”スラップ訴訟”の宮古島市長、イベントドタキャンで返金トラブル? 元格闘家議員も資金集めに協力……

 

 国内外からの旅行者が急増する沖縄・宮古島では近年、不動産価格が急騰し、ホテルの建設ラッシュが起きるなど、バブルの様相を呈している。そんな注目度が高まる「南国の島」が、揺れに揺れている。

「9月に市が『名誉を毀損された』として市民を相手に損害賠償訴訟を起こす議案を議会に出して、大騒ぎになったんです。市側が市民相手に訴訟を起こすなんて、前代未聞の話です。『権力者によるスラップ(恫喝)訴訟 』『民主主義を脅かす所業だ』などと批判を浴びたことで、今議会での議案提出は見送られましたが、火種はくすぶったまま。今後、議案が再提出される可能性も残されており、予断を許さない状況が続きそうな気配です」(地元マスコミ関係者)

 問題の議案提出を主導したのは、現市長の下地敏彦氏(73)。2014年度に市が市内の業者に発注したごみ撤去事業をめぐる住民訴訟が、そもそものコトの発端だ。この事業について、市民6人が「ごみの量を実際よりも多く見積もり、違法に高額な契約になった」として市に事業費の返還を求めて16年に提訴。裁判は最高裁まで争われたが今年4月、市民側の上告が棄却され、市民側の敗訴が確定していた。

 下地市長は、この訴訟によって名誉を棄損されたとして異例の対応に踏み切った格好だ 。

 一連の騒動は全国紙にも取り上げられるほどの話題となり、宮古島市は不名誉な形で脚光を浴びることとなった。

「騒動を引き起こした張本人である下地市長は、その独断専行ぶりで毀誉褒貶の激しい人物として知られています。市政運営に強烈なリーダーシップを発揮する一方で、支持者以外からは反発も根強い。今回の問題以前にも、市政運営でのトラブルを引き起こして批判を浴びることもあったようです」(前出関係者)

 そのトラブルのひとつが、今年6月に開催予定だった「第1回宮古島国際文化交流フェスティバル2019」の“ドタキャン”騒動だ。

「このイベントの主催は実行委員会で、大会長は下地市長。計画では世界10カ国以上、国内では全都道府県から伝統文化・芸能を受け継ぐ団体を招き、総勢1万人規模のイベントにするとしていましたが、主催者側の『資金繰りの不調』などが原因で頓挫。大会直前の5月末に突如中止が発表され、市民に戸惑いが広がりました」(同)

 実は、このイベントをめぐる騒動には、意外な人物も絡んでいるという。

「イベントの広告塔的存在になっていたのが、先の参院選で立憲民主党から立候補して初当選を果たした、元格闘家の須藤元気氏です。主催者側と以前から知り合いだったことでイベントの資金集めに協力していたという話で、運営に深く携わってはいないようですが、出資者の一部には資金が戻っておらず、今後返金などをめぐってトラブルに発展する可能性もあります」(事情を知る関係者)

 中止になったイベントのために数億円単位の資金が集まったとされるが、「その使途についても不可解な部分が多い」(同)とも。

 今後の成り行き次第では、思わぬ余波が広がりそうだ。

”スラップ訴訟”の宮古島市長、イベントドタキャンで返金トラブル? 元格闘家議員も資金集めに協力……

 

 国内外からの旅行者が急増する沖縄・宮古島では近年、不動産価格が急騰し、ホテルの建設ラッシュが起きるなど、バブルの様相を呈している。そんな注目度が高まる「南国の島」が、揺れに揺れている。

「9月に市が『名誉を毀損された』として市民を相手に損害賠償訴訟を起こす議案を議会に出して、大騒ぎになったんです。市側が市民相手に訴訟を起こすなんて、前代未聞の話です。『権力者によるスラップ(恫喝)訴訟 』『民主主義を脅かす所業だ』などと批判を浴びたことで、今議会での議案提出は見送られましたが、火種はくすぶったまま。今後、議案が再提出される可能性も残されており、予断を許さない状況が続きそうな気配です」(地元マスコミ関係者)

 問題の議案提出を主導したのは、現市長の下地敏彦氏(73)。2014年度に市が市内の業者に発注したごみ撤去事業をめぐる住民訴訟が、そもそものコトの発端だ。この事業について、市民6人が「ごみの量を実際よりも多く見積もり、違法に高額な契約になった」として市に事業費の返還を求めて16年に提訴。裁判は最高裁まで争われたが今年4月、市民側の上告が棄却され、市民側の敗訴が確定していた。

 下地市長は、この訴訟によって名誉を棄損されたとして異例の対応に踏み切った格好だ 。

 一連の騒動は全国紙にも取り上げられるほどの話題となり、宮古島市は不名誉な形で脚光を浴びることとなった。

「騒動を引き起こした張本人である下地市長は、その独断専行ぶりで毀誉褒貶の激しい人物として知られています。市政運営に強烈なリーダーシップを発揮する一方で、支持者以外からは反発も根強い。今回の問題以前にも、市政運営でのトラブルを引き起こして批判を浴びることもあったようです」(前出関係者)

 そのトラブルのひとつが、今年6月に開催予定だった「第1回宮古島国際文化交流フェスティバル2019」の“ドタキャン”騒動だ。

「このイベントの主催は実行委員会で、大会長は下地市長。計画では世界10カ国以上、国内では全都道府県から伝統文化・芸能を受け継ぐ団体を招き、総勢1万人規模のイベントにするとしていましたが、主催者側の『資金繰りの不調』などが原因で頓挫。大会直前の5月末に突如中止が発表され、市民に戸惑いが広がりました」(同)

