ムショでは、がんが放置されて死ぬのも「日常」――元女囚が考える刑務所の医療

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

刑務所のアイドルPaix2と座談会

 まだ細かいところはヒミツですが、あの刑務所のアイドルPaix2(ペペ)のお2人と、座談会をさせていただきましたよ。お2人ともとてもええ方で、かわいかったです。掲載をお楽しみに。

 Paix2は刑務所の慰問を続けている女性コンビで、今はコロナでお休みやけど、2000年4月のインディーズデビュー後、同年12月に地元・鳥取刑務所で第1回目の「プリズンコンサート」開催からの504回ですよ。

 もちろん瑠美も、和歌山刑務所時代に見ています。今もカラオケで「元気だせよ」とか歌ってますよ。

 Paix2には、ぜひNHKの『紅白歌合戦』に出てほしいですね。ムショは、めちゃくちゃ盛り上がると思います。ちなみに大みそかのムショは、カップ麺やけど年越しそばが出て、『紅白』を見られて、元日はおせち料理も出ます。ムショはシャバよりむしろ季節感ありますが、マジ入るところやないですよ。最近は関係ない人を殺してまで入ろうちゅう人が目立ちますが、「ダメ。ゼッタイ。」です。

獄中で病気になったら死も覚悟

 当たり前ですが、「ムショに行く」ちゅうことは問題しかないです。まず家族や友だちに迷惑がかかるし、縁を切られるのも普通です。

 あと、健康問題があります。三食付きでタバコ・酒ナシの規則正しい生活ですが、ストレスはめちゃくちゃあるので、持病が悪化したり、病気になる人も多いです。獄中(なか)で病気になったら、マジで死も覚悟です。医者が少ないし、来てもほとんど診てないから。

 そもそも好きでムショの医者になる人なんて、いてると思います? 瑠美も、もし医者やったらムショになんか来ません。つまりムショに来る医者は「ワケアリ」と思ってええですが、それで誰かが亡くなるのはツライですね。

 前にも書かせてもらいましたが、獄中でがんが進行して瑠美の友だちが亡くなっています。これは本当に悲しかったですね。

 最近では、2019年に徳島刑務所で亡くなった方のご遺族が国賠(国家賠償請求訴訟)を起こしてますね。やっぱり、がんを放置されていたそうです。

 亡くなったのは、瑠美が生まれる前の1971年11月に東京・渋谷で起こった警察と過激派の衝突で、おまわりさんを殺したとして逮捕された星野文昭さんです。75年に逮捕されて無罪を主張しながら無期懲役判決、亡くなる2019年まで44年間も獄中にいてるんですね。徳島につとめてた(服役していた)友だちは、「星野さんは物静かでええ人やった」ちゅうてましたよ。

 そもそも徳島は長期刑の施設ですから、中にいてる懲役もごっついですが、前から獄死や医者による虐待などが問題になってましたね。星野さんの支援サイトによると、がんがもっと早く見つかっていれば、死ななくて済んだようです。

 なんでもっと早く……と思わずにいられません。食欲がなくなって、体重が減ってきたところで気づいてほしいです。瑠美の友だちもそうでしたし、周囲にはそういう話はけっこうあります。

 ほかにも、服役中にがんを放置されて亡くなった懲役の遺族が起こした国賠で国が和解して500万円を払った件や、服役中のカルテを本人に見せないのはアカンと裁判所が判断した件とかの記事が出てますね。

 イヤならムショに行かなければええんでしょうけど、そこはそうもいかない時もあります。

 ちなみに瑠美は知りませんでしたが、星野さんの奥様は、02年に「獄中者とその家族が子どもを生み育てる権利を求める会」を作って「面会の時に夫婦で二人きりになりたい」とおっしゃっていたそうです。

 ムショで「夫婦生活」……。アメリカとかでは普通やけど、日本でも全然アリですね。夢のあるお話ですが、実現されないまま星野さんは亡くなりました。切ないです。ご冥福をお祈りいたします。

ラーメン、焼き肉、ロールケーキ!? 元女囚が妄想する、ムショに入る前の「最後の晩餐」

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

上沼恵美子がムショに入る前に食べたいのはラーメン

「上沼恵美子さんて、瑠美さん的にどうです?」

 相変わらず唐突なことを聞いてくる編集者さんですが、上沼さんは安定の「関西のおばちゃん」ですね。瑠美も大好きです。上沼さんがテレビで「もしムショに入るとしたら、前夜に食べたいものはラーメン」とか言って盛り上がり、おもろかったそうです。

 なるほど。瑠美的にはラーメンは前夜でも十分アリですが、むしろ出てきた(出所した)時に食べたいかも。獄中(なか)では大勢で食べるから、温度管理とかムリで、温かいものはまず食べられへんのです。

 上沼さんは、映画『幸福の黄色いハンカチ』(山田洋次監督)が大好きやそうで、出所してきた高倉健さんが食堂でかつ丼とラーメンを注文するのを「山田洋次さんが考えはったと思うんですけど、当たってますよね。例えば、湯葉とか言わないよね」とテレビで言ったそうです。

