ムショにも覚醒剤を持ち込める!? 膣や肛門まで調べられる「全裸検診」の屈辱

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■刑務所の身体検査「カンカン踊り」とは?

「刑務所っていうと、『カンカン踊り』ですよね? 女子刑務所でもやるんですか?」

 編集者さんから聞かれました。これだからシロートは(苦笑)。女子刑務所でそんなんやらせたら、それこそ人権問題でしょうし、男子でもとっくになくなってますよ。

 映画や漫画で取り上げられるようですが、「カンカン踊り」とは、かつてあった男子刑務所の身体検査の方法です。全裸で「アッカンべー」をして、まぶたの下と舌を見せ、手のひらを広げます。なんか踊ってるように見えるからこんなネーミングなんでしょうが、つまりこれは「何も隠し持ってない」ということを証明させられているんです。ちゅうか屈辱的な格好をさせて、「オマエには人権なんかあらへん」と思わせる意味もあるんでしょうね。

 でも、今は全裸ではなくパンツ着用で、足元は鏡らしいです。あとはアッカンベーと手を広げる程度だそうですが、近所の元不良は「カラオケボックスでなら、カンカン踊り再現したろか」言うてました。いっぺん見ときましょうかね。

 しかしながら、男子ほどではないですが、女子の検査もけっこう屈辱的です。全裸で四つん這いになって20秒くらいそのまま静止。膣や肛門、耳の穴まで「何かを入れてないか」を確認されるのです。まあ入れようと思えば入れられるんですが、実際どうなんですかねえ。

■ムショに覚醒剤を持ち込む方法

 確かに空港の税関などでは、「ボディ・パッキング」といって、コンドームの中に詰めたりラップにくるんだヘロインや覚醒剤を大量に飲み込んで密輸する例もあります。たまに飲み込んでた人が逮捕(パク)られてるニュースを目にしますが、これは命がけです。よくできるなあと他人事ながら感心します。パックが破れたらかなりの確率で死にますからね。“めくれて”(明らかになって)ないだけで、けっこう亡くなってはるでしょう。

 女性の場合はアソコに入れる場合もあるようです。こういうこともあるから、日本のムショも全裸の検査をするんでしょうが、日本人は密輸するにしても、あんまりそこまで体を張った方法は取らないと思いますけどね。

 むしろ日本のムショでは刑務官を取り込んでいます。有名なのは2013年に府中刑務所で起こった件ですね。刑務官に覚醒剤を持ってこさせるって、どんだけー? ちゅう感じです。

 シャブやなくてもタバコや酒、携帯電話なんかを刑務官に差し入れさせるのは何度も問題になっていますね。これにはワイロを渡して抱き込む方法と、ミスをさせて弱みを握る方法があります。ワイロは刑務官の家族に渡している場合もあります。

 弱みを握るには、まず何度も刑務官を呼び出したりして手を焼かせ、「切手を1枚くれたらおとなしくする」などと言います。それで、切手をもらえたらシメたもの。「チョーエキ(受刑者)にモノを渡すとは何事だ。上司に言うぞ」と脅かすわけですね。刑務官は小さな不正をごまかすために、懲役の要求を飲み、どんどん取り返しのつかない方向へ行ってしまうのです。

 これはかなり古典的なやり方なのですが、今もアリなようですよ。よい子の皆さんは絶対にマネしないでくださいね。ちゅうか、私が言うことではないのですが、まずはムショに行かないようにしましょう。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

※この連載が本になります!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)5月17日発売

ムショにも覚醒剤を持ち込める!? 膣や肛門まで調べられる「全裸検診」の屈辱

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■刑務所の身体検査「カンカン踊り」とは?

「刑務所っていうと、『カンカン踊り』ですよね? 女子刑務所でもやるんですか?」

 編集者さんから聞かれました。これだからシロートは(苦笑)。女子刑務所でそんなんやらせたら、それこそ人権問題でしょうし、男子でもとっくになくなってますよ。

 映画や漫画で取り上げられるようですが、「カンカン踊り」とは、かつてあった男子刑務所の身体検査の方法です。全裸で「アッカンべー」をして、まぶたの下と舌を見せ、手のひらを広げます。なんか踊ってるように見えるからこんなネーミングなんでしょうが、つまりこれは「何も隠し持ってない」ということを証明させられているんです。ちゅうか屈辱的な格好をさせて、「オマエには人権なんかあらへん」と思わせる意味もあるんでしょうね。