 実は、このイベントをめぐる騒動には、意外な人物も絡んでいるという。

「イベントの広告塔的存在になっていたのが、先の参院選で立憲民主党から立候補して初当選を果たした、元格闘家の須藤元気氏です。主催者側と以前から知り合いだったことでイベントの資金集めに協力していたという話で、運営に深く携わってはいないようですが、出資者の一部には資金が戻っておらず、今後返金などをめぐってトラブルに発展する可能性もあります」(事情を知る関係者)

 中止になったイベントのために数億円単位の資金が集まったとされるが、「その使途についても不可解な部分が多い」(同)とも。

 今後の成り行き次第では、思わぬ余波が広がりそうだ。

「人気女優が薬物逮捕」はガセ! 薬物疑惑浮上も捜査は空振りになった大物芸能人たち

「マトリが女優をパクッたらしい」。

 マスコミ関係者の間で、こんな不穏な情報が出回ったのは、9月下旬の週末のことだった。マトリとは、もちろん厚生労働省麻薬取締部のことである。

 元KAT-TUNの田口淳之介(33)と元女優・小嶺麗奈(39)を大麻取締法違反で、コカインを使用したとしてテクノユニット「電気グルーヴ」のピエール瀧(52)を麻薬取締法違反の容疑でそれぞれ逮捕したマトリが新たにターゲットにしたとされる「女優」の名前について、さまざまな臆測が乱れ飛んだ。

「当初、名前が挙がったのは一時、“お騒がせ女優”として世間に名を知られたS。『大麻の不法所持で関東信越厚生局麻薬取締部の家宅捜索を受けたらしい』との話が広まりました。しかし、その後で、モデル出身でキャスター経験もある女優Kが浮上。さらに、海外でも活躍するモデルで女優のMらにも疑いの目が向けられ、警察担当記者や芸能マスコミが色めき立ちました」(スポーツ紙記者)

 結局、この件は「ガセネタ」ということに落ち着き、真偽不明の捜査情報が大手メディアに報じられることはなかった。騒動の裏側で、一体何が起きていたのか?

「マトリが女性芸能人の誰かにガサを打ったのは間違いないようだ。ただ、違法薬物の痕跡が発見されることはなく、完全な“空振り”に終わった。どうやら、その情報が漏れて、今回の騒ぎにつながったようです」(民放の社会部記者)

 実は、マトリはこれまでにも、こうした数々の失敗をやらかしているという。

「一昨年には、プロ野球人気チームの監督の息子にコカイン使用容疑で家宅捜索が入ったものの失敗に終わり、年末にはやはりコカイン使用の疑いで有名音楽プロデューサーKのマンションへの強制捜査も行ったようだが、こちらも本人の逮捕につなげることはできなかった。ピエール瀧の逮捕でようやく面目を保ったが、現場は『これ以上は失敗できない』と焦りを募らせていたようです」(同)

 最近では薬物事犯に関して、裁判所も慎重な判断を下す傾向にあり、捜査手法について厳密な対応が求められるケースが多くなっている。さらに、ちまたで蔓延しつつあるコカインは1~2日程度で体内から排出されるため、より慎重な捜査が必要になるという。

「コカインにからむ事案で、過去に警察当局が誤認逮捕をやらかした経緯もあった」(先の民放記者)とされ、これらの背景事情も現場に影響を及ぼしているようだ。

メディアの空騒ぎの裏側で、知られざる攻防が繰り広げられていたというわけだ。

「人気女優が薬物逮捕」はガセ! 薬物疑惑浮上も捜査は空振りになった大物芸能人たち

「マトリが女優をパクッたらしい」。

 マスコミ関係者の間で、こんな不穏な情報が出回ったのは、9月下旬の週末のことだった。マトリとは、もちろん厚生労働省麻薬取締部のことである。

 元KAT-TUNの田口淳之介(33)と元女優・小嶺麗奈(39)を大麻取締法違反で、コカインを使用したとしてテクノユニット「電気グルーヴ」のピエール瀧(52)を麻薬取締法違反の容疑でそれぞれ逮捕したマトリが新たにターゲットにしたとされる「女優」の名前について、さまざまな臆測が乱れ飛んだ。

「当初、名前が挙がったのは一時、“お騒がせ女優”として世間に名を知られたS。『大麻の不法所持で関東信越厚生局麻薬取締部の家宅捜索を受けたらしい』との話が広まりました。しかし、その後で、モデル出身でキャスター経験もある女優Kが浮上。さらに、海外でも活躍するモデルで女優のMらにも疑いの目が向けられ、警察担当記者や芸能マスコミが色めき立ちました」(スポーツ紙記者)

 結局、この件は「ガセネタ」ということに落ち着き、真偽不明の捜査情報が大手メディアに報じられることはなかった。騒動の裏側で、一体何が起きていたのか?

「マトリが女性芸能人の誰かにガサを打ったのは間違いないようだ。ただ、違法薬物の痕跡が発見されることはなく、完全な“空振り”に終わった。どうやら、その情報が漏れて、今回の騒ぎにつながったようです」(民放の社会部記者)

 実は、マトリはこれまでにも、こうした数々の失敗をやらかしているという。

「一昨年には、プロ野球人気チームの監督の息子にコカイン使用容疑で家宅捜索が入ったものの失敗に終わり、年末にはやはりコカイン使用の疑いで有名音楽プロデューサーKのマンションへの強制捜査も行ったようだが、こちらも本人の逮捕につなげることはできなかった。ピエール瀧の逮捕でようやく面目を保ったが、現場は『これ以上は失敗できない』と焦りを募らせていたようです」(同)

