休校延長、地方小学校教師が「全国一律で休校継続を」と悲鳴――東京都などGW明けまで延長、現場の声

 新型コロナウイルスの感染拡大により、小中高校の休校をめぐる混乱が続いている。一時は文部科学省が春休み後の学校再開の方針を示したものの、東京都など都市部での感染拡大を受けて、各自治体の対応が変わってきているのだ。

 東京都では、全国に先んじて4月からの再開予定を見直し、5月のゴールデンウィーク明けまで休校を延長する方向で調整を進めている。対象となるのは、都立高校や中高一貫校、特別支援学校の253校だが、小中学校もこれにならうと見られている。

 また、萩生田光一文部科学相は3月31日に行った会見で、「新学期においても、一定地域での臨時休校を実施する可能性も視野に入れておく必要がある」として、各自治体の判断で、休校の延長が実施される可能性があることを示唆した。

 しかし、新年度を迎え、まもなく新学期が始まろうというタイミングでも、休校延長か、再開させるのか、その方針が定まっていない自治体は多く、教育現場では混乱が続いているようだ。

「教育機関、特に小中学校において、4月は1年の中で最も大切な時期です。多くの学校では毎年クラス替えが行われ、担任教師は児童生徒のキャラクターを把握し、受け持つクラスをどう運営していくか方針を固めていきます。また、新任教師や、異動してきた教師ともコミュニケーションを取って、学校行事での役割分担を決めたりと、とにかく仕事が多いんです。再開のめどが立たないと、そのスケジュールも立てられません。また、 休校が長引くことで生活のサイクルが乱れて児童生徒のメンタルが 不安定になることが懸念されています」(都内の中学校教師)

 メンタルが不安定になると、まず問題になるのが人間関係。スマホを持ち、コミュニケーションアプリ「LINE」で友達とやり取りしている児童生徒は多いが、トラブルも多発するのではないかと懸念されている。また、さまざまなネット犯罪の被害に遭うきっかけになるのではないかという見方もあるのだ。

 とりわけ休校の延長による影響が懸念されているのは、小学校だ。

「近頃の新入生には、かつて家庭で教えられてきたようなことがわからないまま入学してくる児童が多い。例えば、列に並ぶことができない、右左がわからない。また、給食時の三角食べにはじまって、食事のマナーや鉛筆の持ち方なども、まったく理解できていないことは当たり前なんです。新1年生を受け持つ教師の最初の仕事は、ゴールデンウィーク前に、そうした最低限のことを身につけさせること。そこから1年計画で教育をしていくわけですが、休校が長引くほどその計画が破綻していきますから、教師たちは混乱してしまいますよね」(都内の小学校教師)

 休校措置に伴う対応として、夏休みの短縮が検討されているが、ほぼ1カ月登校日が遅れることによる混乱は、1年は続くと見られている。現在、多くの小中学校では隔週週休2日制が取られているため、かつてに比べると、年間授業時数と運動会や学園祭、遠足などの学校行事の配分に余裕がないのだ。また、単純に夏休みを短縮した場合、まだ体が出来上がっていない小学生の中には、十分に体調管理ができず、授業中に熱中症などで体調を崩してしまう児童が出てくる可能性も考えられ、さらなる混乱を招くのではないかとも考えられる。

 ただ、感染者数増加により、現時点で休校の延長を決めている東京都など都市部の学校はまだいいほうだろう。感染者の少ない地方では、4月からの学校再開を認めている自治体も多い。

「地域によって方針は違うようですが、うちの学校の場合は、感染した児童が一人なら学級閉鎖。二人以上なら休校。教職員が感染した場合は、協議する予定です。入学式直後に休校なんてなったら、我々だけでなく保護者も大混乱してしまいますから、ある程度落ち着くまでは、全国一律で休校を継続してほしいです」(西日本の小学校教師)

 突如として実施された全国規模の休校措置。しかし、都内でも多くの中高生が街に繰り出している事例が見られ、余計に感染を拡大させているのではないかという疑念もあり、感染拡大の防止に効果があるのかは疑問視されている。

 大規模な外出禁止が実施されている中国では、急遽政府がオンラインでの学習システムを導入するなどの対応を見せている。日本でも早急に在宅学習システムを整えつつ、休校延期の措置を取るのが理想的だが、いまだ「自粛要請」しかアナウンスされない中では、そのレベルの施策なんて、どだい無理な話か……。

付録ナシで雑誌を値下げ、発売日は遅延……新型コロナで打撃も「出版社にはプラス」!? 業界関係者が語る

「もしかしたら、自分の本も発売日が後ろにずれるかもしれません……」

 3月末に著書を出版予定の知人の作家からそんな話を聞いたのは、2月中旬のこと(結局間に合ったので一安心だが)。それから1カ月あまり、新型コロナウイルス感染症の拡大は、出版業界にも徐々に影響を及ぼし始めている。なにしろ出版社のメインコンテンツは、雑誌や書籍などの印刷物。このまま感染が拡大すれば、工場の作業員にも自宅待機が命じられ、印刷もままならなくなるのではないかという懸念が生じる。ある出版社の社員は語る。

「先日、立ち会いで某大手印刷工場に出向いたところ、工場内はマスク着用が原則でした。内勤者は在宅勤務もできる準備を進めているようですが、印刷工場はそうもいかず、マスクの着用でしのいでいるそうです。もしも感染者が出てしまえば、工場内の消毒作業などで数日間生産は停止。濃厚接触者は自宅待機となり、通常通りの稼働が困難になるのは簡単に想像がつきますから、手洗いやうがいを徹底した上で、あとは感染者が出ないことを祈りつつ、雑誌や書籍の印刷を続けているようです」

 すでに目に見える形で起こっている出版業界への打撃としては、雑誌の付録が挙げられる。付録のほとんどは中国の工場で製造しているため、感染症拡大の影響をダイレクトに受けているのだ。小学館が発行するライフスタイル誌「サライ」では、4月号で予定していた「帆布肩掛けバッグ」を付録につけられず、当該号980円(税込)の価格を780円(税込)に値下げ。集英社の女性向けファッション誌「Marisol」も、4月号で予定していたランチバッグとポーチの付録が、生産の都合で5月号に延期され、980円(税込)から880円(税込)に値下げして発売された。ほかにも、発売日を遅らせるなど、対応に追われる雑誌が続出している。

「大きな損害が出ている実感はありませんが、売り上げが減るのは確実。特に女性向けを中心に、豪華な付録のおかげで売り上げを確保している雑誌は多いんです。価格を下げたからといって、付録なしで売れるとは思えません。それに加えて、コロナのせいで、いよいよ今の出版業界の仕組みも崩壊するんじゃないかと戦々恐々としていますよ」(大手出版社の編集者)

新型コロナが、出版業界の「流通」の仕組みを変える!?

