人もその気になって、ネオン街での脚光を求めてホストに出かけ、借金を作り、カラダで払う……という連鎖もあると思う。シャブ中と一緒や。なんでシャブ打つか知ってるか? スーパーマンになりたいんや。自分じゃない自分になるためにシャブを打つ。

――坂口さんも同様に、脚光を浴びることで、「自分じゃない自分になりたい」のかもしれませんね。彼女がこうした負の連鎖を断ち切るためには、まず借金を完済するのが重要なのでしょうか。

玄 うち(日本駆け込み寺)経由で、ホストへの350万円の借金を踏み倒して飛んだ子もおるよ。弁護士を入れて、借金の処理をしたことだって何度でもある。俺も債務保証で2回自己破産してるしな。お金の問題を処理するのは実は意外と簡単で、それより「男への依存」をどうするかが問題やねん。男に「褒められたい」「優しくされたい」「チヤホヤされたい」――シャブに依存するのと同じように、「男」に依存しているのを、どう断ち切るか。たとえ借金がなくなっても、心の問題が解決してなかったら、また借金するだけや。

 じゃあ断ち切るためにどうするのかというと、「私はここまで落ちた」ということを受け止め、過去を見つめて、生き直しをせなあかん。そうしたら立ち直れると思うけど、何よりも本人が「立ち直りたい」という意志を持つことが大切。シャブ中やったら実刑食らって、刑務所にいる間に目を覚ますこともできるけど、杏里さんの場合は実刑の対象ではないからな。

■まず「普通の生活」を教えたい

――例えば坂口さんが自らの意志で、日本駆け込み寺にやって来たら、玄さんは具体的に何をしますか?

玄 普通の生活を教えます。例えば「月収20万円」で暮らすとしたら、どんな生活になるのかを考えさせる。お金の価値をわからせる。月収20万円だと手取りはもう少し下がるけど、そこからいくら食費に割くか、1回の昼食代は何円に抑えなあかんか、と。まぁ昼食はなか卯で食べなあかんな。そういう生活を、まずは1年続けてみる。そういう姿を隠さずに、世間に見せることも大事や。まぁでも、月収20万円も得られるスキルが杏里さんにあるかどうか。昼間働いて、20万稼ぐというのは大変なことだと思うよ。それと並行して、依存から脱するため、メンタルクリニックに通うことを勧めるね。

――お金の話で言うと、『ザ・ノンフィクション ワケあって…坂口杏里』で、坂口さんがブランド品を身に着けていたことから、ネット上では「それを売って少しでも借金返済に充てるべき」といった声が出ていました。

玄 売れへん売れへん。売っても二束三文や。みんな単純に「売れば?」と言うけど、売ったらまた新しいものを買うことになるんやから、あるもんは使ったらええねん。それよりも、自分で生き直すと決意して、「平凡な生活」というものを積み重ねていくこと、それから同性でも異性でも友達を作ることの方が大事。その友達ってのは、「悪さをしない」奴やで。シャブかて、本人が「やめよう」と思っても、周りの奴らが誘いにくんねん。そういう奴らと縁を切って、「無償」の友達を作らんとあかん。

――ホストは、お金を介する「有償」の関係ですもんね。

玄 そうやで。杏里さんが本人の意志で直接ここに来て、「今後こうしたい」という話を聞かせてくれれば、もっと具体的なメニューを提案できると思う。ただ、杏里さんはいま、貴重な経験をしてるんやから、それを生かさなあかんと思うわ。まず自分を救って立ち直る、そしたら、同じように苦しんでる女の子を救うこともできる。俺、シャブ中だった奴に、シャブ中の奴の相談に乗るように言うことがあるんやけど、そうすることで「二度とシャブをやらない」と、自分に言い聞かせることにもつながるからな。

 ちなみにやけど、日本のダンス&ボーカルグループのAの親父も、悪い仲間と縁を切るために、うちの社員として3年半働いて、ボランティアの勉強をしてたんや。彼は杏里さんと逆バージョンの「息子の七光り」。周りからちやほやされて、勘違いしてるところもあったよ。でも、そんな彼も今では自立しました。

――坂口さんの現状を見て、「実の兄や義理の父親が支援すべき」という世間の声も根強いのですがいかがでしょう。

玄 傍観者はみんなそう言うよ。でも俺は違うと思う。そもそも家族は、「更生」を経験したことないやろ? 自転車に乗ったことのない奴に、むりやり乗れ乗れって言ったって、うまくいくはずがないやん。杏里さんも家族に対しては甘えが出るだろうし、「あの時こうしてくれなかったから、私の人生はめちゃくちゃになった」なんて、過去のことを言い出すと思うよ。杏里さんの更生には、絶対に第三者の「他人」が必要や。

