田中聖は、こうすれば逮捕されなかった!?  逮捕歴4回の元女囚が教える「覚醒剤の豆知識」

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

田中聖が覚醒剤所持容疑で逮捕

 2月24日、元KAT-TUNのメンバーで、タレントの田中聖さんが覚醒剤所持容疑で逮捕されましたね。

 なんか便乗していろんなニュースが出てて、ちょっと驚きます。元セフレさん(?)とのLINEのやりとりとか、「ヤバい動画」問題とか、生々しくてすごいですよね。でも、これって事件と関係あるんですかね?

 ニュースによると、1月30日にチェックアウトしたビジホの部屋に「覚醒剤0.164グラム」の入ったビニール袋が落ちてい たのをお掃除の人が見つけて通報したそうです。

 中身は0.1グラム……。使い残しがくっついてる程度ですね。こうゆうのはすぐに洗い流して、トイレに捨てるとかしないとアカンですよ(苦笑)。あと注射器はハサミでバチバチ切り刻んで捨てます。ちなみにラブホのベッドのマットをめくったら注射器とか出てくる確率高いですよ。って、いらない豆知識でしたね。

 瑠美的には「まあ逮捕は逮捕やしな……」ちゅう感じです。起訴されるかどうかもまだわかりませんし、ここは「無罪推定」としたいです。

 それにしても、「ホテルに置き忘れた」ことで「所持」容疑って、どうなんでしょうか? 量も少なすぎますし、そもそもビニール袋は指紋がつきにくいし、ついていても消えやすいといわれています。自宅で見つかったならともかく、こんなんで「田中さんのもの」かどうかわかるのかなあと。

 まあホテルで袋が見つかったのが1月30日で、逮捕は2月24日ですから、ウラを取るのに1カ月かけてるちゅうことですかね。警察の本気度はわかります。

 思えば田中さんは前も大麻所持でパクられ(逮捕され)てますが、不起訴になってますし、もろもろ微妙ですね。

 今後の捜査の展開次第ですが、「弟の樹くんやKAT-TUNのメンバーがかわいそう」ちゅう声が出てるんですね。田中さんは「元」KAT-TUNですが、まだKAT-TUNはありますし、弟くんはジャニーズ事務所所属のSixTONESのメンバーやから、ネットでは「これ以上KAT-TUNの名前を汚さないで」「メンバーに迷惑をかけるようなことはしないで」「弟の気持ちを考えろ」「迷惑かけるな」とか叩かれてるようです。

 たしかに「無罪推定」でも逮捕は逮捕ですから、こうなりますかね。 これは有名税やからしゃあないでしょう。

 でも、身内はかわいそう。前にも書いてますが、覚醒剤は「被害者なき犯罪」といわれても、被害者は身内なんですよ。

 少し前にもCHAGE and ASKAの元メンバーASKAさんのお嬢さんである宮崎薫さんが、Netflixの婚活番組に出ていて話題になったようです。

 薫さんはテレビで、「24とか25になる時だったかな。突然、朝、電話が掛かってきて、父親が薬物で逮捕されて、しかも知らない女性と逮捕されて」とか、お気の毒すぎる過去を語っていたそうです。

 これはきついですよね。婚活番組に出た理由は、そういう父親の娘であることで、婚活にも臆病になっているからなんですね。

 おとんの逮捕で「仕事も住む場所も人間関係も家族も一回そこで全部崩壊した」そうですが、「ホントに不自由なく育ててもらったことにはすごく感謝してるんだけど、今でも(父親のことは)言葉で言えない。そういう経験をひっくるめてコンプレックスになってる」と、ほんまはおとんに感謝してて、まだ好きやけど許せない……ちゅう切ない気持ちが伝わってきます。

 瑠美も子どもたちを切ない気持ちにさせてきたことを改めて反省しました。寄り添ってくれた家族には、感謝しかないです。何度も書いてますが、クスリ(違法薬物)で幸せになれるのは、ほんの一瞬です。あとは苦しいだけ。誰かのせいにしないで、自分で立ち直らないとあかんのです。

 覚醒剤に限らず、事件を起こしてニュースに出れば一家離散とかも普通にありますが、瑠美には家族がいてました。おかげでクスリとも縁が切れました。ほんまに瑠美は恵まれてるので、もっとがんばって社会に貢献したいと思っています。

元KAT-TUN・田中聖、覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕! 逮捕歴4回の女が語る「クスリの“本当の怖さ”」とは?

 2月24日、元KAT-TUN・田中聖が覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕された。愛知県名古屋市のビジネスホテルで覚醒剤約0.164グラムを所持していた疑いがあり、ホテル従業員が白色の結晶状のものを発見したとのこと。愛知県警によれば、田中は「わからない」と容疑を否認しているという。

 田中は2006年にKAT-TUNとしてデビューしたが、13年に「度重なるルール違反行為があった」として、ジャニーズ事務所から契約解除となり、同時にKAT-TUNも脱退。その後はバンド活動や、YouTubeチャンネルを立ち上げるなど活動を続けているものの、17年には大麻取締法違反容疑で現行犯逮捕(のちに不起訴)されており、何かと不穏な話題が絶えない。

 現段階では「所持」の疑いであり「使用」については明らかになっていないが、サイゾーウーマンで人気コラム「知られざる女子刑務所ライフ」を連載している中野瑠美さんは、自身も覚醒剤の使用や密売で逮捕起訴された経験があるため、同連載でたびたびその恐ろしさを訴えてきた。

 そんな中野さんが考える「クスリの“本当の怖さ”」とは、一体なんなのだろうか? 2020年夏に公開した記事を、改めて掲載する。
(編集部)


(初出:2020年8月9日)

覚醒剤逮捕歴4回の女が語る、クスリの“本当の怖さ”! 『テラハ』出演者、警察官、国税職員も大麻所持!