 崩壊を予期させる背景には、出版業界独自の流通システムが関係しているという。

「出版業界では、休配日を除いて月~土曜日まで毎日、書店に雑誌と書籍が配送されます。このシステムはもともと、雑誌が毎日のように発売されていた時代に構築されたものなのですが、出版不況により雑誌の休刊が相次ぎ、発行部数が減った現在では、何度もシステムの見直しが議論されているんです。『土曜休配日の増加』や『出版社が輸送経費をもっと負担するべき』という意見が出ているものの、結論はいまだ出ていません。コロナの影響で、付録がつけられず休刊に至る雑誌が相次げば、否応なしに流通システムに抜本的な見直しが行われるでしょうし、その結果、流通経費が増え、本の価格が上昇。業界全体が落ち込む暗い未来も考えられます」(同)

 そんな暗いニュースが飛び交う中で活況を呈しているのが、全国の小中高と特別支援学校の臨時休校を受け、出版社が無料公開し始めた電子書籍だ。学習マンガを取り扱っているKADOKAWAや小学館をはじめ、マンガを扱う出版社は次々と電子書籍を無料で提供している。とはいえ、タダで読ませてしまっては、利益につながらないと思うのだが……。

「もちろん、売り上げにはつながりません。ポイントは、“どこまで無料で読ませるか”でしょう。例えば集英社では、『ONE PIECE』を60巻まで無料で公開しています。『ONE PIECE』の最新刊は95巻。60巻まで読んだら続きを読みたくなるだろうし、無料公開後に、あらためてコミックを購入する人も出てくるでしょう。電子書籍販売サイトでよく実施されている、新規読者獲得のための“期間限定無料公開”と同じ仕組みです」(マンガ編集者)

 新型コロナウイルスの影響で、付録つき雑誌の売り上げ減が懸念され、流通システムの見直しによる出版社への大打撃まで予想される半面、「本を読む人」は増えているのかもしれない。学校が一斉休校になったことで、子ども向けの学習書の売り上げは好調。都内大手書店の店員によると、「これまでになく書店に立ち寄る人が増えている」という。

 その背景には、多くの娯楽施設が閉鎖し、在宅勤務が推奨されていることがあるようだ。これまでの出版不況の原因は、ネットの普及による本離れではないかと考えられてきた。しかし、実際には本を読む暇な時間を十分に確保できる人がいなかったということなのか……。筆者もここ2週間ばかりは対面で取材する機会が減り、電話取材が増えた。結果、確かに仕事場や自宅で本を読む時間は増えている。

 一部では「むしろ業績が回復するのでは」との声も上がっているようだ。新型コロナウイルスは出版業界にマイナスの側面のみをもたらしているわけではなさそうだ。
(昼間たかし)

安倍首相、東京オリンピック「延期容認」表明――いま振り返る「大会ボランティアと就活」問題

 世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大する中、安倍晋三首相が3月23日、国際オリンピック委員会(IOC)の意向によって、今夏開催予定である東京オリンピック・パラリンピックの延期を容認する考えを示した。この発言を受け、ネット上は「致し方なし」「延期が望ましいと思う」といった反応が出ており、最終的にどのような決着が着くのか、世界中が固唾をのんで見守っている。

 東京五輪に関しては、以前からさまざまな問題があると指摘されてきた。その一つが、ボランティア問題だ。「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」(以下、組織委)が募集要項を公開すると、ボランティアへの負担が大きすぎると物議を呼び、「ブラックボランティア」と批判の嵐に。しかしその一方で、組織委が特にボランティアに「大学生」を有望視しているとみられることから、「就職活動に有利なのでは?」といった言説も飛び交うようになったのだ。

 そんな状況を受け、サイゾーウーマンでは、五輪ボランティアをめぐるウワサの真偽に迫る記事を掲載。就活・ブラック企業事情に詳しいノンフィクションライター・恵比須半蔵氏が、ずばり「就活に有利とはならない」と考察したこの問題を、五輪開催の行方に注目が集まる中、いま一度掲載する。

(編集部)


(初出:2018年9月15日)

東京五輪ボランティア経験は「ブラック企業のいいカモ」に? 「就活に有利」のウソに迫る

 「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」(以下、組織委)が9月12日、大会ボランティアの募集を9月26日13時からスタートすることを発表した。「会場内等で観客や大会関係者の案内」「競技会場や練習会場内で競技運営等のサポート」などの活動を予定しており、募集人数は8万人。また東京都も、観客の交通案内を行う都市ボランティアを、同日同時刻より3万人募集するそうだ。

 東京五輪の大会ボランティアといえば、その募集要項が公開されるや否や、「ブラックボランティア」「やりがい搾取」と大炎上。「大会期間中及び大会期間前後において、10日以上の活動を基本」「休憩・待機時間を含み、1日8時間程度活動」「事前のオリエンテーションや研修に合計2回参加」「交通費及び宿泊は、自己負担・自己手配」というボランティアへの負担がかなり大きい内容で、しかも当然のことながら「無償」とあって、ネット上では「誰がこんな過酷なボランティアをしようと思うんだ」「人が集まらないのでは?」と声が飛び交っている。

 組織委は、大会ボランティアの担い手として、主に大学生を有望視しているようで、組織委はボランティアの募集開始前までに、全国の大学を回って、「ボランティア募集説明会」を開催。また、7月には、文部科学省とスポーツ庁が、全国の大学と高等専門学校に対し、大会期間中の授業や試験の日程を柔軟に変更するよう求める通知を出している。そんな中でよく言われているのが、「東京五輪オリンピックは就職活動に有利になる」といった言説だ。確かに、大会ボランティアの経験は人生で何度も経験できるものではなく、また大学生の中には「少しでも有利に働くのであればやってみたい」と思う者もいるのではないだろうか。果たして、このウワサは本当なのか? 今回、『あらゆる就職情報は操作されている』(扶桑社)の著者であり、就活・ブラック企業事情に詳しいノンフィクションライター・恵比須半蔵氏が、ウワサの真偽ほか、逆に大会ボランティアが就活の妨げになる可能性、はたまた大会ボランティアが“ブラック化”した背景を明かす。

Q.「就職活動に有利となる」のは本当なのか?
A.残念ながら、東京五輪にボランティアとして参加した経験は就活で有利に働きません。

 東京五輪のボランティア活動を前面に押し出した就活は失敗する可能性が高いです。大手メーカーの採用担当者からこのような話を聞きました。「有利? いやいやそんなことはありえません。災害ボランティアならともかく、東京2020ではねえ……。お祭り気分に浸りたいだけの自己満足、青春の思い出づくりとしか思えません。それを嬉々として語られてもしらけますよ」。ほかにも、ため息まじりの似たような本音を複数耳にします。しかし採用の現場が嘆くのも無理はありません。

 彼らはエントリーシートや面接でのよくあるエピソード「自分が成長した話」に辟易しているのです。それは例えば、「バイトでリーダーとなり、いろいろなトラブルもあったが、最終的にほかのバイトたちをまとめ、それで自分は人間的に成長することできた」というものです。「苦難・解決・成長」という紋切り型のこのパターンは、ある就活予備校が有効な自己PRとして受講者に勧め、テンプレート化され拡散したものです。ちなみに、なぜか居酒屋のバイト体験談が圧倒的に多いのですが、それはサークルやゼミでの活動等にも応用できます。――そしてもちろん東京五輪でのボランティアでも使えます。「最初は現場が混乱していたが、仲間どうし手を取り合って頑張り、外国人観光客の役に立つことができ、その体験で自分は成長できました」。こんな感じでしょうか。担当者の神経を逆なですることは確実です。もしAI採用を導入する企業が出てきたら「東京五輪 ボランティア活動」という単語のあるエントリーシートは、不採用のフラグとともに弾かれるかもしれません。残念ながら、就活で有利に働くことはありません。

