刑務所のティッシュペーパー価格はシャバの5倍! 元女囚が教える「差し入れ屋」事情

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■ティッシュ800枚が市価の約4.5倍!

 少し前ですが、「大阪刑務所で販売されている日用品の値段が高すぎる」として、大阪弁護士会が刑務所に3月29日付で改善を勧告したというニュースがありました。ワタクシ的には「今さら感」しかないわけですが、ええことですね。もっともっと問題にして、改善してほしいです。

 朝日新聞によると、2011年以降は全国の刑務所や拘置所などで販売委託先(差し入れ屋)が「大手商社系の民間業者」に変更されて、物品や価格が統一されているそうです。ぜんぜん「民間のよさ」が出ていないどころか、値上がりしているというからビックリです。民主党政権時代ですね……。ちなみに民間業者に変わる前は「刑務官OBらの団体」に委託されていました。天下りがやってた時よりも値上がりするなんて、意味わかりませんが。

 「勧告」では、2016年の時点でティッシュ1袋(800枚)が594円(市価の約4.5倍!)で、ほかにも11年と16年の最低価格を比べると、「男性用半袖シャツ」は300円から794円に、「男性用ブリーフ」は306円から702円に値上がりしていて、周辺の市価よりも高額としています。

そもそも刑務作業でもらえる「報奨金」の月額平均が約4,300円ですから、「報奨金に見合わない」として、「価格の見直しを業者と協議するよう刑務所に求めた」そうです。1週間に40時間も働いているのに、1カ月で4,300円ちゅうのもアレですけど。

 この勧告に対して、もちろん法務省は「スーパーマーケットなどとの単純な比較は難しい」と言い切り、「業者と協議のうえ、適正な価格を決めている。受刑者の環境や施設に合わせた」と説明しているそうです。委託先の「民間会社」は共同通信の取材に「コメントしない」と回答していました。

 私も経験あるので、何回か書いてますが、ホンマに差し入れ屋のモノは高いです。ティッシュと下着類以外でも、たとえば缶詰はめっちゃ高いです。保存がきくせいか、フルーツから1万円くらいのカニまで、種類も豊富です。

 まあカニはシャバでも高いし、「大親分のステイタス」的なもので、大親分にだけどっさり届く感じです。普通はあんまり関係ないですね。ミカンの缶詰は、2つで1,500円くらいしていました。たしかに100均で売っているものよりは大きめの高級品なのですが、1人で常温のまま食べるんですから、100均ので十分です。

 食べきれなくても、誰かにあげたら懲罰です。大昔は「牢名主」みたいな存在が他の収容者の食べ物を取り上げていたので、それをさせないようにしているらしいです。今どき、苦手なものを同房者にあげるくらい、ええんちゃうかなと思うんですけどね。

 このほか、ボールペンも100均で「3本100円」で売っているようなのが、1本300円くらいはします。ほとんどぼったくりです。

■安くするにはアレを

さて、なんでこんなに差し入れ屋のモノは高いのでしょうか? まあ獄中(なか)の事情が特殊であることは、ホンマです。

 特に拘置所は、お金さえあれば好きな物を買えますから、同じ品物ならスーパーでもコンビニでも買ってもええはずですが、いろいろ獄中では「制約」があるのです。たとえば自殺防止のために、ジャージーのパンツ、パーカーについているヒモやネクタイは禁止ですし、冷蔵庫がないから、食べ物は常温で保管できるものだけです。こういう細かいことは「指定業者ならわかっている」というのは、たしかにそうかもしれません。

また、布団や座布団の中に脱走用のノコギリなどを隠すことのないように、「ちゃんとした指定業者から買わなアカン」いうのもわかります。でも、これって昔の話ですよね。服のヒモは取ればええし、今は金属探知機もあります。

 「お菓子の袋にシャブを入れている可能性」を言うなら、空港の手荷物検査のアレ(X線スクリーニング)を置けばええですね。差し入れ屋にもうけさせるくらいなら、ぜんぜんアリと思います。荷物検査を機械化して持ち込みを厳しくすれば、業者も入札制にして安いところにできますよ。そしたらティッシュや下着など、安いものを自由に買えます。刑務官も減ってるんですから、この際、もっと機械に頼られてはいかがですか?

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」
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元女囚が考える「致死量100倍の覚醒剤」――あれはシャブをよく知らない人の使い方

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■LINEできてたなら、シャブではないかも?

