「当選権利は対象?」「サイン会は?」「ディズニーランドは?」チケット転売規制法を弁護士がスッキリ解説!

 6月に施行され、東京オリンピックのチケットも関係する「チケット転売規制法」。弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士から前回(記事はこちらから)「そもそもこの法律は消費者保護が目的ではない」という意外な事実を伺った。引き続き今回は、チケット転売規制法の詳細について見ていきたい。

 

ポイント①双方向でなく「一方通行」の興行が対象

――チケット転売規制法の対象となるのは、どのような興行なのでしょうか。

山岸純弁護士(以下、山岸) 「この法律において「興行」とは、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせること」とあります。

 よって、飛行機、新幹線といった交通チケットは対象外です。ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンといったレジャー施設の入場券も「見せる、聴かせる」でなく体験させるタイプのものなので対象外です。

――握手会やサイン会のチケットは含まれないとみていいのでしょうか。

山岸 アイドルと握手をしたり、サインをするのは芸能を「見せる、聴かせる」ではないので、対象外でしょうね。見せるだけ、聴かせるだけといった「一方通行感」がポイントです。

 

ポイント②反復する意思があるとアウト!

――法律を見ると、業(ぎょう)として興行主やその委託を受けた販売業者の事前の同意を得ないで、販売価格を超える金額で(チケットを)有償譲渡すれば、売り手、書い手ともに罰せられる。とありますね。「業」って、なんなんでしょう?

山岸 法律上の業とは「ある動作を反復継続する意思があるか、実際にそれをやっているか」ということです。車で人を轢いてしまう罪を、今は自動車運転致死傷罪と言いますが、以前は業務上過失致傷罪と言っていました。この業務上という言葉も「業」と同じです。車の運転は「繰り返し」するものですよね。別に営利目的でなくても、何回も繰り返そうとしている行動であれば「業」にあたります。

――なぜ無職の人が車で人を轢いたときに「業務上過失致傷罪」になるのか不思議だったのですが、「仕事中」でなく「繰り返す行為」という意味なんですね。

山岸 はい。法律上の業は「何度も繰り返す」という意味です。ただ、営利目的であればそのこと自体で既に「業」にはなりますね。営利目的ならば「何回も繰り返す」ことが想定されますから。

――つまり、何回も転売を繰り返す職業としてのダフ屋は、当然チケット転売規制法において「業」となり、アウトなんですね。ダフ屋は定額より高い金額でチケットを売ったらアウトだし、ダフ屋から定額より高い金額で購入した人もアウトだと。

山岸 はい。しかし「今回一回だけ、どうしても金欠なので、チケットを1万円で売りました」という場合は「業」にはあたりません。

 ポイントは「繰り返し」です。定価からどれだけの金額を上乗せしたかは全く関係ありません。500円のチケットを510円で売ったとして、それを繰り返し行えば「業」ですし、個人が一回きりで5,000円のチケットを10万円で売っても、それは業には当たりません。

――そうなると、チケット転売規制法ができても「一回きり」で高額転売をする人は規制の対象にならないということですね。歯がゆい気もしますが……。

山岸 前回(記事はこちらから)でお話した通り、チケット転売規制法が保護する対象は「高額チケットで苦しむ個人」でなく「興行主」です。個人の一度きりの転売を規制するのではなく、それよりも数が多いであろう「業」として転売を続ける業者を規制の対象としているのです。

――チケット転売規制法における対象のチケットは、
「興行主やその委託を受けた販売業者が、販売時に
A:同意のない有償譲渡を禁止し、
B:入場資格者又は購入者の氏名・連絡先を確認した上で、
ABが券面などに表示されている興業であり、かつ興行の日時・場所のほか、入場資格者又は座席が指定されているもの」とあります。

 近年は転売防止のため、指定席でも座席が当日にならないと判明しないチケットもありますが、こういったチケットも規制の対象でしょうか?

山岸 はい。上記ABの条件に該当していれば、座席が当日にならないとわからないチケットも規制の対象です。

 

 

ポイント④「チケット」ではなく「当選権利」は規制の対象?

――チケットそのものではなく「あなたはこのコンサートに当選しました。 いつまでに●●円を振り込み、その際に今回の整理番号を入力してください」というような「当選権利」が当たるケースもあります。振込票番号を入力し、代金を支払った後チケットが発券される形になります。こういったチケットになる前の当選権利は、チケット転売規制法の対象になるのでしょうか。

山岸 当選権利は対象外ですね。この法律が規制する対象は「チケット(電子チケットの場合も含む)」です。 「当選権利」は「チケット」ではないからです。

――似たようなものにも思えるのですが、なぜでしょう?

山岸 処罰がある法律は「類推解釈」してはいけない法律の原則があります。チケット転売規制法では、9条で「(違反した場合)一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています。 よってこの法律では「チケットでは」と特定されているため、当選権利までの類推はできないのです。

――ほかに、チケット予約を本人に代わって代行するサービスもありますが、ではこちらもチケット転売規制法の対象ではないですよね。

山岸 はい。チケットを取ることを本人に代わってやっているだけであり、今回の法律の対象外です。

 

ポイント⑤チケットに抱き合わせて販売はセーフ?

――チケットに支払手数料や送料等を抱き合わせるのは問題ないでしょうか。

山岸 この法律における不正転売の定義はもともとのチケットの販売価格を超えて売ることになります。ただ、支払手数料や送料は付随する話なので、問題ないでしょう。

――では、チケットにグッズ等を抱き合わせるのはどうでしょうか。

山岸 100円のブロマイドをつけて、チケットが5,000円の場合、5,100円で売るのは問題ありません。ただ、5万円で販売したら、アウトでしょうね。

* * *

 チケット転売規制法が施行されても「業として」ではない、一回きりの個人の転売は今まで通り問題ないのだ。では、チケット転売専用サイトやメルカリ、twitterといった、個人間の売買時によく使われる「ウェブサービス」は罪に問われないのだろうか? 引き続き山岸弁護士に伺う。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

チケット転売規制法は「高額チケットに苦しむ国民救済」が目的じゃない! 弁護士がスッキリ解説

 東京オリンピックを視野に6月に施行される「チケット転売規制法」。チケットの高額転売はあとを絶たず、中学生がジャニーズのチケットを売るフリをして金をだまし取り、書類送検される事件も起きている。高額チケット転売はもはや見過ごせない社会問題であり、困っている国民のためこの法律が施行されると思っている人も多いかもしれない。

 しかし、弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士によると「報道のされ方でそう思っている人がほとんどですが、そういう趣旨の法律ではないんです」とのこと。読めばスッキリ、チケット転売規制法がこれでわかる!

 

高額チケットに苦しむファンのための法律ではない

――「チケット転売規制法」は転売された高額チケットに苦しむ国民のための法律ではないのでしょうか。

山岸純弁護士(以下、山岸)はい。この法律は「消費者のためのもの」ではないんです。

 なお、政府の電子図書館において「チケット転売規制法」はまだ正式なものにはなっておらず、現時点では衆議院のホームページに出ている「案」に基づいて説明します。

※ 衆議院ホームページ:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律

 この法律は「興行主」、例えばジャニーズアイドルのコンサートなら「ジャニーズ事務所」を守るためのものなんです。

 

ほとんどの人が誤解している「プロバイダー責任制限法」

山岸 報道のされ方で誤解されている法律は他にもあります。例えば、「プロバイダー責任制限法」もそうですね。「2ちゃんねるなどで名誉毀損の書き込みをされた人が、プロバイダーに対し、書き込んだ人のIPアドレスに紐づいた個人情報の開示請求をすることができる法律」と理解している方も多いかと思います。

――そう思っていました。「名誉毀損された人を守るための法律」という印象を受けます。

山岸 報道を見ると確かにそう思ってしまいますよね。でも、実際は違います。そもそも名称が「プロバイダー責任制限法」であり、プロバイダーの責任を制限する、つまり“プロバイダーを守るため”の法律なんです。

 流れで見ていきましょう。まず、ネット上で名誉毀損された人はプロバイダーに書き込んだ人の個人情報を教えてほしいと言います。ただ、プロバイダーは素直に教えていいか迷いますよね。守秘義務だってありますし。書き込んだ人から「なんで勝手に教えるんだ」と報復される可能性もある。

 そのためプロバイダーは、書き込んだ人に「名誉毀損された人にあなたの個人情報を教えていいですか?」と聞くんです。そこで書き込んだ人が「教えてはダメ」と言えば、プロバイダーは個人情報を名誉毀損された人に教えなくていい。

 この一連の手順を踏みさえすれば、プロバイダーは名誉毀損された側に「なんで書き込んだ人間の個人情報を教えてくれないんだ! このプロバイダーを訴えてやる!」と言われても、損害賠償などの責任を負わなくていい、というのがこの法律の趣旨なんです。

――でも、書き込みをした人にしてみれば、自分の個人情報なんて当然教えたくないですよね?