 だいたいな、支援をしたこともない人間が、「支援」「支援」という言葉だけを口にしてるような気もする。何を根拠に「支援」なんですか? というのを聞きたいね。「弁護士に相談を」という人もおるやろうけど、お金の問題が片付いたとして、心の問題は? 「行政に相談を」って、じゃあ具体的にどこに? 俺は歌舞伎町で17年間、老若男女5万人の相談に乗ってきた。加害者でも被害者でも、救いを求めてるなら、話を聞くよ。加害者が二度と過ちを繰り返さないように、被害者が立ち直れるように。目の前のたった一人の人を助けるという思いでやってきた。杏里さんと似たような状況の女の子もたくさんいた。もし杏里さんがここに来てくれたら、1000通りでも1万通りでも更生のメニューを提案するよ。

玄秀盛(げん・ひでもり)
1956年、在日韓国人として大阪市西成区に生まれる。両親の離婚などによって、複雑な家庭環境で育ち、「4人の母」「4人の父」のもとを転々とする。2000年、自身が白血病をおこす可能性のあるウイルスの感染者であることを知り、ボランティアに目覚め、02年「NPO法人日本ソーシャル・マイノリティ協会」(通称・新宿歌舞伎町駆け込み寺)を立ち上げる。11年、NPOとしての活動を停止し、「一般社団法人日本駆け込み寺」を設立、その代表に就任。12年、内閣府より公益社団法人の認可を受け駆け込み寺を公益化し「公益社団法人日本駆け込み寺」に。今年5月、NHKで放送されたドキュメンタリー『信じる男 信じられた男~新宿歌舞伎町駆け込み寺~』は大きな反響を呼んだ。
日本駆け込み寺公式サイト(http://nippon-kakekomidera.jp/)
よろず相談研究所公式サイト(http://yorozusoken.com/)

元ジャニーズJr.「7ORDER」屋外での全裸動画流出! 「公然わいせつ罪に該当」と弁護士解説

 元ジャニーズJr.ユニット「Love‐tune」のメンバーで、現在「7ORDER project」の一員でもある諸星翔希の「全裸動画・画像」がネット上に流出した。

 問題の動画は、一糸まとわぬ姿の諸星が、陰部こそ隠されているものの、屋外にてバランススクーターに乗っているというもの。同シーンを撮影した写真には、同じグループの安井健太郎も写り込んでおり、煙草を片手に、笑顔で全裸の諸星を追いかけている様子が確認できる。また同時期に、同じくメンバーの長妻怜央が、裸で「●●ちゃんとエッチしとけばよかったな」と漏らしている動画なども流出している状況だ。

 これらは、いわゆる“悪ノリ”動画・画像と言え、ネット上には「アホすぎる(笑)!」「仲良しなのは伝わってくるけど」など、微笑ましく受け止めるファンもいたが、中には「公然わいせつ罪に問われるのでは?」「ジャニーズを辞めてこれからという時に流出騒動なんて、もっとしっかりしてほしい」と、厳しい視線を向ける者も。確かに諸星の行為は、公然わいせつ罪に該当する可能性もありそうだが、今回、弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に見解をお聞きした。

 まず、ネット上で指摘されている「公然わいせつ罪」とは、どのようなものなのだろうか。

「不特定の人や多数の人がいる状況(実際にいなくても、通常、不特定の人や多数の人がいるような状況)で、いたずらに性欲を興奮させたり刺激させたりし、普通の人の性的羞恥心を害したり、性的な道義観念に反する行動をした場合に、6カ月以下の懲役刑や30万円以下の罰金などが科される犯罪です」

 つまりかみ砕くと、「人に見られる可能性のあるような場所で裸になったり性的な行為をしたりして、それを見る人に恥ずかしがらせたり、日本における性的道徳に反するような行動をすること」が、公然わいせつ罪にあたるそうだ。それを踏まえたうえで、映像・画像での諸星の行為は、「公然わいせつ罪に該当します」と山岸氏は断言する。

 また、ネット上では、諸星が全裸になった「場所」について、「私道であれば問題ないのではないか」といった疑問も出ていたが、公然わいせつ罪に「公道か私道かは関係ない」という。

「『通常、不特定の人や多数の人が認識できるような状況』でわいせつ行為をすれば公然わいせつ罪が成立します。私道であっても、壁や囲いや目隠しがなく、誰でも入って来られたり、わいせつ行為を見ることができるような状況であれば、成立するわけです」

 なお、公然わいせつ罪は、「現行犯でなくとも逮捕できる」というのも見落とせない箇所だろう。諸星も「証拠を隠したり、任意の事情聴取の際に不合理に否認、つまり罪を認めないような場合には、逮捕されるでしょう」というだけに、“悪ノリ”では済まされなくなる可能性もある。

 一方で、この動画・画像をネット上に流出させた人物は罪に問われることはないのだろうか。同様に「公然わいせつ罪」にあたる可能性もあるように思えるが、「男性の陰部を隠す映像加工をしているので、 この動画をアップした人が公然わいせつ罪に問われることはないでしょう」と山岸氏。名誉毀損罪が成立するかどうかについては、諸星が「刑事処罰を求めない(親告しない)限り、罪には問われません」という。