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

田代まさし&槇原敬之の覚醒剤事件に判決

 もうすぐお盆休み的なタイミングで、マーシーこと田代まさしさんと、マッキーこと槇原敬之さんの覚醒剤事件の判決が出ましたね。

 マーシーは7月29日で、一審仙台地裁の「懲役2年6月、うち6月を保護観察付き執行猶予2年」ちゅう判決を二審仙台高裁も「アリ」としました。まあそやろな……という感想です。前に何回も逮捕されて服役もしてるんですから、決して重い刑ではないですよ。8月6日現在で、報道はないようですが、マーシーは上告するんでしょうかね。

 そして、8月3日はマッキーの一審判決でした。こちらは求刑2年に対して執行猶予がつきましたね。しばらく休業されるようです。この間、三浦春馬さんの件とかいろいろあって、マッキーの報道は控えめでしたよね。マッキー的にはラッキーやったのと違いますかね。ちゅうか2年も前の「所持」ですから、もともと逮捕の意味がわからなかったので、執行猶予も妥当な気がします。

 それにしても相変わらずクスリ(違法薬物)の事件は多いですね。

 たとえば自殺者まで出たテレビドラマの『テラスハウス』(Netflix配信、フジテレビ系でも放送)のイケメンさんが大麻所持で逮捕されたようです。瑠美はほとんどテレビ見ないんですが、「呪われた番組」とか言われるのもわかりますよね。あとは、「元大阪府警巡査」の大麻所持とか「元札幌国税局職員」とか、ぶっちゃけ笑えました。

 国税職員さんは、マンションで1,000株くらい栽培してたそうですから、お小遣い稼ぎにはええシノギでしょう。札幌は昔から「大麻天国」のウワサがありますが、もしかしてホンマかもと思わせるニュースでした。

 まあ前から書いてますけど、大麻なんて合法の国もありますから、シャブに比べたら効き目は全然ゆるいです。もちろん日本は合法ではないから、大麻も「ダメ、ゼッタイ。」ですけどね。

 でも、ニュースが「多い気がする」だけでなく、実際にクスリの摘発は増えてるんですね。なんと2019年の覚醒剤の押収量は約2,570キロで過去最多でした。「2トン超え」は「日本初」やそうです。「こんだけあったら、どんだけもうかる?」と考えてしまうのは、私が大阪人やからで、他意はありません(笑)。

 次がコカインで約640キロと、これも過去最高。あとは乾燥大麻約61キロ、ヘロイン約17キロ、大麻樹脂約17キロの順。合計で約3.3トンやそうです。

 今年はコロナのせいで「品薄感」がありますから、どのくらいになりますかね。値上げもごついようですが、「品薄」はウソで、「便乗値上げ」ちゅう説もあります。

 今はクスリはネットで買えるので、手軽に手を出しやすくなっているのも、摘発増加の理由かもしれませんね。そもそもクスリをやる人は、危機感がないです。私もそうでした。

 クスリで突然死ぬ人って、ゼロではないけど、実は、そんなにはいてないです。ハリウッドセレブとかも、死ぬ人よりも「ワシは昔ポン中やった」とかドヤ顔でカミングアウトしてる人のほうが多い気がします。

 でも、「クスリをやってる」となったら、なかなか社会では認められません。むしろ死ぬより、こっちが大変です。もちろん私も経験あります。何をしても、何を言うても、「ポン中が何を言うか」とか「まだクスリやってんやろ」みたいなことを言われて、なかなか信用してもらえません。これはとてもツラいです。私はなんとかやれていますが、信用してもらえずに、ツラくてまたクスリに逃げる友達もいてます。

 どうすればええかは、とにかく自分で考えることです。誰も助けてくれませんよ。まずはマッキーみたいにラブラブなパートナーさんを見つけるとか、クスリを使わなくてもツラくない状況を作るために、がんばってほしいです。でも、これはこれで、めっちゃ難しいですね……。

 悩んでる人の相談相手になってあげたいなーと思う、今日この頃です。講演とか、いつでも呼んでくださいね。

有名芸人の兄・山口組系組員が逮捕! 元女囚が考える「身内の不祥事」

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

マスコミは不公平?

 あえて名前は伏せますが、先日、著名な芸人さんのお兄さんが建造物損壊の疑いで逮捕されましたね。

 現役の六代目山口組系組織の組員で、以前も殺人で懲役に行ってるのは有名な話です。正直、「また逮捕されちゃったんだぁ……」とは思いましたが、芸人さんは関係ないですからね。

 この件、ネットではそれなりに盛り上がっていますが、テレビ局や新聞、「週刊文春」(文藝春秋)、「週刊新潮」(新潮社)とかはスルーです。野田聖子さんのご主人は「元暴力団員」と大騒ぎやのに……。

 もしかすると野田さんは「自分で選んだパートナー」で、芸人さんは「自分で選べない家族」やから、ちゅうことなのかもしれませんけどね。もちろん瑠美は、この芸人さんも叩かれればええとは思てません。芸人さんでも家族はみんなと同じ家族なんですから! マスコミの扱いが不公平ちゃうかなとは思いますが。

家族が犯罪者なら一家離散も

 瑠美の場合は、本人が何回も懲役に行ってますから、家族にはめちゃくちゃ迷惑をかけました。でも、家族はそんな瑠美でも大事にしてくれてます。息子たちは、「オカンはオカンやし、俺は俺。オカンが今は頑張ってるのもわかってるから」と。こしょばい(くすぐったい)けど、ほんまにありがたいことです。

 もちろんケンカもしますけど、息子たちとは今もよく一緒にごはんを食べますし、いつの間にか9人に増えている孫たちともよく遊んでます。仲良しの秘訣は……。うーん、なんでしょうかね、お互いに包み隠さずになんでもしゃべるからですかね。あとは、自分の子どもだからって自分の考えを押しつけないようにしています。子どもだって1人の人間ですからね。ようしゃべる大阪人の中でも、ようしゃべってます。我が家は(笑)。

 まあ瑠美は覚醒剤事件で、「被害者」がいてないから家族関係も大丈夫やったのかもしれません。殺人や性犯罪やと、家族にも迷惑がかかりますよね。まず事件を起こした段階で、高確率で家族から縁を切られますし、一家離散も、珍しいことではないです。

 でも、よくよく考えてみると、うちの場合は家族が「被害者」だったんだと思います。悲しい思いをたくさんさせました。やっぱり家族は「世間様に申し訳ない」「恥ずかしい」「犯罪者の家族と世間から見られる」「もう家族やない」とか思いますよね。