 たしかに湯葉はないかな(笑)。Wikipediaで見たら、健さんはかつ丼と醤油ラーメンに、ビールも頼んでますね。ベストチョイスと思います。

「なんでも常温」は切ない

 瑠美はもう絶対にムショには行かないつもりですが、明日ムショに行くとしたら……。今の気分なら焼き肉で、シメはケーキですかね。翌朝はロールケーキとコーヒーです。大阪名物「堂島ロール」希望。コーヒーも飲まれへんから、飲んどきましょう。ホットもですが、氷の入ったアイスコーヒーをゆっくり飲めるって、どんだけ幸せかと思いますよ。まあムショに行かなければええだけですけどね。堂島ロールは冷たい牛乳も合いますね。明治の「おいしい牛乳」が好きです。

 ムショでは甘いものは、行事の時や、パン食の時についているジャムやチョコレートくらいしか食べられないので、懲役に行く人は、たくさん食べておいたほうがええですよ。

 あと細かいことゆうと、いきなりムショではなくて拘置所から、ちゅうことになります。拘置所の未決囚は、自腹で差し入れ屋からお菓子とか缶入りのカレーや焼き鳥などのおかず、フルーツなどを買えますが、刑が確定してムショ行きが決まったら、いくらお金があっても買えません。ちなみに冷蔵庫や電子レンジはないので、カレーも焼き鳥もフルーツも常温で食べます。

 差し入れ屋の缶詰は意外に種類豊富で、1つ3,000円くらいのカニ缶とかあるんですが、こうゆうのはヤクザの親分のために若い衆たちが買うくらいですね。

 瑠美は、もともと甘いものはそんなに好きではなかったのですが、「食べたくても食べられない」となると、めちゃくちゃ食べたくなります。マジで夢にも見ました。

 家族に差し入れてもらう雑誌のグルメ記事とか、テレビで食べ物のコマーシャルとかを見ると、みんな大騒ぎでした。ムショでは限られた時間帯だけテレビを見られるのですが、食べ物のコマーシャルにはほんまに興奮してました。

 前にも書いてますが、瑠美が入ってた頃は「ミスタードーナツ」のコマーシャルがよく流れていたので、出所後は3回ともミスドに直行しています。かなり刷り込まれてましたね。

 そんなですから、出所の時に迎えに来てくれた家族と一緒にサービスエリアに行って、ぜんざいを3杯食べたこともあります。さらに車の中でもアイスクリームやチョコレートを食べて、地元のミスドに行くんです。3回目の時はまずホットケーキを食べて、その後に串カツとお寿司を食べてミスドに寄って、さらにホテルのケーキバイキングにも行きました。誰に言うても驚かれますが、解放感もあって、ひたすら食べられました。

 今なら、たい焼きも買いますね。あんことカスタードを買って食べすぎて、タバコを吸って気持ち悪くなって、自動車の後部座席で「気持ち悪っ」ってなって寝てると思います。

 もう懲役には行きません。あくまでも妄想の話です。獄中では、甘いもののほかにマクドナルドのハンバーガーとかカップラーメンも食べたかったです。基本的に三食麦ごはんでヘルシーな献立のせいか、ジャンクフードが食べたくなるんです。タバコも吸われへんから、懲役を機会に禁煙する人もいてますが、瑠美はやめられないですね。出てきてすぐに吸うと気持ち悪くなるんで、そこでやめといたらええんですけどね。

 思えばパクられる(逮捕される)前も、覚醒剤の切れ目(効き目が切れている時)には、チョコレートやあんパンなんかをけっこう食べてましたね。よいこの皆さんはマネしないでくださいね。

「覚醒剤できれいになる」は嘘! 元女囚が「太って肌が荒れる」と主張するワケ

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

元ヴィクシーモデルが「覚醒剤を飲まされていた」と暴露

 ヴィクトリアズ・シークレット、ご存じです? かわいくてセクシーなランジェリーで有名なアメリカのブランドですが、元・専属モデルさんが「体重を減らすために覚醒剤を飲まされていた」と暴露してネットで話題になっています。

 記事を読むと、元モデルのエリン・ヘザートンさんが飲まされたのは食欲を抑える「フェンテルミン」で、アメリカでは医師や登録栄養士が処方する合法の薬です。一緒にHCGというホルモン注射もされたそうです。

 HCGは、妊娠するとできるホルモンで、打つとカラダが「妊娠してる」と思うそうです。これを打ってから断食すると、おなかの赤ちゃんのために脂肪がエネルギーに代わるそうです。すごいけど……怖いかも。

 HCGは日本でも不妊治療とかに使うそうですが、フェンテルミンは覚醒剤の成分であるアンフェタミン(脳を興奮させる中枢神経興奮剤)と似てるので日本では禁止やそうです。

