亡父と妻の肉体関係を暴きたい――『砂の上の植物群』の色あせない真っ直ぐな性愛

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『砂の上の植物群』(新潮社)

■今回の官能小説
『砂の上の植物群』(吉行淳之介、新潮社)

 子どもの頃、なにげなく書店や図書館などで手にした本。その中に、官能的な表現が描かれていて、驚いた記憶はないだろうか? 筆者がこの本を手にしたのは、ちょうど中学生の頃。手当たり次第に本を読みあさっていた時に出会った吉行淳之介の『砂の上の植物群』(新潮社)この本には、当時の私が知らない男女の世界が書かれていた。ドキドキしながらページをめくっていた私は、いけない世界に踏み込んでしまった罪悪感を得る半面、幼いながらに大人の世界を垣間見てぞくぞくした覚えがある。

 本書は、私が産まれる前の1964年に発表された作品。主人公は、40歳前後のセールスマン・伊木一郎。彼は、最近完成された塔の上で不思議な少女と出会う。真っ赤な口紅を塗った女子高生、明子。彼女の姿は、一郎が以前働いていた定時制高校の教え子、朝子を連想させる。定時制高校に通い、居酒屋で働いていた朝子も、明子と同じように真っ赤な口紅をしていた。