 会員制のデートクラブで知り合った女性に「致死量100倍」の覚醒剤を飲ませたとして殺人容疑で逮捕(パク)られていた会社役員が、傷害致死と覚せい剤取締法違反(使用)の罪で起訴されたそうですね。ニュースでは、「殺意は認定できなかった」そうで、「殺人」ではなくなったそうです。たしかに殺そうと思ってすることではないです、多分。

 それにしても、「致死量100倍」は謎すぎますよね。致死量は1グラムで、今どきグラム2万円はしますから、最低でも100グラムで200万円。加害者はお金持ちっぽいから、実際はもっと払ってたと思います。

 そもそも事件は2018年7月。去年かーい。ニュースでは、加害者が自分で救急車を呼んで、救急隊員が駆け付けたら、もう被害者さんは亡くなってたと。そして、その時は全裸……。でも、それ以外の覚醒剤は現場になくて、任意の調べの時には「具合が悪そうだったので、女性のバッグの中に入っていた薬を飲ませた」と話したらしいので、立件までに時間がかかったようです。

その日、被害者さんは加害者の豪邸でお酒を飲んでて、覚醒剤を勧められています。LINEでお友だちに「覚醒剤を勧められて断った」「日本酒に薬物を混ぜられた」と連絡してるんですね。

 いや、これはどうなんですかね。もしも「薬物」を大量に混ぜられた酒を飲まされたら、ちんたらLINEなんかやってられませんよ? それに苦しみだしたのは夜だそうで、時間差がありすぎです。それに、いつ全裸になったんでしょう? 最初から脱いでたんですかね? あと、加害者は尿検査されてないんでしょうか? そういう報道は見当たりませんでした。

 ちなみに、お酒に混ぜるにしても、いっぺんに100グラムの覚醒剤をお酒に混ぜるって、そもそも溶けませんし、仮に100グラム溶かしたら、多分シャーベットみたいになって、イッキでは到底飲めないと思います。それに、そんなもん飲んだらメチャ苦いです。そしたら、どうやって飲ませたのでしょうか?

 あるとしたらチューブで「鼻から」でしょうね……。ここからはまるっきり推理ですが、お友だちにLINEした時は、シャブではなくて睡眠薬を飲まされてたんかなと思います。せやから、もうろうとしててもLINEできたのとちゃうんかな?

 で、遺体から出てきた「100倍」いうのは、睡眠薬の成分も「込み」みたいな感じやったかと。それでも多いけど。でも、そんなふうにしたらエッチはもうできないですよね。多分意識飛んでますよね……。漫画みたいですが、もしかして、加害者はそういうプレイがお好みなんでしょうか?

 それにしても被害者さんは、相当苦しかったと思います。私も量が多かった時は、少し「菊の悶々」がフワッと緩んだ記憶がありますね……。

 死刑を執行する時にも紙おむつをはかせるそうですが、これは体の穴がぜんぶ開いちゃうからだそうで、OD(オーヴァードース、過剰摂取)もそんな感じです。

 私も大昔ですが、打ったあとに間違えて、もっぺん打って(「追い打ち」いいます)しまい、この時は死を覚悟しました。もう心臓バックバクなんてもんと違いますよ。目にシャッターが下りたような感じで、開けていられないんです。もちろん「穴」も開いちゃってる感じで、やっぱり漏れそうでした。0.3グラムでこれですよ?

 それに、たとえ10億円の現金が手元にあっても、私なら200万円の覚醒剤をイッキに使うことはないです。単純に「もったいない」からです。つまりこの事件は、「シャブのことをよう知らん人」がやらかしたのです。これも推理でしかないですが、加害者さんはお金だけはようけあるから、売人に「これ全部イッたら、オンナはヒーヒーですわ」(想像)とかなんとか言われて、「全部」を「イッキ」と間違えたんちゃうかなあ……と。それ以外は考えられないです。

 いずれにしても、お気の毒なお話です。被害者さんのご冥福をお祈り申し上げます。南無阿弥陀仏。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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ピエール瀧さん、逮捕はクスリをやめるきっかけ! 元女囚が語る、コカインと覚せい剤の違い

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■覚醒剤ではなくコカインなのに驚き

 びっくりしましたねー、ピエール瀧さんの逮捕。ニュースによると、瀧さんは、私が大好きな清原和博さんの大ファンでもあったそうです。なんと同い年で、子どもの頃は野球少年。「ピエール学園」(笑)ゆう野球チームも持ったはるそうです。

 でも、何も後追いっぽく薬物で逮捕(パク)られなくても……と思っちゃいますよね。それに、覚醒剤ではなくコカインなのにも驚きました。ニュースでは、瀧さんは「20代の頃からコカインと大麻を常用していた」そうです。そんだけ長い間クスリやってバレずに仕事してたとは、むしろたいしたもんや……との意見もありますが、取り調べの話は警察のリーク情報ですよね。そもそもホンマなんでしょうか?

 清原さんもASKAさんも、「マスコミには事実でないことをいっぱい書かれた」と出てきた後に話してたみたいですから、これも、もしかしたら違うかもしれませんよ?