 まあ瑠美もラウンジ経営者なんで、「きれいになるためにはなんでもアリ」なのはわかりますし、日本の芸能界も見た目をきれいにするためにはいろいろやってますよね。

 でも、エリンさんはつらくて自殺未遂もしてるそうですし、そもそも自分の意思やなくて「会社の命令」ですからね。拒否ったらクビです。エリンさんは、「体重の増加によって仕事を失うことへの恐怖が、自身をいかに『薬物や注射の使用』に追い込んでいったか」を話しています。それで、あとになってセラピストさんに相談したら、「フェンテルミンは覚醒剤」と言われたとか。

 カミングアウトまで10年かかって、今はヴィクトリアズ・シークレットの闇を暴くインターネットテレビの番組にも出ているそうです。

 そもそも「覚醒剤できれいになる」っておかしいですからね。

 フェンテルミンの場合は、食欲を抑える=食べなくても平気=体重が落ちる、ちゅうことです。瑠美も商売柄、「痩せたい女の子」たちはたくさん見ていますが、クスリ(違法薬物)で痩せられると思てるコはけっこういてます。

 でも、マジ痩せるかいわれると、どうですかね? 覚醒剤はむしろ慣れてくると、なんでもおいしく感じるから、かえって太りますよ。それに、よくいわれる「覚醒剤を使って何日も寝ないでエッ●する」のも、したらしたで、その後はぐったりして何日もカラダが動かなくなりますから、結局はムダです。それで、シャキッとするためにまた打つ。この繰り返しですよ……。

 ちなみに前も書きましたけど、クスリはお肌が荒れます。

 覚醒剤は化学物質のせいか、お肌に悪いんですよ。お尻にもブツブツとかできやすくなるように思いました。東京都の「クスリをやるとこうなる」的なサイトには「肌荒れ案件」はないんですが、お肌に悪いのは覚えときましょう。

 やっぱりクスリに頼らず、ちゃんと食べてちゃんとカラダを動かせば、自然に健康になります。瑠美もジムで毎日鍛えています。

 エリンさんの記事には、「病気や摂食障害にならずに、こうなりたいと思う体になれるはず。摂食障害は、自由を奪うんです。人生を奪うんです」と書かれていました。インスタで93万人のフォロワーさんたちにカラダをきちんと鍛えることをアピールしてて、かっこええですね。ジムで鍛えている写真もけっこうあります。 

 こうゆうマジで死ぬ思いをした人たちの言葉を知って、「もうクスリはやめとこ」と思える人が増えたらええですね。そう思って瑠美も発信しています。

86歳が78歳に強盗! 元女囚が考える被害者も加害者も「みんなお年寄り」の時代

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

90歳で禁錮5年は妥当

 例の池袋の交通事故のおじいさんが東京拘置所に収監されましたね。このおじいさんは、「アカオチ(赤落ち)」を前に今さら「過失」を認めました。「暴走は、私の勘違いによる過失でブレーキとアクセルを間違えた結果」やそうです。

 「アカオチ」とは「収監」の意味です。昔の「囚人服」は赤かったから「赤い服で獄に落ちる」意味らしいです。

 裁判では「アクセルを踏み間違えた記憶がなかったから、心苦しくも無罪を主張した」けど、今回は認めて刑に服するそうです。いや、それは公判で言うべきやったなと。この段階で言うても国民は納得しますかね。「一日でも早くシャバに出たいから、ここは謝っとこ」感しかないです。

 2人も死なせて90歳で禁錮5年ゆうたら、まあ妥当なところですか。最近のムショは、お年寄りがほとんどで、老人ホーム化してますから、そんなに過ごしにくくはないと思いますよ。

上級国民の仮釈放は、めちゃくちゃ早い?

 このおじいさんの問題は、前も書きましたけど「上級国民キャラ」ですよね。

 最初は実名も出なくて、起訴もされない感じで、「フレンチレストランの予約の時間に遅れそう」な理由も反感買ってました。しかも、2001年にも同じ感じで事故ってます

 そんなキャラですから、世間の嫌われ者になってもて、9月17日に「禁錮5年」の刑が確定して、これからどこのムショに入るか決まります。あるいはムショでなく、このまま東京拘置所に収監かもしれません。拘置所にも懲役(受刑者)はけっこういてます。だいたいは「刑務作業」として収容者のお世話(食事の支度やお掃除など)をしてますが、おじいさんはお世話をされるほうでしょうね。

 さて、おじいさんは、ムショにはどのくらい入ってるでしょうか? 普通なら初犯でヤクザやなければ、5年打たれて(言い渡されて)も、マジメにしてれば3年くらいで出てこられると思います。いわゆる仮釈放です。なんか、おじいさんは体調不良を理由にソッコー釈放される気もします。

 思えば「仮釈放をもらえる時期」もメジャーやないですよね。仮釈放の時期は、法律(刑法と更生保護法)で「刑期の3分の1を経過した段階で、地方の更生保護委員会が審理する」としていますが、実は決めるのは検察官なんですよ。更生保護委員会が「検察官に意見を求めることができる」としてます。