 最後に山岸氏は、諸星をはじめこの動画・画像に関わった人たちに対し、「犯罪行為を『かっこいいことをしている』『みんなに面白がってもらえている』『そんな自分はすごい』と勘違いしているのではないか」と厳しく指摘したうえで、苦言を呈する。

「この程度では起訴されないでしょうし、もし起訴されても(刑事裁判が開始しても)せいぜい執行猶予でしょう。社会的制裁……例えば、マスコミによる犯罪行為であることの明確な報道などを徹底して与えるべきです」

 一部のファンにとっては、微笑ましいと受け止められた流出動画・画像だったかもしれないが、犯罪行為に当たることは紛れもない事実。今後の活動のためにも、諸星らはふんどしを締め直してほしいものだ。

沖縄で中国人が爆買いする「あるモノ」とは⁉

 ひところ列島を騒がせた、中国人旅行客による「爆買い」。東京の秋葉原や銀座では、日本製の家電製品やオムツや粉ミルクなどの日用品を買い求める大集団の姿が目立っていた。

 世界的なインバウンド(訪日旅行)ブームの広がりによって外国人旅行客の顔ぶれも多彩になり、購買意欲旺盛な中国人旅行客がもたらすインパクトは薄らいだ側面もある。しかし、日本随一のリゾート地では、チャイナマネーがいまだに猛威を振るっているという。

「中国ではいま、大型クルーズ船によるアジア旅行が人気です。その寄港地になっているのが沖縄。那覇市の国際通りなどに点在する中国語の看板を掲げたドラッグストアが相変わらずのにぎわいを見せており、米軍基地が返還された跡地に2015年に開業した北中城村の商業施設「イオンモール沖縄ライカム」では、クルーズ船でやってくる中国人旅行客の“お財布”を当て込んで、船が発着する港からツアーバスを出しているほどです」(現地の旅行代理店関係者)

 一方、沖縄にやってくる中国人旅行客の消費動向にも変化の兆しが出てきている。これまで彼らが「爆買い」の対象にしてきたクスリや化粧品に取って代わり、リゾート地ならではのある商品が、特にカネに糸目をつけない中国人富裕層の熱視線を集めているという。

「最近人気なのが、中古のクルーザーです。県内外の富裕層が所有するクルーザーやヨットが多く停泊する本島中南部の宜野湾港マリーナには、『クルーザーを売ってくれ』とやってくる中国人が急増しているのだとか。現地では、維持費が払いきれずに売りに出された船舶を彼らが買い取るケースも多いそうです」(同)

 莫大な資産を持つ中国人の間では、沖縄の不動産も人気だ。那覇市の中心部の「新都心」と呼ばれるエリアには、新築された際に県内有数の「億ション」として話題を集めた物件がある。そこも、売りに出されてすぐに、複数の部屋が中国人によって買われたといわれており、中心部から外れた場所に建つペンションや部屋売りのホテルも人気を集めている。

「投資目的というよりは中国人富裕層のセカンドハウスとしての需要が伸びているようで、クルーザーが売れているのも、滞在時に利用する目的があるとみられます」(同)

 こうした中国人旅行客の消費動向の変化によって、思わぬ収入を手にする者も。

「クルーザーを買い求める中国人旅行客の多くは、現金で決済する。ところが中国では、2万元(29万6,000円相当)以上、もしくは5,000ドル(52万5,000円相当)以上を国外に持ち出す際に税関への申告が義務付けられるなど、制限が加えられている。そのため、契約が成立していざ口座から引き出そうとしても制限に引っかかって金が用意できず、取引が流れてしまうことが珍しくないのだとか。ただ、業者側にとって取引不調は必ずしも悲観すべき話ではなく、むしろおいしい。たとえ取引が成立しなくても、支払い済みの代金の一部は手付金として返還されない契約になっている場合も多いので、そのままポケットに収めることができるためだ」(マリーナの事情に詳しい関係者)

 米国との貿易戦争で危機がささやかれる中国経済だが、まだまだ彼らの購買力は無視できない存在のようだ。

「一億総監視社会」が招いた“理不尽クレーマー”の実態と心理――クレーム問題の専門家が分析

 8月上旬、岐阜乗合自動車(以下、岐阜バス)がバス内に掲示した張り紙について、ネット上で議論が巻き起こった。「乗務員の『熱中症』対策について」というタイトルで、「只今、当社ではバス乗務員における『熱中症』対策として、駐停車(信号待ち等)の間を利用し、水分補給を行っておりますので、ご理解のほどお願いいたします。」という、バスの利用者へ“お断り”を入れるような内容だった。

 岐阜バスの担当者によれば、このような張り紙を掲示したのは2018年からで、「以前にご意見をいただいたこともありましたので、あらかじめかつ改めて、ご理解をいただきたいとして掲示しているものです」との理由だとしている。要するに、バスの乗務員が業務中に水分補給をしていたことに対して、実際に“クレーム”をつけた利用者がいる、または、その可能性を未然に防ぐ必要を感じていた、ということだろう。