■覚醒剤とコカインの大きな違いはアレ

 さて、覚醒剤とコカインの違いとは何でしょうか? 大きく分けると、使うとハイになる「アッパー系」という点では同じです。ちなみに使うと落ち着く「ダウナー系」はヘロインやモルヒネで、大麻はどちらにも作用するといわれています。

 日本ではコカインは少しずつ増えてるようですが、実際にはほとんど入ってきてません。第一の理由は、単純に高いから。売人にもよりますが、覚醒剤の3倍はします。覚醒剤がグラム2万円やったら、6万円。まあお高いですよね。

 だからコカインでパクられるのも田代まさしさんとか勝新太郎さん、角川春樹さんのほか大物が多いです。あとはパリス・ヒルトンとかホイットニー・ヒューストンとか、海外セレブですよね。

 もうひとつの違いは、効き方です。覚醒剤に比べてマイルドなんですよね。実は私も大昔にコカインを試したことがあります。ホンマに大昔で、「(効き方が)イマイチやなあ」というのが実感でした。ただ、血管がシュワシュワする感じは覚醒剤にはないですね。なんかコーラみたいですが、そういえば昔はコカ・コーラの原材料にコカインの成分のコカの葉が使われてたそうですね。今回初めて聞きましたが。それに、持続時間も短いし、吸引後にすぐに鼻を洗わないと、鼻の中がただれちゃいます。けっこう邪魔くさいんですよ。もしかすると瀧さんは、本番前にシュッと吸って、気合を入れてたのかもしれませんね。

 ちなみに、これも大昔ですが、ヘロインも使ってみたことがあります。でも、顔色が悪くなるので、すぐにやめました。お肌が黒ずんできてシワが目立って、ババアというよりゾンビみたいになってました。逆に覚醒剤は顔色がよくなって、自分がキレイに見えるんです。今思えば妄想なんですけど、当時は「やっぱりシャブは、美人さんになるな。浮気せず、シャブ一筋でいこう」って仲間と言うてました。

■逮捕でクスリから離れられる

 私もそうでしたが、シャバではクスリはまずやめられないです。瀧さんも、逮捕されてほっとしたと思いますよ。逮捕で、やめる決心がついたのではないでしょうか。

 毎日、「今回でやめよう」って思いながらやめられない。その繰り返しでした。やめるには、物理的にクスリから離れなあかんのです。

 清原さんもでしたが、瀧さんにはたくさんのファンがいて、一時的には失うものは多いでしょうね。でも、またゼロからがんばってほしいです。そういえば3月6日に開催された厚生労働省の薬物使用防止イベントには、清原さんがサプライズゲストで登場して、めっちゃ拍手が起こったそうですね。私も行きたかったなあ。瀧さんのファンも、ずっと復帰を待ったはると思いますよ。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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元女囚が教える覚醒剤の基礎知識――14歳からシャブ使用、大山倍達孫は脳が縮んでるかも?

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■覚醒剤を飲む?

「覚醒剤って、飲み物なんですか?」

 編集者さんから聞かれました。一瞬、「カレーは飲み物とか、そういうやつ?」と思いましたが、たしかに普通はポンプ(注射)か炙(あぶ)りのイメージですよね。

 編集者さんが聞きたかったのは、4年前に長野の松本でスナックのお客さんが「薬物入り」のドリンクを飲まされた事件で、やっと今年の2月に容疑者が逮捕された件でした。この「薬物」が覚醒剤だったんですね。

 この事件は逮捕までに4年かかった上に、逮捕者のうちスナックのオーナーさんは処分保留で3月にもう釈放されています。オーナーさんの弁護士さんは、「殺人未遂なんて大それたものではなく、男女関係のトラブルによるイヤガラセ程度ではないか」と説明しているそうです。「ホストの奪い合い」が原因という報道もありましたしね。

 そうかもしれませんが、それにしては入れたシャブが多すぎたようです。慣れてないとマジ死にますよ。ていうか、ちょっとでも入れたらあきまへん。

 話がそれましたが、覚醒剤は水に溶けやすいので、溶かして注射するのが普通ですね。あとはガラスパイプに入れて下からライターの火で炙って煙を吸うこともあります。これが「炙り」です。

 注射は効きがすごくて、体じゅうが敏感になります。だからセックスが気持ちよくなるんですね。炙りは効き方がマイルドで、体がほんわかして音楽とかが気持ちよく聞こえます。だからクラブなんかでやる人が多いんですね。それに、炙りなら注射痕もできませんから、芸能人とかでもOKなんです。ホンマはぜんぜん「OK」ちゃいますけどね。

 もちろんお酒やジュースに覚醒剤をコッソリ入れて、レイプするヤカラもいます。ふざけてちょっと入れるくらいなら……というのは大間違い。長野の事件も、そもそもなんでシャブ持ってはるのか。って私が言うことではないですけどね。

 あとは、エッチする時に直接アソコに塗るというのもあります。ローションに混ぜたりするんですが、粘膜から吸収されると気持ちいいんですよ。もちろん、どんな方法でも違法ですし、心身がボロボロになります。依存症になって、独特の口臭や体臭がして、脳が委縮するから頭もおかしなって、妄想がすごくなります。とにかくダメ、絶対! です。

■子どもの頃から覚醒剤?

