元女囚が考える、田代まさし「再逮捕」法務大臣「1週間で辞任」――懲役経験者だからわかること

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

田代逮捕は清原も迷惑!

「マーシー、また逮捕やん」
「ほんまや。キヨハラも時間の問題やろ」

 11月6日の夕方、スーパーで晩ごはん用の買い物をしていたら、後ろでこんな声が聞こえてきました。「ええっ?」と思ってスマホで見たら……。ホンマにマーシーがパクられて(逮捕されて)ました。

 この時の逮捕容疑は、クスリの「所持」でした。報道では、「使用についても調べる」となってますが、使用についてはその後ニュースがないので、尿検査は「陰性」やったかも……と思っています。となると、髪の毛でいかれますかね。私も検査のために髪を切られたことありますが、嫌がらせもあってか、かなりゴソッといかれました。イヤな気分ですよ。まあクスリとかに手を出すほうが悪いんですけど。

 それにしても、マーシーは、コカインも含めて違法薬物の逮捕は今回で4回目、懲役は7年も行ってるんですね。あとは「盗撮」事件が有名ですが、検索したら、ナイフを持ってたことで銃刀法違反がついていたこともありました。

 報道によると、マーシーの覚醒剤案件の逮捕は、2001年、04年、10年と続き、実刑は2回。14年に出所してるそうですが、せっかく逮捕と逮捕の「間」が空くようになってきてたのに……。シャネルズ時代からファンやった私としては、とても残念です。

 でも、それ以上に残念なのが、「やっぱりクスリはやめられへん」→「マーシーだけと違うやろ」→「誰もやめられへん」→「清原和博もやってるやろ」→「当然、中野瑠美もやってるやろ」とされてしまうところですね。

 マーシーがやめられないのはマーシーが悪いのですが、ほかでがんばっている人にまで「まだやってるのと違うか」とか言わないでほしいです。特に清原さんは、「ワールドトライアウト」の監督にも就任して、がんばっているのですから、応援したいですね。ホンマよかったです。就任のニュースは涙が出るくらいうれしかったです。

アレがなくなればクスリはやめられる?

 たしかにクスリをやめるのは難しいんですが、実は私を含めて周囲には、けっこうやめてる人がいます。なぜやめられるかは人それぞれで、「居場所がある」とか「家族など守るものがある」とかなんですが、もっと単純な理由もあります。

 それはトシをとって性欲がなくなるから。「お金がない」ちうのも、やめるきっかけにはなりますが、性欲が強いうちは悪いことをしてでもお金を稼いでクスリを買います。女性の場合は売春ですよね。

 でも、トシを取ると、もういろんなことが面倒になっちゃうんです。自然にやめられた知り合いは、「気がついたらクスリがいらんようになってた。トシやなー」と笑っていました。

 マーシーもいずれはそういう心境になるかもしれませんが、まだ63歳ですから微妙ですよね。クスリを買うお金もあるでしょうしね。ご家族や信頼できるお医者さんと連携しながら、一歩一歩やり直してほしいです。それにしても、やはりマーシーの依存症の治療は、ムショより病院のほうがいいと思います。マーシーも「ムショに行っても依存症は治らない。悪い仲間が増えるだけ」とゆうてましたもんね。

 それで思い出しましたが、瑠美的には法務大臣が就任1週間で辞めたニュースに怒っています。パクられると、服役も仮釈放も、何かにつけて「法務大臣」の名前が出てきます。つまり懲役経験者にとって、「法務大臣」は雲の上の存在ながら、私たちの人生を左右している「仮想敵」なんです。「会ったことないけど、勝手にカリシャク(仮釈放)を取り消してムカつくわー!」みたいな。

 そんな人が法律を守らないのはアカンでしょう。しかも夫婦そろって。編集者さんに聞いたら、部下への暴力のウワサもあるそうです。法務大臣がちゃんとしてないと、ムショはよくならないと思いますよ。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
『女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。

元女囚が「獄中で反省なんてムリ」と言うワケ――恨みやイジメが渦巻くムショの現実

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

「取り調べ弱者」ってご存じ?

 私の住む大阪では、今回は大きな被害はなかったのですが、台風もホンマこわいですね。心よりお見舞い申し上げます。

 さて、以前もちょっと書かせていただいてましたが、患者さん殺害の疑いで懲役12年の刑を受けて服役していた元看護助手の西山美香さんの無罪が確定しましたね。ホンマによかったと思います。この西山さんとは、ムショが同じでした。服役中の精神鑑定で軽度知的障害と発達障害が判明したそうですが、なんちゅうか、ムショでも浮世離れした感じでしたね。

 私は、それほど接点はなかったのですが、前科もないはずなのに仮釈放もなかったから、不器用やったのと違うかなあと。布団の上げ下げとか、言われたことがスピーディーにできない感じですよね。こういう人は、たいていイジメに遭います。居心地はサイアクやったと思います。