 裁判は終わって、判決確定してるのに、なんで検察に求めるんでしょうね。弁護士さんの団体の日弁連も「仮釈放に検察の意見を求めるな」ちゅう意見書を出してます。

 思えば瑠美にも「カリシャク(仮釈放)なし案件」はありました。つらかったですよ。みんな一日でも早くシャバに復帰したいから、ムショでつらいことがあっても、ひたすら辛抱するのに、エリート検察官の「アカンやっちゃな」の一言で長くなるんです。

 でも、最近はちょっと事情も違っていて、刑期満了までムショにいてたいお年寄りも多いそうです。出所しても行く場所やお金がないから、またすぐに事件を起こして逆戻りです。

 ちなみに瑠美的には、「出所してきたばかりの78歳のおじいさん」を「86歳と66歳の知り合い」がボコって現金10万円を奪った事件がやばかったです。「蹴って転倒させ、左腕に擦り傷を負わせ」て、お金を取ったそうです。犯人は強盗致傷の容疑でパクられ(逮捕され)ましたが、否認しているそうですよ。

 3人の年齢を合計したら、いやしなくても高齢すぎますよね。何がすごいって、これからは、こうゆう事件が増えることです。被害者も加害者も、みんなお年寄り……。SF映画みたいですよね。

大麻の摘発件数が過去最高に! 12年服役した元女囚が「誰かに勧められても断って」と言う理由

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

ムショで死にたくなる気持ちはわかる

 どこの刑務所もコロナのまん延が問題になってるのに、緊急事態宣言解除ですか……。どうなんでしょうね。とか思っていたら、コロナ関係ないけど瑠美の母校(?)岩国刑務所で9月に自殺者が出ました。

 この方は未決囚で私服やから、タイツで首を吊ったんですね。こうゆうことがあるんでパーカーやジャージのパンツのヒモは外すようになっていますが、やっぱり起こってしまうんですね。母校やし、ちょっとお気の毒になりました。

 瑠美も、ムショで死にたなる気持ちはようわかるんですよ。今は「生きた者(もん)勝ちや」と思ってますけど、やっぱりパクられた(逮捕された)時はいろいろへこみますからね。そんな瑠美ですが、おかげさまで社会復帰してもう12年です。

 クスリ(違法薬物)や懲役の経験について書いたり話したりする機会をいただけて、むしろうれしいので、がんばれてます。自分がツラかったので、ツラい人をフォローする仕事はもっと増やしたいです。

大麻関連の摘発人数が過去最高に

 今年の上半期(1~6月)の大麻関連の摘発人数が過去最高の2,544人になったとニュースに出てましたね。前の年の同じ時期と比べて305人の増加やそうです。

 検挙者のうち7割が20代以下ですが、海外では大麻がOKなところもありますし、日本でも合法化の議論をしたい人たちがいてますよね。芸能人でパクられてる人も多いしで、若い人は罪悪感がないようです。

 以前も書いてますが、大麻は、「今は」合法ちゃいますからね。タバコよりカラダにええとかも(今のところは)都市伝説です。

 厚生労働省のホムペには、大麻の葉や穂に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)は幻覚作用、記憶への影響、学習能力が低くなるなどの害があると書かれてますし、「アカンもんはアカン」のです。

 ちなみに大麻事件の検挙者は毎年増えてるので、「使用罪」を作る動きがあります。今の大麻取締法は、「所持」「栽培」「譲渡」を禁じてるだけで、「使用」がないのは変ですよね。なんで今までなかったのかとゆうと、神社のしめ縄とかで使う大麻農家の人が大麻の成分を自然に吸い込んだりすることがあるから……やそうです。

 逆に、覚醒剤がらみの摘発者は減ってるんですが、報道は控えめですね。やっぱり「増えてる」ほうがニュースっぽいからでしょうかね。コロナ禍で家で過ごす人が増えて覚醒剤の使用も増えるかと思ったら、そうでもなかったです。これは、コロナで風俗とか夜の仕事が減って、覚醒剤を買うお金がないかららしいです。みんな悪いのはコロナなんですよ。

 これも前に書いてますが、瑠美が大麻にハマらなかったのは、覚醒剤のほうがよかったからです。大麻を吸うと気持ちがフワフワして音楽も気持ちよく聴こえるとかありますが、多幸感は覚醒剤のほうが断然「上」をいってると思いました。あと、バイ(密売)でもうかったのもありますね。

 もちろん今はやってませんし、目の前に注射器を出されても何も思いませんが、瑠美がちょっとでも変なことを言うたら「まだ(クスリを)やってんちゃうか」と言われるのはわかっています。それだけ失った信頼を取り戻すのは難しいです。瑠美もそうでしたが、最初は軽い気持ちで手を出しても、困るのは自分自身です。誰かに勧められても断れる人になってください。

 今日はちょっと宣伝もあります。YouTubeの「街録ch」でインタビューを受けました。家族についても深くお話ししたので、見てみてくださいね。

槇原敬之、“執行猶予中の復帰”は早すぎ!? 元女囚が「働くのはアリ」と断言するワケ

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

「執行猶予」中の復帰にブーイング?