 家族ネタは前回書いたので、スルーしようかと思ったのですが、極真空手の創始者・大山倍達さんのお孫さんが大麻所持で逮捕されましたね。職質で乾燥植物や吸引用のパイプなどが出てきて、尿も陽性だったとか。

 このお孫さんは、なんと今年の1月に覚醒剤取締法違反の罪で執行猶予付きの懲役1年6月の有罪判決を受けたばかりでした。

 ニュースによると、小さな頃からワルガキで、「シャブを初めて使ったのは14歳の時」と自分で法廷でカミングアウトしたそうです。お金はいくらでもあるから遊びまくっていて、高校も中退なんてもったいない。14歳だと普通はシンナーからなんですが(苦笑)、最初からシャブだと、かなり脳は縮んでいるでしょう。でも、21歳やから、更生の余地はまだあるのとちゃいますかね。

 シャブでは私もずっと親に迷惑をかけてきたので、他人事とは思えないです。

中野瑠美(なかの・るみ)
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元女囚が考える有名人家族の薬物使用――戸川昌子さん長男は覚醒剤使用で懲役の前科も

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■戸川昌子さんの長男が逮捕

 有名人やその家族の薬物事件、ホンマに後を絶ちませんね。ワタクシ的にはぜんぜん知らない人でしたが、作家でシャンソン歌手の戸川昌子さんの長男さんが2月5日に大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕されました。昌子さんは、作家と歌手を両立できる上に、ライブハウスやシャンソン教室も主宰されてたんですね……。いろんな人がいてるもんですね。

 それはさておき、昌子さんは2016年にがんで亡くなられていますが、長男さんは以前から放蕩息子で有名やったそうで、なんと覚醒剤使用の前科もありました。懲役にも行ったはるそうです。

 昌子さんは46歳の時に授かった長男さんをめちゃくちゃ甘やかしたようで、暴力も振るわれていたとニュースに出ていました。顔全体を腫らすような殴り方をしていたそうです。結婚してお孫ちゃんを昌子さんに抱かせる時もあったのに、残念ですね。生前の昌子さんは心を鬼にして何度か絶縁したようですが、つい許してしまわれたのでしょう。これはとても気持ちがわかります。でも、最期は独り寂しく病院で亡くならはっています。つい「長男さんの再逮捕を見ないでよかったですね」と思ってしまいました。

 そんな感じですから、周囲の人も離れてたみたいですが、なんと歌手の美川憲一さんは長男さんがパクられ(逮捕され)る2日前に長男さんの「今後の歌手活動」について話し合いながら食事をしたそうです。やさしいですね、美川さん。長男さんが昌子さんのおなかにいる頃から知っていて、「突き放すことはできない」のだそうです。報道では、その日の長男さんは「元気に振る舞っていたけど、青い顔」で、美川さんは嫌な予感がしたそうです。予感が当たってしまいましたが、これからどうするんでしょうか。私が言うことでもないですが、まだお子さんも小さいみたいで、心配です。

 もう一つは、毎日新聞の「次期社長」とまで言われていた方の奥様がパクられた事件もありました。これもごっついですよね。

 兵庫県警がネットの密売ルートを追っている時に引っかかったのだそうです。ご主人は毎日新聞なのに、なぜか奥様は読売新聞の広告を作る会社にいて、読売新聞本社までガサ入れ(家宅捜索)をかけられたそうです。大迷惑ですね。

 ご主人と暮らすマンションのお部屋から覚醒剤とカラのパケ(ビニール袋)が見つかったそうで、所持と使用で起訴されることになるようです。奥様は一回り年下だそうで、いろいろな面で「何があった?」という感じです。私なら、ダンナが大会社の次期社長といわれる人なら、シャブには手を出しませんけどね……いやどうかな(笑)。

 前にも書いていますが、シャブに手を出そうと思った段階で、もう心は死んでると思います。普通の精神状態なら、どんなに疲れてても「疲れたわー。イッパツいっとくか」とは思いません。私もそうでした。失恋して生きるのがつらくて、悲しくて、「もうどうでもええわ」ってなってました。

 「イッパツいきたい」と思う前に何とかせなアカンのですが、それができないんですよね。周囲は気づいてあげられなかったのでしょうか。想像なんですけど、お2人とも寂しかったんやと思います。戸川昌子さんはスーパーウーマンでお忙しかったでしょうし、重役さんはもっともっとお忙しいでしょうしね。