 今年の夏も日本各地で連日の猛暑となり、岐阜県も35度を超える日が続いていた。そんな中、熱中症対策のため「水分補給」に「ご理解」を訴えなくてはならない状況に対しては、ネット上で「ここまで書かないと理解が得られないなんて……すごく悲しい」「バスの運転士さんだって人間なのに。こんな当たり前のことも許されないの?」と懐疑的な声が続出。また、「おまわりさんに『勤務中なのに何で水飲んでるんだ』ってクレームが来た話を思い出した」「配達員の仕事をしていますが、コンビニのイートインスペースにいると『楽をしてる』と思われるので、使わないように会社から言われています」といった“告発”もあり、このような問題はバスに限った話ではないことが明らかになった。

 商品やサービスに文句を言うのではなく、人が当たり前にとる行動について異議を申し立てるクレーマーとは、一体どんな人たちで、どのような理由からクレームをつけるのだろうか。関西大学・社会学部教授で、悪質クレーマー問題やカスタマーハラスメントに詳しい、池内裕美氏に話を聞いた。

クレーマーには「世の中を良くしている」という“錯覚”がある

――「人の行動」に対してクレームをつける人には、どのような特徴があるのでしょうか。

池内裕美氏(以下、池内) まず、一般的なクレーマーの特徴としては、他者の立場にたって物事を考えられない、「共感性」が欠如している、「自己愛」「攻撃性」が強い、自分は特別だと思う「特権意識」が強い、といったことが挙げられます。これらはまた、他者の失敗をどれだけ受け入れられるかという「寛容性」の高さとも関係しています。

 さらに言うと、クレームの種類からクレーマーの特徴を見ることもできます。まずは「承認欲求を得たいがためのクレーム」。何かしらクレームを言うことで、世間の注目を浴びて優越感や承認欲求を満たしたい、という人がいます。どうでもいいようなことを大げさにまくしたて、いち早く世の中に提言し社会問題化することで、あたかも社会を支配したかのような錯覚が生まれ、優越感を得て満足するのです。

 そして、「不満のはけ口としてのクレーム」。昨今、常にイライラしている人や、何かにつけて文句を言うといった“不寛容”な人が増えています。そうした人が、バスの運転手や警察官などを攻撃することで、日頃の不満やストレスを発散している場合があります。特に、世間を取り締まる立場にある警察官は、そうしたタイプの人たちから、より一層厳しい目を向けられやすい。権威ある警察官の“望ましくない行為”を見つけ、指摘することで、「強いものを倒した」「制裁を加えた」といった、より大きな満足感や優越感を得られるからです。また、制服を着ている人は、明らかに勤務中とわかるため、何を言っても言い返したり、やり返したりしてこないだろうといった安心感があり、不満をぶつけられやすいとも考えられます。

――「市民のため」「相手のため」といった“正義感”から、クレームを言っている人も多いような気がします。

池内 クレーマーの中には「とにかく世の中を良くしている」という“錯覚”が、少なからずあると考えられます。“主観的な悪”を退治して回る人は、自身の正義感をふりかざし、「世直ししている気分」になっているのでしょう。この場合、本人には「クレーム」といった意識がまったくなく、むしろ「良いことをしている」とさえ思っているので、非常に厄介です。

 また、“自身の正義”を盾にクレームを言う人には、中高年以上の世代の人が多いとよく耳にします。彼らは若かりし頃、体育の時間や部活中に「水を飲むな」と言われた世代ですし、自己犠牲を払ってでも会社のために身を粉にして働くのが“美徳”という労働観が根強い。そうした考え方から、勤務中に水を飲む行為は「甘えている」ように見え、許せなかったのかもしれないですね。

 こうしたクレーマー全般には、“想像力の欠如”が指摘できます。運転手が水を飲まなかったことで熱中症になったとして、乗客に及ぼす不利益や、事故等の危険性が生じることを想像できないのです。乗客を安全に目的地まで送り届けるのが運転手の重要な職責の一つならば、むしろ真夏に水分を一切取らずに運転し続けている方が、「体調管理を怠った」という点でよっぽど無責任ですよね。サービス業の人が働きやすい環境を作ることで、結果的に良い人材がサービス業に集まり、より質の高いサービスとなって自分たちに返ってくる。そんな図式は、冷静に考えればわかるはずです。

――このようなクレームに対し、企業側はやや過剰反応をしているようにも感じます。理不尽な要求にも応えなくてはならない理由があるのでしょうか。

池内 「過剰反応である」という前提の上で、やはり、SNSの存在とその影響力の大きさが挙げられます。今は街中で些細なトラブルが起きるだけで、その場にいる人が「報道カメラマン」よろしくその状況を撮影し始め、ネットに投稿し「記者」となる時代です。そして、その投稿を見た人たちが高速で情報を拡散する、まさに「一億総監視社会」。いつ、どこで、誰が、どのように自社の商品やサービスを非難し始めるか、企業側にはまったくわからないのです。大企業なら、ネット上をパトロールしてそういった書き込みを見つけることができますが、中小企業だと人員確保の点からも、なかなかそれは難しい。気が付けば、手が付けられないほどの炎上が起こっている可能性もあります。よって、「最悪の事態」を予防・回避するため、先手を打って対処に踏み切らねばならない、という状況もあるのです。