 後に冤罪とわかる足利事件の菅谷利和さんも、同房者にめちゃくちゃいじめられていたそうです。まあ女子だと、さすがに肋骨を折ったり、ウン○を食べさせたりするのはないですが、獄中(なか)は気が弱い人には向いてない世界です。

 無罪の会見で、西山さんは「数字を20までしか数えられない」と言ってました。「就職に不利だから隠していた」のだそうです。でも、すべてカミングアウトして、「取り調べで事実を話せず、刑事さんの“逆ハニートラップ”に引っかかって、刑事さんが喜ぶようなことを言った」と明かしたこともあって無罪となったんですね。こんなおぼこい女の子を騙す刑事さんはサイテーですが、こういう「取り調べ弱者」がわりといることを知ってほしいと思いました。

 西山さんも菅谷さんも、いじめられて根に持つことはないんでしょうかね。優しそうですよね。

 獄中ではほかに考えることがないので、とにかくいろんな人を恨みます。私を犯罪に巻き込んだアイツ、パクった(逮捕した)刑事、起訴した検事、有罪にした裁判官、私を捨てた恋人や家族、同房のいじめっこ、意地悪な刑務官……などなど、数えたらキリがないです。

 特に刑務官は、ええ人ほど早く辞めて、えこひいきしてる懲役とツルんでイヤキチ(意地悪)する局(つぼね)みたいのは、いつまでもいてます。シャバと変わらないです。こういうストレスって、獄中ではなかなか解消できないんです。家族に手紙を書いたり、本を読んで気持ちが収まればいいんですが、それができない人もいてます。

 そうなると、普通は弱い者いじめになるんですが、たまに「八つ当たり」みたいな事件もあります。先日のニュースで、検事さんに獄中から「死ぬほど、後悔させてやるぞ」とか手紙を書いていた元懲役がパクられた、と出ていましたね。

 この人は、出所後の逮捕で、またムショに逆戻りなわけですが、「手紙って、刑務所が中身を確認しないの?」ちゅう疑問が出ると思います。ま、普通はチェックしてる(はず)なんですが、とにかく数が多いんで、ようチェックできひんというのがホンマのところと思います。今回も、思わず見落としたのと違いますかね。私がいた施設はめちゃくちゃチェックが厳しかったのですが、手紙のチェック漏れによる(らしい)脅迫事件は、たまに報道されてるんですね。

 でも、実はめくれて(発覚して)ないだけで、けっこう起こってるかもしれません。それもこれも、ムショの処遇が厳しすぎて、「犯した罪を反省する場」になってないことが原因かなと思います。

 この夏の激暑でも、お風呂はほぼ一日おきで、蒸し暑い空気をかき回す扇風機だけですから、「悔い改めよ」ゆうてもムリなんです。「罪人のくせに何をゼータクな。図々しい」と思われるかもしれませんが、結局反省しないままでは、出所してもまた事件を起こすでしょう。そして、次は自分や自分の大切な人が犠牲になるかもしれません。それでも、ええですか?

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。

元女囚が「獄中で反省なんてムリ」と言うワケ――恨みやイジメが渦巻くムショの現実

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

「取り調べ弱者」ってご存じ?

 私の住む大阪では、今回は大きな被害はなかったのですが、台風もホンマこわいですね。心よりお見舞い申し上げます。

 さて、以前もちょっと書かせていただいてましたが、患者さん殺害の疑いで懲役12年の刑を受けて服役していた元看護助手の西山美香さんの無罪が確定しましたね。ホンマによかったと思います。この西山さんとは、ムショが同じでした。服役中の精神鑑定で軽度知的障害と発達障害が判明したそうですが、なんちゅうか、ムショでも浮世離れした感じでしたね。

 私は、それほど接点はなかったのですが、前科もないはずなのに仮釈放もなかったから、不器用やったのと違うかなあと。布団の上げ下げとか、言われたことがスピーディーにできない感じですよね。こういう人は、たいていイジメに遭います。居心地はサイアクやったと思います。

 後に冤罪とわかる足利事件の菅谷利和さんも、同房者にめちゃくちゃいじめられていたそうです。まあ女子だと、さすがに肋骨を折ったり、ウン○を食べさせたりするのはないですが、獄中(なか)は気が弱い人には向いてない世界です。

 無罪の会見で、西山さんは「数字を20までしか数えられない」と言ってました。「就職に不利だから隠していた」のだそうです。でも、すべてカミングアウトして、「取り調べで事実を話せず、刑事さんの“逆ハニートラップ”に引っかかって、刑事さんが喜ぶようなことを言った」と明かしたこともあって無罪となったんですね。こんなおぼこい女の子を騙す刑事さんはサイテーですが、こういう「取り調べ弱者」がわりといることを知ってほしいと思いました。