 家族に縁を切られると、ムショで差し入れも面会もしてもらえませんから、けっこう悲惨です。出所しても誰も迎えに来なくて、行くところもなければ、ムショに戻るしかないです。

 行き場のないムショ帰りを受け入れる更生保護施設もあるにはありますが、毎日就職活動をするのが前提で、生活指導は施設にもよりますが厳しいし、長くても半年くらいしかいられません。そもそもムショ帰りを雇ってくれるところは、まずないですからね。 

 ちなみに瑠美は知らなかったのですが、先日亡くなった作家の西村賢太さんは、小学生の時にお父さんが強盗強姦事件を起こしているんですね。

 日本テレビ系の『テレビ三面記事 ウィークエンダー』で、実名で事件をおもしろおかしく紹介されたそうで、そこから不登校になったそうです。

 それはなりますよね。オトンがレイプ事件起こしてテレビに出たら、最悪です。10代やと特にツラいと思います。親の離婚や引っ越しもあって、高校には進学しないで独り暮らしで日雇いのバイトをしながら安いアパートを転々として、趣味は読書だけ。

 そこから作家さんになったんですね。家族が事件→一家離散→不登校→中卒→非正規雇用……まではありがちですが、そこから芥川賞はすごいです。

 玉袋筋太郎さんと飲んでケンカしたりと、レアなエピソードも多いですが、死ぬには若すぎましたね。寂しさや自分のイヤなところをちゃんと作品に出せたのは、ただの飲兵衛やないですね。ご冥福をお祈りいたします。

78歳まで働ける国家公務員「保護司」は無給のボランティア! 元女囚が読む漫画『前科者』

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

若い女性の保護司が主人公の漫画と映画『前科者』

 始まりましたねー、映画版『前科者』。若くてきれいな女性の保護司さんのお話です。若くてきれい……て、ちょっと設定が厳しい気がしますが、フィクションですからね。

 瑠美はまだ見てないのですが、原作の漫画は読みました。映画は、漫画とは別のオリジナルストーリーやそうです。見たらまた感想書きますね。

 漫画も映画も、若い女性の阿川佳代さんがコンビニでバイトしながら保護司さんをしてる設定で、そこで出会う人たちとの人間模様が描かれています。

 ネタバレしないように、保護司さんについて考えてみます。

 改めて保護司さんというお仕事についてご紹介しますと、法務省のホムペには、こうあります。

保護司の「更生保護」は、人の立ち直りを支える活動です。

 そう、「お仕事」とちがいます。「活動」なんですね。もう少し見てみると、こうあります。

更生保護とは、国が民間の人々と連携して、犯罪や非行をした人を地域の中で適切に処遇することにより、その再犯を防ぎ、非行をなくし、これらの人たちの立ち直りを助けるとともに、地域の犯罪・非行の予防を図る活動です。

保護司は、保護司法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員(実質的に民間のボランティア)です。

保護観察官(更生保護に関する専門的な知識に基づいて、保護観察の実施などに当たる国家公務員)と協力して、主に次のような活動(※)を行います。なお、保護司には給与は支給されませんが、活動内容に応じて、実費弁償金が支給されます。

※ 保護観察・生活環境調整・犯罪予防活動

 法務省の「保護司ひとくちメモ」は、全然「ひとくち」やなくて超長いのがお役所らしいですが、瑠美的に「ひとくち」で言うと、「ノーギャラでムショ帰りの生活をサポートする無謀すぎるボランティア」ちゅうことになります。しかも定年は78歳……。

 まあそんな無謀なボランティアを、瑠美もやりたいんですけどね。保護司さんになるのは、元教師とか元社長さんとかお坊さんとか「偉いお年寄り」でエリートさんですから、ムショ帰りの気持ちはわからないと思うから。

 上から目線で「マジメに生きろ」とか言われても、反発しかないです。アンタに何がわかるか、ってね。

 ムショに行くような悪いことをするのは、「原因」があります。だいたいは貧乏とか虐待ですが、友だちや恋人が悪い場合もあります。瑠美はそうでした。エリートさんは、そんな環境にいてたことないですよね。いっぺんもシャブを使(つこ)たことない人に、「やめろ」と言われてやめられるくらいなら、最初からやってません。

 漫画を読んだ限りでは、主人公の佳代ちゃんの気持ちはわからないではないですが、「瑠美ならこうは言わないかな……」と思うことも多かったです。佳代ちゃん、自分の感想が多い気がします(偉そう)。

 もっと、相手のお話を聞いたったらええのに。すぐには話さなくても、たとえば毎日やなくても、一緒においしいものを食べながら、少しずつ話せばええんちゃうかなと。

 ちょっとだけ書いちゃいますと、万引きしたおばあさんが「言葉は全て自慢か言い訳」「だからどんな時も頭に来る」と言うのは刺さりましたね。ほんまそうやなと。気をつけたいです。

 こう言われた佳代ちゃんは、おばあさんにいろいろ言うんですが、瑠美ならそこまで言えないですね。おばあさんの気持ちを、もっと時間をかけて聞いていきたいと思いました。

 あとフィクションやからでしょうが、こんな若くてかわいい人が保護司やったらキケンすぎます。ムショ帰りと2人きりとか、マジ危ないですよ(笑)。自分も懲役(受刑者)やったからアレですけど、ほぼロクな人やないです。

 映画は全く違うストーリーらしいので楽しみですが、公式サイトを見たら、佳代ちゃんが働いてるコンビニの店長が「ええ人」になってて、ちょっとがっかりしました。アレはヤなヤツやからええのとちがいますかね。でも映画は見に行きますよ。

「覚醒剤の隠し場所」は缶コーヒーから生理用品まで!? 元ポン中が教える意外なトコロ

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

刑務所でも感染拡大

 コロナ感染、広まってますね。やっと普通に戻れるかと思ったのに……。「まん防」でどこまで防げるか謎ですが、ホンマ早く収まってほしいですね。

 ムショもぼちぼち感染が広まっているようです。大分刑務所のクラスター化佐賀少年刑務所などはニュースになっていますが、ほかにもあるかもしれません。

 ムショは「密」を絵に描いたような場所ですから、一人でも感染したらアウトです。これからも増えますよ。影響を受けてない業種はないと思いますが、瑠美も含めて飲食店は大打撃です。皆様もご自愛くださいね。

「わりとわかりやすいところ」に隠しがち?

