元女囚が考える、米富豪の首つり獄中死――アメリカなら「自殺」に見せかけられる?

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■ロリコンで不死願望のセレブにびっくり

 大富豪でロリコンで、オジイやけどまあまあイケメン……ちゅう映画みたいなセレブが買春でパクられて(逮捕されて)、獄中自殺する事件があったそうですね。

 日本ではあんまり話題になっていませんが、このセレブは「未成年の貧しい女の子」に「性的なマッサージ」をさせるのが好きで、以前もパクられているそうです。これだけならただの変態ですが、オジイはトランプ大統領やクリントン元大統領、イギリスのアンドリュー王子などとも親しかったそうで、むしろこっちが問題のようです。

 しかもオジイは「不死」にも力を入れていたそうで、「いっぺんに20人くらいの女を妊娠させたい」とか、「自分が死んだら、俺の頭とチン〇を冷凍保存しろ」とか言うてたそうです。こうゆうのは貧乏人には思いつかないです。

 でも、自殺して司法解剖されたんですから、もう保存はムリでしょうね。自殺ではなく、ほかのセレブとの関係がバレないように、口封じで殺されたのではないかとも、いわれているんですね。

■自殺と絞殺の「首の骨の折れ方」

 ここで、やっと本題です。ムショで「自殺に見せかけて殺せるか」ちゅうことですね。

 オジイは、首の骨が何カ所か折れていたそうで、「首つり自殺で首の骨が何カ所も折れることはないからアヤシイ」んですね。ニュースでは、舌骨も折れていて、これは絞殺の場合に折れることが多いそうです。こわい……。

 最終的には、アメリカの検視当局は「自殺」と断定しましたが、そもそも獄中で首はつれるのでしょうか? 答えはイエスですが、相当苦しいと思いますよ。何回か書かせていただいてますが、ムショや拘置所では自殺と脱走が最大のタブーです。トラブルを起こしたら、所長以下、幹部の出世に関わりますからね。

 でも、未遂を含めれば、けっこう起こっています。原因は、つらいから。獄中でのいじめや人権を無視した処遇だけやなくて、ヒマやからいろいろ考えてしまうんです。

 「家族や友だちに迷惑をかけてしまった……」とか、「これからの生活はどうしよう?」とかですね。私も、つらくて死にたくなったことがありました。ホンマにムショは行くところやないです。

 もちろん施設では、自殺や脱走の防止のために、いろんなものを制限します。たとえば拘置所は私服なのでパーカーも着られますが、ヒモはNGですし、ネクタイもベルトもダメ。それにスニーカーなど走りやすい靴は履けません。ムショも含めてみんな「トイレサンダル」です。

 それでもシャツの袖や靴下を首に巻きつけたり、ティッシュをのどに詰めたり、裸足で逃げ回ったりと、いろいろと工夫(?)するんですね。

 和歌山カレー事件の林眞須美は、未決(刑事裁判の判決が確定していない)の時に、拘置所でくぎをのみ込んで自殺未遂騒ぎを起こしていますし、私がいた施設でも針をのみ込んだ人がいました。あとは、便器に顔を突っ込むとか、処方してもらった睡眠導入剤を飲まずにためておいて、一気に飲む方法とかもあります。どれも苦しそうですね。尼崎事件の角田美代子も、同房者がいてるのにシャツの袖を首に巻きつけて死んでました。他殺説もありましたが、やっぱり日本のムショや拘置所では自殺に見せかけて殺すのは難しいと思います。

 アメリカは……どうでしょう?

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。

元女囚が考える最新刑務所事情――ワイロにパワハラ……ムショはまだ昭和の時代?

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■刑務官にワイロを渡すのは、それほど珍しくはない

「今どき刑務所でワイロなんて、昭和のヤクザ映画みたいですね」

 宮城刑務所で「受刑者が刑務官にワイロを渡して大福やロールケーキを差し入れさせていた」という事件があったそうで、編集者さんも驚いていました。

 ホンマもう令和の時代やのに、ワイロなんて昭和モードですね。私が獄中(なか)にいた時も、さすがに現金はないですが、刑務官にゴマをすってる懲役(受刑者)はけっこういてました。そうすると、トラブルがあった時に大目に見てもらえたりしますからね。私は一貫して刑務官には媚びずに反抗的でしたが、私のことを思って厳しくしてくれる刑務官の言うことはちゃんと聞いてました。

 実はムショでは、刑務官にワイロを渡すのは、それほど珍しくはないです。時々めくれて(発覚して)、ニュースになっています。それに、獄中ではホンマに甘いものがめっちゃ食べたくて、夢にも出てくるくらいなので、この懲役の気持ちはわからないでもないです(笑)。

 でも、1年くらいの間に1人の刑務官に「現金138万円」を渡すのは、高すぎる気もしますね。警察も怪しんでいるそうです。大福やロールケーキだけやなくて、別の目的があったかもしれませんね。この刑務官はもちろん懲戒免職ですが、サラ金で借金があったそうです。