 採用担当者のなかには真逆の声もあります。「東京2020のボランティアを自慢げに口にする学生? そりゃ喜んで採用しますよ。安易にブームに押し流される、簡単にメディアの影響を受けて行動する学生は、会社の言うことも疑いもせず聞き入れます。言い方は悪いが、使い捨ての“兵隊”として最高ですから(笑)」(大手金融)。扱いやすい“素直”すぎる学生はブラック企業からは引く手あまたなのです。従順な学生を入れ食いできる「ボランティア経験者採用枠」ができる可能性さえあります。一般企業からは拒絶され、ブラック企業からは諸手をあげて歓迎される。きわめてリスクの高い就活戦術だと言わざるを得ません。

 余談ですが、経団連の中西宏明会長が、2021年度入社から「就活ルール」を廃止すると述べたことにより、東京五輪のボランティア活動と就活がぶつかるのではないかと危惧する学生もいるでしょう。しかし現行の採用選考スケジュールを完全遵守している企業はありませんので、気にする必要はありません。採用意欲の強い企業はさまざまな手段で、ほしい人材に接触してきます。

Q.なぜ「ブラックボランティア」と言われるのか?
A.東京五輪ボランティアをめぐるゴタゴタ、その元凶は“おもてなし”にあります。

 東京五輪ボランティアへさまざまな不平不満が続出していますが、突きつめると1つの疑問に要約できます。「なぜ11万人もの無償ボランティアありきのオリンピック運営なのか?」。

 不満や疑問を持つ人たちを、さらにいらだたせるのは、ボランティアは無償なのに、参加を呼びかけるウェブサイトやイベントには潤沢に予算が使われているということです。あきらかに矛盾しています。なぜこんな状況になっているのでしょうか?

 ボランティアが無償ではなくてならない最大の理由、それはズバリ“おもてなし”。言うまでもなく東京に誘致したときのIOCへのプレゼンコンセプトです。“おもてなし”は、善意からなる心づくしの歓迎という意味ですから、外国人観光客を迎えるボランティアたちがお金で働いているではマズいのです。しかしこの混乱している状況下で、湯水のように予算を使う組織委、東京都、さらに受注側の広告代理店は倫理が欠如しているとしかいいようがありません。

 ただし「やりがい搾取」という表現は適切ではありません。「ボランティアをやりたいのに、研修とかめどくさそう。それにお金がもらえないなんてひどい!」というのは、甘えた考え、単なるわがままです。事前に条件が開示されているのですから、嫌ならやらなければいいだけのことです。

 東京五輪ボランティアに関しては上述した通りです。その他のボランティア活動の経験エピソードが採用選考ではねられないようにするためには、「苦難・解決・成長」パターンではなく、まったく別の切り口、オリジナリティが必要です。その自信がなければ自己PRのメインに据えないのが賢明です。

 空前の売り手市場、そして少子化のなか、優秀な学生を採用したい企業はみな頭を悩ませています。就職氷河期では学生のマイナス面を探し出して不採用にした企業も、いまはプラスの部分を見つけて採用しようとしています。ただしSNSで情報が共有されていることの弊害をどの採用担当者もそろって口にします。自己アピール、志望動機が全て同じに見えると。そのような学生でもいいと考えるのは、すぐに辞めることを前提にしているブラック企業くらいです。

 つながりを求め、あるいは承認欲求のために、もはや無くてはならないSNS。災害時のライフラインになるという側面はありますが、手にする情報が均一化する欠点も指摘されています。自分のなかに確たるフィルターを設け、情報の取捨選択を常に行い、同じ情報を目にしても、カスタマイズして自分の言葉で口にすることができる。企業が求めるのは、そのようなタイプの人材です。

Q.大学生の東京五輪ボランティアに思うこと
A.ボランティア活動が授業の単位になる大学があります。しかしその実情は……。

 NHKが東京五輪のボランティア活動について都内の国公私立138の大学にアンケートを取り、86%に当たる119校から回答を得ました。結果は「学生の自主性に任せる」が50校、「積極的に参加してほしい」は48校で均衡しています。しかし参加してほしいと答えた大学のなかにはスペックの低い学校が多いのが実情です。

 五輪ボランティアを授業の単位とする大学もありますが、少子化に拍車がかかるなか、お金を払えば誰でも入学できるというマイナス評価が下されているところがほとんどです。存続が危うい大学が、生き残りを賭け「当校の学生のなんと○パーセントが東京五輪をボランティアとして支えました!」と謳い、入学希望者を集めようと考えているからです。逆に偏差値の高い大学の学生は、自分の頭を使って考え、国や東京都に踊らされるようなボランティア参加を疑問視しています。企業がどちらの学生に来てほしいのか、考えるまでもありません。

安倍首相、東京オリンピック「延期容認」表明――いま振り返る「大会ボランティアと就活」問題

 世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大する中、安倍晋三首相が3月23日、国際オリンピック委員会(IOC)の意向によって、今夏開催予定である東京オリンピック・パラリンピックの延期を容認する考えを示した。この発言を受け、ネット上は「致し方なし」「延期が望ましいと思う」といった反応が出ており、最終的にどのような決着が着くのか、世界中が固唾をのんで見守っている。

 東京五輪に関しては、以前からさまざまな問題があると指摘されてきた。その一つが、ボランティア問題だ。「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」(以下、組織委)が募集要項を公開すると、ボランティアへの負担が大きすぎると物議を呼び、「ブラックボランティア」と批判の嵐に。しかしその一方で、組織委が特にボランティアに「大学生」を有望視しているとみられることから、「就職活動に有利なのでは?」といった言説も飛び交うようになったのだ。

 そんな状況を受け、サイゾーウーマンでは、五輪ボランティアをめぐるウワサの真偽に迫る記事を掲載。就活・ブラック企業事情に詳しいノンフィクションライター・恵比須半蔵氏が、ずばり「就活に有利とはならない」と考察したこの問題を、五輪開催の行方に注目が集まる中、いま一度掲載する。

(編集部)


(初出:2018年9月15日)

東京五輪ボランティア経験は「ブラック企業のいいカモ」に? 「就活に有利」のウソに迫る

 「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」(以下、組織委)が9月12日、大会ボランティアの募集を9月26日13時からスタートすることを発表した。「会場内等で観客や大会関係者の案内」「競技会場や練習会場内で競技運営等のサポート」などの活動を予定しており、募集人数は8万人。また東京都も、観客の交通案内を行う都市ボランティアを、同日同時刻より3万人募集するそうだ。

 東京五輪の大会ボランティアといえば、その募集要項が公開されるや否や、「ブラックボランティア」「やりがい搾取」と大炎上。「大会期間中及び大会期間前後において、10日以上の活動を基本」「休憩・待機時間を含み、1日8時間程度活動」「事前のオリエンテーションや研修に合計2回参加」「交通費及び宿泊は、自己負担・自己手配」というボランティアへの負担がかなり大きい内容で、しかも当然のことながら「無償」とあって、ネット上では「誰がこんな過酷なボランティアをしようと思うんだ」「人が集まらないのでは?」と声が飛び交っている。