 最近では薬物事犯に関して、裁判所も慎重な判断を下す傾向にあり、捜査手法について厳密な対応が求められるケースが多くなっている。さらに、ちまたで蔓延しつつあるコカインは1~2日程度で体内から排出されるため、より慎重な捜査が必要になるという。

「コカインにからむ事案で、過去に警察当局が誤認逮捕をやらかした経緯もあった」(先の民放記者)とされ、これらの背景事情も現場に影響を及ぼしているようだ。

メディアの空騒ぎの裏側で、知られざる攻防が繰り広げられていたというわけだ。

嵐が「天皇陛下即位祭典」に登場! 「愛子さまは嵐ファン」のウワサを皇室ウォッチャーが語る

 11月に行われる「天皇陛下の即位を祝う国民祭典」で、嵐が奉祝曲の歌唱を担当することになった。ジャニーズ事務所のグループが、皇室行事でパフォーマンスを披露するのは初めてのことだけに、国民からも注目を浴びているが、今回、皇室ウォッチャーX氏に、「嵐が選ばれた理由」に関する見解を聞いた。

――嵐が「天皇陛下の即位を祝う国民祭典」でパフォーマンス披露しますが、第一報を聞いた際、率直にどのように感じられましたか。

皇室ウォッチャーX氏(以下、X) 「いい人選だな」と思いましたよ(笑)。嵐と言えば、今やアイドルの枠を超えた国民的グループですし、老若男女から愛されている方々なので、今回の式典には適任なのではないでしょうか。天皇陛下も、嵐の存在はもちろんご存じでしょうし、2020年末で、嵐がグループ活動を休止するという“レア感”も相まって、日本中が注目する式典になると思います。

――嵐が選出された理由について、ご見解を教えてください。

X 先に触れた通り、「日本中で知られ、愛されている存在」ということが、一番の理由だと考えられます。これまでも、YOSHIKIやEXILE、三浦大知など、その時々で影響力の大きい知名度の高い方々が、陛下を祝う式典でパフォーマンスを披露していましたから。個人的に思ったのは、“嵐の5人は仲が良い”というイメージが定着しており、彼らが式典に出演することで、”日本国民の一体感”が増すという効果も、政府側は期待しているのではないでしょうか。

――一部週刊誌で、「愛子さまは嵐ファン」と報じられたことがあります。

X 愛子さまは、学習院のお友達としばしばカラオケに行かれ、その際、嵐の曲を歌われることがあるそうです。また、管弦楽部で嵐の「サクラ咲ケ」を披露されたこともありました。皇族と言えど、愛子さまは高校3年生であり、お友達とも嵐の話題で盛り上がることもあると聞いています。コンサートに行くことはなかなか難しいと思われますし、大ファンかどうかはわかりませんが、一般的な女子高生並みのご興味は、嵐に対して抱かれていると思いますよ。

――今回、嵐はグループの楽曲ではなく、この日のために作られた「奉祝曲」を披露する予定だそうですが、どのような曲なのでしょうか。

X 作曲は、東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」を手がけた作編曲家・菅野よう子さん、作詞は脚本家・岡田惠和さんが担当するといいます。なんでも、天皇陛下がライフワークとする「水問題」をテーマに、令和が始まったことの喜びや希望が感じ取れる楽曲になるそう。今上天皇にマッチしたものなので、期待が高まりますですね。

――「天皇陛下の即位を祝う国民祭典」での嵐のパフォーマンスで、特に見どころになりそうなところはどこだと思いますか。

X YOSHIKIや三浦大知はソロで曲を披露したこともあり、荘厳な雰囲気を感じられました。EXILEは逆に人数が多く、ダンスパフォーマンスが注目された印象でした。今回の嵐に関しては、“THEアイドル”として、5人がそろって歌い踊るという演出が予想されます。“5人の一体感”が強調されるステージになるであろう点が、見どころかなと思いますね。なお、両陛下も、愛子さまの影響で嵐をご存じとのこと。お二人も観客として、皇居前広場に集まった国民と一体になって、嵐のパフォーマンスを楽しまれることでしょう。

人気インスタグラマーが「パクリ疑惑」で謝罪! もし著作権侵害が認められたら……弁護士解説

9月下旬、人気インスタグラマー「KURUMI」のオリジナルブランド「krm」のアパレルアイテムについて、Twitter上で「パクリ疑惑」が浮上し、炎上騒動に発展した。これを受け、KURUMIと「krm」公式インスタグラムが謝罪を行ったが、一部ネットユーザーからは「別のインスタグラマーも同じようなことを起こしそう」などの声が噴出し、騒動はいまだ波紋を広げている。

 KURUMIは大学生だった2014年から、アクセサリーを自作し始め、ハンドメイドのアクセサリーブランドをスタート。16年には、女性ファッション誌「ViVi」(講談社)の公認インフルエンサーの「ViVigirl」となり、その後、17年には自身のアクセサリーブランド「krm」を設立、18年からはアパレルアイテムも展開していた。

 若者を中心に、“あこがれのインスタグラマー”として人気を集めていたものの、一方で、アクセサリーやアパレルアイテムのデザインが、他社ブランドのパクリではないか、また、韓国から買い付けてきた商品を「krm」のオリジナルアイテムとして販売しているのではないかと、かねてからウワサされていたのだ。

 それを指摘するツイートが、9月下旬に爆発的に拡散され、本人サイドが謝罪したという経緯だが、その中では「デザイナー、パタンナーの知識がないKURUMIに感性でデザインさせた事に問題があったと思っております」「雑誌やコレクションにのっているような類似の服を作るのは必然」などと、パクリ疑惑を暗に認めており、また買い付け商品に関する疑惑については、韓国仕入れアイテムを「オリジナルアイテムと宣伝しておりました」としている。今後、KURUMIはデザイナーではなく、クリエイティブディレクターとして活動することとなり、またオリジナルアイテムと韓国仕入れアイテムを混同させないよう、ブランド表記を異なるものにするという対応を取るそうだ。