 それにしても、これがめくれたきっかけは「紙のメモ」やそうで、これまた昭和っぽいですね。お金をもらってた相手との「連絡メモ」が、なぜか職員の共用の机の書類に挟まってて、それを同僚に発見されたのだそうです。こんな危ないメモは、ソッコー捨てなあかんでしょう。

 ニュースだけではわかりませんけど、もしかしたら、もう刑務官も関係を断ちたくて、わざと置いたのかもしれませんね。

 もうひとつ気になったのは、京都刑務所の刑務官の事件です。懲役に熱湯をかけてヤケドをさせたり、「土下座」や「踊り」を強要したりしていた刑務官が懲戒免職されて、「特別公務員暴行陵虐致傷」などの容疑で書類送検されたそうです。 

 こういうヘンなパワハラも昭和の匂いがしますが、これもムショでは珍しくないんですよ。残念ながら。ニュースによると、「受刑者に対して洗剤の容器に入れた熱湯をかけて全治15日間のやけどを負わせたほか、別の受刑者には土下座や踊りをするよう指示した」そうですが、その理由が「(懲役から)甘く見られたくなかった。自分の言うことを聞かせようと思った」からやそうです。

 確かにほとんどの懲役は一筋縄ではいきません。刑務官もナメられてます。たとえば徳島刑務所では、懲役が文鎮や排水管パイプで懲役仲間や刑務官を殴る事件もありました。 

 せやから刑務官の「懲役のくせにナメんな!」的なマウンティングもわからなくはないんですが、ヤケドはやりすぎでしたね。でも、ヤケド以上に気になるのが「踊り」です。何の踊りやったんでしょうか(笑)。

 こういうパワハラは、私のようなベテラン懲役(笑)でも、精神的に相当ダメージがあります。ムショはとにかく閉鎖されていて、窮屈やから、気持ちに余裕がないんです。普段では気にならへんことでもグサッとくるんです。今回の被害者がワルに染まってない人やったら、お気の毒ですね。

 少子高齢化で懲役は減ってるのに、肝心なムショの処遇が昔と変わらないのですから、更生は簡単ではないですね。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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芸人をタダで見られるムショの慰問――元女囚が獄中で出会った印象深い芸能人

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■芸人を管理するのが吉本興業の役割

 吉本興業が何かと話題ですね。私も大阪出身でお笑いは大好きですし、ダウンタウンなど吉本の芸人さんのファンでもあるので、気にはなっています。早く落ち着いてほしいです。

 もともと昔の芸人さんは「芸以外」のことは超テキトーやったと聞いています。今でもたまに不倫とか話題になりますよね(笑)。お酒やギャンブル、異性関係の誘惑に弱いから、そこをうまいこと管理するのが吉本興業のような会社の役割なんでしょう。

 芸人さんを甘やかさず、でも厳しすぎず、がんばっておもろい芸を磨いてもらう……。難しいことやと思います。コワモテやないと、言うことも聞かない芸人さんもいてるでしょうしね。そういう厳しい世界で有名になって、テレビ番組でレギュラーを持つなんて、ホンマに大変なことです。会社も世間も、もう少しいろいろゆるくなってほしいなあと思っています。

■獄中(なか)で見られる一流の芸

 読者の皆さんは、芸人さんの芸をナマでご覧になったことがありますか? それをタダで見られる(かもしれない)のがムショです。

 今は、法務省の「矯正支援官」という役職があって、トップの「特別矯正監」である杉良太郎さんのほか、噺家の桂才賀さん、コロッケさん、石田純一さん、刑務所のアイドルPaix2(ペペ)のお2人、EXILEのATSUSHIさん、元AKB48の高橋みなみさんなどが就任されています。ちなみに浜崎あゆみさんは、すぐにやめられてますね。杉様に「差別された」そうです。 

 この矯正支援官になると、ムショまでの交通費など実費は出るそうですが、もともともうかるものではないですから、それをわかって来てくださる皆さんには感謝しかありません。慰問のある日は缶ジュースやお菓子も出るので、懲役はとても楽しみにしています。

 そして……たまにプロの「慰問」ではなく、「拷問」といわれるご近所のカラオケ同好会の「歌謡ショー」や、幼稚園や保育園の子どもたちのお遊戯会などもあります。地元のおじいさんたちのカラオケを黙って聞かされるのはホンマ微妙なんですが、目の前のオバハンたちの「正体」を知らない小さな子たちが一生懸命歌ったり踊ったりしているのは、子どものいる懲役(私もです)には胸に迫るものがありましたね。

 こういう時はシャバで待っている子どもたちに申し訳なくて、「ああ、もうシャブなんかやったらアカン。ムショなんか来たらアカン」とかマジ思うんですが、また戻ってきちゃう。その繰り返しでした。