 組織委は、大会ボランティアの担い手として、主に大学生を有望視しているようで、組織委はボランティアの募集開始前までに、全国の大学を回って、「ボランティア募集説明会」を開催。また、7月には、文部科学省とスポーツ庁が、全国の大学と高等専門学校に対し、大会期間中の授業や試験の日程を柔軟に変更するよう求める通知を出している。そんな中でよく言われているのが、「東京五輪オリンピックは就職活動に有利になる」といった言説だ。確かに、大会ボランティアの経験は人生で何度も経験できるものではなく、また大学生の中には「少しでも有利に働くのであればやってみたい」と思う者もいるのではないだろうか。果たして、このウワサは本当なのか? 今回、『あらゆる就職情報は操作されている』(扶桑社)の著者であり、就活・ブラック企業事情に詳しいノンフィクションライター・恵比須半蔵氏が、ウワサの真偽ほか、逆に大会ボランティアが就活の妨げになる可能性、はたまた大会ボランティアが“ブラック化”した背景を明かす。

Q.「就職活動に有利となる」のは本当なのか?
A.残念ながら、東京五輪にボランティアとして参加した経験は就活で有利に働きません。

 東京五輪のボランティア活動を前面に押し出した就活は失敗する可能性が高いです。大手メーカーの採用担当者からこのような話を聞きました。「有利? いやいやそんなことはありえません。災害ボランティアならともかく、東京2020ではねえ……。お祭り気分に浸りたいだけの自己満足、青春の思い出づくりとしか思えません。それを嬉々として語られてもしらけますよ」。ほかにも、ため息まじりの似たような本音を複数耳にします。しかし採用の現場が嘆くのも無理はありません。

 彼らはエントリーシートや面接でのよくあるエピソード「自分が成長した話」に辟易しているのです。それは例えば、「バイトでリーダーとなり、いろいろなトラブルもあったが、最終的にほかのバイトたちをまとめ、それで自分は人間的に成長することできた」というものです。「苦難・解決・成長」という紋切り型のこのパターンは、ある就活予備校が有効な自己PRとして受講者に勧め、テンプレート化され拡散したものです。ちなみに、なぜか居酒屋のバイト体験談が圧倒的に多いのですが、それはサークルやゼミでの活動等にも応用できます。――そしてもちろん東京五輪でのボランティアでも使えます。「最初は現場が混乱していたが、仲間どうし手を取り合って頑張り、外国人観光客の役に立つことができ、その体験で自分は成長できました」。こんな感じでしょうか。担当者の神経を逆なですることは確実です。もしAI採用を導入する企業が出てきたら「東京五輪 ボランティア活動」という単語のあるエントリーシートは、不採用のフラグとともに弾かれるかもしれません。残念ながら、就活で有利に働くことはありません。

 採用担当者のなかには真逆の声もあります。「東京2020のボランティアを自慢げに口にする学生? そりゃ喜んで採用しますよ。安易にブームに押し流される、簡単にメディアの影響を受けて行動する学生は、会社の言うことも疑いもせず聞き入れます。言い方は悪いが、使い捨ての“兵隊”として最高ですから(笑)」(大手金融)。扱いやすい“素直”すぎる学生はブラック企業からは引く手あまたなのです。従順な学生を入れ食いできる「ボランティア経験者採用枠」ができる可能性さえあります。一般企業からは拒絶され、ブラック企業からは諸手をあげて歓迎される。きわめてリスクの高い就活戦術だと言わざるを得ません。

 余談ですが、経団連の中西宏明会長が、2021年度入社から「就活ルール」を廃止すると述べたことにより、東京五輪のボランティア活動と就活がぶつかるのではないかと危惧する学生もいるでしょう。しかし現行の採用選考スケジュールを完全遵守している企業はありませんので、気にする必要はありません。採用意欲の強い企業はさまざまな手段で、ほしい人材に接触してきます。

Q.なぜ「ブラックボランティア」と言われるのか?
A.東京五輪ボランティアをめぐるゴタゴタ、その元凶は“おもてなし”にあります。

 東京五輪ボランティアへさまざまな不平不満が続出していますが、突きつめると1つの疑問に要約できます。「なぜ11万人もの無償ボランティアありきのオリンピック運営なのか?」。

 不満や疑問を持つ人たちを、さらにいらだたせるのは、ボランティアは無償なのに、参加を呼びかけるウェブサイトやイベントには潤沢に予算が使われているということです。あきらかに矛盾しています。なぜこんな状況になっているのでしょうか?

 ボランティアが無償ではなくてならない最大の理由、それはズバリ“おもてなし”。言うまでもなく東京に誘致したときのIOCへのプレゼンコンセプトです。“おもてなし”は、善意からなる心づくしの歓迎という意味ですから、外国人観光客を迎えるボランティアたちがお金で働いているではマズいのです。しかしこの混乱している状況下で、湯水のように予算を使う組織委、東京都、さらに受注側の広告代理店は倫理が欠如しているとしかいいようがありません。

 ただし「やりがい搾取」という表現は適切ではありません。「ボランティアをやりたいのに、研修とかめどくさそう。それにお金がもらえないなんてひどい!」というのは、甘えた考え、単なるわがままです。事前に条件が開示されているのですから、嫌ならやらなければいいだけのことです。

 東京五輪ボランティアに関しては上述した通りです。その他のボランティア活動の経験エピソードが採用選考ではねられないようにするためには、「苦難・解決・成長」パターンではなく、まったく別の切り口、オリジナリティが必要です。その自信がなければ自己PRのメインに据えないのが賢明です。

 空前の売り手市場、そして少子化のなか、優秀な学生を採用したい企業はみな頭を悩ませています。就職氷河期では学生のマイナス面を探し出して不採用にした企業も、いまはプラスの部分を見つけて採用しようとしています。ただしSNSで情報が共有されていることの弊害をどの採用担当者もそろって口にします。自己アピール、志望動機が全て同じに見えると。そのような学生でもいいと考えるのは、すぐに辞めることを前提にしているブラック企業くらいです。

 つながりを求め、あるいは承認欲求のために、もはや無くてはならないSNS。災害時のライフラインになるという側面はありますが、手にする情報が均一化する欠点も指摘されています。自分のなかに確たるフィルターを設け、情報の取捨選択を常に行い、同じ情報を目にしても、カスタマイズして自分の言葉で口にすることができる。企業が求めるのは、そのようなタイプの人材です。

Q.大学生の東京五輪ボランティアに思うこと
A.ボランティア活動が授業の単位になる大学があります。しかしその実情は……。

 NHKが東京五輪のボランティア活動について都内の国公私立138の大学にアンケートを取り、86%に当たる119校から回答を得ました。結果は「学生の自主性に任せる」が50校、「積極的に参加してほしい」は48校で均衡しています。しかし参加してほしいと答えた大学のなかにはスペックの低い学校が多いのが実情です。

 五輪ボランティアを授業の単位とする大学もありますが、少子化に拍車がかかるなか、お金を払えば誰でも入学できるというマイナス評価が下されているところがほとんどです。存続が危うい大学が、生き残りを賭け「当校の学生のなんと○パーセントが東京五輪をボランティアとして支えました!」と謳い、入学希望者を集めようと考えているからです。逆に偏差値の高い大学の学生は、自分の頭を使って考え、国や東京都に踊らされるようなボランティア参加を疑問視しています。企業がどちらの学生に来てほしいのか、考えるまでもありません。