 西山さんも菅谷さんも、いじめられて根に持つことはないんでしょうかね。優しそうですよね。

 獄中ではほかに考えることがないので、とにかくいろんな人を恨みます。私を犯罪に巻き込んだアイツ、パクった(逮捕した)刑事、起訴した検事、有罪にした裁判官、私を捨てた恋人や家族、同房のいじめっこ、意地悪な刑務官……などなど、数えたらキリがないです。

 特に刑務官は、ええ人ほど早く辞めて、えこひいきしてる懲役とツルんでイヤキチ(意地悪)する局(つぼね)みたいのは、いつまでもいてます。シャバと変わらないです。こういうストレスって、獄中ではなかなか解消できないんです。家族に手紙を書いたり、本を読んで気持ちが収まればいいんですが、それができない人もいてます。

 そうなると、普通は弱い者いじめになるんですが、たまに「八つ当たり」みたいな事件もあります。先日のニュースで、検事さんに獄中から「死ぬほど、後悔させてやるぞ」とか手紙を書いていた元懲役がパクられた、と出ていましたね。

 この人は、出所後の逮捕で、またムショに逆戻りなわけですが、「手紙って、刑務所が中身を確認しないの?」ちゅう疑問が出ると思います。ま、普通はチェックしてる(はず)なんですが、とにかく数が多いんで、ようチェックできひんというのがホンマのところと思います。今回も、思わず見落としたのと違いますかね。私がいた施設はめちゃくちゃチェックが厳しかったのですが、手紙のチェック漏れによる(らしい)脅迫事件は、たまに報道されてるんですね。

 でも、実はめくれて(発覚して)ないだけで、けっこう起こってるかもしれません。それもこれも、ムショの処遇が厳しすぎて、「犯した罪を反省する場」になってないことが原因かなと思います。

 この夏の激暑でも、お風呂はほぼ一日おきで、蒸し暑い空気をかき回す扇風機だけですから、「悔い改めよ」ゆうてもムリなんです。「罪人のくせに何をゼータクな。図々しい」と思われるかもしれませんが、結局反省しないままでは、出所してもまた事件を起こすでしょう。そして、次は自分や自分の大切な人が犠牲になるかもしれません。それでも、ええですか?

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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元女囚が考える「薬物中毒者の親」問題――米『セサミストリート』では子ども番組で依存症を語る時代に

 

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

合法の処方薬で中毒に

 突然ですが、子ども向けの番組は見ておられます? 仮面ライダーシリーズとかは主婦のほうがハマってるそうですね。

 私も獄中生活などもあって、やや短い期間ではありましたが、子どもたちとテレビは見てました。『仮面ライダーアギト』(テレビ朝日系)の要潤さんが好きやったのは前にも書いてますが、今回は、子ども番組は子ども番組でも、アメリカの『セサミストリート』のお話です。

 『セサミストリート』もまったく見たことないわけではないですが、ぶっちゃけピンときませんでしたね。「人形がなんかしゃべっとるなあ」くらいで。でも、もう50年も続いて、140カ国以上で放送されているそうです。

 番組には「いじめの被害者」や「親がムショにいる子ども」が登場するなど、わりと社会的なテーマも扱ってるそうで、それが人気の秘密なんでしょうかね。最近では、「オピオイド中毒の親」を持つキャラクター「カーリー」が話題になりました。更生のために離れて暮らすお母さんのこと、面倒を見てくれている里親さんのことなどを話したそうです。

 日本ではあまりメジャーではないですが、覚醒剤と同じような「多幸感」のあるオピオイドという化合物は、鎮痛剤にも入っていて、日本でも処方してもらえます。でも、これも覚醒剤と同じで、多幸感のあとには無気力になります。気持ち悪くなることもあるし、あとは興奮して騒いだり、記憶障害や精神障害の症状も出ます。ある意味、覚醒剤よりもひどいかもです。それに、摂りすぎると、呼吸抑制作用の末に昏睡状態になって死ぬこともあります。要するに「合法の処方薬も、たくさん飲んだらアカン」という例なんですね。

 BBCニュースによりますと、アメリカでは1日に約192人がオピオイドのOD(オーバードーズ、過剰摂取)で亡くなっていて、社会問題になってるんですね。毎日200人近くも死んでて、大丈夫なんですかねアメリカは。ほかの死因で死んでる人はもっといてるでしょうし。そして、なんと約570万人の子どもたち(11歳未満)が、オピオイドほかいろんな「薬物中毒」の親と同居しているそうです。570万人て、ピンときます? 