 私の慰問の思い出といえば、まずは八代亜紀さんですね。最高にきれいでした。それと香水をたくさんつけてきてくれて、講堂中がめっちゃいい香りになりました。なんかデパートの化粧品売り場に来たみたいで、みんなでひそかに興奮したものです。騒ぐと叱られますからね。

 Paix2(ペペ)もよかったですね。元懲役は、だいたい出てきてからもカラオケでけっこう歌ってるんですよ(笑)。

 あとは、和歌山刑務所のトクメン(篤志面接委員)をされている桂文福さんの面談も印象に残っています。トクメンとは、ボランティアで懲役たちの悩みを聞いてあげたり、講話をしたりする方です。お坊さんや元教師、元刑事さんなんかが多いようですが、才賀さんもされているそうです。こういう方との面談は希望者が多いので、競争率が高いです。私もダメ元で応募したのですが、なぜか当選して、お話しさせてもらいました。

 文福さんの第一印象は、「でかっ」の一言(笑)。170センチ、103キロだそうで、顔もカラダもとにかく大きな方でした。獄中では男の人を見る機会がまずないので、余計にそう思ったのかもしれません。いろんな話をして、「キミはそのままで最高や。変わらなくていいんやで」と言われました。

「えっ? こんなシャブで懲役のダメダメな私でも?」
「そうそう。キミは明るいし、大丈夫や。そのままでいいんや」

 やっぱり、そういうふうに言われるとうれしいですよね。聞けば文福さんは吃音(どもり)にも悩んでいたそうで、明るくて楽しそうな噺家さんにも、実はいろんなことがあるんやなーと思いました。

 こうして獄中でさまざまな出会いや経験があって、シャバに戻ってくるわけですが、住むところや仕事など「居場所」がなければまた逆戻りです。私は今のところは大丈夫なんで、このままがんばりたいと思っています。そして、いつかは私もトクメンになって、懲役の話をバリバリ聞ける人になりたいと本気で思っています。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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田代まさしさん「NHK出演」の意味とは? 元女囚が考える、覚醒剤中毒者の社会復帰

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■ピエール淳之介さん(苦笑)

 マーシーこと田代まさしさんがNHKのEテレで「ぶっちゃけ授業」をされたのが話題ですね。覚醒剤中毒だった自分について話すという番組でした。ふだんはテレビをあまり見ない私も、しっかり見ましたよ。

 マーシーは最初から「ピエール淳之介です」とかすべり気味で、司会の方に「ろれつがあんまり回ってないけど、今もクスリをヤッてんですか?」と聞かれてました。でも、ここは真顔で「いや、クスリを使ってる時のほうがろれつが回るし、手の震えも止まるんです」とキッパリと返していて、私も「あー、それはホンマやね」と、独りテレビに向かってうなずいてしまいました。

 マーシーはかなり正直に、獄中(なか)では売人と知り合って密売について語り合ったことや、ひたすら「クスリやりてぇ」と思っていたことなどをダジャレも交えながら話していました。要するに、「今のムショでは更生はムリ」ちゅうことですね。ここ大事です。ムショに入ってもポン中は治りません。

 あれっと思ったのは、独房のはずのマーシーが売人と話せていることですが、そういえばマーシーは1回目は独房で、2回目は雑居やった……と聞いたことがありましたね。芸能人も、本人の希望とかで雑居に行けることもあるのです。前にも書きましたけど、獄死した松山ホステス殺害事件の福田和子も雑居でした。

「『自分は依存症ではないから、いつでもやめられる』と思っていたのが間違いだった。だから、再逮捕されても全然やめられなかった」

 番組でのマーシーの言葉です。これも「ポン中あるある」ですね。なんか「自分だけは違う」って思ってしまうんです。クスリに限らず、お酒や万引とかも同じでしょう。司会やゲストの人も、マーシーの話を聞いて、「今までは、クスリをやめられない人はダメ人間と思ってたけど、依存症は病気だから、批判するだけではダメなんですね」と、わかってくれたようでした。

 ちなみに番組を見ていた編集者さんから、「テレビカメラの前で自分のことをすべて話すのは、相当しんどいでしょうね」と言われました。いやいや、むしろそのほうが気が楽になるんでしょう。ホンマのことですからね。私も自分から覚醒剤について話すことで、過去に向き合ってきました。

 マーシーや清原和博さんがどんどんテレビに出て、本音でしゃべってくれたら、ポン中への理解も深まるし、社会復帰もしやすいのにと思います。レディー・ガガとか海外のロックスターたちも、過去のクスリ体験をオープンにしてますしね。日本も、そうなっていけばいいですね。

■居場所としてのダルク

 番組ではマーシーが「ダルク」のスタッフとして働いているところも紹介されました。ダルク(DARC、Drug Addiction Rehabilitation Center)とは、自分も覚醒剤の使用歴のある近藤恒夫さんが1985年に作られた薬物依存者回復施設です。今は全国に組織があって、それぞれがピラミッド型ではなくヨコでつながっているそうです。