 昨今、デザインの専門知識がないまま、ブランドを立ち上げる人気インスタグラマーが増える中、こうしたパクリ騒動は「今後も続くのではないか」と、一部ネット上で指摘されている。中には「同じような騒動が起こらないよう、盗作されたブランド側は、krmに法的措置を取ってほしい」などという声も出ているが、今回のケースは、どのような罪に問われる可能性があるのだろうか。弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞いた。

 Twitter上で拡散された、KURUMIの「パクリ疑惑」を指摘するツイートには、「krm」のベストとシャツの写真、またパクリ元とされる別ブランドのアイテムの写真がそれぞれ添えられていたが、ネットユーザーの間で「まったく同じ」「ちょっと真似したレベルではない」などと言われるほど、デザインが酷似している。山岸氏は、「krm」のアイテムに「著作権侵害」が認められるのであれば、著作権法第119条により、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれら2つの刑が同時に科される」可能性があるという。

「なお、この罪は、著作権を侵害された他社ブランドが、捜査機関に対し、親告(処罰を求める意思表示)を行うことで、初めて起訴されるものです。捜査機関は他社ブランドからの親告を受けて、捜査を開始したり、検察官において起訴したりします。また、これらの刑事手続とは別に、他社ブランドは、民事手続の一つである損害賠償請求を行うことが考えられます」

 では、著作権侵害の損害賠償“額”は、どれほどになるのだろうか。

「例えば、交通事故(物損事故)の場合、『故障した車のその時の価値』が『損害』となるのですが、『著作権』は、『侵害された権利』を金額に算定するのが難しいため、あらかじめ法律(著作権法第114条)に算定方法が規定されているんです」

 具体的に、デザインを盗用した側をA、盗用された側をBとすると、「A側が実際に販売した盗用アイテムの数」×「(もしAが盗用アイテムを販売していなかった場合)Bが販売できたはずのアイテムにより得られる利益(単位ごと)」が「損害」になるという。

「実際はもう少し複雑な計算になるのですが……Aが、盗用アイテムを100枚販売していた場合、Bは、盗用アイテムが世の中に出回っていなければ売れたはずのアイテム100枚について、1枚につき1,000円の利益が見込まれていたのであれば、100枚×1,000円=10万円が損害となります。また、A側が、どうやら『10万円の利益を得ている』といった場合には、Bはそれを『損害』として主張することもできます。このように、著作権を侵害された方が、裁判において主張・立証に困ることがないように、法律が手厚く保護しているんです」

 一方で、韓国から仕入れたものをオリジナルアイテムとして販売するのも、「同じく著作権侵害として、刑事罰に問われたり、損害賠償請求されることになります」と山岸氏。今後は、韓国から仕入れたものであることを、購入者にわかるようにしていくというが、「他社から購入したブランドを再販売すること自体は、問題がないようにも思える」とのこと。

「しかし、例えば、韓国のブランドが、日本でロゴなどの『商標権』を取得しているような場合、商品を包装し直す際にロゴを付け直したり、セット販売されている洋服などを小分けにして販売したりすると、今度は商標法違反の疑いも発生します。この場合も刑罰の対象となったり(10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれら2つの刑が同時に科される)、損害賠償請求されたりもします」

 山岸氏は近年、ソフトウェアやアプリの進化によって、「デザイン」という作業が簡単な時代となり、以前ほどブランド立ち上げまでに費用がかからなくなったという背景から、「脇の甘いブランドが増えた」と感じているそうだ。

「ブランドを世に出すのであれば、デザイン作業ももちろん大切ですが、あわせて『知的財産』という考え方をしっかり理解し、自分のデザインをガードする方法・手続きを学ばなければなりません。まずは専門家の意見を聞き、将来のリスクを把握・認識し、それを避けるための作業をしっかりと行っていくべき。一方で、他人のデザインを盗用していないかを吟味することも重要です」

 最後にブランドの運営サイドに対し、「“他人の足を踏んでいる(他人の著作権などを知らない間に勝手に使っている)”可能性を考えず、インスタグラマーなどが持ってきたデザインをロクに調査もせずブランド化すると、必ずあとからトラブルに巻き込まれます」と注意喚起をした山岸氏。これからも、人気インスタグラマーがデザインしたアイテムは次々と世に出るだろうが、大きな“事故”を起こさないよう、関係者も気を引き締めていくべきだろう。

人気インスタグラマーが「パクリ疑惑」で謝罪! もし著作権侵害が認められたら……弁護士解説

9月下旬、人気インスタグラマー「KURUMI」のオリジナルブランド「krm」のアパレルアイテムについて、Twitter上で「パクリ疑惑」が浮上し、炎上騒動に発展した。これを受け、KURUMIと「krm」公式インスタグラムが謝罪を行ったが、一部ネットユーザーからは「別のインスタグラマーも同じようなことを起こしそう」などの声が噴出し、騒動はいまだ波紋を広げている。

 KURUMIは大学生だった2014年から、アクセサリーを自作し始め、ハンドメイドのアクセサリーブランドをスタート。16年には、女性ファッション誌「ViVi」(講談社)の公認インフルエンサーの「ViVigirl」となり、その後、17年には自身のアクセサリーブランド「krm」を設立、18年からはアパレルアイテムも展開していた。