 でも、今は全裸ではなくパンツ着用で、足元は鏡らしいです。あとはアッカンベーと手を広げる程度だそうですが、近所の元不良は「カラオケボックスでなら、カンカン踊り再現したろか」言うてました。いっぺん見ときましょうかね。

 しかしながら、男子ほどではないですが、女子の検査もけっこう屈辱的です。全裸で四つん這いになって20秒くらいそのまま静止。膣や肛門、耳の穴まで「何かを入れてないか」を確認されるのです。まあ入れようと思えば入れられるんですが、実際どうなんですかねえ。

■ムショに覚醒剤を持ち込む方法

 確かに空港の税関などでは、「ボディ・パッキング」といって、コンドームの中に詰めたりラップにくるんだヘロインや覚醒剤を大量に飲み込んで密輸する例もあります。たまに飲み込んでた人が逮捕(パク)られてるニュースを目にしますが、これは命がけです。よくできるなあと他人事ながら感心します。パックが破れたらかなりの確率で死にますからね。“めくれて”(明らかになって)ないだけで、けっこう亡くなってはるでしょう。

 女性の場合はアソコに入れる場合もあるようです。こういうこともあるから、日本のムショも全裸の検査をするんでしょうが、日本人は密輸するにしても、あんまりそこまで体を張った方法は取らないと思いますけどね。

 むしろ日本のムショでは刑務官を取り込んでいます。有名なのは2013年に府中刑務所で起こった件ですね。刑務官に覚醒剤を持ってこさせるって、どんだけー? ちゅう感じです。

 シャブやなくてもタバコや酒、携帯電話なんかを刑務官に差し入れさせるのは何度も問題になっていますね。これにはワイロを渡して抱き込む方法と、ミスをさせて弱みを握る方法があります。ワイロは刑務官の家族に渡している場合もあります。

 弱みを握るには、まず何度も刑務官を呼び出したりして手を焼かせ、「切手を1枚くれたらおとなしくする」などと言います。それで、切手をもらえたらシメたもの。「チョーエキ(受刑者)にモノを渡すとは何事だ。上司に言うぞ」と脅かすわけですね。刑務官は小さな不正をごまかすために、懲役の要求を飲み、どんどん取り返しのつかない方向へ行ってしまうのです。

 これはかなり古典的なやり方なのですが、今もアリなようですよ。よい子の皆さんは絶対にマネしないでくださいね。ちゅうか、私が言うことではないのですが、まずはムショに行かないようにしましょう。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

※この連載が本になります!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)5月17日発売

家族旅行で“18億円”覚醒剤密輸! 元女囚が解説する、カタギが「運び屋」になる理由

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■両親が逮捕されたら子どもたちは施設へ?

 アフリカのケニアから約30キロの覚醒剤をコーヒー袋30個に小分けして持ち込もうとしたペットショップ経営者の夫婦が、羽田で逮捕されましたね。末端価格は約18億円だそうで、ごっついですねえ。

 夫婦のうちご主人は認めたあと黙秘、奥さんは否認しているそうですが、お子さん連れだったことが気になりました。子どもを巻き込んだらアカンでしょう。

 私も4回も逮捕(パク)られて家族に迷惑をかけましたから、特にそう思います。両親ともパクられたら、お子さんたちは児童養護施設で暮らすことになるかもしれませんね。私の場合は、実家の母がいてくれて助かりましたが、他人事ながら心配です。

 親御さんが実名を出されてバンバン報道されているのもかわいそうですね。子どもには何の罪もないのに。

■1回につき400万〜1000万円の“報酬”

 さて、報道によりますと、パクられた夫婦はペットショップを経営してますね。合法の商売ができているということは、ヤクザではないちゅうことですよね。今のヤクザは銀行の口座も持てませんから、覚醒剤やオレオレ詐欺くらいしか本当にシノギがないんです。

 「イヤならヤクザをやめればいい」なんて、カンタンに言わないでくださいね。やめられるものなら、とっくにやめてます。やめたところで雇ってくれる人や、商売しようにも開業の資金を出してくれる人なんかいませんよ。

 せやから仕方なくシャブを売っている人も多いんですが、前科があると海外に渡航できないこともあり、カタギに運び屋をさせることもあるのです。今回はそういうケースでしょうね。

 なんでカタギなのにシャブを運ぶの……? と思われる方もいらっしゃるでしょう。 実は、ひたすらシャブを運ぶだけの「運び屋」には、カタギの人も結構いてるんです。今回の夫婦も「運んでもらうだけでええから」とか「子どもも連れて行けば怪しまれないから」とか言われて、これまでに6回成功していて、1回につき400万〜1000万円の“報酬”を得ていたそうです。それだけ聞けばワリのいいバイトみたいですが、今回の逮捕で長期拘留されたりしたら、つまんない人生と思いますよ。お子さんたちとも会えなくなるかもしれません。