 ダルクにも、「ミーティングの時にみんなでなんでも話す」というリハビリがあって、「私ならここまで言わんけど」的なことまで、なんでも話すのだそうです。そしたら、気持ちがすっきりするんですね。マーシーがダルクの仲間たちと、毎日「今日もクスリをやめられた」と話しながら真面目に生活している姿を見てもらうことは、家庭や仕事があるのと同じくらい大事やなと改めて気づきました。

 世間の皆さんが温かい目で見てくれたら、更生も早いです。私もテレビや雑誌の取材を受けて、「こんな私を信じて話を聞いてくれる記者さんたちを裏切ったらアカンな」と思いましたからね。バッシングで、いいことは何もないです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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元女囚が考える岡崎聡子さんの逮捕――更生の早道はステキなパートナーを見つけること

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■「普通の子ども時代」を送れてなかった?

 びっくりしましたね、「和製コマネチ」こと岡崎聡子さんの14回目の逮捕。こんなにたくさんの逮捕回数は、死刑になったオウムの教祖くらいだそうですよ。逮捕回数でメダル……とか不謹慎なことを思ってしまいました。

 ニュースによると、4月下旬に都内の交番に「物をなくした」と言いに来た時に、もう言動がおかしくて、尿検査したら覚醒剤の陽性反応が出たそうです。「重度の依存症」ゆう報道も目立ちますね。

 それにしても岡崎さんの事件は残念です。岡崎さんはもう還暦間近で、私より大先輩なんですが、小学1年生から中学2年まで体操をやっていた私にとって、大スターでした。だって15歳でオリンピックですよ? あのコマネチと同い年で。岡崎さんの妹さんも選手で、「体操一家」として有名でしたね。

 シャブ以外での(笑)岡崎さんと私の共通点は、子どもの頃から体操の英才教育を受けていたため、ちゃんとごはんを食べられなかったことかなと思います。オリンピックには程遠い私ですら、食べ盛りなのに給食ではなく「野菜ジュースとサラダ」みたいな食事を一年中続けてました。太ってると平均台から落ちた時とかのケガが重くなるからなんですが、生理は止まるし、空腹でイライラするし、ええことは何もなかったですね。実は、苦労のかいあって、大阪ではかなり上位のランクやったんです(ちょっと自慢)。

 私は転校もあって体操をやめたんですが、「普通の女子中学生の生活」の気楽さに、最初はめっちゃ驚きました。すぐになじみましたけど。岡崎さんは、ケガで引退後もエアロビクスの普及をがんばったりしてましたから、心が休まる時がなかったのとちがいますかね。

 ちなみに清原和博さんも子どもの頃から野球だけやってきて、引退して急にやることがなくなって、どうしていいかわからなかったそうですね。それで暴飲暴食のち糖尿病、そしてクスリ……となっていったようです。

 映画の子役さんも、小さい頃はチヤホヤされて、大きなったら仕事がなくなって「転落コース」もけっこうあります。子どものうちに子どもらしい生活ができないのはアカンかなとも思いました。

 ニュースによると、岡崎さんは逮捕と収監を繰り返していて、人生の半分はムショらしいです。2人の息子さんは情状証人として出廷してくれたりと、仲は悪くはないみたいですね。でも、絶縁状態ながら大好きだったご両親の死に目には会えなかったそうです。

 ムショにいると、どうしても家族の話になりますから、岡崎さんは今後も寂しい後悔の日々を送られるんでしょうか。切ないですね。

 岡崎さんについて、ネットなどでは「こんなに重度の依存症ではもうアカン」的なコメントが目立ちますが、私はまだ更生の余地はあると思います。その早道は、ステキなパートナーを見つけること。私の周囲でも、恋人や夫がちゃんとしてる人は、更生できてますよ。ちなみに、よく女性のほうが「キメセクにハマったらクスリをやめにくい」といわれますが、私の経験では逆です。むしろ男のほうこそ新しいパートナーにクスリを勧めたりしますよ。ホンマ懲りませんね。

 岡崎さんは、今からでも遅くないと思います。新たな出会いと更生にがんばってほしいです。

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判決目前「ピエール瀧」の復帰は早い!?――元女囚が「更生は可能」と思う理由

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■ピエール瀧の執行猶予は間違いない

 6月18日、コカインの使用で逮捕されたピエール瀧さんの判決公判が開かれるそうですね。5日の初公判の傍聴券は倍率60倍だったそうで、さすが有名人はちゃいますね。ワイドショーは、逮捕の時ほどではない気もしますが、初公判の様子も相変わらずバンバンやってました。

 報道の感じやと、瀧さんは初犯で、反省もしているようなので、まず執行猶予は間違いないです。マスコミもそこはわかってるようで、ワイドショーも判決そのものより、裁判の様子や、瀧さんの「今後」に興味がある感じでしたね。

 瀧さんが今まで出演したテレビドラマや映画などへの損害は「億単位」ともいわれていますから、これはごっついと思いますが、むしろそれ以外は心配ない気もします。賠償のためにも、今までの作品をお蔵入りにしないで、少しでも瀧さんのお金になるようにしてあげてほしいです。ちゅうか、それがないと億単位の賠償はできないから、早めに解禁されるといいですね。