 編集者さんに聞いたら、「兵庫県の人口が今年の9月1日時点で約540万人だそうです」と教えてくれました。なんと兵庫県民より多いんですね。しかも「子どもと同居してる」中毒者だけですよ? 独居とかの中毒者なら、もっといてるんですね。アメリカ怖すぎます。

 そんなアメリカですから、子どもの番組に、そんなキャラも出てくるんでしょう。でも、これは未来の日本の姿かもしれません。

 親が中毒者の場合、子どもへの影響は育児放棄や虐待、貧困など、いくらでもあります。子どもが一緒にラリっちゃうこともあるでしょうが、ほとんどは不安で孤独でしょうね……。寒くて、おなかもすかせてるかも。そして、そういう子どもたちは、ほとんどが親と同じ道を歩みます。『セサミストリート』の番組も見てみたいと思いました。

 幸いウチは私以外の家族がしっかりしてて、子どもたちに影響はありませんでしたが、服役中は会えませんから、寂しい思いはさせてしまいました。やっぱり違法薬物は百害あって一利なしです。絶対にやめてくださいね。

 田代まさしさんは、薬物に手を出す時に「自分だけは大丈夫(=依存症にならない)と思った」そうです。これは私を含めて、たいていの(元)中毒者が思うことです。覚醒剤と違って、合法のオピオイド系鎮痛剤や睡眠導入剤は密売人から買うリスクもなくて、お値段も高くないのですが、本当にいいことは何もありませんよ。

 今回はちょっと説教くさくなりましたが、違法薬物については何度でも説教くさくいこうと思っています。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。

元女囚が考える元受刑者の就職――受刑者等専用求人誌『Chance!!』のすごいところ

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■和歌山刑務所で就職説明会

 9月27日、私の母校(?)でもある和歌山刑務所で、就職説明会が開かれたそうです。飲食店やタクシー会社など県内の企業20社の担当者が来て、出所後に就職を希望する34人に説明してくれたそうです。「82歳の受刑者」も聞いてたそうで、がんばってほしいですね。それに、「親の目線になって社会復帰のお手伝いをしたい」と話した担当者の言葉にもウルっときました。

 これから少子高齢化がますます進む中で、働き手が減りますから、元受刑者もどんどん働いてほしいですね。

■日本初の「受刑者等専用求人誌」も登場

 最近では、日本初の「受刑者等専用求人誌」『Chance!!』も、不良の間では知名度が上がってきています。『Chance!!』は年4回発行、建設業や製造業、飲食店やタクシー会社などからの求人が掲載されているそうです。

 すごいのは添付されている履歴書で、なんと非行歴・犯行歴や刺青の有無、被害者との関係、再犯防止のための決意などを書く欄もあります。作っているのは、ヒューマン・コメディ代表の三宅晶子さん。なんとご本人も「元不良」だったそうです。やっぱり不良の気持ちは不良じゃないとわかりませんからね。

 いろんな方がいろんな形で元受刑者の再就職を応援してくれているのは、OGの私としても、とてもうれしいです。

 とはいえ難しいですね、元受刑者の再就職……。もし雇ってもらえても、働き続けるのは簡単ではないですよ。理由はたくさんあると思います。

 雇い入れるほうは「とにかく忙しいから、誰でもええから来て」いう感じやし、雇われるほうも「とにかくどこでもええから働かせて」いうことです。これでうまくいくと思います?

 誰も働きに来てくれないのは会社にも問題があると思うし、働くほうにも向き・不向きがあります。男なら誰でもバリバリ健康で建設業とか力仕事ができるとは限りませんし、女性だって「女性らしい気配り」ができる人ばかりではないですよ。

 たとえば『Chance!!』に求人広告を出している北洋建設(札幌市)の小澤輝真社長のインタビューによると、元受刑者を雇っても、8〜9割が辞めるそうです。建設会社は相当キツいですからね。でも、社長は難病の持病も抱えながら、お父さんの代から元受刑者の雇用を続けられています。

 ほかにも元受刑者を雇っている企業はありますが、どうしても飛ぶ(逃げる)人は多いです。経験から言わせていただきますと、元受刑者が仕事先から飛んでまうのは、寂しいからやと思います。

 そもそも小さい頃に親に愛されて育ってない人がほとんどで、愛され方も愛し方もわからないんです。自分が受け入れられないと思うと、すぐに投げ出してしまうんですね。本当はそんな自分がイヤで変わりたいのに、すぐには変われない。そこはわかってあげてほしいですが、向き合う人は大変です。

 確かに元受刑者はロクデナシが多いです。男は粗暴やし、女子はがんばろうと思ってもダメ男にコロッとだまされて、またムショに逆戻りとか。昔の自分もそうでしたけどね。

 でも、最近のニュースを見て、どうですか? 覚醒剤をやって逮捕されたのはエリートのお役人、チカンや盗撮はおまわりさん、集団レイプは有名大学生と、「暴力団員」や「不良」はあんまり目立たないです。つまりロクデナシは「元受刑者」や「元不良」に限らないのです。