■運び屋もいろいろ売人もいろいろ

 もうだいぶ前に亡くなりましたが、普通のおばあちゃんで、ひたすらシャブを運んでる方もいてました。ギョーカイではかなり有名でした。あと、やっぱり亡くなっていますが、別の運び屋のオッサンは「芸能人御用達」で、あの尾○豊にも運んだと豪語していたそうです。確かめようにも、もうこの世にいないのでアレですが。「伝説」によると、自転車でフツーに郵便受けとかに入れていたそうです。

 私の経験から言うても、「見るからにコワいヤクザ」より、こういう「普通な」運び屋さんとかのほうがわかりにくい分コワいと思います。あなたの隣にもそんな人がいてるかもしれませんよ?

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

※この連載が本になります!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)5月17日発売

「私も脱走を考えた」元女囚が語る、愛媛の刑務所脱走事件が起こったワケ

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■脱走騒ぎは少なくない

 この原稿を書いている現在はまだ捕まっていないようですが、すごいですね、愛媛の大脱走事件。報道によると、国内唯一の「塀のない刑務所」である松山刑務所の大井造船作業場(今治市)で4月8日夜に平尾龍磨受刑者が脱走、13日になっても行方がわかっていないそうです。

 この作業場は、初犯でまじめに受刑している「模範的な」懲役(受刑者)が全国から集められている、レアなモデルケースのムショです。もちろん「暴力団員」はいてませんよ。でも作業場には塀も鉄格子もなく、鍵も内側から開くので、実は脱走騒ぎは少なくないんですね。

 今回はなかなか捕まらないので、「脱走犯が何をするかわからないからコワい」ちゅう不安以上に、「模範囚なのになんで脱走?」とか、クルマを盗んでおいて「車をお借りします。一切傷つけません」とかメモを残す律義さみたいなところに注目が集まってる気がします。

 ちなみにいわゆる「模範囚」とは、実は法務省の定義ではないのです。法律的には「優遇区分」といいます。この区分は、法務省の公式サイトでは「まじめに受刑生活を行っている受刑者により良い待遇を与える」もので、第1類から第5類まで5段階になっています。最高ランクが第1類で、手紙の発信が月10通とか認められてCDプレイヤーなんかも使えるそうですが、そんな人は見たことないですね。また一度も懲罰を受けたことがないのも条件で、そういう人も珍しいですよ。

 逃げている平尾受刑者も模範囚でしょうが、逃げるなんて……何があったんでしょうね? 居ても立ってもいられない状況があったのだと思います。

 この造船作業場に収容されていると仮釈放も早いので、移送を希望する懲役も多いようなんですが、軍隊並みの厳しさだそうで、来てから後悔する方も多いとか。逃げてはる平尾受刑者は「叱られて落ち込んでいたようだ」的なお話が出てますが、どうなんでしょうか?

 それにしても平尾受刑者、「窃盗などで懲役5年6月の実刑」てゴッツイですよね。長すぎ。「何やろ?」と思ったら、編集者さんが調べてくれました。高校の同級生とコソ泥をやったはったんですね。

 2013年11月の報道の時点で、ナント121件(被害額約405万円)の出店荒らしや車上荒らし、ひったくりなどがわかっているそうです。逮捕当時は住所不定・無職で、ホームレスのような生活やったと。で、刑が確定して福岡刑務所から松山刑務所に移送されて、造船所に行かされています。ナニがあったんでしょうか。気になりますよね。

■私も脱走を考えました

 以前も書かせてもらいましたが、「脱走」はムショでは「自殺」と並ぶタブーです。もちろん懲役にとってのタブーではなく「官(役人や施設)にとってのタブー」ですけどね。脱走者が出たら所長まで処分の対象になるとか、そんな話です。せやからヒソヒソ話は「脱走の相談」として厳禁ですし、本や雑誌も脱走や自殺の方法を書いてあるものは差し入れできません。でも、日本人の脱走は少ない気がしますよね。だいたい大きな脱走騒ぎは外国人ですしね。

 もちろん、獄中(なか)にいて脱走を考えない人はいてませんよ。人間の尊厳を徹底的に傷つけますからね。ひどいもんです。私だって考えたことがありますからね。当時のカレが突然手紙をくれなくなり、面会にも来てくれなくなったんです。もう不安で不安で8カ月くらい泣き暮らしましたね。脱走も考えましたが、とてもムリなので、「逃げられないなら死のう」くらいに思っていました。逃げている平尾受刑者も、「恋人が死にそう」とか、逃げざるを得ない何か事情があってんやろなと思います。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