「瑠美さん、缶コーヒーに覚醒剤を隠したことあります?」

 またまた編集者さんからむちゃ振りされました。缶コーヒーに覚醒剤を隠していたちゅう事件があったんですね。ニュースによると、「フタは未開封だが底が開くよう細工された缶コーヒー」に「筒状のプラスチック製ボトルを仕込み、中に覚醒剤を隠して周りを石こうで固定していた」そうです。なんか工作が好きな人なんですかね。普通はこんな手の込んだことはしなくて、わりと見つかりやすいところに隠しがちです。

 「自分が使う用」は少量やからわりと簡単で、ボールペンの芯を抜いて軸に仕込むとかもやってましたが、身の回りにないとすぐ使えなくて意味ないので、お菓子の缶とかに入れてましたね。この「缶コーヒー」はいくつも作ってたんでしょうか。

 問題は、バイ(密売)用ですね。100グラム単位とか大量で、懲役も長くなりますから、みんな必死です。前にも書きましたが、瑠美は車体の下につけられる強力マグネット付きのケースを愛用していました。

 ムショで聞いた話では、小分けにしてカーペットの裏に貼るとか、警察にバレバレなことをやってる人も結構いてました。大きな怪獣の貯金箱に入れていた人は、「刑事さんが貯金箱を振ったらめっちゃ重くて、小銭の音がして、気づかれなくて助かった」そうです。小銭の下には100グラム以上入ってたそうで、もし見つかってたら、刑期めっちゃ延びますからね。よかったです。よくないか(笑)。

 似た感じでは、「米びつの底」ですね。掘っても掘ってもお米やけど、実はその下には……ちゅうことです。意外にバレないそうです。お風呂の天井裏もありがちなんですが、湿気が心配ですね。

 あとはおむつに仕込む手もありますが、友達は「生理用品を解体された」そうです。男は、おむつは見たなくて、生理用品は見たいんですね。ちょっとキモくないですか?

 ちなみに当時の交際相手と一緒のところにガサ入れ(家宅捜索)された時は、めっちゃ使用してたので焦りましたが、令状の都合でカレだけが連れていかれました。刑事さんたちは、瑠美に「ホンマはオマエもパクったらな(逮捕しなくては)アカンけどな」と捨て台詞を残して帰っていきました。今となっては懐かしい思い出ですが、今なら捜査が昔より厳しいから一緒にパクられてたかも?

 変わったところでは、お仏壇とかお墓もありました。お仏壇はともかく、お墓は和尚さんとかに怒られそうですが、昔は結構聞きましたよ。今はアカンかもしれませんね。

 そんなしんどい思いまでして隠さないで、クスリ(違法薬物)とはさっさと縁を切りましょう。瑠美もやめられてホンマよかったと思っています。

“上級国民”90歳、コカイン税理士72歳、元女囚が考える「おじいさんの事件」

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

ムショにいる男子は女子の8倍

 新年あけましておめでとうございます。いつも読んでくださってありがとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

 最近はコロナとか大雪とか地震のほかに、なんか「おじいさん」の事件が目立つ気がしますけど、気のせいでしょうか。高齢化社会やから?

 まあ、もともと男子のほうが圧倒的に事件を起こしてるちゅうのはあります。2020年現在でムショにいる男子は1万4,850人、女子は1,770人ですから、男子はざっと女子の8倍です。昔はもっと男子の割合が高かったと思いますが、最近は「おばあさんの万引き」が増えてるから、女子の懲役(受刑者)も増えているようです。

「令和3年版犯罪白書」p52「2-4-2-6図 入所受刑者の罪名別構成比(男女別)」

「上級国民」の収監先は?

 瑠美が気になるおじいさん事件その1は、池袋で母娘を死なせた90歳のおじいさんです。去年の秋に収監されていたことがニュースに出てましたね。

 おじいさんの自宅に嫌がらせの手紙とかが来てたそうで、収容先とかも公表されないようです。普通は初犯の重大な交通事故の加害者は交通刑務所に収監されます。関東なら千葉の市原刑務所かなと思いますが、おじいさんやから医療刑務所かなとも思います。医療刑務所は、国内に4カ所、関東に1カ所しかないです。関東は、昔のハチケイ(八王子医療刑務所)が2018年から「東日本成人矯正医療センター」になってますね。

 ちなみに交通刑務所は、「単にクルマを運転してて事故った人」が対象ですから、コワモテ系だけでなく「このワシが逮捕されるなんて納得できひん」みたいな、まったく反省の色がない大学教授や弁護士さんとかのエリートさんもいてると聞いてます。

 「飛び出してきた被害者が悪い」みたいなのは、気持ちはわかりますが、やっぱりドライバーが気をつけないとです。瑠美も毎日運転してるので、気を引き締めていきたいものです。

 もうひとつ、「コカインおじいさん」の事件ですね。18年7月に、デートクラブで知り合った女性に覚醒剤入りの日本酒を飲ませて死亡させた逮捕時72歳の税理士さんです。自分もクスリ(違法薬物)をやってるそうで、いいトシしてキメセク好きってインパクトありすぎ。

 被害者は、おじいさんの家から友だちに「いまコカイン(を)おやじにすすめられてます」とかLINEで送っていて、そのあとに亡くなっています。ちなみにコカインは覚醒剤よりお高いので、セレブ感がありますね。

 おじいさんは殺人やなく傷害致死で起訴されて、去年の7月に懲役9年の判決を受けて控訴したそうです。まさに「逆ドン・ファン事件」で、裁判所は直接証拠がないのに「覚醒剤を日本酒に入れて飲ませた」と認定しました。

 かばうわけではないですが、堂々と無罪を主張して控訴してるのに、ネットとかで「反省してない」とか言われてて、それはちゃうやろと思いました。自分的に無罪なら反省しようがないですから。

 このまま最高裁までがんばって、未決勾留期間を少しでも延ばす感じですかね。未決なら自腹でお弁当やお菓子を買えますし、手紙も毎日書けますから。この裁判も注目です。

和歌山カレー事件や工藤會も直接証拠がないまま死刑判決

 あと、紀州のドン・ファンは被害者ですが、これも気になっています。当時の奥様がパクられ(逮捕され)てから結構たつのに、まだ裁判が開かれてないことが話題ですね。

 報道などによると、ドン・ファンは「ひたすら女好きの変わり者」で、奥様は「お金が欲しい」とハッキリ言うわかりやすい人らしいですが、もしお金が欲しいだけならご主人は殺さないですよね。必ず疑われます。

 ちゅうても和歌山カレー事件とか工藤會とかも直接証拠がないまま死刑判決です。ぶっちゃけ奥様は「ええ人」でもなさそうですが、もし無実ならお気の毒です。公判はどうなるでしょうか?