山岸 はい。ですので、プロバイダーから名誉毀損された人に対して「書き込んだ人は自分の個人情報を教えたくないと言っている」という情報が通知されたあと、名誉毀損された人は個人情報開示のための裁判を起こすことができます。

 そうすれば裁判官によって、それぞれの事例が名誉毀損にあたるかどうかの判断が行われ、個人情報の開示が必要な場合は、裁判所からプロバイダーに開示するよう指示がいきます。「裁判所に言われたから個人情報を開示しました」となれば、書き込んだ人もプロバイダーに対して何も言えないですよね。

 チケット転売規制法の話に戻りますが、この法律でも同じような認識の間違いがあるんです。「高額でチケットを買わざるを得ない国民を救済する」ためではなく「興業主が、コンサートのチケット定価が5,000円であったら、その金額で行き渡らせるようにする」ための法律なんです。

――興行主は、なぜ定価でチケットを行き渡らせたいのでしょうか? 転売され高額になろうとも、その分は興行主の儲けには関係ないですよね。

山岸 それを理解するために、また別の法律、さまざまな経済活動を規制する「独占禁止法」についてお話します。独占禁止法には「廉価販売」の禁止があります。簡単に言えば、仕入れ価格より安く売ってはいけないよ、ということです。なぜだかわかりますか?

――消費者にしてみれば「安ければいい」とも言えますよね。

山岸 そうですね。でも法律というものは、とても広く、長期的な視野で考えているんです。

 例えばA、B、C社が原価が80円の中華まんを100円で売っていたとしましょう。 しかし、A社が70円で売り出す廉価販売をしたとします。こうなると国民が皆、A社の安い中華まんを購入しますよね。結果、 B、C 社は潰れてしまい、中華まん業界はA社の独占になってしまいます。ライバルがいなくなったのを見計らって、A 社が中華まんを120円に値上げするかもしれないですよね。それを防ぐために廉価販売をあらかじめ禁止しているんです。

 チケット転売規制法も考え方は似ています。ある興行主が「うちのアイドルの定価5,000円のチケットが5万円でじゃんじゃん転売されているが、うちとしては全く構わない」と言い切れるのであれば、構わないんです。でも、そのような状況が続いたらどうなるでしょうか。

――ファンは金にものを言わせるつらい消耗戦になるでしょうね。さらに「このアイドルのチケットはまず定価で入手できず、転売で相当高額になる」という情報は今はTwitterなどのSNSですぐ知ることができますから、新しくそのアイドルのファンになりかけた人がその過酷な争奪戦を知り、やっぱり本格的にハマるのはやめとこう、となるかもしれないですね。

山岸 そうなんです。転売されず高く買わずに済む他の興行主のアイドルの方がいいや、と競合に流れていってしまう可能性だってあります。それでは興行主側も困るわけです。

 チケット転売規制法は、直接的にはチケットを定価で売ろうとする興行主を守ることが趣旨です。ただ、法律は一番大きく考えれば広くあまねく国民のためです。そういった意味では国民のため、という論調のマスコミも間違ってはいないんですけどね。「直接的には業者のため、でも広く考えると国民のためである」という階層の構造をしているんです。

 このチケット転売規制法も含め、近年の法律は「目的」欄がありますから、そちらを見ると、誰のための法律なのかすぐわかりますよ。

――プロバイダー責任制限法はプロバイダーのため、チケット転売規制法は興行主のため。となると「特定の被害を受けて困っている個人たち」のために作られる法律というのは、ほとんどないのでしょうか。

山岸 ほぼないです。法律は特定の個人を守るものではなく「一般抽象的な国民のためのものである」と法学部の学生は憲法の授業で学びます。

* *

「誰に向けた法律なのかを理解すること」「法律は「特定の個人」ではなく、広くあまねく国民のため」――法律のこの二つの原則を理解すれば、チケット転売規制法にかかわらず、今後さまざまな法律が出ても理解の指針になるはずだ。次回も山岸弁護士に、より詳細に「チケット転売規制法」について伺っていく。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

美し過ぎる〇〇に乗っかりたいおじさんが勝海麻衣を生んだ? 騒動の裏にある問題2つ

「美し過ぎる銭湯絵師」勝海麻衣氏がライブペインティングイベントにおいて、イラストレーター猫将軍氏の作品に酷似した絵を描いた騒動は収まる気配を見せない。東京五輪に合わせ都が展開する文化イベント『Tokyo Tokyo FESTIVAL』のうちの一つが銭湯のペンキ絵のアートプロジェクト『TOKYO SENTO Festival 2020』だ。そこから勝海氏は「このイベントにあわせプロデュースされた存在なのではないか」という疑惑もネット上でささやかれている。勝海氏騒動の裏にある問題を考えていきたい。

そもそも、銭湯は減っている――銭湯に行ったことがないのに銭湯が懐かしいのはなぜか

 東京オリンピックに合わせ、日本文化を世界に発信したいという思惑はよくわかる。リオオリンピックの閉会式でもバトンを渡された安倍晋三首相がマリオのコスプレをしていたが、アニメや漫画、ゲームといった「クールジャパン」の方がよほど銭湯より外国人にとってもメジャーだろう。

 しかし一方で、こういった文化についていけなかったり、拒否感を示す層も一定数いるのはわかる。オタクであっても、国が主導となりクールジャパンを展開することを嫌がる人もいるだろう。一方で「銭湯」は真逆の強さがある。老若男女にフィットできるノスタルジーがあるのだ。「三丁目の夕日」は令和でも強い。

 しかし「銭湯のノスタルジー」といいつつ、私は一度も銭湯に行ったことがない。スーパー銭湯や健康ランドしか行ったことがなく、こういう人は少なくないはずだ。

※銭湯は都道府県ごとに入場料の規定があり、東京都の場合大人は460円。一方スーパー銭湯や健康ランドなどは値段の規制がない。

 なぜ銭湯に行ったことがないかというと、近所にないからだ。そして事実、銭湯の数は減り続けている。東京都の情報サイト「東京くらしWEB」を見ると、平成17年には1,025あった東京都内の銭湯は、29年には562軒と、12年でほぼ半減している。

 行ったことのない場所、したことのない経験に懐かさや情緒を感じるのは人間の想像力のすばらしさでもあるが、ノスタルジーをくすぐられて、なんかいい、となった状態は思考停止にもつながりかねないという過去の事例に「江戸しぐさ騒動」がる。

 江戸しぐさとはNPO法人江戸しぐさが提唱・普及しているもので、雨の日に道ですれ違うとき、互いの傘を外側に傾け相手が濡れないようにする「傘かしげ」などが紹介されており「江戸時代の商人たちのマナー」としてACジャパンのCMでも紹介された。「いい話」ではあるのだが、江戸時代にそういったしぐさが実在していたという歴史的証拠はない、と騒動になったのだ。

 アニメや漫画やゲームは嫌いな人もいる。一方「何か懐かしくて、歴史的な情緒があって好ましいもの」の前では多くの人は「なんかいいよね」になってしまう。実際の銭湯に一度も行ったことがないのに、数十年続いた銭湯の最後の一日がテレビで放送されると、体験したことがない懐かしさが失われてしまうことに涙するのだ。

 そのノスタルジー自体は何ら悪くないが、一方で、金を稼ごうとする人にしてみれば、受け取る側が深く考えなくなりがちなノスタルジー領域はビジネスチャンスになるのではないだろうか。

 もちろん銭湯にかかわる人たちのほとんどは真っ当に仕事をしているのだろうが、今回の騒動には「銭湯のノスタルジー」が利用された体は感じる。

 そもそも、銭湯絵師はすでに複数いる中でなぜ勝海氏というニュースターが必要だったのだろうか。銭湯絵師としての実績が不足していた勝海氏は、すでに銭湯絵師として活躍してきた丸山清人氏の弟子、見習いという体で紹介されていた。(※現在勝海氏と丸山氏の師弟関係は解消されている)。

 産経新聞のニュース記事『現役モデルの大学院生、銭湯絵師に弟子入り』によると、勝海氏が丸山氏に弟子入りしたのは平成29年9月。2年もたたない間に、多くのメディアが勝海氏を取り上げ、ビーツ・エレクトロニクスのイヤフォンのCMに出るなど、露出が激増する。しかし「弟子」がこれほどピックアップされる芸術ジャンルはなかなか他が思い浮かばない。

 このため「失われゆく日本のノスタルジー、銭湯。銭湯絵師として活躍してきた高齢の師匠の想いを、現役藝大生が引き継ぐ。そして東京五輪に関連するプロジェクトに抜擢される(しかも美人)」というストーリーありきで進められているのではないかという疑惑もささやかれているのだ。

 これはあくまで疑惑だが、もしこの疑惑を成し遂げようとするなら、いち大学生である勝海氏一人の働きでは無理だろう。さまざまな後ろ盾がいたはずだ。そしておそらく、そういった後ろ盾にとっては、すでに活躍している現役の銭湯絵師たちよりも「美し過ぎる銭湯絵師見習い」の方が「イケる」と思ったのだろう。