――「商品が壊れているから交換・返金しろ」といったクレームとは違い、行動に対するクレームは、個人の価値観や倫理観によって「許せない」ポイントが大きく異なるように思います。

池内 商品に対するクレームの中にも、例えば「フルーツがたっぷり入った〇〇」という商品名について、「“たっぷり”と書いてあるのに、これでは“たっぷり”とは言えない」といった理不尽なクレームが来るご時世です。確かに、「たっぷり」という表現の受け取り方は人によってさまざまですし、その人の経験にも左右されます。「主観」と「客観」の間には乖離があるため、人の行動に対しても、明らかに違法な行為は除き、物事の善悪は“個人の良識”で判断されてしまいます。この「良識」や「モラル」といったものが個々人さまざまであるため、何らかの形で明文化されない限り、完全には共有されないでしょう。

 とはいえ、企業側から見て、「どのようなクレームに対処するべきか」という基準については、ある程度明確にできると思いますし、従業員保護の観点からもそうすべきだと考えます。

――人の行動に対するクレームは年々増加傾向にあるといいますが、今後も増え続けるのでしょうか。

池内 必ずしも増え続けると断言はできませんが、人の不満が高まるような状況、たとえば過重労働や格差社会の進行を抑制したり、高齢化社会が抱える問題を解消しない限り、減ることはないと思います。特に、高齢者による理不尽なクレームは、高齢者の数自体が増えてくるので、致し方がない部分があります。また、常に誰かが誰かを監視し、どこでも誰でも「にわか報道カメラマン」や「にわか記者」になれるような、過度にSNSに依存した社会の在り方も、理不尽なクレームの増加に拍車をかけるでしょう。

 そんな社会に必要なことは、まず消費者側の意識改革。人々が自ら「寛容性」を高め、相手の立場になって物事をとらえ、思いやりの心で接することが必要です。また、「客なら何を言っても・やってもいい」といった“特権意識”を捨てること。企業側も、“顧客第一主義”の観念に縛られ過ぎず、「両者は対等であるべき」という信念のもと、時には理不尽なクレーマーを切り捨てるくらいの勇気を持ちましょう。また、周囲はそうした企業の対応を「無責任だ」と責め立てるのではなく、「対応者のストレスを考えると正しい判断をした」と認めるような、「従業員保護」の気運を高めることも大事です。そもそも社会全体として、もう少し精神的にも時間的にも余裕があれば、こうした理不尽なクレームが社会問題になることも減ると思うんですけどね。

■池内裕美(いけうち・ひろみ)
関東大学社会学部教授。関西学院大学大学院商学研究科(博士課程前期課程)、同大学院社会学研究科(博士課程前期・後期課程)修了。博士(社会学)。広告デザイン会社勤務、日本学術振興会特別研究員などを経て、2003年より現職。専門は、社会心理学、産業心理学。現在の主な研究テーマは、過剰な苦情行動やモノのため込み、買物依存といった「逸脱的消費者行動」に関する心理的なメカニズムの解明。特に苦情研究は社会的注目度も高く、メディアからコメントを求められることも多い。著書に『消費者心理学』(共著、勁草書房、2018年)、『暮らしの中の社会心理学』(分担執筆、ナカニシヤ出版、2012年)などがある。

プレミアム付き商品券、地方在住者から不満の声「田舎では何も買えない……」

 10月1日に予定されている消費税率引き上げに合わせ、増税による負担の軽減を目的とした「プレミアム付き商品券」が各自治体で発売される。

 商品券は、4,000円で5,000円分の商品が購入でき、発行した自治体内の店舗でのみ使用可能だ。商品券の上限金額は、住民税非課税の低所得世帯では家族の人数、子育て世帯では3歳未満の子供の人数に2万円をかけたものとなる。

 内閣府は、低所得世帯と子育て世帯への増税による影響を緩和することと、地域経済を下支えすることを目的とした政策としているが、効率の悪さを指摘する声も根強い。

 プレミアム付き商品券には、割引分負担や、実際の発行手続きを担う自治体の人件費、券の印刷代など1,890億円が国庫から投入される。対象となるのは計2,450万人なので、一人当たり7,700円以上の税金が投入されていることになる。ところが、一人当たりの負担軽減は最大で5,500円にすぎない。だったら7,700円の現金を配ったほうがよいというわけだ。

