オウム真理教や連合赤軍、人民寺院、マンソン・ファミリーなどの新興宗教やカルトコミュニティを連想させる山本直樹の漫画『ビリーバーズ』(小学館)は、日常から切り離された環境の中で、信仰心と欲望のどちらが勝るのかというような実験要素を詰め込んだ作品だ。
人里離れた孤島で、いつ届くかわからない食料や物資を待つ不安、娯楽やストレスのはけ口もない中で、毎日続ける謎の儀式……。全てに理由…
オウム真理教や連合赤軍、人民寺院、マンソン・ファミリーなどの新興宗教やカルトコミュニティを連想させる山本直樹の漫画『ビリーバーズ』(小学館)は、日常から切り離された環境の中で、信仰心と欲望のどちらが勝るのかというような実験要素を詰め込んだ作品だ。
人里離れた孤島で、いつ届くかわからない食料や物資を待つ不安、娯楽やストレスのはけ口もない中で、毎日続ける謎の儀式……。全てに理由…
新興宗教とセックスを題材にした山本直樹の青年漫画『ビリーバーズ』(小学館)が、ピンク映画出身の城定秀夫監督によって実写映画化された。冴えない高校生たちの青春群像劇『アルプススタンドのはしの方』(20)が高い評価を得て、一般映画でも注目を集めるようになった城定監督が長年望んでいた企画だった。孤島で暮らす3人の男女の関係性が、信仰心と性欲のせめぎ合いによって大きく変化していく様子が描かれている…
「品川国際映画祭」が3月7日~3月12日に開催され、そのオープニングセレモニーに俳優の磯村勇斗さんと井桁弘恵さんが登場した。
アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア」などを手掛けるショートフィルムの総合ブランド「ShortShorts」協力のもと、世界から厳選したショートフィルムが楽しめる「品川国際映画祭」。
…
神木隆之介と柴咲コウがダブル主演する映画『ホリック xxxHOLiC』(蜷川実花監督/4月29日公開)の新たな追加キャストとして、磯村勇斗と吉岡里帆の出演が17日に発表された。人気爆発中の磯村の起用は作品の注目度をより高めるはずだが、演じる役柄が映画オリジナルキャラクターだったことで、原作ファンを中心に物議を醸している。
同映画は、マンガ創作集団「CLAMP」の人気コミック…
冬ドラマも後半へと差し掛かるなか、テレビ業界では早くも4月から各局でスタートする春ドラマの話題が注目を集めている。
なかでもやはり熱い視線が注がれているのが「ドラマのTBS」だ。
9日にはまず、金曜ドラマ『インビジブル』が正式発表された。昨年1月期に放送され、最終回の世帯平均視聴率が20%を超える大ヒットとなった日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』を主演…
5月17日深夜に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)。前回のレビューを書いた時点で、今回の第7話の展開にはすでに期待を寄せていた。筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)、小日向大策(山本耕史、以下「小日向さん」)、井上航(磯村勇斗、以下「ジルベール」)が顔をそろえる会食についてである。すなわち、西島、内野、山本、磯村という4人の役者バカが繰り広げる演技合戦を楽しみにしていたのだ。