 でも、起こってしまったことは仕方ありません。お2人が罪と向き合って、ご家族と幸せに暮らせる日を、陰ながら待ちたいと思います。薬物をやめるには、「守らなあかんものがある」と身にしみてわかるところからです。私はいつだって相談に乗れますよ。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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刑務所でインフルエンザが大流行したワケ――元女囚が考えるムショの環境

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■名古屋刑務所で300人がインフルエンザに感染

 はやってますねえ、インフルエンザ。読者の皆さんは大丈夫ですか? 予防接種をしていても、かかる時はかかるそうで、私はラウンジを経営しているのでヒヤヒヤです。インフルに限らず、調子が悪い時は休めればいいんですけど、そうもいきませんしね。

 なんて思ってたら、メイケイ(名古屋刑務所)のインフル大感染が話題になりました。もうだいぶ収まってるようですが、受刑者約200人、職員約100人の計300人ほどがインフルにかかってたんですね。なんと受刑者全体の1割、職員全体の2割に当たるそうで、かなりごついです。

 とはいえ100人を超えたことは2015年にもあったそうで、ホンマはもっとあったんちゃうかなーと(笑)。施設の規模が大きければ大きいほど、関わる人も増えるから、感染も広がりますね。

■シャンプー後に髪が凍っても風邪知らず(笑)

 私がムショにいた頃は、表立った大感染はなかったです。もちろん風邪をひいたり、じんましんが出たりなんかはしょっちゅうでしたけど、ノロウイルスや食中毒騒動も特になかったですね。

 とはいえ「あの環境」で、よう無事やったなあと今は思います。暖房は最低限で寒いのはもちろんなのですが、部屋が狭くて「人と人の距離」が近いですからね。インフルはせきやくしゃみでうつるから、同房でゴホンゴホンやられたらイッパツだそうですよ。マスクは必需品です。

 あと、空気が乾燥していると、ウイルスが活発にあっちこっち飛ぶそうです。加湿器があればいいみたいですけど、そんなもん、あるわけないし。もちろん、ドライヤーもありません。シャンプーした後、みんなそのままなので、冬なんか翌朝は髪が凍ってました。これがインフル予防にはよかったのかも……そんなわけないですね。

 今思えば、インフルより肺炎のほうが怖い環境でしたが、誰もかかっていませんでした。ムショにはイジメもあって、「ヘンな緊張感」が漂っているので、風邪とかもひかなかったのかもしれません。名古屋の場合は、とにかく大所帯やからヘンに緊張しすぎて、みんな疲れてダウンしたのかも(笑)。

 ちなみに法務省が管轄するムショエリア(?)である「名古屋矯正管区」内の、愛知、岐阜、三重、福井、石川、富山各県のムショでは、ここまでの感染はないそうです。でも、面会だけでなく日常の消耗品や食材の納入業者、郵便や宅配便の配達まで毎日いろんな人が来るわけですから、誰かがウイルスを持ち込んだら、みんなイッキにやられるに決まってます。

 ムショもお役所なので、法務省は毎秋に文書で「注意喚起」しているそうですが、マスク着用やうがい、アルコール消毒など、普通なことばっかりです。まあお年寄りや持病のある受刑者は予防接種を受けさせてもらえるそうですが、全員がやらないと意味ないと思います。

 でも、これだけ感染したのは、何か理由があるんでしょうね。「ちゃんと予防してるのに……」言うたって、この感染者の多さでは、「やってない」のと同じですやん。

 そもそも「名古屋市」でなく「みよし市」にあるのに、「名古屋」をカタるのもどうかと思いますし(千葉なのに「東京」をカタる施設もありますけど)、今年に入ってからも現職の刑務官が「あおり運転」で相手をはねてケガさせてパクられてますし、いろんな意味で心配なメイケイです。

中野瑠美(なかの・るみ)
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刑務所でインフルエンザが大流行したワケ――元女囚が考えるムショの環境

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■名古屋刑務所で300人がインフルエンザに感染

 はやってますねえ、インフルエンザ。読者の皆さんは大丈夫ですか? 予防接種をしていても、かかる時はかかるそうで、私はラウンジを経営しているのでヒヤヒヤです。インフルに限らず、調子が悪い時は休めればいいんですけど、そうもいきませんしね。

 なんて思ってたら、メイケイ(名古屋刑務所)のインフル大感染が話題になりました。もうだいぶ収まってるようですが、受刑者約200人、職員約100人の計300人ほどがインフルにかかってたんですね。なんと受刑者全体の1割、職員全体の2割に当たるそうで、かなりごついです。

 とはいえ100人を超えたことは2015年にもあったそうで、ホンマはもっとあったんちゃうかなーと(笑)。施設の規模が大きければ大きいほど、関わる人も増えるから、感染も広がりますね。