株式会社つながり、「Dr.ストレッチ」求人情報が炎上も「なりすまし被害」!? 弁護士が法的責任を解説

 ストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」などのFC店舗経営事業を行う「株式会社つながり」。「エン・ジャパン株式会社」が運営する採用支援ツール「engage」による同社の求人・採用ページに、「執行役員・店長」の肩書を持つ人物のインタビューが掲載されているのだが、3月10日頃、その内容がネット上に拡散され、「ブラックすぎる」と波紋を呼んだ。その後、事態は大きく動き、「なりすまし」の不正アクセスによって、求人・採用ページが改竄された疑惑が浮上。現在、ネットユーザーの注目を集めている。

「なりすまし」であれば、偽計業務妨害罪で「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」

 「仕事舐めてる若者が多すぎます」から始まる、件のインタビューには、「有給消化なんて周りのこと考えたら使えないはずです」「残業代なんて出すわけありません」など、労働環境改善が叫ばれる昨今において、まさに「時代錯誤」というべき文章が並ぶ。これを受け、ネット上では「冗談としか思えない」「あり得ない」といった非難の声が飛び交い、大炎上となった。

 山岸純法律事務所の山岸純弁護士よると、「もし有給取得を妨害するなどした場合、企業は労働基準監督署から是正勧告を受けたり、『労働基準法39条7項、120条1号』によって、『30万円以下の罰金』が、またもし残業代を支払わなければ、『労働基準法37条、119条1号』によって、『6月以上の懲役または30万円の罰金』が科される可能性があります」とのこと。

 なお、ネット上では「Dr.ストレッチ」アルバイト求人情報にも疑惑の目が向けられている。「株式会社ガロア」が運営するアルバイト求人サイト「ギガバイト」では、上野御徒町店の求人情報に、10時30分〜21時30分(シフト制)で、「時給1,000円〜」と記載されているが、東京都の最低賃金「時給1,013円」を下回っていると指摘されているのだ。もし実際に最低賃金を下回っていた場合は、「『最低賃金法4条、40条』によって、『50万円以下の罰金』が科される可能がある」という。

 これら記載されている内容が事実であれば、企業側の責任が厳しく問われることになるが、そんな中、「Dr.ストレッチ」の運営側「株式会社フュービック」の社長が、自身のTwitterで騒動について「弊社運営のドクターストレッチフランチャイズ加盟店の執行役員であるかのように投稿した記事について本人投稿ではない事が確認取れています。本人になりすました悪質な投稿です 明日弁護士通じて法的に追跡して対応していきます。お騒がせして申し訳ありません」と、不正アクセスがあったと示唆。また、賃金に関しても「違法なものに書き換えられておりますので削除する対応を本部より指示しております」と説明した。

 いわゆる「なりすまし」による被害だが、今回のケースでは、「暴力等以外の行為をもって、すなわち『なりすまし』という行為をもって、株式会社つながりの『採用活動』という業務を妨害しているので、『偽計業務妨害罪』が成立する可能性があります」とのこと。刑法233条により、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるそうだ。

「元従業員が改竄」と公式発表

 果たして「なりすまし」は事実なのか――エン・ジャパンサイドが、「一部SNSやネット記事に関して」というタイトルで、「一部のSNSやネット記事にて、当社が運営するサービス『engage(エンゲージ)』への不正アクセスについて言及がありますが、不正アクセスやそれによる情報漏洩が発生した事実はありません」という文書を掲載し、「engage」に対する不正アクセスの可能性をきっぱりと否定したこともあり、ネットユーザーは固唾をのんで動向を見守っていたが、11日、さらに事態が動く。

 「Dr.ストレッチ」の公式サイト上で、「求人サイトの改竄を行ったのは、株式会社つながり(以下、同社)の元従業員であった」とする報告がなされたのだ。同社の元従業員は、「Dr.ストレッチ事業以外での職務に関して同社経営陣と意見が対立し、同社に在籍していた2019年12月下旬より、同社への嫌がらせを目的として」求人サイトの改竄をしたと説明されている。

 また加えて、「当社としましては、本件は当社のDr.ストレッチ事業に関わるスタッフ、並びに他加盟店企業様の名誉を著しく毀損した悪質な犯罪行為として、到底容認できるものではございません」としており、今後この元従業員に対し責任追及を行う予定だという。この騒動はどのような決着が着くのか、見守っていきたい。

株式会社つながり、「Dr.ストレッチ」求人情報が炎上も「なりすまし被害」!? 弁護士が法的責任を解説

 ストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」などのFC店舗経営事業を行う「株式会社つながり」。「エン・ジャパン株式会社」が運営する採用支援ツール「engage」による同社の求人・採用ページに、「執行役員・店長」の肩書を持つ人物のインタビューが掲載されているのだが、3月10日頃、その内容がネット上に拡散され、「ブラックすぎる」と波紋を呼んだ。その後、事態は大きく動き、「なりすまし」の不正アクセスによって、求人・採用ページが改竄された疑惑が浮上。現在、ネットユーザーの注目を集めている。

「なりすまし」であれば、偽計業務妨害罪で「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」

 「仕事舐めてる若者が多すぎます」から始まる、件のインタビューには、「有給消化なんて周りのこと考えたら使えないはずです」「残業代なんて出すわけありません」など、労働環境改善が叫ばれる昨今において、まさに「時代錯誤」というべき文章が並ぶ。これを受け、ネット上では「冗談としか思えない」「あり得ない」といった非難の声が飛び交い、大炎上となった。

 山岸純法律事務所の山岸純弁護士よると、「もし有給取得を妨害するなどした場合、企業は労働基準監督署から是正勧告を受けたり、『労働基準法39条7項、120条1号』によって、『30万円以下の罰金』が、またもし残業代を支払わなければ、『労働基準法37条、119条1号』によって、『6月以上の懲役または30万円の罰金』が科される可能性があります」とのこと。

 なお、ネット上では「Dr.ストレッチ」アルバイト求人情報にも疑惑の目が向けられている。「株式会社ガロア」が運営するアルバイト求人サイト「ギガバイト」では、上野御徒町店の求人情報に、10時30分〜21時30分(シフト制)で、「時給1,000円〜」と記載されているが、東京都の最低賃金「時給1,013円」を下回っていると指摘されているのだ。もし実際に最低賃金を下回っていた場合は、「『最低賃金法4条、40条』によって、『50万円以下の罰金』が科される可能がある」という。

 これら記載されている内容が事実であれば、企業側の責任が厳しく問われることになるが、そんな中、「Dr.ストレッチ」の運営側「株式会社フュービック」の社長が、自身のTwitterで騒動について「弊社運営のドクターストレッチフランチャイズ加盟店の執行役員であるかのように投稿した記事について本人投稿ではない事が確認取れています。本人になりすました悪質な投稿です 明日弁護士通じて法的に追跡して対応していきます。お騒がせして申し訳ありません」と、不正アクセスがあったと示唆。また、賃金に関しても「違法なものに書き換えられておりますので削除する対応を本部より指示しております」と説明した。

 いわゆる「なりすまし」による被害だが、今回のケースでは、「暴力等以外の行為をもって、すなわち『なりすまし』という行為をもって、株式会社つながりの『採用活動』という業務を妨害しているので、『偽計業務妨害罪』が成立する可能性があります」とのこと。刑法233条により、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるそうだ。

「元従業員が改竄」と公式発表

 果たして「なりすまし」は事実なのか――エン・ジャパンサイドが、「一部SNSやネット記事に関して」というタイトルで、「一部のSNSやネット記事にて、当社が運営するサービス『engage(エンゲージ)』への不正アクセスについて言及がありますが、不正アクセスやそれによる情報漏洩が発生した事実はありません」という文書を掲載し、「engage」に対する不正アクセスの可能性をきっぱりと否定したこともあり、ネットユーザーは固唾をのんで動向を見守っていたが、11日、さらに事態が動く。