「米を送ってくださることも……」刑務所ライブ20年“受刑者のアイドル”と、懲役通算12年の元女囚が語る「受刑者と慰問」

 本誌連載「知られざる女子刑務所ライフ」が好評で、『女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)として書籍化もされている元女囚・中野瑠美さんと、刑務所や少年院でのコンサート歴20年以上、その回数は504回にも上る“受刑者のアイドル”Paix²(ペペ)の2人が、受刑者の気持ちや慰問活動の葛藤を話します。

前編はこちら

息子を少年院に行かせてしまった

――懲役12年の瑠美さんが更生されたのは、どのようなきっかけだったのですか?

中野瑠美(以下、瑠美) 私が最後に逮捕された33歳の時ですね。「これで終わりにしよう。もう絶対に逮捕されないようにしよう」と、強く思えたんです。理由はいくつかあるんですが、もうムショはホンマに行きたくないと思ったことのほかに、子どもたちに申し訳ないという気持ちもありました。

 私が懲役に行ったことで、息子も少年院に行くことになってしまったんです。やっぱり「母親がいないと子育ては難しい」というのは、その通りやなと。息子は少年院に行く時に「おかんに会いたい」と言っていたそうです。これはつらかったですね。でも、息子は少年院で鍛えられて帰ってきました。

――少年院は教育が目的なので、規則なども厳しいそうですね。

瑠美 そうですね。しょっちゅう校庭を走らされていますし、勉強もさせられます。ムショは何も考えずに刑務官の指示通りに動いていればいいんですが、少年院はとにかく「自分で」考えさせられるんです。徹底的に自分に向き合うことで、出院(少年院を出ること)後もきちんと生きられるように、ちゅうことですね。自分に向き合って反省する環境にないから、ムショのほうが更生は難しいと思います。

 息子のいた少年院では、運動会でお母さんをおんぶして走る競技がありました。息子におんぶしてもらった時は感動しましたが、お母さんが来ない子も多いんです。私も寂しい思いをさせてしまって、息子のためにもクスリ(違法薬物)はもうやったらアカンなと思いました。いろいろありましたが、最終的には「覚醒剤をやめられて助かったな」と思っています。

 子どもたちにも子どもが生まれているので、孫は9人になりました。

Paix² 9人! すごいですね。

――あらためて、Paix²のお2人のプロフィールをお聞かせください。お2人は、もともとは違うお仕事をされていたんですよね?

Manami はい。私は岡山大学固体地球研究センター(現・地球物質科学研究センター)で、技術補佐員をしていました。

Megumi 私は看護師です。

瑠美 すごい(笑)。そこからの歌手なんですね。

Manami そうですね。歌手をめざしていたんですが、1998年の「日本縦断選抜歌謡祭」の鳥取県大会に出場した時に知り合いました。それで、今のマネジャーに「デュオでやってみてはどうか」と声をかけられたんです。インディーズデビューは2000年4月で、翌年の01年4月に日本コロムビアより「風のように春のように」でメジャーデビューしました。

瑠美 もう結成20年なんですね。

Megumi はい。インディーズ時代の00年9月に地元の鳥取県警倉吉警察署の「一日警察署長」を務めさせていただいた時に、署長さんから「歌がさわやかだから、刑務所の慰問をしてはどうか」とライブを勧められたんです。そこで、同じく地元の鳥取刑務所でやってみようということになりました。

Manami 私たちは鳥取県内ではテレビやラジオにも出ていたので、職員さんとのお話もすぐにまとまりました。

――そこからの「ライブ500回超え」なんですね。100%「ボランティア」だそうで、とても大変だと思います。マネジャーさんと3人で、自動車に機材を積んで全国の施設を回られているんですよね。

Manami はい。15年4月に法務省矯正支援官を委嘱されてからは、プリズン・コンサートに関する交通費などは経費としていただいていますが、採算は合わないですね。

Megumi それでもいろんな方に支えていただいて、ここまで来られました。やりがいはあります。

――出所後に、一般のライブに来てくださる元受刑者さんもいるそうですね。

Manami はい。会場に来られてCDを買ってくださる方もいらっしゃいます。

――そういう方もおられるのですね。きっと立派に更生されているのでしょうね。

Megumi そうですね。また、私たちの音楽活動を知って、お米などを送ってくださることもあります(笑)。「食えてるのか心配」などと、家族のように見守っていただいています。プリズン・コンサートを通じて、人の心の温かかさを知ることもできました。

――温かいですね。でも、今はコロナでライブはできないんですよね。

Manami はい。ようやく21年12月8日に都内でお客様に来ていただくライブを開催することができましたが、プリズン・コンサートは2年も開催できていません。

Megumi それで、この日のライブ映像をDVDにて全国の刑務所や少年院にお送りするための経費をクラウドファンディングで募ったら、なんと200%以上のご支援をいただきました。この場を借りて皆様に御礼申し上げます。
https://camp-fire.jp/projects/view/512360

瑠美 200%はすごいですね。おめでとうございます。

――すばらしいですね。また、プリズン・コンサート以外でもご活躍ですね。出身地・鳥取県の日本酒PRソング「日本酒で乾杯!~ふるさと鳥取ver.~」も歌われています。