■パクられた時しか、やめるタイミングはない

 瀧さんの報道で思ったことを書きますね。瀧さんは、20代の頃からコカインにハマり、50代の今までミュージシャンや俳優として活動されてきたそうですから、巷では「コカインやってて30年も活躍できるなんて、もしかしてコカインはカラダにええのと違うか?」という冗談も出てましたね。

 でも、たとえばクスリ関係で逮捕された時の清原和博さんやASKAさんの顔は、ゾンビみたいな感じでしたか? 田代まさしさんは激ヤセの感じでしたが、あんまり見た目が変わるほどの依存症の人って、見たことないですよね。そんなアブない人なら、まず仕事をもらえないし、もっと早くにパクられていたはずです。

 とはいえ、本人はやめたくて仕方なかったでしょうから、パクられてほっとされてると思います。やっぱりパクられた時しか、やめるタイミングはないですよ。

 それでも、今後は瀧さんがコカインを目の前に置かれても使わずに済むようになるには、時間はかかるかもしれません。私もそうでした。覚醒剤でパクられてムショに行って、「ああもう今度こそシャブはアカン」と思うことの繰り返しでした。ようやく懲りて、今は目の前に注射器を置かれても、自信を持って断れます。

 それはなぜかというと、「守るもの」があるから。家族からも支えられながら、私も家族を守らなくてはなりませんし、今はお店もやっているので、お店の女の子たちも守らなくてはなりません。

 それに、NHKなどテレビにも何度も出していただいて、今は連載をさせていただき、本も出させていただきました。もし私がまたパクられたら、私を信じて取材してくれたり、連載をさせてくれているメディアの皆さんをも裏切ることになります。それだけは絶対にしたくないんです。まあそう思えるようになるまで、高い授業料を払ってきましたけどね(苦笑)。

 瀧さんも、損害賠償は仕方ないでしょうが、それ以外は大丈夫かなと思います。奥様が逮捕後も離婚せずに支えてくださっているそうですから、「居場所」はありますよね。やっぱり居場所があれば、クスリはやめやすいです。

 それに、お友達やご近所さんもやさしくしてくださっているそうですし、何よりも電気グルーヴのファンはみんな待ってますよ。もし今ライブに出られたら、超満員になるでしょう。「Shangri-La」くらいしか知らない私ですら、そう思います。

 ご家族やお友達、ファンなど「守るもの」と居場所、そしてお仕事があれば、瀧さんは復帰も早いと思います。がんばってほしいですね。

中野瑠美(なかの・るみ)
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元女囚が考えるアイドルの逮捕――元KAT-TUN・田口さんは「ホンマのシロウトさん」

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■大麻、コカイン、覚醒剤は、それぞれ効き目が異なる

 ジャニーズの元アイドル・田口淳之介さんの逮捕で、世の中はピエール瀧さんの逮捕の時と同じか、それ以上の騒ぎですね。かばうわけではありませんが、大麻は合法の国もありますし、同居人の小嶺麗奈さんと「強い幻覚でキメセクやってた」みたいに書いてあると、お気の毒な感じもします。

 念のためざっくり整理すると、田口さんは大麻、瀧さんはコカイン、清原和博さんは覚醒剤でしたが、それぞれ効き目やお値段はまったくちゃいますよ! 大麻で幻覚は見ません。ちなみにウィキペディアには「酩酊作用」とありました。メイテイって、「酔っ払う」ゆう意味で、「ラリってる」ゆうことですね。「幻覚」ではないのです。

 難しく言うと「報道被害」と言うそうですが、逮捕(パク)られた人のニュースは毎度かわいそうですね。田口さんをかばうファンもいてますが、なんかもう、みんなで「総攻撃」で。田口さんが身柄を送検される時に「顔を隠さず前を向いてた」「悪びれた様子がない」(=ふてぶてしい)とか、「10年前から大麻をやってた」(=ファンを裏切った)とか。そうなんですかねえ?

 報道だけではわかりませんが、私は、田口さんは「悪人」ではないんやなという印象を持ちました。ちゅうか「ホンマのシロウトさん」ですね。車内で「前を向いていた」のも、誠実な感じがします。

 それに、マトリ(関東信越厚生局麻薬取締部)が来た時も、すんなり応じたそうですね。室内には大麻のほか「吸引グッズ」が普通に置いてあったとか。あの勝新太郎さんですら、コカインはパンツに隠したのに、田口さんは何もしなかったんですね。ふだんから吸引グッズは出しっぱなしにしておかないとか、マトリに踏み込まれた時は、ブツ(大麻)はトイレにソッコー流すとか、小細工もできたはずですが、そうしなかったんですね。これって、すごくないですか?