女囚たちの涙ぐましい“刑務所グルメ”――コーヒーの代わりに「痔の薬」を……

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■獄中では甘いもののことばかり考えていた

 何度か書かせていただいていますが、ムショの楽しみはなんといっても食べることです。特にお菓子やコーヒーには胸が躍ります。お菓子が食べられるなら、ぶっちゃけカレの面会や手紙なんかどうでもいいですよ。

 私はシャバにいる時は、特に甘いものが好きというわけでもなく、食べたいと思ったこともほとんどなかったのですが、とにかく、なか(獄中)では甘いもののことばかり考えていました。あまりにストレスが強すぎて、カラダが糖分を求めるようになるのではないでしょうか。「コアラのマー○」や「アルフォー○」がどんだけおいしいか、シャバにいたらわかりませんよ。夢にまで見ちゃいますから。いっぺんムショで暮らしてみたら、この気持ちがわかっていただけると思います。

 ムショの生活は、朝の起床から夕方の刑務作業が終わるまでは分刻みなのですが、夕食の時間から就寝までの時間と、刑務作業のない土日祝日・年始年末などはかなりヒマになります。誰でもヒマだとロクなことを考えませんよね。特に懲役(受刑者)はしょうもないことばかり考えます。それでボールペンでアイラインを引いたり、オ○ニーに使えそうなモノを探したり、生理用ナプキンを解体して巻き直してタンポ○を自作したりするわけで、ホンマにしょうもないです。

■痔の薬はコーヒーの香り?

 中でも味気ない食事を楽しくする方法をみんなで考えるのは楽しかったです。和歌山刑務所で出るパンは、空気を多く含んでいるのか、空洞が目立っていました。それをお箸で細くちぎって、お皿にきれいに並べたり。別に意味はないんですけど、「カフェっぽい!」とか「サブウェ○やん!」とか、みんなで盛り上がっていました。何がどうサブウェ○なのかは不明です。

 あとは、コッペパンの皮をはがしてちぎって、サラダのトッピングにしてみたり。「今日はサラダバーやで」って、別に「バー」ではないのですが。また、たまに出るコーヒーに付いているストローでぜんざいの汁気を取って、「おしるこ」と「あんこ」を別々に楽しむこともありました。コロッケの衣をはずして中にあんこを入れて「揚げパン」風にしたり、さらにマーガリンを中に塗ったり。さっさと食べればええんですけどね。あとは、練り歯磨きをなめてからお茶を飲んで「ミントティ」にするとかもありましたね。

 極め付きは、坐薬ですね。痔の薬はなぜかコーヒーの香りがしました。なかなか薬をくれない刑務官でも、なぜか「お尻が痛い」と言うとすぐに坐薬をくれたので、使う前にまずは匂いを嗅いでお茶を飲み、「コーヒーやん」と言っていました。今思えば相当ヘンなのですが、みんなでワイワイと工夫をこらしてやっていました。

 ちなみに食事の時はお茶なので、普段コーヒーは飲めません。年に何回かの行事の時などに缶コーヒーは支給されるのですが、めったに飲めないので、たまに飲むと興奮してしもうて、朝まで眠れなくなります。シャバでは普通に飲んだり食べたりできるものでも、ムショではそれほど特別なのです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

「アカオチ」「M浴」「セッケン禁止」……元女囚が教える“役に立たないムショ用語講座”

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■カタギには通じないムショ用語

「『懲役』って、『受刑者』という意味ですか?」

 編集者さんからこう聞かれて、初めて気づきました(笑)。これは常識だろうと思ってましたが、違うんですね。「懲役」とは、「刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる」(刑法第12条の2)ことです。「ヒト」やなくて、「作業をさせること」なんですね。でも、不良の間では「チョーエキ」言うたら、受刑中の人です。何でも勉強ですねえ。

 思えば、カタギには通じないムショ用語、結構あります。刑が確定して既決囚になることを「アカオチ」と言います。昔の囚人は赤い着物を着せられたそうで、刑務所に落ちることを「赤落ち」と表現したんですね。ちなみに「白い着物」は亡くなることです。これはヤクザ用語ですかね。