中でも、第6話で初登場したばかりのジルベールには注目していた。ケンジから2種の入浴剤をプレゼントされると「えーっ、どうしよう!」と迷い、小日向さんに「ワタル君はベリー系だよね」と促されるや、「なんで大ちゃんが決めるの?」とご機嫌斜めに。シロさんに対しては「自分がゲイってこと以外、ほとんどウソついたことないでしょ?」と、ゲイのヒエラルキーの文脈に沿ってマウンティングを仕掛けにいく。シロさんが往年のアイドル「三谷まみ」のファンと明らかになった瞬間は意味深にケンジへ視線を送るなど、細かい所作で彼は小悪魔っぷりをにじませたのだ。奔放な発言で地雷を踏むかと思いきや、テーブルの下ではサンダル半脱ぎ状態で内股の姿勢をキープするかわいらしさ。一筋縄ではいかないキャラクターを見事に表現していた。芸達者な3人のベテラン俳優としっかり肩を並べていた磯村、恐るべし。
ケンジはケンジでジルベールと心で会話をし、表情だけでモノローグのキャッチボールをリードした。相変わらず内野は抜群だ。ジルベールにはメロメロの小日向さんも、シロさん&ケンジに対しては「キリッ!」と音が聴こえてきそうなくらいダンディのモードへスイッチを切り替えてみせる。あのメリハリっぷりには笑った。
そして、三谷まみについて熱弁するシロさん。いつになくはしゃいでいる。いつもは敬語なのに、「マジで!?」と素っ頓狂な声を上げたときの彼の表情は貴重だった。「こないだの大河ドラマも良かったなぁ~」とかみ締めてるけども、このテーブルを囲むのは大河に出た俳優ばかりという事実。こんな細かなフックも秀逸である。
4人による悲喜こもごもの心理戦を終え、帰路に就いたシロさん&ケンジ。このとき、歩く2人の距離がものすごく近い。場所の違い(恐らく新宿2丁目を歩いている)もあるだろうが、2人して商店街を歩いた初回の空気感とはまるで別物だ。明らかに、シロさんの内で変化が起こっている。ケンジが言う通り、ちょっとだけ“こっち側”に来ているシロさんが見て取れた。
帰り道の雨に当てられ、シロさんは寝込んでしまった。そんなパートナーを献身的に看護するケンジ。今回は第5話に続いての“ケンジ回”だ。姉たちにかわいがられて育った末っ子だからこそ、大切な人を看病したい欲は異常に高い。
まずは、だし巻き卵作りにチャレンジするケンジ。サッポロ一番を作る際はエプロンを着けていなかったのに、シロさんのために料理する今回はしっかり着用している。寝室にいるシロさんは心配でうかうか寝ていられない。彼は彼で歴代彼氏の冷たさに振り回されてきた過去があるので、尽くされることに慣れていないのだ。
シロさんのためにケンジが用意した料理は、確かにどれも見てくれは良くなかった。例えば、うまく焼けずに涙ぐんだだし巻き卵は焦げ付いてしまっているし。
原作版と違い、西島が演じるドラマ版のシロさんはだいぶ優しい。マンガでは「うまいよ」の一言だけだったのに、ドラマではすべての料理にコメントを出してあげていた。だし巻き卵には「食感ふわふわで味もいい」、雑炊には「鶏肉でタンパク質が摂れる」、白和えには「水っぽくない」と、それぞれへの褒めコメントは実に丁寧だ。風邪気味で味がよくわからないシロさん、実はこのとき、味についてはほとんど言及していなかったりする。でも、いい。いつも自分の料理を褒めてくれるケンジが相手だからこそ、全力で愛を受け止めようとしていた。愛情表現がストレートなケンジとツンデレなシロさん、2人の個性は正反対だ。でも、そんなところに相性の良さを感じてしまう。
後日、またしても食事を共にしたシロさん&ケンジと小日向さん&ジルベール。この席でのハイライトは、ケンジがシロさんを好きになった理由を明かす場面だろう。
ジルベール「ケンちゃんはどういうタイプが好きなの?」
ケンジ「俺はね、『シティーハンター』の冴羽獠!」
ジルベール「それ、この世にはいないよ。異次元の人だもん(笑)」
ケンジ「い~た~のっ、ここに三次元の冴羽獠が! シロさんに初めて会ったとき、俺、わかったの。“あ~、ここに俺の獠ちゃんがいたーっ!”って。ウフフフフ」
シロさんは冴羽獠には似ていないと思う。後ろめたさから、目がまったく笑っていないシロさん。そんな彼を、死んだ目の小日向さんと小馬鹿にしたような生温かい笑顔のジルベールが見つめている。あの名場面を実写化すると、こんなに面白くなるのか。やはり、演技派をそろえているドラマはいい。