 9月6日、シンガーソングライターのマッキーこと槇原敬之さんが活動再開を発表されましたね。マッキーは覚醒剤取締法違反(所持)などの疑いでパクられ(逮捕され)て、2020年8月に懲役2年・執行猶予3年の判決を受けています。

 瑠美もマッキーは好きですし、経営しているラウンジ(コロナで休業中ですが……)でもマッキーの曲をカラオケで歌うお客さんは多いですよ。10月にはアルバムも出されるそうで、楽しみですね。

 マッキーの公式サイトには「ファンの皆様、関係者の皆様」に宛てて、「昨年私の犯した罪により、ファンの皆様、関係者の皆様に多大なるご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございませんでした。自分の甘さや自覚の無さ、一人の人間としての未熟さを痛感し、日々深く反省しております。
活動を休止し、今後についてよく考えに考えた末、やはり私には音楽しかないという気持ちに気付き、楽曲制作をすることに決めました。時期尚早とお叱りを受けるかもしれませんが、もう一度心新たに活動を再開いたします。皆様の信頼を取り戻せるよう、精一杯真摯な気持ちで取り組んでまいります」とあって、やっぱり音楽を好きで続けたいちゅうことのようですね。

 ネットニュースでは、「執行猶予中なのに早すぎる」とか「ふつうの会社員ならありえない」とかの「ネットの声」を挙げています。

 ようわからんのですが、執行猶予中に復帰したのがアカンちゅうことですかね?

 その前に、そもそも「執行猶予」って何なのか、ちょっと書いてみたいと思います。瑠美も1回目の逮捕の時は執行猶予が付きました(笑)。事件にもよりますが、クスリ(違法薬物)の場合は、初犯はだいたい執行猶予が付きます。清原和博さんとか、酒井法子さんとか沢尻エリカさんとかASKAさんとかピエール瀧さんとか、みんなそうですね。

 「最初から実刑」で思いつくのは元プロ野球選手の江夏豊さんくらいですが、今の若い人は知らないですかね。使用歴が長かったのと所持量が多かったのとかで懲役2年4カ月でした。

 話がそれましたが、「執行猶予」とは、「有罪の判決を受けた者について、情状によって刑の執行を一定期間猶予し、問題なくその期間を経過すれば刑を科さないこととする制度」「本人の自律的な更生を促すという積極的目的をもつ」そうです。

 難しいですが、有罪判決からの「ソッコー懲役」ではなく、しばらく様子を見て更生ができそうなら懲役はナシにするちゅうことです。もちろん「今すぐ懲役に行かなくてもええ」だけやから、しっかり前科はつきます。

 ちなみに刑法第26条には「再犯したら執行猶予は取り消し」とありますが、立ちションとか駐車違反とか軽い罪(禁錮以上の刑がつかない罪)なら、まあセーフですね。たとえば覚醒剤の事件で執行猶予中の時に窃盗でパクられて禁錮以上の刑がついたら、執行猶予も取り消されます。

 もちろん、執行猶予期間はおとなしくしてるのが一番です。執行猶予中は、ほぼ保護観察がつきますから、保護司さんの指導や援助を受けることになります。「保護観察」は、「執行猶予・仮釈放などになった者、保護処分になった少年などを、保護司などに観察・補導させ、社会内でその改善・更生を図ることを目的とする制度」です。

 薬物案件の時はだいたい付いてますが、執行猶予付き判決でも保護観察処分を受けていても、働かないと食べていけないのは同じですよね。ちゅうか執行猶予に「謹慎」みたいな意味はないので、マッキーの活動再開はぜんぜんアリと思います。

 ピエール瀧さんも執行猶予期間中に活動を再開して、ネットで「芸能界は甘い」と叩かれていましたが、違約金とか大変そうですし、ええのとちがいますかね。瀧さんは19年にコカイン使用によって麻薬取締法違反容疑で起訴されて懲役1年6カ月・執行猶予3年の有罪判決を受けていましたね。

 今回、マッキーの活動再開が話題なのは、逮捕が2回目ちゅうこともあるのかなと。前回は1999年と前世紀の話ですし、ここは温かく見守っていきたいです。

ムショ帰りを受け入れる人は少ない――元女囚が考える「元受刑者」と向き合う難しさ

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

刑務所職員のコロナ感染が増えている

 コロナ、ぜんぜん収まりませんね。

 特に、ムショはもともと「密」やのに、メイケイ(名古屋刑務所)は職員の「120人自宅待機」がニュースになってましたね。「居酒屋で会食したり、県外の温泉へ職員同士で出掛けたりしていたことが判明。症状が出た後に勤務を続けた職員もいた」そうです。

 ちゅうか「編集部調べ」やと、最近の感染はみんな職員ですよ。懲役(受刑者)の感染者が一番多かったのは今年の1月頃で、8月に入ってまたちょっと増えてますが、なぜか職員はずっと増えてます。