 このような騒動に発展し、勝海氏は今後、表舞台には出てくるのはかなり難しくなるはずだ。一方で、この「美し過ぎる銭湯絵師プロジェクト」を画策した人たち(疑惑だが)が無傷なら、勝海氏だけが矢面に立たされすぎではないかと思う。

 

結局「美し過ぎる〇〇」は誰も幸せにしない

 今回の騒動の根底に感じるのは「美し過ぎる〇〇」の風潮の罪深さだ。脚光を浴びるのは「美し過ぎる〇〇」、つまり「若くてかわいい女子」じゃないとダメな風潮は若くてもかわいくない女子を絶望させるし、若くない人を絶望させるし、男性も絶望させる。

 一方で「美し過ぎる〇〇」は若くてかわいい女子にとっては朗報なのかと言えば、若くてかわいいだけでもダメで、美し過ぎる「〇〇」である必要があるのだ。「銭湯絵師」などノスタルジーもあって最高の「〇〇」だろう。さらに勝海氏の場合美しさの根拠として「モデル」であることと、学術的根拠として「東京藝大院生」がある。勝海氏のプロフィールに並ぶ字面はとんでもなくハイクオリティだ。

 勝海氏が院に在籍する東京藝大には東京五輪と相性のよさそうな日本画や和楽器を専攻している学生もいそうだが、そういったものはおそらく、取り上げる側からしてみれば「普通すぎて面白くない」のだろう。銭湯絵を選んだ勝海氏自身もそういったことに自覚的だったのかもしれない。

 だが「美し過ぎる〇〇」における「美しさ」は「若さ」とイコールといってもよく、若さなど日々失われていく。1994年生まれの勝海氏が、本来絵を描いていればいいはずの銭湯絵師なのに、己の美しさの期限に対して焦りがあったのだとしたら、結局「美し過ぎる〇〇」は誰も幸せにしないのだろう。

 どんな絵を描いたのかという「コンテンツ」でなく誰が描いたかという「キャラクター」が重視される。そしてキャラクターは若く美しい女性で、ギャップがあるほど目を引くから「美し過ぎる銭湯絵師」になる。こういったことに頼ったり、加担することの反省がない限り、また別のシーンで第二、第三の勝海氏が生まれるのではないだろうか。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/])

駅のロッカーに無記名の同人誌封筒を入れるだけ! 進化する同人誌自家通販

 同人誌はコミックマーケットなどのイベントで頒布されるのがメジャーだが、通販を行うサークルも多い。「とらのあな」など各種通販販社もあるが、自宅から発送する「自家通販」派もいる。近年は住所や氏名などを先方に明かさずに通販する方法もあるのだ。さらに今は駅のロッカーから同人誌を送ることすらできる。進化を続ける最先端の配送方法を実践してみた。

 

個人情報を出さずに同人誌を送付できる「あんしんBOOTHパック」

 私はオフ同人活動を4年前から行っており、当初はイベントで頒布した残部を通販会社に委託して販売してもらっていたが、今は自家通販を行っている。

 イラストコミュニケーションサービスPixivでは、BOOTHと呼ばれる通販プラットフォームも提供している。その中には自分の住所や氏名などの個人情報を明かさずに同人誌のやりとりができる「あんしんBOOTHパック」なるものもある。

 あんしんBOOTHパックの概要や、梱包グッズのそろえ方など詳しくはこちらに書いている(参照記事:住所や本名を知らせずに同人誌を自家通販できる! あんしんBOOTHパックを試してみた)。

 私は二次創作の小説を書いており、今まで7冊の同人誌を出したが、それぞれ発行部数は30~100冊だ。100冊は調子こいて刷りすぎてしまったケースであり、在庫が押し入れで隠しきれない存在感を放っている。30~50冊が、しみじみと火傷しないちょうどいい部数だ。

 私はイベントには年1回か2回しか参加しないし、飽き性なので二次創作の対象ジャンルがころころ変わる。出した7冊の同人誌のジャンルは4つになり、ジャンルによっては1冊しか同人誌を出さなかったケースもある。

 ジャンルが変わると、旧ジャンルの同人誌はほぼイベントでは手に取られなくなってしまう。これは、イベントはジャンルごとに配置場所が異なるというのがとても大きい。よって旧ジャンルほど通販は生命線になる。晴れてこの間、旧ジャンルの同人誌のひとつが完売になったが、通販なしで完売はあり得なかっただろう。

 

従来のあんしんBOOTHパックの弱点「コンビニだと微妙に面倒」

 BOOTHが提供する匿名で自家通販できる「あんしんBOOTHパック」は、コンビニからでも同人誌が送れるのが魅力だが、コンビニで送ろうとすると微妙に手間だった。

【コンビニであんしんBOOTHパックを送る流れ】

(1)コンビニの端末(チケットを発券するあの機械)にBOOTHからのQRコードをかざす

(2)レシートが出てくるのでそれをもってレジへ行く

(3)レジで店員がレシートから「宛先(匿名配送なのでそれ見ても送付先の住所はわからない)」を発券するのを見守る

(4)発券された宛先と、「宛先を入れるシール状の袋」を店員から渡されるので、同人誌が入った封筒にシール状の袋を貼り、その中に宛先を入れる。店員はその工程を見守る

(5)店員に封筒を託す

 どんなに早くやろうと思ってもトータルで2分はかかる。(3)(4)で店員さんと私が互いに見守り合う工程があるのと「宛先」をわざわざシール状の袋に入れる形式にしたのかがしみじみと謎だ。

 最初から「宛先をシール1枚にする」にするか、いっそ端末が出したレシートを封筒に貼るだけにすれば一連の工程は大幅に短縮できただろう。ヤマト運輸の偉い人の都合でこう決まったのだろうが、いざコンビニでそれをやる側としては、往年のアニメの名台詞「偉い人にはそれがわからんのですよ」とぼやく絶好の機会の到来だ。

 このやり方は手間であることを公式も承知の上なのか、あんしんBOOTHパックの案内には“なるべく空いている時間にコンビニを利用してね”という旨が書いてあるが、コンビニは昼時などを外してもそれなりに人がいる。R-18のボーイズラブ同人誌が入った封筒にシール状の袋を貼っている間に、後ろに人があれよあれよと並んでしまうと焦ってしまうし、特に送るものが複数ある場合、焦りはミスにもつながりかねない。

 もう少し心穏やかに同人誌を送りたいと思っていたが、21世紀は便利すぎる。その手法もすでに開発されていた。

 それが当記事画像の宅配ロッカー「PUDOステーションだ」。駅や商業施設、駐車場などに設置されており、さまざまな宅配業者の荷物をそこで受け取ることができる。マツコ・デラックスもヤマト運輸のTVCMで不在届を手に宅配便のお兄さんに詫びていたが、不在届は心苦しいものだ。小さなものであれば通勤や通学で使う最寄り駅の宅配ロッカーで受け取れれば互いに楽だろう。

 さらにPUDOステーションはあんしんBOOTHパックと提携しており、「発送する」こともできるのだ(※PUDOステーションを利用した「発送」は提携事業者のみ対応。BOOTHのほか、メルカリなども対応している)。

 PUDOステーションを利用したあんしんBOOTHパックの利用方法は以下の通りになる。

(1)PUDOステーションの端末にBOOTHで発行されたQRコードをかざす

(2)荷物の大きさなどを端末で操作

(3)ロッカーが開くのでその中に同人誌の入った封筒を入れる。封筒には何も貼る必要なし。

 同人誌の入った封筒をロッカーに入れるだけであり、コンビニで発送するときの半分以下の時間で済む。何より目の前に店員さんもいなければ後ろに人が並ばれることもまずないため、プレッシャーなくのびのびと作業ができるのがいい。

 特にいいのが「送る同人誌が複数あるとき」だ。あの人には同人誌AとBを、この人には同人誌Cを送る、というときは決して間違えられない。BOOTHでは同人誌の注文ごとにQRコードと、数字のコードが発行される。そのため私は同人誌を入れた封筒に数字のコードを書いた付箋を張り付けておいて、発送の際、QRコードをかざすたびにコードを読み上げて、付箋とあっているか指さし確認をしている。無人のため、心配性の人も気の済むまで確認し放題なのもいい。

 

令和のこれから、オフ同人は最高にやりやすい

「昨今、オフ同人をやりにくくなった」という意見をTwitterなどで見るが、この手の人たちはSNSでの他人の動向や自身の反響をかなり気にしているケースが多い。そういう人にとってこの高度情報化時代におけるオフ同人は、売れっ子もしくは交流厨でなければ相当シビアなものに見えるだろう。