 元受刑者たちを雇う時には「すぐ飛ぶのとちがうか」とか「また事件を起こすのとちがうか」と最初から決めつけず、「ダメ元」的な感じで受け入れてもらえたらと思います。できれば政府や関係機関で再就職のための研修とかも大々的にやっていただけたらいいですね。それこそお辞儀の仕方から電話応対まで、やさしくゼロからお願いします。

 そして、何度も書いてますが、ほんまに必要なのは、「元受刑者本人の自覚」です。これがいちばん難しいですが、私もがんばれているから、ほかの人もがんばってほしいです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。

元女囚が考える元受刑者の就職――受刑者等専用求人誌『Chance!!』のすごいところ

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■和歌山刑務所で就職説明会

 9月27日、私の母校(?)でもある和歌山刑務所で、就職説明会が開かれたそうです。飲食店やタクシー会社など県内の企業20社の担当者が来て、出所後に就職を希望する34人に説明してくれたそうです。「82歳の受刑者」も聞いてたそうで、がんばってほしいですね。それに、「親の目線になって社会復帰のお手伝いをしたい」と話した担当者の言葉にもウルっときました。

 これから少子高齢化がますます進む中で、働き手が減りますから、元受刑者もどんどん働いてほしいですね。

■日本初の「受刑者等専用求人誌」も登場

 最近では、日本初の「受刑者等専用求人誌」『Chance!!』も、不良の間では知名度が上がってきています。『Chance!!』は年4回発行、建設業や製造業、飲食店やタクシー会社などからの求人が掲載されているそうです。

 すごいのは添付されている履歴書で、なんと非行歴・犯行歴や刺青の有無、被害者との関係、再犯防止のための決意などを書く欄もあります。作っているのは、ヒューマン・コメディ代表の三宅晶子さん。なんとご本人も「元不良」だったそうです。やっぱり不良の気持ちは不良じゃないとわかりませんからね。

 いろんな方がいろんな形で元受刑者の再就職を応援してくれているのは、OGの私としても、とてもうれしいです。

 とはいえ難しいですね、元受刑者の再就職……。もし雇ってもらえても、働き続けるのは簡単ではないですよ。理由はたくさんあると思います。

 雇い入れるほうは「とにかく忙しいから、誰でもええから来て」いう感じやし、雇われるほうも「とにかくどこでもええから働かせて」いうことです。これでうまくいくと思います?

 誰も働きに来てくれないのは会社にも問題があると思うし、働くほうにも向き・不向きがあります。男なら誰でもバリバリ健康で建設業とか力仕事ができるとは限りませんし、女性だって「女性らしい気配り」ができる人ばかりではないですよ。

 たとえば『Chance!!』に求人広告を出している北洋建設(札幌市)の小澤輝真社長のインタビューによると、元受刑者を雇っても、8〜9割が辞めるそうです。建設会社は相当キツいですからね。でも、社長は難病の持病も抱えながら、お父さんの代から元受刑者の雇用を続けられています。

 ほかにも元受刑者を雇っている企業はありますが、どうしても飛ぶ(逃げる)人は多いです。経験から言わせていただきますと、元受刑者が仕事先から飛んでまうのは、寂しいからやと思います。

 そもそも小さい頃に親に愛されて育ってない人がほとんどで、愛され方も愛し方もわからないんです。自分が受け入れられないと思うと、すぐに投げ出してしまうんですね。本当はそんな自分がイヤで変わりたいのに、すぐには変われない。そこはわかってあげてほしいですが、向き合う人は大変です。

 確かに元受刑者はロクデナシが多いです。男は粗暴やし、女子はがんばろうと思ってもダメ男にコロッとだまされて、またムショに逆戻りとか。昔の自分もそうでしたけどね。

 でも、最近のニュースを見て、どうですか? 覚醒剤をやって逮捕されたのはエリートのお役人、チカンや盗撮はおまわりさん、集団レイプは有名大学生と、「暴力団員」や「不良」はあんまり目立たないです。つまりロクデナシは「元受刑者」や「元不良」に限らないのです。

 元受刑者たちを雇う時には「すぐ飛ぶのとちがうか」とか「また事件を起こすのとちがうか」と最初から決めつけず、「ダメ元」的な感じで受け入れてもらえたらと思います。できれば政府や関係機関で再就職のための研修とかも大々的にやっていただけたらいいですね。それこそお辞儀の仕方から電話応対まで、やさしくゼロからお願いします。

 そして、何度も書いてますが、ほんまに必要なのは、「元受刑者本人の自覚」です。これがいちばん難しいですが、私もがんばれているから、ほかの人もがんばってほしいです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
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元女囚が考える、経産省と文科省の薬物犯罪――エリートコースよりもキメセク優先?