 若者を中心に、“あこがれのインスタグラマー”として人気を集めていたものの、一方で、アクセサリーやアパレルアイテムのデザインが、他社ブランドのパクリではないか、また、韓国から買い付けてきた商品を「krm」のオリジナルアイテムとして販売しているのではないかと、かねてからウワサされていたのだ。

 それを指摘するツイートが、9月下旬に爆発的に拡散され、本人サイドが謝罪したという経緯だが、その中では「デザイナー、パタンナーの知識がないKURUMIに感性でデザインさせた事に問題があったと思っております」「雑誌やコレクションにのっているような類似の服を作るのは必然」などと、パクリ疑惑を暗に認めており、また買い付け商品に関する疑惑については、韓国仕入れアイテムを「オリジナルアイテムと宣伝しておりました」としている。今後、KURUMIはデザイナーではなく、クリエイティブディレクターとして活動することとなり、またオリジナルアイテムと韓国仕入れアイテムを混同させないよう、ブランド表記を異なるものにするという対応を取るそうだ。

 昨今、デザインの専門知識がないまま、ブランドを立ち上げる人気インスタグラマーが増える中、こうしたパクリ騒動は「今後も続くのではないか」と、一部ネット上で指摘されている。中には「同じような騒動が起こらないよう、盗作されたブランド側は、krmに法的措置を取ってほしい」などという声も出ているが、今回のケースは、どのような罪に問われる可能性があるのだろうか。弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞いた。

 Twitter上で拡散された、KURUMIの「パクリ疑惑」を指摘するツイートには、「krm」のベストとシャツの写真、またパクリ元とされる別ブランドのアイテムの写真がそれぞれ添えられていたが、ネットユーザーの間で「まったく同じ」「ちょっと真似したレベルではない」などと言われるほど、デザインが酷似している。山岸氏は、「krm」のアイテムに「著作権侵害」が認められるのであれば、著作権法第119条により、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれら2つの刑が同時に科される」可能性があるという。

「なお、この罪は、著作権を侵害された他社ブランドが、捜査機関に対し、親告(処罰を求める意思表示)を行うことで、初めて起訴されるものです。捜査機関は他社ブランドからの親告を受けて、捜査を開始したり、検察官において起訴したりします。また、これらの刑事手続とは別に、他社ブランドは、民事手続の一つである損害賠償請求を行うことが考えられます」

 では、著作権侵害の損害賠償“額”は、どれほどになるのだろうか。

「例えば、交通事故(物損事故)の場合、『故障した車のその時の価値』が『損害』となるのですが、『著作権』は、『侵害された権利』を金額に算定するのが難しいため、あらかじめ法律(著作権法第114条)に算定方法が規定されているんです」

 具体的に、デザインを盗用した側をA、盗用された側をBとすると、「A側が実際に販売した盗用アイテムの数」×「(もしAが盗用アイテムを販売していなかった場合)Bが販売できたはずのアイテムにより得られる利益(単位ごと)」が「損害」になるという。

「実際はもう少し複雑な計算になるのですが……Aが、盗用アイテムを100枚販売していた場合、Bは、盗用アイテムが世の中に出回っていなければ売れたはずのアイテム100枚について、1枚につき1,000円の利益が見込まれていたのであれば、100枚×1,000円=10万円が損害となります。また、A側が、どうやら『10万円の利益を得ている』といった場合には、Bはそれを『損害』として主張することもできます。このように、著作権を侵害された方が、裁判において主張・立証に困ることがないように、法律が手厚く保護しているんです」

 一方で、韓国から仕入れたものをオリジナルアイテムとして販売するのも、「同じく著作権侵害として、刑事罰に問われたり、損害賠償請求されることになります」と山岸氏。今後は、韓国から仕入れたものであることを、購入者にわかるようにしていくというが、「他社から購入したブランドを再販売すること自体は、問題がないようにも思える」とのこと。

「しかし、例えば、韓国のブランドが、日本でロゴなどの『商標権』を取得しているような場合、商品を包装し直す際にロゴを付け直したり、セット販売されている洋服などを小分けにして販売したりすると、今度は商標法違反の疑いも発生します。この場合も刑罰の対象となったり(10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれら2つの刑が同時に科される)、損害賠償請求されたりもします」

 山岸氏は近年、ソフトウェアやアプリの進化によって、「デザイン」という作業が簡単な時代となり、以前ほどブランド立ち上げまでに費用がかからなくなったという背景から、「脇の甘いブランドが増えた」と感じているそうだ。

「ブランドを世に出すのであれば、デザイン作業ももちろん大切ですが、あわせて『知的財産』という考え方をしっかり理解し、自分のデザインをガードする方法・手続きを学ばなければなりません。まずは専門家の意見を聞き、将来のリスクを把握・認識し、それを避けるための作業をしっかりと行っていくべき。一方で、他人のデザインを盗用していないかを吟味することも重要です」

 最後にブランドの運営サイドに対し、「“他人の足を踏んでいる(他人の著作権などを知らない間に勝手に使っている)”可能性を考えず、インスタグラマーなどが持ってきたデザインをロクに調査もせずブランド化すると、必ずあとからトラブルに巻き込まれます」と注意喚起をした山岸氏。これからも、人気インスタグラマーがデザインしたアイテムは次々と世に出るだろうが、大きな“事故”を起こさないよう、関係者も気を引き締めていくべきだろう。

小泉進次郎環境相「セクシー発言」の真意は、”エロごみ”対策だった!?