 しかしそれ以外の要素に目を向ければ、印刷料金はかつてよりは安くなったし小口でも印刷できるし、配送の封筒なども100円ショップですべて揃うし、フリーの画像ソフトも充実しているし、こうして自宅から完全匿名で発送もできるようになっている。私は10年前ならオフの同人活動は面倒すぎてやろうと思わなかっただろう。気にしなければ今は、有史以来最高にオフ同人をやりやすい時代ともいえる。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/]

 

駅のロッカーに無記名の同人誌封筒を入れるだけ! 進化する同人誌自家通販

 同人誌はコミックマーケットなどのイベントで頒布されるのがメジャーだが、通販を行うサークルも多い。「とらのあな」など各種通販販社もあるが、自宅から発送する「自家通販」派もいる。近年は住所や氏名などを先方に明かさずに通販する方法もあるのだ。さらに今は駅のロッカーから同人誌を送ることすらできる。進化を続ける最先端の配送方法を実践してみた。

 

個人情報を出さずに同人誌を送付できる「あんしんBOOTHパック」

 私はオフ同人活動を4年前から行っており、当初はイベントで頒布した残部を通販会社に委託して販売してもらっていたが、今は自家通販を行っている。

 イラストコミュニケーションサービスPixivでは、BOOTHと呼ばれる通販プラットフォームも提供している。その中には自分の住所や氏名などの個人情報を明かさずに同人誌のやりとりができる「あんしんBOOTHパック」なるものもある。

 あんしんBOOTHパックの概要や、梱包グッズのそろえ方など詳しくはこちらに書いている(参照記事:住所や本名を知らせずに同人誌を自家通販できる! あんしんBOOTHパックを試してみた)。

 私は二次創作の小説を書いており、今まで7冊の同人誌を出したが、それぞれ発行部数は30~100冊だ。100冊は調子こいて刷りすぎてしまったケースであり、在庫が押し入れで隠しきれない存在感を放っている。30~50冊が、しみじみと火傷しないちょうどいい部数だ。

 私はイベントには年1回か2回しか参加しないし、飽き性なので二次創作の対象ジャンルがころころ変わる。出した7冊の同人誌のジャンルは4つになり、ジャンルによっては1冊しか同人誌を出さなかったケースもある。

 ジャンルが変わると、旧ジャンルの同人誌はほぼイベントでは手に取られなくなってしまう。これは、イベントはジャンルごとに配置場所が異なるというのがとても大きい。よって旧ジャンルほど通販は生命線になる。晴れてこの間、旧ジャンルの同人誌のひとつが完売になったが、通販なしで完売はあり得なかっただろう。

 

従来のあんしんBOOTHパックの弱点「コンビニだと微妙に面倒」

 BOOTHが提供する匿名で自家通販できる「あんしんBOOTHパック」は、コンビニからでも同人誌が送れるのが魅力だが、コンビニで送ろうとすると微妙に手間だった。

【コンビニであんしんBOOTHパックを送る流れ】

(1)コンビニの端末(チケットを発券するあの機械)にBOOTHからのQRコードをかざす

(2)レシートが出てくるのでそれをもってレジへ行く

(3)レジで店員がレシートから「宛先(匿名配送なのでそれ見ても送付先の住所はわからない)」を発券するのを見守る

(4)発券された宛先と、「宛先を入れるシール状の袋」を店員から渡されるので、同人誌が入った封筒にシール状の袋を貼り、その中に宛先を入れる。店員はその工程を見守る

(5)店員に封筒を託す

 どんなに早くやろうと思ってもトータルで2分はかかる。(3)(4)で店員さんと私が互いに見守り合う工程があるのと「宛先」をわざわざシール状の袋に入れる形式にしたのかがしみじみと謎だ。

 最初から「宛先をシール1枚にする」にするか、いっそ端末が出したレシートを封筒に貼るだけにすれば一連の工程は大幅に短縮できただろう。ヤマト運輸の偉い人の都合でこう決まったのだろうが、いざコンビニでそれをやる側としては、往年のアニメの名台詞「偉い人にはそれがわからんのですよ」とぼやく絶好の機会の到来だ。

 このやり方は手間であることを公式も承知の上なのか、あんしんBOOTHパックの案内には“なるべく空いている時間にコンビニを利用してね”という旨が書いてあるが、コンビニは昼時などを外してもそれなりに人がいる。R-18のボーイズラブ同人誌が入った封筒にシール状の袋を貼っている間に、後ろに人があれよあれよと並んでしまうと焦ってしまうし、特に送るものが複数ある場合、焦りはミスにもつながりかねない。

 もう少し心穏やかに同人誌を送りたいと思っていたが、21世紀は便利すぎる。その手法もすでに開発されていた。

 それが当記事画像の宅配ロッカー「PUDOステーションだ」。駅や商業施設、駐車場などに設置されており、さまざまな宅配業者の荷物をそこで受け取ることができる。マツコ・デラックスもヤマト運輸のTVCMで不在届を手に宅配便のお兄さんに詫びていたが、不在届は心苦しいものだ。小さなものであれば通勤や通学で使う最寄り駅の宅配ロッカーで受け取れれば互いに楽だろう。

 さらにPUDOステーションはあんしんBOOTHパックと提携しており、「発送する」こともできるのだ(※PUDOステーションを利用した「発送」は提携事業者のみ対応。BOOTHのほか、メルカリなども対応している)。

 PUDOステーションを利用したあんしんBOOTHパックの利用方法は以下の通りになる。

(1)PUDOステーションの端末にBOOTHで発行されたQRコードをかざす

(2)荷物の大きさなどを端末で操作

(3)ロッカーが開くのでその中に同人誌の入った封筒を入れる。封筒には何も貼る必要なし。

 同人誌の入った封筒をロッカーに入れるだけであり、コンビニで発送するときの半分以下の時間で済む。何より目の前に店員さんもいなければ後ろに人が並ばれることもまずないため、プレッシャーなくのびのびと作業ができるのがいい。

 特にいいのが「送る同人誌が複数あるとき」だ。あの人には同人誌AとBを、この人には同人誌Cを送る、というときは決して間違えられない。BOOTHでは同人誌の注文ごとにQRコードと、数字のコードが発行される。そのため私は同人誌を入れた封筒に数字のコードを書いた付箋を張り付けておいて、発送の際、QRコードをかざすたびにコードを読み上げて、付箋とあっているか指さし確認をしている。無人のため、心配性の人も気の済むまで確認し放題なのもいい。

 

令和のこれから、オフ同人は最高にやりやすい

「昨今、オフ同人をやりにくくなった」という意見をTwitterなどで見るが、この手の人たちはSNSでの他人の動向や自身の反響をかなり気にしているケースが多い。そういう人にとってこの高度情報化時代におけるオフ同人は、売れっ子もしくは交流厨でなければ相当シビアなものに見えるだろう。

 しかしそれ以外の要素に目を向ければ、印刷料金はかつてよりは安くなったし小口でも印刷できるし、配送の封筒なども100円ショップですべて揃うし、フリーの画像ソフトも充実しているし、こうして自宅から完全匿名で発送もできるようになっている。私は10年前ならオフの同人活動は面倒すぎてやろうと思わなかっただろう。気にしなければ今は、有史以来最高にオフ同人をやりやすい時代ともいえる。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/]

 

イエベ、ブルベは半数が間違っている? 指原莉乃も行った女子界を揺るがすイエベブルベ論争とは

 今年の流行語ノミネート入りもしかねない「イエベ」「ブルベ」。女子界を揺るがすホットワードであり、HKT48・指原莉乃も自身のTwitterで「黄味肌ブルーベースウィンターマン爆誕」と自身を評している。イエベブルベとは、要はその人が何色が似合うかというカラー診断の指標のひとつで、ざっくり言えば金が似合うのがイエベ、銀が似合うのがブルベだ。しかし「このイエベブルベ判断は正直半数以上が間違っている」と、あるカラーリストは警鐘を鳴らす。詳しく話を聞いた。

似合う色を着るだけで顔は若返るし、似合わない色を着れば老け込む

 ここで「あるカラーリストの登場」なのだが、手前味噌だが引き続き出てくるのはこの原稿を書いているライター石徹白になる。しかし安心してほしい。私はライター以外に個人向けスタイリングの仕事をしており、カラー診断も仕事にしている。

 写真1がカラー診断のときに使う色の布の一部になる。さまざまな色の布をその人の胸元にあてると、顔色が明るくなりしわやくすみが目立たなくなる色もある一方、逆にほうれい線やクマやしわが目立ったり、白目が黄ばむ色もある。似合う色を顔回りにもってくるだけで「ライトちょっと飛ばしまくりの安藤優子アナ効果」が、ライトなしで得られるのだ。