 「Dr.ストレッチ」の公式サイト上で、「求人サイトの改竄を行ったのは、株式会社つながり(以下、同社)の元従業員であった」とする報告がなされたのだ。同社の元従業員は、「Dr.ストレッチ事業以外での職務に関して同社経営陣と意見が対立し、同社に在籍していた2019年12月下旬より、同社への嫌がらせを目的として」求人サイトの改竄をしたと説明されている。

 また加えて、「当社としましては、本件は当社のDr.ストレッチ事業に関わるスタッフ、並びに他加盟店企業様の名誉を著しく毀損した悪質な犯罪行為として、到底容認できるものではございません」としており、今後この元従業員に対し責任追及を行う予定だという。この騒動はどのような決着が着くのか、見守っていきたい。

愛子さま、学習院大学文学部「日本語日本文学科」進学は「意外」「驚き」――皇室ウォッチャーの本音

 去る2月21日、天皇、皇后両陛下の長女・愛子さまが、4月から学習院大学文学部日本語日本文学科に内部進学することを宮内庁が発表した。以前から「学業優秀」と伝えられてきた愛子さまは、果たしてどんなキャンパスライフを送ることになるのか――皇室ウォッチャーX氏に見解をお聞きした。

――愛子さまが、春から学習院大学文学部日本語日本文学科に進学されます。かつては「東大進学説」などもささやかれましたが、この進学に関して、率直にどのように思われますか?

皇室ウォッチャーX氏(以下、X) 予想通りの進学先だなと感じました。愛子さまが学習院女子高等科1年の時くらいまでは、東大や一橋、筑波大学も狙えるほどの学業優秀ぶりだと報じられたことがありました。しかし、愛子さまは昔から学習院に愛着を持っていらっしゃいます。幼稚園から高等科までずっと学習院で過ごされ、その中で得たご友人を大切にされていますし、学習院大学で春に行われるお祭り「オール学習院の集い」にも毎年足を運ばれているのです。当初から、馴染み深く、ご友人の多い学習院大学に進学することを決めていらっしゃったと思います。

――お父さまである天皇陛下は、同大学の文学部「史学科」を卒業されています。愛子さまも歴史好きであることから同じ学科に進まれると予想されていましたが、「日本語日本文学科」を選ばれた理由はなんでしょうか?

X 確かに日本語日本文学科を選ばれたと知った際は、いささか意外な印象を持ちました。愛子さまは、普段からお父さまより歴史の話をお聞きになり、それによって歴史により興味を抱いていった部分はあるようです。

 しかし、どうやら愛子さまは歴史が好きというより、紫式部などの「平安文学」に対するご関心が強いという話も耳にします。日本語自体がお好きだそうですよ。実はこのことには驚いておりまして、というのも、愛子さまは以前から英語が堪能で、海外留学を視野に入れられていると言われていましたので。やはり日本の天皇陛下の長女ということも関係しているのか、英語だけでなく母国語を大切にされているのだと感心しましたね。

――愛子さまは、大学でどのような勉強をされると思われますか?

X やはり、以前から史学へのご興味が強いことを踏まえ、平安時代の文献を翻訳されたり、その時代背景や当時の天皇にまつわる文書について、勉強されるのではないかと思います。また、同学科のホームページを見てみると、日本文化であれば幅広いジャンルが学べるとのことなので、平安文学以外にもさまざまな時代の文学作品について学ばれるかもしれませんね。大学生活を通して、今後、突き詰めて学びたいジャンルを見つけ、それをのちのちのライフワークにされることでしょう。

――大学では、部活やサークルに所属されることも考えられますが、皇族方は、例えば大学公認の団体以外入会できないなど、制限はあるのでしょうか?

X いえ、制限はないと思われます。大学時代、眞子さまはスキーサークルに所属、一方で佳子さまは入会されなかったものの、学習院と国際基督教大学(ICU)で、それぞれダンスサークルの体験入会をされています。

――愛子さまはどんな部活やサークルに興味を持たれているのでしょう。

X 初等科時代から管弦楽部でチェロをたしなまれているので、お父さまと同じ「音楽部」に入部される可能性は十分あるでしょう。一方、運動神経も抜群と報じられていることから、初等科時代におやりになっていたバスケットボールなども考えられますね。それから、高等科の文化祭でダンスを披露されているので、ダンスサークルも候補なのではないでしょうか。

――愛子さまは、大学生活を通して、さまざまな方に出会われると思いますが、ここ数年、ボーイフレンドの存在が報じられています。栃木県・那須御用邸を一緒に訪れた友人の中に、男子がいらっしゃったといいますが……。

X その方は、学習院初等科時代の同級生だったと思います。現在は学習院以外の名門高校に通っていて、愛子さまとは家族ぐるみの仲だといいます。毎年、那須どうぶつ王国でご一緒されていますが、恋愛関係というよりは幼なじみという感覚なのではないでしょうか。

――春から大学生活をスタートさせる愛子さまに、期待されていることをお教えください。

X 大学生になると自ずと世界が広がっていくものです。今までに見たことのないものを、ご自分の目で見て、感じて、学ぶことで、今後の皇族としての生活に生かしていただけることを願っています。

新型コロナで開催揺れる東京五輪、パラ・メンタルコーチが「選手の心身」に及ぼす影響を解説

東京2020オリンピック・パラリンピックの開催をめぐり世論が荒れている。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、開催すべきか、延期すべきか、それとも中止か――。延期や中止となれば「史上最大のスポーツニュース」「前例のない出来事」と報じる海外メディアや、「景気回復が遠のく」「甚大な損失」と伝える経済メディアもあるが、最も深刻な状態に置かれているのは出場する選手ではないだろうか。

 先行き不透明な現状が選手に及ぼす影響について、外科・内科に加えメンタルケアも行うスポーツ健康医で、パラリンピック「ブラインドサッカー」日本代表のメンタルコーチを務める医師・木村好珠氏に話を聞いた。

――開催が確定されていない状況は、五輪選手のメンタルにどのような影響が考えられますか?

木村好珠氏(以下、木村) 現時点ですでに五輪選手及びスタッフたちに影響は出ているはずです。「不安」というのは、将来のこと、そして抽象的なことに生じやすいといわれていますので、選手が今立っているのは、まさに「不安」が生まれやすい状況です。先のことを考えなければいけないのに、何もかもがどうなるかわからない。数カ月後という近い将来でさえ明確に具体的に描けないのですから。

 また今は五輪の選手選考の時期であり、まだ出場が決まっていない選手はさらに不安に拍車をかけることになります。言葉にして不安を表に出していなくとも、少なからず不安は感じているでしょう。それがパフォーマンスに影響が出る可能性も否定できません。

――新型コロナに感染するリスクがあるとして、諸外国からも日本開催に対する懸念が伝えられています。「アスリートファースト」という目線で見たとき、今回の五輪はどうあるべきと考えますか?