Manami 鳥取県の日本酒は、とてもおいしいですよ。21年3月には、インド向けに鳥取県の日本酒を宣伝するための「英語バージョン」も作ったので、ぜひ聴いてみてください。県内13の蔵元が協力して、日本酒のおいしさをアピールしています。

瑠美 おもしろいことやっているんですね。

――更生支援は社会的にも重要と思いますが、刑務所の慰問については「悪者(受刑者)を応援するのはけしからん」という批判もあるようです。

Megumi そうですね、私たちもコンサートを始めて10回目くらいから葛藤がありました。塀の外には「被害者」の方がいて、塀の中には「加害者」の皆さんがいる……。最初は喜んでいただこうと思っていましたが、10回くらいライブをやっていると、「楽しいだけじゃだめだな」と思うようになりました。

Manami 演奏を聴きながら「自分はなぜ刑務所にいるのか」を考えていただけるように、受刑者のご家族からのお手紙を紹介したりしていたんです。そうしたら、「早く社会復帰したい」というような感想文が増えてきましたね。受刑者の方にも温かい気持ちになってほしいですね。

瑠美 懲役も人間やから「居場所」が欲しいんですよね。

Manami 居場所がなければストレスがたまりますし、ストレスが増えればトラブルも増えますね。

Megumi 「当たり前」の生活を送れない人たちの更生を支援するというより、私たちが「収容者と同じ目線に立つ」ことで社会の理解も得られるかなと思います。

Manami 受刑者の皆さんと真剣に向き合うといいますか、「心のスイッチを押す」ことですね。これはうちのマネジャーの言葉なんですが、スイッチを押すのは「愛」なんですよ。

瑠美 私も刑務所で、家族への愛は大事だと思いました。これからは私も入れていただいて、Paix³(ペペペ)でどうですか?(笑)

Paix² ぜひ! ありがとうございます(笑)。

【プロフィール】
中野瑠美(なかの・るみ)
懲役通算12年(すべて覚醒剤事件)の体験をつづったサイゾーウーマンの連載が好評。現在はラウンジ経営者やユーチューバーとしても活躍する。連載記事を2018年に『女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)として刊行。
オフィシャルブログ:https://profile.ameba.jp/ameba/rumi1209n/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCBAPOeHNGhG5zznedulARog

Paix²(ぺぺ)
鳥取県出身のManami(北尾真奈美)とMegumi(井勝めぐみ)による女性デュオ。「Paix」(発音は「ペ」)はフランス語で「平和」の意味。2人なので二乗して「Paix²」に。アルバムに『しあわせ』(2015年、日本コロムビア)、著書に『塀の中のジャンヌ・ダルク Paix²プリズン・コンサート五〇〇回への軌跡』(20年、鹿砦社)。14年9月に法務省より保護司任命、15年4月に同省矯正支援官を委嘱されるなど矯正支援でも活躍中。
オフィシャルサイト:https://paix2.com/

覚醒剤で懲役通算12年の元女囚と、矯正施設ライブ504回“受刑者のアイドル”が見た「刑務所の実態」

 サイゾーウーマンで好評連載中「知られざる女子刑務所ライフ」の元女囚・中野瑠美さんと、20年以上刑務所や少年院などでのコンサートを続け、その回数504回を数える“受刑者のアイドル”Paix²(ペペ)の2人の座談会が実現。3人が見てきた刑務所内の実態を語ります。

和歌山刑務所でPaix²のライブを体験した中野さん

――Paix²のお2人は、2000年に鳥取刑務所で『第1回Prison コンサート』を開催されてから、全国の少年院など刑事収容施設で504回もライブ演奏を続けてこられました。中野さんは、服役中に獄中でライブを体験されているそうですね。

中野瑠美(以下、瑠美) はい、和歌山刑務所でしたね。あの頃、お2人はもうムショで有名人で、とても楽しみやったのを覚えています。でも、今日の座談会のほうがぜんぜん楽しみでした。あの頃は舞台の「下」からお2人を見上げてたのに、今日は同じ目線ですから。お2人から座談会のオファーをいただいた時は、めっちゃうれしかったです。

Manami ありがとうございます。私たちも瑠美さんのファンなので、前からお会いしたいと思っていました。

瑠美 照れますねー。なんかすごく不思議な気持ちと、うれしい気持ちでいっぱいです。うちのお店(大阪府堺市・ラウンジ祭)のカラオケでも、Paix²の代表曲の「元気だせよ」とかは盛り上がります。私も歌っていますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=un3Ieou9CqU&t=1s 

Megumi ありがとうございます。感想をお手紙でいただくことは多いのですが、直接お聞きする機会は少ないので、とてもうれしいです。

瑠美 たしかに懲役(受刑者)は、慰問に来られる人とは話せませんね。

Manami そうなんです。でも、感想文でもうれしいですね。以前に「Paix²は俺たちのことをわかってくれている」というお手紙をいただいたことがあり、わかり合うっていいなあと思いました。

――一般のライブと違って、プリズン・コンサートは制約がありますね。

Manami はい。基本的には、膝に手を置いて静かに聴くのが規則です。立ち上がるのはもちろん、腕を上げるのもダメで、終わった時の拍手だけが許されているんです。初めてプリズン・コンサートを開催した時は、その規則を知らなかったので、「受け入れてもらえなかったのかな?」と落ち込んでしまいました。

 でも、あとでいただいた感想文を読んだら、実はとても好評で、「演奏中は騒いではいけない規則」だったことも知りました。今では演奏中に手をたたいたり、拳を突き上げたりして盛り上がってもらうこともあります。

瑠美 あんまり盛り上がるとアカンみたいやけど、「Paix²なら大丈夫」みたいなところはあるんでしょうね。

――信頼関係があるんですね。女子刑務所と男子刑務所の違いなどもあるのですか?