「気候変動のような大きな問題には、楽しく、クールで、セクシーに取り組むべき」

 外交デビューとなったニューヨークでの国連気候行動サミットで、小泉進次郎環境相はこう言い放った。

 その後、日本の記者団に発言の真意を問われると、「説明すること自体がセクシーじゃない。やぼな説明はいらない」と、再び「セクシー」という言葉を用いて説明を拒否したが、 これに対して「言葉が軽い」「大臣としての仕事を放棄している」「責任逃れだ」といった批判が相次いでいる。

 しかし筆者は、独自取材によって、彼が「セクシー」という言葉を使って提起したかったに違いない環境問題を突き止めた!

 セクシーに取り組まなければならない環境問題が顕在化しているのは、中国地方の日本海沿岸部だ。島根県の漁師は言う。

「ここ数年、飲料水の缶のような円柱の物体が、大量に砂浜に漂着しているんです。一度、その正体を知らずに拾い上げてしまったことがありますが、中身はブニュブニュしたゼリー状の物質が詰まっている。よく見ると、表面に『TENGA』と書いてありました。もちろん使用済みなので、気持ちが悪い。韓国や中国といった近隣国からやってくるペットボトルやプラスチックごみなどの海洋ごみに混じって、砂浜に打ち上げられるんです」

 この漁師によると、今年は相次ぐ台風の影響もあり、際立って漂着ごみが多いという。ちまたで騒がれるようになったペットボトル、ポリ袋といった海洋プラスチックごみばかりでなく、ここ1~2年はオナホールの漂着が多くなっているという。

 ではなぜ、オナホが玄界灘を越えて日本にたどり着くのか? 現地の海岸清掃に携わるNPO関係者によると「漂着ごみは生活ごみも多いが、実はごみ収集に出すと支障が出る“モノ”が流れ着き、問題を起こしている」と明かす。

「例えば、韓国でノリ養殖の網を殺菌するために使う塩酸のポリタンクや、注射器といった医療廃棄物が代表例ですが、家族の血縁を重視する韓国や中国は、日本に比べ独居世帯が少ない。このため、使用済みのオナホは、家庭のごみ箱に入れて母親にでも見つかると、恥ずかしい。そこで、こっそり海に放り投げるというわけです」(同)

 ちなみに近年、TENGAに代表されるリアルな感触を実現したオナホールは、日本の周辺諸国でも人気となっており、それらのコピー商品も含め、オナホ市場は海外でも爆発的に成長しているとされる。特に中国では“男余り”が顕著になっていることも、オナホ需要に拍車をかけているとみられている。

 

「オナホはプカプカと水に浮くため、図らずも海流に乗りやすい。中にはユーザーの精液が入っている可能性があり、感染症の拡大といった医療廃棄物と同じリスクがある」(同)

 さらに、素材として合成樹脂がふんだんに使用されているオナホールは、製造と焼却廃棄の過程で温室効果ガスを大量に排出する。今後、オナホユーザーが増加の一途をたどれば、地球の気候変動に多大な影響が及びかねない。

 小泉氏は環境相として、この問題にいち早く着目していたのではないだろうか? そして、「男も女ももっとセクシーになって、オナホを捨ててリアルな恋愛をしようよ」と訴えたかったのではないだろうか?

(文=川田蘭丸)

余裕がない教員、精神疾患による休職は「年間5,000人」――キャリア教育の現状と学校の悲鳴

 2020年度からスタートする、小中高校生が学校生活の目標を設定して、どの程度を達成できたのかを自己評価するための「キャリア・パスポート」。法政大学 キャリアデザイン学部教授・児美川孝一郎氏の解説によると、児童生徒が、自らの学習や活動を振り返ることで成長を実感し自己肯定感を高めるものであり、教員は成績の評価につなげるのではなく指導の材料にするというのが、本来の狙いとのこと。しかし、「キャリア・パスポート」をいい方向に生かすには、各学校や教員の力量によるところが大きいそうだ。現在、教員の過重労働が社会問題化しているが、そんな中「キャリア・パスポート」を導入して、果たしてうまく機能するのだろうか。

(前編はこちら)

キャリア教育が「やりっぱなし」になる可能性も

――「キャリア・パスポート」が学校現場に導入される背景について教えてください。

児美川孝一郎氏(以下、児美川) いわゆる学校での「キャリア教育」ですが、02年に文部科学省内に「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議」が設置され、04年にその報告書「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てるために」が発表されました。それから15年ほどたち、学校では「職業調べ」「職場体験」「社会人講話」などが行われていますが、「やりっぱなし」という批判・反省があるのです。キャリア教育をやっても、結局「やりっぱなし」で、児童生徒の「日常」につながっていない、だから、児童生徒も、その内容をすぐに忘れてしまい、役に立っていない。また、小中高と学校間の連携が弱く、同じことを繰り返すなど継続的な指導にもなっていません。その点を工夫しようということで、「キャリア・パスポート」ができた……ということでしょう。理屈だけ見れば納得できなくはありません。しかし、そもそもなぜ「やりっぱなし」で「連携」ができていないのか、問題の原因が考えられていないようにも思います。

――「やりっぱなし」というのは、具体的にどういうことでしょうか。

児美川 例えば、多くの学校で実施されている職場体験。何のために行くのか、生徒に細かい事前指導をしないまま行かせてしまう。行った後にどういうことがわかったか、生徒の気付きを細かく引き出してあげることもない。「作文を書かせて終わり」という学校も少なくないようです。

 その理由は、「先生にそこまで余裕がない」から。生徒の希望する職場をマッチングして割り振って、かつ最低限の礼儀とマナーを教え込むだけで精いっぱい。しっかり指導する環境や条件ができてない。「キャリア・パスポート」にしても、その理屈は納得できても、条件を整えないまま実施してどう機能するのか……という懸念がありますね。