木村 これに関しては、かなり難しいですね。「アスリート第一」とは、心身ともに健やかに安心して、かつフェアーに競技が行われる状況だと思います。コロナが終息しない中で、心身共に安心して競技を行えるでしょうか? そう思うと、厳しい決断をしなければならないかもしれません。

 五輪は各国の人が集まる一大イベントです。人が密集することで、どれだけの影響があるのかは、まだ明確にわからないことも多いです。というのは、感染者発見からの日数も短く、感染ルートが不明な症例も多い。そして、検査の有無にもばらつきがあり、正確な分析がしにくい状態にある。オリンピックは世界中の人が集まるため、もしその場の1人がウイルスを持っていたら、それだけで、いろんな国に拡散する可能性があります。もし、今このタイミングでオリンピックが行われるとしたら「日本に行きたくない」という海外選手も出てくることでしょう。

――各国の人間が衣食住を行う選手村が、ウイルスの温床になる可能性は容易に想像できます。

木村 ただ、選手はこの4年に一度の五輪の時期にピークを合わせて調整してきてるでしょうし、もし延期となれば選手の再選考を考える可能性も出てきます。ですので、ここについては、身体的な危険度と選手たちのこの4年に懸けてきた思い、その両方をしっかり吟味した上での結論であることが必要です。

 会場の準備や各選手のさまざまな手続きを踏まえると、IOC(国際オリンピック委員会)は、5月下旬までに開催を決めるとのことでした。前回のSARS(重症急性呼吸器症候群)は、約8,500人の方が罹患し、終息宣言までに約8カ月かかっています。今回の新型コロナウイルスはまだ3カ月で、8カ月後はオリンピック開催期間の真っ只中。そう考えると、非常に悩ましいところです。

――開催可否の判断にあたり、パラリンピックの関係者として木村さん個人が伝えたいことはありますか?

木村 この4年間、選手及びスタッフがどんな思いで練習してきたのか、その「気持ち」についても十分考慮していただきたいです。健康第一はもちろんのこと。それには一刻も早い終息が、鍵となってきます。とにかく、感染予防の手洗いうがいの徹底、症状がある場合は速やかに医療機関に連絡すること、そして、政府も嘘偽りない発表をした上で、感染予防を徹底していただきたい。1日も早い終息を願うばかりです。

木村好珠(きむら・このみ)
精神科医、産業医、健康スポーツ医。慶應義塾大学病院研修修了後、都内クリニック、静岡赤十字病院で勤務。現在は東北の病院にて常勤医、静岡県内の病院、 東京・金王坂クリニックにて非常勤医。アスリートへのメンタルサポートにも注力し、東京パラリンピック ブラインドサッカー日本代表のメンタルコーチを務める。

広瀬すずショック!? 有名アパレル社長の“セクハラ告発”と「誰もが知る愛人」の裏事情

 広瀬すずがCMに出演している「アースミュージック&エコロジー」や、藤田ニコルがプロデュースする「NiCORON(ニコロン)」など、女性からの絶大な支持を誇るアパレル事業を展開するストライプインターナショナル(本社:岡山県岡山市)。同社の石川康晴社長による「セクハラ」が3月5日、一部週刊誌や新聞で報じられた。

 ストライプといえば、アパレルのほか化粧品や飲食といった多角経営を展開するのみならず、女性管理職比率が52%(2019年1月末現在)、2016年には女性の活躍推進に関する優良事業者として、中国地区第一号の認定を受けている。

 石川社長は、地元岡山市で開催される現代アートの芸術祭「岡山芸術交流」の総合プロデューサーを務めるなど、「アパレル界の異端児」として、たびたびメディアにも登場。政府の「男女共同参画会議」議員にも選ばれていた。

 石川社長は議員を辞任する意向を内閣府に伝えたと明らかになったものの、同社サイトでは自ら「セクシュアル・ハラスメントの事実は認められませんでした」とのコメントを掲載。

 報道を受けて、ツイッターでは石川社長から被害を受けたと訴える人が続出している。店舗スタッフをホテルに呼び出し、本人の同意がないままわいせつ行為に及んだなどとも報じられており、「セクハラ」どころか性犯罪なのではないかと指摘する声もある。

 しかし、石川社長の女癖の悪さは業界では以前から有名で、「全国の店舗に愛人がいる」というウワサもあった。石川社長の悪行を知りながらも声を上げることができないまま同社を退職した人たちからは、「ついにこの日が来た」と言われているそうだ。

「本部にも誰もが知る愛人がいました。朝の出勤時は(同社の入居する)歌舞伎座タワーのエレベーターがストライプ社員で満員なんですが、石川社長とその愛人が一番後ろのほうに乗っていて、社長が愛人のお尻をわしづかみにして撫でていたそうです。最初は聞いて驚きましたが、そのうち、そんな話を聞くことは日常茶飯事になりました」(元社員)

「店舗のスタッフの多くは何も知らず、社長のことを本気で素敵と思って入社しているので、今回のショックで辞める人が続出するのではないかと心配です。おかやまマラソンや岡山芸術交流にも、かなりのお金や人員を費やして地域活性していたので、岡山の人たちはショックでしょう」(元店舗スタッフ)

 アパレル関係者によると、この時期に記事が出たのは必然的だったという。

「来年度の内定者が確定し、3月4日からは新CMが始まったタイミングとあり、以前からセクハラの内情を知る関係者が狙い撃ちしたと、もっぱらのうわさです」

 同社は6日、臨時取締役会を開き、石川社長が同日付で辞任し、専務取締役の立花隆央氏が社長に就任すると発表した。石川氏から「一連の報道を理由に辞任したい」との申し出があったという。しかし、ブランドのイメージダウンどころか、直接の被害者はもちろんのこと、広瀬すずや藤田ニコル、店舗スタッフ、顧客など、多くの女性を裏切った石川氏の罪は重い。

ファストファッションとアパレル業界の闇――消費者が考えるべき労働環境のこれから

 短いサイクルでの大量生産・販売によって、流行の商品を低価格で販売するファストファッション。私たちの生活にすっかり定着し、誰しもクローゼットに1着はあるのではないだろうか。前編では、ファストファッションを製造する工場の実態について、『大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実』(光文社新書)を共同執筆した朝日新聞社の仲村和代記者にうかがったが、今回は消費者が購入時に意識すべき点について聞いてみた。

前編:ファストファッションの功罪――「安くておしゃれな服」を支える過酷な労働環境と大量廃棄

新品の服が10億点も焼却される現実

――私たちの「安く買いたい」というエゴが、こうした状況を生み出しているように感じました。ファストファッションの流行が、日本のアパレル業界にもたらした影響などはありますか。

仲村和代さん(以下、仲村) ファストファッションのおかげで、昔と比べるとはるかに安い値段で、おしゃれを楽しむことができるようになりました。質は多少落ちるかも知れませんが、それでも短い期間で買い替えるものであれば、消費者も特に問題には感じません。むしろ、流行の服を安く買って、どんどん買い替えるような風潮を、消費者自身も歓迎したところがあると思います。体形や好み、流行は変わりますからね。

 服を「1~2年で買い替える」のが当たり前になり、安い価格に慣れた消費者にとって、ファストファッションの2~3倍の価格で販売される百貨店やセレクトショップに置かれているようなブランドは高額に感じるでしょう。一方、こうしたブランドのメーカーも、コストを抑えるためにたくさん発注し、大量の洋服を作る傾向が出てきました。30年前と比べると、消費・購入量はさほど変わっていませんが、生産量は倍くらいに増えています。その結果、服の大量廃棄の問題が発生。コスト削減のため、必要とされる以上の大量の服が作られるようになり余ってしまうからです。