 まあちょっとオープンすぎる気もしますけど、大麻は合法のところもありますから、それほど罪悪感もないんかなと思った次第です。ちなみにマトリや警察に踏み込まれた時の対応は、私がしっかり伝授しますから、不安な方はご相談ください(笑)。

 マトリは警察に比べて予算がないので、内偵には時間やお金をかけずに、イッキに捜査すると聞いたことがあります。今回もそうだったのでしょうか?

 対する不良たちは、捜査がどこまで進んでいるかを常にチェックしています。私もそうでしたが、普通の不良は「ネットワーク」がしっかりしてます。「○○の調べの時にオマエの名前も出てたで」「そろそろオマエもあかん」とか教えてくれる刑事さんや不良仲間がいてるのです。それで、情報次第でしばらくホテルを泊まり歩くとか、観念して身辺整理をしておくとか、次の行動を考えるわけです。

 田口さんにはそういうネットワークはないちゅうか、作る気もなかったのとちがいますかね。あるいはもう大麻をやめたかったのかもしれません。やっぱり「パクられた時がやめる時」なんです。まあ同居していた小嶺さんと「真冬の夜中に半袖姿で歌い歩く」ところを目撃されていたゆうニュースもありますが、これが事実ならちょっと覚醒剤もやってたかもしれませんが、そもそもこの記事がホンマかどうかですね。

 以前も書きましたけど、清原さんや田代まさしさんなどパクられた人たちは、「マスコミにはあることないこと書かれた」と怒ってましたし。今回も「どこまでホンマかいな?」ちゅう気もしないではないです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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元女囚が語る「経産省キャリア官僚」が覚醒剤にハマったワケ――エリートは“いいお客さん”?

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■マダム雑誌「STORY」から取材を受けました

 サイゾーウーマン編集部のご厚意で好き勝手なことを書かせていただき、それが本になってもいるんですが、さらに本を読んでくださった方から、取材のオファーもいただいております。本当にありがたいことです。
 岩波新書も想定外でしたが、先日は、なんとマダム雑誌「STORY」(光文社)の取材をいただいてしまいました! カメラさんからポーズの指導まで受けてしまい、なんかもう「アタシって、女優?」みたいに舞い上がりましたが、もちろんテーマは「依存症」……。まあワタシ自身が「元依存症」ですから、しゃあないといえばしゃあないですね(笑)。発売になったら、ご案内しますね。

■エリートほどクスリや酒におぼれやすい?

 依存症は、最終的には自分で治すしかないんですが、経済産業省の若手職員さんが覚せい剤取締法違反(密輸、使用)で逮捕(パク)られましたね。パクられたNさんは、経産省の中でもエリートやそうです。

 話はそれますが、酒に酔って「北方領土を取り戻すのには戦争」とか言って大問題になった元日本維新の会の議員は私の地元出身なんですが、これまた経産省出身やそうです。東大出のイケメンなのに……。経産省にはポン中と酒乱しかいてないんかい……とは言いませんが、これからはこういう犯罪も増える気がします。

 なぜなら、エリートさんのほうがシャブや飲みすぎをやめられない気がするからです。今までもめくれて(発覚して)ないだけかもしれません。私がバイ(密売)してた時も、エリートやセレブは多かったですよ。出世とか名声とか「守らなアカンもの」が多くて、ストレスがハンパないのでしょうね。

 Nさんも、シャブに手を出した理由として「仕事のストレス」を挙げていました。残業もめっちゃ多いらしいですしね。ネットを見ていると、「エリートなのにシャブに手を出すなんて……」という声が多いようですが、むしろエリートやから、ストレスすごすぎで「イッパツやりたなる」のとちゃいますかね。そもそもシャブも高いですから、お金持ちでないと買えませんし。それに、こういう人たちは口がめっちゃカタイので、売人にとっては、とてもいいお客さんなのです。

 Nさんは初犯ですから、今回は執行猶予がつくでしょうが、お役所はクビですし、これからが心配ですね。

 そもそも罪としては、そんなに重くない気もします。雑誌のとじ込み付録に約20グラム、末端価格120万円相当がコッソリ封入されてたそうです。お値段は売人にもよりますが、1回の使用量はだいたい0.03グラムなんで、66回分くらいですね。朝昼晩と打って1カ月分弱といったところです。Nさんはオフィスのトイレや会議室でもつこてたそうで、1日5回で2週間分くらいかもしれませんね。

 報道では、「量が多い! 密売の可能性も!」としているところもありましたが、それは微妙です。エリートさんはお金には困ってないでしょうから、バイしてヘタうつよりも「自分だけで楽しめる量」かなと。ちなみにNさんは、お仕事が忙しいせいか、うつ病になって精神科に通い、処方された向精神薬が効かなくなって、シャブに移行したそうです。

 これはまあ、ありがちなんですが、最初は路上で買うてたのに、海外のネット通販で買ってビットコインで決済されたというのは、「さすがエリートやな」と思いました。私が現役の頃もネット通販はなくはなかったですが、なんかスマートすぎますよね。これからは、こういう売り方が主流になるんでしょうね。