 こんだけ自粛が長引くと、飲んだり旅行したくなったりする気持ちはわかりますけどね。まして毎日懲役を相手にしてる刑務官は、めちゃストレスと思いますよ。

「おいしいもの」と「寄り添う心」

 瑠美も経営してるラウンジを閉めたままやからヒマでヒマで、おうちごはんを充実させています。こう見えて料理は得意なんですよ。子どもたちはみんな独立してるんで、気合を入れて料理することもなくなってましたが、やっぱり作ると楽しいですね。たまたま来た息子に、強引に食べさせたりしています(笑)。

 やっぱり食べることは、めっちゃ大事です。おいしく食べられれば、たいていのことはなんとかなりますからね。瑠美はたくさん作って家族や友達とたくさん食べて、たくさんカラダを動かすのが好きです。

 そんなことを考えてたら、栃木の保護司さんの記事を見つけました。この保護司さんは、現役の獣医さんで、やさしそうなおばあさん。保護観察中の人に「おかえりー。なに飲む?」ゆうて、自宅のキッチンに入れてるそうです。

 「おかえり」って、もちろんムショからのお帰りです。これはええですね。瑠美も保護司さんになれたら、絶対にそうしようと思いました(さりげなく「保護司さんになりたいアピール」をしています)。

 ふつう保護司さんになる人は、学校の先生やった人や、お坊さん、元警察官とか堅苦しい人ばっかりですから、まず緊張するし、話してもおもんない(おもしろくない)です。リアルにアットホームでやさしく話してもらえたら、前向きになれますよ。

 おばあさん保護司さんは、記事で、「これから自分の足で立って生きていかなきゃいけない人が相手だから、『こうしなさい』『それをやったらダメ』は私の中では禁句」とおっしゃっています。そんなキャラやから、しばらく前に担当していた男性が突然おうちに来て、結婚の報告をしてくれたこともあるそうで、それってすごくないですか? ちゅうか記事にはなかったですが、保護司さんは76歳で定年です。もうこの方には、誰もお世話になれないです。

 保護司さんや社長さんなどムショ帰りを受け入れてくれる人は、少ないです。それは、めちゃくちゃ大変やから。おばあさん保護司は、記事でこうも言うてます。

「みんな立ち直ろうともがいている。一人じゃ無理だけど、時間もかかるかもしれないけど、そっと寄り添い続ける人がいればきっと大丈夫です」

 言うのはカンタンですが、これはめちゃくちゃ難しいです。元受刑者を受け入れてる企業も、順調とは言い難い感じです。

 北洋建設(札幌市)やお好み焼きの千房(大阪市)とかは元受刑者の受け入れで有名ですが、特に北洋建設の小澤輝真社長は難病で余命宣告を受けてるのに、従業員にやさしい目を向けてこられました。

 瑠美も通算で12年ムショにいたんで、ようわかるんですが、更生は単純に仕事や家があればええちゅうもんでもないんです。そこが難しいです。そもそも立ち直る気がなさそうなのもいてますし、周囲がやさしくしてくれても、再犯する人はします。それでも、瑠美も「立ち直ろう」ともがいてる人を支えてあげたいですね。

 保護司さんになる人も、エリートさんよりも、瑠美みたいにザセツを味わってる人のほうがええですよ、絶対。

刑務官が受刑者に「ゴジラのものまね」強要! 元女囚が考える「刑務所のイジメ」問題

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

受刑者に一発芸を強要していた刑務官

「刑務官が受刑者にモノマネをさせてたそうですが、ご存じですか?」

 編集者さんから聞かれました。ニュータイプのイジメちゅうことでしょうが、意味わからないですよね。

 ネットニュースには、京都刑務所で刑務官が「マスクがずれていたことを理由に、受刑者に“一発芸”をするように強要していた」とあります。「受刑者2人に女優や怪獣の真似をさせていた」そうで、「怪獣」はゴジラらしいですが、この「女優」って誰? なんでそんなことを思いつくんですかね。

 被害者の元・受刑者氏は、出所されてから被害を告発したようで、取材に「刑務官が楽しがっているのか何のためにやっているのか僕にも理解ができないですけど」と答えていました。ほんま謎しかないですよね。

 この件で、京都刑務所はすでに被害者に謝罪して刑務官に注意しているそうですが、「公表事案ではないので取材はお断り」とか。いや公表しましょうよ。こういうイジメは聞いたことないですが、だいたいの刑務官はいばってて、イヤキチ(意地悪、主に関西圏の言葉)もしてきます。特に男子刑務所のイジメはごっついようです。

 刑務所で反省・更生はムリ、ちゅうのは何度も書いてますが、刑務官がムダにいばってるのも理由のひとつです。もちろん刑務官は「なめられないように」あえて厳しくしてるんでしょうが、そんなんで反省なんかできません。まあそれでも、たいていの恨みは出所すると忘れます。忙しいから。