 あと「銀シャリ」は、昭和生まれには通じるかもしれませんが、「バクシャリ」は言いませんよね、きっと。「バク」とは麦のこと。ムショではバクシャリがキホンです。シャリとは、もともとお米を指しますが、おしるこやぜんざいのような甘いものを、ムショでは「甘シャリ」といい、麺類を「長シャリ」といいます。こういうのは、女子はあまり使わないですかねー。ちなみに女子刑務所で「ピンシャリ」というとオ○ニーです。男子は「アタリ」といいます。語源は……ナイショ。

 そして、人の食べ物を取り上げるイジワルを「シャリ上げ」と言います。もちろんバレれば懲罰です。昔は強い人に食べ物をあげて取り入るのも横行していたので、食べ物のやりとりは、あげる方も懲罰の対象になります。

 ほかには私語を「アゴ」や「ペラ」、手紙は「ガテ」、見張りは「シキテン」、メモや伝言などをこっそり渡すことは「ハト」といいます。アゴは口に近いですし、ペラペラしゃべることにも通じているから、なんとなくわかりますよね。不良は略したり、逆さに読むことも多いので、ガテもなんとなくおわかりでしょうか。ハトは伝書鳩からきているようです。でもシキテンて……。何でしょうね。元は警察用語らしいです。

 こういうのはチョーエキ用語ですが、官(施設側)の用語もあります。たとえば「ガンセン」。「願箋」と書きます。薬を飲むにも、手紙を書くにも、まずは願箋に「願い事」を書いて刑務官に渡して、いちいち許可をもらわなければなりません。たとえば風邪薬や胃薬などはいっぺんに飲まないように、1回分ずつもらわなくてはいけないのです。で、いちいちそのお願いを書くんですね。字が汚いと読めないと言われて却下されるので、みんながんばって丁寧に書いた結果、出所の頃には字がきれいになっている……そんな話がありますが、どうでしょうねえ。都市伝説ですかね。でも、たしかにムショ帰りの人は字を丁寧に書く人が多い気もします。

 あとは、「セッケン」ですね。「接見」と書きますが、面会のことです。取り調べの段階で否認していると、セッケン禁止処分を受けることがあります。「外部の人に証拠隠滅を指示するから」とか言われますが、面会も刑務官が立ち会うので、指示なんかできるわけがありません。「否認しているとこうなる」ちゅう単なるイヤガラセやと思います。

 これを「石けん」と思っている未決囚がたまにいてるそうです。ある親分さんが、入浴の時に石けんを使わずに体を洗っているコを見かけ、「このコは石けんも買えんのかいな?」と思って、「これ、使う?」と自分のを差し出してあげたら、「あのう……ボク、セッケン禁止なんです」と言われたそうです。ホンマかいな!? と思うでしょ? ホンマやそうです。

 ほかにも生理中の人がまとまって最後に入る「M浴(エムヨク)」もあります。Mとはメンスのことらしいですが、今どきメンスなんて言いませんよねえ。

 ほかにもお風呂に入れない時に体を拭くシキシン(拭身)、自殺防止のために缶詰を刑務官が開けるカイカン(開缶)、刑務所にリョウチ(領置、預けること)している私物を家族や友人に渡すタクサゲ(宅下げ)なんかもあります。領置品を自分で使うのはシャサゲ(舎下げ)ですね。房内の抜き打ちのガサ入れ(家宅捜査)みたいなのはソーケン(捜検)となります。

 まあこんなことを覚えても、使う時が来ませんように(笑)。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

「アカオチ」「M浴」「セッケン禁止」……元女囚が教える“役に立たないムショ用語講座”

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■カタギには通じないムショ用語

「『懲役』って、『受刑者』という意味ですか?」

 編集者さんからこう聞かれて、初めて気づきました(笑)。これは常識だろうと思ってましたが、違うんですね。「懲役」とは、「刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる」(刑法第12条の2)ことです。「ヒト」やなくて、「作業をさせること」なんですね。でも、不良の間では「チョーエキ」言うたら、受刑中の人です。何でも勉強ですねえ。

 思えば、カタギには通じないムショ用語、結構あります。刑が確定して既決囚になることを「アカオチ」と言います。昔の囚人は赤い着物を着せられたそうで、刑務所に落ちることを「赤落ち」と表現したんですね。ちなみに「白い着物」は亡くなることです。これはヤクザ用語ですかね。

 あと「銀シャリ」は、昭和生まれには通じるかもしれませんが、「バクシャリ」は言いませんよね、きっと。「バク」とは麦のこと。ムショではバクシャリがキホンです。シャリとは、もともとお米を指しますが、おしるこやぜんざいのような甘いものを、ムショでは「甘シャリ」といい、麺類を「長シャリ」といいます。こういうのは、女子はあまり使わないですかねー。ちなみに女子刑務所で「ピンシャリ」というとオ○ニーです。男子は「アタリ」といいます。語源は……ナイショ。