Megumi ありますね。最初の頃は、男性よりも女性の刑務所に気を使って、「服装は派手にしたらいけないかな?」とか思っていたんです。でも、実際には女子刑務所のほうが規制は厳しくないんですよ。たとえば女子刑務所では演奏中にステージから下りることもできますが、男子刑務所は無理です。

瑠美 危ないですもんね。所長さんにもよると思いますが、男子刑務所ではステージから下りたり握手をしたりはムリですね。

――なるほど。たしかに女性のほうが大騒ぎはしないイメージがありますね。静かに見ていても、慰問は楽しみですよね。

瑠美 はい、慰問は楽しみでした。誰ともしゃべらずに音楽や講話を聴いていればいいのでラクやったし。Paix²は、みんなが楽しみにしてましたよ。今日の座談会のこともムショ仲間に自慢して、うらやましがられてきました。

Paix² ありがとうございます(笑)。

――慰問はお菓子も出る一大イベントだそうですね。

瑠美 そうです。ムショでは、どんなにお金を持っていても食べ物は買えなくて、出されたものだけを食べるんです。お菓子を食べられるのは、慰問や運動会などのイベントの時だけなので、とても楽しみなんです。

――ほかに、心に残る慰問はありましたか?

瑠美 あるコンサートで、曲の歌詞カードが配られたことがありました。コンサートの後にゆっくり歌詞を読むことができて、その歌をもっと好きになりましたね。

 あとは八代亜紀さん! きれいな上に、めちゃくちゃいい匂いがしました。みんなで「なんの香水やろ?」と話していました。ムショは香水もつけられないので、「早く社会復帰して、やり直そう」「香水や化粧品を買えるようにがんばろう」と思えました。

Paix² 参考になりますね。

――最近は、「刑務所に入りたい」とか「死刑になりたい」と考えて事件を起こす例が目立ちますが、どう思われますか?

Megumi 刑務所に入りたくなる前に、誰かひとりでも愛を感じられる人と出会えればいいのでしょうが……。こればかりは自分で見つけないと、とも思いますね。

瑠美 刑務所に行きたくて事件を起こした人は、収監されて、めっちゃ後悔してるのとちがいますかね。

 女子刑務所はまさに「女の世界」ですから、いじめはめちゃくちゃしんどかったです。所長は男性が多いですが、あとはほぼ女性ですからね。本にも書きましたけど、懲役同士のいじめは陰湿です。歯ブラシを便器に入れられたり、化粧水のボトルにおしっこを入れられたりと、それはもうひどいもんです。

 男子刑務所は、もっと直接の暴力もありますから、しんどいと思いますよ。

――ひどいですね。

瑠美 と思います。でも、懲役の問題は、むしろ出所後ですよ。無期懲役や死刑判決はともかく、有期刑の人は、出所後はますます居場所はないですよ。前科者を雇ってくれる職場は、まだ少ないですからね。

 それに、獄中(なか)で刑務作業をすることでもらえる「作業賞与金」はもともと少ないから、すぐに使ってしまいます。シャバでは、お金がないとどうにもならないでしょう。

瑠美 あと、保護司さんとの相性もあります。仮釈放されたら保護司さんの指導を受けなくてはならないのですが、保護司さんは元教師とか元議員さんとかのエリートばっかりで、不良になる人の気持ちなんかわからない。それでも定期的に会って話を聞かされるのはイヤでしたね。

 そういうのがわかっている私が、保護司になりたいと思っています。Paix²のお2人は、保護司もされていてうらやましいです。

Megumi はい、2014年に2人で法務省から保護司に任命されました。

――瑠美さんのような経験のある方が保護司になったら、保護観察処分を受けている方も安心できるでしょうね。

瑠美 そうだといいですね。
(後編に続く)

【プロフィール】
中野瑠美(なかの・るみ)
懲役通算12年(すべて覚醒剤事件)の体験を綴ったサイゾーウーマンの連載が好評。現在はラウンジ経営者やユーチューバーとしても活躍する。連載記事を2018年に『女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)として刊行。
オフィシャルブログ:https://profile.ameba.jp/ameba/rumi1209n/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCBAPOeHNGhG5zznedulARog

Paix²(ぺぺ)
鳥取県出身のManami(北尾真奈美)とMegumi(井勝めぐみ)による女性デュオ。「Paix」(発音は「ペ」)はフランス語で「平和」の意味。2人なので二乗して「Paix²」に。アルバムに『しあわせ』(2015年、日本コロムビア)、著書に『塀の中のジャンヌ・ダルク Paix²プリズン・コンサート五〇〇回への軌跡』(20年、鹿砦社)。14年9月に法務省より保護司任命、15年4月に同省矯正支援官を委嘱されるなど矯正支援でも活躍中。
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元女囚が振り返る「2021年薬物&刑務所の大事件」――ムショに行きたい人は「壮絶いじめ」覚悟で!

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

連載を読んでいただき、ありがとうございます

 あっという間に2021年も終わってしまいますね。皆さんにとって、今年はいかがでしたか?

 瑠美は連載を読んでいただけたことや、Paix²(ぺぺ)のお2人と座談会をさせていただいたことは、とてもうれしかったです。この場を借りて御礼申し上げます。

 コロナのせいでお店がオープンできないのはつらかったですが、いろんな方に励ましていただき、これも感謝です。協力金はいただけても、お客さんやお店の女の子は離れてしまうと、元に戻るのに時間がかかってしまいますから、早く収束してほしいですね。

他人事ではない「母親の薬物中毒」

 思えば2021年も、いろんな事件がありました。

 人気のある芸能人など、いわゆる大物のクスリ(違法薬物)がらみの逮捕はなかったですが、学校の先生や消防士、区議会議員など、世間的に「ちゃんとしてる人」が目立ちました。

 瑠美もなんですけど、好奇心とか「自分だけは中毒者にならない」という根拠のない自信とかから、クスリに手を出して抜けられなくなる人は多いです。特に「ちゃんとしてる人」の場合は、子どもたちに「悪いことをするな」と言えなくなりますから、相当まずいです。

 子どもたちといえば、大津市で8月に18歳の少年が6歳の妹を暴行して死なせて傷害致死容疑で逮捕された事件は、お母さんの薬物中毒とネグレクト(育児放棄)が問題になりました。この事件は他人事やないと思いました。

 私がパクられた(逮捕された)時は、私の親とパートナーがしっかり子どもたちを守ってくれていたので大丈夫でしたが、お母さんの逮捕は小さな子どもには悲劇でしかないです。この少年は9月に少年院送致されたそうで、お母さんは12月に入って麻薬取締法違反(使用)で起訴されましたね。実刑ですかねえ。