 おかげさまで瑠美は帰る家も家族もありましたが、懲役に行くような人は家族から縁を切られていることも多いので、出所したら、まず住むところや仕事を探すだけで精いっぱいです。ムショ帰りでもできる仕事なんか、限られてますしね。

 せやから刑務官からのイジメを出所後もずっと覚えてて、お礼まいり(仕返し)までするのは余裕がある人ともいえます。

 前に書きましたが、瑠美の知り合いの知り合いは、出所後に刑務官の自宅を突き止めて郵便受けに生きたマムシを入れたそうですし、刑務官の子どもをさらって、子どもの背中に刺青で「鬼の子」と彫った不良もいてましたね。

 でも、仕返しでパクられ(逮捕され)て、またムショに戻ったら意味ないですし、どうしてもしたいなら弁護士さんに相談するしかないですね。たまに裁判で勝った人がニュースに出てますが、「編集者さん調べ」でいちばんウケたのは、福島刑務所で懲役にフェ〇チオを強制して特別公務員暴行陵虐罪で起訴された刑務官ですね。懲役3年の判決を受けて懲戒免職処分になっていました。今頃どこで何をされてるんでしょうか? 

 福島刑務所の不祥事はほかにもあって、刑務官による刑務官へのいじめで、うつ病になった例もあるそうです。

 オッサンの上司が部下の女性刑務官に「受刑者がお前の裸を想像してオ〇ニーしている」とか言ったり、体に触ってきたそうで、そりゃうつ病にもなりますよね。法務省はセクハラの事実を5年もかかって認めてますが、謝罪もなく、補償ももらえてないそうです。そんな刑務官のいる刑務所で「更生しろ」とかいわれましても、ムリですから。

ムショは、「罪を反省しに行く場」ではない! 元女囚が考える「長期刑」の長期化

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

有期刑のマックス懲役30年より長い懲役41年の判決

 ごっつい判決が出ましたねー、「懲役41年」。しかも殺人ではなく強姦と強盗。こんだけ長いのは、珍しいのとちがいますかね。

 ニュースには、福岡県内で7人の女性が強制わいせつ致傷や強盗・強制性交等の被害に遭った事件とあります。被告人は44歳無職。事件ではいいトシの「無職」の人をよう見かけますが、こゆ人ってナニで食ってるんですかね。余計なお世話やけど。

 いきなり話がそれましたが、有期刑のマックスは懲役30年(刑法第14条第2項)です。それより10年以上も長い「41年」。意味がわからないです。

 実は、被告人は別の事件で確定判決を受けてるそうで、今回の判決は、この確定判決より「前の事件」と「後の事件」で、別々に審理されてるんですね。普通はまとめてやるんですが、「確定判決の前後で審理が分けられる」と。ようわからんですが、裁判長のお怒りが伝わってきますね。

 判決でも、「(被害者の)肉体的・精神的苦痛は想像を絶する」「刑事責任は極めて重い」と指摘しています。まあレイプしてお金も盗んでるそうですから、同情の余地はないですね。

 それにしても44歳からの41年……。被告人は「暴力団員」ではないようですから、仮出所の望みはないわけではないのと、いわゆる「未決通算」ちゅうて、判決確定まで拘置所で過ごした日数のうち何日かを「ムショにおつとめした」としてもらう制度もあります。

 もらえる日数は裁判官の裁量で、判決の言い渡しの時に言われますが、この裁判長はお怒りのようですから、ゼロかもしれませんね(苦笑)。いずれにしろ、生きてれば80歳までは確実でしょう。

 ちなみに検索したら、女性9人をレイプした35歳は「懲役50年」、幼女100人強姦して無期懲役判決を受けた26歳とかの例もありますね。

 強姦の犯人が長い懲役を務めるということは、獄中(なか)で年を取れば体力や性欲が落ちるから被害者が減る、ちゅうのもあります

 前からヤクザの重罰化はいわれてますが、最近はカタギの犯罪についても厳罰化していることは、あんまり喜べないです。理由は、更生にはならへんから。

 そもそもムショは、「罪を反省しに行く場」と違います。厳しい規則や懲役(受刑者)同士のいじめなどムショでの生活がツラすぎるので、「次はバレへんようにやる」と決意することはあっても、罪を悔いて更生する人は、まあ1割もいてません。瑠美も時間がかかりました。

 最近は、「昔のムショみたいな陰惨ないじめはない」といわれるようですが、どうですかねえ。懲役は新聞や雑誌は読めるので、すぐに「サイテーの強姦魔が来た!」と知れ渡ります。そもそも刑務官がみんなに教えてますしね。

 もちろん男子刑務所のほうがイジメはえぐいし、強姦犯はいちばんいじめられるそうです。殴ったり蹴ったりするとすぐにわかってしまうので、寝ている間に顔におしっ〇をかけられるとか、ごはんにウン〇をのせられるとかもアリです。あとはフェラチ〇の強制とかですね。「跡」にならない暴行なんですよ。