――20年度からの教育改革では小学5、6年生で英語が教科化され、プログラミング教育も導入されるなど教員の負担増が懸念されています。「キャリア・パスポート」も、ただでさえ余裕がない先生に、さらに余計な任務を負わせるだけなのではないか、とネット上で指摘されていました。

児美川 その通りです。教員の病気休職(精神疾患)が年間約5,000人。07年度以降、5,000人前後という高水準で推移しており、学校の忙しさを反映していると思われます。条件を整備しないで、上は「やれやれ」とどんどん言う、これは日本の教育の大きな課題です。スクラップアンドビルドではなくビルドアンドビルド、次から次へといろいろな課題が下りてくるんです。これでは、新たな取り組みをこなしきれないのも当然です。1クラスが今の半分の人数だったら、あるいは先生が持っている授業コマ数が今の3分の2であれば、もう少し余裕が出るでしょう。文科省はそうした条件を整備した上で新たな教育課題に取り組めるようにすべきだと感じます。

 現場の先生は形合わせだけはやらざるを得ません。となると、「キャリア・パスポート」は宿題にして書かせるでしょう。そうすると生徒は「やらされている」と感じる。それならやる意味がないですし、時間が取られる分やらない方がいいのではないかという気もしてしまいます。先生は少なくとも年に1回は、「キャリア・パスポート」を基に、児童生徒と対話をするなどしてほしいですが、それも難しいとなると、「キャリア・パスポート」の展望は明るくありません。「狙いは悪くないけど、現実にはね……」となる可能性が十分あります。

――現状のキャリア教育の問題点はありますか。

児美川 問題点の1つ目としては、キャリア教育が「ワークキャリア」に偏りすぎていることが挙げられます。働いている最中も「生活」はありますし、人生100年時代、仕事を引退したあとも長い時間があります。だからこそ「ライフキャリア」についても教える必要があるのではないでしょうか。

――確かに学校のキャリア教育は「何の仕事をしたいか?」ばかりにスポットが当たっている気がします。

児美川 夢追い主義、プランニング主義が強すぎるのも問題だと思っています。夢はあってもいいのですが、全員が夢を実現できるわけではありません。約85%の人は、「もともと考えていた仕事には就いていない」という調査結果もあります。「夢とは違う仕事だけど、やりだしたら面白くなった」という人だって、たくさんいますよね。「夢・目標に向かって、真っすぐ突き進んでいく」ということだけが、正しいわけではないですから。

 学校の先生というのは、「先生になる」と決めてなった人。だから、児童生徒たちに、夢を持つように指導しがちなのかもしれません。職場体験が実施される職業も小売・販売業か専門職が多く、企業社会の仕組みを学習する機会がないので、児童生徒たちも「将来の夢は?」と言われても困ってしまいます。最近「YouTuberになりたい小学生が増えている」などと言いますが、それは「世の中にどんな仕事があるのか、よくわかっていないから」「専門職しか知らないから」というのもあると思います。夢を専門職にしぼると選択肢を狭めることにもなってしまいます。

――確かに、「就職活動の段階」になって、初めて社会にはさまざまな業界・職種があることを知るというケースが多いですよね。ほかにも問題点はありますか?

児美川 キャリア教育が、イベント化していることです。職場体験などがそうですね。もっと児童生徒の「日常」に根ざした形でのキャリア教育をすべきだと感じていますし、たとえイベントだとしても、児童生徒がそこでの学びを内在化する時間を学校の日常において取る必要がある。

 本当にキャリア教育がうまく機能していれば、児童生徒の通常の教科に対するモチベーションも上がるはずなんです。社会の仕組みがわかることで、「毎日受けている授業は大切なんだ」と理解できるはずだからです。ただ、そこまでできている学校はありませんね。今のキャリア教育は、私から見ると歪んでいる。子どもの実情に合っているのか、その段階の発達課題に合っているのかちゃんと点検していなければ。それにはやはり教員に余裕がないと。

――子どもに自分の仕事の話をする保護者も、あまりいないのかもしれませんね。

児美川 そうですね。「世の中にはこんな仕事がある」「社会は誰が支えているのだろうか」といった会話は、もっと家庭のなかでされてもいいと思います。専門的に深める部分は学校で行うとしても、社会の仕組みに子どもが興味を持つようなアンテナづくりは、家庭で行うべき。そのアンテナがあれば、学校での職業調べや職場体験も、興味深く主体的に行うことができるでしょう。

 「キャリア・パスポート」も同様です。書いたものを先生が40人分、全てきっちり見て応答するのは、現状では無理があります。親が感想を言うくらいにすれば、もっと効果的に使えるでしょう。学校だけでなく家庭も地域も含め、社会全体で子どもを育てていく必要があると思います。

児美川孝一郎(こみかわ・こういちろう)
1963年生。東京大学教育学部卒、東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。法政大学文学部教育学科専任講師、助教授を経て、2003年よりキャリアデザイン学部助教授、教授(現職)。著書に『若者とアイデンティティ』(法政大学出版局)『権利としてのキャリア教育』(明石書店)『若者はなぜ「就職」できなくなったのか』(日本図書センター)『「親活」の非ススメ』(徳間書店)『キャリア教育のウソ』(ちくまプリマー新書)などがある。

「教育改革」で学校に新たな動き! 「目標達成主義」と批判渦巻く「キャリア・パスポート」を考える

 2020年度、戦後最大規模の「教育改革」により、「新学習指導要領」が導入され、「道徳の教科化」「英語教育の早期化」などが実施される。一体、教育はどう変わるのか――いま「教育現場」に世間の関心が集まっている状況だ。