 ここまで読んで「女子向けの話なんでしょ」と思う男性は損をしている。男性のスーツはほぼ紺、黒、グレーだが、ネクタイやそして私服はかなりの色幅があるはずだ。

 なお、ファッションの色に対するよくある誤解に「年を取ったら派手な色は厳しい」というのがあるがこれは違う。日本ボクシング連盟元会長、山根明氏はかなり派手なショッキングピンクのシャツを着こなしていた。一方、くすんだベージュのシャツを着ていたときは「おじいさん」という印象だった。派手色が似合う人は年をとっても似合うし、一方渋めの色を着こなす幼児もいる。似合う色は年齢に左右されず、その人に左右される。

【参考】山根明元会長に学ぶ、ミス時のダメージを最小限に抑えるための「普段のファッション」

 似合う色を知ればファッションもメイクも楽しくなる。そのためTwitterの美容アカウントを見ると、名前のあとにブルベやらイエベやらを聞いてもいないのに自己申告している人も多い。

 これは「これだから女はww」と女の自意識過剰を指摘しマウントを取ることが三度の飯より大好きな小姑系男子に向けた耳より情報ともいえるが、「聞かれてもいないのに自己申告」はジャンルが変われば男でも当然多いし、そもそもマウント野郎も含めSNS等で特定の相手ではないネット空間に聞かれてもいないのに何かを発信する人間は全員、お口にチャックができない出しゃばりクソ野郎なのだ。クソ同志、手に手を取り合い仲良くすべきだろう。

 当然自身を「黄味肌ブルーベースウィンターマン爆誕」と申告した指原も出しゃばりだが、出しゃばりじゃない指原など、体調が悪いのかと思ってしまう。そのあふれるエネルギーやガッツこそ、彼女を好きな人が「さすが指原! そこにシビれる! あこがれるゥ! 」となるポイントなのだろう。「らしさ」を発揮できているとき人は輝く。

 

イエベブルベの弊害①2分類では拾えない人が多い

 さて、自分がどの色が似合うかは「プロのところでカラー診断を受ける」という方法もあるが、昨今ではネットやアプリなどで自己診断できるツールも増えた。

 カネボウ化粧品の数多のブランドにおいて「ちょっといい方」くらいに位置し、それゆえオタクアカウントなどで「新色買った~」と写真付きで投稿しようものなら、投稿者の心の中では半月くらいドヤれそうなブランド「コフレドール」でも、イエベブルベ診断のページがある。

 ただしこういった自己診断イエベブルベツールは2つの意味でお勧めできない。まず一点目が「イエベ/ブルベ」というたったの2分類でやってしまう強引さだ。 

 カラー診断はいくつかの流派があり、有名なのは4分類。指原莉乃が受けたところは、発言から「肌色を黄み肌、青み肌に分けたうえでそれぞれに4分類がある」と推測され、おそらく8分類だろう。私も行っている10分類も行っている人は多い(もっと多いのもある)。

 何もカラーに限らず、分類数が少なければ少ないほど「強引にどっちかにくくる」ケースが増えてしまう。イエベブルべの2分割の場合「黄みがかった色が似合う(イエベ)か、青みがかった色が似合う(ブルベ)」というひとつの尺度しかない。

 ただ、色の尺度は「イエベかブルベか」だけではない。私の行う10分類の場合、それ以外に「鮮やかな色が似合うか、くすんだ色が似合うか」「薄い色が似合うか、濃い色が似合うか」という尺度もある。これらの尺度に該当する人は「イエベかブルベか」は関係ないのだ。これらの人が「イエベ/ブルベ」だけの尺度で診断すると、間違える。

 

イエベブルベの弊害②自己診断は「理想の自分」で診断してしまう~ブルベ女子はメンヘラか?

 続いて、昨今多いネットやアプリでの自己診断の欠点を挙げたい。

 これは何もカラーに限らず、心理系などさまざまな診断に言えるが、自己診断において完璧な客観性など期待できない。どうがんばっても大なり小なり「本来の自分」でなく「こうであってほしい自分」で測定してしまうだろうし、逆に自分を過小評価しすぎる人もいるだろう。こうであってほしい自分も、過小評価も本来の姿ではない。

 本来こういうのは自分でやるより、ある程度センスが信頼できる知人に診断してもらった方が間違いにくいと思う。

 そして女子の場合、えてして「イエベ」よりも「ブルベ」の方が格上っぽく見られがちという謎の不文律が存在する。これはおそらく「ブルベの方が色白が多そう」という印象によるものであり、ブルベマウントは21世紀版「色の白いは七難隠す」ともいえる。

 診断する側からすれば、イエベでも色白な人はいるし、ブルベでも色黒な人はいる。大体色白か色黒よりも、似合う色を適切に着ることの方がカラー診断においてよっぽどプライオリティは高いのであり「ブルベマウント」は悪しき風習だ。

 しかし一方で、自分が政権第一党にいるときに、あえて下位政党の苦しみに寄り添い、皆にとってよりよい未来を作っていくのかといえば、これは聖人君子でない限りなかなか厳しいだろう。

 例えば私はオタクであり、女子オタクにおいては確実に政権第一党である与党「腐女子」だ。同人イベントのカタログやPixivの検索結果を見ると議席の過半数以上を軽く超える心強さに「数こそ力、これこそが民主主義」とウットリ万歳三唱してだるまの目を埋めている。よってブルベ女子のイキりとて、急には止まれないのはわかる。

 ということで、2分類はダメ、自己診断もダメ、としてきたが、それでは自分に似合う色を知るにはどうすればいいのか。以下を勧めたい。

・10分類のところで受ける(「カラー診断 10分類」でググればいっぱい出てくる)
・中堅どころをいくつか受けて、多数決を取る

 なお、自己診断でなくプロにやってもらえば間違いないんでしょ? と思うかもしれないが、残念ながらそうとも言えない。私自身も診断の技術を覚える前に、ホームページ上で納得行く事例写真も豊富に出している有名なサロンでカラー診断を受けた。しかしそこでの結果にどうも違和感があり、別なところで受けたところ全く違う診断をされ、それでようやく腑に落ちたことがある。

 実際私のホームページで「パーソナルカラー診断を受けたのに、どうもピンとこない人に見て欲しいポイント」というコーナーがあるが、そこはアクセス数が安定して高い。安くもない金額を払い、誤診で首をかしげる人も多いのだと思うとつらいし、この人たちを診断した人たちは猛省したほうがいいだろう。

 これは少々乱暴な意見だが、結構高いところで一回診断する予算があるなら、それで中堅どころ3箇所を受けてみて多数決にするという手もあると思う。「事例をたくさん出しているところだから信頼できる」とも、残念ながら私自身の前述の経験からそうとは限らない。

 ただ一方で、こういったカラーの診断は一か月もすれば髪が伸びる美容室と違い、一度やればそれで終わりなので、高くなるサロン側の都合も提供する側としてはわかるのだが。

 あと、こういった世界でサロンを運営する人たちは仕事である以上「魅せ方」の超絶プロフェッショナルであり、たたずまいや言動に教祖的なカリスマ性を宿す人も多く、熱心な信者がついていて底上げ効果も凄まじいケースも多い。

 だからこそ、利用する側はウットリしそうなところを財布の紐を引き締めていってほしい。カリスマ性にウットリして財布がガバガバになるのはホストクラブならイケてる金の使い方だが、カラー診断なら重要なのは自身が納得いく診断結果を得ることだ。特に「血中信者濃度が高い」人は事前に冷水を3杯頭からかぶるくらいの冷静さが欲しい。

 ただ、誤診などの問題をクリアし、正しく「自分に似合う色」を知ればそれは一生の財産になる。年をとっても似合う色は変わらないからだ。若ければある程度なんでも着こなせるが、30歳前後から「似合う/似合わない」の差は本当に、露骨に、残酷なまでに出てくる。そのとき、色の持つ力は大きな助けになるはずだ。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

◆石徹白未亜の過去記事はこちらから◆

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自分の郵便物なのに受け取れない? 郵便事故を防ぐ手段を日本郵便に聞いた

 Amazon、楽天などのEC、メルカリなど個人間売買も盛んになり、宅配便は国土交通省調査では約42.5億個もの取り扱いがあった(一日約1,164万個、2017年度)。一方で「宅配便は家にいないといけない」「送料が安い」などの理由で、小物は郵便でやりとりするケースも増えている。しかし、自分に届くはずの郵便物を受け取れないケースがあるのをご存じだろうか。2つの事例をもとに日本郵便に話を聞いた。

引っ越し、結婚、同棲、ルームシェア時にやらかす!

【ケース1】
 彼氏と同棲を始めたAさん。通販で送料が安いからと定形外郵便にしたところ、届きませんでした。「彼氏と苗字が違うから届かなかったのだろうか」とAさん。

日本郵便 郵便物等は実際にご本人が居住している「あて所」に配達します。今回の事例は同棲相手の方の家とのことで、郵便局において居住が確認できている方が「同棲相手の方のみ」であったと推測されます。

 同棲相手の方のお宅に居住している旨の「転居届」を郵便局に提出いただき、居住の事実が確認された場合、配達を開始します。

――もし同棲でなく結婚で、苗字が同じになっていたとしても、Aさんは「転居届」を出す必要があったのでしょうか?