 いじめのほかに、病気の問題もあります。「タダで手術が受けられる」とか喜んでるのはシロートですね。まず具合が悪うても診てもらえるのは「3カ月先」とか普通ですし、がんとか重大な病気が見つかったら、かなり大変です。

 たとえば元弁護士の田中森一さんは、大阪医療刑務所でがんの手術を受けていますが、痛み止めももらえず、手術の翌日なのに医務室まで歩かされ、フラフラしてると「しっかり歩かんか!」と怒鳴られたそうです。

 ムショで悠々自適なんかありえないです。入らないようにしましょうね。けど、最近は「ムショに入りたくて」事件を起こす人が目立ちますよね。「ムショに入ってやり直したい」から女性をレイプしようとしたり「刑務所で自分を飼ってほしい」からレンガを持って小学校に侵入する人とか、「無期懲役」判決を受けて喜ぶ人とか、大丈夫かなと思いますね。

 懲役は甘いもんやないです。壮絶ないじめが待ってますし、独居房なら死ぬまで誰とも話せませんよ。

今のムショは老人ばっかり! 90歳の“上級国民”おじいさんに、高齢受刑者をお世話した元女囚が物申す

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

なんで懲役やなくて禁錮?

 クルマを運転していて若い女性とお子さんを死なせた90歳のおじいさんの事故が話題ですね。

 今のところは「禁錮7年」で決着しそうです。「なんで懲役やなくて禁錮?」とテレビやネットは大騒ぎです。でも、ついうっかりと「アクセルとブレーキを間違えただけ」(=殺意ナシ)やと、「過失運転致死傷罪」(自動車運転死傷行為処罰法、7年以下の懲役・禁錮か100万円以下の罰金)以上の起訴はムリらしいです。

 これがお酒やクスリ(違法薬物)のせいなら「危険運転致死傷罪」で起訴できます。これやったら、最高刑は致死が懲役20年(有期刑マックス)、致傷なら懲役15年やそうです。まあそれでもご遺族は納得できないでしょうが、クルマは瑠美もほぼ毎日運転してるんで、ほんまに他人事やないです。これからは、ドライブレコーダーは必須アイテムですね。

問題は「加害者」のキャラクター?

 「殺意」がなければ刑を重くできないのはしゃあないのですが、むしろこのおじいさんの問題は「上級国民案件」ですよね。元エリートで勲章ももろてるせいか、最初は実名も出ず、そもそもパクられ(逮捕され)てませんでした。

 もし瑠美が同じ事故を起こしたら、ソッコーパクられて、今も獄中(なか)にいてると思います。とっくにやめたクスリも疑われてますね。でも、おじいさんは事故から半年くらいして書類送検されて、2020年2月に在宅起訴ですよ。2人も亡くなってるのに、公判が始まるまで1年半もかかりました。しかも、裁判で「アクセルとブレーキは踏み間違えてない」とか「原因はクルマの故障」とかトボけてますしね。キャラのほうが問題ですよね。

 もうひとつ大きな問題は、おじいさんが有罪でも、「年寄りすぎて収監ナシでOKかも?」ちゅうことですね。いわゆる「執行停止」です。刑事訴訟法第482条は、「年齢七十年以上であるとき」も執行停止できるとしてます。普通は執行停止を受けられるのは、末期がん患者くらいですけどね。

 瑠美は、「禁錮」なら90歳でもOKと思いますよ。懲役は工場で何かを作ったり、調理や洗濯など受刑者の身の回りのことをして、けっこう忙しいのですが、禁錮刑は悠々自適やから。

 それに、ムショの高齢化はどんどん進んでますから、みんなやさしくしてくれますよ。けっこう前から「高齢受刑者のお世話」は、刑務作業のひとつです。

 瑠美が、バブル期に巨額詐欺事件を起こした尾上縫さんのお世話をしていたことは、岩波新書にも出てますし(笑)、あの鈴木宗男先生は、ムショで高齢受刑者のお風呂の介助中に東日本大震災に遭ったそうですし、ホリエモンはトイレのあとお尻を手で拭く(!)おじいさんの世話をしてたそうです。

 あと瑠美は見てないのですが、映画『すばらしき世界』の西川美和監督が「旭川刑務所を取材したら、お年寄りばっかりやった」と書いてたと、編集者さんから聞きました。

 「木工や裁縫の工場内にも、眼光鋭い凶暴そうな男たちは見当たらず、長年の室内作業と栄養管理で小さくしぼんだ青白い老人ばかりが飼いならされたように黙々と作業の手を動かしていた。それともそこにいる人は皆『老人』に見えただけだろうか」とあります。

 今のムショは、普通に老人ばっかりですから。

 ちなみに、おじいさんが入るなら交通刑務所と思いますが、交通刑務所は「交通事故を起こした」だけの人たちですから、リアルヤクザはまずいてないし、規則もゆるいです。弁護士さんとかエリートも普通にいてるんで、「上級国民人脈」も広がるのとちがいますかね。

 人生100年時代ギリギリですが、模範囚で仮出所できたらええですね。