 刑務所には、瑠美を含め、逮捕されて子どもと離れて暮らさざるを得なくなった女性がたくさんいてました。本はと言えば自分が悪いんですが、やっぱり子どものことを思うとムショでも涙が出てきましたね。少年院に行った息子が「おかんに会いたい」と言ってくれたのを後から聞いたことも、クスリをやめる理由のひとつになりました。

 刑務所も相変わらず看守にどつかれたり、看守をどついたりの事件が多かったですね。こうゆうのは男子刑務所で、女子刑務所のいじめは暴力やなく、もっと陰湿なんですが、めくれて(発覚して)ないだけで、ホンマはもっとあるんでしょうね。

 「へえ」と思ったのは、元モー娘。のゴマキこと後藤真希さんの弟くんのインタビューです。服役していた川越少年刑務所で凄惨ないじめを受けたそうですが、

 普通はムショでは有名人は「芸能人」と呼ばれて独居なんですよ。なんでいじめられたんかなと思ったら、自分から「1人でいるのがダメな人間なので『独居だと精神的にキツいので、雑居に移してください』と刑務官にお願いして許可して」もらったそうです。独居のほうがラクやのに……。案の定、真冬に水を2リットルくらい飲まされるとかのイジメを受けたそうです。

 ほかにも「トイレ用のブラシで歯を磨けとか、施設内の除草作業で見つけたカブトムシの幼虫を食べろとか、部屋長の精液を掛けたご飯を食べろとか」もあったそうですが、弟くんはそういういじめは受けてないようです。

 このニュースはもっと大々的に取り上げてほしかったですね。「刑務所に入りたい」といって事件を起こす人には、ぜひ知ってほしいです。ムショに行きたいからと誰かを犠牲にするなんて、「ダメ。ゼッタイ。」です。

 そして、もうひとつのニュースは、「懲役」の制度が変わるかも、の件です。

 知りませんでしたが、ムショで「(刑罰としての)刑務作業」だけでなく、社会復帰や再犯防止のプログラムも受けられるように、法律の改正が進んでいるそうです。

 刑務作業のある「懲役刑」と、刑務作業のない「禁錮刑」を一緒にして、認知症が進んでいるお年寄りとか体力が有り余っている若い人とか、それぞれに合った刑務作業や再犯防止の教育などの時間を割り振るようです。たしかに刑務作業しかしていないと、出所後が大変です。

 しょうもない刑務官も多かったですが(笑)、「新しい被害者を出さないためにも懲役に寄り添って、社会復帰を支援したい」ちゅう刑務官もちゃんといてますから、社会復帰はがんばってほしいです。

 今年もいろんな事件がありましたが、ムショも少しずついい方向へ行っていると思いたいですね。

 来年もよろしくお願い申し上げます。よいお年をお迎えください。

刑務作業品のオンライン即売会が年明けまで開催! 元女囚がオススメする「刑務所良品」

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

人気は横須賀刑務所の強力洗剤「ブルースティック」

 あっという間にもう今年も終わりですね。来年はコロナ問題が100パーセント片づくといいですね。

 緊急事態宣言が解除になって、瑠美のお店も再開していますが、まだ様子見のところはあります。ライブや動物園めぐりなど、いろんなイベントがオンラインに切り替わるなんて、ちょっと前は想像できませんでしたよね。

 刑務作業品の展示販売会も、ずっとやっていないと聞いていましたが、2021年12月16日から年明け1月14日まで「ネットDE全国刑務所作業製品即売会2021」が開催されるそうです。

 オンラインやのに日程を区切る意味がようわからんのですが、どんな商品があるのか見るだけでもおもろいので見てみてください。

 瑠美の母校である和歌山刑務所は意外にしょぼくて、エプロンとお手玉しかないんですが、もうひとつの母校の岩国刑務所も、ガラス細工以外はやっぱりしょぼいです。

 人気は横須賀刑務所謹製・強力洗剤の「ブルースティック」や函館少年刑務所の「マル獄」シリーズですね。

 普段はほとんど「在庫切れ」状態なのですが、「ネットDE全国刑務所作業製品即売会2021」の時にはガッツリ納品されるちゅうことなのでしょうか。

 あと瑠美は全然知りませんでしたが、国会議員の河野太郎さんが徳島刑務所謹製の革靴をご愛用やそうで、人気が出てるんですね。

 このほか「くまモン」や「ハローキティ」などキャラクター系も人気やそうです。

 販売はされてないですが、100円均一ショップの下請けをしている施設も多く、ティッシュケースとかツケマとかも作られているのは以前も書いてますね

 瑠美は、バラバラで輸入されてくる中国製クリップをきれいに箱詰めする作業が得意でしたね。ちゅうかヒマやからほかにすることがなくて、ひたすら集中するだけなんですが。

 オンライン即売会はカタログもありますね。

 まな板とかキッチン用品もいい感じですし、変わったところでは仏壇(大阪刑務所)やお神輿(富山刑務所)、墓石(高松刑務所)なんかもあります。ちなみに棺桶も作っていると聞いたことがありましたが、今ググったらないですね。都市伝説なんでしょうか……。でも今は木製でなく段ボール製の棺桶もあるそうですね。

 オンラインでは買えませんが、瑠美的には、やっぱりお弁当とかパンがオススメです。旭川刑務所のAランク牛肉を使ったプリズン弁当のほか、府中刑務所のコッペパンは2時間待ちもザラやそうです。ホットドッグのパンみたいなアレじゃなくて、かなりもっちりして、最近のいわゆる「高級生食パン」に近い味です。

 あと、これも会場限定ですが、「性格検査体験コーナー」もおもろいです。収容される時に、どんな刑務作業が向いているかとか調べるために、実際に使われています。カッとなりやすい人に包丁やハサミなどは持たせられないですからね。ヘタな占いより当たると評判です。知り合いのライターさんは「細かいことにこだわりすぎる」との結果が出たそうで、「余計なお世話です」と怒っていました。

 戻る気はないですが、思えばムショもおもろいところですね。いつか販売会の会場にも来てくださいね。