 もちろん街角のアブないオッサンから買うのはやめたほうがええですが、もともと違法なんですから、アブないもスマートも何もありません。とにかく、お仕事がどんなにツラくても、シャブは「ダメ。ゼッタイ。」ですよ。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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元女囚が教える「シャブ屋」の1日――シティホテル暮らしで、月に600万円稼ぐ者も

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■ムショで一緒だった尾上縫さんについて話した

 連休はいかがお過ごしですか? まずは宣伝です。

 イースト・プレスから『女子刑務所ライフ!』を出版させていただいてから1年になりますが、なんと岩波新書でも紹介していただきました。『バブル経済事件の深層』(奥山俊宏・村山治著)という本です。

 少し前に取材を受けたんですが、よく意味わかってなくて(すみません)、「新聞に載るんかな?」と思ってたんです。でも、送っていただいたら本やった、と。ちゅうか岩波新書……ぶっちゃけ知りませんでしたよ。担当の編集者さんたちから「すごいじゃないですか!」と褒められて、やっとすごさがわかったくらいです。

 当時は子どもだったんで、あんまり関係なかったんですけど、80年代バブル期って、今もわりとブームですよね。『女子刑務所ライフ!』に、ムショで一緒だった“バブルの女帝”尾上縫さんのことを書いていたので、「尾上さんについてもう少し聞かせて?」と連絡があったんです。いろいろお話しさせていただいたんで、興味ある人は読んでみてくださいね。

 前置きが長くなってしまいましたが、今回は「シャブ屋の1日」です。ふと思いついただけなんですけど、おもろいかなと思って。

 覚醒剤は、「元売り」が海外の組織から密輸して、「大卸」にキロ単位で売ります。「大卸」は、これを「中卸」に転売します。でも販売ルートはいろいろで、「元売り」が「大卸」を兼ねていることもあります。さらに、「中卸」から末端の売人に卸されますが、ほかにも間にいることがあって、最初の値段から「末端価格」(新聞によく出るヤツ)になるまで、だいたい10倍くらいです。「中卸」が末端の売人を兼ねていることもあります。

 せやから、いわゆる「シャブ屋」もいろいろです。普通は末端の売人のことを言いますが、おばちゃんやオジーもいてますし、専業の人もサイドビジネスの人もいてます。女子は1人では危ないから、ボディガードがつくこともありますが、それを言うたら年寄りも1人は危ないですよね。でも、オジーにボディガードがつくのはないと思います。知り合いのオジーはママチャリで配達してましたしね。

 ちなみにシャブ屋でも「本人はクスリ使わない派」はゼロではないですが、だいたいはつこてる感じです。専業のシャブ屋の場合、営業時間を「午後1時から午前1時まで」とか決めてお客さんに伝え、バイ(密売)専用の携帯電話を、その時間だけオンにします。

 たいていお昼過ぎに起きて、まずイッパツ打ちます。タバコみたいなもんですが、もちろんタバコも吸います。それで目が覚めてくるので、携帯の電源を入れて注文を確認します。証拠が残らないようにメールやラインは使わず、通話だけです。

 在庫がなければ中卸に電話をしたりして、ある程度の手配をしたら朝ごはん(?)です。ポン中は甘いものが好きな人が多いです。覚醒剤は“塩”(メタンフェタミン塩酸塩)だからでしょうかね。あんパンやドーナツを6個くらいと甘いコーヒー牛乳を1リットルとか普通ですよ。そして、おなかがいっぱいになったら、「追い打ち」をして、「出勤」です。

 たいていのシャブ屋は、自宅のほかにワンルームマンションとかの「作業場」を借りていて、そこで袋詰めをします。ラブホで詰めることもあります。

 足がつかないように3カ月くらいで部屋を変えて、クルマもレンタカーです。道具(注射器)などは強力マグネット付きのケースに入れて、クルマの下に付けたりします。これは私もやってました(笑)。こうやってお金をかけても十分ペイするのがシャブ屋ですね。クルマでお客さんのところを回って、稼ぐ人は月に600万円くらい売って、半分くらいがもうけになります。もちろん違法だから非課税です。

 でも、お客さんを見つけるのは、あくまでも自分の努力です。お金持ちで口のカタイお客さんを見つけるのもシャブ屋の腕。私の場合は合法で仕入れた睡眠導入剤をつけてあげたりして、サービスのよさも人気やったと思います。そうこうしているうちに夜になり、高いお店で晩ごはんを食べて飲みに行って寝ます。その繰り返しですね。

 ちなみに、私の場合はなぜか月曜日にガサ入れが多いので、それを避けるために週末は高いシティホテルで過ごしていました。捜査情報が入ると、1カ月くらい泊まって潜伏することもありました。「逮捕」と隣り合わせの綱渡り生活でも、毎日おもろかったです。

 私ももうけたお金でマンションでも買っておけばよかったんですが、ホンマに「悪銭身につかず」ですね。服やバッグ、時計など、ブティックを開けるくらい高級ブランド品を買いあさりましたが、これは逮捕(パク)られた時の弁護士費用など、急に現金が必要になった時のためでもありました。今はまったく手元にありません。どこいったんかな?