■シャンプー後に髪が凍っても風邪知らず(笑)

 私がムショにいた頃は、表立った大感染はなかったです。もちろん風邪をひいたり、じんましんが出たりなんかはしょっちゅうでしたけど、ノロウイルスや食中毒騒動も特になかったですね。

 とはいえ「あの環境」で、よう無事やったなあと今は思います。暖房は最低限で寒いのはもちろんなのですが、部屋が狭くて「人と人の距離」が近いですからね。インフルはせきやくしゃみでうつるから、同房でゴホンゴホンやられたらイッパツだそうですよ。マスクは必需品です。

 あと、空気が乾燥していると、ウイルスが活発にあっちこっち飛ぶそうです。加湿器があればいいみたいですけど、そんなもん、あるわけないし。もちろん、ドライヤーもありません。シャンプーした後、みんなそのままなので、冬なんか翌朝は髪が凍ってました。これがインフル予防にはよかったのかも……そんなわけないですね。

 今思えば、インフルより肺炎のほうが怖い環境でしたが、誰もかかっていませんでした。ムショにはイジメもあって、「ヘンな緊張感」が漂っているので、風邪とかもひかなかったのかもしれません。名古屋の場合は、とにかく大所帯やからヘンに緊張しすぎて、みんな疲れてダウンしたのかも(笑)。

 ちなみに法務省が管轄するムショエリア(?)である「名古屋矯正管区」内の、愛知、岐阜、三重、福井、石川、富山各県のムショでは、ここまでの感染はないそうです。でも、面会だけでなく日常の消耗品や食材の納入業者、郵便や宅配便の配達まで毎日いろんな人が来るわけですから、誰かがウイルスを持ち込んだら、みんなイッキにやられるに決まってます。

 ムショもお役所なので、法務省は毎秋に文書で「注意喚起」しているそうですが、マスク着用やうがい、アルコール消毒など、普通なことばっかりです。まあお年寄りや持病のある受刑者は予防接種を受けさせてもらえるそうですが、全員がやらないと意味ないと思います。

 でも、これだけ感染したのは、何か理由があるんでしょうね。「ちゃんと予防してるのに……」言うたって、この感染者の多さでは、「やってない」のと同じですやん。

 そもそも「名古屋市」でなく「みよし市」にあるのに、「名古屋」をカタるのもどうかと思いますし(千葉なのに「東京」をカタる施設もありますけど)、今年に入ってからも現職の刑務官が「あおり運転」で相手をはねてケガさせてパクられてますし、いろんな意味で心配なメイケイです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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羽賀研二「激ヤセ」のワケとは? 元女囚が考えるムショの食事問題

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■羽賀研二の激ヤセはイジメが原因?

 出所後は再び芸能界入り……とも言われていた羽賀研二さんのサイタイ(再逮捕)にはびっくりしましたね。

 報道を見てて「へえー」と思ったのが、羽賀さんの「激ヤセ」報道です。「ムショでのイジメ」が原因ともありましたが、どうですかねえ。羽賀さんのような芸能人はほぼ独居ですから、ほかの懲役と顔を合わせることはまずありません。あったとしても少人数の工場になると思います。芸能人でも、懲役の回数が増えると一般の工場に配役になるようですよ(笑)。

 男性は寂しがり屋さんが多いので、誰とも話せないストレスでうつ病などになり、食事も取れなくなる可能性はあるかなとは思いますが、芸能人がイジメを受ける可能性はあまりないと思います。また、刑務官がイジメないとは言いませんが、やせ細るほどのイジメをしていたら、さすがに周囲も気がつくはずですよ。

■身長や作業内容によって変わるごはんの量

 では、なぜ羽賀さんは痩せてしまったのでしょうか?

 私は食事が原因かなと思っています。獄中(なか)での楽しみは、なんといっても食べること。私も学校給食の献立表みたいなメニュー表を毎日穴が開くほど眺めていました。ムショは基本的に三食ごはん(しかもどんぶり)で、白米が3割くらいの麦飯です。ぶっちゃけ初めはおいしくはないのですが、慣れるとヘルシーで白米に比べたらモチモチでおいしくなってきます。

 朝食は、どんぶりごはんと味噌汁、つくだ煮、ふりかけなどの簡単なおかずです。昼食はどんぶりごはんにメインのおかずと副菜が2種類くらいで、夕食も同じような感じですが、レトルトのカレーやシチューが出ることもあります。また、めったに出ませんが、ジャムやピーナッツクリームなどの甘いものがつくパン食は、めっちゃ楽しみでした。

 そして、ごはんの量は、身長と作業の内容によって細かく分けられます。女子刑務所にはまずいませんが、身長180センチ以上の懲役は、5センチごとに「身長食」といって少しごはんが多くなるそうですよ。