 そんな中、新学習指導要領の実施を踏まえ、来年度から小中高校生を対象に、学校生活の目標を自ら設定して、どの程度を達成できたのかを評価するための「キャリア・パスポート」なるものが導入されることをご存じだろうか。この「キャリア・パスポート」とは、「小学校から高等学校を通じて、児童生徒にとっては、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、振り返ったりして、自己評価を行うとともに、主体的に学びに向かう力を育み、自己実現につなぐもの。教師にとっては、その記述をもとに対話的にかかわることによって、児童生徒の成長を促し、系統的な指導に資するもの」(文部科学省「『キャリア・パスポート』の様式例と指導上の留意事項」より)とのこと。

 子どもたちの成長をサポートするような画期的な制度だと見る向きがある一方、「自己評価制度って窮屈そう」「『人生は横道にそれてはいけない』という目標達成主義を強いられているようだ」といった批判の声も少なくない。果たして「キャリア・パスポート」は今の社会に合った教育なのだろうか――。今回、キャリア教育について詳しい、法政大学 キャリアデザイン学部教授・児美川孝一郎氏に聞いた。

「キャリア・パスポート」目的通りに使われれば悪くはない

――「キャリア・パスポート」が導入されると知った時の印象をお教えください。

児美川孝一郎氏(以下、児美川) これまでも、市町村教育委員会単位、あるいは個別の学校単位の取り組みとして、同様のことは行われていました。大学でも、学生に学習・行動履歴などを付けさせるポートフォリオを持たせて、就職活動に役立てるという試みはあります。こうした草の根で行われていたことを、文科省が政策化するのだという印象を受けました。新しい点としては、「キャリア・パスポート」と名付けたところと、記録が小・中・高と持ち上がるという点です。

 ちなみに高校では、大学入試に向けた「eポートフォリオ」というものを実施する学校も少なくありません。これは、1年時からの活動の記録をネット上に蓄積し、大学受験の調査書をつくるときに役立てるもの。全国の高校の4割以上が導入しているとも言われています。「キャリア・パスポート」は、それと混同されるのではないかとも思いました。

――「評価できる点」「問題があると感じる点」「今後課題になりそうな点」について、それぞれ教えてください。

児美川 現時点では、キャリア・パスポートは“ふんわり”したもので、学校によってどういう様式にするか、何を書かせるか、基本的には決められていません。決まっていることと言えば、「活動の記録を書く」「小中高を通じて行う」「生徒は自分を振り返る材料にし、先生は生徒を指導する資料にする」ということくらい。様式や内容が「自由」というと学校現場が困るので、「例示資料」として様式の例が文科省ホームページにアップされてはいますが。

 学校によって使い方は任されているということを前提とすると、一義的にいい点悪い点、課題は言いにくいですね……。自分の学習や活動を振り返るという目的通りに使われれば、児童生徒自身が「自分はこれだけ成長できたんだな」と実感できて、自己肯定感を高めることになるので悪いことではないですし、先生がそれを見て「成長したね。今後はこういう点を新たな目標にしたらいいんじゃないか」などと対話的に関われるようであれば、うまくいくと思います。

――「キャリア・パスポート」の望ましくない使い方はありますか。

児美川 懸念されるのは「評価の材料」に使われることです。学校が無理に目標を立てさせて到達したかどうかを測るようになると、生徒はがんじがらめになりますし、知恵がついた子は「達成できそうなこと」しか書かないようになる。それでは本来の目的を損ねるものになる可能性もあります。うまくいくかどうかは各教育委員会の度量次第。各校一斉に同じことをさせるのではなく、ある程度学校に任せて、そこに即した無理のないやり方を編み出してもらえればいいように思います。また、子どもたちに「何のために書くのか」を理解してもらわないと、単なるやらされ仕事になってしまいます。

――確かに、「面倒なことをやらされている」と感じる児童生徒もいそうだな……とは思ってしまいます。

児美川 学習や活動を通して、何を感じたのかを振り返り、記録することは悪いことではありませんが、児童生徒がやらされて書いたのでは、効果的ではない。「これは意味がある」とわかるように、素直な小学校低学年のうちに、「キャリア・パスポート」の面白さを感じてくれるような指導をすれば、その後もスムーズに行くかもしれないですね……。時間はかかりますが。

――ちなみに、「自己評価制度、長期的なプランニングの窮屈さ」「子どもたちから自由さを奪うのでは」といった批判、疑問の声がありますが、どう思いますか。

児美川 まだ実施されていないですし、前述したように“ふんわり”したことしか決められていないので、誤解している人も多いのだと思います。企業の人事管理と同じように考えて、目標管理と成績が連動するとしたら、それはみんな嫌に決まっています。最も誤解を受けがちなのは「評価」という言葉ですが、あくまで生徒の自己評価であり、先生は評価するのではなく指導の材料にするだけ。エバリュエーション(evaluation)ではなくアセスメント(assessment)。その子の状態を探って支援、指導に生かすと考えればいいでしょう。

――自己評価をするにしても、「目標から外れてしまうといけない」という見方があると問題だと思います。

児美川 そういう使い方が継続的に行われれば確かに窮屈ですし、計画した通りにしか動けないプランニング型の思考しかできなくなってしまいます。やはり、いい方向に生かせるかどうかは学校および教員の力量によるとも言えます。

(後編につづく)

児美川孝一郎(こみかわ・こういちろう)
1963年生。東京大学教育学部卒、東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。法政大学文学部教育学科専任講師、助教授を経て、2003年よりキャリアデザイン学部助教授、教授(現職)。著書に『若者とアイデンティティ』(法政大学出版局)『権利としてのキャリア教育』(明石書店)『若者はなぜ「就職」できなくなったのか』(日本図書センター)『「親活」の非ススメ』(徳間書店)『キャリア教育のウソ』(ちくまプリマー新書)などがある。