この日、シロさんは自宅でバナナケーキを焼いた。
「なんてことはない。俺に一目惚れだったってわけだ(笑)」(シロさん)
いつもだったら夜遅くのケーキなんてもってのほか。なのに、もう一切れ追加してケンジに盛ってあげたシロさん。ゲイにはモテないタイプだけに「一目惚れされた」という事実が彼を上機嫌にさせた。そして、なぜケンジがあんなにも自分を看病したがったのか理由もわかった。
実は、“シロさん受難回”でもあった第7話。ひそかに傷つけられていた彼の自意識は「一目惚れされていた」という事実で回復したわけだ。というか、今回は2組のカップルのノロケを視聴者が延々見せられ続けた感がある。7話を総括すると、そういうことになるだろう。
そして、今夜放送の第8話。予告によると、原作でもとりわけ人気の高いエピソードが放送されるようだ。これをきちんと選んだドラマ制作陣を筆者はリスペクトする。この作品には、日常のいいこともつらいことも美化せず描く良さがある。そんな魅力を如実に表す、筆者の大好きな回だ。楽しみにしている。
(文=寺西ジャジューカ)
5月17日深夜に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)。前回のレビューを書いた時点で、今回の第7話の展開にはすでに期待を寄せていた。筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)、小日向大策(山本耕史、以下「小日向さん」)、井上航(磯村勇斗、以下「ジルベール」)が顔をそろえる会食についてである。すなわち、西島、内野、山本、磯村という4人の役者バカが繰り広げる演技合戦を楽しみにしていたのだ。
中でも、第6話で初登場したばかりのジルベールには注目していた。ケンジから2種の入浴剤をプレゼントされると「えーっ、どうしよう!」と迷い、小日向さんに「ワタル君はベリー系だよね」と促されるや、「なんで大ちゃんが決めるの?」とご機嫌斜めに。シロさんに対しては「自分がゲイってこと以外、ほとんどウソついたことないでしょ?」と、ゲイのヒエラルキーの文脈に沿ってマウンティングを仕掛けにいく。シロさんが往年のアイドル「三谷まみ」のファンと明らかになった瞬間は意味深にケンジへ視線を送るなど、細かい所作で彼は小悪魔っぷりをにじませたのだ。奔放な発言で地雷を踏むかと思いきや、テーブルの下ではサンダル半脱ぎ状態で内股の姿勢をキープするかわいらしさ。一筋縄ではいかないキャラクターを見事に表現していた。芸達者な3人のベテラン俳優としっかり肩を並べていた磯村、恐るべし。
ケンジはケンジでジルベールと心で会話をし、表情だけでモノローグのキャッチボールをリードした。相変わらず内野は抜群だ。ジルベールにはメロメロの小日向さんも、シロさん&ケンジに対しては「キリッ!」と音が聴こえてきそうなくらいダンディのモードへスイッチを切り替えてみせる。あのメリハリっぷりには笑った。
そして、三谷まみについて熱弁するシロさん。いつになくはしゃいでいる。いつもは敬語なのに、「マジで!?」と素っ頓狂な声を上げたときの彼の表情は貴重だった。「こないだの大河ドラマも良かったなぁ~」とかみ締めてるけども、このテーブルを囲むのは大河に出た俳優ばかりという事実。こんな細かなフックも秀逸である。
4人による悲喜こもごもの心理戦を終え、帰路に就いたシロさん&ケンジ。このとき、歩く2人の距離がものすごく近い。場所の違い(恐らく新宿2丁目を歩いている)もあるだろうが、2人して商店街を歩いた初回の空気感とはまるで別物だ。明らかに、シロさんの内で変化が起こっている。ケンジが言う通り、ちょっとだけ“こっち側”に来ているシロさんが見て取れた。