 さらに、プレミアム付き商品券から得られる恩恵には、大きな地域格差があるようだ。

 中国地方の過疎集落に家族5人で暮らす30代の女性は話す。

「うちは住民税非課税世帯であることに加え、3歳未満の子どもが1人いるので、低所得世帯と子育て世帯の両方の要件に当てはまり、合計6人分の購入資格があるようです。つまり12万円で額面15万円分の商品券を手にすることができる。『総額3万円もお得になるなんて』と、喜んでいたのですが……。私たちの生活圏には、商品券の使える店舗がほとんどない。食料品を商品券で買おうと思っても、近所の商店では使えず、車で30分くらい先のスーパーまで行かなければならない。そんな状態なので、6カ月の有効期間に5万円使うのがやっとでしょうね。そもそも我が家の家計には、食料品以外のものを買う余裕はない。電気代などの公共料金の支払いには、商品券は使えないというし……」

 北関東の山間部に住む40代の男性も不満を漏らす。

「田舎だと、プレミアム商品券を使って地元の店で買い物をするよりも、ネットショッピングの方が安いことが多い。例えば家電を買おうと思っても、市内には昔ながらの街の電器店のようなところしかなく、多くの品がアマゾンで買うよりも2割以上高い。第一、店の品ぞろえもよくない。大型家電量販店がある自治体に住む人は、プレミアム商品券を使ってiPhoneなども買えるが、我々は買えない」

 地域経済の活性化をうたいながら、地域格差を生み出しているとは、なんとも皮肉な話である。

(文=高田信人)

ゴミ清掃員・マシンガンズ滝沢氏が見た、タピオカブームの狂騒――ゴミ集積所が映し出す“東京の変遷”

  若者を中心に一大ブームとなっている「タピオカドリンク」。都内には、台湾から上陸した有名店の新店舗が続々とオープンし、連日行列を作っている状況で、SNS上には「#タピる」「#タピ活」といったハッシュタグとともに、“映える”タピオカドリンクの写真が並んでいる。しかし、味よりも容器や店舗の内装など“写真映え”が求められる風潮により、渋谷や原宿といった若者が集まる街では、タピオカが残ったままのドリンク容器が捨てられていることも珍しくなく、購入後のマナーが問題視され始めているようだ。そこで今回、お笑い芸人とゴミ清掃員、さらにはゴミ研究家の“三足のわらじ”を履いて活動を続ける、お笑いコンビ・マシンガンズの滝沢秀一さんに、“タピオカのゴミ”の現状をお聞きした。

ポイ捨てされたタピオカのゴミは“善意”で回収されている

――タピオカが大ブームになっていますが、ゴミ収集でタピオカの容器を目にすることは多いですか?

滝沢秀一さん(以下、滝沢) 住宅街のゴミ集積所では見かけることは少ないですが、繁華街ではよく目につきます。以前はコンビニや大手カフェチェーンの持ち帰り用ドリンク容器がよく捨てられていましたけど、最近はタピオカのゴミの方が多いですね。ここ数カ月の間で急激に増えたように感じますが、タピオカのゴミは、コーヒーのそれと違って、“中身が残ったまま”捨てられていることが多いんです。「何のために買うんだろう? おいしくないのかな?」って思いながら回収していますよ。

――中身入りで捨てられていると、ネズミやゴキブリなど害虫・害獣が集まってきそうですね……。

滝沢 繁華街のゴミ集積所はもともと汚いところが多いので、一概にタピオカの飲み残しが原因だとは言い切れないですが、住宅街と比べネズミやゴキブリが多いことは確かです。それに、繁華街のネズミは丸々太っている上に、人間慣れしているのか根性が据わっているんですよ! 僕らがゴミを回収していても、どかないどころか、目が合って“会釈”してきますからね。その後、のっそり移動するんですけど、振り返ってまた会釈。そんな後にゴキブリなんかが出てきても、「キャラ弱いな」くらいにしか感じません(笑)。

――大きいネズミが会釈……(笑)。植え込みの陰や階段の隅、自動販売機専用ゴミ箱など、都内では至る所で“放置タピオカ容器”を目にします。そのようなゴミは、誰が片付けているのでしょうか?

滝沢 ゴミ清掃員も拾える範囲で回収しますが、僕らの仕事は、あくまでも集積所に出された“地域住民”のゴミの回収すること。全ては到底無理です。ゴミ清掃員として回収作業をする時は、「汚れているプラスチック容器は可燃ゴミ」という分別方法に従い、そのままの状態で回収しているものの、本当は、「タピオカは可燃ゴミ」「プラスチック容器はきれいに洗い不燃ゴミ」と分別して捨てたいところ。ゴミ収集車のバケット部分(ゴミを投入するところ)へ、液体を入れてはいけないんですが、飲み残しを道に流すわけにもいかないのでゴミ清掃員も困っている状況です。自動販売機横の専用ゴミ箱にツッコまれた容器は、恐らく自販機補充員か回収業者さんが、街なかにポイ捨てされている容器に関しては、地域ボランティアの方などが“善意”で処理してくださっているのではないでしょうか。

――タピオカのゴミを街なかに捨てると、どのような問題が起こると考えられますか?