日本郵便 はい。他人様の郵便物を配達してしまう可能性等がございますので、居住確認をさせていただいています。

「転居届」は郵便局内にありますが、インターネットでいつでもお申し込みいただける「e転居」もありますので、ご利用いただければと思います。

【ケース2】
 Bさんは、東京都中央区日本橋蛎殻町に住んでいます。マンションの地図上の正式名称は「日本橋蛎殻町第百十ビルヂング」。しかし建物の入り口には「ラーク日本橋」と書かれており、不動産サイトにも通称が使われていて、普段は通称で郵便物を受け取っています。

 Bさん自身マンションの正式名称を知ったのは転居時でした。役所に転入届を出した際、区役所職員が地図で確認したところ地図上は正式名称で記載されており、保険証の住所には長い正式名称が使われることになりました。

「よく見たら入り口脇に小さく正式名称も書いてあった。おそらく正式名称では「日本橋蛎殻町」が2回も出てきて鬱陶しいからだろう」とBさん。

 後日、Bさん宅に書留が不在通知で届き郵便局に取りに行ったところ、提示した保険証のマンション名(正式名称)と、その郵便物に記載されたマンション名(通称)が異なり、局員から「渡すことができない。先方に返します」と言われてしまいました。

「その後、発送元に説明し再送してもらいとても大変だった。身分証を提示しなくていい自宅なら受け取れたはずだ」とBさんは悔やみます。

日本郵便 自宅ではなく郵便局の窓口において郵便物等を交付する際は、申出人(名宛人)の運転免許証、健康保険証等の本人確認資料の提示を求めております。郵便物等に記載された「住所」、「氏名」を確認することで、郵便物等の正当受取人であるかを確認しています。

 窓口での交付は、郵便物に記載されたあて所への配達と異なり、郵便物の正当受取人であることの確認を、提示された本人確認資料のみで実施する必要があります。

 よって、名称が異なるマンション名では、郵便物等に記載されたマンションと判断できないことがあります。同一住居表示にも異なるマンションが存在する場合もあるのです。

――同一住所に2つのマンションが存在するということもあるんですね。

日本郵便 はい。そのため、郵便物等へのマンション名の記載は、俗称ではなく正しい名称をご記載くださいますようお願いします。

* * *

 Bさんは今後、通称は捨て長い正式名称を使うか、もしくは郵便局に取りに行くのをあきらめるか、ダメ元で役所に保険証の住所を通称に直してもらうかだろう。

 昨今「古い」「長い」とマンション名を変更する動きが特にオーナー変更時にあるようだが、オーナーは住民に余計な手間を増やさないようしっかりと変更手続きを踏んでほしい。

※マンション名は架空のものです。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

同人誌の「続編」は売れるのか? 実際に頒布してみた!

 いっとき、昭和の漫画史に残るであろう名作漫画の続編がやたら発表される悪夢のような時期があった。惜しまれつつ幕が下りるから美しいのであり、続編など蛇足でしかない。私はどんなに好きな漫画であっても続編は読みたくないし、最終巻に掲載されていて読んでしまったものもあるが、やはり「読むんじゃなかった」と本編まで汚されたようで悔しかった。続編なんて地雷だ―――しかしこの鋼の意志は、自分が「書く側」になるとどうなるのか。当記事では「同人誌と続編」についてレポートしたい。

■続編が望まれるのは「ラブストーリー(セックスなし)」

 二次創作の同人誌(女性向け)のジャンルは、概ね以下の3つに大別される。

(1)ラブストーリー(セックスなし)

(2)ラブストーリー(セックスあり)

(3)それ以外(ギャグ、ほのぼのなど)

(2)ラブストーリー(セックスあり)において、ラブとセックスの比率は実にさまざまだ。セックス部分は朝チュン程度で、R-18指定すらしなくていいライトなものから、男性向けエロ同人誌のごとく汁気たっぷり、もはやこれは「スポーツもの」ではという同人誌もある。なお、そういったR-18熱血スポーツモノの同人誌の作者が感想ください、とフォームを用意していると、セクハラにならない感想を送るにはどうしたらいいのか悩ましい。

 さて、上の(1)~(3)のうち、個人的な見解だが続編が全裸待機されがちなのは「(1)ラブストーリー(セックスなし)」な気がする。続編を願う気持ちは「頼むからおまえらパツイチ決めてくれよ!」なのだ。

 

■禁断の続編を書かせる原動力は自萌えと感想

 さて、私は読む側においては「続編=蛇足」の続編地雷派だが、私は二次創作の同人誌において、一つの作品の続編を3回書いたことがある。ポリシーがここまでぶれると鮮やかですらあるが、なぜこんなことになったのかというと、これも同人誌を書いている人なら絶対ご存じだろう「自萌え(自分の書いた作品が大好き)」と「感想」による。

 3回も続編を書いた流れはこのようになる。

<1>1本目を書く。ジャンルとしては「(1)ラブストーリー(セックスなし)」。キャラAのBへの片思いで終わる。

<2>当初は続編を書くつもりはなかったものの、書いてみたら「自萌え(自分的に大ヒット)」してしまい、かつ、「続きをぜひ」と読んだ方から感想をいただく。

<3>よーし、パパ頑張っちゃうぞ~と2本目を書く。ジャンルは「(2)ラブストーリー(セックスあり)」。

<4>2本目を書いても自萌えが衰える気配がなく、さらに「続きは……?」と声をまたいただき、よーし、パパまたまた頑張っちゃうぞ~、と3本目を書く。

 

■続編をやりたいなら必要な、“売れっ子キャバ嬢”の心意気

 以前、pixivの小説人気ランカーの特徴を調べたことがある(参照記事:『ランカーはマメに大作を投稿していた!ウサ耳がギンギンに立つpixiv必勝法』)。

 そこでは、連載は単発の話より人気が出にくい傾向がはっきり出ていた。アマチュアが無料で掲載している話が本当に終わる保証などないため、一話できっちり終わりまで楽しめる話が支持されるのは合点がいく。

 しかし私の場合、上記で書いた3本の続編は紙の同人誌2冊にまとめているのだが、それぞれ30部発行し、現時点でどちらも25部頒布している。母数が超少ないから参考にならないのではとは言いっこなしだ。

 なお私の場合、上述の通りハナから続編を前提にしたものでなく、もともと単発で終わらせるつもりだったものが続いた形になる。そのくらいの「ゆる続編」の方が、どこでやめるのも読み手の自由になり、読み手には優しいといえるだろう。

 まとめると、続編を書く場合には「続編とはいえ、それぞれの話が単発っぽくそれなりに終わる」、「売れっ子キャバ嬢のようにセックスをちらつかせ、かといって簡単にヤラせずひっぱる」テクがあるとより「読み手へのおもてなし度が高い」といえるだろう。

 さて、続編を3度も書いたため、続編を書かざるを得ない心の動きも理解できた。だからこれからは人様の続編を楽しめるようになる、といえばまったくそんなことはなく、揺るがずに続編は地雷だ。

 実に勝手だが、このいくらでも勝手にできることが同人活動の醍醐味だと思っている。私は「同人のペンネームでの発信用アカウント」は所持しているものの、発信はほぼしていない。「酔っぱらった状態でSNSを更新すること」がアイスケースレベルでヤバいことかは衆知の通りだが、私にとって、同人アカウントで心のままにつぶやくのは「酔っぱらってる状態でつぶやく」並みにヤバいと自分の理性が告げている。これは断じてオタトークをするのが恥ずかしいからではない。今回の続編のように、自分のぶれまくるポリシーを見るのが恥ずかしいのだ。

 言動と行動が伴っていないのはダサい。しかし完全にこれが伴っている人間などもはや聖人だ。よって正解は「余計なことを言わずに、だが心のままに行動する」だろう。今後もこれを肝に同人活動を続けていきたい。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

 

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あの「マシュマロ」は同人活動の救世主か? 非交流同人作家が試してみた!【同人活動レポート】

「攻め」の反対語は? と聞かれ「守り」と言えず「受け」と口を滑らせてしまうのが腐女子であるように、「マシュマロ」と聞いて、お菓子でないほうを思い浮かべる人は十中八九オタクであり、さらにTwitterに依存気味だ。菓子でない「マシュマロ」とは、Twitterと提携した感想フォームのサービスであり、多くの同人作家がTwitterのトップに「マシュマロください(感想ください)」とPRしている。果たしてマシュマロを利用すれば、感想ゲットだぜ! となれるのか。ある同人作家(著者)が試してみた。

 

■私の同人作家としてのスペック:非交流派

 まず、私の同人作家としてのスペックをお伝えしたい。

・書いているのは二次創作の小説
・【オン】pixivに年に1~2回ほど投稿
・【オフ】年におよそ2回イベントに出てそのたびに新刊を出す
・オフ活動は2015年から
・一回のイベントの頒布数は、初回は5部。最近で30部弱
・同ジャンルの人とは、同人イベントで両隣の人に挨拶する以外の交流は特にない
・非交流のくせに、死ぬほど感想は欲しい