帰り道の雨に当てられ、シロさんは寝込んでしまった。そんなパートナーを献身的に看護するケンジ。今回は第5話に続いての“ケンジ回”だ。姉たちにかわいがられて育った末っ子だからこそ、大切な人を看病したい欲は異常に高い。
まずは、だし巻き卵作りにチャレンジするケンジ。サッポロ一番を作る際はエプロンを着けていなかったのに、シロさんのために料理する今回はしっかり着用している。寝室にいるシロさんは心配でうかうか寝ていられない。彼は彼で歴代彼氏の冷たさに振り回されてきた過去があるので、尽くされることに慣れていないのだ。
シロさんのためにケンジが用意した料理は、確かにどれも見てくれは良くなかった。例えば、うまく焼けずに涙ぐんだだし巻き卵は焦げ付いてしまっているし。
原作版と違い、西島が演じるドラマ版のシロさんはだいぶ優しい。マンガでは「うまいよ」の一言だけだったのに、ドラマではすべての料理にコメントを出してあげていた。だし巻き卵には「食感ふわふわで味もいい」、雑炊には「鶏肉でタンパク質が摂れる」、白和えには「水っぽくない」と、それぞれへの褒めコメントは実に丁寧だ。風邪気味で味がよくわからないシロさん、実はこのとき、味についてはほとんど言及していなかったりする。でも、いい。いつも自分の料理を褒めてくれるケンジが相手だからこそ、全力で愛を受け止めようとしていた。愛情表現がストレートなケンジとツンデレなシロさん、2人の個性は正反対だ。でも、そんなところに相性の良さを感じてしまう。
後日、またしても食事を共にしたシロさん&ケンジと小日向さん&ジルベール。この席でのハイライトは、ケンジがシロさんを好きになった理由を明かす場面だろう。
ジルベール「ケンちゃんはどういうタイプが好きなの?」
ケンジ「俺はね、『シティーハンター』の冴羽獠!」
ジルベール「それ、この世にはいないよ。異次元の人だもん(笑)」
ケンジ「い~た~のっ、ここに三次元の冴羽獠が! シロさんに初めて会ったとき、俺、わかったの。“あ~、ここに俺の獠ちゃんがいたーっ!”って。ウフフフフ」
シロさんは冴羽獠には似ていないと思う。後ろめたさから、目がまったく笑っていないシロさん。そんな彼を、死んだ目の小日向さんと小馬鹿にしたような生温かい笑顔のジルベールが見つめている。あの名場面を実写化すると、こんなに面白くなるのか。やはり、演技派をそろえているドラマはいい。
この日、シロさんは自宅でバナナケーキを焼いた。
「なんてことはない。俺に一目惚れだったってわけだ(笑)」(シロさん)
いつもだったら夜遅くのケーキなんてもってのほか。なのに、もう一切れ追加してケンジに盛ってあげたシロさん。ゲイにはモテないタイプだけに「一目惚れされた」という事実が彼を上機嫌にさせた。そして、なぜケンジがあんなにも自分を看病したがったのか理由もわかった。
実は、“シロさん受難回”でもあった第7話。ひそかに傷つけられていた彼の自意識は「一目惚れされていた」という事実で回復したわけだ。というか、今回は2組のカップルのノロケを視聴者が延々見せられ続けた感がある。7話を総括すると、そういうことになるだろう。
そして、今夜放送の第8話。予告によると、原作でもとりわけ人気の高いエピソードが放送されるようだ。これをきちんと選んだドラマ制作陣を筆者はリスペクトする。この作品には、日常のいいこともつらいことも美化せず描く良さがある。そんな魅力を如実に表す、筆者の大好きな回だ。楽しみにしている。
(文=寺西ジャジューカ)
12月16日に放送された『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の第10話。今回の最終話で描かれたのは、2つの友情だ。
