覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
■小泉今日子が暗すぎ……
女囚が主人公の刑務所ドラマ、人気があるんですね。以前も『女囚セブン』(テレビ朝日系)が話題でしたが、この秋からは『監獄のお姫さま』(TBS系)が始まりました。なんと、しまむらとコラボして、ドラマのゆるキャラ、その名も「ぜんかもん」くんグッズを販売してるんですね。
『女囚セブン』と同様に、今回も出演者がキョンキョンとか菅野美穂さんとか、皆さんフツーに美人すぎますよね。とはいえ、やっぱりドラマですから、きれいな人が出てこないと見る人もつまんないでしょうし。
でも、「夫に対する殺人未遂で逮捕された設定」のキョンキョンのキャラクターは暗すぎますね。これは改善の余地ありと思いました。当事者でないとわからへんのですが、ムショでは、ダンナを殺した人は暗くないんですよ。むしろ生き生きとしています。
私は12年の懲役の間に、いろんなコと同じ房になりましたが、「ダンナを殺して暗くなってるコ」というのは、まずいてませんでしたね。学校の先生とか、おカタい職業でダンナさんを殺したコもけっこういてたけど、みんな普通でした。
「はじめまして」の時に、自分から罪名を言わはるんは、まあ人によりますけど、「夫を殺しました」と言うコがわりと多いです。それで「やっと死んでくれた」とか、「包丁で20回刺したくらいで死にやがった。おかげで私は人殺しや。ホンマあほやで(笑)」とか。さらには、どうやって殺したか、詳しく話してくれるコもいます。
最近、ご主人の死をひたすら願うSNSサイト『だんなデスノート』が本(宝島社)になって注目されてるそうですが、夫殺しの受刑者はまさに、そこへ書き込む人たちと同じような感じでした。いろんな事情(主に貧困)で離婚もできず、ガマンにガマンを重ねてついに……ということなのでしょうね。
ちなみに私の家庭は円満なんで、無関係ですよ。編集者さんが「キョンキョンが暗いのは未遂だからじゃないですか? ちゃんと殺ってたら、笑ってるかも」と鋭いことを言っていました。これに対して、子どもを殺して入って来たコは、まず自分からは言いません。そして口数が少なく、暗い表情をしています。それでも、みんなは彼女の罪名を知っています。刑務官が言いふらすからです。
「あのコは殺(や)ってんねん」みたいなことを、聞いてもいないのに教えてくれるんです。公務員やから守秘義務があるので、それもどないやねんと思いますが、すぐにウワサは所内に広まってしまいます。そして原因は、ほとんど貧困か「新しい男」ですね。貧乏で不憫になって、とか、新しい男と暮らしたいからとか。たいていはその男もダメなのにね。
■事件そのものよりスゴい「裏話」
男子刑務所と違って、女子刑務所は数が少ないこともあって、長期刑とか罪名で分けられません。初犯と累犯の区別があるくらいです。なので人殺しから万引きの常習犯までみんな一緒です。そやから、打ち解けてくると、けっこういろんなことをお互いにしゃべります。
たとえば2人の小さな子を殺して「鬼母」と報道されたAちゃんは、貧困でどうにもならず、子どもたちを殺して自分も首を吊ったのに、死にきれなかったと泣いていました。シングルマザーで誰も相談する相手がいなかったんだとか。家庭の事情などでちゃんと育ってないコは、問題を解決できる力がなく、甘え方も知りません。Aちゃんもそうだったんですね。
また、福田和子さんとか女性の事件の裏には、ほぼ「男」がいてますから、こういう話もおもろいです。事件を起こすのはもちろんアカンけど、悪いのは女性だけと違うんだということもよくわかりますよ。もし私が映画やドラマを作るなら、こういう事件の裏側を回想場面で再現したいと思いますが、いかがでしょうか。
中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」
中野瑠美(なかの・るみ)
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
中野瑠美(なかの・るみ)