 同人活動をしていない人には、これがどの程度のスペックか伝わりにくいと思うが、ドラクエで言うなら「ひのきのぼう」「ぬののふく」くらいにとらえてもらえれば大体あっている(おたぽるで私の名前で探してもらうと、過去の同人活動レポートをすべて掲載している)。

 

■感想ゲットに必須の「政治力」がない場合、どう補うか

 金のために同人活動をしていると言えるほど稼いでいる人など、金のためにアフィリエイトブログやYouTuberをしている人くらい一握りだ。よって、書いたものに対する感想や反響は多くの同人作家の力水になる。

 感想をもらうためには当然「見た人が思わず感想を送りたくなるようないいものを作る」必要があるが、世の中のすべての同人作家が、傍目から見たら「お、おう」クオリティであっても、当の本人は「超絶いいもの」と信じて疑わず作品を世に出しているのだ。

 そのため「いいものを作る」以外で感想をもらう方法を考えてみると、以下の2つがあげられるだろう。

1.同人活動をしている友人知人やファン、フォロワーを増やす
2.感想をもらいやすくする各種サービスを利用する

 まず「1.同人活動をしている友人知人やファン、フォロワーを増やす」だが、これはつまり「お前に政治力はあるか」ということだ。

「政治力」が必要とされるのは霞が関に限らない。教室でも会社でもママ友づきあいでも老人ホームでも、人が集まるところでは必要とされるスキルだ。しかし「政治力」はあるけれど、大したことないクソ野郎は軽蔑されがちだ。会社やクラスで実力者や人気者に取り入ることだけがうまく、どうってことないやつなのにおいしいとこだけかっさらっていくクソ野郎や、同人活動においてうまくもないくせにジャンルでなぜかでかい顔してるおしゃべりクソ野郎など、読者の皆さんも幾人かのクソ野郎のご尊顔が思い浮かぶのではないだろうか。

 しかし、人類が集団の中で生活する生物である以上、「政治力がある(集団でいいポジションを取れる)」というのはFFで言うなら「エクスカリバー」クラスの武器だ。半端な作品力など蹴散らす力がフォロワー5桁にはある。政治力がある人を軽蔑する気持ちの大部分は嫉妬なのだろうと、私も歯ぎしりしながら思う。なお、私の本名のTwitterアカウントのフォロワーは12名(神トゥエルブ)だ。

 政治力がないなら育成に励むという手もあるが、リアルライフのそういったクソしがらみから解放されるのが私にとっての同人活動であり、心の聖域で苦手なことなどやりたくない。よって、政治力に頼れないなら「2.感想をもらいやすくする各種サービスを利用」するしかない。

 私は感想が欲しいので、以前からこういった各種サービスは積極的に利用しており記事にも書いている(参照記事:【同人活動レポート】コミュ障だって大丈夫! Twitter抜きで同人誌の感想をもらう方法)。

 ただ、この記事を書いたときから1年以上たっているが、「Twitter抜きで感想をもらう」は日に日に厳しくなってきた。今回の記事のテーマである「マシュマロ」など、Twitterの利用を前提としたサービスがどんどん一般化してきたからだ。今、Twitterもpixivもやらず、20世紀の作法にのっとり個人サイトだけ運営すること自体は個人の勝手だが、それで感想が欲しくて拗ねていたら、面倒くさい人だと私は思う。欲しいなら、きちんと欲しがらねばならない。

 私はもともとTwitterのロム(つぶやかず読むだけ)アカウントは持っていた。しかしこのアカウントにマシュマロの機能をつけると、このアカウントと同人活動をする私とが紐づいてしまうために、フォローした人の発言がウザくて後悔したら繰り出す必殺技「フォローを外す」「ミュート」を炸裂させにくくなってしまう。よって、新規にマシュマロ用のアカウントを取得した。

■マシュマロの誤解二つ
「罵詈雑言はすべてカット」「感想の返信を流さなくてはいけない」

 マシュマロ以外にもTwitterに連携して感想をもらうサービスはあるが、マシュマロの特徴は「AIが罵詈雑言はカットして届けない」という、半分が優しさでできたバファリンのような仕様だ。しかし登録してみて知ったが、マシュマロは「AIをさほど働かせない」モードもユーザーの都合で選ぶことができる。

 また、Twitterを利用するオタクのうち少なく見積もって6割くらいが「自分のタイムラインがフォローした神のマシュマロの返信でぎっつら埋まってしまい、神だと思っていたがあの御方が八階級降格で承認欲求ビッチへと格下げ。フォローを外す」という経験に心当たりがあると思う。

 私もこのせいでマシュマロの第一印象は最悪だったのだが、これは何もマシュマロの機能ではない。もらったマシュマロについて返信を出すのは必須ではなく、心の宝石箱にしまっておくことだってできる。

 なお、トスツイ(@tosを冒頭につけて返すツイート)にすることで、フォロワーのタイムラインに出ないように返信することもできるので、私のような嫉妬心の強いフォロワーにフォローを外されることを恐れる人はトスツイを薦めたい。

 マシュマロへの誤解も解けたところで、マシュマロ用に新規Twitterアカウントを取得。pixivで新作を公開する際に「感想乞食に励ましのお便りを!」と一言添えた。

 

■マシュマロで感想のゴールドラッシュ

 作品をアップ後、マシュマロ来い……! 来い! とリロードしまくって4時間後、最初のマシュマロが届き腰を抜かした。あれほど感想を欲しているのにいざ感想をもらうと腰を抜かしてしまうのだ。いただいた感想は実にあたたかなもので、マシュマロのこと承認欲求モンスター養成器だと思っていてほんとにごめんね、と十字を切った。

 結果から先に言うと、いただいた感想は2週間で9件。今までの私の感想人生にしてみるとゴールドラッシュと言っていい。やはり「馴染みのあるフォーマット」は送る側にとっては敷居を低く感じるのだろう。マシュマロちゃんがどぶ板まわりの営業で広げてきた地盤があったからこそ、こうしておいしい水が飲めているのだ。

 ちょうど仕事の区切りがついて、一人串揚げ屋で昼酒をしていたときにマシュマロが飛んできたこともあった。串揚げとビールと長文の神感想。天下統一を成し遂げた秀吉も大阪城の天守閣でこんな気分だったに違いない。感想を送ってくれた9名の方には年末ジャンボが当たるはずだ。

 こうして書くとマシュマロ万歳であり、事実マシュマロ万歳であることには変わらないのだが、感想が来た理由が今のままではマシュマロ100%になってしまうため誤解のないよう付け加えておくと、私は前述のスペック通りとにかく飽きっぽく、二次創作の対象となるジャンルを頻繁に変える。今回も変更したのだが、それが今ちょうど流行っているジャンルだった、というのがどう考えても感想が来た一番の理由だろう。これも原作となるジャンルがそれまで汗水たらして築いた礎があってのことだ。

 今回は自身の政治力がなくても、ジャンルの政治力とツール(マシュマロ)の政治力に助けてもらって感想ゲットだぜ! と言えるだろう。一番の理由はジャンルの力だろうが、それでもマシュマロ以外のフォーマットを利用していたらここまで感想をいただけなかっただろう。

 しかし私はここまでマシュマロの恩恵にここまであやかっているくせに、マシュマロの前提となるTwitterは本当に嫌いなのだ。あの人気者数値が可視化される状況を見ると、スクールカーストを思い出してどんよりと気がめいってしまう。バズっている憎たらしいほどキレのあるつぶやきを見ると、明日財布と携帯一緒になくせと思うくらい妬ましいし、自分が好きな人と自分の嫌いなやつが仲よさそうにしていると床に転がって子供のようにわめきちらしたくなる。

 Twitterを見れば見るほど病むタイプだと自分でも分かっているので、自分のこころを守るためにTwitterでは非交流、怒涛のミュートなのだ。知らなければ腹も立たない。仮にもし私に人気があったら余裕で、王者の貫禄でTwitterに入り浸っているだろう。

 時代に合ってないと自分でも思うが、そんな人でもTwitterをやりようによっては利用でき、いい思いもできるのだ。今回の原稿が政治力のない人の一助になれば幸いだ。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

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【確認待ち】あの「マシュマロ」は同人活動の救世主か? 非交流同人作家が試してみた!【同人活動レポート】の画像2★好評発売中!!
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あの「マシュマロ」は同人活動の救世主か? 非交流同人作家が試してみた!【同人活動レポート】

「攻め」の反対語は? と聞かれ「守り」と言えず「受け」と口を滑らせてしまうのが腐女子であるように、「マシュマロ」と聞いて、お菓子でないほうを思い浮かべる人は十中八九オタクであり、さらにTwitterに依存気味だ。菓子でない「マシュマロ」とは、Twitterと提携した感想フォームのサービスであり、多くの同人作家がTwitterのトップに「マシュマロください(感想ください)」とPRしている。果たしてマシュマロを利用すれば、感想ゲットだぜ! となれるのか。ある同人作家(著者)が試してみた。