ヤクザの若頭・月川(城田優)と対決した伊藤真司(伊藤健太郎)は、月川に圧倒的な差を見せつけられる。左手しか使わない月川にボコボコにされたのだ。顔を血で染めながら伊藤は言った。
「覚えとけ。三橋はなあ……三橋は俺より強えぞ」
ヤクザの事務所に乗り込んだ三橋貴志(賀来賢人)と伊藤。今度は三橋が月川と対決し、そこでは三橋が月川を圧倒! 両手両足を使って本気を出す月川に余裕で対処し、打撃を打ち込みながら涼しい表情だ。三橋は月川に言い放った。
「言っとくけどなあ、ウチの伊藤は俺より強えぜ。テメエが左手一本しか使わねえから本気出せなかっただけ。優しい男だからさ」
これぞ、『今日から俺は!!』の世界観。謙遜してるのでも、伊藤を立てているのでもない。「左手一本の相手に本気を出せない」という評価は、伊藤の性分を端的に言い当てている。相棒の腕っぷしと優しさを認める三橋の言葉だ。
伊藤が三橋に向ける友情も厚い。今度は三橋にピンチが訪れた。赤坂理子(清野菜名)が人質にとられたため、相良猛(磯村勇斗)に抵抗できず、ボコボコにされたのだ。身を盾にして理子をかばいながら三橋が口にしたのは「絶対、あいつが来っからよ」という言葉だった。そして、本当に伊藤が助けに来た。
原作では、大ケガを負いながら救出へ向かう伊藤を心配した早川京子(橋本環奈)が彼を制止し、そんな京子を伊藤は振り切る。
「どけよ。ピンチ……なんだぜ、アイツが。今、俺を助けに来ねーってことは……俺を……待ってるんだ。ここで行かない奴は、伊藤じゃ……ないぜ」
実はここ、原作派が最も楽しみにするくだりだった。でも、ドラマ版では描かれていない。伊藤と京子のイチャイチャへつなげるため、あえて削ったのかもしれない。ならば、もう野暮なことは言うまい。こんなに優しいし、こんなに強い。三橋の言う通りの男だ。
相良と対峙した伊藤は満身創痍の体で相良をKO、三橋と理子の窮地を救った。
三橋 「さっき……チュー、できたななあ」
理子 「バカ」
伊藤 「来なきゃ良かったよ……」
もうひとつの友情は、相良と片桐智司(鈴木伸之)である。
「天下の開久が女盾にして半端やってんじゃねえぞ。テメエら、開久のプライド忘れたんか、コラ!」
京子を人質にとる開久たちにボコボコにされる伊藤を救い、不良らを蹴散らしたのは開久の前番長・智司だった。
伊藤にやられ立ち上がれない相良の元へ、智司がやって来た。
智司「相良。どっか遠くの街行って、2人で働こうぜ」
相良「フッ。こんな俺を許すのかよ」
原作の相良の狂いっぷりは、タガが外れている。危険の次元がほかのキャラに比べ、1人突き抜けている。彼がいなくなることにより、三橋たちの世界に平和がもたらされる。招かれざる存在。だから、相良の“その後”について描く必要はない。本来は、そんな男だ。
そういう意味で、智司が「どっか遠くの街行って、2人で働こうぜ」と手を差し伸べた事実が深いのだ。智司がそばにいることで、あんな相良にも未来があるとにおわせてくれる。そもそも、三橋&伊藤を認める智司に納得いかなかった相良が、軟高と開久の抗争を巻き起こした。始まりは、智司との友情をこじらせたがゆえの嫉妬だったのである。
いつもはオープニングで流れる「男の勲章」のライブシーンが、最終話ではエンディングに配された。ニクい。客席に開久がいるのだ。最前列には、ノリノリになっている相良と智司の姿が。クシャクシャの笑顔ではしゃぐ相良。あんなにメチャクチャだった相良も、三橋らと仲良さげである。
原作の相良は狂人だったが、ドラマ版の相良にはどこか憎めないところがあった。つまり、演じる役者に力量があったということ。相良役の磯村勇斗が、こんなに逸材とは思わなかった。このドラマのMVPには、磯村を挙げたい。