 もう刑務所に行きたくないですし、あの頃に戻りたいとは思いませんが、最近はヤクザのシノギも覚醒剤とオレオレ詐欺しかなくなって、世知辛いなとは思います。そういえば少し前に「88歳で逮捕(パク)られたポン中」のニュースがありました。それだけ長生きできるなら、シャブはそんなにカラダに悪くないのとちゃうか……と、ちょっと思っちゃいますね。でも、ダメです絶対。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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刑務所のティッシュペーパー価格はシャバの5倍! 元女囚が教える「差し入れ屋」事情

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■ティッシュ800枚が市価の約4.5倍!

 少し前ですが、「大阪刑務所で販売されている日用品の値段が高すぎる」として、大阪弁護士会が刑務所に3月29日付で改善を勧告したというニュースがありました。ワタクシ的には「今さら感」しかないわけですが、ええことですね。もっともっと問題にして、改善してほしいです。

 朝日新聞によると、2011年以降は全国の刑務所や拘置所などで販売委託先(差し入れ屋)が「大手商社系の民間業者」に変更されて、物品や価格が統一されているそうです。ぜんぜん「民間のよさ」が出ていないどころか、値上がりしているというからビックリです。民主党政権時代ですね……。ちなみに民間業者に変わる前は「刑務官OBらの団体」に委託されていました。天下りがやってた時よりも値上がりするなんて、意味わかりませんが。

 「勧告」では、2016年の時点でティッシュ1袋(800枚)が594円(市価の約4.5倍!)で、ほかにも11年と16年の最低価格を比べると、「男性用半袖シャツ」は300円から794円に、「男性用ブリーフ」は306円から702円に値上がりしていて、周辺の市価よりも高額としています。

そもそも刑務作業でもらえる「報奨金」の月額平均が約4,300円ですから、「報奨金に見合わない」として、「価格の見直しを業者と協議するよう刑務所に求めた」そうです。1週間に40時間も働いているのに、1カ月で4,300円ちゅうのもアレですけど。

 この勧告に対して、もちろん法務省は「スーパーマーケットなどとの単純な比較は難しい」と言い切り、「業者と協議のうえ、適正な価格を決めている。受刑者の環境や施設に合わせた」と説明しているそうです。委託先の「民間会社」は共同通信の取材に「コメントしない」と回答していました。

 私も経験あるので、何回か書いてますが、ホンマに差し入れ屋のモノは高いです。ティッシュと下着類以外でも、たとえば缶詰はめっちゃ高いです。保存がきくせいか、フルーツから1万円くらいのカニまで、種類も豊富です。

 まあカニはシャバでも高いし、「大親分のステイタス」的なもので、大親分にだけどっさり届く感じです。普通はあんまり関係ないですね。ミカンの缶詰は、2つで1,500円くらいしていました。たしかに100均で売っているものよりは大きめの高級品なのですが、1人で常温のまま食べるんですから、100均ので十分です。

 食べきれなくても、誰かにあげたら懲罰です。大昔は「牢名主」みたいな存在が他の収容者の食べ物を取り上げていたので、それをさせないようにしているらしいです。今どき、苦手なものを同房者にあげるくらい、ええんちゃうかなと思うんですけどね。

 このほか、ボールペンも100均で「3本100円」で売っているようなのが、1本300円くらいはします。ほとんどぼったくりです。

■安くするにはアレを

さて、なんでこんなに差し入れ屋のモノは高いのでしょうか? まあ獄中(なか)の事情が特殊であることは、ホンマです。

 特に拘置所は、お金さえあれば好きな物を買えますから、同じ品物ならスーパーでもコンビニでも買ってもええはずですが、いろいろ獄中では「制約」があるのです。たとえば自殺防止のために、ジャージーのパンツ、パーカーについているヒモやネクタイは禁止ですし、冷蔵庫がないから、食べ物は常温で保管できるものだけです。こういう細かいことは「指定業者ならわかっている」というのは、たしかにそうかもしれません。

また、布団や座布団の中に脱走用のノコギリなどを隠すことのないように、「ちゃんとした指定業者から買わなアカン」いうのもわかります。でも、これって昔の話ですよね。服のヒモは取ればええし、今は金属探知機もあります。

 「お菓子の袋にシャブを入れている可能性」を言うなら、空港の手荷物検査のアレ(X線スクリーニング)を置けばええですね。差し入れ屋にもうけさせるくらいなら、ぜんぜんアリと思います。荷物検査を機械化して持ち込みを厳しくすれば、業者も入札制にして安いところにできますよ。そしたらティッシュや下着など、安いものを自由に買えます。刑務官も減ってるんですから、この際、もっと機械に頼られてはいかがですか?

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」
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