――大量に余った洋服はどのように扱われるのでしょうか。

仲村 一部は在庫処分業者がタグなどを外し、海外に輸出したり、国内で販売したりすることもありますが、かなりの割合が捨てられています。日本国内では、燃えるゴミと同じように、自治体の焼却場などで燃やされているものが多いそうです。また、リサイクルといいつつ、固形燃料として結局燃やされているものも。国が統計を取っていないので、正確な数字は不明ですが、ざっくりいうと年に約40億点の衣料品が作られ、消費量は約20億点なので、その分を引いた20億点が余る計算になります。一度も売れず、場合によっては店頭にすら並んでいない新品の洋服が、年に10億点以上、捨てられているとみられ、つまり新品の服の4枚に1枚は、そのまま捨てられているんです。

――大量に服が廃棄される一方、最近はいろいろな女性誌で、「サステナブル」(持続可能な社会を目指す取り組み)や「SDGs(エスディージーズ)」(注)という言葉を目にします。

注 SDGs:「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で、全ての国連加盟国のリーダーによって決められた、国際社会の共通目標。アパレル業界でも、「SDGs」を目標に掲げ、「衣服のリサイクル」「環境に配慮した工場」「生産量の適正化」という取り組みを行っている企業が出てきている。

仲村 この1年くらいで、ものすごく目にするようになりましたね。「この服はどう作られているのか」「環境汚染はしていないか」を考えようという流れは、すごくいいことだと思います。いろんなファストファッションブランドが出てきて、「安かろう悪かろう」は通用しなくなり、分岐点を迎えているのでは。最近は、「エコ」や「サステナブル」を意識したファストファッションのブランドもあるので、消費者が、「安い」という理由だけで服を買う時代は終わり、“選ぶ”“吟味”する時代になりつつあるのだと思います。

 ただ、SDGsを掲げている企業もいろいろ。理念についてあまり理解せずに、とりあえずアピール材料に使っている企業も少なくありません。消費者は企業の何を信用すればいいのか、ますます悩むと思いますが、「企業が発信することは真実なのか」と常に疑うクセをつけた方がいいと思います。

――生産者の労働環境やエコを意識したブランドなどを、教えていただけますか。

仲村 全ての現場を確かめたわけではないので、具体的なブランド名を私の口からお伝えすることは避けたいと思います。目安にするとしたら、例えば、「どこで作られているのか」「回収した古着をどのように使っているのか」といった情報を企業が開示しているかどうか。より具体的であれば、信頼度も高いと考えていいと思います。最近は、実際に作っている生産現場の人との交流の場などを設けているブランドもあるんですよ。「この人が勧めたから」「こう書いてあったから」という理由でどこかのブランドを買うことより、消費者一人ひとりが、自ら一つひとつ知ろうとする動きこそが、大切なのではないかと思っています。そうやって調べながら、「自分なりに納得のいくブランド」を探す、そして企業に対しても声を届けていく、ということを目指してみてはどうでしょうか。

――もし、企業側が出すデータがウソだったとしても、消費者はわからないですよね。

仲村 確かに、判断は難しいですね。私自身も、すごく悩みます。最近は、正しい情報を開示しているかどうかを判断するシステムを作ろうという動きもあります。また、消費者から「情報を知りたい」「そういった仕組みが必要」という声が大きくなれば、国や機関が動く可能性もあるはずです。企業に直接問い合わせるのも有効な手段ですが、ハードルが高いという人は、まずネットで検索するだけでもいいのでは。その検索ワードの数が集合知となって、企業側に「この世代は、服を買う時に環境問題も気にしているんだな」と伝わるかもしれません。「常に、100%正解」を目指すのは正直、難しいと思う。でも、そういう積み重ねが大事なんじゃないかと思います。

――不況と言われる昨今、収入が増えないなどの悩みを持つ消費者は多いため、今後もファストファッションに一定の需要は見込まれると思います。自分たちができることはなんでしょうか。

仲村 私自身は、ファストファッションブランドがいけないとか、購入してはいけないとか、そういうことは全然思っていません。中には、持続可能性に目を向け、とても力を入れているところもありますし、大事に着て、うまくおしゃれを楽しんでいる人はとても素敵だな、と思います。ただ、とりあえず安いから買って、着なくなったら捨てればいい、という風潮は、そろそろ変わってほしいですね。「エシカル」を打ち出しているようなブランドは高くて買えない、という声も聞きますが、無理をして買う必要はないと思います。消費者の側も、「無理なく続けられる」、つまり持続可能であることが大切だと思います。

 考え方として、目の前の値段ではなく、最終的に何回くらい着られるのか、いわゆる「コスパ」を考えると、買い方は変わるのではないでしょうか。例えば、千円のものを5回着て捨てるよりは、1万円のものを100回着る方が、「安上がり」です。長く着る、という観点で、それに見合った品質かどうかを基準にすれば、意外と「高くない」と感じるかもしれません。そもそも、先ほど大量に服が処分されていると話しましたが、焼却するにも費用が掛かりますし、そのコストが販売価格に上乗せされていると考えると、安いように見えて、結構、消費者は損していると思うんです。アパレル業界は、「新商品を販売するサイクルが短すぎる」とよく言われていますが、みなさんが1着を大切に扱うようになれば、いずれ業界を変えることができるかもしれません。

――1着を大切にすることが当たり前になると、アパレル企業は成り立たなくなる気もしますが……。

仲村 確かにそういう声は多く聞こえてきますね。ただ、アパレル企業に限らず、長年日本企業が続けてきた薄利多売のビジネスモデルは、もう限界に来ているのではないでしょうか。まだ物がなく、人口も増えていく時代であれば、生産量を増やすことがそのまま利益にもつながった。ところが、長い不況が続いてデフレ傾向になり、生産コストや人件費を削り、長時間店を開けることで何とか利益を確保しようとして、企業も、働く人たちも疲弊しています。

 目指す方向のヒントになりそうな話を先日、とあるアパレル関係の方からうかがいました。そこは「長く使える」ことを売りにしているメーカーなのですが、新しくお店を始める時に、「セールはしない」「廃棄を出さない」ことを目標にしたそうです。このため、カラーや柄など種類は絞る一方で、セールをしなくても買ってもらえるような商品づくりに力を入れました。品薄になっても補充はせず、なんとお店を休みにしてしまったそう。おかげで、従業員はしっかり休め、年間を通して考えると、利益も確保できたそうです。売り上げよりも利益(売り上げからコストを引いたもの)に着目すると、商売のあり方も少し変わるのでは。

 大量生産、大量廃棄は、環境への負荷も大きい。目先の業績だけでなく、長い目で見て社会全体の利益を考える姿勢が、企業にも求められる時代になっていると思います。物や人を使い捨てることなく、従業員や環境・社会全体の“幸せ”を追求することが当たり前になるといいですね。

仲村和代(なかむら・かずよ) 
朝日新聞社会部記者。1979年、広島県生まれ。沖縄ルーツの転勤族で、これまで暮らした都市は10以上。2002年、朝日新聞社入社。長崎総局、西部報道センターなどを経て10年から東京本社社会部。著書に『ルポ コールセンター 過剰サービス労働の現場から』、取材班の出版物に『孤族の国』(ともに朝日新聞出版)、共著に『大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実』(光文社新書)がある。
Twitter: @coccodesho