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■子どもの薬物犯罪が増えている

 先日、2018年に薬物依存で精神科の治療を受けた10代の子どもたちの4割以上が、市販薬を乱用しているというニュースを見つけました。

 皆さんは子どもの頃にせき止めや風邪薬を大量に飲んでラリったことはありますか? ガチの不良ではなくても、「(シンナーは罪悪感あるけど)せき止めならドラッグストアで買えるから大丈夫」的な経験はあったのと違いますか? 編集者さんからは「はぁ? ないすよ」と、あきれられましたけど。

 今はネットに、入手方法はもちろん、「○○をどのくらい使うとこんな感じ」みたいな情報はたくさん出ていて、「見たらアカン」と言っても限界がありますから、規制は難しいと思います。それに、せき止めだけでなく、大麻の使用も増えているそうです。子どもたちの犯罪自体は減っているのに、薬物と振り込め詐欺(の受け子)に手を染める子どもたちが増えているんですね。

■「エリートなのに」? 「エリートだから」?

 子どもたちがこんなですから、オトナの乱用も当たり前なんでしょうか。まあ私も前科者なんで、偉そうなことは言えませんけどね。

 この夏は、経済産業省と文部科学省のエリートさんの、薬物関係の逮捕が話題になりました。もしかして、今までは隠してただけで、ホンマはけっこうあったんかも……と、チラッと思いました。

 9月10日に経産省の元キャリアの覚醒剤使用事件の判決公判がありました。この方は、うつ病になってシャブに逃げたそうです。いいことではないですが、気持ちはわからないでもないですね。いわゆる泳がせ捜査の摘発やそうで、アメリカから取り寄せたファッション雑誌の袋とじに覚醒剤が入っていたんですね。今どきはやりのビットコインで海外のネット通販で買い、職場でも使用してたそうです。

 せっかく東大を出たのに、残業が続いてうつ病になり、主治医から抗うつ剤を処方してもらううちに、「より強い刺激」を求めるように……ちゅうことですね。もちろん初犯なので執行猶予ですが、今後はどうされるんでしょうか? 「エリートなのにもったいない」のか、「エリートやからこそ、こんなこともしでかす」のか、どっちなんかなあと思いました。

 もう一件、8月19日に文科省の元キャリアの薬物事件の判決公判がありました。韓国旅行でシャブを覚えて、日本でも使うようになったそうです。

 この「旅行先で薬物デビュー」は、ありがちですよね。特に大麻は合法なところも多いですから、興味もあってつい手を出してしまうこともあるのでしょう。これも気持ちはわかります。韓国でだけにしておけばええのに(←ダメ。ゼッタイ。)、日本でもシャブを使うようになったのは、職場のイジメが理由やそうです。ニュースによると、けっこうな陰惨なイジメで、お気の毒でした。どこにでも、いじわるな人はいてるんですね。

 それよりも「キメセクもよかった」と公判で話したそうで、これには苦笑しました。正直でええですね。お相手は出会い系で見つけたそうです。めっちゃ共感できましたが、あきまへん。文科省ですよ……。子どもたちの教育を管理する仕事なのにキメセクて。他人様のことは決して言えない瑠美ですが、ちょっと書かせてもらいました。

 せっかくのエリートさんですから、まずは薬物と縁を切って、再出発していただきたいと思います。何度も書いてますが、私でもできてるから、がんばってください。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。

元女囚が考える、経産省と文科省の薬物犯罪――エリートコースよりもキメセク優先?

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■子どもの薬物犯罪が増えている

 先日、2018年に薬物依存で精神科の治療を受けた10代の子どもたちの4割以上が、市販薬を乱用しているというニュースを見つけました。

 皆さんは子どもの頃にせき止めや風邪薬を大量に飲んでラリったことはありますか? ガチの不良ではなくても、「(シンナーは罪悪感あるけど)せき止めならドラッグストアで買えるから大丈夫」的な経験はあったのと違いますか? 編集者さんからは「はぁ? ないすよ」と、あきれられましたけど。

 今はネットに、入手方法はもちろん、「○○をどのくらい使うとこんな感じ」みたいな情報はたくさん出ていて、「見たらアカン」と言っても限界がありますから、規制は難しいと思います。それに、せき止めだけでなく、大麻の使用も増えているそうです。子どもたちの犯罪自体は減っているのに、薬物と振り込め詐欺(の受け子)に手を染める子どもたちが増えているんですね。

■「エリートなのに」? 「エリートだから」?