 そして、人の食べ物を取り上げるイジワルを「シャリ上げ」と言います。もちろんバレれば懲罰です。昔は強い人に食べ物をあげて取り入るのも横行していたので、食べ物のやりとりは、あげる方も懲罰の対象になります。

 ほかには私語を「アゴ」や「ペラ」、手紙は「ガテ」、見張りは「シキテン」、メモや伝言などをこっそり渡すことは「ハト」といいます。アゴは口に近いですし、ペラペラしゃべることにも通じているから、なんとなくわかりますよね。不良は略したり、逆さに読むことも多いので、ガテもなんとなくおわかりでしょうか。ハトは伝書鳩からきているようです。でもシキテンて……。何でしょうね。元は警察用語らしいです。

 こういうのはチョーエキ用語ですが、官(施設側)の用語もあります。たとえば「ガンセン」。「願箋」と書きます。薬を飲むにも、手紙を書くにも、まずは願箋に「願い事」を書いて刑務官に渡して、いちいち許可をもらわなければなりません。たとえば風邪薬や胃薬などはいっぺんに飲まないように、1回分ずつもらわなくてはいけないのです。で、いちいちそのお願いを書くんですね。字が汚いと読めないと言われて却下されるので、みんながんばって丁寧に書いた結果、出所の頃には字がきれいになっている……そんな話がありますが、どうでしょうねえ。都市伝説ですかね。でも、たしかにムショ帰りの人は字を丁寧に書く人が多い気もします。

 あとは、「セッケン」ですね。「接見」と書きますが、面会のことです。取り調べの段階で否認していると、セッケン禁止処分を受けることがあります。「外部の人に証拠隠滅を指示するから」とか言われますが、面会も刑務官が立ち会うので、指示なんかできるわけがありません。「否認しているとこうなる」ちゅう単なるイヤガラセやと思います。

 これを「石けん」と思っている未決囚がたまにいてるそうです。ある親分さんが、入浴の時に石けんを使わずに体を洗っているコを見かけ、「このコは石けんも買えんのかいな?」と思って、「これ、使う?」と自分のを差し出してあげたら、「あのう……ボク、セッケン禁止なんです」と言われたそうです。ホンマかいな!? と思うでしょ? ホンマやそうです。

 ほかにも生理中の人がまとまって最後に入る「M浴(エムヨク)」もあります。Mとはメンスのことらしいですが、今どきメンスなんて言いませんよねえ。

 ほかにもお風呂に入れない時に体を拭くシキシン(拭身)、自殺防止のために缶詰を刑務官が開けるカイカン(開缶)、刑務所にリョウチ(領置、預けること)している私物を家族や友人に渡すタクサゲ(宅下げ)なんかもあります。領置品を自分で使うのはシャサゲ(舎下げ)ですね。房内の抜き打ちのガサ入れ(家宅捜査)みたいなのはソーケン(捜検)となります。

 まあこんなことを覚えても、使う時が来ませんように(笑)。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

ASKAの更生に必要なのはアレ! シャブ地獄から生還した元女囚が語る「更生への道」

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■ASKAの更生に必要なのはアレ

 バレンタインの後くらいに、ASKAが「不倫相手と別れていない」つまり「更生していないのでは?」との報道がありましたね。ネットの記事やと「元不倫相手」がASKAの自宅兼事務所から出てきたって、それだけですよね。これは、ちょっとかわいそうやなあと思いました。

 確かにASKAは謎すぎる「ギフハブ」やら、「採尿したのは尿じゃなくてお茶だった」発言やらあって、正直「まだシャブいっとんかいな?」と思わないでもないです(笑)。でも、証拠もないのに「また『シャブ愛人』と不倫かい!」いうのはどうなんでしょう。そもそも離婚してますから、もう「不倫」と違いますしね。

 更生のためには、「守るもの」が必要です。ASKAと元カノさんがお互いを必要としてれば、それでええのと違いますかね。

■「ママに会いたい」と泣いた息子

 何回か書いてますが、私が覚醒剤の地獄から生還できたのは、家族のおかげです。私が初めて懲役に行ったのは24歳でしたから、子どもたちもまだ小さくて、ずいぶん寂しい思いをさせています。そのせいで非行に走ったこともありました。