『ひよっこ』(NHK総合)や『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)などで実績を積んでいる彼だが、『今日から俺は!!』を契機に、これから番手を上げていく気がする。エンディングでのギャップも含め、磯村の演技には多くの人がハートをつかまれた。
最終話の視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。同時間帯にテレビ朝日で放送された『シン・ゴジラ』は9.7%だったので、まさに圧勝だ。SNSでの盛り上がりを加味すれば、もはや軽く社会現象といえるだろう。
そこで期待されるのは、やはり続編である。三橋貴志役の賀来賢人はドラマのリレーブログで「35歳くらいまでは、三ちゃんできるんだけどなぁ。プロデューサー、なんとかなりませんか?」とつづった(賀来は現在29歳)。福田雄一監督は「とにかく、まだたくさんやれることあるなあという気分です。あとは日テレさん次第ですかね(笑笑)」というコメントを発表した。
ドラマ版は、三橋も伊藤もまだ高校を卒業していない。サイパム編、軽井沢編、修学旅行編、埼玉編など未実写化の重要エピソードは数多い。中野誠、高崎秀一、田中良、森川涼子といった超重要キャラも温存中である。図らずも、それらの事実はシーズン2スタートの理由として機能する。
ドラマ版『今日から俺は!!』の最終回は、漫画とは異なるものだった。しかし、原作の内容を織り交ぜつつ、うまい落としどころだったと思う。主人公2人がまだ卒業していないのも奇跡的だ。
あと、やはり相良の描き方である。相良の狂気を巧みにテレビサイズへ収めていた。相良と智司の“その後”もスピンオフで見てみたい。
期待を募らせるには十分。ドラマ版『今日から俺は!!』、いい着地点だった。
(文=寺西ジャジューカ)
12月16日に放送された『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の第10話。今回の最終話で描かれたのは、2つの友情だ。
ヤクザの若頭・月川(城田優)と対決した伊藤真司(伊藤健太郎)は、月川に圧倒的な差を見せつけられる。左手しか使わない月川にボコボコにされたのだ。顔を血で染めながら伊藤は言った。
「覚えとけ。三橋はなあ……三橋は俺より強えぞ」
ヤクザの事務所に乗り込んだ三橋貴志(賀来賢人)と伊藤。今度は三橋が月川と対決し、そこでは三橋が月川を圧倒! 両手両足を使って本気を出す月川に余裕で対処し、打撃を打ち込みながら涼しい表情だ。三橋は月川に言い放った。
「言っとくけどなあ、ウチの伊藤は俺より強えぜ。テメエが左手一本しか使わねえから本気出せなかっただけ。優しい男だからさ」
これぞ、『今日から俺は!!』の世界観。謙遜してるのでも、伊藤を立てているのでもない。「左手一本の相手に本気を出せない」という評価は、伊藤の性分を端的に言い当てている。相棒の腕っぷしと優しさを認める三橋の言葉だ。
伊藤が三橋に向ける友情も厚い。今度は三橋にピンチが訪れた。赤坂理子(清野菜名)が人質にとられたため、相良猛(磯村勇斗)に抵抗できず、ボコボコにされたのだ。身を盾にして理子をかばいながら三橋が口にしたのは「絶対、あいつが来っからよ」という言葉だった。そして、本当に伊藤が助けに来た。
原作では、大ケガを負いながら救出へ向かう伊藤を心配した早川京子(橋本環奈)が彼を制止し、そんな京子を伊藤は振り切る。
「どけよ。ピンチ……なんだぜ、アイツが。今、俺を助けに来ねーってことは……俺を……待ってるんだ。ここで行かない奴は、伊藤じゃ……ないぜ」
実はここ、原作派が最も楽しみにするくだりだった。でも、ドラマ版では描かれていない。伊藤と京子のイチャイチャへつなげるため、あえて削ったのかもしれない。ならば、もう野暮なことは言うまい。こんなに優しいし、こんなに強い。三橋の言う通りの男だ。
相良と対峙した伊藤は満身創痍の体で相良をKO、三橋と理子の窮地を救った。