滝沢 容器が倒れて、液体やタピオカが周辺に散乱すると、害虫・害獣のエサになり、繁殖してしまいます。また、タピオカが雨や風で流されて街を汚したり、プラスチック容器が車にひかれてマイクロプラスチックが発生するなど、環境汚染や海洋汚染につながることも考えられますね。海に流れたプラスチックゴミの8割は街から出たものと言われていて、荒川の河川敷だけでも昨年1年間で4万本以上のペットボトルが回収されているほどなんです。

――日本でも、大手コーヒーチェーンが2020年半ばまでに使い捨てプラスチック製ストローの廃止を表明するなど、プラスチックゴミは世界的な問題にもなっていますね。

滝沢 ペットボトルやプラスチック製ストローは、基本的に使い捨てなので、使えば使うだけ製造され、同時にゴミが増えていくんです。1回しか使わないものなのに、僕らが死んでも数百年後まで残っているって、不自然だと思いませんか? プラスチックストローの廃止をきっかけに、環境問題への意識の変化や、プラスチック製品全体の需要・供給の削減につながっていったらいいなと思います。

――近年は、屋台の焼きそばなどで使われるプラスチックケースの代替品として、自然分解されるバイオ素材の製品が出てきているようです。

滝沢 ペットボトルもいずれ、“ペフボトル”(ペットボトルに近い特性を持ちながら、100%バイオ由来の樹脂でできている)に変わると言われています。ただ、僕は“プラスチック自体”が悪いのではなく、ちゃんと処分しない“人間が”悪いと思っているんです。今後、バイオ素材の製品が主流になったとしても、「自然分解されるから、ポイ捨てして大丈夫」と安心するのではなく、自分が買ったものには最後まで責任を持って、「正しく処分し、リサイクルに回す」といった気持ちや行動が重要だと考えています。

大人こそ「食べ物を粗末にしない」「ポイ捨てしない」ができていない!

――タピオカ以外にも、さまざまな食べ歩き系の飲食物がはやっていますよね。ゴミの観点からタピオカブームとはまた違うなと感じる場面はありますか?

滝沢 コンビニのホットスナックが充実し始めた時は、そこかしこにやきとりなどの竹串が落ちていましたし、チーズハットグがはやり始めた時は、紙製のトレイなどがよく捨てられていました。ただ、タピオカのように“食べ残し”はほとんど見かけませんでした。

――タピオカはSNS “映え”するという理由から、撮影目的で購入している人も少なくないようです。

滝沢 撮影目当てで購入した結果、飲みきれずに捨てているんでしょ? このような理由で捨てられた食べ物を見ていると、「金を払った後であれば、消費者はなにをしてもいい」という人間のエゴをものすごく感じるんです。子どもの頃、学校や家庭で「作ってくれた人の苦労を考えて食べなさい」とか「食べ物を粗末にしない」って教わりましたよね。ゴミだって、「ポイ捨てしちゃダメ」って習っているはず。もう一度そういうことを思い出して、「飲みきれる量を買う、そしてゴミはきちんと捨てる!」という基本を思い出してほしい。

――タピオカをはじめ、いろいろなゴミが集積所に放置されているようですが、そこは地域住民のゴミ捨て場であり、公共のゴミ箱ではないですもんね。

滝沢 そうです。通りすがりの集積所に放置することは、ゴミに責任を持っていない証拠。「誰かが片付けてくれる」と思っているのかもしれませんが、結果的に街を汚していますし、街をゴミ箱として扱っているのと同じですよね。例えば、引っ越しで大量にゴミを捨てる時なんか、普段はきちんと分別する人でも、可燃ゴミに中身が残ったラー油の瓶を捨ててしまうので、人間の本性が顕著に出ているなと感じます。近所の人や管理人の目がなくなった途端、無責任になってしまうのでしょう。

――日常生活の中で、ゴミに意識を向けるにはどうしたらいいと思いますか?

滝沢 環境先進国と言われるスウェーデンでは、保育園で分別を教えているそうですし、やっぱり子どものうちからしっかり身に付けていくことが大切なんだと思います。子どもは大人の行動をマネしたがるので、まずは大人が率先して分別をするべきでしょうね。僕も子どもの前では、「ペットボトルだからここに捨てよう」と、声に出しながら分別しています。筒状のケースで売られているポテトチップス容器は、楽しく分別を学ぶことができるのでおすすめ。蓋はプラスチック、ケースは可燃、底はスチールと3種類に分別できて、ケースを解体すると螺旋状に伸びるので、自然と子どもがやりたがるんです。

――ゴミを捨てる際、分別するのはもちろんですが、それ以外に心がけるべきことはありますか?