 次男が事件を起こしてしまい、少年院に行く時に「ママに会いたい」と泣いていたと聞いて、ホンマにクスリはもうやめようと思いました。本当の更生までには、それからまた時間がかかりましたけどね。

 子どもはすぐに大きくなって、抱っこしてあげられる時期はほんのわずかです。その大事な時期に覚醒剤の事件でムショに行っていた私を、子どもたちが慕ってくれている……。切なくて、自分をかなり責めました。ASKAも、守るものがあれば、報道陣に追い回されても復活できると思います。私の場合は、母は障がいがあって働くのは難しいし、子どもたちも問題を起こしてしまい、「私がしっかりせな……」と思ったのも更生につながったと思います。

 おかげさまで、今は2つのラウンジを経営して、私を「ポン中」とバカにしたヤツらよりもいい生活をしています。新車も自分で買いました。まあ「我ながら、ホンマようやめられたなあ」ちゅうのが本当のところですね。神様に守っていただいてるんやなあと、しみじみ思います。誰にも迷惑をかけない生活が一番ですが、もし落ちても、がんばればはい上がれるもんなんですよ。「がんばってよかったね」と、いつも鏡の中の自分に向かって言ってます。

■「がんばるしかない」と気づいたら勝ち

 そうはいっても、なかなかはい上がれない時って、ありますよね。私もそうでした。でも、つらくても、つらくても、1年後の自分を想像してがんばってください。がんばるしかないんですよ。そこに気づけたら、もう大丈夫です。

 実は、友達にも何人かアルコールや過食の地獄を抜け出せないコがいてます。みんなそれぞれ仕事も成功して、家族もいてるのに、なぜかダメなんですね。悲しいことやつらいことは、生きていれば必ずあります。逃げないで向き合いましょうよ。

 こないだアル中の友達の家に行ったら、トイレの棚に自己啓発本がたくさん並んでました。「自分に勝つ」みたいなテーマですね。「今はアカンけど、自分なりに脱出したくて、がんばってるんやなあ」と思ったら、めっちゃ愛おしくなって、抱きしめてあげました。ASKAも、人知れずがんばってるかもしれませんよ。腹膜炎でタイヘンやったみたいですが。

 私も、だいぶ時間がかかりましたけど、今は大丈夫です。せやから、皆さんも大丈夫です!

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

元女囚が語る刑務官への「お礼参り」――子どもをさらって「鬼の子」と刺青! 

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■「出所してもムショに逆戻り」が少なくない

 最近は仮出所者より満期出所者のほうが多いそうですね。仮出所とは、「懲役〇年」という刑期が終わる前に釈放されることですが、早めに釈放されても行くところがない人が多いのだそうです。

 以前は仮出所が認められないのはヤクザくらいで、ほとんどの懲役(受刑者)は仮出所の日を心待ちにしていたものです。でも、今は満期まできっちりいて、出てもすぐに何かやらかしてムショに逆戻り……ちう人も珍しくないんですね。特にお年寄りに多いそうです。私が懲役やった頃は、私を含めて早く出所したい人のほうが多い気がしたので、時代は変わったなあと思います。

 私も出所の日が近づくと、「出所後にすること」ばかりを考えていました。たいていは食べたかったものをいっぱい食べたり、お風呂屋さんに行ったりしますね。私もとにかく食べまくりました。あとは、ずっとエッチしていない「懲役処女」ですから、エッチも楽しみでしたね。そして、家電の進化など戸惑うことも多くて、早くシャバの空気に慣れようとがんばるうちに、「アレ」はサッパリ忘れます。

■刑務官の子どもに報復?

 「アレ」とは、刑務官への恨みです。刑務官もいろいろで、親身になってくれる中堅さんはすぐに辞めはって、イヤキチ(意地悪)する局(つぼね)はいつまでもいてます。社会の縮図ですね。せやから、えこひいきとその裏腹の冤罪は当たり前で、自分のかわいがっている懲役以外にはめちゃくちゃ冷たいんです。

 たとえば刑務作業中など、別に笑ってなんかいないのに「何を笑ってる!」と怒鳴られ、「笑ってません」などと言おうものなら「抗弁」(口答え)をしたとして懲罰対象になります。あとは医師の診療を「必要ない」と言って受けさせないとかも多いです。

 それと、極端すぎる例としては、宮崎刑務所で暴れる懲役のオッサンを懲らしめようと、夏なのに床暖房をつけていた、ちうのがありました。オッサンは裁判を起こしたので大問題になり、処遇部長は自殺しています。オッサンは裁判で勝って国から賠償金をもらっていますが、ほとんど弁護士費用でなくなってるでしょうね。