三橋 「さっき……チュー、できたななあ」
理子 「バカ」
伊藤 「来なきゃ良かったよ……」
もうひとつの友情は、相良と片桐智司(鈴木伸之)である。
「天下の開久が女盾にして半端やってんじゃねえぞ。テメエら、開久のプライド忘れたんか、コラ!」
京子を人質にとる開久たちにボコボコにされる伊藤を救い、不良らを蹴散らしたのは開久の前番長・智司だった。
伊藤にやられ立ち上がれない相良の元へ、智司がやって来た。
智司「相良。どっか遠くの街行って、2人で働こうぜ」
相良「フッ。こんな俺を許すのかよ」
原作の相良の狂いっぷりは、タガが外れている。危険の次元がほかのキャラに比べ、1人突き抜けている。彼がいなくなることにより、三橋たちの世界に平和がもたらされる。招かれざる存在。だから、相良の“その後”について描く必要はない。本来は、そんな男だ。
そういう意味で、智司が「どっか遠くの街行って、2人で働こうぜ」と手を差し伸べた事実が深いのだ。智司がそばにいることで、あんな相良にも未来があるとにおわせてくれる。そもそも、三橋&伊藤を認める智司に納得いかなかった相良が、軟高と開久の抗争を巻き起こした。始まりは、智司との友情をこじらせたがゆえの嫉妬だったのである。
いつもはオープニングで流れる「男の勲章」のライブシーンが、最終話ではエンディングに配された。ニクい。客席に開久がいるのだ。最前列には、ノリノリになっている相良と智司の姿が。クシャクシャの笑顔ではしゃぐ相良。あんなにメチャクチャだった相良も、三橋らと仲良さげである。
原作の相良は狂人だったが、ドラマ版の相良にはどこか憎めないところがあった。つまり、演じる役者に力量があったということ。相良役の磯村勇斗が、こんなに逸材とは思わなかった。このドラマのMVPには、磯村を挙げたい。
『ひよっこ』(NHK総合)や『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)などで実績を積んでいる彼だが、『今日から俺は!!』を契機に、これから番手を上げていく気がする。エンディングでのギャップも含め、磯村の演技には多くの人がハートをつかまれた。
最終話の視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。同時間帯にテレビ朝日で放送された『シン・ゴジラ』は9.7%だったので、まさに圧勝だ。SNSでの盛り上がりを加味すれば、もはや軽く社会現象といえるだろう。
そこで期待されるのは、やはり続編である。三橋貴志役の賀来賢人はドラマのリレーブログで「35歳くらいまでは、三ちゃんできるんだけどなぁ。プロデューサー、なんとかなりませんか?」とつづった(賀来は現在29歳)。福田雄一監督は「とにかく、まだたくさんやれることあるなあという気分です。あとは日テレさん次第ですかね(笑笑)」というコメントを発表した。
ドラマ版は、三橋も伊藤もまだ高校を卒業していない。サイパム編、軽井沢編、修学旅行編、埼玉編など未実写化の重要エピソードは数多い。中野誠、高崎秀一、田中良、森川涼子といった超重要キャラも温存中である。図らずも、それらの事実はシーズン2スタートの理由として機能する。
ドラマ版『今日から俺は!!』の最終回は、漫画とは異なるものだった。しかし、原作の内容を織り交ぜつつ、うまい落としどころだったと思う。主人公2人がまだ卒業していないのも奇跡的だ。
あと、やはり相良の描き方である。相良の狂気を巧みにテレビサイズへ収めていた。相良と智司の“その後”もスピンオフで見てみたい。
期待を募らせるには十分。ドラマ版『今日から俺は!!』、いい着地点だった。
(文=寺西ジャジューカ)
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