 また、造林作業や雪かきなどのハードな刑務作業は「特A」といって、ごはんは500グラム、工場での立ち仕事は「A食」で370グラム、座り仕事は「B食」で300グラム、懲罰房や入病(重い病気で病舎に入ること)などで作業を行わない受刑者には280グラムなどとなっています。ほかにも歯が悪い人のための「きざみ食」、糖尿病用の「糖尿食」、宗教に合わせた「宗教食」などもあります。

 おかずの量は同じなのに、ごはんばかりが多いので、女子刑(務所)ではこっそりとごはんを食べずにダイエットするコもいてます。食べない分を誰かにあげるのは違反なのですが、捨てるのももったいないし、けっこうあげるのは横行していましたね。刑務作業のない日曜日などは刑務官の数が少なく、基本的に舎房で過ごすのをいいことに、余ったごはんでおにぎりを作って、テレビを見ながら呑気に「ブランチ」を食したりもしてました(笑)。

 とはいえ、知り合いの男性受刑者によりますと、やっぱり「ムショ飯では、おなかいっぱいにはならない」そうです。この知り合いは今も懲役なんですが、なんと半年で体重が140キロから68キロになったそうです。面会に行った奥さんが、すごくビックリしてましたよ。元が肥え過ぎとはいえ半減ですからね。

 そりゃムショは遊びに行くところではないのですから、思うように生活できないのは仕方ないかなと思います。そうはいっても、ごはんもちゃんと食べられないのは、わびしいですよね。

 さて、ここでやっと本題です。今回の羽賀研二さんの「激ヤセ」の理由は、単純に食事が足りないからかなと思っています。イジメもあるかもしれませんが、もしかすると芸能界復帰を目指して、自分でごはんを控えているのかもしれません。

 でも、独居だとせっかく痩せても「かっこええな」と言ってくれる人はいてないでしょう。それでも「まだまだ痩せるぞ」とがんばり続けてるのかも? そんなところでもプロ意識が働くことに尊敬かな……(笑)。なんて勝手に決めちゃってますけど、それ以外の理由は想像できないです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。

ホリエモンがいた長野刑務所に「介護スタッフ」――元女囚が考えるムショの高齢化問題 

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■長野刑務所が介護専門スタッフを採用

 皆様、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

 新年早々ですが、あのホリエモン(堀江貴文氏)が勤めていた長野刑務所(須坂市、男子刑務所)で介護専門スタッフが採用されたというニュースが暮れに出ていたので、ムショの介護問題を考えてみたいと思います。

 長野刑務所は、めっちゃ寒いのですが、夏にはプール遊びもあって、「わりと過ごしやすい施設」として知られています。とはいえリアルヤクザもいますから、初犯で微罪のホリエモンが行くようなところではないです。よっぽど検察を怒らせたんですねー。普通なら栃木の喜連川(きつれがわ)とか、もうなくなるけど黒羽とかですよ。黒羽は政治家さんやお役人さんも務めた「名所」です。

■ホリエモンも獄中で高齢受刑者の介護

 さて本題。懲役(受刑者)の高齢化は、前から問題になっています。ホリエモンも獄中(なか)では高齢の懲役の介護をしていたそうですね。介護は懲役の中でもエリートの作業です。私もムショでは同房のおばあちゃんのお世話をけっこうさせてもろてたんで、懐かしいです。

 長野刑務所の懲役891人のうち70歳以上が6.5%やそうで、「認知症とみられる症状がある」人が11人いてるそうです。房内を長時間歩き回ったり、物忘れがひどかったりするそうで、「それは、もうすでに認知症では?」と思いますが、どうでしょうね。でも、今回雇った介護担当は1人で、週に3日勤務の非常勤やそうです。ニュースにするほどのことはなかったですよね。これでは11人も面倒見られませんから、やっぱり基本的には懲役がお世話するしかありません。

 「刑務作業」の一環として介護をするならええんですが、布団の上げ下げや、下着や靴下の洗濯を手伝ってあげるのは、100%ボランティアです。毎日やからけっこうタイヘンですが、私がいた施設ではみんな手伝ってあげてましたよ。

 これからは、認知症や寝たきりの懲役はもっと増えるでしょうから、もうボランティアでは対応しきれへんでしょうね。やっぱり布団の上げ下げや洗濯も含めた「介護工場」(機械がなくても「工場」といいます)にして、ヘルパーとかの介護の資格が取れるようにしたら、出所後も役に立つと思いますよ。

 思えば女子刑務所のおばあちゃんたちは、ある意味優雅でした。ムショというのはホンマ不思議なところで、裁判書類とかがクリップで留められていると、「指定外の文具やから没収!」ってなるのに、なぜかシルバーカートは「アリ」でした。あの「お年寄りがガラガラ押して、時々座るアレ」です。