滝沢 みなさんゴミを集積所に捨てた瞬間に、ゴミのことなんて忘れちゃうでしょう? 自分は捨てて“スッキリ”するかもしれませんが、でも、その先には清掃員が回収して、清掃工場に運ばれていくという工程があるんです。「この捨て方をしたら近隣の人に迷惑がかかるかな」「ゴミ清掃員がケガをするかも」など、想像力を働かせてもらえたらと思います。そういうふうに、見えない物や人に思いやりを持てて、初めて“大人”なのではないでしょうか。もちろん、飲み残したタピオカドリンクを街なかに放置する人にこそ心がけてほしいですね。

マシンガンズ・滝沢秀一
1976年生まれ。1998年に西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。2012年より、定収入を得るために、お笑い芸人のかたわら清掃員としてゴミ収集会社で働いている。ゴミ収集中の体験や気付きを発信したTwitterが人気を集め話題に。著書にエッセイ『このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景』(白夜書房)、漫画『ゴミ清掃員の日常』(講談社)などがある。

2019年8月6日、新刊ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本(太田出版)が発売。間違えやすい分別方法を、50問のクイズ形式で紹介。イラストなども交えながら、大人も子どもも楽しくゴミについて学べる一冊になっている。

『全裸監督』制作と黒木香さんは無関係! “プライバシー侵害”を訴えることは可能か、弁護士に聞いた

 AV監督・村西とおるの半生を描いたNetflixのドラマ『全裸監督』が話題となっている。主役の村西を演じる山田孝之をはじめ、交際していたAV女優の黒木香を演じる森田望智の演技も高い評価を受け、芸能人のほか、テレビ・映画などメディア関係者の間でも、「地上波では絶対映像化できない」などと大絶賛されている。

 一方で、ドラマの中には、現在は引退している元AV女優の黒木さんが、現役当時の名前(芸名)で重要人物として登場していることから、SNSなどでは、当時を知るAV関係者らから、「黒木さんはドラマ化を了承しているのか」といった疑問の声も上がっている。そんな中、「許可を取っているのか」という質問に対する、「作品制作にあたって、村西さん同様、黒木さんご本人は関与されていません」というNetflixの回答が報じられた。

 そこで、黒木さん本人が、プライバシーの侵害でNetflixを訴えることは可能なのか、弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞いた。

 山岸氏によると、プライバシー権とは、「自分の情報をコントロールする権利」と考えられているという。

「現代社会では、人は、自分の過去や現在の情報がどこでどのように使われるのかについて強い関心を持っているので、このような情報について自分の知らないところで使用されることを拒む権利として考えられています」

 その上で、黒木さんがプライバシーの侵害を訴えることは可能なのかについて、山岸氏は次のように述べる。

「黒木香さんの実名モデルとしての登場は、本人に『世間に知られたくない』『過去のことなので、今となっては公表して欲しくない』という気持ちがあり、これらの気持ちについて大多数の一般の人が『同じ立場だったら同じように考える』というような場合には、法的保護に値する可能性があります。この場合、プライバシー侵害として、映像の配信停止や損害賠償請求のための訴訟を提起することができます」

 訴訟を起こした場合の損害賠償の金額はいくらになるかについては、「『精神的な損害』がメインとなるので、大きな額にはなりませんが、数百万円程度になる可能性があります」という。

 ドラマ自体は大変好評なため、シーズン2の制作が決定している。これについて、黒木さんが制作や配信の中止を求めることは可能なのだろうか。山岸弁護士によると、「『映像の配信停止』について、裁判所の仮処分手続きにおいてできるかもしれません」とのこと。

 そもそも、このドラマは本橋信宏のノンフィクション『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)が原作となっているという。では、この原作自体はプライバシー侵害にならないのだろうか。かつて小説のモデルとなった女性からのプライバシー侵害の訴えにより、出版の差し止めが認められた柳美里の『石に泳ぐ魚』(新潮社)のようなケースもある。

「一般人であること、一般的に『他人には知られたくないこと(昔の犯罪歴、身体のこと、過去の恥ずかしい出来事、癖など)』が開示されること、そのことを公開することが社会にとって役に立ったりするもではないこと、実名であること、などの要素があると、『プライバシー侵害』になる可能性が高まります。これに対し、一定程度、その人となりや生活ぶりなどが“おもて”に出ることが想定されている政治家や芸能人であったり、最近の犯罪歴だったり、そのことを公開することで社会に警笛を鳴らす目的などがあったりする場合には、『プライバシー侵害』にはなりにくいと考えられています」

 黒木さんの場合、「黒木香」は芸名とはいえ、黒木香になる前のライフストーリーもドラマ化されている。また、引退後、消息を報じる記事がプライバシー権や肖像権の侵害に当たるとして、出版社等に対して損害賠償を求める民事訴訟を何度か起こし、そのいくつかは勝訴していることも報じられている。

 山岸弁護士は、「エンタメやメディアの影響力(情報があっという間に広がっていく力、多くの人が疑問を持たずに信じ込んでしまう力など)を理解している者は、今一度、その力の強さをしっかりと認識し、使い方を思慮深く考えなければなりません」と警告する。

 今や、SNSやネットを通じて誰もが発信者となれる時代。メデイアのみならず、自らの発信する内容について今一度振り返り、人権について考える必要があるのではないだろうか。