 子どもたちがこんなですから、オトナの乱用も当たり前なんでしょうか。まあ私も前科者なんで、偉そうなことは言えませんけどね。

 この夏は、経済産業省と文部科学省のエリートさんの、薬物関係の逮捕が話題になりました。もしかして、今までは隠してただけで、ホンマはけっこうあったんかも……と、チラッと思いました。

 9月10日に経産省の元キャリアの覚醒剤使用事件の判決公判がありました。この方は、うつ病になってシャブに逃げたそうです。いいことではないですが、気持ちはわからないでもないですね。いわゆる泳がせ捜査の摘発やそうで、アメリカから取り寄せたファッション雑誌の袋とじに覚醒剤が入っていたんですね。今どきはやりのビットコインで海外のネット通販で買い、職場でも使用してたそうです。

 せっかく東大を出たのに、残業が続いてうつ病になり、主治医から抗うつ剤を処方してもらううちに、「より強い刺激」を求めるように……ちゅうことですね。もちろん初犯なので執行猶予ですが、今後はどうされるんでしょうか? 「エリートなのにもったいない」のか、「エリートやからこそ、こんなこともしでかす」のか、どっちなんかなあと思いました。

 もう一件、8月19日に文科省の元キャリアの薬物事件の判決公判がありました。韓国旅行でシャブを覚えて、日本でも使うようになったそうです。

 この「旅行先で薬物デビュー」は、ありがちですよね。特に大麻は合法なところも多いですから、興味もあってつい手を出してしまうこともあるのでしょう。これも気持ちはわかります。韓国でだけにしておけばええのに(←ダメ。ゼッタイ。)、日本でもシャブを使うようになったのは、職場のイジメが理由やそうです。ニュースによると、けっこうな陰惨なイジメで、お気の毒でした。どこにでも、いじわるな人はいてるんですね。

 それよりも「キメセクもよかった」と公判で話したそうで、これには苦笑しました。正直でええですね。お相手は出会い系で見つけたそうです。めっちゃ共感できましたが、あきまへん。文科省ですよ……。子どもたちの教育を管理する仕事なのにキメセクて。他人様のことは決して言えない瑠美ですが、ちょっと書かせてもらいました。

 せっかくのエリートさんですから、まずは薬物と縁を切って、再出発していただきたいと思います。何度も書いてますが、私でもできてるから、がんばってください。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。

元女囚が考える「更生」――北欧の刑務所やピンク色のムショは効果ある?

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■老朽化したムショの建て替え

 最近のムショは世界的にも老人ホーム状態……ゆうのはよく聞きますね。少子高齢化もですが、ムショはお年寄りの「最後の居場所」になってるのとちゃいますかね。私が服役していた頃も、万引専門のおばあちゃんとか、ようけいてました。もちろん子どもは減ってますから、少年院はどんどんなくなってます。悪いコが減っているというよりは、子ども全体が少ないだけですけどね。

 でも、そんなことより、古くなったムショがどんどん建て替えられているというニュースのほうが気になっています。「老朽化」を理由にしていて、防災の意味もあるんでしょうが、テレビで見る限り、めっちゃ快適そうです。ホンマうらやましい……。

■「北風と太陽」は正しい?

 日本のムショもだいぶきれいになってきましたが、快適な刑務所で有名なのは、やっぱり北欧ですね。北欧では死刑はなく、服役囚の人権もちゃんと守られているそうです。ネットには、清潔なトイレやジムなどを備えた快適なムショがいろいろ紹介されています。

 まあ優しいのは初犯だけで、さすがに累犯の懲役には厳しい施設もあるそうです。「こんな豪華な刑務所を、税金を使って造るとはけしからん」的な話もよく聞きますが、皆さんはどう思われますか?

 こういう快適なムショを造る理由は、「罪を犯すような人は、差別や貧困など悲惨な環境で育った」→「こんな人に厳しくするのは逆効果」→「人間らしい生活を送れれば、更生も早い」との考えやそうです。

 これって、子どもの頃に絵本で読んだイソップの「北風と太陽」のお話ですよね。北風と太陽が旅人のコートを脱がせようとするアレです。北風が強い風を吹きつけたら、旅人はコートをぎゅっとつかんで飛ばされないようにしたため、脱がすことはできなかったけど、太陽がぽかぽかと光を当てたら、すぐに脱いだんですね。

 厳しくされたら余計にガンコになりますが、懲役も温かく見守れば優しい人になるそうで、実際に北欧では、日本やアメリカと比べて再犯率もかなり低いそうです。ちなみに、これはカウントの仕方がバラバラなので、簡単な比較はできないそうです(と編集者さんが言うてました)。

 世界では、施設をピンク色にするムショも増えているそうです。ピンク色は攻撃的な気分を弱める効果があるそうです。でも、「子ども部屋か!」と怒る懲役もいるらしいです。罪人のくせに怒る筋合いはないと思いますが、ごっついオッサンがちょこんとピンク色のお部屋に座ってたら、かわいいかもしれません。いやキモいだけか。

 日本のムショは、まだまだ「太陽的なところ」は少ない気がしますね。更生のための教育ではなくて「罰を与える」感がアリアリです。それに、何かにつけて「あなたたちは税金で生活しているのだから」と言われ、真夏でも毎日はお風呂に入れません。お菓子も簡単には食べられないんです。こんな窮屈な生活では、罪を悔い改めることなんてムリです。