 ここまではなかなかないですが、なか(獄中)にいてる時は、理不尽なことをする刑務官に「アイツ、出たらタダでは済まさへん」とか恨みまくるわけです。ただ、出たら出たでやっぱり生活に追われますからね。女子は特にさっぱりしてると思います。

 出る時に「おぼえとれ!」とか言い捨てることはあっても、いわゆる「お礼参り」をすることはほとんどないんです。「あんなヤツのためにムショに逆戻りしたない」のが主な理由と思います。仕返しの内容にもよりますが、「お礼参りは高くつく」というのが懲役の常識です。普通に考えても、初犯よりも前科があると刑も重くなりますし、動機も限りなく身勝手な「私怨」ですから、裁判所も同情はしてくれません。

 まあ、それでも仕返しする人はいます。私の知り合いの知り合いは、出所後に刑務官の自宅を突き止めて郵便受けに生きたマムシを入れたそうですし、刑務官の子どもをさらって背中に刺青で「鬼の子」と彫った不良もいてましたね。

 あとは刑務官ではないですが、通報した被害者の女性を恨んで、出所直後に殺した事件もありましたね。もともとはレイプした女性をさらに恐喝していたそうで、逆恨みもいいところです。この男は死刑になっていますが、当たり前ですよね。

 獄中での生活がいくらツラくても、仕返しなんかしたら自分がつまんないですよ。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

取り調べ刑事に恋してウソの自白!? 元女囚が語る、ムショ仲間だった元看護助手の素顔

nakanorumi31 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■「刑事に恋した乙女」の気持ち

 昨年暮れに再審開始が認められた元看護助手の西山美香さんの「刑事さんを好きになって、やってもいないことをやったと言ってしまった」という発言が話題ですね。

 2003年に滋賀県内の病院で亡くなった患者さんの件で、看護助手だった西山さんが人工呼吸器のチューブを「職場の待遇の不満から外した」という殺人事件です。普通は職場の不満で人なんか殺しませんしね。再審を担当している弁護士さんによれば「実際には自然死で、事件でも事故でもない」そうです。でも、取り調べの刑事は「お前がチューブを外したんやろ!」と怒鳴りまくって、西山さんに「殺意」を認めさせたようです。

「私が取り調べの刑事のことを好きになって、気に入ってもらおうと思って、どんどん嘘を言ってしまった。こんなことになるとは思わなかった」

 再審請求に際して、西山さんはこのように言ったそうです。片思いで未決勾留を含めて獄中13年超……。ほとんどの人は「アホやなあ」と思われるでしょうね。確かに刑事に「離れたくない」って抱きついたとか、ちょっと聞いてて恥ずかしいですね。

 でもね、違うんですよ。西山さんとは和歌山刑務所で一緒やったし、ちょっと「弁護」してみたいと思います。

■認めたら急にやさしくされます

 逮捕のシチュエーションもいろいろあって、まずはホントの逮捕ではなく、「事情聴取」とかで警察署に呼ばれることもあります。西山さんは、この聴取の時に刑事に怒鳴られまくったそうです。もともと不良でもなく、むしろ超・乙女ちっくなコですから、そういうことに耐えられず、思わず認めてしまったんでしょうね。で、いったん認めると、急にめっちゃやさしくなるんですよ、刑事は。これでコロっとやられるんです。

 実は、私も経験あります。だって、1日8時間くらい密室で2人きりで向かい合って、いろんなことを言われて、叱られたり、慰められたりしたら、マジックにかかりますよ。西山さんも弁護士は国選で、ほとんど来てくれないし、家族の面会も少なかったでしょうから、寂しくて情が移るのも当たり前でしょう。それに、事件のことだけでは間が持てませんから、人生相談みたいな話にもなります。で、ホンマはアカンのでしょうが、手を握られたりしたらね、やっぱり好きになってしまいます。

 編集者さんは「キモっ。あり得ないです」と言ってましたが、いっぺん逮捕(パク)られたらわかりますよ(笑)。

 ちなみに「週刊新潮」(新潮社)は、この調べの刑事を「冤罪の主犯」と言いきっていますね。西山さんの件以外でも、誤認逮捕した被疑者をボコって書類送検されたのに不起訴で、今は大出世してるそうですから、そろそろ天罰が下るでしょうね。そんなわけで、今回は「美香ちゃん、再審がんばれ」のエールとともに、読者の皆さんが万が一パクられた時のアドバイスでした。

 くれぐれも刑事の甘い言葉(ウソ)にはご用心ですよ! 

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)