 

■私の同人作家としてのスペック:非交流派

 まず、私の同人作家としてのスペックをお伝えしたい。

・書いているのは二次創作の小説
・【オン】pixivに年に1~2回ほど投稿
・【オフ】年におよそ2回イベントに出てそのたびに新刊を出す
・オフ活動は2015年から
・一回のイベントの頒布数は、初回は5部。最近で30部弱
・同ジャンルの人とは、同人イベントで両隣の人に挨拶する以外の交流は特にない
・非交流のくせに、死ぬほど感想は欲しい

 同人活動をしていない人には、これがどの程度のスペックか伝わりにくいと思うが、ドラクエで言うなら「ひのきのぼう」「ぬののふく」くらいにとらえてもらえれば大体あっている(おたぽるで私の名前で探してもらうと、過去の同人活動レポートをすべて掲載している)。

 

■感想ゲットに必須の「政治力」がない場合、どう補うか

 金のために同人活動をしていると言えるほど稼いでいる人など、金のためにアフィリエイトブログやYouTuberをしている人くらい一握りだ。よって、書いたものに対する感想や反響は多くの同人作家の力水になる。

 感想をもらうためには当然「見た人が思わず感想を送りたくなるようないいものを作る」必要があるが、世の中のすべての同人作家が、傍目から見たら「お、おう」クオリティであっても、当の本人は「超絶いいもの」と信じて疑わず作品を世に出しているのだ。

 そのため「いいものを作る」以外で感想をもらう方法を考えてみると、以下の2つがあげられるだろう。

1.同人活動をしている友人知人やファン、フォロワーを増やす
2.感想をもらいやすくする各種サービスを利用する

 まず「1.同人活動をしている友人知人やファン、フォロワーを増やす」だが、これはつまり「お前に政治力はあるか」ということだ。

「政治力」が必要とされるのは霞が関に限らない。教室でも会社でもママ友づきあいでも老人ホームでも、人が集まるところでは必要とされるスキルだ。しかし「政治力」はあるけれど、大したことないクソ野郎は軽蔑されがちだ。会社やクラスで実力者や人気者に取り入ることだけがうまく、どうってことないやつなのにおいしいとこだけかっさらっていくクソ野郎や、同人活動においてうまくもないくせにジャンルでなぜかでかい顔してるおしゃべりクソ野郎など、読者の皆さんも幾人かのクソ野郎のご尊顔が思い浮かぶのではないだろうか。

 しかし、人類が集団の中で生活する生物である以上、「政治力がある(集団でいいポジションを取れる)」というのはFFで言うなら「エクスカリバー」クラスの武器だ。半端な作品力など蹴散らす力がフォロワー5桁にはある。政治力がある人を軽蔑する気持ちの大部分は嫉妬なのだろうと、私も歯ぎしりしながら思う。なお、私の本名のTwitterアカウントのフォロワーは12名(神トゥエルブ)だ。

 政治力がないなら育成に励むという手もあるが、リアルライフのそういったクソしがらみから解放されるのが私にとっての同人活動であり、心の聖域で苦手なことなどやりたくない。よって、政治力に頼れないなら「2.感想をもらいやすくする各種サービスを利用」するしかない。

 私は感想が欲しいので、以前からこういった各種サービスは積極的に利用しており記事にも書いている(参照記事:【同人活動レポート】コミュ障だって大丈夫! Twitter抜きで同人誌の感想をもらう方法)。

 ただ、この記事を書いたときから1年以上たっているが、「Twitter抜きで感想をもらう」は日に日に厳しくなってきた。今回の記事のテーマである「マシュマロ」など、Twitterの利用を前提としたサービスがどんどん一般化してきたからだ。今、Twitterもpixivもやらず、20世紀の作法にのっとり個人サイトだけ運営すること自体は個人の勝手だが、それで感想が欲しくて拗ねていたら、面倒くさい人だと私は思う。欲しいなら、きちんと欲しがらねばならない。

 私はもともとTwitterのロム(つぶやかず読むだけ)アカウントは持っていた。しかしこのアカウントにマシュマロの機能をつけると、このアカウントと同人活動をする私とが紐づいてしまうために、フォローした人の発言がウザくて後悔したら繰り出す必殺技「フォローを外す」「ミュート」を炸裂させにくくなってしまう。よって、新規にマシュマロ用のアカウントを取得した。

■マシュマロの誤解二つ
「罵詈雑言はすべてカット」「感想の返信を流さなくてはいけない」

 マシュマロ以外にもTwitterに連携して感想をもらうサービスはあるが、マシュマロの特徴は「AIが罵詈雑言はカットして届けない」という、半分が優しさでできたバファリンのような仕様だ。しかし登録してみて知ったが、マシュマロは「AIをさほど働かせない」モードもユーザーの都合で選ぶことができる。

 また、Twitterを利用するオタクのうち少なく見積もって6割くらいが「自分のタイムラインがフォローした神のマシュマロの返信でぎっつら埋まってしまい、神だと思っていたがあの御方が八階級降格で承認欲求ビッチへと格下げ。フォローを外す」という経験に心当たりがあると思う。

 私もこのせいでマシュマロの第一印象は最悪だったのだが、これは何もマシュマロの機能ではない。もらったマシュマロについて返信を出すのは必須ではなく、心の宝石箱にしまっておくことだってできる。

 なお、トスツイ(@tosを冒頭につけて返すツイート)にすることで、フォロワーのタイムラインに出ないように返信することもできるので、私のような嫉妬心の強いフォロワーにフォローを外されることを恐れる人はトスツイを薦めたい。

 マシュマロへの誤解も解けたところで、マシュマロ用に新規Twitterアカウントを取得。pixivで新作を公開する際に「感想乞食に励ましのお便りを!」と一言添えた。

 

■マシュマロで感想のゴールドラッシュ

 作品をアップ後、マシュマロ来い……! 来い! とリロードしまくって4時間後、最初のマシュマロが届き腰を抜かした。あれほど感想を欲しているのにいざ感想をもらうと腰を抜かしてしまうのだ。いただいた感想は実にあたたかなもので、マシュマロのこと承認欲求モンスター養成器だと思っていてほんとにごめんね、と十字を切った。

 結果から先に言うと、いただいた感想は2週間で9件。今までの私の感想人生にしてみるとゴールドラッシュと言っていい。やはり「馴染みのあるフォーマット」は送る側にとっては敷居を低く感じるのだろう。マシュマロちゃんがどぶ板まわりの営業で広げてきた地盤があったからこそ、こうしておいしい水が飲めているのだ。

 ちょうど仕事の区切りがついて、一人串揚げ屋で昼酒をしていたときにマシュマロが飛んできたこともあった。串揚げとビールと長文の神感想。天下統一を成し遂げた秀吉も大阪城の天守閣でこんな気分だったに違いない。感想を送ってくれた9名の方には年末ジャンボが当たるはずだ。

 こうして書くとマシュマロ万歳であり、事実マシュマロ万歳であることには変わらないのだが、感想が来た理由が今のままではマシュマロ100%になってしまうため誤解のないよう付け加えておくと、私は前述のスペック通りとにかく飽きっぽく、二次創作の対象となるジャンルを頻繁に変える。今回も変更したのだが、それが今ちょうど流行っているジャンルだった、というのがどう考えても感想が来た一番の理由だろう。これも原作となるジャンルがそれまで汗水たらして築いた礎があってのことだ。

 今回は自身の政治力がなくても、ジャンルの政治力とツール(マシュマロ)の政治力に助けてもらって感想ゲットだぜ! と言えるだろう。一番の理由はジャンルの力だろうが、それでもマシュマロ以外のフォーマットを利用していたらここまで感想をいただけなかっただろう。

 しかし私はここまでマシュマロの恩恵にここまであやかっているくせに、マシュマロの前提となるTwitterは本当に嫌いなのだ。あの人気者数値が可視化される状況を見ると、スクールカーストを思い出してどんよりと気がめいってしまう。バズっている憎たらしいほどキレのあるつぶやきを見ると、明日財布と携帯一緒になくせと思うくらい妬ましいし、自分が好きな人と自分の嫌いなやつが仲よさそうにしていると床に転がって子供のようにわめきちらしたくなる。

 Twitterを見れば見るほど病むタイプだと自分でも分かっているので、自分のこころを守るためにTwitterでは非交流、怒涛のミュートなのだ。知らなければ腹も立たない。仮にもし私に人気があったら余裕で、王者の貫禄でTwitterに入り浸っているだろう。

 時代に合ってないと自分でも思うが、そんな人でもTwitterをやりようによっては利用でき、いい思いもできるのだ。今回の原稿が政治力のない人の一助になれば幸いだ。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

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