 とはいえ、獄中(なか)を見てきた私としては、懲役をただ甘やかすのはどうかとも思います。私が獄中にいてた時も、「私が看守なら絶対にどついてる」と思う懲役は多かったですよ。イジメとか告げ口とか、ひどいもんでした。実際に出所が決まってからは、どついてやりましたけど(笑)。

 「こういう人たちの更生にこそ優しさが大事」と言うのは簡単なのですが、油断してたら調子に乗りますよ。それに、被害者やご遺族の方々は「私たちがこんなに苦しんでるのに、快適な刑務所でぬくぬくと暮らしてるなんて許せない」と思われるのとちゃいますかね。

 更生には優しさとともに、厳しさも必要です。もちろん世間の温かい目は、絶対に必要です。EXIT・兼近大樹さんの「前科暴露」問題が取り沙汰されていますが、今の本人のがんばりを応援したいと思います。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。

元女囚が考える「更生」――北欧の刑務所やピンク色のムショは効果ある?

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■老朽化したムショの建て替え

 最近のムショは世界的にも老人ホーム状態……ゆうのはよく聞きますね。少子高齢化もですが、ムショはお年寄りの「最後の居場所」になってるのとちゃいますかね。私が服役していた頃も、万引専門のおばあちゃんとか、ようけいてました。もちろん子どもは減ってますから、少年院はどんどんなくなってます。悪いコが減っているというよりは、子ども全体が少ないだけですけどね。

 でも、そんなことより、古くなったムショがどんどん建て替えられているというニュースのほうが気になっています。「老朽化」を理由にしていて、防災の意味もあるんでしょうが、テレビで見る限り、めっちゃ快適そうです。ホンマうらやましい……。

■「北風と太陽」は正しい?

 日本のムショもだいぶきれいになってきましたが、快適な刑務所で有名なのは、やっぱり北欧ですね。北欧では死刑はなく、服役囚の人権もちゃんと守られているそうです。ネットには、清潔なトイレやジムなどを備えた快適なムショがいろいろ紹介されています。

 まあ優しいのは初犯だけで、さすがに累犯の懲役には厳しい施設もあるそうです。「こんな豪華な刑務所を、税金を使って造るとはけしからん」的な話もよく聞きますが、皆さんはどう思われますか?

 こういう快適なムショを造る理由は、「罪を犯すような人は、差別や貧困など悲惨な環境で育った」→「こんな人に厳しくするのは逆効果」→「人間らしい生活を送れれば、更生も早い」との考えやそうです。

 これって、子どもの頃に絵本で読んだイソップの「北風と太陽」のお話ですよね。北風と太陽が旅人のコートを脱がせようとするアレです。北風が強い風を吹きつけたら、旅人はコートをぎゅっとつかんで飛ばされないようにしたため、脱がすことはできなかったけど、太陽がぽかぽかと光を当てたら、すぐに脱いだんですね。

 厳しくされたら余計にガンコになりますが、懲役も温かく見守れば優しい人になるそうで、実際に北欧では、日本やアメリカと比べて再犯率もかなり低いそうです。ちなみに、これはカウントの仕方がバラバラなので、簡単な比較はできないそうです(と編集者さんが言うてました)。

 世界では、施設をピンク色にするムショも増えているそうです。ピンク色は攻撃的な気分を弱める効果があるそうです。でも、「子ども部屋か!」と怒る懲役もいるらしいです。罪人のくせに怒る筋合いはないと思いますが、ごっついオッサンがちょこんとピンク色のお部屋に座ってたら、かわいいかもしれません。いやキモいだけか。

 日本のムショは、まだまだ「太陽的なところ」は少ない気がしますね。更生のための教育ではなくて「罰を与える」感がアリアリです。それに、何かにつけて「あなたたちは税金で生活しているのだから」と言われ、真夏でも毎日はお風呂に入れません。お菓子も簡単には食べられないんです。こんな窮屈な生活では、罪を悔い改めることなんてムリです。

 とはいえ、獄中(なか)を見てきた私としては、懲役をただ甘やかすのはどうかとも思います。私が獄中にいてた時も、「私が看守なら絶対にどついてる」と思う懲役は多かったですよ。イジメとか告げ口とか、ひどいもんでした。実際に出所が決まってからは、どついてやりましたけど(笑)。

 「こういう人たちの更生にこそ優しさが大事」と言うのは簡単なのですが、油断してたら調子に乗りますよ。それに、被害者やご遺族の方々は「私たちがこんなに苦しんでるのに、快適な刑務所でぬくぬくと暮らしてるなんて許せない」と思われるのとちゃいますかね。

 更生には優しさとともに、厳しさも必要です。もちろん世間の温かい目は、絶対に必要です。EXIT・兼近大樹さんの「前科暴露」問題が取り沙汰されていますが、今の本人のがんばりを応援したいと思います。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
女子刑務所ライフ!』(イースト・プレス)発売中です。