 朝ごはんを食べ終わって工場に移動する時に、5〜6人のおばあちゃんたちがみんなでカートを押していく行列は、なかなかシュールです。工場までイッキにたどり着けなくて、時々座って休んでますしね。行列を見てると、なんかドラマの『大奥』を思い出します。あと、行ったことないんですが、「おばあちゃんの原宿」もこんな感じかなと。

 お年寄りは、お掃除や刑務作業はほとんど免除されてました。晴れた日は、みんなで中庭に座ってひなたぼっこしながら「今日はあったかいねえ」なんてのんびり話していました。こうなると、もうみんな出所したくないんですね。出ても行くところがないし、もちろんお金も仕事もないし、家族もいてないから。

「ここ(ムショ)なら友だちもいてるし、センセイ(刑務官)もやさしいから」

 こう真顔で言うおばあちゃんには、何も言えません。

 まあお風呂にロクに入れず、夏は臭くて、真冬はシャンプーして髪が凍っても平気な人なら、ムショも「住めば都」ですよ。三食ついてますしね。私はもうイヤですが。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

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覚せい剤が取り締まり強化で「品薄」!? 元女囚が読む、シャブ業界の年末事情

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■今年の年末は、覚醒剤がいつも以上に値上がり

 あっという間に、年末になってしまいましたね。皆様、今年はどんな年でしたか?

 私は、おかげさまで本を出させていただいたり、テレビやラジオでコメントさせていただく機会が増えた上に、経営しているラウンジをリニューアルしたりと、とても充実した1年となりました。この年末には、ロンドンブーツ田村淳さんの番組にも呼んでいただきました。オンエア日が決まったら、ご案内させてくださいね。

 でも、シャブを扱う業界は、やや不穏な感じです。年末年始やお盆は、覚醒剤の値段が上がることは以前も書かせていただきましたが、今年はいつも以上に値上がりしているようです。

 そもそもこの時期の値上げは、実は関係者(密輸業者や密売人など)の「お正月やお盆はゆっくりしたい」とか、「何かと物入りだから」なんていう理由だけなんですよ。気持ちはわかりますが、値上げしてもロクなことはありません。まあシャブなんか使わなければいいだけなんですけどね。

■警察vs麻薬取締官のバトルも

 でも、今年の暮れのシャブの値上げは、ちょっと違います。取り締まりが厳しくなって、関係者や関係組織がシャブを売れなくなってきているんです。

 たとえば「覚醒剤 逮捕」でニュースを検索すると、えらい勢いでパクられ(逮捕され)てます。「覚醒剤2.4キロ所持疑い ブラジル人ら2人逮捕、愛知」(12月5日・日本経済新聞)、「日本に覚せい剤の密輸図った台湾人の男を逮捕」(同13日・中央社フォーカス台湾)、「覚醒剤4キロ密輸、体に貼り付け 関西空港署が逮捕」(同19日・毎日新聞)などなど、億単位の密輸が事前にめくれて(発覚して)いるんですね。

 なんでこんなにパクられてるのか、よくわかりませんが、「日本の捜査は甘い」というのが国際的な認識だそうで、ナメられているのも原因のようです。覚醒剤の入った袋を太ももなどに巻き付けていた男は、「不自然な体形」が空港でバレバレやったそうですからね。こんなにあからさまに怪しい人はともかく、密売人の逮捕をめぐっては、警察とマトリ(厚生労働省麻薬取締部)の「手柄争い」も激化しているとのウワサもあります。

 もうひとつの原因に、暴力団排除もあります。今どきのヤクザは暴排のせいで合法的な商売どころか銀行の口座も持てませんから、薬物かオレオレ詐欺、密漁くらいしかシノギがありません。

 そこで、警察とマトリは、ヤクザの薬物の捜査を厳しくしているんですね。でも、シャブの取り締まりを厳しくしたところで、ヤクザは半グレを使って危険ドラッグを扱ったりするだけですから、捜査も簡単にはいきません。そもそも純粋な覚醒剤より乾燥剤や興奮剤の入った危険ドラッグのほうが「危険」ですしね。

 ざっくり言うと、警察やマトリの捜査が厳しいことと、海外からの密輸が減っていることで、世の中に流れる覚醒剤が減っている……ゆうことになりますが、それで「いい世の中」になるかどうかは、また別の問題です。

 まずシャブが品薄で高騰しているために、窃盗や強盗が増えます。「『覚醒剤買うため』」盗み400件 男女6人を摘発」(12月20日・産経新聞)などの事件が増えています。もちろん売春をしてシャブを買う人もいてますが、そういう違法なことをしたお金でシャブを買う傾向が強くなっているようです。

 今の私は、昔の知り合いから「シャブを回してくれるとこ、ない?」って聞かれても協力できません。「この機会にやめれば?」と言っても、なかなか難しいですね。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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